Another Century's Episode2
【あなざー せんちゅりーず えぴそーど つー】
ジャンル
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エースロボットアクション
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対応機種
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プレイステーション2
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発売元
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バンプレスト
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開発元
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フロム・ソフトウェア
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発売日
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2006年3月30日
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定価
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7,329円(税込)
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レーティング
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CERO:全年齢対象
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廉価版
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Special Vocal Version 2007年11月29日/3,990円(税込)
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判定
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良作
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Another Century's Episodeシリーズ
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概要
『スーパーロボット大戦』シリーズのバンプレストと『アーマード・コア』シリーズのフロム・ソフトウェアがタッグを組んだロボットアクションゲーム「Another Century's Episode」シリーズ(通称A.C.E.シリーズ)の第2作目。
2機の僚機をともなった戦闘、キャラクター演出の強化、収録ミッション数の増加、新作ストーリー、そして80機以上のロボットが使用可能で敵味方含め登場機体は200種以上となり大幅な進歩が見られる。
当時まだ完結していなかった富野由悠季監督作『リーンの翼』の参戦も注目を浴びた。
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参戦作品一覧
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☆
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リーンの翼
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★
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超時空要塞マクロス
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★
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超時空要塞マクロス 愛・おぼえていますか
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☆
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機動武闘伝Gガンダム
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★
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機動戦士ガンダム0083 STARDUST MEMORY
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★
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新機動戦記ガンダムW Endless Waltz
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★
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機動戦艦ナデシコ
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☆
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劇場版 機動戦艦ナデシコ -The prince of darkness
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蒼き流星SPTレイズナー
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ブレンパワード
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聖戦士ダンバイン
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重戦機エルガイム
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機甲戦記ドラグナー
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機動戦士ガンダム 逆襲のシャア
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★
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A.C.E.オリジナル
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☆…EX参戦
★…新規参戦
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評価点
ストーリー
