ソニックマニア
【ソニックマニア】
ジャンル
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アクション
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対応機種
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Nintendo Switch プレイステーション4 Xbox One Windows(Steam/Epic Games Store)
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発売元
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セガゲームス
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開発元
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パゴダウェスト・ゲームズ Headcannon
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発売日
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無印: 2017年8月15日 プラス: 2018年7月19日
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定価
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ダウンロード版本体: 1,980円(税込) アンコールパックDLC: 550円(税込) プラス限定版パッケージ: 4,939円(税込)
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備考
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パッケージ版はSwitch/PS4のみ
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判定
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良作
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ポイント
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公式ファンメイドのクラシックソニック 非常に豪華なドットグラフィックと音楽 新鮮かつ美しくリミックスされたステージ セガとソニックネタの宝庫
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ソニックシリーズ
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概要
『ソニック・ザ・ヘッジホッグ4』以来となる"クラシックソニック"のシステムを基軸にした2D横スクロールアクション。
しかし、前作が全編3DCGで『ソニック2』までの様式を踏襲していたのに対して、今作は一部を除き徹底的に『ソニック3&ナックルズ』を正当進化させた内容と、懐かしい2Dドットのグラフィックでの描写で構成されている。
開発は『ソニック・ザ・ヘッジホッグCD』をはじめとしたクラシックソニックシリーズのiOS版を非公式で製作し、その完成度の高さからセガから許可され正式な移植版に採用された経験を持つスーパープログラマーのChristian Whitehead氏をはじめとした"マニア"たちによって行われている。
正にセガによって発売された、公式ファンメイド作品といえよう。
翌年に配信された有料DLC「アンコールパック」を導入することで追加要素を備えた『ソニックマニア・プラス』としてプレイ可能になる。
また、Switch/PS4ではゲーム本編+アンコールパックを収録した『プラス』に加え、アートブック、サントラCD、メガドライブ風BOXを再現したリバーシブルジャケット、外箱が付属した限定版パッケージも発売された。
特徴
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クラシックソニックシリーズを基軸とした2Dアクション
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ボタン操作はMD時代同様攻撃を兼ねているジャンプと、ジャンプ中に発動できるアクションのみ。1つのボタンと方向キーを駆使して攻略していく。
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スピード感は健在、遊びやすくなったステージと相俟って非常に爽快である。
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プレイヤーは"ソニック&テイルス"、"ソニック"、"テイルス"、"ナックルズ"の中からキャラクターを選び、用意された12ZONE×ACT2=全24ステージを駆け抜けていく。最後に待ち受けるボスを倒した後にゴールプレートを通過する。ACT2の場合、ボス撃破後のゴールカプセルについている黄色いスイッチを作動させ、そのゾーンはクリアとなる。
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上述通り『ソニック・ザ・ヘッジホッグ3&ナックルズ』のゲームデザインに寄せており、用意されたアクション、ステージの長さ/広さやアイテム、スペシャルステージ関連、そしてほぼすべてのマップにボスが存在する、実に13年ぶりにスペシャルアタックが復活しているなど枚挙に暇がない。
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新たなソニックのアクションとして"ドロップダッシュ"が追加された。ジャンプ中もう一度ボタンを押し、着地までボタンを押し続けることで、着地時にソニックがスピン状態のまま一定速度まで加速できる。
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過去作同様、ステージ中に隠されたスペシャルリングに入ったり、中間地点を規定数以上のリングを持って通過すると現れる光の輪に入るとボーナスステージへ進める。
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前者はソニックCDをオマージュしたオリジナルのスペシャルステージで、SFC版『F-ZERO』や『スーパーマリオカート』のような疑似回転3Dステージでカオスエメラルドを持ったUFOを撃墜するのが目的。UFOに追いつくにはリングやブルーオーブを取って加速する必要があるが、落下したりリングの制限時間が尽きると終了。
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後者は『ソニック3』のミニゲーム「ブルースフィア」を遊べる。『3』『ナックルズ』のスペシャルステージと同じ盤面に加え、本作オリジナルの新規パターンも用意されている。こちらはクリアするとメダルが貰え、集めていくと様々な特典が解禁されていく。
評価点
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単純かつ爽快な操作性とゲーム性
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特徴にも挙げたが、操作がジャンプに使用するボタン+スティックのみと単純でわかりやすい。
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クリア条件も同様用意されたステージをひたすら駆け抜けていき、最後にボスを倒すだけ。
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ソニックの新アクション"ドロップダッシュ"は着地時にすぐ加速してスピン移動するという非常に優秀なアクション。公式の『ソニックフォース』のクラシックソニックパートをはじめとしたソニック作品にも採用された。
