注意:この記事では『Grand Theft Auto』(良作)と、
その追加パックである『Grand Theft Auto Mission Pack #1: London 1969』『Grand Theft Auto Mission Pack #2: London 1961』(いずれも判定なし)を扱う。
Grand Theft Auto
【ぐらんど せふと おーと】
ジャンル
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クライムアクション
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対応機種
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Windows プレイステーション ゲームボーイカラー(全GB共通・海外のみ)
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発売元
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北米版:【Win】ASC Games 【PS】Take-Two Interactive 英国版: BMG Interactive 日本版: シスコンエンタテイメント |
開発元
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DMA Design 【GBC】Tarantula Studios
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発売日
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【Win】1997年3月27日 【PS】1998年8月27日
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レーティング
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CERO:Z(18才以上のみ対象)
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配信
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【PS3/PSP】ゲームアーカイブス 2014年4月23日/現在は配信終了
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判定
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良作
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Grand Theft Autoシリーズ
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概要
世界中で大ヒットしているアクションゲームの金字塔である『Grand Theft Auto』シリーズの記念すべき第1作。
タイトルは「自動車窃盗」といった意味を持つ。
今でこそ多くの人が知る作品だが、日本では『III』が発売されるまでは非常にマイナーなものであった。
システム
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『III』以降の三人称視点ではなく『シムシティ』風の見下ろし型2.5D画面。
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ゲームの目的は様々なボスから指示を受けてミッションをこなしていくといったもの。
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ミッションは公衆電話や特定の車に乗ると開始される。
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公衆電話は全て同時にかかっているので、ミッションを始める順番は特に決められていない。
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『III』以降とは違い、ただミッションをこなしていくだけではチャプタークリアにはならない。
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チャプタークリアする条件はミッションをこなしたり犯罪を犯すなどして一定スコアを獲得し、特定の人物に会いにいく事。さらに言えば、スコアさえ貯まれば全ミッションをこなす必要はない。
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ミッションに成功するとボーナスレート(倍率)が上昇し、その分だけスコアが多くもらえるようになる。
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1つのマップは複数のチャプターに分かれており、それぞれクリアする事で次に進むことができる。
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マップの至る所に木箱があり、壊すとアイテムや武器を入手できる。
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武器はピストル・マシンガン・ロケットランチャー・火炎放射器の4種類。
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この他、標準装備として素手で殴る事も可能だが、相手を殺すことは出来ず一時的にダウンさせるに留まる。プレイヤー側も相手の素手攻撃でおだぶつになる事はない。
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アイテムは6種類。3発まで耐えられる「防弾チョッキ」・逮捕されても1回だけ武器とボーナスレートが残る「ブタ箱免除カード」・一定時間移動速度が上昇する「スピードアップ」・手配が全て消える「賄賂」・ボーナスレートが上がる「ボーナスレートアップ」・後述する残機が増える「ボーナスライフ」が存在する。
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残機の概念があり、おだぶつ(Wasted)になると残機が1つ減る。残機が0の時に死ぬとゲームオーバー。
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犯罪を犯すと警察に手配されるようになり、警察に追われる事となる。
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車を盗んだり、車を運転して派手に衝突したり、車で人を轢いたり、殺人を犯すと犯罪のポイントが溜まっていき、ポイントが一定値を超えると指名手配される。
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最大手配レベルは4までで、レベルが高くなる程追跡が厳しくなる。ちなみにマップが進む程手配レベルが上がりやすくなる。
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この内手配レベルが3以上になると道路封鎖をしてくるようになる。
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追跡してくる警察に触れると即逮捕となる。
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逮捕されるとブタ箱行きとなり、犯罪記録が表示される。
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ミッション中に逮捕されてもミッションは失敗にならずそのまま続行される事がある。
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特定の武器を取得したり車に乗ったりすると「メッタ殺し」が始まる。
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時間内に人を殺したり車を破壊したりして目標のポイントを獲得するとクリアとなり、ボーナスポイントやボーナスライフを獲得できる上に手配度がすべて消える。
