アイドルマスター マストソングス 赤盤/青盤
【あいどるますたー ますとそんぐす あかばん/あおばん】
ジャンル
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10周年記念ベストアルバム・リズムゲーム
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対応機種
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プレイステーション・ヴィータ
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発売・開発元
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バンダイナムコエンターテインメント
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発売日
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2015年12月10日
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定価
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5,700円(税別)
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レーティング
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CERO:A(全年齢対象)
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判定
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良作
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ポイント
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アイドルマスター10周年記念作品 アイマス特化の『太鼓の達人』 40曲×2本とボリュームに難あり
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アイドルマスターシリーズ
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概要
アイドルマスター10周年記念作品であるリズムアクションゲーム。
ロゴに「Presented by 太鼓の達人」とあるように、ゲームシステムは同シリーズ(特にVバージョン)と同一である。2バージョン同時発売で、各バージョンにはアイドルマスター10年間の楽曲から厳選された異なる40曲が収録されている。
アイドルマスターシリーズの一作品にカウントされているが、逆に太鼓の達人シリーズにはカウントされていない。
特徴
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赤盤ではアーケード版から『SP』までの初期の楽曲、青盤では『2』以降の765プロの楽曲が中心に収録されている。
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例外としては『ディアリースターズ』出典の「HELLO!!」は青盤、10周年ソングの「アイMUSTGO!」は赤盤に収録。
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楽曲だけではなくゲーム内で使われているBGMもMustMixとして収録。
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パッケージを見ても分かる通り、765プロの楽曲が中心であり、外伝作品であるXENOGLOSSIAやソシャゲ関連作品(シンデレラガールズ、ミリオンライブ、SideM)等は入っていない。
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メニューや演奏画面はVバージョンのシステムをそのまま使っているが、ゲージの表示やエフェクト等の演出がAC寄りになっている等細かい改善点が見られる。
アイマスならではの特徴
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アイマス要素としてファンを集めてランクを上げるは勿論、衣装や音色等の隠し要素はショップでマニーを使って購入出来る。
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アイドル達の音色(各アイドルによる「ドン」「カッ」を始めとしたボイス)も複数存在している。
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演奏画面などは太鼓の達人そのものだが、踊り子部分の下画面ではサイリウムを持った観客が居る。
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サイリウムは演奏中下画面タッチかスティックで切り替えが出来、選曲画面でもUO(ウルトラオレンジ)以外は予め設定が可能。
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ライブの雰囲気の再現のためにだけ存在しているためサイリウムによるスコア変動は一切無く、獲得ファン等にボーナスが加わる程度なので無理に使う必要は無い。
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その他、演奏モードの名前が演奏プロデュースになっていたりする。
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一部の楽曲ではソロやユニット等の別歌唱バージョンもある。
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ただし赤盤では10曲、青盤では3曲とかなり差がある。
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本作の目玉である「ライブフェスティバル」ではマニーを消費し最大5曲の楽曲をメドレー形式で演奏する。アイドル達が掛け声を掛けたり、曲の合間にライブトークをしたりと実際のライブの雰囲気を味わえる。
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中には実際に行われたライブやアニメを思い浮かばせる構成の物もある。
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通常の演奏と同じく記録が残り、演奏オプションも真打と強制終了系以外使用可能。
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お馴染みの着せ替えではアイドルをモチーフにした着せ替えを設定すると、どんちゃんにアイドルの魂が宿りボイスがアイドル達の声に変わる。
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やり込み要素としてプロデューサーノートで従来のスタンプ帳に加えて、メッセージが追加され特定条件を満たす事でアイドルからのメッセージが届く。
