フリフリ!サルゲッチュ
【ふりふり さるげっちゅ】
ジャンル
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アクション
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対応機種
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プレイステーション3
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発売元
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ソニー・コンピュータエンタテインメント
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開発元
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SCE JAPAN Studio
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発売日
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2010年12月9日
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定価
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4,093円
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レーティング
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CERO:A(全年齢対象)
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備考
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PlayStation Move モーションコントローラ必須
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判定
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クソゲー
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シリーズファンから不評
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ポイント
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原点回帰を目指したもののボリューム不足に モーションコントローラによる操作性が悪い 後半からの作業感が強い 移動は強制スクロールでアイテムの収集が困難 本作の失敗によりシリーズは終焉を迎える
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サルゲッチュシリーズ
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PlayStation Studios作品
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概要
『サルゲッチュ』シリーズの一作であり最終作。
PS Move モーションコントローラを振り回してピポサルを捕まえる体感アトラクションゲームとなっている。
スピンオフ作品の乱発でシリーズの隆盛を失っている中、特に前作となる『サルゲッチュ ピポサル戦記』の出来が悪かった。
そのため、本作は原点回帰を目指して設定を一新しつつ再びサル捕まえゲーに戻ったのだが…。
ストーリー
ある日突然地球に現れたUFOの大群とピポサルたち!
ハチャメチャなヤツらのイタズラで、世界中が大騒ぎ!
近所のフタゴ姉妹・トウコとツクシは
「あいつらが行方不明のばあちゃんの手掛かりなのよ〜!」と大騒ぎ。
2人に泣いて(?)頼まれて、ピポサル&スペクターを探す不思議な旅に出ることに!
古代遺跡や空飛ぶ温泉など、ミョーな場所で繰り広げられるドッタバタのサルチェイス!
スペクターをゲッチュすることはできるのか?!
(公式サイトより)
特徴
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プレイヤーの視点でPS Move モーションコントローラを操作してガチャメカを駆使し、ピポサルを捕まえるのが流れ。
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本家とは異なり、エリアの最後に現れるスペクターを捕まえればクリアとなる。
問題点
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操作性が悪い。
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PS Move モーションコントローラの反応が悪く、思うようにピポサルを捕まえられないこともある。
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移動は強制スクロール形式
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専用コントローラの関連上仕方ないことであるが、アイテムを取り損ねたからといって引き返すことができない。
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レール式シューティングタイプのゲームと考えればこれ自体が悪い訳ではないが、操作性の悪さや、従来のフィールドを好きに探索できるゲーム性との乖離も相俟って不満点に。
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単調なゲーム展開
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ピポサルはパンツの色、ピポトロンは顔や手足の色が何であれひたずらプレイヤーに向かって突進するのみでマシンガンや爆弾といった武器は一切使用しない。
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また、各ステージの最後に必ずスペクターが登場するのだが、ラストステージを除き全部偽者。捕まえた時のサポーターのコメントも「騙された」「次いこ」とそっけない上に代わり映えしないので、ひたすら単調である。
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無理に偽物を毎回登場させずとも、ここぞという時にだけ出し、各ステージには別の仕掛けを用意すれば良かったのではないだろうか。
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後半からの難易度上昇と作業感の増加
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ただでさえもプレイヤーを苛立たせるゲーム展開なのに、難易度が上がると操作が煩雑になるため、「ストーリー」を後半まで進めるとかなりストレスが溜まる。
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特にラストステージでは無数のピポサルが色に関係なく高速で襲撃し、さらにラスボスのスペクターが分身をしつつ様々なものを投擲するので高度なテクニックが要求される。
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さらにエンディングは…
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ネタバレ
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スペクターを連れて無事に生還した主人公。スペクターは長年待ちわびた人との再会を果たし、主人公もサポーター2人といい感じになって大団円を迎える。
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しかしスタッフロールが終わるや否や、地球を去ったはずのピポサルたちは「やっぱりスペクターがいた方が面白い」とあっさり気が変わって地球に取って返してはスペクターを拉致し、主人公は再びスペクター奪還を押し付けられたまま「おしまい」と表示されて終了。
