ARKANOID

【あるかのいど】

ジャンル ブロック崩し
対応機種 アーケード、PC-8801、ファミリーコンピュータ、MSX
発売・開発元 タイトー
稼働開始日 1986年7月
発売日 【PC88】1986年12月
【FC】1986年12月26日
【MSX】1987年1月
プレイ人数 1~2人(交互プレイ)
判定 良作
ポイント 日本での第2次ブロックくずしブームの立役者
ARKANOIDシリーズ
初代 / Tournament / REVENGE OF DOH (2) / Doh It Again / Returns / DS / Live! / Plus! / Eternal Battle

概要

ATARI市場を席巻した元祖ブロックくずし『Breakout』発売から10年。
日本でも既に古典ゲームとなっていたブロックくずしに新たな要素を導入した本作は、アーケードで大ヒットを記録することになった。

ストーリー

THE ERA AND TIME OF THIS STORY IS UNKNOWN.
AFTER THE MOTHERSHIP "ARKANOID" WAS DESTROYED.
A SPACECRAFT "VAUS" SCRAMBLED AWAY FROM IT.
BUT ONLY TO BE TRAPPED IN SPACE WARPED BY SOMEONE・・・・・・・・・
この話がいつの時代のことかは分からない。
母船「アルカノイド」が破壊された後、乗組員は宇宙船「バウス」に乗り込み、緊急脱出した。
しかし何者かによって、二次元世界に飛ばされ、閉じ込められてしまった……

特徴・評価点

基本的なルールはブロックくずしに準ずるので割愛する。主な追加要素は次の3つ。

  • パワーアップアイテム
    • 特定のブロックを破壊すると出現し、落下してくる。取ると1,000点。アイテムにつられてボールを見失い落としてしまうというのが初心者によくあるミスである。
      • ブレイク(B):右の壁に次のラウンドへの出口が開く。出口に入るとそのラウンドはクリアとなり、10,000点ボーナス。
      • キャッチ(C):バウスで受けたボールを弾き返さずに着地させる。そのまま移動も可能。ボタンを押すか一定時間経過で発射する。
      • ディスラプション(D):ボールが3つに分裂する。
      • エキスパンド(E):バウスが長くなり、ボールを弾き返しやすくなる。
      • レーザー(L):レーザーを撃ってブロックを破壊できるようになる。
      • プレイヤーエクステンド(P):1UP。
      • スピードダウン(S):ボールのスピードが遅くなる。
    • C、E、Lの効果は次のアイテムを取ると消える。
    • アイテムが画面内にあるか、D発動中は次のアイテムが出ない。
  • イモータリティウォール、ハードウォール
    • それぞれ金色・銀色のブロック。
      • イモータリティウォールは消せないが、他のブロックを全て消せばラウンドクリアとなる。
      • ハードウォールは耐久度が設定されており、何回か当てないと消せない。耐久度は最初は2で、8ステージ進むごとに1ずつ増え、最大5。消してもアイテムが出ることはない。
  • ハームフル(敵キャラクター)
    • 画面最上部のハッチから時間とともに無限湧きする。
      • ボールを当てることで倒せるが、その際ボールが逆方向に弾かれてしまう。
      • バウスで体当たりする事でも倒せる。しかし画面下部にいる敵にボールを当てると即ミスにつながるため、あまり引きつけるのは好ましくない。
  • さらに、最終ラウンド(32面)をクリアすると・・・
    + ネタバレ注意
  • ラスボスが登場する。本作のボスキャラクターはラスボスだけである。
    • その正体はOPでアルカノイドに攻撃を加え、バウスを二次元空間に閉じ込めた次元要塞「DOH」*1
      • ボス及び敵勢力の存在はこれまでのブロック崩しに存在しなかった概念である。これもアルカノイド独自の追加点と言えよう。
    • ボスはこれまでのブロックのようにボールを当てても消えたりしない。ただしダメージは与えており、何度かボールを当てることで撃破できる。
      • これまで同様、ボールを落とすとミスになる。さらにボスが弾で攻撃してきて、この弾に当たってもミスになる。

その他の評価点

  • イタズラ防止機能搭載。
    • 当時のゲームセンターではネームエントリーで「SEX」など卑猥な名前を入力し、次のプレイヤーに不快感を与えるというイタズラが流行していた。
      • 本作ではこのような名前を入れると自動的に別の名前に変更される。 これは当時のタイトーのアーケードゲームではよく見られるお遊び的要素であった(バブルボブルメタルブラックなど)。また、カプコンなど他のメーカーでも同様の事が出来るものがあった。

問題点

  • 初期設定では追加コインによるコンティニューが無効になっている。その場合はゲームオーバーになるとまた最初からである。
    • エクステンドは多いので、ある程度慣れたプレイヤーはなかなかゲームオーバーにならない。逆に初心者は楽しむ間もなくゲームが終わってしまう。
    • コンティニュー有効の場合でも、コンティニュー方法が「カウント中に発射ボタンを押しながらスタートを押す」と少々分かりにくい。
  • ラウンド3が序盤にもかかわらず非常に難しい。まるで初心者をふるい落としてインカムを上げるために設けられたような鬼畜さである*2
    • イモータリティウォールが最下段から上段に向けて4列もズラリと並べられており、跳ね返しの角度を調節しないと上段のブロックを消せない。レーザーも通用しない。まさに序盤の壁。
      • そしてラウンド4はイモータリティウォールが一つもなく簡単だったりする。
    • ファミコン版でも同様の仕様なので、さすがに難しすぎると判断されたのか、NES版では最下段のイモータリティウォールが普通のブロックに置きかえられて少しは楽になった。