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スタンプ帳の達成数に応じてプロデューサーランクが上がり、ショップのラインナップが増えていく。
評価点
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厳選された楽曲は好評で過去作で収録された全ての765プロの曲やCDのみだった曲も収録されている。
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通常のアイドルの他にも特定の楽曲では765プロからのユニットとしてプロジェクトフェアリー(発足は961プロ)や竜宮小町、事務員である音無小鳥、箱マスに登場した髪を切った美希(通称:覚醒美希)、961プロのジュピターや玲音、876プロのDearly Starsも踊り子として登場。
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今作で初めてゲーム使用曲として採用された曲もある。これは今まで育成メインのゲームとは違い全キャラ分の歌を収録する必要がなくなったため。
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忠実に再現されたライブの演出。
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アイドルの掛け声やトークは勿論だが何と言っても観客の動き。
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各曲に合わせて動き、PPPHだけでなくタオルを振り回す動きも再現。
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「乙女よ大志を抱け!!」や「START!!」、「YOU往MY進!」は一見の価値あり。
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太鼓とアイマス要素のバランスが取れている。
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中には懐かしいとも思えるアイマス要素も取り込まれている。
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難しい以下の譜面は主にコール譜面だが、鬼譜面はしっかり手応えのある譜面になっており、変更は極一部の譜面に音符が追加された程度。
賛否両論点
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これまでの歴代太鼓シリーズに収録された曲、つまり完全新規ではない再録曲の数が青盤12曲に対して赤盤14曲。これだけ見ればほとんど差はないが、このうち青盤の2曲については家庭用機初移植である点に留意する必要がある。(他の楽曲はこれまでに発売された何れかの家庭用太鼓の達人シリーズでプレイ可能)また、青盤の再録曲は有料DLコンテンツとして配信された楽曲も多いが、赤盤の再録曲は全て収録されているバージョンにデフォルトで収録されている。
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これに加えて、各バージョン6譜面ずつある裏譜面についても青盤は全て新規譜面なのに対して赤盤は5譜面が再録楽曲の旧譜面で、新規譜面は1つしかない。
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ただし、赤盤再録曲のほとんどはPS2時代などかなり古い時代に収録されていたものも多く、近年から入ったプレイヤーにとっては嬉しい部分でもある。赤盤にはアイマス10周年の前半部分の楽曲が集中しているので当たり前の話ではあるのだが。
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青盤の方が鬼譜面の難易度が高い
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最高難度の鬼★10はどちらにも存在するが、全体的に★7、★8の中難易度曲が中心で、近年のシリーズで見れば難易度は控えめ。
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ただし赤盤の収録曲は全体的に逆詐称曲(表記難易度よりも簡単に感じる譜面)は多い上に、一般に高難易度とされる★9以上の譜面が青版7譜面に対し、赤版は5譜面しかない。
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★10楽曲については青盤は3譜面あるのに対し、赤盤は1譜面しかない。それも★10としては弱めな楽曲である。
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もちろん難易度の高さが全てではなく、難しければ良いという話ではないが、音楽ゲームの要素が入っている以上難易度の問題についての議論は避けられず、特に上級者のための譜面である鬼譜面については高難易度譜面のやり込みを求めるユーザーが多いのも事実である。
問題点
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近年の太鼓作品としてはボリュームが薄い。
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このゲーム最大の問題点。同じVITAで数か月前に発売されたVバージョンで86曲収録なのに対し、こちらは各バージョンは40曲と半分以下である。
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ゲームモード自体は両作品で全く同じで、異なる点は収録楽曲とライブのセットリストの違い、一部着せ替えなどが片方のバージョンでしか手に入れられないなどの差異しかなく、分ける必要性はほぼない。
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むしろ曲がバラけてしまっているのでやりたい曲が違うバージョンにある場合はわざわざ起動し直す必要が出てしまい、定価を倍にしても一つのバージョンでまとめて欲しかったという意見もある。
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収録曲数だけを見れば10年程前に発売されたシリーズ黎明期のPS2版と同程度のボリュームである。後述するが、近年の作品では当たり前のようにあるDLCが一切ないのもボリュームの無さに拍車をかけている(DLCは有料のものも多いが、無料の楽曲もあるため純粋なボリューム増加の要素である)。
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そもそも自社ゲームの楽曲のみを収録している関係上、通常作品と違って版権曲にかかる費用はほとんどないにもかかわらず、この1曲あたりのコストの高さは完全にユーザーの足元を見ているとしか思えない。
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ダウンロード版が消費する容量はどちらも400MB弱、双方に共通するデータの量を考慮すると双方まとめても700MB程度と思われる。これで5700円(税抜)×2は「マジで…!?」としか言いようがない。
