天穂のサクナヒメ

【てんすいのさくなひめ】

ジャンル 和風アクションRPG
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対応機種 Nintendo Switch
プレイステーション4
Windows(Steam)
発売元 マーベラス
開発元 えーでるわいす
発売日 2020年11月12日
定価(税別) 通常版: 4,980円
彩色画集付限定版: 6,980円
プレイ人数 1人
レーティング CERO:B(12才以上対象)
廉価版(税別) 天穂のサクナヒメ BEST PRICE
2021年12月9日/2,980円
判定 良作
ポイント 本格的すぎる稲作で話題沸騰
農林水産省HPが攻略サイト
現実を巻き込んだ令和の米騒動
通称「TOKIO体験ゲーム
羽衣技で爽快感あるアクション
限りなくスルメゲーに近い良作



米は力だ



概要

インディーゲームサークル「えーでるわいす」が開発した和風アクションRPG。
このサークルのメンバーはたったの2人しか在籍しておらず、これまでの活動実績で繋がりを得た複数の同人ゲームサークルメンバーやフリーランスアーティスト10人ほどがサポートとして参加している。
英語翻訳版が収録されており、そちらのタイトルは『Sakuna: Of Rice and Ruin』となっており、本作のゲームカードにもこの名前で記載されている。

日本人に馴染みの深い稲作をテーマとしたアクションゲームかと思いきや、その稲作があまりにも本格的であることから発売直後に国内外共にSNS上で話題となり、ゲーム業界に空前の稲作ブームを巻き起こした。


ストーリー・登場人物

遥か東方の果て ヤナトの国あり

古来よりこの地では神の世と人の世

すなわち " 二つ世 " があると信じられてきた

これは我が布教の旅の中 異教の神サクナと出会い

共に暮らした日々の記録である

  ――宣教師ミルテ著 " 耶那土 (ヤナト)見聞記 " より

+ 登場人物紹介

神界サイド

  • サクナヒメ
    • 本作の主人公であり、武神タケリビと豊穣神トヨハナを親に持つ女神*1。神都で両親が遺した財を食い潰して贅沢三昧の日々を送っていたある日、意図せず都に人間を連れ込んでしまった上に主神カムヒツキへの献上物を台無しにしてしまったことで、かつて両親が出会い、悪神「 大龍 (オオミズチ)」を討ち取った離島「ヒノエ島(通称:鬼島)」へと追放されてしまう。
    • しかし、自身に流れる武神と豊穣神の血は本物であり、稲作によって神通力が高まるという素質を持つ。
    • 上記の惨状から物語が始まるため、「駄女神」と言う公称まで付けられるほどである。マーベラス公式チャンネルのWebCMにて堂々と公言されているため、気になる方は是非一度は確認してはいかがだろうか。
  • タマ爺
    • サクナの両親に代わって彼女を育ててきた武神タケリビの剣「 星魂剣 (ホシダマノツルギ)」の剣霊。
      サクナを「おひいさま」と呼んでおり、喜怒哀楽の激しい彼女に泰然と付き従いながら、人間にも対等に接する。
  • ココロワヒメ
    • 都の上級神の一柱。車輪と発明を司り、背には歯車のような背負い物が浮かんでいる。
      自動で戦う警備用の 絡繰 (カラクリ)兵を製造するなどの努力を重ねているが、カムヒツキからはなかなか評価されていない。
      サクナとは友人ということになっているが……
  • カムヒツキ
    • ヤナト神族の主神であり、世界を創った創世樹の化身。代替わりを重ねていくらか力を落としているものの、依然として影響力は絶大。
      献上物とその蔵を台無しにしてしまったサクナに対し、罰として未だ自身の支配が及んでいない鬼島の調査・開拓を命じる。 ただし自身の保身のために罪を許したり、貢物をすると満面の笑みで天候を容易く変えたりと、俗物な一面もある。
  • アシグモ
    • 鬼島の原住民であるニホンカワウソ風の獣人。都の神々とは古くから対立関係にあったが、かつての 大龍 (オオミズチ)との戦いでタケリビ、トヨハナ夫妻には恩義があるため、サクナ達一行に協力する。

