このページではドリームキャストで発売された『ソニックアドベンチャー2』、ゲームキューブで発売された『ソニックアドベンチャー2 バトル』、PS3・360で発売された『ソニックアドベンチャー2(HD)』の3作品を紹介します。 判定はいずれも「良作」です。



ソニックアドベンチャー2

【そにっくあどべんちゃーつー】

ジャンル 3Dアクション
高解像度で見る 裏を見る
対応機種 ドリームキャスト
発売元 セガ
開発元 ソニックチームUSA
発売日 2001年6月23日
価格 6,090円
判定 良作
ポイント モダンソニック大傑作の一角
豊富なアクション、やり込み要素も多数
テーマ曲を筆頭に名曲揃い
引き続きの荒削りさと前作要素の削減には賛否
ソニックシリーズ

概要

シリーズ初の3D化で好評を博したドリームキャスト用ソフト『ソニックアドベンチャー』。
本作は、前作から「複数キャラを操作する」と言った要素やアクションを受け継いだ新作である。

ソニックシリーズ10周年記念として、海外での『ソニック・ザ・ヘッジホッグ』の発売日と同じ日付に発売された。
開発者曰く「ソニックシリーズとしての大傑作」


ストーリー

かつて世界を救った英雄「ソニック・ザ・ヘッジホッグ」。彼は今、犯罪者としてGUNに追われていた。
街中を駆け抜け追っ手を振り切った彼の前に現れたのは、ソニックと瓜二つの姿をしたハリネズミ「シャドウ」。
自身がシャドウと間違われて捕まえられたこと、そしてそのシャドウがエッグマンと手を組んでいると知ったソニックは、助けに来たテイルスとエミー、そして成り行きで合流したナックルズと共にシャドウたちを追う。

一方のエッグマンは、とある理由で基地に侵入してきた女怪盗「ルージュ」とも手を組み、ある計画を実行しようとしていた…。


特徴

  • 本作は「ヒーロー」と「ダーク」の二つの勢力をプレイ可能で、3種類のジャンルのアクションが用意されている。
+ アクション概要
  • アクションレース
    • 画面の奥へ進んでいき、ゴールリングを目指す。使用キャラはソニック、シャドウ。
      敵に触れたり攻撃を食らうとリングを落とし、リングが0枚の時に食らうとミスになりスコアは0にリセットされる。
      今回はゴールした時間だけでなく、敵を連続で倒したり、設置物を利用して上手く高速ジャンプするなどでもボーナスが入る。
      トリックに比重が置かれており、「ジェットセットラジオ」にも近い感覚のゲームプレイとなっている。
    • アクションは、敵を追尾し連続攻撃もできる体当たり「ホーミングアタック」、
      その場で攻撃し、木箱を壊せたり狭い隙間をくぐることができる「サマーソルト」、
      パワーを溜めて高速移動ができる「スピンダッシュ」、レールの上を滑る「グラインド」等。
      • アイテム取得によって、リングに沿って空中に浮いて高速移動ができる「ライトダッシュ」を覚えたり、サマーソルトで鉄コンテナも壊せるようになる。
  • シューティング
    • 使用キャラはテイルス、エッグマン。それぞれの専用マシンに乗り込み、敵を倒しつつゴールリングを目指す。
      体力が0になるとミスになるが、リングやカオスドライブなどアイテムを取ることで回復する。
      その上でダメージを受けても他キャラと同様にリングをばらまくため、被弾へのフォローは容易。
      • ロックオン弾で複数の敵をまとめて倒すと高得点。木箱などロックオンできないものを攻撃できる「バルカン」もある。
      • アイテムを取得すれば、ゆっくり降下できる「ホバリング」が解禁、強力な弾丸や拡散するロックオン弾も使えるように。
  • トレジャーハント
    • フィールドに散らばっているステージのお題に沿ったアイテム(マスターエメラルドのかけらや、扉を開くための鍵)を3つ、レーダーとモニターのヒントを頼りに全て集める。使用キャラはナックルズ、ルージュ。
      攻撃を食らうとリングを落とし、リングが0枚の時に食らうとミスになる。
      毎回位置が変わる(ハードモードは除く)アイテムを、少ないヒントで素早く見つけると高得点。
      • モニターのヒントは最大3つまでで、入手したヒントはポーズ画面で確認できる。
    • アクションは、空中で急降下攻撃をする「ドリルクロー(ドリルドライブ)」、攻撃できる上に木箱も壊せる「パンチ(キック)」。
      見た目はかっこいいが使いどころが限られている「スパイラルアッパー(スクリューキック)」。
      滑空や壁登り、水中に潜ることもできる。水中では酸素の限界があり、酸素が0になるとリングを持っていてもミスになる。
      ただし、ナックルズはあるアイテムを入手すると酸素ゲージが無限になる。
      • アイテムの取得により、壁や地面を掘り進んだり見えなかったものが見えるようになる等、行動範囲が広がってゆく。
  • その他に、カートで目標を追うステージもある。
  • ステージの途中で「チャオキー」を入手すると、ステージクリア後に不思議な生き物「チャオ」が住む「チャオガーデン」に行ける。
    敵が落とす「カオスドライブ」や小動物、食べ物をあげるとチャオは成長する。育て上げた自慢のチャオで「チャオレース」に挑もう。
    • なお、一度でもチャオガーデンに入っていればそれ以降はステージセレクト画面からいつでも行くことができるようになる。
  • 条件を満たすと、カートレースや、ボスラッシュモードが出現する。
  • 対戦モードでは、3種類のアクションのほかに、チャオのゲームやカートレースもできる。
    3種類のアクションでは一人プレイの自機のほかに、過去の作品のキャラクターも選べる。

