本項ではDC用ソフト『サンライズ英雄譚』と、PS2の移植版である『サンライズ英雄譚R』の両方を紹介します。(判定は共になし)
サンライズ英雄譚
【さんらいずえいゆうたん】
ジャンル
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対戦RPG
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対応機種
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ドリームキャスト
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発売元
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サンライズインタラクティブ
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発売日
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1999年12月2日
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定価
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7,140円
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判定
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なし
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ポイント
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『スパロボシリーズ』とは違うクロスオーバー作品 中心的存在『機甲世紀Gブレイカー』は本作オリジナル
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サンライズ英雄譚シリーズ
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概要
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多数のサンライズ作品がクロスオーバーするシリーズの1作目。
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本作のオリジナル作品『機甲世紀Gブレイカー』が中心的存在として一連の作品群を結び付ける役割を担っており、ゲーム内の世界観もこの作品の設定に準じている。
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参戦作品一覧
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機甲武装Gブレイカー
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機動戦士ガンダム
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新機動戦記ガンダムW
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戦闘メカ ザブングル
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聖戦士ダンバイン
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New Story of Aura Battler DUNBINE
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重戦機エルガイム
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太陽の牙ダグラム
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装甲騎兵ボトムズ
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機甲界ガリアン
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蒼き流星SPTレイズナー
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機甲戦記ドラグナー
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銀河漂流バイファム
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巨神(ジャイアント)ゴーグ
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勇者王ガオガイガー
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ストーリー
広大な雲海に覆われた惑星サンライズ。
雲海はクラウドストリームという進入する全てのものを焼き尽くす性質を持つ為、長らく大陸同士の交流は阻まれていた。しかし、クラウディア大陸が長年の苦心の末にクラウドストームを突破可能なクラウドシップを完成させたことにより、今まさに道が開かれようとしていた。
そんな時、遠く離れた大陸に巨大な光の柱が出現し、中から現れた人型機動兵器の軍勢によってクラウディアの各都市は戦火に包まれてしまう。
雲海調査隊として出発を直前に控えていたクラウドシップ・アスタンテは、かろうじてクラウディアを脱出。途中で助けた記憶喪失の少女と共に、次なる大陸を目指して旅立つのであった。
特徴
システム
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惑星サンライズは物質を燃やし尽くす性質を持つ雲海に覆われているという設定の為、大陸間を航行する際は常に母艦の耐久力が減り続けることになる。耐久力がゼロになると即ゲームオーバー。大陸内に入ると耐久力は自動的に回復する。
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各大陸はガンダム・ダンバインなどそれぞれの世界となっている。ガンダムのア・バオア・クーなども大陸を構成する島のひとつである。
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各大陸に点在する街の『空港』では部隊編成の他、艦載機や艦載装備を買うことができる。
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基本はRPGだが、その戦闘は対戦型トレーディングカードゲームになっている。
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敵部隊に遭遇すると戦闘が発生、艦載機や艦載装備を駆使して敵部隊の母艦を沈めれば勝ちというものである。相手はCPUオンリーで、こちらは後出しジャンケンができる。
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艦載機の性能やパイロットの能力はどれも一長一短であり、優秀であればコストが相応に高く出せるまで時間がかかったりするので、全ての面においての最強は存在しない。
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攻撃力・耐久力が高い艦載機は戦闘の早期決着を狙えるが、その分出撃コストが高く次の出撃までの間隔が開いてしまう為、その隙を突かれてこちらの母艦が一方的に攻撃されてしまうことがある。逆に攻撃力・耐久力が低い艦載機は出撃コストも低く物量作戦を展開できるが、敵部隊の母艦に辿り着く前にやられたり、辿り着けても母艦に与えるダメージが少なかったりで大抵戦闘が長引く。
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また、『飛行』『対空』『貫通』といった特殊能力が各艦載機やパイロットに割り当てられており、より一層の個性化が図られている
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例えば主人公の専用機『インパルス7』は『飛行』を持ち、敵機が『飛行』『対空』を持っていなければこれを無視して敵母艦を一方的に攻撃できる。これに相手より先に攻撃できる『先制』を持つパイロットを乗せて飛行同士でも勝てるようにしたり、敵を撃破できればそのまま母艦を攻撃できる『突破』持ちの方が…など考えどころ。
