スーパーロボット大戦Scramble Commander
【すーぱーろぼっとたいせん すくらんぶるこまんだー】
ジャンル
|
RTS
|
|
対応機種
|
プレイステーション2
|
発売元
|
バンプレスト
|
開発元
|
エヌケーシステム ベック バンプレソフト
|
発売日
|
2003年11月6日
|
定価
|
7,800円
|
レーティング
|
CERO:全年齢対象
|
判定
|
シリーズファンから不評
|
ポイント
|
まさかのリアル頭身RTS 使徒とウナギ強すぎ 手堅い出来だが地味
|
スーパーロボット大戦シリーズリンク
|
概要
スパロボ据え置きシリーズでは初となるリアルタイムストラテジー(RTS)という異色作。
古今様々なロボットたちが結集して悪の軍団と戦う基本こそそのままだが、ゲーム性は大きく異なる。
一見、2001年に発売した3Dアクションゲーム『リアルロボットレジメント』に似ているが、ゲーム部分は『ジオニックフロント 機動戦士ガンダム0079』をベースに手を加えたものでまったくの別物。
+
|
参戦作品一覧
|
-
超獣機神ダンクーガ
-
新世紀エヴァンゲリオン
-
THE END OF EVANGELION Air/まごころを、君に
-
機動戦士ガンダム
-
機動戦士ガンダム 第08MS小隊
-
機動戦士Ζガンダム
-
機動戦士ガンダムΖΖ
-
機動戦士ガンダム 逆襲のシャア
-
新機動戦記ガンダムW
-
新機動戦記ガンダムW Endless Waltz
-
マジンガーZ
-
グレートマジンガー
-
ゲッターロボ
-
ゲッターロボG
-
超電磁ロボ コン・バトラーV
-
勇者ライディーン
-
バンプレストオリジナル(NPC・敵のみ)
|
特徴
ゲームジャンルが従来のスパロボと大幅に異なるためシステムも一新されている。
ブリーフィングフェイズ
-
従来のインターミッションに該当
-
戦略マップ開始前にこのフェイズを挟み、アイテムの補給やマップの大雑把な下見が提示され、出撃ユニットを選択。
-
本作では受けたダメージや破壊されたユニットは
完全には自動修復されず
、最大HPの10%が回復するのみ。それ以上のHPを回復するにはこのフェイズ中にドックに入れて自ら修理を行う事になる。
-
修理中のロボットは出撃不可能なため出撃配分をある程度考慮する必要がある。
-
ボーナスポイントを消費して機体改造も行える。改造した場合も改造時のマップでは出撃不可。
戦略マップ
-
ごく一部のマップを除き、一度に出撃できるユニットは8体。メインとして初期出撃できるユニットは4体までで、残り4枠はいつでも交代できる出撃待機か、索敵などのバックアップ役に回す事になる。
-
消費アイテムは1つのマップに5個まで持ち込み可能。
-
プレイヤーはユニットを直接操作するわけではなく、「移動」や「戦術」といった指示を入れる。ユニット達は指示に従った行動をオートで取り様々な武器を使用してくれる。
-
敵ユニットは最初は全体マップに表示されておらず、ブリーフィングで大雑把な位置が示されるのみ。細い位置は各ユニットでマップ探索して探す必要がある。
-
戦術は例えばマジンガーZの場合、接近戦術ならパンチによる肉弾戦、射撃戦術ならミサイルパンチやロケットパンチといった飛び道具といった具合。もちろんユニットによって得意不得意が生じる。
-
ユニットにはHPとエネルギーが存在。エネルギーはスタミナゲージのような役割もあり、走ったり武器を使ったりする大きく減少するが、立ち止まるとすぐに回復する。ただしエヴァンゲリオンのみ内蔵電源を使用している設定で、自動回復が無い代わりに消費が少ない。
-
指示を繰り返し、敵の全滅やボス撃破などの勝利条件を達成すればクリア。
-
アイテムを使用する、必殺技を指示すると言った形で介入する事も可能。
-
必殺技は従来シリーズのマップ兵器に近い性能。エネルギーが80%以上貯まった状態でチャージを行い、ゲージが全開になると使用できる。使用回数に限りがあるので連発はできないが、纏めて大ダメージを与えられるため非常に強力。チャージ中は移動が低下する、必殺技は味方も巻き込む、使用後はエネルギーが0になるといった欠点もあるので注意。
-
マップクリア時にはクリア時間などの戦績に応じてボーナスポイントが手に入る。また、戦闘中の行動に応じて各パイロットの技能レベルが上昇し、パイロットによっては新しい必殺技を覚える事もある。
評価点
-
グラフィック
-
当時のスパロボは基本SD頭身だったが、今作ではリアル頭身で描かれている。
