赤ずきんチャチャ
【あかずきんちゃちゃ】
ジャンル
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RPG
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対応機種
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スーパーファミコン
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メディア
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12MbitROMカートリッジ
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発売元
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トミー
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開発元
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ランドワーフ
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発売日
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1996年8月9日
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定価
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7,800円
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判定
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良作
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ポイント
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TOMYのSFCソフト最終作 ドットが神品質
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概要
アニメや漫画で展開され大人気だった『赤ずきんチャチャ』のゲーム化作品。
原作漫画とアニメでは内容が全然違うが、この作品はアニメ版を元にしつつ、それとはまた違ったオリジナルストーリーが展開される。
同名で発売されているGB版も、また違った内容のゲームである。
『魔法騎士レイアース』で好評を博したトミーという事もあって発売前から色々と盛り上がっていた。
本作は、電源を入れると、タイトルではキャラクター達が一枚絵で迎えてくれる。作中では顔グラや一枚絵が殆どないかわりに、ドット絵や戦闘中の会話などが豊富に盛り込まれている。
内容
ストーリー
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チャチャ、しいねちゃん、リーヤの3人はセラヴィーやどろしー達と暮らしていたが、ある日、ホーリー、ローリーのコンビに出会う、この世界は別な世界ぽぽんたと繋がっておりそこに脅威が迫っている事を告げられる。
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平和な場所で次々と起こる怪事件、珍事件を解決しながらストーリーの本質へ近づいていく。
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多くの原作キャラの助けを借りて妖術師ドドリーマーの悪だくみに立ち向かう。
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舞台の上
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話の最初には3人が登場して色々と盛り上げてくれる。
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エンディングの際は、ただのスタッフロールではなく、3人トリオによってスタッフの名前が出て来る。
戦闘システム
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サイドビューでコマンド方式で行われる。
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チャチャ達は最初から色々な魔法を覚えており新しく覚える事はない。
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最初から最後まで全てボスバトルであり、ザコとのエンカウントは一切ない。リソースは限られておりその中から状況に応じて戦い方を組み立てるのが本作の醍醐味である。
評価点
原作の登場人物が多数登場する
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主人公たちは勿論、セラヴィー好きのやっこちゃん、リーヤ好きマリン、ももんが流忍者のおりんちゃん、学校の先生など原作でお馴染みのキャラクター達が多数登場。
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マリンはリーヤの獣形態は嫌いなど、バラトゲの先生、鞭使いなど原作通りに振る舞う。ドクター・ホー、各地で手助けをしてくれる物知りふくろう、263さいのグレートマザーなども登場。
素材
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キャラクターのグラフィック
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一枚絵や顔グラは殆どない代わりに、ドット絵は更に磨きがかかっている。斜め移動も出来るようになりその際のグラフィックも用意。
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ダッシュ機能では、チャチャ、しいねはホウキに乗り、リーヤは変身して移動速度が向上。
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人物の周りを周回する動作も面白い、同社の『エスパークス』からの輸入と思われる。
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文章の仕様
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台詞は漫画のような噴き出しで雰囲気がある、ビックリした際はジグザグ形状の枠である。
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文章は漢字が使われており、子供向けに作戦(さくせん)、信用(しんよう)と振り仮名が振ってある、更に太文字で強調するなど丁寧。
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マップ
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チャチャの家から学校まで原作にもあった場所が豊富に用意。
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トミーの前作、前々作にあった無駄に広くて移動に困るという問題点も見事に解消されており、時間をいたずらに費やすという事はない。
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マップチップも非常に描き込まれており、水辺の近くの樹木をとってもただの反転画像ではなく、地上にあるのと水面に映っているのとで違いが描き分けられている。
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戦闘画面
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戦闘魔法はアイコンと解説で分かり易い。
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チャチャ達は多彩な動作、敵はアニメーションしたり、吹き出しで色々な表現で会話するなど、スクウェア名作にもなかった要素が盛りだくさんである。
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魔法やアイテムにはアイコンが付いて分かり易い。更に個数や解説も表示される。
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MPはグラフで表示、使った後の残量がどうなるかも表示。補助魔法は既にかけている際はONマークで分かり易い。
その他
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看板ではキャラが止まるようになっており読みやすさが向上している。
賛否両論点
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仲間をすり抜ける事が出来ない。
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当たり判定があるためスムーズに移動できない。急かすとどいてくれる。
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アクション要素は一切ない
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序盤の戦闘は厳しいが、フィールドではシビアな動作も要求される事もなく、リーヤが溺れている際に制限時間があるわけでもない。ただし、記憶力は要求されるイベントはある。
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ゲームバランス
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最初は厳しいが、その後は回復アイテムが多く手に入るので易しくなる。更にクイズに正解すると回復アイテムがもらえるイベントまで用意、回数は無制限、問題は固定なので安定して手に入る。
同社のSFC1作目の凶悪さとはえらい違いである。
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状態異常の眠りも最初からラスボスまで全員に効いてしまう、その間にしいねがスピードアップ魔法を使っておけば楽である。
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アニメ版同様、チャチャがマジカルプリンセスに変身可能。ファンには嬉しい要素。
