トミカヒーローレスキューフォースDS

【とみかひーろーれすきゅーふぉーすでぃーえす】

ジャンル アクション
対応機種 ニンテンドーDS
発売元 タカラトミー
発売日 2008年11月20日
定価 5,040円(税抜)
プレイ人数 1人
得点 トミカ「コアストライカーMAXファイアーバージョン」付属
判定 なし
ポイント トミカヒーローのゲーム化
ストーリーは好評
バトル演出に難あり


概要

トミカを商品展開に利用した特撮作品『トミカヒーロー レスキューフォース』のゲーム化。人類滅亡を狙うネオテーラの起こす「超災害」から人々を救助する。

  • 『トミカ』とは、タカラトミーが販売しているミニカーの事。トミー時代の1970年から販売し続けているロングセラー玩具である。ちなみに同社の鉄道玩具『プラレール』と組み合わせて遊ぶこともできる。

ストーリー

若き5人の特別救助部隊、その名は「レスキューフォース」。
彼らは地球滅亡を企む悪の集団<ネオテーラ>が引き起こす超災害を鎮圧するため、世界消防庁によって選ばれた精鋭たちだ。
彼らは災害発生と共に出動、強靭なスーツを着装し、災害現場へと駆けつける。
特殊開発されたスーパービークルとレスキューツールを駆使し、あらゆる危機に敢然と立ち向かう勇者。
全ての人々を災害から救い出し、ファイナルレスキューの威力をもって、超災害を爆裂的に鎮圧する。
「爆鎭完了!」の言葉を残し、大空を去っていくレスキューフォース。
今日も何処かで彼らは人々を救出しているのである。
(説明書より)


内容

  • 時系列はR5登場~ダーエン登場。
  • ゲーム開始すると「すとーりー」「これくしょん」「レスキューシート」が表示される。
    • すとーりーはオリジナルストーリーを読み進めていくモード。いわゆるADV形式で、 通常モードとオートモードがある。
    • 途中で「超災害」を鎮圧するミニゲームが挟まれる。ミニゲームには制限時間があり、超えてしまうと失敗となる。ただし、失敗しても物語は進む。
      • ミニゲーム終了後は「災害報告書」としてリザルトが表示され、それに応じたR5からのアドバイスが得られる。
    • 物語を全て読み終わると「レスキュー講座」となり、これくしょんで使えるカードが手に入る。
      • カードにはミニゲームが遊べるようになるものとビークルの発進のムービーが見られるものの2種類がある。一部を除き、すとーりーで登場したカードが手に入る。
    • そのあとはすとーりーで次に見ることになるタイトルの紹介が行われ、タイトルに戻る。
  • これくしょんでは上述の通りすとーりーで登場したミニゲームで遊んだりビークル発進を見たりできる。
  • レスキューシートでは、当時レスキューフォース関連作品に付いていた「レスキューシート」に書かれたパスワードを読み取ることでこれくしょんを増やせた。
    • 本作にも1枚付属していた。

評価点

  • ストーリー
    • オリジナルストーリーであるが、起承転結のはっきりした構成であり子供にも読みやすい。
    • 本編ではあまり見られなかった「街の人たちとの絡み」が多く描かれており、ハートウォーミングなエンドが多いのも高評価。
    • 話数も15以上あり、ボリュームは十分。
    • 起こった災害について「災害(の種類)」「要救助者人数」「適正ビークル」といったものから「発生場所」「発生場所の地図」まで、それこそ本編以上に詳しく設定されているのも興味深い。下画面に表示される総司令からの伝達内容は一読の価値あり。
  • ビークル発進演出
    • 2Dながら素晴らしい迫力。特にレスキューショベルは視点が工夫されており、DSでありながらリアルな演出を楽しめる。
  • テレビ番組をイメージしたゲーム性
    • すとーりーでは最初に本放送よろしくサブタイトルが表示され、最後にはレスキュー講座と次回予告、さらにはエンドカード*1までもが入るという構成。
    • サブタイトルをアニメ風に表示する作品は『それいけ!アンパンマン ばいきんまんの大作戦』や『妖怪ウォッチ』のように複数の例があるが、おまけコーナーやエンドカードまで再現した作品は稀有。