評価点

  • 前作から追加された多彩なアクション。
    • ホーミングアタックに加えてグラインド、バウンドアタック、ワンボタンで使えるようになったライトダッシュなど多彩なアクションが追加された。
      一方で、これらアクションの増加は後述の暴発問題を内包する結果に。
  • 各種ステージも前作から格段にパワーアップ。
    • 前作ではクリア目標の違うキャラもすべて同じステージを探索していたため、広めのエリアで仕掛けを解いて回るような間延びする場所や操作感と若干噛み合わない箇所もいくつか存在していた。
      本作では操作キャラごとに全く違うステージなので、各々のアクションが存分に生かせる設計となっている。
      • 特に、アクションレースのステージは「2Dソニック時代のステージコンセプトをそのまま3D用に最適化した」ような作りとなっている。
        後の定番となったブーストこそないものの、ダッシュパネルなどの加速手段が随所に設置されており、疾走感は後の作品と比べても決して劣らない。
  • グラフィックが前作よりも美麗になっており、さらにフルボイスとなっている。
    • カットシーンは各イベント毎に専用のモーションが組まれており、リップシンクも採用されているなど大幅にパワーアップしている。
  • ストーリーも評価が高い。
    • ヒーローサイドはエッグマンの野望を阻止するというお馴染みの筋書き。一方のダークサイドはそれぞれの思惑が絡み合うシリアスな雰囲気。
      軍や政府といったリアルな要素も出てくるが、それでいてソニックらしい軽快さに溢れるストーリー。
      • 特にシャドウ・ザ・ヘッジホッグが登場した影響は大きく、キャラクターとともに本作のストーリーの評価を大きく押し上げている。
+ (ネタバレ注意)
  • シャドウはの正体は、エッグマンの祖父「ジェラルド・ロボトニック」がとある理由で創り上げた究極生命体
    しかしジェラルドは、究極生命体である彼を生み出したことによって軍に危険因子とみなされる。
    スペースコロニーの研究所が閉鎖されると同時に軍による粛清が行われ、孫娘であるマリアも含めた多くの仲間を失った。
    全てを失い世界に絶望したプロフェッサー・ジェラルドは、人間への復讐のためにシャドウを封印。
    そして七つのカオスエメラルドをスペースコロニーにセットした時、膨大なエネルギーで爆弾と化したコロニーが地球に落ちるようにプログラムした。
    • 一方、物語冒頭でエッグマンに封印を解かれたシャドウは「旧友のマリアという少女が、自分たちを追い詰めた人間たちへの復讐を望んでいる」と語り、エッグマンと手を組み人類へ脅しをかける。
      しかしそれ以上の狂気を持ったプロフェッサー・ジェラルドの真の目論見に気づいた彼らは、地球消滅を阻止するためにソニックたちとの共同戦線を組む。
      マリアの復讐を完遂するべく傍観していたシャドウだったが、エミーの説得によって彼女の最後の願いが「人間を助けてほしい」というものだったことを思い出す。
      そしてシャドウはソニックたちとともにカオスエメラルドの力を得たコロニーの守護者である究極生命体と戦い、コロニーの落下を止めることに成功。
      しかし彼は仲間たちの元には戻らず、マリアの願いを叶えつつ消えていった…。
  • ロックBGMが秀逸。
    • ゲーム中でもボーカル曲が多数使用されており、特にシティエスケープの「Escape From the City」、ラスボス戦・メインテーマ曲の「live and learn」は看板曲となっている。
      • 本作のサウンドトラックは絶版・プレミア扱いになっており、一時期は5万円を超える値段がついていた。
        今ではソニック生誕20周年記念として再販されているものがあるため比較的楽に買えるだろう。
      • ちなみに本作にはサウンドテストもついているため、そちらでも堪能できる。
  • 「チャオガーデン」も前作から更に進化。
    • 幼稚園に預けたり、レースの賞品であるおもちゃで様々な動きを見ることができる。
      • また、ストーリーと同じくチャオの進化にも「ヒーロールート」と「ダークルート」が追加。進化形態の数が約3倍に。
        --ただしストーリー攻略中は前述の通りチャオキーを取得しないとガーデンに入れないため、見つからないと集めたカオスドライブや小動物が溢れて無駄になることも。
    • このチャオを育てることも本作の魅力の一つであり、与えた小動物やキャラクターの対応によって、多種多様な育ち方をする。 豊富な育成によりファンの間で好評だったのにもかかわらず、世界観の違いからか後続の作品では一切採用されていない*1
      ファンからは「チャオガーデン」復活を望む声も多い。

