MYST
【みすと】
ジャンル
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ミステリーアドベンチャー
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高解像度で見る 裏を見る ※画像はSS版
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対応機種
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PC(Mac/Win) セガサターン 3DO プレイステーション プレイステーション・ポータブル
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発売元(以下廉価版略)
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【SS】サンソフト(サン電子) 【PS】ソフトバンク 【3DO】マイクロキャビン 【PSP】セガ(セガゲームス)
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開発元
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Cyan
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発売日
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【SS】1994年11月22日 【PS】1995年1月27日 【3DO】1995年4月14日 【PSP】2006年6月15日
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定価
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【SS】7,800円 【3DO・PS】6,800円 【PSP】3,800円
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判定
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良作
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ポイント
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ノーヒントADVの傑作
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MYSTシリーズ
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概要
擬似3D空間を歩きまわり、怪しい箇所を調べてヒントを探したり、仕掛けを作動させたりして謎解きを行うADV。
元々はアメリカのCyan社のPC用(Mac/Win)クリックアドベンチャーゲーム。
1994年リリースのSS版は『バーチャファイター』同様、本体と同時発売だった。
特徴
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『MYST』と書かれた本の世界に取り込まれてしまった主人公は、ゲーム開始後すぐに「ミスト島」に独り放り出される。ゲーム進行を助けるようなナビゲーションの類はほとんど無い。
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画面全体に背景グラフィックが描かれ、メニューやコマンド等の文字ナビゲーションは一切なし。場所移動・視点変更も、画面上のクリック操作で行う。
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画面左右端をクリックで右を向く、道の奥をクリックで前進する、書架の本をクリックすると本を手にとって開く、といった具合。
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グラフィックはプリレンダリングCGの一枚絵で、同世代のカクカクしたリアルタイム描画3Dゲームとは一線を画す美麗なもの。今見てもあまりチープさを感じない。水流や風車、装置の作動にはプリレンダリング動画が画面内に自然に挿入され、世界観を演出する。
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登場するキャラクターは俳優による実写映像で表現している。この演出は『IV』まで受け継がれている。ちなみに主人公のアトラスは創業者の一人であるランド・ミラーが演じている。
ゲームの流れ
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プレイヤーはミスト島の四方にある本から異世界に行き、それぞれの世界で謎解きをしてミスト島の謎の真相に迫っていく。
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ミスト島以外の4つの世界を攻略する順番は特に決まっていない。攻略に必要な情報などもその世界単独で完結していて、別の場所で手に入れたアイテムが必要、などという謎解きはない。
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各異世界には、物語の核心に迫るアイテムである「ページ」が散らばっている。これを集める事も目的の一つ。
評価点
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グラフィックが実写さながらに美しい。
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本作の舞台は自然の豊かな場所が多いが、植物や水、機械といった背景CGのクオリティが高い。パッケージ裏で謳われた「シュール・リアリズム」の文言に偽りはなく、神秘的で不思議な世界観が見事に表現されている。効果音も臨場感たっぷりである。
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リリースから30年近くが経った現在でも、その独特の雰囲気などからチープさを感じにくい。
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動く生物の見られない寂しげなシチュエーションも、雰囲気作りに一役買っている。
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謎解きが理にかなっている。
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装置の仕組みを推察し、動力を送り込んで、書物などから仕入れた情報をもとに推理した正しい入力を行うとクリア。こういった、きちんとした論理の組み立ての結果謎が解けるゲームデザインは、ADV好きにはたまらないだろう。総当り解法がおよそ通じないのもプラス材料になる。
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風や水などの自然エネルギーで発電を行って装置を動かすアイデアも、舞台設定を活かしていて面白い。
問題点
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謎解きがわかりにくい。
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手掛かりはただぽつんとそこにあるだけで、情報を集めるにせよ推理するにせよ、何につけてもノーヒント。装置の操作マニュアルなどを見つけても、文字は必要最低限以下しかなく図でざっくりと示されるに留まる事が多い。
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主人公以外の人物も一応存在するが、局所的にしか登場しないため、ストーリーもわかりにくい。
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ストーリーでゲーム進行のモチベーションを上げるような作りにはなっておらず、ゲーム開始直後からもう何をすればいいのかサッパリわからない。概要を聞いた時点でソリが合わないと感じた人は、実際本当に、全く合わない可能性が高い。
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ちなみにPC版では「禁断のヒントブック」という本が付属。が、本書ではEDまでの道のりが紹介されてしまっているので基本的には詰まった人の為の救済策と見ても良い。
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マップ表示機能が無いので、慣れるまでは謎解き以前に頻繁に迷子になる。ただしこれは実際に島を捜索している気分にさせ、世界の様子を頭の中で組み立てて想像する楽しみがあるとも言える。
