【うぃっちゃーすりー わいるどはんと】
ジャンル | アクションRPG | ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() |
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対応機種 |
プレイステーション4 Xbox One Windows Nintendo Switch |
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発売元 | 国内パッケージ版 | スパイク・チュンソフト | |
国内ダウンロード版 | CD PROJEKT RED | ||
北米 | Warner Bros. Interactive Entertainment | ||
西欧/豪州/NZ/韓国 | BANDAI NAMCO Entertainment | ||
Windows(海外) | CD PROJEKT Red | ||
開発元 | CD PROJEKT RED | ||
発売日 | 通常版(PS4/One/Win) | ||
海外 | 2015年5月19日 | ||
国内 | 2015年5月21日 | ||
GOTY(PS4/One/Win) | |||
海外 | 2016年8月30日 | ||
国内 | 2016年9月1日 | ||
Complete Edition(Switch) | |||
海外 | 2019年10月15日 | ||
国内 | 2019年10月17日 | ||
通常版(Switch) | |||
国内 | 2021年1月28日 | ||
定価 | パッケージ版 | 8,200円(税別) | |
ダウンロード版 | 7,380円(税別) | ||
Steam配信版 | 6,080円(税8%込) | ||
GOG.com配信版 | $49.99(*1) | ||
GOTY版 | 6,400円(税別) | ||
Complete Edition | 6,480円(税別) | ||
Switch通常版 | 5,588円(税10%込) | ||
レーティング | CERO:Z(18才以上のみ対象) | ||
備考 | 同一ハードでも通常版とGOTY版のトロフィー/実績は別 | ||
判定 | 良作 | ||
ポイント | 全てのRPGを凌駕した傑作アクションRPG |
全てのRPGを凌駕する
ポーランドのファンタジー小説『Wiedźmin』を原作にしたRPG『The Witcher』シリーズ3部作の最終作にして、小説から続くゲラルトの最後の物語。
中世ヨーロッパ風のオーソドックスな剣と魔法の世界を舞台にしたゲームだが、重厚かつ濃密に構築された設定が特徴的。
プレイヤーが操る主人公「リヴィアのゲラルト」はこの世界において魔物退治の専門家とされる "ウィッチャー" の1人である。
広大な世界を魔物を狩りながら旅しつつ、自らの人生の目的を達成していく。
ストーリー、フィールド、キャラクターといった各要素の高い完成度が世界中のプレイヤーを魅了し、「The Game Awards」及び「Game Developers Choice Awards」にて2015年 Game of the Yearを受賞するなど、非常に高い評価を得た。
ウィッチャー
ウィッチャー達の間では死亡したと考えられていたリヴィアのゲラルトが、ワイルドハントと呼ばれる亡霊の軍勢に追われ、ウィッチャーの仲間たちの元に突然の帰還を果たした。
だが彼は、それまでの記憶をすべて失っていた。
ウィッチャーは政治的に中立の立場を取るのが常道だが、運命はゲラルトを犯罪者たちの構想や国家転覆計画、そして王たちの陰謀へと引き込んでいった。
ゲラルトは、北方諸国の一角をなすテメリア王国のフォルテスト王を暗殺から救う。
Win版のみの発売、日本語訳も有志によるMODのみ。
ウィッチャー2 王の暗殺者
フォルテスト王は別の暗殺者によって命を奪われ、その罪を着せられたゲラルトは逃亡を余儀なくされた。
テメリア国王暗殺の黒幕は、北方侵略を目論む南の大国ニルフガード帝国だった。
帝国は秘密裏に蛇流派のウィッチャーを雇い、北方諸国の王を次々と亡き者にしていたのである。
ゲラルトはついに記憶を取り戻し、王殺しの疑いも晴らして名誉を取り戻すことに成功する。
