Jリーグ エキサイトステージ'94

【じぇいりーぐ えきさいとすてーじ きゅうじゅうよん】

ジャンル スポーツゲーム
高解像度で見る
対応機種 スーパーファミコン
発売元 エポック社
開発元 エーマックス
発売日 1994年5月1日
定価 9,800円(税別)
判定 良作
ポイント SFC最高峰の操作性のサッカーゲーム


概要

  • 1993年に発足し興行が開始された日本のプロサッカーリーグ・Jリーグ。当時はJリーグ公認を得て当時のJリーグ加盟チームが選手含めて実名で登場するサッカーゲームが多数製作・発売されたが、本作もそのうちの一つである。1994年時点のJリーグ加盟チームの12チームを使用できる。
    • なお、海外版(SNES版)は『Capcom's Soccer Shootout』の名前でローカライズされてカプコンより販売されている。
  • 開発にはかつてヒューマンで『フォーメーションサッカー』シリーズを制作したスタッフが関わっている。
  • なお、一部でカートリッジを金色に塗ってレアなゲームとして販売しているサイトが存在するが、限定版は存在しない。

特徴

  • 1994年開幕時点の出場12チーム240名を全員実名で収録。ルールも一部を除き(後述)当時のJリーグに則っている*1
    • 隠し操作により「全日本代表」「オール外人」といった選抜チームも使用できる。
    • 試合前には所属選手20人から試合に出場する16人(レギュラー11人、控え5人)を選択する。そのため毎試合4名はベンチ外となり出場できない。
  • ゲームモードは通常の試合を行う「プレシーズンマッチ」のほか、「リーグ戦」「オールスター」「PK」「トレーニング」「サロンフットボール」の6つ。
    • リーグ戦は当時のJリーグと同じ方式で総当たり戦を行いチャンピオンを目指す。試合数はリーグ開始前に22試合/44試合から選択し、優勝するとエンディングが流れる。
    • オールスターは93年のオールスター戦のチーム「オールイースト」「オールウエスト」からどちらか選んで試合を行う。またこの2チームに代わり東西別に該当する選手をランダムに選出する「オールイースト ランダム」「オールウエスト ランダム」も選択できる。
    • PKはPK戦のみを行い、プレイヤーが操作するチーム以外の11チームとの勝ち抜き戦を行う。
    • サロンフットボールは室内でのサッカー。このモードでは周囲が壁になっておりボールが反射する。またいくらタックルを仕掛けてもファウルを取られないため、アウトオブプレーは無く非常にスピーディーなゲーム展開となる。フィールド自体が小さいこともあり、選手は選んだチームから8人(キーパー含む)だけ選出し途中交代はできない。
    • トレーニングはミニゲームとしての色合いが強く、ドリブル・シュート・コーナーキック・フリーキック・スライディングの5科目があり、ドリブルは時間で100点満点、その他の科目は10回×10点満点の100点満点で採点され、500点満点のうち何点が取れるかを競う。
  • 試合前には選手のフォーメーションを決めることができるが、各チームごとに初期設定されている「PRESET!!(プリセット)*2」を始めとするあらかじめ決められた「4-4-2」「3-5-2」などのパターンから選ぶ他、横10×縦7のマス目*3に自由に選手を配置できるという当時の標準とは一線を画すシステムも採用されている。
    • これにより、「 0-0-10(全員FW) 」やその逆といった極端なフォーメーションも含め、プレイヤーの好みで配置できるようになった。
    • 当時はまだ他社のソフトではプリセットパターンから選択する方式しかないソフトが多かった。
    • また、当時の他社のソフトや現在でもあまり見ない独自のフォーメーション「1-3-3-3*4」や「SWEEPER*5」なども存在する。
  • 当時エポック社が発売していた「バーコードバトラーII」を接続することで特別な選手が登場し、初期登録されている選手と入れ替えで使用することもできた。PKでは時間を止めたりカーブシュートを使えるようになるアイテムが入手できる。
    • バーコードの番号と、ある法則により入手できる選手やアイテムが決まっている。選手はJリーグ以前に活躍していた往年の名選手を模したキャラやバーコードバトラーシリーズに登場するキャラ、果ては元ネタがよく分からない選手など全240人が収録されている*6
    • バーコードによって登場する一部の選手は、各能力値がMAX値の100を突破している選手もおり、Jリーガーよりも能力の高い選手も多い*7