賛否両論点

  • アドベンチャーフィールドの廃止
    • 前作『ソニックアドベンチャー』で存在したアドベンチャーフィールドが今作では廃止され、町中を探索することができなくなった。
      ステージの合間の息抜きやキャラクターと世界観を垣間見れるパートであったため、なくなったことを惜しむ声は多い。
      その反面、前作にあった「次にどこにいけばいいのかわからない」という状態に陥ることはなくなった。
      • チャオガーデンを自分で発見したり、ちょっとしたイベントや住民との会話という要素を丸々カットしたことに対する反発は大きかった。
      • しかし、ただ純粋にアクションゲームとして楽しみたい層にとってはテンポを悪化させる要素となっていた為、一概に改悪であるとも言い難い。
      • しかし前作ではアドベンチャーフィールドに設置されていたアイテムがステージ上に設置された事により、ステージ上での探索が増えテンポが悪化したという見方もできる。
  • ランク評価の導入
    • 今作より、ステージクリア時の獲得スコアに応じて5段階のランク評価が表示されるようになり、以降のモダンソニックの定番システムとなった。
      しかし本作の評価基準は後作と比べても非常に厳しく、トリックを決める事や敵の討伐にスコアが偏っているため、軽快にステージを駆け抜けるだけではD~Eランクにしかならない*2
      ステージをフィニッシュした達成感に水を差す結果にも。
      • やりこみ前提のプレイヤーからは上位ランクを目指す楽しみがあるとして評価される一方、ソニックのスピードアクションを気軽に、気持ちよく楽しみたいというプレイヤーにとっては気が引けるシステムとなっている。
      • 特に今作においては「全てのステージ全てのミッションでAランクを達成することが条件のエンブレムが存在する」こと、更にそのエンブレムを集めた際の報酬も豪華なことから特にこのシステムの賛否が分かれることとなっている。
    • 後のモダンソニックシリーズにおいては評価基準の緩和、リザルト画面における基準スコアの明示等、納得感を持たせる工夫が続けられている。
      また最高ランクコンプリートをゲーム側から煽るような報酬も撤廃された。
  • やや高めの難易度。
    • どのキャラのパートも終盤は非常に長いステージが続く。
      • 更にラストストーリーは全キャラを使うリレー形式で攻略させられ、ゲームオーバーになればステージの最初からである。
    • ミッションやミニゲームをクリアして入手する「エンブレム」という収集要素があるが、これを180枚全て集めきるのは至難の業である。
      その理由は、エンブレムの入手条件の一つとしてオールランクAが存在するため。
    • 最高評価のAランクを取るにはステージ構成を完全に覚えるくらいのやりこみが必要。
      ただ速いだけではなく、リングの回収と多くのトリック、その全てをノーミスでこなさなければならない。
      • なお、全てのエンブレムを集めると隠しステージが出現する。
    • また、全体的に難易度の高いナックルズとルージュのパートについては問題点の項目にて後述。
  • 1ステージあたりのミッションの数
    • 前作は1ステージにつきミッションが3つであったのに対し、今作では5つと増えた。
      プレイヤーによっては水増し感を感じる声や、純粋なアクションゲームとしてはやり込みが感じられるという声もある。
      • 「リングを100枚集める」等2つ目以降の多くのミッションは全ステージ共通で、リングの配置等に大きく左右されるため難易度が非常に不安定。
  • トレジャーハントステージで探知レーダーが1つずつしか反応しなくなった。
    • ナックルズ、ルージュを操作してのステージ内にあるエメラルドの欠片などを集めるトレジャーハントステージだが、レーダーに反応するのは(ステージ開始時にマスクデータとして決められた順番に沿った)一つだけ。
      目の前に指定のアイテムが鎮座していようともそれが対象でないのならば反応せず、決められた順番に従って反応する。
      • 前作のナックルズルートのエメラルドの探知レーダーは、拾う順番に関係なく2つ以上同時に反応していた。 前作に慣れたプレーヤーにとっては難易度が上がって難しいと感じる声や、逆に(前作ではステージによっては早く集めてしまうほど簡単だったので)ちょうどいいと感じるプレーヤーもいる。
      • 前作に比べて探索範囲が広く、エメラルドの欠片の位置が広範囲に分散されたことが理由として考えられるが、反応なしのものも当然集めることが出来、更に高得点も獲得できるので、今作でのシステム変更は相応しいといえる。
  • チャオガーデンの変化
    • 前作では各チャオガーデンへの入り口がワールドの中に設置されていて物語性も存在したが、今回は関連施設が配置される独立した謎空間に。
      • 幼稚園やマーケットなどもあるので行き来が容易なのは評価点。また前作ではいちいち歩いてガーデンまで行く必要があったのが今回はステージセレクトから入れるのも便利に。
    • ガーデンの数自体は前作と同じく3つだが、広さは大きく縮小され地形も面白みがなくなっている。
      • チャオを見失うことは減ったものの育成を考えると相当長い時間を過ごす場所であるため遊び心がないのが辛い。
      • また2つ目と3つ目のガーデンはチャオをヒーロー・ダークに育てるまで入ることができない。
    • アドベンチャーフィールドの廃止に合わせ「レアなチャオの卵を発見する」という要素もなくなった。
      • 宝石カラー等レア卵は基本インターネット経由で手に入れることに。
  • メガドライブ版と毛色の異なるストーリー
    • シリアスなストーリーは当時のソニック未経験者には概ね好評ではあるものの、メガドライブ版(現代においてはクラシック)の牧歌的な世界観を好むプレイヤーからの評価は賛否がある。
    • 『ソニックアドベンチャー』においてはソニックが砂浜に頭から落下し突き刺さる、エッグマンがテイルスを『テイルスちゃん』と呼ぶ等、シリアスなストーリーとバランスを取る形でコミカルなパートも用意されていた。
    • 一方で本作は前作よりもシリアスな世界観に重点を置いており、エッグマンがテイルスとの戦闘前に本気で嫌味をぶつけるようなシーンも存在する為好みが分かれる(このシーンに関しては前作ではエッグマンがテイルスの実力を侮っていたという解釈も可能ではあるが)。