総評

マンネリ気味だったブロックくずしに新要素を加え、新たなゲーム性を提示し、第二次ブロック崩しブームの立役者となった。
最初は難しく感じるが、上達すればするほど高ラウンドまで進めるようになる手ごたえを感じられる。
シンプルゆえに中毒性があり、クリアだけでは飽き足らず、スコアアタックに挑戦する猛者もいるほどである。

余談

  • アーケード版はバージョン違いが多い事でも知られており、ステージ構成等が異なっていたりするものや、タイトー直営店限定でスタート時にステージセレクトが可能になっているバージョンも出回っていた。
  • かなり大ヒットを記録した作品なだけに基板の流通数も多く、当然の如くコピー基板も大量に作られており、それどころか他のゲームのコピー基板の素材としてこのアルカノイドの基板が流用される始末となっている。
  • OPのストーリーを見てわかるとおり、「アルカノイド」とは自機「バウス」が搭載されていた母船の名前である。
    • ネーミングは有機化合物「アルカロイド」から取られている。この名付け方式はタイトー独自のものであり、他には『ダライアス』などが該当する。
      • OPでいきなり破壊されてしまうアルカノイドだが、EDでは…
        + エンディングストーリー
        DIMENSION-CONTROLLING FORT "DOH" HAS NOW BEEN DEMOLISHED.
        AND TIME STARTED FLOWING REVERSELY.
        "VAUS" MANAGED TO ESCAPE FROM THE DESTORTED SPACE.
        BUT THE REAL VOYAGE OF "ARKANOID" IN THE GALAXY HAS ONLY STARTED・・・・・・
        
        次元制御要塞"DOH"を撃破した今、
        時間は逆に流れ始めた。
        "VAUS"はこの歪んだ空間から脱出することができたが、
        銀河における「アルカノイド」の本当の航海は始まったばかりだ・・・・・・
        
        なんと時間逆行という荒技を用いて見事に復活…というか、
        DOHを撃破した結果時間が巻き戻り、「最初から破壊などされていなかった」という結果になるという逆転の発想で無事であることが確認できる。
  • 続編として『ARKANOID REVENGE OF DOH*3』、『ARKANOID RETURNS』が稼働した。
    • 海外限定で『TOURNAMENT ARKANOID』という続編がリリースされている。内容は一作目の高難易度バージョンといったところであり、基板も一作目と同じ基板が流用されている。
    • オリジナル版として『ARKANOID Doh It Again(SFC)』、『アルカノイドDS』、『ARKANOID plus(WiiWare)』が家庭用ゲーム機で発売されている。
    • 2022年10月28日にはフランスのMicroidがタイトーの正規許諾を受けて作られた完全新作である『Arkanoid Eternal Battle』をPS4/PS5/One/XSX/Windows/Switchにてリリースしている。
  • ファミコン版の仕様
    • アーケード版の回転式ボタンを再現した専用コントローラーが付属していた。
    • 序盤の面を飛ばせるラウンドスキップのコマンドが説明書に記載されている。コンテニューコマンドもあるが、こちらは説明書に記載されていない裏技扱い。
    • ラウンドが3つ追加され、通常ブロックステージはラウンド35までとなった。
    • ストーリー表示画面の背景が黒一色になった。このため母船であるアルカノイドが画面に一切登場しないという憂き目に遭っている。
  • 旧『ドラえもん』の声優で知られる大山のぶ代氏は本作の大ファンとして有名。
    • かつて別荘にアーケード版の筺体を設置していたこともある。
      • この筐体はのぶ代氏が別荘を使わなくなってきたことから移管先を探していたが、2014年に高田馬場ミカドへの譲渡*4が行われた。
        コンパネ等も当時のままのため、のぶ代氏が作ってしまった焦げもそのまま残っている。
    • 「アイテムは必ず取る」スタイルが信条で、ボールとエクステンドアイテムが同時に落ちてきた場合はアイテムを取って死ぬ。
      • これは、時間経過とともに速くなるボールを元の速さに戻すテクニックとして有効である。
    • スコアアタックのプレイもしており、全国1位に匹敵する120万点の記録保持者である*5
    • 2007年にはテレビに本人が出演し、リアルでプレイする場面が放送された。結果は途中でミスも出たものの、見事ワンコインクリア。
      • さらに2009年にはテレビ番組『トリビアの泉 ~素晴らしきムダ知識~』で「大山のぶ代はアルカノイドがうまい」というトリビアとして取り上げられたことで広く知られるようになった。
        Q.大山さんにとってアルカノイドとは?
        A.人間って何度もいろんなものにぶつかって~
        それでぶつかった中で「どれを選択しよう?」思わなくちゃならない時があります。
        そういう時に私は「アルカノイドだぞ」と思って考えます。
        「アルカノイド」っていうのは人生を教えてくれます。
        (大山のぶ代)
        
最終更新:2024年12月07日 15:36

*1 公式設定では「Dominate Over Hour」=「時を支配する者」の略称とされている。

*2 当時のアーケードゲームはメーカー側の不文律として「1コインで数分遊ばせる」前提の難易度調整がされていると言われており、「2面のボスが妙に強い」「3面から難しくなる」など序盤の割に難易度が高いポイントがある事も珍しくはなかった

*3 ファミコン版の名称は「ARKANOID II」。

*4 店長の池田氏によると「借りているだけで、のぶ代氏から返却要請があれば返却する」とのこと。

*5 全国1位の記録はおよそ128万点。ちなみに普通のプレイでは100万点にも届かない。