操作方法

  • 十字ボタンで選手を移動。ボールを持っている時はボールを持っている選手のみがドリブル、ボールを持っていない時は最大2名の選手が連動して動く。
  • ボールを持っている時は全てキックボタンとなる。また、ボタンを押す強さでボールの勢いや高さに変化をつけられる。
    • Yボタン:サーチパス。(十字ボタンを入れていればその方向で)近くにいる味方選手を自動でサーチしてグラウンダーでボールを渡す。ボタンを押しっぱなしにすればパスを受けた選手がダイレクトで別の選手にボールを返すワンツーとなる。一部の選手は前方を向いたまま真後ろの味方へ踵でパスを出す「ヒールパス」も使用できる。
    • Bボタン:グラウンダー。十字ボタンを入れた方向に地上に転がすようにボールをキックする。
    • Aボタン:ロングキック。十字ボタンを入れた方向に弱めの強さで高く浮くようにボールをキックする。
    • Xボタン:シュート。自動で敵ゴールへ向けて強くキックし、シュートする(たまに近距離で放っても大きく外してしまうことがある)。必ずゴールへ向けて放つため、ゴールに対するシュート方向以外は自由に選べない。遠ければロングシュート、自陣で出すとシュートに代わり自動で敵陣を向いて高く遠くへボールを蹴るクリアになる。
    • L・Rボタン(または十字ボタン):カーブ。浮き球をキックした後に入力すると蹴ったボールに後からカーブをかける事ができる。L・Rはボールの進行方向に対して左右へ曲がり、十字ボタンは画面向かって左右に曲がるというように操作は異なる。同じ方向への入力を併用するとさらに曲がりが強くなる。
  • ボールを持っていない時はボールを奪うための操作となる。
    • Aボタン:インターセプト。ボールを持った敵選手からボールを蹴って弾き転がす。敵選手にほぼ密着していないと成功せず空振りやすいが、奪う動作の中では唯一絶対にファウルを取られない。
    • Bボタン:スライディング。移動距離が長いが、ジャンプされて回避される場合もある。ルーズボールや味方からパスされたボールを直接蹴ることもできる。
    • Yボタン:タックル。ほぼ確実に成功するが、ファウルを取られる可能性が高い。
  • 空中のボールが近くに飛んできた場合、高さと距離によって各ボタンの操作が変わる。(以下は高いボール/低いボール/低く遠いボールの順)
    • Aボタン:オーバーヘッドキック/ヘディング/ダイレクトボレー。シュートスピードと飛距離のバランスのとれた攻撃を出せる。
    • Bボタン:垂直ヘディング/ダイビングヘッド/ジャンピングボレー。垂直ヘディングは飛距離はないが最も高さがあり、他2つはいずれもリーチがあり低い弾道の鋭いシュートになる。

評価点

  • 出色の出来と言えるその操作性。
    • キックにおける操作の多さ及びボールの挙動がしっかりと細かく作られているため、慣れれば意のままにボールを動かし運んでいくことができるようになる。
    • 操作も適度に簡略化されており、すぐに慣れることができる。初めてプレイしてもYパスとXでシュートさえできれば戦うことができ、上級者になればカーブを掛けたセンタリングからのダイビングヘッドなどといった派手なプレーもできる。
  • 出来の良い選手グラフィック。頭身が高く、モーションにも躍動感がある。
    • ダイレクトでのボール運びが非常にやりやすいため、選手のモーションがボレーやオーバーヘッドなど派手なものになりやすく、絵面も派手で爽快感のあるものになりやすかった。
  • 「サロンフットボール」の爽快感。
    • 「ファウルなし・全面壁でボールアウトなし(ぶつけたボールと同じ速度で跳ね返る)」という中断一切なしのシステムから本作の操作性と合わせて非常にスピード感が高く、通常モードより熱中したという当時の子供は数知れない。
    • このモード専用BGMも非常に勇ましいものであり人気の楽曲である。
  • 各チームごとに専用BGMが設定されており、ゲーム中は常に流れ続ける*8が、これがなかなか良曲が多い。
    • 中でもジェフ市原、ヴェルディ川崎*9のBGMは人気が高い。
    • キック時の効果音もボコォという重低音が耳触りがよい。
    • 試合中はBGMの後ろで「チアホーン*10」が流れる(ボールがゴールへ近づくほど音量が大きくなる)ほか、ゴールを決めた際など観客から「ワァァァァァァ」と大歓声が流れる。これも当時のJリーグの応援をよく表現しており試合を盛り上げてくれる。
  • CPUのチームに退場者が出たとき、選手の減少に合わせてフォーメーションを調整する。
    • 従来のサッカーゲームではCPUのチームに退場者が出ても特に何も対応せずにそのポジションが「穴」になるだけであった。 しかしこのゲームでは穴になるポジションだけでなく他の選手のポジションも移動して対応してくる。 たとえばCPUチームが4-4-2でDFがレッドカードを受けたとき、FWを1人減らして4-4-1にするという実際のサッカーの試合でも見られるような自然な修整を行う。
      • もっともCPUは絶対に選手交代しないのでフォーメーションの形は自然だがメンバーは不自然という事態は避けられないが…
    • PSやSSの次世代機になっても「穴」を放置したままなにもしないサッカーゲームが多かったことを考えればこれは画期的なものだった。

