ロックマン エグゼ トランスミッション
【ろっくまん えぐぜ とらんすみっしょん】
ジャンル
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データアクションシューティング
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対応機種
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ニンテンドーゲームキューブ
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発売元
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カプコン
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開発元
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アリカ
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発売日
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2003年3月6日
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プレイ人数
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1人
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定価
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5,800円(税別)
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廉価版
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BestPrice!:2004年3月18日/2.980円
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レーティング
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CERO A(全年齢対象)
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判定
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なし
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ポイント
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『ロックマン エグゼ1.5』 一見さんお断りな初見殺し満載の横スクロールアクションへ 豊富な本家&Xネタ
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ロックマンシリーズリンク
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概要
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ロックマンエグゼシリーズの外伝作。シリーズで唯一据置機で開発された作品であり、エグゼシリーズ共通の対人対戦要素は無い。ジャンルもRPGではなくアクションになっている。
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ストーリーの時系列としては『1』と『2』の間であり、登場するナビやチップはおおよそ『2』を基準に一部今作独自のチップが追加されている具合。
特徴
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本作はエグゼの世界ではあるが、本家ロックマンシリーズを大きく意識したゲームシステムとなっており、基本的に『ステージを進んで、最後に待ち構えているボスを倒す』という流れ。
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ただし「インターネット」は広大かつ様々なエリアに繋がっていることがあるので、一部の電脳世界へ行くためにはこのエリアを探索して進む必要がある。
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現実世界は直接移動できず、電脳世界へのポイントが解放された時に選択してプラグインすることになる。
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チップシステム
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チップ周りの仕様は概ね『2』に準じており、「レギュラーチップ」機能が搭載されている。チップ選択で表示されるのは5~10枚。
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エリアスチールなど、一部のチップはアクションとして活用できないと判断されたのか削除されている
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チップを使用する際にはHPの横にある「MP(メモリポイント)」を消費する。この値が減る量は「チップ」の容量と同じ。
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MPは自動回復していくが、サブチップでの任意回復も可能。サブチップ(及び一部チップ等)はヒグレヤもしくはグローバルエリアのナンバーマンから購入可能。
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チップコードの概念は存在せず、同一種類のチップは規定数まで累積され、枚数分使用可能。道中で入手した場合は適宜補充される。
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バスティングレベルは表示されないものの、敵が画面に入った瞬間からタイムが計測され、レベルが高いとその分チップが出現しやすい。
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ボスも同様。ただしエグゼ本編のようにV2、V3の概念が無いため、ナビチップも1種類のみである。
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初めてボイスがついた。もちろんアニメ版と同様のキャスト。
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光熱斗とロックマンには比嘉久美子氏と木村亜希子氏をそのまま起用している。他にも水橋かおりや城雅子、沼田祐介、下山吉光、加藤木賢志、小西克幸、土屋トシヒデといった豪華なキャスト。
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アニメを意識しているのか、OPは『無印版』をテロップ無しでそのまま収録され、またキャラクターの性格もややアニメ寄りになっている。
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GBA版シリーズのプレイヤーに最もわかりやすい違いは熱斗が幼馴染の桜井メイルを「メイルちゃん」と呼ぶこと。本編シリーズでは一貫して「メイル」と呼び捨てにしている。
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いつでもメニューを開けるようになった。
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ボス戦でもあってもサブチップで回復したりフォルダの内容を変更することも可能。ただし空中やボス戦時のプラグアウトは不可能。
評価点
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据置機開発による演出面の強化
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エグゼ特有の「電脳世界」という世界観はよく表現できており、サイバーチックながら文字通り火の海となっている「火事のインターネット」など、各ステージの風景は色とりどりである。
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ウイルスを倒したときなど、データコードが飛び散るようなエフェクトもあり無機質な世界にならないよう配慮されている。
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BGMはアリカ開発ということもあってか「スーパースィーブ」が担当。
