Joy Ride Turbo
【じょいらいどたーぼ】
ジャンル
|
レースゲーム
|
対応機種
|
Xbox 360
|
発売元
|
Microsoft Studios
|
開発元
|
BigPark
|
発売日
|
2012年5月23日
|
定価
|
1,029円
|
プレイ人数
|
1~4人 オンライン時最大8人
|
レーティング
|
CERO:A(全年齢対象)
|
配信
|
Xbox Live Arcade : 2012年5月23日 Microsoft Store (Xbox One後方互換):2015年11月12日
|
備考
|
オンライン配信のみ
|
判定
|
なし
|
ポイント
|
カジュアルで気楽なレース 低価格でボリュームの少ないマリオカートフォロワー
|
概要
『マリオカートシリーズ』の大ヒット以来、各社が「キャラクターが小さめのカートや乗り物などに乗りアイテム等で互いに妨害をしながらレースをする」というスタイルのレースゲームを発売し『カートレースゲーム』というジャンルとして定着して久しいが、本作はMicrosoft Game StudioからXbox 360のDL専用ゲームとして配信販売されたカートレースゲームスタイルのゲームである。
2015年11月12日からXbox Oneの後方互換機能にも対応しているため、Xbox Oneでも問題なく遊ぶことが出来る。(Xbox One本体から購入するにはクレジットカードが必須)
前作としてXbox 360の周辺機器であるモーションコントローラー『Kinect』専用ソフトである『Kinect Joy Ride』が存在するが、本作はKinectには非対応の、標準コントローラーで遊ぶレースゲームである。(後述)
特徴
-
本作は基本的にこのジャンルのゲームとしておなじみの「ドリフトコーナーリングを主体としたアーケードライクな挙動の車」「コミカルな世界観」「アイテムを獲得して妨害しあう」というスタイルに倣っている。
-
本作独自の要素として『Xboxアバターの採用』『物理演算エンジンHavokの採用』『スノボーゲーム風の空中スタント』『競走ではないゲームモードである"スタントパーク"』『車の収集』などが挙げられる。
Xboxアバターの採用
-
本作はXbox 360時代のMicrosoft Game Studioのソフトに幾つか存在した『Xboxアバターを用いたファミリー路線』のイメージを踏襲しており、登場キャラクターはCPUキャラも含め全てXboxアバターである。(任天堂の『Wii Sports』などに近い)
-
ちなみに本作で使用できるアバターはXbox Oneで新しく追加された海外CGアニメーション風な『Xbox アバター』ではなく、Xbox 360から共通で使うことの出来るイラスト風な『Xbox オリジナル アバター』なので、Xbox Oneユーザーでまだオリジナルアバターを作ってないという人は、Xbox Oneアプリのひとつである『Xbox Original Avatars』アプリであらかじめ作成することをオススメする。
-
Xbox オリジナル アバターには無料・有料含め多数のきせかえアイテムが存在するが、それらのきせかえもゲーム内に適用される。
物理演算エンジンHavokの採用
-
本作ではテレビゲームの物理演算エンジンとしてメジャーな存在である『Havok』が採用されており、コース上の物が壊れたときの破片の表現や車の挙動の一部に活かされている。
-
コース上には車がぶつかると壊れる物体がたくさん存在し、(特にレースには関係ないものの)派手に破片が吹き飛んで爽快感を演出している。
-
Havokというと、一部のゲームでは物理演算が思わぬ挙動を示し物体が奇怪な動きをしてしまう事例もあるが、本作ではそこまで奇怪な動きは起こらない。
-
とはいえ物理演算である以上、特に車の動きにおいては周囲との接触によって様々な挙動が起こり、本作がジャンプしたりドリフトしたりスタントしたり攻撃したりする派手なアクションのゲームであることもあいまって、地形・ライバルカー・アイテムとの干渉により思わぬ動きを引き起こしたりするアクシデント性と躍動感、そしてアニメーションなどで見られるようないい意味での『ラフさ』『強引さ』を生んでいる。