賛否両論点

  • キーパーの動きは完全オート。これを逆手に取って確実にゴールを決めるシュートパターンがいくつも存在する。
    • 特に隠し操作のヒールリフトからのシュートは簡単にゴールを決められるため強すぎるとされ*11、慣れてくるとハウスルールで禁止にするプレイヤーも多かった。
  • スライディングによる妨害行為。
    • 守備時のスライディングは本来敵からボールを奪うための動作だが、実はボールを持っていない選手にスライディングを当てると大きくよろめかせることができ一定時間行動不能にできてしまう。しかもボールを持っていないことからファウルを取られることもない。
    • そのため、ルーズボールの競り合いになったらボールより先に相手選手をよろめかせ、それから安全にボールを取るという戦法が採れてしまう。対人戦ならばリアルファイトに発展しかねない要素。
    • なお、この行為は 公式ガイドブックで「有効な戦法」として紹介されている *12
  • オフサイドが無い。
    • Jリーグでは開幕当初からオフサイドルールが存在したが、本作ではオフサイドを取られる状況が発生してもオフサイドにはならない。
    • ただし、当時はまだオフサイドについて世間に浸透していなかったという背景もあり、あえて無しにした可能性もある。

問題点

  • 選手には能力差が細く設定されているが、ゲーム内で選手の能力を確認する術は一切ない。
    • そのため、チームによっては控え選手、もしくはベンチ外の選手の方がレギュラーより能力が高いという場合もあるが、それもわからないためせっかくの優秀な人材を活用できないことも多い。特に清水エスパルスのトニーニョはチーム内で最高の能力を誇るにもかかわらず標準ではベンチにすら入っていない*13
    • さらにCPUはリーグ戦で出場停止選手がいる場合を除き、絶対に控え選手やベンチ外の選手を起用することはないため、控え選手に優秀な選手のいるチームは本来出せるはずの実力を発揮できないオーダーにしかならない。
      • 本作では試合中の怪我やスタミナ切れといった要素もないため、CPUは途中交代もしない。
    • しかしながら、実際の選手の特徴を再現しようとしたパラメータ調整はある程度なされているため、熱狂的なファンであればある程度想像はつくようになっている*14。…240人もの選手の特徴を覚えているのならばだが。
  • 不遇な控えゴールキーパー。
    • 各チームには背番号1を着けるレギュラーキーパーと16番の控えキーパーが登録されているが、控えキーパーは全員所属チームのレギュラーキーパーの能力を下回るため、起用するメリットが存在しない。
    • キーパーが退場や負傷で欠場するという要素もないため、ゲーム上では全く存在意義がない。
    • 現実でもレギュラーキーパーの座を奪うのはフィールダーよりも困難ではあるが…
  • セットプレイがやや不便
    • フリーキックは何故かXボタンのシュートが使えない仕様になっている。Aボタンではボールの勢い、飛距離共に直接ゴールを狙うには物足りない。
      また、ゴール付近の様子は最初の数秒しか見れず直ぐにボールの方へカメラが移動してしまうので、前述の仕様と併せて中~長距離のセットプレイはかなり難しい代物となってしまっている。*15
  • ディフェンス時の仕様の穴
    • 操作方法でも少し触れられている様に、ディフェンス時は選手を選んで操作するのではなくボールから"一定範囲"にいる選手を一括で操作する仕様になっている。その為、例えば
      「こぼれ球を拾いに行く際に必要ない奴もついてきてしまう」
      「動いて欲しくない選手が範囲外からオートでボールに寄ってくる→プレイヤー操作に切り替わり十字キーで距離を取ろうとする→またオートに切り替わり再び寄ってくる」
      「敵ボール持ちの上下に選手がいて二人でプレスをかけたい→片方が近寄ればもう片方は遠ざかってしまう」
      といった不便さが現れる。特に縦のラインの隙間は脆く、フォーメーション画面でこちらのDFと相手のFWの縦座標が合っていない場合はかなり抜かれやすい。
      因みに、GKの操作が可能になる次作ではこの問題がより顕著になる。(主に詰めてほしくないのに詰めてきてしまうという形で)
    • 但しこの仕様は、動かしたい選手を確実に動かせるという利点にもなっている。製作者もそのような意図があってこの仕様にしたと思われる。