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グラフィックは静止画と部分動画を組み合わせて描かれているが、静止画が美しいのに比べて動画はアラが少し目立つ。
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移植版で十字ボタン操作する場合、カーソルの移動スピードが遅い。
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PCゲーの移植なので仕方ない部分であり家庭用ゲーム機のクリックゲー全般に共通する問題点ではある。特定のボタンと同時押しで高速化などといったオプションがあればよかったのだが…。
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なおSS版・PS版では、周辺機器のマウスが使える。
総評
調べられる箇所を可能な限り調べ、あとは自分で考えるのみ。そんな突き放されたゲームデザインに耐えられるか否かで好みの割れる、しかしよく作りこまれたADVである。美麗なCGで描かれた見知らぬ孤島に自分独りというシチュエーションは、フィーリングが合うならどっぷりハマるだろう。
家庭用移植版ではマウスが使えない分カーソル操作のストレスは上がってしまうが、作品本来の良さは損なわれていない。「ADV好き」でくくられる人種の中でも更に人を選ぶほど不親切でハードルは高いが、やり応えのあるタイプの作品である。
移植版について
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ゲーム内容はほとんど変わらないので、好きな機種でのプレイがしやすい。
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PSP版のみ世界が1つ追加されている(後述の『realMYST』からの追加要素)が、内容的にはオマケ程度。画質が粗い、入力反応が若干遅いなどあるため一長一短。
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2012年にPS版がゲームアーカイブスとして配信され、2013年にはiPhone/iPad版が配信されている。発売はいずれもサンソフト。海外ではDSや3DSでも(追加世界つきで)リリースされている。
続編・余談
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SS版には初期出荷分の本体でプレイした時のみ、ミスト島の発電室に入るとフリーズする不具合がある。
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謎解きの一つに年月日時分を入力するものが存在するが、その一つに阪神淡路大震災が発生する月日時分とぴったり一致するものがある。
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2000年5月に本作のアップデート版にあたる『MYST:Masterpiece Edition』がWindowsとMacにてリリースされている。解像度が640×480固定なのは旧版と変わっていないが、オリジナルの256色描画が1677万色にリマスターされており、レンダリングCGの手直しのほか、サウンド周りもリマスターされている。
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現在はSteamやGOG.comでも配信されているので初代「MYST」をプレイするのであればこちらが手っ取り早い。
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続編は主にPCでリリースされている。『RIVEN: THE SEQUEL TO MYST』『MYST III: EXILE』『MYST IV: REVELATION』『MYST V: End Of Ages』の4作と、三人称視点の外伝『MYST Uru』、完全無料のオンラインゲーム『MYST Online』がある。
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主人公はすべて本作と同じ「主人公=プレイヤー」型。
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このうち家庭用として、『RIVEN』がSS・PSに、『EXILE』がPS2・XBに移植されている。
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2013年にキックスターターにて「『MYSTシリーズ』の精神的後継作を制作する」として資金を調達し、『Obduction』が制作された。
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世界観について
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本作に登場するミスト島などの世界はすべて「特殊な技術で記述したことで、本の中にその記述通りの世界ができたもの」である(この世界のことは「時代(Age)」と呼ばれる)。
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公式攻略本『MYST シークレットブック』では、主人公一人称の物語り仕立てでベストエンディングへの手順が書かれる。このストーリーはプレイヤーが作る無数の物語のうちひとつでしかないが、本作の世界がとても分かりやすいのでファン必携。
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続編ではこの技術を持つ男性アトラス(本作にも登場する)やその関係者と、この技術があった「ドニ文明」にまつわるストーリーが展開される。
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他、本作の前日譚として小説『ミスト アトラスの書』がある。アトラスの少年期や、ドニ文明について、時代の記述の仕方などが描かれている。内容自体は『アトラスの書』のみでも一応完結しているが、本来は『アナの書』『ドニの書』という続編があり三部作のような形になっている。残念ながら『アトラスの書』は絶版で、それ以外は日本語訳されていない。
realMYST
【りあるみすと】
ジャンル
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ミステリーアドベンチャー
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対応機種
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Windows 95/98/Me/2000
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発売元
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エレクトロニック・アーツ
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開発元
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Cyan
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発売日
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2000年12月23日
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定価
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6,980円
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判定
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良作
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完全3Dグラフィックスでリメイクした作品。グラフィックが格段に向上し、サウンドやムービーも一新。矢印キー・マウスホールドで移動が出来、視点も360度変える事が可能となり、操作性はかなり快適になっている。
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元々評価の高かったグラフィックは今見ても違和感の無いレベルであり、FPS視点でマップを動き回る事が出来る事も相まって独特な寂寥感溢れる世界に圧倒される。
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その後、2014年2月にはUnity4で再度リメイクされた『realMYST:Masterpiece Edition』がSteamとGOG.comにて配信が開始された。
最終更新:2024年12月04日 06:27