-
ちなみに、ひっくり返ったりして走行不能になったときにはすぐに強制復帰するので安心してほしい
スノボーゲーム風の空中スタント
-
本作にはアーケードスタイルのレースゲームによくあるドリフトをしている長さに応じてブーストゲージが貯まるシステムを採用しているが、それに加えて本作では空中でスティックを倒し続けることで空中スタントを行い、ブーストを稼ぐことが出来る。
-
空中スタントのシステム自体は同ジャンルのゲームには珍しくないが、今作では『スティックを倒している間くるくると車体が回転し続け、着地に支障が出ない範囲で沢山回転したほうがたくさんブーストゲージを溜められる』というスノボーゲームのスピン系エアトリックのような形となっている。
-
ジャンプ台が設置された場所以外でも、車が宙に跳ねる地形であればスタントは可能であり、そうした場所では跳ねる前に速度を保ったりブーストを使ったりして滞空時間を延ばすのも重要となる。勢い余ってのコースアウトにも注意。
スタントパーク
-
競走目的でないゲームモード。
それなりの広さと高低差のある箱庭空間を自由に走り回り、スタントを決めながら『コイン』『車のパーツ』『トロフィー』(収集アイテム。PlayStation Networkのトロフィー機能とは関係ない)を集める。
-
制限時間や勝ち負けなどないので、好きなだけ車を乗り回して遊べる。
-
やめたくなったらポーズメニューから「終了」を選択すれば、その時点で獲得した収集物をすべて保存した上でメインメニューに戻れる。
車の収集
-
今作はもともと基本プレイ無料のゲームとして計画されていたようで、
その名残か車の収集が充実している。
-
車の『基本モデル』は15種類存在し、それぞれに性能が異なる。
-
また、それらは『スポーツ』『マッスル』『トラック』の三つのクラスに分かれており、出場するグランプリによってはどれか一つのクラスに限定されるものと
どれでも好きなものに乗れるものがある。
-
『基本モデル』と表現したのは、各モデルにカラーバリエーション、さらに"ストック"と名に付く車は『スタイル』(デザイン)のバリエーションが
存在するからである。
-
入手していれば車の選択時にLB/RB/LT/RTで切り替えることができる。
-
これらのカラーリングやスタイルには性能の差異はなく、感覚としては格闘ゲームのカラーバリエーションおよび衣装バリエーションに近い
-
ゲーム開始時には各クラス一台ずつ、合計3台しか開放されておらず、レースコースおよびスタントパークに隠されている『車のパーツ』を集めることでゲーム内コインで購入できるようになる。
アイテム
-
本作に登場するアイテムを紹介する。
-
なお、本作でもアイテムボタンを押し続けることで攻撃系のアイテムを車に装着し、空いたアイテム欄にもう一つアイテムを持つことが出来るが、アイテムを装着している段階ではそのアイテムによる攻撃や防御などの当たり判定は発生しない(つまり攻撃アイテムをぶら下げてのガードや妨害は出来ない)
+
|
アイテムとその効果の一覧
|
フォースフィールド
-
青い盾の形をしたアイテム。
-
使うと車が青いオーラに包まれ、一定時間アイテム攻撃と悪路による減速を無効化する。
-
その上コーナーリング性能も大幅に上がりドリフト無しでもらくらくカーブを曲がれる。しかし逆にドリフトがほとんど出せなくなってしまうため、ドリフトでブーストゲージを稼ぐのに向いた長いカーブの前などで使ってしまうと、その分のブーストゲージを稼ぎ損ねてしまうので注意。
ターボ
-
青いボンベの形をしたアイテム。
-
使うと一定時間車が高速で走り、コーナーリング性能も上がる。
-
車が跳ね上がる地形の前で使うと車が遠くまでジャンプしてしまいコースアウトしてしまうこともある。
ロケット
-
青い二つのミサイル。
-
前方のライバルを攻撃するアイテム。当たるとスピン。
-
追尾性能はないものの飛行中は若干補正がかかり、しかも二発同時発射されるのでわりと当てやすい。
-
うまく狙えばライバルカー2台にいっぺんに当てることも可能
ヒート シーカー
-
赤い単発のミサイル。
-