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GBA等のナンバリングタイトルとは毛色が違うものの、本家及びXを意識したBGMが多い。
本家ファイヤーマンのアレンジである「火事のインターネット」は大胆であるものの良アレンジとして知られており、またここぞという時にはアニメOPがアレンジで流れる点も盛り上げてくれる。
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豊富な小ネタ
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従来のエグゼシリーズではエグゼ向けにリファインされた本家ロックマンのボスキャラクターなど他シリーズのネタも見られたのだが、本作では横スクロールアクションでの開発ということもあってか、GBAのエグゼシリーズ以上に他ロックマンのネタが多く見られている。
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まず、ロックマン自身のアクション面からして、バンザイしながら行うジャンプや下+ジャンプで発動出来るスライディングなど、本家のロックマンを意識したアクションが多く見られている。これに加えて、デフォルトでロープアクションが出来たり、バトルチップを用いることで空中を高速で移動したり空中ジャンプが出来たりする。
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ステージ面では、ファイアマンが待ち受けるエリアの本家無印を彷彿とさせるチャンキー地帯、クイックマンエリアの本家2の即死レーザー地帯、シャドーマンのエリアではガッツマンステージの移動リフト地帯等、本家やXシリーズを意識したトラップがそれぞれ待ち受けている。
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各ステージの雑魚敵はGBAでお馴染みのメットール以外にもスナイパージョーやシールドアタッカー、ガビョールといった本家ロックマンシリーズでお馴染みの雑魚キャラクターを模したウィルスも登場していたりする。加えて本作のバトルチップの中にはこれら本作特有のウィルスが描かれている物も。
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各エリアのBGMも本家ロックマンのステージをイメージした楽曲が多いが、特定のステージでは本家のフレーズが引用されている楽曲も。
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ボスキャラの行動自体は基本的にGBAのエグゼの物を本作向けに再構成した物が多いが、ガッツマンは地震でロックマンの動きを止めてきたり、グラビティーマンは重力反転でロックマンを翻弄してくる等、本家やXを意識した行動も見受けられる。
賛否両論点
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(エグゼとしては)難しい難易度
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「ロックマン」シリーズではなく「エグゼ」シリーズのファンがプレイした場合エグゼとは異なる操作性に困惑させられる他、「ロックマン」シリーズ等の2Dアクションゲームに慣れているプレイヤーでも、ステージの初見殺しの多さやボス戦での攻略に様々なテクニックを要求される。
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全般的にボスが強い傾向にあり、攻撃の範囲、威力共に高く避けるのが難しい。
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難関ボスとしてよく挙げられるのは「ファイアマン」「ガッツマン」「ブライトマン」「ゼロ」「ブルース」など。
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ボスの特徴
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ファイアマン
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最初に戦うことになるボスであり、攻撃方法はファイアアームとバーニングボディ。
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前者が非常に厄介で、避けるにはファイアマンの足元をスライディングで通り抜ける必要がある。
またファイアマンの近くにいるとバーニングボディで反撃される。ファイアアームを抜けた際に顕著。
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また先述の「足元をスライディングで抜ける」という仕様は一切説明されない。ジャンプで避けようとして当たってしまう人は多いかもしれない。
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最初ということもありチップやロックマンの強化に乏しい状況であるが、素早い操作と状況判断を要するため対策していないとこの時点で躓きかねない。
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ただしヒグレヤで売られているバブルショットを5つほど購入していれば避けなくても勝てる。属性の大切さを嫌でも思い知らせてくれる。
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ガッツマン
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エグゼ本編と打って変わって、
序盤の最難関。
2番目のボスと思って挑んだプレイヤーはここで出鼻をくじかれやすい。
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特に厄介なのが、振り下ろしモーションが非常に速い上に地面全体攻撃のガッツハンマー。他の攻撃と違って発動に関するトリガーは無く、いつ放ってくるかはわからない。
威力はまずまずだが、避けられず何度も喰らっていつの間にか倒されている…なんて事もしばしば。
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必ずではないが、近づくとガッツパンチを放ってくる。これも非常に出が速く、スライディングで足元を通り抜けた直後にこれを喰らう事も。
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ガッツマンは無属性のため、先のファイアマンと違って有利な属性のチップで早期撃破…ということが出来ない。
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弱点は移動速度の遅さ。離れて撃つのが定石だが、上記の攻撃を対策できないうちはそれも覚束ない。
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ブライトマン
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常に初段の攻撃をガードするボスであり、その後の隙を狙わなければどんな高威力の攻撃も無駄になる。
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ブライトビームも追尾型の細長いビームとなっており、普通のジャンプやスライディングでは当たってしまいかねない。
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本作の中でも初見殺し要素が強くこれまた初心者の壁となっている。電気属性のため、ニードルマンステージでチップ対策が可能なのが救い。
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しかし、実はロックバスターをワザと外して挑発させ、挑発が解けたところに攻撃を何度か加えれば簡単に倒せる。行動パターンを知っているか否かで難易度が変わる典型的な例である。
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ゼロ
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通常時は常にガード状態。攻撃を通すには、こちらにワープをして剣撃をしてくる時を狙う。
こちらが攻撃するか、至近距離に居ない場合は左右への移動を行うが、接近されると当たり判定の大きさから
回避不能
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ブライトマンと同様に初見殺しの要素が強く、見てからではスライディングが間に合わない場合が多い。