問題点

  • 操作キャラクターが実質半減
    • 前作『ソニックアドベンチャー』では6人のプレイアブルキャラクターそれぞれに違うゲーム性が用意されていたが、今作では人数こそ同じでも操作や目的が共通した3タイプx2に。
    • 前作のガンマはテイルスとエッグマンに引き継がれたが、エミーとビッグは完全に削除。
      ビッグの釣りはあまりに独特だったので仕方ないものの、前作でせっかく独自のキャラクターとアクションを確立したエミーが早速プレイヤーキャラから外れたことを惜しむ声は多い。
      彼らは後述のテイルスと違いチャオ育成にも参加できない。
  • 攻略自由度の低下
    • 前作はキャラクターごとにストーリーが独立していて好きな順番でプレイすることができたのに対し、今作ではヒーローとダークの2つのストーリーから選ぶことになる。
      • 特に「ソニック(シャドウ)のハイスピードアクションをプレイしたいにもかかわらず先へ進むためにゲーム性の違う他キャラの操作を強制される」という作りへの不満が、今作から後のシリーズまで欠点として長らく挙がり続けた。
  • テイルス本人がチャオガーデンでしか操作できない
    • テイルスはエッグマンとアクションを共通にするため常に改造トルネード号に乗っている。
      テイルス単体の基本モーションやおなじみの尻尾を回して飛ぶアクション等も、せっかく用意されているのに使えるのはチャオガーデンでのみ。 当時既に本人の人気が高かったのもあり、この点においては間違いなく前作の方が良かったという声が多く聞かれた。
      • アドベンチャーフィールドがあればテイルス単体でも操作できただろうと思うと、余計に惜しい点。
    • また、エッグマンのチャオガーデンでの動作もおかしい。手足を全力で振りながら重心移動する人間とは思えない挙動。
      • 尤も、あの体型で普通の人間かと言われてもそれはそれで困るのだが…。
  • 前作で問題視されていたカメラワークが改善されていない。
    • 通常は進路を向いている視点を変えても、キャラが動くとまた進路の方向の視点に戻ってしまう。
      • 後ろに戻るときに不便。ただし、迷子になりにくいともとれる。
    • この視点問題と併せて、重力を切り替えるギミックが登場するソニックのステージ「クレイジーガジェット」はかなり画面酔いしやすい。
  • あるアイテムを入手してソニック、シャドウが使える技「ライトアタック」が使いにくい。
    • エネルギーを溜めて超高速でホーミングアタックを放つ技だが、どこに行くか分からないので落下死することがとても多く、ホーミングアタックの代わりに使う必要性は極めて少ない。
      • もっとも、前作ではとあるギミックを解除するために必須アイテムとなっていたが、今作では取得しなくてもストーリークリアは可能。
      • エネルギーを溜めた状態だと歩行速度が変わる為、溜めた状態を維持すると攻撃が躱しやすくなるボスが存在するという変わった使い方もあるが…。
  • 1つのボタンに複数のアクションが設定されており暴発しやすい。
    • 例えばソニックが地に足をつけた状態から行うアクションはスピンダッシュ、サマーソルト、ライトダッシュ、マジックグローブ、スイッチ操作など。これら全てが1つのボタンに設定されており、押す時間や周囲の状況によって変化する。
    • またスピンダッシュとサマーソルトを押し分ける必要が出たことで、前作の短いボタン押しで瞬時にスピンダッシュで加速する爽快感が失われることになった。このサマーソルトは他アクションを出したい時にも暴発しやすく、スムーズな操作を妨げかねない。
  • 人間キャラのポリゴンモデルは、全体的にマネキンのような体格と死んだ魚のような目をしており少々不気味。
    • 前作は更に簡素であった故強めのデフォルメと解釈することも出来たのだが…。