前方のライバルを追尾して攻撃する。当たるとスピン。
ようするに赤コウラである。
-
至近距離で撃つと追尾してくれないので使うタイミングに注意する必要がある。
スマート ロケット
-
紫の電気を纏った黒と黄色のミサイル。
-
撃つとトップを走るライバルのところにワープして命中する。当たるとスピン。
-
今作の攻撃系アイテム全般に言えるが、スピンで停止する時間は総じて短め。
ディープ フリーズ
-
水色の四角い氷のアイテム。
-
使うと自分より前にいるライバルを全員氷漬けにする。
-
「氷漬けにする」というとなにやら凄い効果のようではあるが、実際は……
-
凍った状態でも走り続け、やりづらいながらもコーナーリングも出来、タイヤまで凍っているためカーブでは常時ドリフト状態となりブーストゲージが貯まりまくる。
-
そして攻撃を喰らったときのみならず壁やライバルとの衝突・着地時など些細な衝撃でも氷が解除され、オマケにブーストゲージを一つ使って自分で解くことも出来る
-
などと実のところ喰らってもたいした被害にはならない。
-
ただし、凍っていると空中スタントができないため、長距離ジャンプのジャンプ台に乗るときなどに凍らされてしまうと、そこでたくさん稼げたはずのブーストを得そこねてしまう。
-
そのため、ライバルと接戦になっている場合には、大ジャンプに差し掛かる所でうまく使えれば着地後のブーストで差をつけることができるだろう。
地雷
-
青いトゲトゲの設置アイテム。
-
踏むとスピン。
-
ジャンプ台の前に置いても問題なくジャンプするのであまり効果はないが、アイテムボックスの後ろに隠すのは可能。
ホーミング マイン
-
赤いトゲトゲの設置アイテム。
-
後続車が近づくと迫ってきてスピンさせる。
-
フォース フィールド以外で防ぐのは困難。
トリックボックス
-
いわゆるニセアイテム。
-
踏むと例によってスピン。
-
今作のアイテムボックスは黒字で?マークが描かれた木箱だが、このトリックボックスは「?ではなく!が描かれている」という違いだけであり、じっくり見なければ間違えてしまいかねない見た目となっている。
ダイナマイトドロップ
-
赤いダイナマイトの形のアイテム。
-
使うと前方のライバルたちにむけて空から無数のダイナマイトを落下させるという見た目は物騒なこと極まりないアイテムではあるのだが……
-
これらのダイナマイトは当たってもすこし押しのけられるだけなので実のところ運転の邪魔になる程度である。
ショックウェーブ
-
円形の煙の形のアイテム。
-
使うと周囲に放射状に衝撃波を放ち、周囲のライバルを押し出したり、アイテムボックスを破壊することができる。
-
ライバルを押す効果は本当にただ押すだけなので、背後から使っても文字通り『背中を押して』勢いをつけさせてしまうことになってしまう。
-
そのため、相手と横並びになったときや相手が追い上げて来そうなとき、あるいはコーナーリング時の妨害などに使うのが有効。
-
広範囲のアイテムボックスを破壊できるので、アイテムボタン押しっぱなしで装着しておいて、自分がもう一つアイテムを獲得すると同時に発動することで自分はアイテムを獲得しつつ後続が取るべき周囲のアイテムボックスも根こそぎ破壊する、というたいへんイヤらしい戦術もある。
-
なお、このアイテムを装着しているときは衝撃波をチャージしているような独特の表現がされる。周囲の壊れる障害物の類をどんどん巻き込んでいく様は必見。
ブースト燃料
-
赤いガソリンタンクの形のアイテム。
-
使うと一定時間車が赤く輝き、ブーストゲージがぐんぐん溜まりつづける。
-
カーブやジャンプ台などブーストを溜める場とそれを使う場の多い本作では地味に使いどころに困るが、ブーストを溜めることのできない長い直線などでの追い上げやあるいは長いダートを突っ切っての大幅なショートカットに使えると理想的。
|
評価点
-
本作は言ってしまえばマリオカートシリーズのフォロワーであり、システムの大部分はマリオカートシリーズのものを踏襲しているが全体的によりカジュアルで気楽に遊べるようなバランスに調整されている。例を挙げるなら
-