ワープ時の方向もランダムであり、前方の場合はスライディングだけでは3段目をくらう危険性がある。
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体力が少なくなってくると、前方に対してジャンプやスライディングではかわせない程大きい衝撃波を飛ばしてくる。
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溜め時間も少ないため、素早く後ろに回るか、インビジブルを使用しないと大ダメージを負ってしまう。
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ブルース
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上記のゼロを更に凶悪にしたボス。通常時は常にガード状態な上にシールドによりダブルジャンプ以外での回避が不可能な衝撃波を出してくる。
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ソードはゼロより短いものの、ダッシュ斬りやワープ斬りなどかなりスパンが短い上に不規則な動きで翻弄してくる。
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幸い、ブルース自体はストーリー上では戦わずおまけボス扱いである。その点を考えればその強さも納得はいく。
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チップ枚数は基本的に現実世界に戻るかボスを撃破するまで補給されない。
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ボスが全体的に強く、序盤のチップの貧弱さも相まって序盤から難易度が高すぎるというシリーズでは珍しい欠点を抱えている。
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MPの回復速度は最大MPが高い程早くなるため、メモリUPを取得していない序盤はMPがカツカツになりやすい。
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対戦が出来ない
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ジャンルの違い等の点から難しいと判断された可能性もあるが、やはり対戦要素がエグゼシリーズの特徴でもあったため、これが無いのは寂しい。
あくまでアクションゲームとして楽しむべきか。
問題点
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チップ間のバランス
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最終的に対ボスを突き詰めた場合の戦略はインビジブルを複数所持して使用しつつ溜め撃ちロックバスターで倒すというもの。
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同時に、PAである「ゼータキャノン」も非常に強力。
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ゼータキャノン及びロックバスターが強いといわれるのは、今作のボスは被弾後の無敵時間が存在する点が大きい。
画面全体にダメージ70の攻撃を複数回与える「ダブルヒーロー」、3回斬りつける「ゼロ」は
2
ヒットと、実践上でのダメージは相当低くなってしまう。ボスに対して連撃タイプのチップはどれも「死にチップ」と化している。
対してゼータキャノンは無敵時間を考慮しても効果時間が非常に長く最大で480ダメージを与えられる。
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ロックバスターはチップと違ってボスに無敵時間を与えないため、チップで戦うよりも素早くダメージを与えられる。攻撃力を最大まで上げた場合には、ハイキャノンとほぼ同等の威力となり下手なチップより効率がいい。
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当然ボス相手の話で、雑魚相手であれば無敵時間は存在しないのでちゃんとフルヒットはする。しかしPAにすると所持数にかかわらず全て使用した扱いになるほか道中とボスを含めてチップが有限である以上、気軽にチップを使用できないのが現実。そのため弱く感じがちである。
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やりこみの少なさ
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隠しステージの類は特になく、隠しボスもブルースと、とある条件を満たすと戦うことができるフォルテぐらい。
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ボスナビにはV2やV3の概念が無いため、シミュレータで再戦する時には行動パターンが決まっていることもあって単調になりがち。
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取り返しのつかない要素
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ゼロと戦う前に、とあるアイテムを拾っておかないとナビチップの「ゼロ」を入手出来ず、チップコンプリートが出来ない。
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強化する利点に乏しい「連射力(RAPID)」
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ロックバスターの強化のうち、連射力は上げてもほとんど効果が無い。溜め撃ちロックバスターが強いのもこれに拍車をかけている。
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ただ、この点はナンバリングタイトルでも同様の問題があったりする。
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溜め撃ち直後から連射すればもう一度溜め撃ちしてから攻撃するよりも素早く雑魚敵を倒せるケースや、連射によってボスラッシュ時に戦うクイックマンを足止めしやすくなる点など強化する利点もあるが、他のステータス強化に比べると微妙である。
総評
ロックマン エグゼで展開されていたRPGと本来のロックマンが得意としていた横スクロールアクションゲームの折衷作なのだが、全体的に調整不足なゲームバランスが足を引っ張ってしまった。
とはいえ、本作は普段とは全く異なるジャンルで登場したロックマン エグゼシリーズ作品。「一風変わったロックマン エグゼが遊びたい」と思うプレイヤーには適していると言えよう。
その後の展開
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本作でエグゼにXシリーズのネタを入れた事が反響を呼んだのか、後に本家エグゼシリーズでも『5』よりXシリーズを元ネタとしたキャラが登場する事になる。
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本作で初登場したボスはアニメ版シリーズにも登場した他、GBA『4.5』では隠しプレイヤーキャラとして本作のスターマンが登場している。
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また、『4』では今作のチップと同名の「ゼットセイバー」が登場。こちら側のゼットセイバーはGBA『ロックマン ゼロ3』との連動で獲得出来るチップで、持ち主も『ロクゼロ』側のゼロである。
このため「本家エグゼにトラミソのゼロがまさかの参戦!?」と思ったプレイヤーも少なくないらしい。
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後に『5』がニンテンドーDSに移植された際にはアニメ版声優によるキャラクターのボイスが追加されたり、ハードに合わせたBGMのアレンジが行われるなど、上位機種で発売された本作に準じた方向のアレンジが施される事になった。
余談
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本作とアニメ版では声優が異なるキャラクターが存在し、ソードマンの場合はアニメ版でサンダーマンを演じた中村大樹氏が担当しているが、アニメ版では個別の声優が担当している。
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アクションゲームをジャンルとするロックマン エグゼシリーズ作品は、本作の少し前に発売されたWS『ロックマン エグゼWS』も存在する。
最終更新:2024年03月29日 16:18