Win版の他に360でも発売され、公式でも日本語対応がされた。
『3』とは若干訳が異なり、吹き替えもされていない。
ウィッチャー3 ワイルドハント
北方諸国は政治的混乱と非人間族の反乱によって疲弊しきり、ニルフガード帝国の侵略に抵抗できる状態ではなくなっていた。
一方、ゲラルトが取り戻した記憶の中には、かつての恋人イェネファーのことも含まれていた。
政争からようやく解放された彼は、愛する者たちの捜索を始める。本作の物語はここから始まる。
ウィッチャーシリーズの世界 |
本シリーズの舞台となる世界を遠い昔に支配していたのはドワーフ等の非人間族であったが、23世紀前に別の異世界からやってきたエルフ達(アイン・シーデ)が世界各地の王国や文明の開祖となった。
15世紀前に「天体の合」と呼ばれる魔法の大変動により魔法や怪物、そして人間たちがもたらされた。
当初は "難民" でしかなかった人間だが、生き抜くために戦い続け、500年前から現在まではすでに "難民" ではなく "征服者" と言えるほどに勢力を増し、非人間族は差別と弾圧の対象となるようになった。
文明レベルは中世(*2)から近世ヨーロッパのごちゃまぜであるが、株取引が行われていることや、錬金術の発達、細菌や遺伝子の知識が人々にあることに加え、病気が細菌性であることも判明しているなど部分的には17-19世紀の水準にあるとみてよい。
ウィッチャーは人間たちが怪物や魔物の脅威に対抗するため、人間に魔法と人工的な変異を施して生み出された存在であり、超人的な能力や耐性を身に着けた怪物退治のスペシャリストである。2本の剣と猫のように変異した瞳が特徴。
ただしその生業や風貌から非人間族と同様の迫害を受けてきた存在であり、ゲーム内でもそのことを嫌というほど認識できる。
前2作で国家間の陰謀に巻き込まれたゲラルトだが、本作でもその情勢がゲラルトの冒険に及ぼす影響は大きい。
テメリアを滅ぼし勢いにのる南のニルフガード帝国と、北方を併呑し搦め手で対抗するレダニア王国の2大国の対立が主となる。
特にレダニア王国の推し進める魔女狩り政策は、ゲラルトの友人たちにとっても大きな脅威となっている。
「異世界」「天体の合」「非人間族」「魔法」「戦争」「宗教」「迫害」などが本作の背景を知る上での重要なキーワードとなる。
+ | 主要な登場人物 |
クエストの種類 |
多くのオープンワールドRPGと同様に、本作も様々なNPCからクエストを受注・達成することでストーリーを進めたり、装備やアイテムに必要な資金を稼いだりできる。
クエストはストーリーの流れに沿って自動的に進行していく「メインクエスト」と、自由に攻略できるサブクエスト類(サイドクエスト・依頼・トレジャーハンド)に大分できる。
メインクエストだけでも相当なボリュームでなおかつ筋の通った大河ドラマになっており、サブクエスト類を一切プレイしなくてもいわゆる「ごく普通のJRPG」のように楽しめるのが特徴。
本作ではクエスト達成による経験値が多く、怪物等の戦闘ではあまり経験値は得られない。
そのためクエストをクリアしていけばどんどんレベルアップしていく。
ただし、クエストに表示されているレベル以上だと得られる経験値は少なくなる。
レベルアップすれば装備できるスキル数が上がったり、より性能のいい武器・防具を装備したり入手できたりする。
クエストには以下の4種類があり、それぞれ特徴がある。
+ | クエストの種類 |
ウィッチャーの戦闘・戦術 |
ウィッチャーは怪物と有利に戦うために様々な手段を習得しており、プレイヤーもそれらを用いて怪物に挑むのが基本となる。
各怪物に有効な手段が定められており、評価点にて後述する「大事典」にて確認することができる。
戦闘で使用することになるアイテムは製法を見つけることで素材となるアイテムから制作するクラフトシステムによって入手する。
+ | ウィッチャーの戦闘・戦術 |
ウィッチャーの感覚 |
ウィッチャーの超人的な感覚が可能にする特殊能力。
感覚を研ぎ澄ませることで特定の痕跡(音・におい・足跡・仕掛け・敵等)を捉えることができる。
ゲーム上は重要なアイテムや痕跡が色付きで表示され、視覚的な面で冒険をサポートしてくれる。
使用制限は無い上に用途が幅広く、本作を進める上で欠かせない要素となっている。
スキルと変異誘発剤 |