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つまり戦闘で勝利する為には、敵部隊に対して有利になるような部隊編成を常に考えなければならない(母艦の搭載容量には制限があるので、この点にも気を配る必要がある)。この事実を示すように、パイロットには成長要素が一切存在しない。一部の艦載機はより強力な機体に改造できるが、その為に必要なアイテムはレア度が高いのであまりアテにならない。
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母艦もエネルギー最大量が多い速攻型や、敵母艦を直接攻撃する砲撃が強いタイプなど様々。当然だがそれによって重視する戦術が変わるので、それに合わせた編成が必須となる。
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一部ユニット(主人公機など)は、必殺技が使える。攻撃力や特性が更にアップするが、エネルギーチャージ=ターンが必須。
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とにかく仲間が多く、悪役であったキャラクターもお構いなしにどんどん加入して来る。
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例を挙げると「機動戦士ガンダム」からは、シャアを始め黒い三連星やランバ・ラル、果てにはキシリアが味方になる
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さらには名前も無い一般兵すら仲間に加わる、その中には見せ場すらあったりと脇役が愛されているゲームでもある。
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敵側の機体も沢山加入する。例えばガンダムからは、ガンダム、ホワイトベースだけでなく、ドム、量産型ゲルググ、グワジンも使用可能。
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これらも対戦型TCGよろしく、仲間収集とそれによるバリエーション向上・組み合わせの増大という楽しみとなる。
オリジナル要素
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ガンダムやダンバインなどの主役メカをモチーフにしたオリジナルメカが登場。作中では、それぞれの元の機体とGブレイカーの空戦用機体の技術を掛け合わせて造られた後継機という位置付けである。
評価点
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艦載機攻撃時にカットインで挿入されるCGは3Dで描かれており、迫力がある。バリエーションがワンパターンなので慣れてくると鬱陶しく感じてしまうが、オプションでOFFにできるしいつでもボタンでスキップできるので問題は無い。
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松本梨香が歌うOPテーマ:[GET A DREAM]及びOPムービー。ムービー内は機体のSEまであるという凝りよう。
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機体・パイロットの多さと再現・住み分けの両立
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前述の通り使える機体・パイロットが多い。そうなると、どうにも全く使えないとかこの面子で安定、ということが起こりやすいのだが、このゲームではほぼ無い。主人公機は消費ENが多いが強力な攻撃力&様々な特性があり、敵を撃破したり敵母艦を叩くのに向く。ザコ機体は弱いが消費ENが少なく、足止めや時間稼ぎ、ひいてはENを溜めるのに向く。ボトムズのATは消費ENが低くHPは無いが攻撃力が高く、相打ち狙いや先制付与が強い。ならばATにはHPの高いユニットで耐えてしまえば…などなど、特性・HP・組み合わせ・相性などにより、再現と住み分けが両立できているため。
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スパロボ参戦どころか、ゲーム登場自体がほとんど無い、ガリアン、ゴーグ、ダグラム、バイファムなどが使える。
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相手はCPUのみであり、底は浅いが気楽に楽しめる。
問題点
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部隊編成に心を砕くことこそ本作の肝と言えるが、慣れてくると単なる面倒な作業と化してしまう。
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仲間に出来るキャラの多さに反して一つの部隊に組み込める人数はかなり少ない。
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部隊編成の内容はテンプレートとして複数保存しておくことができるが、戦闘時に切り替えが出来ないなど使い勝手が悪い(街の『空港』でしか出来ない)。
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システムの性質上、(特に敵部隊に対してこちらの部隊編成の相性が悪いと)戦闘が長引く。これが固定のシナリオをクリアしていくタイプのSLGならいいのだが、連続で戦闘が発生することもあるRPGでは正直言ってキツい。戦闘は開始時にパスすることもできるが、奇襲をかけられた場合は不可能。その場合、降参して戦闘を即時終了することもできる。即ゲームオーバーだが。
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キャラクターのグラフィックに、原作アニメの雰囲気からかけ離れているものがある。基準は人それぞれだろうが、原作アニメを見慣れている者からすると違和感を感じてしまうだろう。
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シナリオが前半はともかく、後半の英雄譚モードになると、グランガランに報告→ここに何か起きたから行ってきて→行ってくる→グランガランに(ry、のため作業にしか感じなくなる。
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これもいつまでも対CPU戦ができるように、ということであるのだが、それにしてもバリエーションが無い。
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属性で相性があるが「飛・格」が強い。”格闘”は相手の属性を無効化する(自分側も放棄する)が、”飛行”の苦手な”対空”をも無効化するため、全てに五分以上に戦えてしまう。攻撃でも強いが、防衛に使えば”突破”・”飛行”・”先制”も、それに”格闘”が付いても確実に足止めできる。「格無効」の特性がなければ突破もできないし、それが可能な組み合わせは限られており更に高コストになりがち。低コストの飛・格で足止めされると更に戦闘が長引いてしまう。
総評
様々なロボット作品が一同に参じてバトルする、と言われるとスパロボが有名どころだが、その追従をせず対戦型トレーティングカードゲームのシステムに落とし込んだことは評価できる。
特に多数の敵側パイロット・機体やザコ兵士まで自軍で扱えるのは斬新といえる。
バトルシステムも重大な問題は無い。それだけに、もっと丁寧に練り込んでおけば、というところが惜しいゲームである。
余談
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本作の一部のキャラクターと機体が『スーパーロボット大戦α for Dreamcast』にゲスト出演している。登場人物は3人(メインパイロットは2人)のみで敵対勢力等は現れないため、出番は会話シーンにちょくちょく絡む程度で「いるだけ」感が強い。
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後付けで加えたので仕方ないと言えば仕方ないが、ガンダムのカーディアル、ダンバインのガルストームが追加されるというファンサービスもある。