-
モデリング自体の出来は当時としてはかなり良く、相当力を入れていた事が予測できる。EVA弐号機はこのモデリングでダイナミックなアクションを行い、なかなか見応えがある。
-
武装も豊富。戦術によって様々な武器を使い分けてくれるため、いつものスパロボシリーズではあまり見かけない地味な武器もフル活用してくれる。
-
原作よろしく肉弾戦によるロボットプロレスを行うマジンガーZやコン・バトラーVはこの時期のスパロボではスクコマシリーズぐらいしかない。
-
荒削りなものの奥深い戦略と臨場感溢れるゲーム性
-
当時はまだ馴染みの薄いRTSだが、大元の『ジオニックフロント』から更に手直ししたものであるため地味ながらもなかなか楽しめる。
-
敵をじっくり探しつつロボット達で役割分担を行い、次々と現れる敵機を撃墜して行く流れは上手く連携が取れた際には独特の爽快感を得られる。
-
序盤のチュートリアル的マップも従来のシリーズ同等と言えるほど丁寧に作られており、更にボタン1つでヘルプを確認可能と初心者への配慮もばっちり。
-
ただし序盤の1マップのみ初見殺し的要素が存在する。
-
ゲームバランスもEVA弐号機や隠しユニットがやや強力なものの破綻している訳でもなく、RTSとしては手堅い作り。難易度も若干高めだが無理ゲーと言う程ではなくでやりごたえがある。
-
更にクリア後は高難易度のハードモードが解禁される。ハードモードをクリアするとご褒美のトライアルモードも。
-
とはいえ修理などに不親切な面も目立つ。問題点も参照。
-
ボイスパターンが豊富
-
被弾時、ピンチ時、索敵時など様々な場面で各版権キャラが喋る。必殺技で誤射された時にも専用の台詞があったりする。
-
出撃時にサポートに回したキャラは敵増援が出る際に通信会話を行い、戦闘を盛り上げてくれる。
-
ピンチ時などには「エヴァンゲリオン」の葛城ミサトが他版権キャラの名前を喋ってくれる。ミサトファンにはかなり嬉しい要素かもしれない。
-
BGM
-
『スーパーロボット大戦IMPACT』に続きあまり見かけないBGMを採用している。「ゲッターロボ」の「合体!ゲッターロボ」、「ガンダムW」の「思春期を殺した少年の翼」など。アレンジも悪くなくゲームの雰囲気も合わさって全体的に新鮮に感じる。
-
久々に採用された「ダンクーガ」の「愛よファラウェイ」は大胆にロック調のアレンジがされており原曲を知るユーザーを驚かせた。
-
オリジナルと各版権のクロスオーバー的な要素があり、ソーディアンの欠片から作られた
オリジナル機械獣
フラグメント、とあるスーパーロボットを元にして作成されたラスボスなどが存在する。オリジナルユニットに版権作品の要素をここまで大きく加えるのも珍しい。
問題点
ストーリーが薄い
-
オリジナルキャラがほぼ皆無。主人公すらいない。
-
そのため橋渡し的なキャラはNPCとしてもおらず、ソーディアンの事情や種明かしがされるのも後半の方になってからであり、終盤までは延々と転移を繰り返すソーディアンに振り回される戦いが続くため話がかなり淡々としている。
-
話数も少なく22話で終わってしまう。ついでに序盤5話はほぼチュートリアルマップ。
-
ちなみに版権キャラでは葛城ミサトが部隊の司令官として実質的な主人公を務めている。CMも担当していた。
-
メカザウルス・バドがキャンベル星人に爆発寸前のアースボムを返却する
といった妙なクロスオーバーはあるにはある。
ゲーム面
-
RTS初心者からすると難易度が高い
-
RTS自体が当時はまだ地味めなジャンルであり、同じシミュレーションゲームでも定石等が大きく異なるため、シリーズプレイヤーの経験が効かない。
-
自由に動かせない
-
今作はプレイヤーが司令官を担当するというコンセプトの関係上、ロボットを操作する事ができない。AI操作故に思うように動いてくれない事もある。
-
元になった『ジオニックフロント』ではプレイヤーキャラを操作する事はできた。不満が多かった事もあり続編では解消されている。
-
修理・改造フェイズ
-
修理改造の際には出撃できなくなってしまうので同じ機体を延々と使う事ができない。前のマップで負った状況によっては下手すると詰みデータを作りかねず、不親切。
-
チュートリアル的な第3話でいきなり初見殺し的な要素がある。
-
途中のイベントでメカザウルス・バドを北端に逃がすとゲームオーバーという条件が追加されるのだが、竜馬が「バドの移動速度を甘く見るな」と言った通り非常に早く、条件が提示されてから数秒で北端に到達してしまう。