経験値を積んでレベルアップ→スキル習得という流れは珍しいものではないが、本作のスキル習得はやや特徴的。
スキルは「戦闘」「印」「錬金」の3系統に分かれており、それらは習得しただけでなく装備しないと効果がない。
スキル装備枠はレベルアップとともに増えていくが、スキル装備枠とは別に変異誘発剤装備枠が存在する。
変異誘発剤は主に倒した怪物から手に入る特殊な薬剤であり、これにもスキルと同様に「赤」「青」「緑」の3系統が存在する。
専用のスキル装備表において、同系統のスキルと変異誘発剤が同グループに属するよう適切に装備することで特定のボーナスが得られる。
変異誘発剤はそれ自体を錬金術によって強化することもでき、より高いボーナス効果が得られる。
また、変異誘発剤装備枠には倒した怪物から得られる「(怪物名)の変異誘発剤」を装備することができ、ボーナス効果に加えてさらに特殊な効果を得ることが可能。
第1弾 Hearts of Stone~無情なる心~ |
2015/10/13配信。一部のフィールドマップが拡張され、大型メインクエストと幾つかのサイドクエストが追加。
さらに武器・防具の強化効果を拡張する「ルーン細工師」が登場。その他細かな追加要素多数。
メインクエストは意外な展開の連続。いつもの通り、怪物退治を請け負ったゲラルトだが船で難破したと思ったら次の展開では女性をナンパしているなど、ゲラルトの立場が二転三転する。
本編序盤に登場したある人物がキーマンとして登場。その他、登場人物に関しても過去作のプレイヤーも今作のプレイヤーも驚く人物たちが登場する。
第2弾 Blood and Wine~血塗られた美酒~ |
2016/5/31配信。発売から1年以上経ただけあって、ボリュームたっぷりの超大型アドオン。
フィールドマップがまるごと1つ追加。比較的暗い雰囲気だった本編フィールドと対照的に、「愛とワインの都」と呼ばれる明るく華やかな地を舞台としている。メインクエストを軸にサイドクエストは多数。
アンナ・ヘンリエッタ女公爵の呼び出しに応じて大陸南部のトゥサンへ訪れたゲラルト。未知の怪物による連続殺人事件の調査を依頼されることになる。
依頼を受けた見返りとしてゲラルトに競売にかけられた元貴族の屋敷と使用人が贈られる。屋敷は自宅として利用可能で改修や庭園に花を植えるなどできる。
自宅のベッドなどを利用するとボーナスが得られるなどの恩恵もある。
新たな敵も多数追加され、本編では用途の薄かったアイテムも日の目を見るようになった。
魅力的なキャラクター、スキル構成の拡張、自宅のカスタムなど追加要素は多種多様で豊富。
本編は2015年発売だが、このDLCのみでそれぞれ2016年 Game of the Yearに選出されるほどの出来。
緻密に表現された広大な世界
発見に満ちたフィールド
+ | 各フィールド |
没入感が高くプレイヤー選択で変化する各クエスト
緊張感のある戦闘と柔軟性の高いスキルビルド
+ | 軽いネタバレあり |
魅力的なキャラクター達とそれを支える訳者・声優陣
多彩だがありきたりで無い怪物たち
膨大な情報量を整理できる大事典
冒険を快適にする様々な工夫
総合的な演出面の新鮮さ・丁寧さ
迅速で丁寧なローカライズ
カードゲーム「グウェント」
ローカライズによる表現規制
レベル制限
クエスト
戦闘
アイテムの種類
日本語でアクセス可能な事前資料の少なさ
ダークファンタジー感の強調
万能ミニマップありきのレベルデザイン
メニュー画面を中心にUI全般の使い勝手がかなり悪い
補足:パッチによる大幅修正 |
バグが多い
序盤の難易度が高い
衛兵が強すぎる
やりこみの面倒くささ
移動性能にクセが大きい
3D酔いを引き起こしやすい
グウェントの問題点
設定・ストーリー
その他
本作は単一の要素が突出していたり、際立って革新的であるゲームではない。
しかし、ボリュームと密度と品質を非常に高いレベルで並立し、RPGの諸要素を昇華させ、オープンワールドゲームの次元を引き上げた作品と言って良い。
総合的にはシナリオ・キャラクター・演出・戦闘とほとんどの要素を高い完成度で実現した秀作と言える。
オープンワールド型RPGといえば自由度を売りにするものが多いが、この作品はそれ以上にストーリーを重視しており、少なくともメインクエストの進行だけなら普通のJRPGと変わらないプレイ感覚で楽しめるところは、ライトユーザーに対しても間口が広い。