  • 一旦「落下死した」と判定が出ると、その後に復帰できるケースが有るにもかかわらずミスになる。
    • 『エターナルエンジン』『ラジカルハイウェイ』でよく起こる。
      これは、本作の落下死が「ステージ外に設定された死亡判定に触れたタイミング」で処理されている為。つまり、そこに踏み込んでしまった時点で確定でミス扱いとなる。
  • 前作同様テイルス役の声優が子役なため相変わらず棒読み。
    • 特にテイルス以外のキャラの声優がちゃんとした本業の声優である事から尚更違和感が目立つ。その上日常シーンだけならまだしもプリズンアイランドでのソニック救出劇やエクリプスキャノン発射時のようなシリアスな場面ですら棒読みなため、いまいち必死さや危機感が伝わってこない。
      前作と合わせスタッフ的にはテイルスの「幼さ」を強調したかったのだろうが…。
  • ナックルズとルージュの後半ステージの難易度がかなり高め
    • 序盤はともかく後半になるにつれステージが高さも含めてどんどん広くなっていき、ステージの構造を把握しなければ行き詰って何十分もウロウロしてしまうケースも少なくない。
      Aランクを取るならエメラルドの配置候補まである程度知っておく必要があるだろう。
    • ナックルズの最終ステージは隕石が降り注ぐ開けた場所が舞台だが、この隕石が頻繁にしかも視覚外からも降ってくる為探索に集中しづらく、やや理不尽さを感じさせる。
    • ルージュを操作する最後のミッションでは進むべきルートが分からずに詰んだという報告も見られる。
      カメラワークがヒントとなっているが、それでも今まであったレーダー等が無く、自力で気付く必要がある。
      • また、ラストストーリーでほぼ必須であるナックルズの強化アイテムが非常に見つけづらい場所にある。
        ゲーム中ではなんのヒントも得られないため、当時はナックルズパートで詰んだという声が非常に多く聞かれた。
  • ミニゲーム「カートレース」の存在意義
    • 前作で豊富にあったミニゲームは今作ではカートレースのみとなった。
      • 前作のミニゲームはストーリー進行上必ずプレイするものや、アドベンチャーフィールドと繋がりがあるものであった。
        今作の「カートレース」もカートステージと繋がりがあるのだが、カートステージではカーチェイスを意識しており、カーレースを意識したものではない。
        そのため、「カートレース」はストーリー上の関連性はほとんど見られず、プレイヤーによっては蛇足な存在と受け取りやすい。
  • 対戦モードにおいて、シューティングの人選がおかしい
    • 各キャラクターの全ミッションでAランクを達成すると、対戦モードで(対応するキャラクターと差し替わる形で)隠しキャラが使えるようになる。2バトルと異なり、キャラに性能差はない。
    • エッグマンでオールAランクを取ると、前作のキャラクターであるビッグが使えるようになる。エッグマンと差し替えなので、 ビッグがエッグマンの代わりに二足歩行マシンに乗ってテイルス(orチャオ)と戦う ことになる。完全にダークサイドキャラ扱いである。
      • ビッグはどう考えてもダークサイドキャラではないので、対戦モードとは言えこの扱いは変である。
    • 一方、テイルスでオールAランクを取ると、チャオが使用できるようになる。こちらは、テイルスが作ったチャオウォーカーに乗って戦う。
      • こちらは描写としてはおかしくないが、ビッグをダークサイドキャラ扱いにするくらいならビッグをテイルスの代わりにサイクロンに乗せて戦わせれば良かったはずである*3。そして、エッグマンと差し替えで前作のガンマ等を使えるようにすれば、人選としては自然だった。
    • なお、ビッグが使えるのはDC版のみ。2バトルや、配信版の「バトルパック」ではダークチャオウォーカーに変更されている。