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また、アケマスや『DS』のような収録抜けの多いゲーム作品の曲が収録されていないことについて悔やむ人も一部存在する。
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専用モード「ライブフェスティバル」の作業感が強い。
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評価点にもあるように一部のライブは細かい部分も再現されており、シリーズファンなら楽しめることは楽しめるのだが、ライブ自体の数がかなり多く、かつ曲数の多いライブでは1プレイに10分以上取られてしまう。
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後述するが一部裏譜面解禁のためにはスタンプ帳をほぼ完成させることが必須であり、そのためにはこのモードを長時間プレイしてプロデューサーランクを上げることを半ば強制されてしまっている。
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また、「THE IDOLM@STER」のようにライブで歌われる頻度の高い、いわゆる看板曲はほとんどの全体ライブのセットリストに入っており、必然的に何度も何度もプレイさせられることになり食傷気味。前述の収録楽曲の少なさがここにも響いてしまっている。
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青版では同曲のリミックスである「THE IDOLM@STER 2nd-mix」が原曲ほどではないもののやはり頻繁に登場する。「約束」のように1つのライブでしか登場しない楽曲もあるなかでかなり差が出てしまっている。
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ただし実際のライブやアニメの名場面を再現するコンせプト上仕方ないと言えば仕方ない部分ではある。
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「ライブフェスティバル」のその他の問題点
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オリジナルコースを作ることができない
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自分の好きな楽曲だけを固めてライブ演出をする楽しみ方をすることができない。
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過去作品の太鼓の達人シリーズでは、似たようなモードでオリジナルコースを作ることが可能だった。コレクターアイテム的要素の強い本作でこそ欲しい機能であり、残念な点と言える。
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ライブフェスティバルでのトークは一部に声がある程度でフルボイスではない
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ボイスの種類もかなり少なく、ライブフェスティバルモードでどのライブを選んでもほとんど同じボイスしか流れない。上述の作業感がより強くなってしまっている。
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ライブのファン獲得人数にボーナスを与えるペンライトに関する問題点
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各アイドルのイメージカラーのペンライトは一度購入すると消費されず、設定で毎回使うようにすることが出来るが、毎回使い捨てのオレンジのペンライトはライブの1曲ごとにペンライトの項目を開いて使用する必要がある。
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1曲で最大4本まで使用できるが、ゲーム内通貨であるマニーの入手量に対して単価が安く、ファン人数関連のスタンプ帳の項目もあるため基本的には毎回4本使うことになる。その度に使用画面を開いてオレンジのペンライトを4回タッチしなければならず、かなり面倒。
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また、ペンライトを使用できるタイミングは基本的に前の曲の終了時から曲開始時の僅かな間しかなく、途中でトークがない楽曲についてはのんびりしているとペンライトを光らせる前に曲が始まってしまうこともしばしば。(曲の演奏中はいつでも点灯させられるが、特に高難易度の曲ではそのような暇はほとんど無い)
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また使い捨てペンライトは最大で99本しか持てず、数回ライブを終えるごとにいちいちショップに行って買い直す手間がかかる。
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ペンライトの操作画面は画面をタッチすることで開くことが出来るが、一回のタッチで開いてしまう為、演奏中に手が擦れただけで開いてしまい、気が散ることも多い。これはライブフェスティバルモードのみならず演奏モードでも同じ。
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両バージョン共通で利用できる隠し要素(着せ替え、音色)のうち、キャラクター関係のものは解禁自体はそれぞれのバージョンで固有である。
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数量自体も少なく、各バージョン固有なのは衣装/音色ともに各13個×2セット(それぞれ1セットずつ各バージョンに割り当てられている)。
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着せ替えの色は着せ替えと別々に設定出来ず固定されている。
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赤盤限定の水着衣装では肌の色は普通なのに、青盤限定のライブ衣装では何故か肌の色がそのキャラクターのイメージカラーと同じになる。(春香なら赤、千早なら青など)
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実際のところは顔や肌の色が肌色になるのは水着(赤盤限定)のみで、それ以外の衣装ではそのキャラクターのイメージカラーとなる(胴は着るものの関係で他の色になるものもある)。
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顔や肌の色が無茶苦茶な色になるのは気持ち悪いという意見もあり、自由に設定できた過去作と比べると明らかに劣化している。
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裏譜面の解禁条件がやや面倒。
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最終的にスタンプ帳を85個埋めなければ全てショップに揃わない。その為にはライブモードをある程度やり込むことを強制される。
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プロデューサーノート(スタンプ帳およびメッセージ)について。
