宇宙の騎士テッカマンブレード
【うちゅうのきしてっかまんぶれーど】
| ジャンル | STG&ACT |  
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| 対応機種 | スーパーファミコン | 
| メディア | 8MbitROMカートリッジ | 
| 発売元 | ベック | 
| 発売日 | 1993年7月30日 | 
| 定価 | 8,800円 | 
| プレイ人数 | 1~2人 | 
| 判定 | なし | 
| ポイント | 原作要素は薄い ゲーム性は大味
 素材は良好
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| タツノコプロシリーズ | 
 
概要
アニメ『宇宙の騎士テッカマンブレード』のゲーム化作品。主人公・相羽タカヤ(通称・Dボゥイ)はテッカマンブレードになり多くのテッカマンとの哀しい闘いに身を投じる…
原作要素は薄いが、シューティングからの格闘ゲームという変化球を打ち出してきている。
特徴・ゲーム内容
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舞台は西暦2300年。天駆ける超人(DAGGER)、赤い戦慄エビル(EVIL)、霧の中の敵(AXE)、死への迷宮(LANCE)、闇と死の運命(SWORD)、壮烈!エビル 死す(B EVIL)、燃え尽きる命(オメガ)の構成となっており、原作通りに話が進む。
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シューティングパート
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テッカマンもさることながら、道中ではラダムの汚染が深刻であり、最後には中ボス級のラダムまで待ち構えている。
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強制スクロールをラダムを薙ぎ払いながら進む。テックランサーは、近接では手数で高火力、中距離では多くの敵を巻き込めるブーメランという違いがあり、上手く使い分けるゲーム性も持たせている。また敵弾をかき消す事も出来る。
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地形に挟まれたら即死…ではなくダメージを受けて復帰。流石はヒーロー、こんな事では折れない。
 
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たまにクリスタルが出てきて、緑で回復、青で一定時間無敵(クラッシュイントルード)、赤でボム(ボルテッカ)が手に入る。
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クラッシュイントルード中の体当たりは中ボスラダムすら一撃で倒せるほど強力であり、ボムは使用時にBGMが一旦停止する演出が入る。
 
 
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格闘パート
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シューティングの最後にテッカマンが待ち構えており、等身大での格闘ゲームになる。
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こちらの得物は勿論テックランサーで、シューティングパートのように投げる事は出来ないが、振ったり突いたり出来る。時折、武器を払われたりすると素手で戦うのだが武器はそのうち戻る。
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ジャンプ、通常攻撃、ガードなどの基本動作と特筆すべき点はないが、勝利の際は色々なテッカマンがこっちを向いてポーズを見せてくれる。
 
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難易度もプレイヤーの腕前に応じてEASY・NORMAL・HARDと用意されている。HARDは敵の攻撃力が上がるなど厳しいものとなっているが、それでクリアするとスペシャルコマンド(後述)が表示される。
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2人プレイにも対応
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本編は1P用であるが、2P PLAYでは対戦格闘ゲームに早変わり。本編に登場した色々なテッカマン同士で対戦できる。同じキャラは選べない。
 
評価点
ゲーム性
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道中では広大な宇宙を舞台にラダム達を薙ぎ払い、テッカマンとの一騎打ちでは等身大で戦わせる。この両者の相反するゲーム性を実現するために、シューティングパート、格闘パートの構成によって見事に両立している。今までありそうでなかった構想だろう。
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ボス戦の前には会話があり、簡素ながらもセリフは原作で言っていたものと全く同じである。
グラフィック・音楽
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シューティングパートでは地形やラダムのグラフィック、格闘パートでは色々なモーションが描き分けられている。
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タイトルでは、地球をバックにテッカマンブレードの一枚絵が登場する。
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一部のテッカマン戦では一枚絵とともに新形態ブラスターテッカマンブレードに進化、それに応じて格闘パートの際も新しいグラフィックが用意されている。
 
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エンディングでは夕日の一枚絵が見事である。
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音楽も主題歌がないのは残念だが良曲が揃う。
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サウンドテストも実装されており、EASYクリアすら出来なかったプレイヤーにもBGMを聴くという楽しみがある。
 
賛否両論点
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終盤の展開
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ラスボス専用曲はなく、タイトルの曲と同じである。ただ、雰囲気に合ってはいる。
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前述の通りストーリーは原作と全く同じであり、詳細は伏せるが少なくともハッピーエンドとは言えない結末を迎える。HARDクリアしたからグッドエンドになったりする事もない。原作自体が悲劇性を強調したストーリーなので仕方のないところである。
 
問題点
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原作要素の薄さ
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原作アニメの視聴が前提のストーリーとなっており「Dボゥイは何故テッカマンブレードに変身しているのか?何故家族や知人が変身したテッカマンと敵対しているのか?どうしてブラスター化できるようになったのか?」などといった部分の説明が一切ない。
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エンディング以外に状況を説明する解説・ナレーション的なものは一切ない。次回予告の決め台詞「仮面の下の涙を拭え」などのセリフも一切なし。
 