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参戦機体のクラウドセイバーは一級で使えるため、レギュラーに入れる。ガーディアルもガンダム系にしては硬くてスロットが多かったり、ガルストームはパイロット数の割に一級機体が足りないダンバイン勢の枠が1機増えたりなど、使い勝手もなかなかだが無理に使う必要はない。合体攻撃できないし。
サンライズ英雄譚R
【さんらいずえいゆうたんあーる】
ジャンル
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対戦RPG
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対応機種
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プレイステーション2
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発売元
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サンライズインタラクティブ
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発売日
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2000年11月22日
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定価
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8,190円
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判定
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なし
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ポイント
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まさかの非ロボットアニメの追加
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概要(R)
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『サンライズ英雄譚』(以下、DC版)の追加移植作。
追加要素・評価点(R)
非ロボットアニメも含めた新たなサンライズ作品の追加
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追加作品は『カウボーイビバップ』『獣戦士ガルキーバ』『新世紀GPXサイバーフォーミュラ』『絶対無敵ライジンオー』『ママは小学4年生』『勇者王ガオガイガーFINAL』『勇者指令ダグオン』『鎧伝サムライトルーパー』の8作品。
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このうち(巨大)ロボットアニメと言えるのは『ライジンオー』『ガオガイガーFINAL』『ダグオン』の3作品のみで、残りの5作品はロボットアニメではない。
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また『ダグオン』は原作アニメで戦闘ロボットが登場するにもかかわらず、本作には出てこない為、本作の戦闘には参戦していない。『カウボーイビバップ』も巨大ロボットではないものの戦闘メカは登場しているのだが同様に戦闘非参戦。これらの作品のキャラクターは完全なAVGパート要員である。
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戦闘要素はあるが戦闘メカが登場しない『ガルキーバ』と『サムライトルーパー』、SF要素はあるものの戦闘要素すらない『サイバーフォーミュラ』と『ママ4』もやはりAVGパート要員である。アスラーダが先陣を切って敵に突っ込んでいったり、みらいちゃんが巨大ロボ相手に大立ち回りを演じたりすることはない(笑)。
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戦闘非参戦追加作品のAVGは概ね好評。
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AVG日常パートオンリーということに関する不満はなくはないものの、AVGの出来はいい。
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サンライズ唯一の女児向けアニメ(当時)の参加ということでネタにされがちな『ママ4』もAVGは好評。
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マリアやサムライトルーパー勢との交流や、ブライトが「みらいちゃん」をミライ・ヤシマと勘違いするシーンなど見所は多い。
その他
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ストーリーがDC版からアレンジされた。
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キャラクターの台詞に音声が付いた。
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戦闘時だけでなくAVGでも音声が追加されており、ほぼフルボイスとなった。
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DC版に登場したオリジナルメカが引き続き登場。DC版の機体の配色が元のメカと異なっていたのに対し、本作では忠実になっている(ガンダムが元になっているカーディアルは、DC版はオレンジを基調とした配色だが、本作のはガンダムと同じトリコロールカラー)。またDC版の方も本作のとは別の機体という形で引き続き登場している。
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OPテーマはDC版と同じだが、ムービーはゲーム中のムービーや絵の継ぎ接ぎではあるものの新たに作り直されている。
問題点(R)
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戦闘要素のある追加作品の戦闘要素カットについて
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戦闘要素の全くない作品はまだしも、戦闘要素のある作品がAVGの日常パートオンリーでの参加になってしまっているのは不満の声も少なくはない。
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特に『ダグオン』はロボットアニメであるにもかかわらず戦闘非参戦なのは残念なところ。
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等身大ヒーロー要素のある作品は本作では「変身能力を失っている」という設定になっている。そのため、本編のルネのようにAVGで戦うというシーンも残念ながら存在していない。
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ボイスについて
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止むを得ないことではあるが、一部キャラクターの声優は引退等の理由で代役となっている。代役の声を受け入れられるかはプレイヤーの好みが分かれる。
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また声優変更はないものの、一部キャラクターのボイスは原作当時と大きく雰囲気が変わってしまっているものもある。
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AVGは概ねフルボイスだが、一部AVGはボイス無しとなっている。
総評(R)
DC版から基礎部分の変更は良くも悪くも大きくはないものの、ボイスの追加など順当にパワーアップした移植作品。
まさかの非ロボットアニメの追加には大いに驚かされることになった。
DC版同様まだまだ荒削りな部分はあるものの「非ロボットアニメも含めたサンライズ作品のクロスオーバー」という新たな要素を加えたことで、スパロボとの差別化をより明確にすることに成功した。
今からプレイするならこちらをオススメする。
最終更新:2022年01月24日 21:18