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スタンプの条件に一部わかりづらいものがある。特に「キラキラアイドル13」。
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殆どの項目は基本的には下位の目標を達成すると回数などの面で1段階上の物が出現する形であり、そういったものについては項目名がヒントとなるので分かりやすい(必要回数が伏せられている場合はある)。
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しかしトロフィーにもなっている「キラキラアイドル13」の条件は「765プロのアイドルたちをコンサートライトでたくさん応援した(赤盤・青盤合計)」とされているが、正確な回数や条件が不明で、ひたすらコンサートライトをつけまくってプレイしたらいつの間にかクリアした、という事例が多かった。
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スタンプ帳にファン獲得人数5億人を条件とする「アイドル・オブ・ジアース」があるが、両バージョンのライブを一通りやっても約2億人程にしかならず、到達にはかなり時間が掛かる。
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もっとも全て達成しなくても隠し要素は全て解禁可能なため、最後のやり込み要素の一つ程度のものではある。
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メッセージは条件を満たすまで枠すら出現せず完全にノーヒント。
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演奏プロデュースやライブのクリア回数はまだわかりやすい部類だが、「レッスンルームでたたけた率100%」「亜美が登場する曲を3回以上ばいそくでクリア」「真美が登場する曲を3回以上あべこべでクリア」など見つけづらいものもある。
中には「100万マニー以上を所持」という途方もないものもある。
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Vバージョンと同じでVitaTV、タッチ演奏は非対応。
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VバージョンではDLCによる楽曲の追加配信があったが、本作はDLCの類は一切なし。
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両バージョンで80曲とは言えど、収録から漏れた曲もまだまだあるためDLCでの補完が欲しいとの声も多かった。
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先述の某バカゲーのように「一方のDLCとしてもう一方の40曲」でもいいのではないかという説も。
総評
単に「アイマスの曲だけを入れた太鼓の達人」に留まらない10年間の思い出が詰まった作品。
単に曲を楽しみたいアイマスファンは勿論、手応えのある譜面を楽しみたいドンだーにもオススメ出来るアイマス10周年に相応しい作品だろう。
ただアイマスに興味がない純粋な太鼓ファンが楽しむには、ボリュームの少なさや難易度の低さといったネックをよく検討する必要がある。
余談
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発売直前に公式サイトで行われていたカウントダウンで、後8日の時に公式が見事に「菊池真」と誤植をやらかしてしまっている。
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パッケージ真ん中の黒い衣装の子が被害者(正しくは「菊地真」)である。
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本作の発売記念として13曲のMVがVitaで見られるアプリ「アイドルマスター ミュージッククリップス」が期間限定で配信されていた。
ただしMVの内容はシャイニーフェスタ及びシャイニーTVの使い回しである。
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余談だが、ミュージッククリップのLiveAreaから本作を購入しようとすると販売終了扱いされる問題が発売1週間後の時点で発生していた。
PS Storeの本作のエントリは両バージョンをまとめたフォルダであるため、そこに飛ばすよう変更できないのだろうか…
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ちなみにゲーム自体のLiveAreaにある他方を購入するリンクは2019年現在も正常に機能している。
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両バージョンともに初回特典およびDL版早期購入特典としてPS Vita用のテーマが付属していたが、DL版ではさらに両バージョン早期購入特典として歴代キービジュアル(「ONE FOR ALL」まで)を収録したテーマが用意された。
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「2」は360版とPS3版の双方を収録しているが、アーケード版のビジュアルは収録されていない。
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PSPやPS3作品のキービジュアルは全体に表示されるのに対し、Xbox 360やDSの作品は左半分にPROJECT iM@Sのロゴ+右半分にキービジュアルという形となっている。
ただし同じPSP作品でも、「SP」は背景をきちんと統一しているのに対し、「シャイニーフェスタ」は単に3バージョンそれぞれのパッケージイラストを並べただけとなっている。
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スタート画面に指定できるのはXbox 360版キービジュアルのみ。
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赤盤でMust Mixになっているのは「てってってー」の愛称でも有名なBGM「Town」だが、青盤のMust Mix曲である「Thinking」でも終盤「てってってー」のコーラスが入る。
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「約束」かんたん譜面のMAXコンボ数は72。千早ソロ曲でこの数値はまさに……
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萩原雪歩のボーカル曲は、アーケードから『SP』時代の物も含めすべて現在の担当声優である浅倉杏美氏の歌唱が収録されている。
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『太鼓の達人』ムラサキVer.で初出、本作青盤にも隠し曲として収録されている楽曲「マジで…!?」は長らく音源化されていなかったが、約5年後に発売された「MASTER ARTIST 4」シリーズでようやく収録されることになった。
最終更新:2023年12月04日 21:38