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テッカマン以外のキャラクターは殆ど登場しない。エンディングではヒロインのアキが「愛するアキの下に」という一文と共に登場するが、それまでのゲーム中で触れられていなかったので唐突感が漂う。エンディングの一枚絵では夕日で影になっているため、原作最終回を見ていなければ「椅子に座ったDボゥイと彼に寄り添うアキ」であることも分かりづらい。
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格闘戦では色々なテッカマンの等身大グラが色々な動作を行い、戦闘前には原作通りのセリフまで言うのだがそれ以外はほとんどないのが残念。
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BGMも良質なのは良いが、原作の主題歌などは一切流れてこない。
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贅沢を言えばキリがないのではあるが、ストーリー面の演出も充実させて欲しかったという声は多い。
 
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大味なゲーム性
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シューティングパートのラダムは右から左へ流れたり、決まった軌道を描くなどで、ルーチンワークの域を出ない。格闘パートも基本動作は確立されているものの本作独自の要素はないので普通の格闘ゲームどまりと言える。
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格闘パートの必殺技は飛び道具と地味なモーションの対空技や突進技程度。テッカマンブレードの代表的な必殺技であるクラッシュイントルードやボルテッカはシューティングパートの無敵時間やボムとしてのみ登場しており、格闘パートでは使用できない。
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原作では圧倒的な強さを誇ったブラスターテッカマンだが、ゲーム中では特筆すべき強さが見受けられない。ブレード、エビル共にグラフィックが変更された程度の変化でしかない。
 
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プレイヤー不利の制限時間
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ボス戦闘では30カウント(実質80秒ほど)の制限時間があるのだが時間以内に倒せないと、判定ではなく相手の方が瀕死だとしてもプレイヤーの負けになるので不公平である。
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一応原作では「本作のテッカマンはラダムの改造人間であり、主人公は洗脳(と言うかラダムの寄生)前に脱走したため自我を保ってはいるが、一定時間以上テッカマン状態でいると暴走状態になってしてしまう」という設定があるため、それを再現しているとも言える。とは言え原作を知らない人には説明不足なのも事実である。
 
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なお、OPTIONでVS TIMERをOFFにしたら、2P対戦では無制限になるが、1P本編では制限時間付きのまま。
 
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2P対戦
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グラフィック回り
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まずは無音かつ背景も黒地で寂しい。顔グラにカーソルを合わせた際に等身グラフィックも出るのが一般的であるが何も表示されず決定した時点で表示、この後はキャンセルも不可である。次に、ステージセレクトもカーソルを合わせた時点で背景が出ないで黒地のままなので不便である。
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また、折角の顔グラも本編では一切使われていないので勿体ないと言える。
 
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1P優遇について
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最初に1Pが選んでから2Pが選ぶ仕様であり、しかも1Pが選んだキャラは選択不可で不公平である。更にステージセレクトも1Pに選択権がある。
 
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どのキャラで勝ったのかまで表示されるのは良いが、その際に「BLASTOR BLADE」「BLASTOR EVIL」とあるが選べないようなので気になる人は気になる。
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CPU対戦は出来ない。本編に向けて練習する事が出来ないのは残念である。
 
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グラフィック
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ステージ名はしっかり漢字が使われているのは良いが、本編の会話の文章は平仮名カタカナのみで寂しい、本作では文章量が少ないので漢字を多数使っても良かったと思われる。
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会話は戦闘前のみであり、戦闘中の戦闘の後の会話も一切ないので味気ない。
 
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背景の星が多重スクロールして奥行きの立体感が出ているのだが、代わりに広大さが薄れて安っぽく変な仕上がりになってしまっている。星々というのは運動視差ではなく回転視差で考えるのが常識であり、これではかえって逆効果である。
 
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HARDをクリアした際に特典が表示されるのだが数秒で消えてしまう。どこまでもHARDである。
    
    
        | + | 特典の内容。ネタバレ注意 | 
CONGRATULATION
HARD MODE CLEAR
SPECIAL COMMAND 1
A L R X Y BUTTON
2P START
BLADE.EVIL SELECT
SELECT START PUSH
 
SPECIAL COMMANDO 2
L R BUTTON
2P START
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総評
原作要素が薄く大味なゲーム性だが、ドット絵や音楽は良く作り込まれており、ファンアイテムとしてはそれなりの評価を得ている作品ではある。
余談
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1992年12月18日、ユタカからゲームボーイ版が発売されている。
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全方向横スクロールのアクションゲームで、ワイヤーを引っかけて移動する軽快なアクションが特徴。
 
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派生元のアニメ『宇宙の騎士テッカマン』は40年以上前に放映されているが打ち切りで終わっている。
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MADテープからテッカマンを知った人もいるが、本来はシリアスなハードボイルド作品である……のだが、当時はインターネットも普及しておらずテッカマンについての情報も一般的ではなかったため一枚絵すら分からなかった、そのため長い間テッカマンをギャグアニメの類だと思っていた人も多かった。
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大元であるこの作品を評価する声も多く、ゲーム『タツノコファイト』やアニメ『infini-T Force』にも参戦している。
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なお、『TATSUNOKO VS. CAPCOM ULTIMATE ALL STARS』では元祖テッカマンとブレードが共演している。
 
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アニメ作品テッカマンブレードは、本作の半年前に最終回を迎えている。
最終更新:2023年10月15日 14:12