使い勝手の悪いUIはやや難点といえるが、そこを中心にパッチによる改善が多くなされた現在では言わずもがな。ローカライズ担当企業との連携も抜群で、本作の有する非凡なセンスや新鮮さが存分に味わえる。
ありがちなファンタジー+オープンワールドだと侮ることなかれ、序盤の戦闘で早々に投げることなかれ。
怪物への対抗策を学び、自分の意志で選択し、腰を据えて進めるほどに『ウィッチャー』の世界に魅了されていくはず。
「この次にどんな展開が起こるか」が大きな魅力なので、ネット上の攻略情報などでのネタバレは控え、最大限に堪能したい。
本編シリーズは本作で一応の完結となっているが、既に新シリーズやリメイクが発表されているので、今後のCD Projekt Redの動きに注目したい。
※本節は、特記がない限り2020年5月1日時点での最新版である「パッチ3.6」に基づいている。
2019年10月17日に『ウィッチャー3 ワイルドハント コンプリートエディション』がSwitchにてパッケージ版とダウンロード版で発売された。
基本的な内容は『Game of the Year Edition』準拠にSwitch向けの調整を施したものであり、有料無料を問わず全てのDLCが適用済みである。
また、2021年1月28日にはダウンロード専売で無印版『ウィッチャー3 ワイルドハント』がリリースされた。
こちらはDLCが一切含まれていないもので仮に後から有料DLCが必要になった場合は追加購入で高くついてしまうがコンプリートエディションより価格や保存領域を節約できるので選択肢が追加されたと言える(*7)。
高評価を得たとはいえ、グラフィックが据置機版と比べると非常にピンぼけしていることは問題視されていたが…。
総括すれば、Switch版は名実ともに持ち運べる『ウィッチャー3』となり得ている。
画質低下よりも携帯可能のメリットが上回るとしてプレイヤーに受け入れられ、ハードウェアの限界に挑戦してより多くの人が本作を楽しめるようにしたデベロッパの姿勢は賞賛されている。
もし、そこそこ以上の性能のPCや据置機を持っているのならば、そちらで遊ぶ方が本作をより深く味わえることは否定できない。
何をおいても手軽さや携帯性を重視する人、外出先では携帯機で家ではPCでといったスタイルを選びたい人や、様々な事情で据置機版は未プレイで選択肢がSwitchに限られるが本作に興味があるというようなプレイヤーの場合、本移植版は素晴らしい回答となるだろう。
+ | Switch版とPS4版の比較映像 |
*1 2016年8月30日よりGame of the Year Editionとして配信されている。
*2 単純に「中世ヨーロッパ」といっても、実際には1000年間の長さがある。
*3 『Skyrim』や『Fallout 4』など。ただし、2020年代には同時発売が増えてきている。
*4 ただし、男性キャラクターではあるものの『Ghost of Tsushima』や『龍が如く』シリーズでも全裸で尻を見せるシーンは存在している。
*5 顕著な例をあげると、人物事典に「シリは驚きの子だ」とか書かれるのだが、「驚きの子」が何なのかの説明が全くない。
*6 一般論として欧米と日本人の瞳の色が違い、光を取り込む量が大きく異なるために発生するものである。欧米人にとっては日本人向けの設定だと眩しすぎて白飛びし、逆にこのゲームのように欧米向け設定だと日本人にとっては暗すぎるのである。
*7 ただし、内部的には別ソフト扱いらしく、両方購入することは無意味だがそれが可能になっており、しかもその場合はセーブデータは別枠となる。
*8 少し移動すればマーカーへ伸びるように点線が表示され直される。
*9 サントラは言うに及ばず、PC用の壁紙、デジタルアートブック、コミック、ペーパートイ、作品のメイキング動画など。Game of the Year EditionになってからはDLC関連の特典がさらに追加されている。
*10 ソフトのオンライン認証が不要なゲームのこと。GOG.comは運営当初から「配信作品は全てDRMフリー」を謳っており、現在もその姿勢は崩していない。
*11 『サイバーパンク2077』はもともと上位機種版へのアップグレード込みで販売されたため国内でも無料であることも付記されている。