賛否両論点

  • 本放送とはリンクしない
    • 肖像権の問題かは不明だが、エンドカードと立ち絵を除き実写のレスキューフォースの素材は一切登場しない。よって変身前の生身の人間の姿は全く出てこない。
    • オリジナルの話が楽しめる点は順当に評価すべき点であるが、テレビ放送と一切繋がりがないのもそれはそれでつまらない。

問題点

  • モード名
    • 「レスキューシート」がカタカナなのに「すとーりー」「これくしょん」がひらがなで表記される。対象年齢を考えての配慮か正規表現を考えての表記かは統一するべきではないだろうか。
  • ミニゲーム
    • 全体的に「目的の場所をタッチ」「グルグル回すようにスライド」など作業感が強く、ひたすら同じような動きを続けるものがほとんど。
    • その割に1つのミニゲームにかかる時間がかなり長く、飽きやすい。面構成もほんの僅かしかバリエーションがない。
    • ミニゲームの種類も少なく、苦肉の策として「火の色を青にして化学火災を表現する」「水の色を黄色にして油の噴出を表現する」といった手法が取られている。
  • 演出面
    • 原作が災害を扱った特殊なテーマということもあるが、敵のデザインがとにかく怖い。
      • 竜巻や大火に不気味な目と口が生えた容姿はもはやホラー。油の敵などはトラウマものである。
      • しかし、倒した時の演出は「敵のイラストが破けて飛び散る」という貧相極まりないもの。せめて断末魔くらいは欲しかった。
    • ビークル合体演出のアニメーションが雑であり、質はあまり高くない。発進演出が良いだけに残念なところ。
    • ADVパートの背景は実写なのだが、そのせいで災害の描写が非常に苦しいものとなっている。
      • 火災は淡いオレンジ色のモヤをかけることで表現しているが、プレイヤーにはむしろ煙のように見える。
      • レスキューフォースのいる地面が空中に浮いてしまう回があるが、これに至っては一切の変化が起こらない。ネオテーラがはるか下でこちらを嘲笑っていても、演出上は皆同じ高さに居るのである。
  • 一部キャラの言動に違和感がある
    • 話数を進めていってもR1の言動が初々しい。火災を目の前にして「うわあ ほんとうに もえてますね」はどうなのか?
    • ミニゲームの成績が悪いと、R5から「体の調子が悪いみたいだからゲームを中断しろ(意訳)」と声を掛けられる。
    • 敵キャラのサーンが「つんぼ」という単語*2を使う。一般に不適切とされる語であり、古い作品を復刻させる際に表現を改められることも多い。子供向けの本ソフトではなおさら良くないと考えられる。
  • その他の問題点
    • ADVパートでスピードを「はやくすすむ」にしても、進行がオートになるだけではやくすすまない
    • ボイスがR1とR5にしかない。他の登場人物には汎用ボイスやバンクシーンがないため仕方ない面もある。
    • 肖像権の問題からか、レスキュー隊員の通常の容姿が一切登場しない。
    • レスキューシートの意義が薄い。ゲームに付属する1枚を除いては全て本編をプレイすれば追加されるものであり、わざわざパスワードを入力してまで早く手に入れる意味が殆どない。

総評

オリジナルストーリーを大量に収録した作品であり、その内容も評価が高い。しかし、特撮ものとして最も肝心な要素である演出が貧相だったため、そこまで評価が上がることはなかった。
対象年齢もありゲーム進行は簡単なので、特撮ファンがスピンオフの一つとして入手しておくのも良いだろう。


余談

トミカヒーローシリーズの特撮テレビ番組は続編の『トミカヒーロー レスキューファイアー』も制作されたが、商業成績はそこまで振るわず、2作品で終了となった。
しかしその10年後に制作されたアニメ「トミカハイパーレスキュー ドライブヘッド」は商業的に成功している*3

最終更新:2021年11月02日 13:30

*1 いわゆる「またみてね」である。

*2 聴覚障害者を意味する。

*3 厳密には「トミカハイパーシリーズ」と「トミカヒーローシリーズ」は別シリーズだが(ハイパーの方が古い)。