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圧巻のグラフィック
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グラフィックこそMD時代を彷彿とさせる古き良き2Dドットだが、描き込み量がMD時代の比でなく、細かいところまでびっしりと描き込まれている。背景に関してはついつい足を止めて魅了されるほどゴージャス。特にPress Garden ZoneのACT2はドット絵を使ったインディーズゲームの中でも屈指。
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過去作からのステージも例外ではなく、見比べて見るとリミックスされたステージの美しさに驚くこと請け合い。
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キャラクターのアニメーションパターンも格段に豊富になっており、シーンに合わせて様々な表情を見せ、そして何よりもぬるぬる動いてくれる。
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逸品なステージ
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今作はMD時代における『ソニック・ザ・ヘッジホッグ』、『ソニック・ザ・ヘッジホッグ2』、『ソニック・ザ・ヘッジホッグCD』『ソニック・ザ・ヘッジホッグ3』、『ソニック&ナックルズ』からの合計ステージ8つに加え、新たに4つの新規ステージが加えられている。
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過去作ステージのレベルデザインは懐かしくも新しくリデザインされている。
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懐かしい敵やギミックに加え、理不尽な点をできるだけ取り除き、遊びやすくした古き良きステージ構成が特徴。
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それでいて過去作ステージのACT2は未採用ステージのギミックも取り込むなど良い意味で大胆にリメイクされているものが多く、ACT1からの繋ぎと合わせて新たなギミックとステージ構成で楽しませてくれる。
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新規ステージは『Studiopolis Zone』、『Press Garden Zone』、『Mirage Saloon Zone』、『Titanic Monarch Zone』の四つ。どの新規ステージも個性が強く出ており、既視感を感じさせない。
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どのステージもただの平坦な一本道ではなく、縦に広く入り組んでいる。そのため遊ぶたびに新たな発見がある。
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しかもただ広いだけではなく、ルートやプレイヤーキャラによっては攻略に有用なアイテム、思わぬショートカット、スペシャルステージに行くためのスペシャルリングなどが見つかったりと、プレイヤーを飽きさせない工夫が仕込まれている。
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良質な音楽
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Tee Loops氏が殆どのBGMを手掛けており、非常に好評。
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過去作からのステージBGMは正統派のリミックスから、ノリノリな大胆アレンジまで存在し飽きさせず、懐かしいステージも新しく感じること請け合い。さらに『3&ナックルズ』同様2つのACTでアレンジも異なる。
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新規ステージのBGMも必聴。どのステージも雰囲気にしっかり合わせつつも、テンポのよさやオサレ感があり、『3&ナックルズ』の直系続編として全く違和感がない。
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豊富なやりこみ要素
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カオスエメラルドの収集。ボーナスステージによるメダル集め、タイムアタックといったやりこみ要素が豊富。タイムアタックはオンラインランキング機能に対応している。
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メダルを集めることでタイムアタックだけでなく、過去作で見られた"W回転アタック"や"8の字ダッシュ"などのアクション変更、誰を選んでもテイルスではなくナックルズが後ろからついてくる"&ナックルズ"、メガドライブ作品の裏技を忠実に再現した禁断の"デバッグモード"などといったゲームオプション設定が解禁されるため、達成感もひとしお。
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アンコールモード実装以降はセーブ使用プレイでもおまけ要素を使用できるようになっている。
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まさかのナックルズ"&ナックルズ"もプレイ可能。その状態でクリアすると…?
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随所に隠された豊富なネタの数々
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各ステージにはセガに関連するオマージュがいくつか仕込まれており、なかにはソニックファンでもなかなか気づけないようなものまである。
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「Studiopolis Zone」のネタが全てわかったらまさしく現役のセガオタクと言っても差し支えない。
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ステージ2「Chemical Plant Zone」ACT2のボス戦はなんと『ぷよぷよ』。これはMD版の初代『ぷよぷよ』の海外版がソニックのキャラクターに置き換えられ、『Dr.エッグマンのミーン・ビーン・マシーン』として販売されたことを由来としている。
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BGMも『ぷよぷよ』の最終ステージの「Final of Puyo Puyo」で、本作用にアレンジされた新規リミックスになっている。
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メダルを集めていくとボーナスゲーム「Mean Bean」モードとして単独でプレイ可能になる。
賛否両論点
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MD世代を彷彿とさせる高難易度
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豊富なギミックのステージを指先のテクニックで攻略していくジャンプアクション要素が強く、爽快に走るためにはステージを覚え、ルートを構築していくことが求められる昔ながらのゲームデザイン。
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初見でもスピード感を楽しめるよう難易度を下げる調整傾向が出てきたモダンソニックとは違うため、そちらのほうが馴染み深いという方はギャップを感じるかもしれない。(決して今作にスピード感がないというわけではないが)