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原作ダイジェストにクロスオーバーを加えたストーリー性あふれるシナリオ。
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実験機であるA.C.E.オリジナル機体「ガンアーク」が配備されたトリントン基地からガンダム試作2号機が強奪されたことから物語が始まる。星の屑作戦失敗、ギガノスと木星蜥蜴の侵攻など順を追って話が進む。
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また、「0083編」「ドラグナー編」などと明確ではないがプレイヤーが分かる区切りが出来ており、『スーパーロボット大戦シリーズ』では省かれたエピソードも収録されている。
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クロスオーバーシナリオとしてはシーマ艦隊によるギガノスへの助力、ドレイク軍とリクレイマーの共闘など。
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星の屑作戦でガトーを倒した後、「アナベル・ガトーを撃墜してくれて感謝する」とミスマル・コウイチロウが上司になったり(大塚明夫氏)、「ドモン・カッシュのようにモビルファイターに乗りたい」と鼻息を荒くするダイゴウジ・ガイ(関智一氏)、ノインと意見の食い違うスバル・リョーコ(横山智佐氏)といった声優ネタも多く含まれる。
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中盤からはオリジナル機体が中心のシナリオが多くなる。
システム
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前作では僚機は画面に表示されずどこかで敵を撃墜している設定だったが、本作から同画面中で戦闘をするCPU操作機体になった。
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反面、CPU操作のbot機体となったため誤射を受けたり敵の攻撃による被害が甚大になると撤退してしまうなどの問題も発生するようになっている。
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僚機を伴い戦果を上げる事でゲージが溜まり、強力なコンビネーションアタックを発動できる。
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ドラグナー3機やD-1&ファルゲン・マッフ、エステバリス(三人娘)といった原作基準の組み合わせで特殊コンビネーション技も発動できる。
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一部の機体は強化により別機体へとバージョンアップが出来る。
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キャンペーンモードでは一度バージョンアップすると戻せないが、その他のモードでは前の機体も使用可能。
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演出面が強化された。
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フルボイスであり、ブリーフィングや戦闘中のキャラクター同士のやりとりなどアニメさながらの演出が見られる。
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操作性が進歩。操作法の一新により射撃と格闘のボタンが別になり、使用できる武装の数が大幅に増した。
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カメラやロックオン、飛行形態での操作など前作から存在した部分も強化されより細かく設定可能になった。その為自分にあった操作方法を模索しながらプレイできる。
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各武装の弾数が大幅に増えている。
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前作ではマシンガン等の連射性能に重きを置いた兵装でも50発あれば多い方だったのが、本作では3桁の大台にまで届いているのが基本となっている。
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その分リロードが非常に長くなったが、弾数の管理の必要性によるシビアさにつながったといえなくはない。
機体
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主人公やヒロインの乗る機体が中心であるが、エルガイムMk-IIの基となったアモンデュール・スタック、ヌーベル・ディザートに乗るホエール艦長版レッシィといった登場回数の少ない機体・キャラも登場している。
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『スーパーロボット大戦シリーズ』同様、ダイゴウジ・ガイは、機体の技名は全て「ゲキガン○○」で統一されており、アキトらより先にアルビオン隊に加わるなど優遇されている。
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さらに「ディストーションパンチ」は「ガイ・スーパーナッパー」になっており、セリフを全て言ってから発動するため、他のエステバリスより発動時間が大幅に遅いといった細かい違いも付け加えられている。
難点
シナリオ関連
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シナリオや演出のノリが『スパロボ』寄りになり、どちらかと言うと『アーマード・コア』系の雰囲気に近かった前作と比較すると非常に違和感の有る物になっている。
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原作再現を重視しているが、デラーズ・フリートのコロニー落としを止められず敵のオリジナル機体がコロニーを破壊する、ギガノスのマスドライバー発射を止められずそれをウィングゼロがあっさり処理する、ケーン・ワカバの母親の救出をプリベンターが行ったなど、良い部分を特定の作品機体に取られてしまうケースが多い。
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デラーズ紛争が終結してもちゃっかり生き残り別勢力乗り換えたシーマ艦隊、ナナフシの砲撃をあっさり回避するスカル小隊など首をかしげるクロスオーバー部分もある。
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スカル小隊なのに柿崎が出ていない
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確かにやられキャラであった彼だが既に『スーパーロボット大戦α』や『α外伝 第3次スーパーロボット大戦α -終焉の銀河へ-』などに出ておりメイン級の扱いを受けている彼が存在すらいなかったことになるのは不満であるファンもいるだろう。