-
このマップは「Ez-8を囮にし、時間を稼ぐ間に必殺技をチャージして纏まった敵を一掃する」という戦略説明を兼ねているのだが、必殺技使用後はエネルギー切れになる関係でイベントが割り込まれると対処しようが無く、追い掛けるにも追い付けないし攻撃も届かない。
-
初期配置近くで敵を迎撃してから進軍する事でバドのイベント発生が遅れるので、マップ開始時から敵陣へ突撃しなければそこまで苦労しないが、序盤でいきなり躓くポイントがあるのは辛い。対処法さえ気付けば苦労はしない。
-
中盤以降に出て来るボスでいきなり難易度が上がる。
-
第11話の「使徒」3体が非常に強い。硬いに上に高火力で、EVAの必殺技でないととどめを刺せない。しかも3連戦。
-
第15話では「EVA」3機が敵に操られる。素早い・硬い・高火力の上に3体同時に相手にする事になり、しかも1機でも撃墜するとゲームオーバー。HPをギリギリまで削らなければならず、かなり難易度が高い。また、このマップではEVAが出撃できないので育成状況によっては更に苦労する。
-
更に最終マップ手前では
EVAや使徒を更に強化した「EVA量産機」が「ジ・O」に乗った「シロッコ」のしもべとして原作よろしく8体で出現
。一気にとどめを刺さないとHPが回復するため非常に強く、ここで詰んだプレイヤーも多い。
キャラクター・ロボット面
-
新規参戦作品がない
-
何かと注目を集め、スパロボの華でもある新規参戦作品が今作には登場しない。情報発表時はかなり落胆された。
-
更に他の作品も良くも悪くも「いつもの面子」であり、代わり映えしない。珍しい作品は「第08MS小隊」ぐらいだが、「機動戦士ガンダム」の派生的位置付けであるため世界観に大きな影響を与えるような作品でも無い。
-
「新世紀エヴァンゲリオン」は『DCα』以来と久々の参戦ではある。
-
味方ユニットが少ない
-
味方の脇役がほとんどおらず、ほとんどが主役級とライバル数人のみ。更にゲッターは変形できずゲッター1とドラゴンしか使えない。
-
飛べない
-
どのユニットも地上をのしのし歩くしかない。ゲッター1ですら陸戦限定。マジンガーZの羽は最後まで付かないし、ΖガンダムやΖΖガンダムは変形しない。
-
その影響からか「第08MS小隊」のアイナがアプサラスではなく
グフカスタム
に乗って加入する。
-
そのためロボット達と同じぐらいの岩山やビルであろうといちいち迂回して動く。飛べるはずのゼロカスタムやゲッター1が渋々と迂回する姿はあまりにも滑稽。
-
全体的に地味
-
敵を索敵してから叩く必要があるため最初はどのロボットでもマップ中を歩き続ける事になる。下手したら1分近く歩いてるだけの事も。
-
ボイスパターンこそ豊富だが喋る機会は少なく、特に索敵中は黙々と探し続けるのみ。
-
ロボット同士の戦闘シーンもスパロボらしい派手さは薄く、硬いユニットを囮にして射撃ユニットで攻撃するという基本的な戦い方はあまりスパロボらしくは無く淡々としている。モビルスーツはまだしもスーパーロボット達が細々した戦いをするのはイメージとやや異なる。
-
味方ユニットが思うように動いてくれずにステップを連発する、微妙に軸がズレただけで激しく空振りなど、見栄えも余り宜しくない。
-
一応必殺技はそこそこ作り込まれてはいる。
-
リアル頭身なのにサイズ差が活かされていない。全長57mのコン・バトラーVは、全長18mのマジンガーZよりすこし大きい程度に留まっている。
-
これらのロボットの特徴が活かされない点や淡白なストーリーなど、今作を『スパロボ』シリーズとして作った理由が薄く、スーパーロボット達の異物感が非常に強い。
-
大元の『ジオニックフロント』は初代ガンダムが題材、かつジオン軍の陸戦ロボットがメインのゲームなので当然ではあるが……
総評
大きく転換を試みたものの『スパロボ』としては今一歩足りずといった印象の作品。
ただしRTSとしての基本は押さえており、独特のシステムに慣れさえすればそこそこ楽しめる。
余談
-
今作は新品中古問わずにワゴンに溢れかえっており、発売当時から手軽にワンコインで購入できた。
-
従来とは大きく異なるゲーム性である事の他、出荷20万に対して実売15万と過剰出荷気味だったのも原因と思われる。
-
そのため一部ではクソゲー認定される事もあったが、RTSとしてのゲーム部分の作りは悪く無いため、低価格で購入したユーザーからは評判よりもだいぶ遊べるゲームと驚く声も。
最終更新:2024年07月03日 09:52