総評

アクション・探索・シューティングなど様々なジャンルを取り入れたゲーム性、単純な勧善懲悪では終わらずに敵味方それぞれの視点から描かれる熱いストーリー、そしてゲームを大きく盛り上げる秀逸なロックBGMなどから、モダンソニックシリーズの傑作とファンからの名声も高い作品。
一方でやや厳しい難易度をはじめランク評価や暴発問題など前作に引き続き荒削りな点があることも否めない。
また、自由度や遊び幅の低下等前作から削られた要素も多いため完全な正統進化とは言い難く、どちらの方が好きかは人によるところ*4
比較的移植には恵まれているため、気になっているのであれば今購入しても損は無いだろう*5


余談

  • 本作の登場キャラである「シャドウ・ザ・ヘッジホッグ」は本来この作品限りの登場予定だったが、予想外の人気が出たため、後々の作品でも顔出しするようになり、スピンオフ作品まで作られた。
  • ゲームキューブへの移植版が半年後に発売され、後年にはHD機種でのDL販売もされている。
    • そのため、「このゲームで初めてソニックに触れた」というプレイヤーも多い。
  • 本作に出てくるオバケ「ブー」のデザインがかなり怖いことは一部で語り草になっている。
    • 「マリオ」シリーズのテレサの愛嬌ある顔と違い、こちらはギョロッとした目にギザギザ歯というデザイン。完全に子供を泣かせに来ている。
    • 出現ステージが何故かナックルズに集中している(しかも3回連続)。ストーリーでナックルズ面というだけで身構えた人も少なくないのでは。
      • なお、ボスのキングブーが出現した際のナックルズの「んな?お、おばけぇ?」という反応から「ナックルズはオバケが苦手である」と解釈するファンも多いが、単に驚いただけという可能性もあるためはっきりとしない。
      • 後のソニック公式X(旧Twitter)lの投稿では、『チームソニックレーシング』のコースの中でナックルズが苦手なコースとしてブーが登場する「ブーズハウス」を挙げている。

ソニックアドベンチャー2 バトル

【そにっくあどべんちゃーつー ばとる】

ジャンル 3Dアクション
高解像度で見る 裏を見る

対応機種 ニンテンドーゲームキューブ
発売元 セガ
開発元 ソニックチーム
発売日 通常版:2001年12月20日
お買い得版:2004年3月18日
価格 通常版:7,140円
お買い得版:2,940円
判定 良作

概要(バトル)