総評

当時のJリーグブームに乗じて大量に出回ったサッカーゲームの一つであり、持ってなくても友達の家などで遊んだ事もあるSFC世代のゲーマーは多いものと思われるが、その軽快かつ作りこまれた操作性から単なるサッカーゲームとは一線を画す多大なポテンシャルを誇るゲームでもあり、現在にも熱烈な愛好者を生み、当時も自然と熱中していたというゲーム少年もまた多いのではないかと思われる。
グラフィックの進化に伴ってサッカーゲームは現実のサッカーの再現度を高める方向へと進化していくのだが、その一方で「サッカーゲームとしての面白さ」を追求して作り上げた高い完成度を誇る本作は、当時のサッカーゲームの中でも特に注目に値する存在である。

続編

  • 1995年には『Jリーグ エキサイトステージ'95』、1996年には『Jリーグ エキサイトステージ'96』が発売されている。
  • オフサイドの実装、キーパーのマニュアル操作設定、試合中にフォーメーションを変えられる機能などが実装されている。
最終更新:2021年12月17日 20:53

*1 例えば延長戦はいわゆる「Vゴール方式」が採用されているが、本作では延長戦に入るとき「サドンデス」と表示される(93年当時は「延長サドンデス」という名称で、翌94年から「延長Vゴール」という名称に改められた)。

*2 全チーム既存のパターンから若干の変更を加えたフォーメーションがセットされている。なお、「PRESET!!」の表記はゲーム上のまま。

*3 ゴールに最も近い1列が「SW(スイーパー)」、以降は3列刻みで「DF」「MF」「FW」となっている。

*4 1人がキーパーの前、残りはフィールド内にバランスよく1列3人づつ3列に並ぶ

*5 「4-4-2」の変形で、中央のDF2人のうち一人をキーパーの前に「SWEEPER(スイーパー)」として配置

*6 元日本代表で監督歴もある選手と思われる「おふでらやすひこ」「がまもとくにくに」、バーコードバトラーシリーズの敵役「チューハイカーン」など。

*7 以上のバーコードバトラーに関する参考資料:小学館『Jリーグエキサイトステージ'94 公式ガイドブック』、P96~P105。

*8 試合開始時はホームチームの曲、以降は直前に失点したチームの曲

*9 当時のスターチームであり、ブラジル帰りのカズこと三浦知良やブラジルから日本に帰化したラモス瑠偉など中心選手がブラジルに縁が深いためか、BGMにブラジルを想起させるサンバの要素が取り入れられているのが印象的。

*10 Jリーグ初期を代表する応援用の小型ラッパで、当時は応援グッズとして大人気でほとんどの試合で使用されていた。しかし騒音問題等が表面化し、同年中に各スタジアムで販売自粛や使用禁止となって見かけなくなった。

*11 具体的にはペナルティエリアの特定の場所でヒールリフトを出し、ゴール反対隅に向けてシュートするとキーパーの反応が間に合わずゴールが決まるというもの。操作もLR同時押し→斜め+B(A)と手順も簡単である。

*12 出典:小学館『Jリーグエキサイトステージ'94 公式ガイドブック』、P74。

*13 ただしこれは、93年当時トニーニョ本人が怪我のためほとんど試合に出ていないことを表現したものと思われる。

*14 例えばベルマーレ平塚の岩本・名良橋の両選手は当時素早いオーバーラップを仕掛けることで知られており、ゲーム中でも走力が高い。他には連続無失点記録を持つエスパルスのシジマールは全キーパー中最高の能力を誇るなど。

*15 但しコーナーキックだけは例外。Aボタンでニアはもちろんファーも直接狙える位威力が強化されている。CPUキーパー相手ではある程度コースは絞られてしまうが。