ドリフトやスタントで獲得できるブーストはゲージに溜まっていつでも使えるスタイルになっており、攻撃を受けたり運転ミスしたときにリカバリーに使ったり、ここぞ!というときに連発して逆転したりと融通が利く。(車種によって2~4つに分割されており、一ブロックが満タンになるとブーストが一回使える)
-
コースアウトして芝生等に突っ込んでも減速が少なく、溜めたブーストを使ったり地形を活かして飛び越えたりとショートカットもしやすい
-
普通に走っていて奈落の底に落下する作りになっているコースはない
-
一部の難度の高いショートカットルートを通ったり、車が跳ねる地形でブーストやターボアイテムの使いどころを誤って飛び過ぎてしまったときくらいである
-
ジャンプ台で飛び越えるシーンなどで攻撃を受けても落ちない
-
レースを妨害する目的であらかじめ設置された障害物はほとんどない
-
これらの「ストレスを極力減らす」という方向性は、どちらかというとアーケード版(ゲームセンター用)の『マリオカート アーケードグランプリシリーズ』に近いといえるかもしれない。
-
全体のビジュアルや音楽も激しさとは無縁で、親しみやすさと気楽さを重視している
-
操作性も軽快で、気持ちよくドリフトやスタントができる。
-
ただしボタン配置は
RTトリガー
|
アクセル
|
LTトリガー
|
ブレーキ
|
RBバンパー
|
視点変更
|
LBバンパー及び Yボタン
|
後方確認
|
Aボタン
|
アイテム
|
Bボタン
|
ブースト
|
Xボタン
|
ドリフト
|
となっており、マリオカートに慣れたプレイヤーは混乱しやすい。
問題点
-
ボリュームがとても少ない
-
本作にはレース用コースが10コースしかなく、しかもコースの見た目のロケーションは「中国風建築のある草原」「アメリカ西部風の岩肌の荒野」「海辺の街並みを走る港町」の三種類しかない。
-
一応同じロケーションでもコースごとに構造や特徴などは大きく差別化されているが……
-
そのため一般的にこのジャンルのゲームには多彩なシチュエーションが用意されていることを期待して買うと大きな肩透かしを食らう。どっぷり浸かって長時間プレイして楽しむ用途で買うのはオススメできない。
-
きわめて没個性
-
システム面やアイテムなど独自の部分もあるが、ゲーム全体のビジュアルやイメージとしては意図的に無個性にしているフシすら感じられる。
-
これも、「新しいゲームを遊ぶときはそのゲームの見せてくれる新しい世界が楽しみである」というタイプのユーザーからは好ましいとは言いがたい。
-
30fps動作
-
HD解像度対応以降のゲーム機において30fpsのレースゲームというのは別段珍しいものではないが、本作がわりとシンプルな見た目のデフォルメ系のゲームであることや、マリオカートシリーズがゲームキューブ以降60fpsを死守していることなどからも不満を抱く人もいることだろう。
総評
マリオカートのフォロワーとして標準的な内容でありボリュームもかなり少ないことから、このゲーム単体に大きな期待を抱いて買うようなものではない。
しかしながらゲームプレイは短時間で気楽に気持ちよく遊べるようにかなり配慮が行き届いており、価格も安価なため、Xbox 360やXbox Oneにインストールしておいて他のゲームの合間に息抜きにワンプレイするには悪くない内容である。
このゲームは雰囲気・システム・操作性が好みかどうかによってその人にとっての価値が決まるといっても過言ではない。Xbox 360を持っているのであれば体験版がダウンロードできるのでまずはそれをプレイして判断することを勧める。
余談
本作の前作として『Kinect Joy Ride』という
Xbox 360用のモーションセンサーコントローラーである『Kinect』専用ソフトが存在する。
もともとコントローラーで操作するゲーム『Joy Ride』として発売予定だったものを開発途中でKinect専用ソフトとして仕様変更して発売したものの不評で、あらためてコントローラー操作に戻して改良を加え発売されたのが本作『Joy Ride Turbo』である。
そのためビジュアル的には限りなく似通っているので購入時にはお間違えなきよう。
最終更新:2021年06月03日 13:28