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残機システムが採用されており、ゲームオーバーになるとステージ終盤まで進んでいてもリトライはAct1の最初から。直近のトゥーンシリーズで残機が廃止され遊びやすくなっていただけにシステムのオンオフ機能は欲しかった所。
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序盤「Chemical Plant Zone」ACT1から高難易度の傾向が強い。なんと『ソニック・ザ・ヘッジホッグ2』よろしくいきなり水中+移動足場の圧死ポイントがあるので、ここまで十分な残機が集めきれてないでだろう初心者にはやや手厳しい。ACT2ボスのぷよぷよのCPUが弱いことだけが救い。
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『3』『ナックルズ』同様のオートセーブ+ステージ選択式になっているので、カオスエメラルド集めなどは簡単なステージでやるなど自分に合ったスタイルでの攻略も可能。
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ナックルズについて
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ドロップダッシュによるスピード感ある動きと、スペシャルアタックによる個性豊かなジャンプアクションが出来るソニック。"ヘリテイル"でしばらく空を飛ぶことが出来、ジャンプも高い初心者向けのテイルスに比べ、ナックルズはジャンプが低い為他キャラに比べやや扱いづらい。ソニックと違いオプションにテイルスもつけられず、実質ハードモードといえる。
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しかし、滑空と壁登りを前提にしているため他キャラでは通れない専用ルートと言った独自要素はしっかり踏襲されている。あるコースは内容がまるまる差し替わるなんてことも。
問題点
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圧死判定は妙に厳し目。「Mirage Saloon Zone」ACT1の銃のギミックで突然圧死判定されるバグがある他、「Titanic Monarch Zone」ACT2の上下移動する足場に挟まれやすいなど。
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ソニックのアビリティについて
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ソニックは属性バリアを取るとスペシャルアタックが優先され、ドロップダッシュが使えなくなってしまう。
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各バリアはどれも高性能ではあるが、ドロップダッシュも前述の通り優秀なワザであるがゆえに、バリア所持時は使えないことに歯がゆさを感じることも。
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バリアを解除しドロップダッシュを使うにはミスするか、無敵状態になるしかない。
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無敵状態では逆にスペシャルアタックが使えなくなる、というおかしな仕様もある。
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またメダルで解禁されるW回転アタックや8の字ダッシュはドロップダッシュを含めた3種類のアビリティからの選択制のため、どれか一つしか使うことができない。
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ボタンが被っているW回転アタックは仕方がないとしても、操作が被らないドロップダッシュと8の字ダッシュは両立可能にしても良かったのではないのかという意見もある。
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『CD』の要素が豊富に採用されているにもかかわらず、エミーが登場しない。
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エミーを模したロボットはいるが、本人はシナリオ上で一切登場しない。番外編出身のマイティーとレイを採用しながらMD本編に登場したキャラクターを出さない事には疑問の声もある。
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(アップデートにより改善)発売直後はバグが非常に多かった。
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足場をすり抜けたり、突然操作不能になるなど様々な不具合が確認されている。
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これらはアップデートで順次修正されており、致命的なものは概ね改善されている。
総評
まさかのドット絵時代への回帰を成し遂げるにふさわしい開発スタッフの面々から、発表当初から注目を受けていた本作。
ふたを開けてみれば逸品なレベルデザイン、豪華なグラフィックとサウンド、随所に感じられるセガ愛から高い評価を受けている。
一方で、バグの多さに加え(後に改善)、過去作の問題点を忠実に再現してしまっていることも無視できないことも事実である。が、それらを差し引いても全体的なクオリティは非常に高い。
本作はマニアのみならず、初めてソニックを遊ぶ人にもオススメできるクラシックソニックシリーズの集大成である。
余談
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今作のエンディングについて
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ネタバレ
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『ソニックフォース』へと繋がる物語となっており、それによれば本作はただの昔のソニックではなく「別の世界のソニック」であることが判明する。
さらにその後の物語はWEBアニメ『ソニックマニア アドベンチャーズ』にて知ることが出来る。
また、今作におけるキーアイテム"ファントムルビー"は『ソニックフォース』においても重要なファクターとなる。
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本作のUIやBGMは映画などその後のソニック作品にも流用されていることが多く、公式ファンメイドとは思えない破格の扱いを受けている。
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その一方で『大乱闘スマッシュブラザーズ SPECIAL』においては存在感が薄く、『StudioPolis Zone』ACT1の曲がステージ曲の一つに入っている程度。今作限定のスピリッツも存在しない。
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海外メディアのレビューをまとめておりゲーム業界への影響力も強いサイト「Metacritic」では、15年ぶりの最高点をたたき出した。
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本作のエミー未登場については海外ファンの間でも違和感は大きかったのか、「エミーが『ソニックマニア』に通じるエレベーターに乗ろうとしたが、ソニックから無言で拒否され落胆する」という公式PVを模したネタ動画まで作られ再生数を伸ばした。
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最終的にはWEBアニメ『ソニックマニア アドベンチャーズ』6話より晴れて公式登場を果たし、更に2023年の『ソニックオリジンズ・プラス』を皮切りにようやくクラシックシリーズでのプレイアブル化が本格始動した。
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2024年5月8日にはNetflixゲームの1作品としてiOS/Android移植版が配信された。
最終更新:2024年08月16日 10:55