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恐らくは3人1組のシステム上いない方が納まりが良く、ストーリー上はいなくとも話が進むことが大きな理由かと思われる。ちなみに柿崎のみが問題視されているが、実際はアルビオン隊の原典におけるパイロットなど、他作品にも似た扱いのキャラは存在している。
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ただし、ユニットとしては事実上いるだけ参戦なアーマードバルキリーもプレイアブル機体であること、原典では早々に退場したがプレイアブル機体のパイロットに選ばれているキャラがいること、エステバリスは隠し機体も含めると6+αの種類があること等、それだけではない節も見られる。
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ダンバイン系エルガイム系は動乱の最中であったり、地球圏に助けを求めに来たにもかかわらず暫く放置されたりと、各作品の内容を順番にやるため一作品の影が薄い。
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フルボイスの弊害として、クロスオーバー要素のキャラクターのセリフに、各作品の固有名詞や専門用語のアクセントが間違っている部分がある。
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ゲームとしてのラスボスと呼べる存在がいない。シナリオ上での最後の敵はイベントで倒してしまうため、その敵と接敵するために破壊する最後の部屋の壁がラスボスと言われることも。
機体性能関連
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空中戦が基本なのだが、そのために一部機体は原作無視となっている。
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エステバリス(陸戦フレームと砲戦フレーム)やガンダム試作1号機等が該当。それらは飛行能力を持たないのだが平気で飛行する。
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もっともその点まで再現すると飛行能力を持たない機体が著しく扱いづらくなるために仕方のない面もある。実際に続編の『3』ではその点での差別化を図った結果、移動が煩わしい機体が存在する。
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ガンダム試作3号機は星の屑作戦終了後、シナリオ上修理しているいう扱いとなりステイメン含めストーリーモードの戦線を長期離脱する。幸いフリーミッション時は制限無く使える。
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余談だが、その間も試作1号機は問題なく使用できる。コウ・ウラキによる掛け合いを聞くこと自体は可能だが、後述の問題に加えそもそもの性能の低さも相まって、試作3号機が真価を発揮する宇宙でのゲーム進行の難度は相対的に高くなる。
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モビルスーツやヘビーメタルの射撃攻撃は威力が高いが弾数が少なくリロード時間が長いため使い難い。反面、威力は低いがリロード時間が短く弾数の多いマシンガン系を使うエステバリスとメタルアーマー、接近攻撃の射程が長いオーラバトラーが使い易くなっている。
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この点への対策のためか続編の『3』では「リロード速度強化」の項目が追加された。
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一部機体には飛行形態が存在するが、ロボットアクション系のゲームデザインの関係上障害物の多い本作のフィールドでは利点が上下方向に直進できることと移動速度が上がるくらいで、小回りが利かず、攻撃も一部を除いて真正面にしかできないなど操作性が悪い。
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可変機体であれば一度人型形態へ変形した後クイックターンを行い再度変形すればある程度対応できるものの、リ・ガズィのBWS形態は再度の変形ができないために特に煩わしい。
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一応兵装は比較的強力なものが揃っているが、敵を探すことのストレスを加味すると開始直後に外した方が動き易い。
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例外としてVFシリーズのファイターは射角が広い武装がある上に飛行形態のままでクイックターンが可能であり、本体自体のサイズの小ささによる障害物の避けやすさも相まって、他の飛行形態とは一線を画す操作性の高さとなっている。
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機体性能の差が著しくなった。
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今作では、ダルジャンなどの弱機体で難易度エースに挑むのは非常に厳しくなってしまった。
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前作でも、最強と言われるオージやザカール等と、下位のゲシュペンストMK-IIなどとの差はかなりのものだったが、それでも下位の機体で難易度エースのミッションをすべてクリア可能な機体性能バランスおよびゲームデザインになっていた。
システム
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トゥーンレンダリングで描かれた3DCGのパイロットの顔が表示されるのだが、技術的な制限もあり、評価できるか微妙な出来である。
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熟練度などが上がりやすい「お気に入り作品」を設定できるが、作品によっては登場がずいぶん後回しになっていたり、あまり有効に活用できていない。
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そもそもこのシステムはバグによって設定が正しく反映されず、実質的に機能していない。
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具体的には選んだ作品とは別の作品がお気に入りに設定されてしまうというもの。その結果、リーンの翼だけはどれを選んでもお気に入りに登録できない。
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一度出撃してダメージを受けると次のミッションは待機させるかエースポイントを払って応急修理を提案されるなど、好きな機体を連続して使う事に向かない。
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他の用途は新機体の編入と機体の強化であり、それらが終わってしまえばポイントの使いどころがなくなるため、使いどころを残しているという見方はできる。もっとも、後述の理由によりその心配はないどころかそこに行きつくまでにはポイントを極力使いたくないのだが。