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戦闘力はたいして変わらない。変身しなくてもクリアは可能。
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戦闘曲が変わるのはこの際だけである。
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リーヤも獣形態に変身可能。攻撃力が上がる。
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しかし防御力が下がって回復の手間が増え、かえって足手まといになってしまう。
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ラスボス
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一応伏せる
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全体攻撃は強めだが嫌らしい攻撃はやってこないので安定して勝てる。倒した後はふてくされて片付けもチャチャ達に丸投げして帰るという有様で、後にセラヴィー達も見かけたというが見かけただけで見逃した模様、後に本拠地に行ってみると長い眠りについたとの事。
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チャチャは戦闘漫画ではなく、ドドリーマーの悪事も悪質な嫌がらせ程度だったので、このあたりが丁度良い落としどころと思われる。
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ラスボスを倒した後でもセーブが出来てしまうのは珍しい。こんな事が出来るのは『Sa・Ga2 秘宝伝説』以来であろう。
問題点
セーブファイル
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ファイルをコピーする事ができない。セーブファイルは実質1個となってしまっている。
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「消す」機能も用意されているが、うっかり選ぶと選択肢も出ないで削除されてしまう。
ゲームバランス
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ザコ戦がない。最初から最後までずっとボス戦。
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このため成長要素がほぼない。魔法は最初から全部覚えていて、HP/MPはストーリーを進めることで成長していく。
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攻撃魔法は炎・雷・水・爆撃など色々あるが、属性の概念はなくどの攻撃魔法も同じ。
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最初のボスは最大HP50のところに全体攻撃で20ダメージが飛んで来るので大変である、軽減する方法も無いので3回で全滅する計算になる。チャチャの全体回復やアイテムも限られており長期戦は危険である。
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HPも250あり効果的に戦わないと押し負ける。ハードボイルドなゲームならまだしもチャチャ1回目の戦闘の難易度ではない。
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なお、トミーSFC前作の『魔法騎士レイアース』の最初のボス戦は魔法一発で終わる。そちらは終盤にかけて厳しくなっていくのに対し、こちらはヌルゲーと化していくが。
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以降もボス戦闘しかない。エンカウントも通貨もないのでレベルを上げたりアイテムを持ちこんでゴリ押すという事は出来ない。最初に、限られたリソースで立ち回るのは厳しい印象を強く与えており、チャチャの世界観に合っているかは疑問。
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実際は多くの登場人物から回復アイテムをもらえるので意外と楽だが知らないと難儀。また、やり込みプレーヤーが低レベルに挑む楽しみも無い。
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戦闘曲が少ない
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戦闘曲は2曲のみ。1曲目は最初からラスボスまで全部変わらない。もう1曲はチャチャが変身した際のBGMである。
その他
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素材
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一枚絵はタイトルの静止画1枚のみであり、作中では顔グラや一枚絵は一切ない。その代わりドット絵の方は精緻に描き込まれておりあらゆる表現を見せるので好評。
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メニューを開くとBGMが初期化
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メニューを開くたびにBGMが無音になりその後最初から流れる。FC版イースみたいな仕様であり雰囲気を損なうと言える。
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長いので閉じる
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ダンジョンで5匹の色違いのチャタンを1匹ずつ倒していかなければならないのだが、問題は5匹倒した後。
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戦う前に自分が何番目に強いのかは言うのだが、後でその5匹を強い順に並べる事を要求される。本作はセーブファイルのコピーが出来ず、ダンジョン内にはご丁寧にセーブポイントまで用意されているため、5匹を倒す前からやり直す事が出来なかったプレーヤーは多かったと思われる。実況動画なら後で見返す事も可能だが、当時は一般的ではない。
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それぞれ、自分より強いのが何名いるぞと言うのだが「ウソとホントが混在している」ため手掛かりになっていない、実際に並べても順番が1個違うだけで全然ダメと言われるのでまったくもって見通しが立たない。
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ゆえに、色を全く覚えていない際は実質ノーヒントで24通り試す事になる。内部プログラムはX座標だけで判定している模様、残り4匹を斜めに配置して左右に動かして順番を変えていけばそのうち解けるのだが、かなりの時間を棒に振るのは必至。
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120通り(5!)だが、しいねが最後尾が紫だと教えてくれるので24通り(4!)になる。
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正解はこちら
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黄強3、赤強1、緑おまえ、白弱2、紫強4の順番。
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赤と紫が正直に本当の事を言っている。
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ちなみにそれが後にタス山の洞窟での出題のネタになっている、そちらは3択なのでやり直すのが面倒なくらいで済む。
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勿論、こんなものにチャチャの要素など一切ない…のだが、やり直しは何度でもさせてもらえて詰むわけではなく、解けた際は約束を守る。ややちゃんの事は大事に扱っていたようで、自分たちが後にドドリーマーにひどい目に遭わされるのを承知でチャチャ達に返してくれる。
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リーヤが溺れている際
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民家の内部にいるペンギンに助けを求めるのだが分かり辛い。近くの3匹のチャタンに話しかけるとペンギンも色々と話すのでペンギンにも話しかけたのだと錯覚してしまいがちだが、これは直接ペンギンに話しかける、でないとダメ。
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本作に制限時間というものはないのだが、状況が状況だけにプレーヤーが慌てて判断力が落ちるのも仕方のない所である。
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各話の最初からやり直せる仕様でもあれば良かった
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5色のチャタン、ラスボス後にセーブした際を考えると、そういう需要もあったであろう。
総評
ゲームバランスはうまく調整されている面が多く、グラフィックでもドット絵で表現されたチャチャの多くの登場人物による物語が繰り広げられる作品である。ボス戦がずっと続くなど問題点は大きいが、当時のRPGとしては十分良作といえよう。
余談
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トミーはSFCでクイズ、ボードゲーム、キャラゲー、将棋など多彩な作品を世に送り出して来た。本作でTOMY製SFCゲームは有終の美を飾ったと言える。
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昨年95年4月28日にはゲームボーイ版が発売されており、その翌月にアニメは最終回を迎えている。
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本作以降は、同年96年10月25日、PC-FXで『赤ずきんチャチャ お騒がせパニックレース』が発売される。
最終更新:2022年08月18日 17:44