  • 『ソニックアドベンチャー2』を、グラフィックや本編外の遊びこみ要素を充実させて移植したものである。通称「2バトル」「SA2B」。
  • 任天堂ハード初のソニック。『ソニック アドバンス』シリーズとの連動機能が付いた。
    • ソニックアドバンスシリーズ*6の「チャオのプチガーデン」と連動できる。主にできることはアドバンスで入手したリングやプチガーデンで購入したタマゴや木の実の回収。2バトルで育てたチャオをプチガーデンに転送及びその逆、更にそれを利用して次作「ソニックアドベンチャーDX」のチャオガーデンに行き来することも可能。
    • ただし2バトルやDX等で育てたチャオをプチガーデンに転送する場合、転送した後プチガーデンをセーブしないで電源を切ってしまうとチャオがいなくなってしまうので注意。転送を終えたらすぐセーブするように
    • 因みにGBAとGBAケーブルさえあれば連動自体は可能である。ただしセーブはできないし2バトルで育てたチャオをプチガーデンに転送する場合、そのチャオのコピーを連れて行くことになる。
  • 2P対戦モードや「チャオカラテ」といった対戦要素が追加されている。
    • 「チャオレース」では「チカラ」のパラメータを活かせる障害物が少ない関係から重要性が低かったが、「チカラのパラメータがそのまま攻撃力へ置き換えられる」という仕様もあって、こちらでは最も重要なパラメータとなっている。
  • チャオの能力の仕様変更
    • 全てのチャオにパラメータ表示ウィンドウが追加され完全に数値化された。
  • チャオ幼稚園の充実化
    • 闇の取引所が幼稚園に進出し、保健室では診察以外にも「カルテを見る」が追加された。カルテは主にチャオの能力や年齢や性格、転生回数が記載されており非常に便利なものとなった。
    • 新たに「占いの館」が追加された。入ると占い師のチャオがいて、チャオを連れてくると名前をつけてもらうことができる*7
      つけてくれる名前はユニークなものが多く非常にパターンが多い。勿論自分で名前をつけることもできる。
  • 反面、ゲームキューブ本体にはデフォルトでインターネット接続機能がなかったためにネット関連の機能は全てオミットされた。

ソニックアドベンチャー2(HD)

【そにっくあどべんちゃーつー】

ジャンル 3Dアクション
対応機種 PlayStation 3
Xbox 360
発売元 セガ
配信日 【PS3】2012年10月4日
【360】2012年10月5日
定価 952円(税別)
CERO A(全年齢対象)
DLC 「バトルパック」
【PS3】476円
【360】286円
判定 良作
公式サイト

現在はPS3 / 360でもプレイする事が可能。

主な追加点

  • 画面がHDワイド画質となった。
  • トロフィー&実績、ホームリワード&アバターアイテムといったハードの機能に対応。
  • 追加DLC「ソニックアドベンチャー2バトルパック」があり、GC版の要素を導入する事ができる。

余談(HD)

  • Windows版も2012年11月19日にSteamで配信が開始されたが、 かつては日本からはおま国のため購入不可だった
    • 但し、過去にHumbleBundleで2018年12月に「Humble Sonic Bundle」、2020年12月に「SONIC 30th Anniversary Bundle」などの期間限定のバンドル販売では日本からの購入もアクティベーションも可能だったので今後もこういったチャンスは無きにしも非ずなのが救いか。
    • その後、「ソニック公式ファンミーティングツアー2023-2024 in大阪」にて、前作と本作のSteam版が2024年初頭に国内でも正式に配信されることが発表された
    • 2024年1月23日からは前作と共におま国制限が解除されたことにより、日本からも普通に購入可能になった。
最終更新:2025年04月18日 21:57

*1 チャオそのものは続投している

*2 RTAレベルや、それこそTASであろうともスピードプレイだけでAランクを取得するのは難しい

*3 前作では、ビッグがトルネード号を操縦するシーンがあったので、サイクロンを操縦できてもおかしくはない

*4 特に任天堂ハードではこちらの方が先に出たため、『ソニックアドベンチャー』シリーズあるいはソニック自体の原体験がこちらであるプレイヤーが多いことも温度差を生じさせている

*5 2023年現在、現行機でプレイできるのはXBOXとsteam(日本からは正規購入不可能)のみ

*6 1は最初から搭載。2は条件を満たすと追加。3はないので注意。

*7 名前をつけること自体はDC版でもできたが、ビジュアルメモリが必要だった