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ただ、バイスシティの場合クリアした後に時間内に賞品を取りに行かされる。
評価点
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自由度の高さ。
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街をウロついたり、走り回る車を盗んだり、一般人を殺害したり、警察とカーチェイスを繰り広げたり等と、とにかくなんでもアリ。
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種類こそ少ないものの、バイクに乗る事が出来るのも嬉しい。本作以降、こちらが乗る事が出来るバイクは『VC』まで登場しなくなる。
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これ以降のシリーズにはない独自の要素もある。
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「一部の池で主人公についた火を消すことができる」「線路に入ると第三軌条方式のために感電死して灰になる」「一部の遮蔽物を火炎放射器の炎だけが通過できる」「電車に乗って自爆テロを起こすミッション」etc…。
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たまにオレンジ色の服を着た7人組が歩いていることがあり、それらを一度に殺すと「ナムアミダブツ」というメッセージが大きく示される。
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シリーズお馴染みのカーラジオはもちろん健在。
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テクノ、カントリー、ポップ、ロック、ヒップホップ、ラップ等種類は様々。ただ曲の数は少ないが。
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車種ごとにそれぞれその車にあったカーラジオがかかるようになっている。
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日本語版のローカライズは色々とぶっ飛んでいる。
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『III』でもローカライズが強烈だったが、本作はそれを上回る程の強烈さを誇る。
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「気違い」「バラせ!」「ぶっ殺すぞ」などといった強烈な言葉が普通に出てくる。
こういった雰囲気こそが『GTA』に相応しいと言えるだろう。
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本作のメインテーマ「Joyride」は評価が高い。
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『GTA』らしい暴力性の強い歌詞であり、最後はニューヨーク・ロサンゼルス・サンフランシスコの各市警に喧嘩を売るという極めて過激な内容。歌詞に「Grand Theft Auto」を含むなど本作を代表するにふさわしい楽曲。
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後に『III』のラジオ「Lips 106」に収録された。ただし、歌詞の一部に過激なワード(Fワード)が存在するため、過激な表現は『lips』と『106』の音声で修正をかけている。
問題点
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マップが表示されない。
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目的地が矢印で表示されるだけで、非常にわかりづらく不親切である。
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全体的に複数の島を1本の橋で繋ぐという構造になっているため、矢印に従った結果行き止まりというケースが非常に多い。
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純粋な広さはともかくとして、例えば同じリバティーシティでも『III』系列や『IV』のものと比較しても格段に複雑。なんせ元ネタであるニューヨークの地図を非常に忠実に再現しているのだ。
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何よりもマップを把握する事が攻略上必須となるのだが、前述の不便さ等によりマップ把握の難易度を無闇に上げている感は否めない。
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難易度が高い。
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操作性が良くはなく、特に武器を使った攻撃には苦労させられる。そのため銃撃戦が絡むミッションの難易度がかなり高い。
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こちらは狙いたい敵へのロックオンや弾道の軌道補正が無い。連射が効くマシンガンや火炎放射器、爆風で広い範囲を巻き込めるロケットランチャーはともかく、ピストルが非常に扱い辛い。
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それに対して敵は適確にプレイヤーを狙って銃撃してくる。生身の状態では防弾チョッキがなければ一度被弾しただけでおだぶつになるため、敵の撃つマシンガンは脅威でしかない。
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前述のマップ構造の難に加えてミッションの制限時間も厳しめ。チャプターによっては開始直後にそういったミッションが発生する場合もある。
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警察に手配されやすい上にパトカーからの追跡が厳しく、その上パトカーの速度もかなり早い。
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お使い的な印象が特に強い
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「ミッションをこなしていく」というゲームの為お使いゲームであるのは確かだが、それでもなおうんざりさせられるようなシーンが多い。
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1つのミッションは複数の指示をこなすことでようやく終了となるのだが、何の脈絡も無いような話でたらい回しにさせられる。
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グラフィック
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美麗なグラフィックの後のシリーズとは異なり、PS1の中でもグラフィックは簡素な作りになっている。
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PS版に限り、ゲーム開始時のロードが長い
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オープンワールドである都合上、一括でマップの読み込みを行うためどうしても長いロードが発生する。
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過激な暴力性が一部で問題視された。
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日本版でも規制はされなかったが、まだ表現力の乏しい時代であったという事情はある。
総評
街をうろつく、乗り物を盗む、人を殺す、ミッションをこなすなどといったシリーズお馴染みの「自由度の高さ」というシステムの基礎はすでに初代の時点から完成されており、非常に高いゲーム性を持ち合わせた事により良作と呼ぶに相応しいゲーム。