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機体チューンなどに必要なエースポイントが異常に多く、全機体をフル改造しようと思ったらかなりの時間、作業を強いられる。稼ぐことの面倒くささがモチベーションを奪っていく。
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1ステージで獲得できるエースポイントは多くても2万前後。修理と1機体の全体的な1段階強化で全て消えてしまう。
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ミッションのシークレット条件クリアでポイントボーナスが追加されるが、知らなければクリア不可能なシークレット条件がある。
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要塞からの攻撃に対しては警告が出るが敵ユニット(特にボスの必殺攻撃)に対して警告メッセージが出ないため、回避無視の殴り合いになりがち。
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「早くミッションを達成する」のも高評価を得るための目的であるが、早く達成し過ぎると戦闘中の通信演出が強制的にカットされる。
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もっともカットしなかったらしなかったでテンポやシナリオの整合性的におかしくもなるが…。
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レーダー範囲が非常に広くなり、またポーズをかけた際にステージ全体のマップが表示されるようになった。
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しかし宇宙では、オブジェクトが少なく地平面が無いのもあり自機がどちらを向いているのか非常に判り辛く、実質的に地上ステージのみの機能となっている。
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機体改造がいわゆるスパロボ方式の、上がっていくのみの方式になり、また戻す事ができなくなった。同時に未改造状態では基本的に初期面の一部にしか対応できない低い性能に調整されている。
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前作では速度を上げると耐久が微妙に下がる、といった改造で、ある程度プレイスタイルの反映など自分好みの調整ができたのだが、今作ではそれは不可能となり、また未改造初期状態でも全面クリア可能な機体性能調整が施されていた。
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前作ではミサイル等の誘導兵器を除き、ロックしても敵の現在位置に向けて射撃していたが、今作では予測射撃を行うようになった。命中させるのが簡単な反面、敵の攻撃を回避しきるのは困難、というかまず無理。
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近接攻撃の誘導性能が異常にUP。
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前作の地上ステージで一部の機体の近接攻撃が当て難かったための調整と思われるが、機体によってはあまりに当て易過ぎる。
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操作に上下方向への回避が追加され、地上ステージでスムーズに動けるようになった反面、「(主としてドラグナー系機体の)地上ステージにおける上下移動が速い」という特徴が意義の薄いものになってしまった。
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機体のよろけ(格闘ゲームのピヨりのようなもの)は、一部の攻撃でしか発生しないようになり、また回復不可能になった。
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5秒強も無防備になるため、自分が仕掛けて当てた場合はいいのだが、敵から喰らった時は非常に鬱陶しい。
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また、威力は弱いが敵をよろけさせ易い、といった個性的な攻撃はなくなってしまった。
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新システムの「切り返し」は、相手の近接攻撃を弾いてよろけ状態にする、というものなのだが、プレイヤーからの評判はかなり悪かった。ネット上ではそのエフェクトから「パリーン」という通称で呼ばれていた。
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ボタン入力タイミングは非常にシビアだが、どの方向からの攻撃でも弾ける、仰け反り中でもよろけ中でも発動できるというCPUに有利な仕様で、CPU機体がバリバリ使ってくる。
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相手や難易度にもよるが、高難易度だと名無しパイロットの乗る機体でも結構な頻度で行ってくる。上述の通り、よろけは5秒ほど無防備になるため、このシステムのせいで一撃で死ぬ程弱いザコはともかくボス(ザロムDは特に多用してくる)やプレイヤー相手では実質的に近接攻撃が死ぬ。
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ごく一部には、切り返し不可能な近接攻撃を持った機体もいるが、それを持たない近接戦用機体は非常に厳しい。上の方で弱機体とされているダルジャンはまさにこのシステムの被害者。
総評
前作からのシステムを着実に改良したことは評価に値する反面、改良点と同じ位新たな問題点も生み出してしまった作品。
また、『スーパーロボット大戦』的要素は前作の『アーマード・コア』的な硬派な雰囲気を好む層との違いもあり賛否両論であった。
とはいえこの転換は結果的に好評だったためか、続編もこのスタンスで続いて行く事となる。
余談
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残念なことに売上本数は前作より落ちてしまっている。
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ちなみに、『1』は約25万4530本、『2』は約18万1053本。
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予約特典は登場作品のスタッフのインタビュー等を収録したDVD。
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翌年には『3』と同じく、戦闘音楽がボーカル付き主題歌になった廉価版『スペシャル ヴォーカル バージョン』が発売された。セーブデータもそのまま使える。
最終更新:2024年05月25日 16:16