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「終わったと思ったけど、まだまだ続くのでした」という結末自体はドタバタ系作品などでは珍しくないが、本作はその内容に加えて無駄に長いピポサルのやり取り、襲われてから主人公に連絡が行くまでの過程のあっさりさ、そしてブツ切りのラストと、せっかく綺麗に終わったエンディングの雰囲気をぶち壊しにするものになってしまっている。
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アニメ版『サルゲッチュ~オンエアー~』や漫画版は「いなくなったと思ったピポサル達がまた現れ、カケル達は再びゲットアミを手にピポサルを追いかける」という似たタイプの結末だが、どちらも「カケル達の活躍はこれからも続く」と言う感じで後腐れ無く終わっている。
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一応、ピポサルを全て捕まえるという最終目的はあり、捕まえたピポサルは図鑑でいつでも確認できるが、「どのピポサルを捕まえるか」を意識するような作りになっていないため、ピポサルの数がプレイのモチベーションにつながりにくい。
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ボリュームが薄い。
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値段が低めという事から、ボリュームもそれ相応ではないかと予測した人もいたが、実際はさらに下回るものだった。
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ステージは全15種類と本編より少ない。
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ガチャメカは「ゲットアミ」「ハリセン」「パチンガー」「バキューム」の4種類と非常に物足りない。
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「バラエティ」モードの最初から遊べるミニゲームが二人専用のゲームのため、1人でプレイできるのは実質「ストーリー」だけ。
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777匹以上のピポサルの捕獲という一見大ボリュームのやり込み要素もあるが、上述した通りゲームデザインがそれに追従していない。
賛否両論点
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世界観一新
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旧シリーズとは世界観も設定もガラリと変わっている。
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登場人物もほぼ入れ替えて、カケルやハカセ、ナツミやチャルと言った旧作キャラは出ない。
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なお、そのピポサル(黄・赤・黒・水・青・緑・白)とそのピポトロン三人衆とピポッチも、ピポサル(桃)とデビッチまでも加わっているが、一応出演するピポトロン三人衆も隠しキャラ扱いでもある。
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唯一、旧作のキャラであるスペクターの外見も設定も異なっているが、声優と同じ。
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主人公1人とサポーター2人のキャラクター性は旧作には無いものでそれ自体は良好なのだが、いかんせんの登場人物は基本的にいないので、やはり寂しさは否めない。
評価点
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PS3に移行しただけあり、グラフィックは大きく進化を遂げている。
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演出も賑やかで、見ている分には楽しそうな雰囲気が味わえる。
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主人公(デフォルメ名:ガイ、CV:折笠富美子)、トウコ(CV:桑島法子)、ツクシ(CV:井上麻里奈)の3人もモニター越しに顔を出す。どちらも人気声優によるフルボイス且つよく動くのでより賑やかに。
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ピポサルそのものは種類もバリエーションも豊富で個性が強い。
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ストーリー自体はシリアスな面が強く、見所がある。
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数は多くはないがムービーはアニメーションになっており、感情移入しやすい。2Dアニメで描かれたピポサルの可愛らしい姿も見られる貴重な機会でもある。
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過去作はいずれも3D描写であり、複数存在するアニメ作品も全て3DCGアニメであった。『ガチャメカスタジアム サルバト~レ』のあるキャラのムービーや『オンエアー』の一部のシーンなど部分的には2Dアニメ化した事もあったが、純粋に2Dアニメ版サルゲッチュとして作られているのは本作のみである。
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主人公は顔が映らず名前も声も無いが、全くの『ドラクエ』タイプではなくそれなりにキャラ付けはされており、巻き込まれたことに一旦は怒り葛藤しつつも2人のためにゲットアミを手にするという男気を見せてくれる。
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上述した通りスペクターも設定が変わり、今までのような単純に世界征服を企んでいる訳ではなく、またその境遇も重いものになっており、従来とは一線を画したキャラクター性を備えている。もちろん、コミカルな面も健在。
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コミカルな要素は相変わらず
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特にメカボーと差し替えで登場したハリセンは第一エリアで道を防ぐ大岩を砕いたり敵の飛び道具を跳ね返したりとユニークなところがある。
総評
世界観の一新と、ピポサルをゲッチュするというコンセプトの復活で原点回帰した一作。
プレイヤー自身にゲッチュする感覚を味わせる新しいゲーム性を目指したことも窺えるが、ボリュームの薄さと操作性の悪さで評価を落としてしまった。
PS Moveを使ったスピンオフ作品として考えればアイデア自体は悪くなかったが、操作性の悪さは如何ともし難く、また低価格帯としてもボリュームは物足りない。
加えて、スピンオフの乱発が続いていた中で正統派のゲッチュ作品を期待したファンが多かったこともあり、そのファン達を中心に酷評される結果となった。
以降、現在に至るまでこの路線の続編はおろか、『サルゲッチュ』シリーズの新作が出ることはなく、結果としてシリーズの最終作となってしまった。
余談
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本作発売の翌年、コロコロコミックで連載されていた漫画版『サルゲッチュ』(旧題『サルゲッチュ ウキウキ大作戦!』)が12年の長い歴史に幕を閉じ、これによりサルゲッチュシリーズは終焉を迎える事になる。
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一応、『プレイステーション オールスター・バトルロイヤル』ではカケルを始めとする本シリーズキャラが出演していたり、20周年記念イベントが開催されたり、初代がPS5/PS4で配信されたりしているが、シリーズ単独の作品は出ていない。
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なお、漫画版は『サルゲッチュ2』をベースとしているが、他の作品も発売前後に特別編として取り上げられていた。だが、本作については一部のネタでPS Moveについて触れただけだった。
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シリーズ過去作のヒロインは「ナツミ」「ハルカ」「アキエ」といずれも四季が名前に含まれていたため、恐らく本作ヒロインの「トウコ」を漢字表記すると「冬子」になり、春夏秋冬が揃うように意図されていると思われる。
最終更新:2024年11月18日 06:05