このゲームの存在があったからこそ、シリーズが世界中で大ヒットしアクションゲームの金字塔となった『III』まで繋がるきっかけとなったのだろう。
『III』以降から始めたプレイヤーにとってはチープな見た目でショボく見えてしまうかもしれないが、ゲームは見た目だけで判断してはいけない。改めてクライムアクションゲームの原点に振り返っては如何だろうか。
余談
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海外版のパッケージに写っているのは第45代アメリカ大統領であるドナルド・トランプ氏の所有する高層ビル「トランプタワー」である。
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また、後の『III』と『LCS』に登場する「ドナルド・ラブ」は氏をモチーフにしている等、『GTA』シリーズは氏が大統領となる前から接点が多い。
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かつてはRockstarの公式サイトから無料でダウンロードが可能だった。
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当然英語なので日本語版を遊びたい場合は外部サイトから日本語化パッチをダウンロードして導入する必要がある。
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Vista以降のOSでは動作に支障があり、配布サイトも消滅してしまったため今後のプレイはそれなりに厳しくなる。
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開発段階では『Race'n'Chase』というタイトルだった。
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また、PS/Winの他にSS/N64での発売も予定されていた。
Grand Theft Auto Mission Pack #1: London 1969
【ぐらんど せふと おーと みっしょん ぱっく 1 ろんどん 1969】
Grand Theft Auto Mission Pack #2: London 1961
【ぐらんど せふと おーと みっしょん ぱっく 2 ろんどん 1961】
ジャンル
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クライムアクション
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対応機種
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Windows プレイステーション(1969)
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発売元
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Rockstar Games
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開発元
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Rockstar Canada 【PS】Runecraft
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発売日
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1999年4月1日(1969)
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備考
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1961は1999年6月1日にダウンロード配信
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判定
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なし
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概要(London)
『Grand Theft Auto』の追加ミッションパック。その名の通り60年代のロンドンが舞台となっている。
システム(London)
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『London 1969』の発売から2ヶ月後に『London 1961』(通称:London EX)がRockstarの公式サイトから無料で配信された。
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言うならば『1969』の高難易度版。ミッションは7つしかないものの、どのミッションも一筋縄ではいかないものとなっている。
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ストーリー上は『1969』の前日譚となっている。
評価点(London)
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タイトル通り、ロンドンに合わせたデザインになっている
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ビッグベンやバッキンガム宮殿などの建物が登場。60年代のロンドンの雰囲気が上手く再現されている。
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余談だがリバティーシティ、サンアンドレアス、バイスシティ以外が舞台となっているGTAはこれと『2』だけ。
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本作のメインテーマ曲はラウラ・アントネッリ主演の映画「毛皮のヴィーナス」の楽曲の一つである。
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大きなストーリーが付加された
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前作はとにかくボスの命令をこなすのみだったが、今作では一人の下っ端からの成り上がりが描かれている。
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追加パックとはいえ使いまわしは少ない
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舞台設定の関係もありマップ・車・カーラジオ・ミッション等は全て新規で追加されている。
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更に『1961』でも、登場する車は『1969』とは違いほとんどが新規。『GTA』では珍しくF1カーが登場する。
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このゲーム以外でF1カーが登場する『GTA』は『Advance』と『チャイナタウンウォーズ』のみなので、結構貴重。
問題点(London)
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良くも悪くも「シック」な見栄え
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舞台の再現性は良いのだが、如何せん地味な印象も否定はできない。
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本編がアメリカを舞台とした派手なものだっただけに、あまりにも対照的になってしまった。
総評(London)
追加パックが出たことも、前作が大きく評価されていた証拠と言える。
その上デザインも大きく様変わりしたことで、より楽しみを増したのはユーザーにとって喜ばしい事だったであろう。
一方で、そのこだわりが地味な印象をも招いてしまったのはあまりに痛かった。
前作と違って無料配信もされず、日本でもPS版が発売されていないため、シリーズ内の立ち位置としても地味な一作になってしまったのが惜しい。
最終更新:2024年08月01日 21:21