人間サイド

  • 田右衛門 (たうえもん)
    • 人間の元侍で、厳つい見た目に反して心優しい大男。本名「 桂 右衛門尉 瑞月朝臣 高盛 (カツラ ウエモンノジョウ ミヅキノアソン タカモリ)
      武門の出身だが野良仕事が好きで、稲作の知識が豊富。米作りの進め方をサクナにレクチャーしてくれる。
      一方、度を越した不器用であるため、稲作で一部の作業を彼に任せた場合、品質が大きく落ちてしまう。
  • きんた
    • 戦災孤児の少年。山野をねぐらとして盗みや騙しでどうにか生きてきたため、口が悪く癖の強い性格をしている。
      刀剣鍛冶に対する深い関心と才能があり、サクナの武器となる鍬や鎌などを作ってくれる。
  • ゆい
    • きんたに付き纏う美少女*2。物腰が柔らかく落ち着いているように見える一方で、時折狡猾な一面や不審な立ち振る舞いを見せることがある。
      織物、手芸に関して類稀な技術を発揮し、拠点ではサクナの防具となる衣や笠を作ってくれる。
  • ミルテ
    • 「フォロモス教」を布教するためヤナトに立ち寄った宣教師団の異邦人女性。フォロモスを奉ずる敬虔な信徒だが、ヤナトの創世記にも興味を示すなど好奇心旺盛。
      拠点では炊事や食材の加工を担当してくれる。ゲーム中は頭巾を外さないので髪型は不明である。
  • かいまる
    • 田右衛門と石丸が身を寄せていた山賊一味の頭領の息子。幼く口がきけないが、実はこれはある出来事の影響のせい。
      すぐに鳥や獣と打ち解けることができることから、ストーリーを進めると稲作で役立つ動物や人間達が探索に行くための先導役となる犬を連れてきてくれる。
      ただし、猫だけは何もしてくれない。
  • 石丸
    • 田右衛門と浅からぬ因縁を持つ山賊。一行を追って神界へ迷い込み、サクナに蹴り飛ばされ行方不明になる。

特徴

  • 本作は大きくわけて「稲作パート」と「探索パート」の2つで構成されている。拠点で米づくりや道具製作・食事を行いサクナヒメのステータスを強化し、これを持って探索におもむき食料や素材を集めつつ課題やシナリオをこなしていく。
    • 同社の別作品にも似たシステムを持ち、稲作、探索問わずストーリーの進行度に応じて様々なイベントが発生する。
    • 本作ではリアルタイムでゲーム内時間が進行していき、一年は季節毎に3日の計12日で一周する。季節と昼夜の概念は稲作、探索いずれにおいても大きな影響を与えるため、計画立てた行動が必要。
    • スタート早々に戦闘難易度と稲作難易度を(それぞれ標準と低の2種類から)選択できる。
    • 水温表示を摂氏と華氏からも選択できる。
  • 稲作
    • ある意味本作のメインパート。
      サクナヒメのHPや攻撃力・防御力などのステータスが稲作に応じて成長するため、RPGで言えばレベリングに該当する…のだが、当のサクナは稲作の手を抜きたがる。
    • 春に田植えをし、夏に稲の育成を管理し、秋に収穫し、冬で次の稲作に備えるまでを現実の稲作に近い感覚でシミュレーションできる。米の収量や品質、果てには精米の度合いにまで応じてランク付けが行われ、米の出来に応じて能力値が多く伸びる。
      • したがって探索パートで難敵を倒せない場合は稲作をすることで楽に倒せるようになる。米は力である。
        というか良い米を作る知識さえあれば、強くてニューゲーム状態への突入も可能。まさに米は力である。
    • 稲作作業を繰り返せば「農技」を習得でき、作業の効率化・スピードアップができる。
      さらにイベントを進めると農具が開発され、より効率的な稲作を行えるようになる。
    • 稲作に関するヒントは、アイテム「農書」や田右衛門との稲作会議で確認できる。
      ゲームが進むと、稲作会議にて翌日以降の天候を祈祷することもできるようになる。この時主神が「認める」というのだが、「認めぬ」とも聞き取れてしまう
    • 収穫する際は籾摺りを行い米の種類を決定する。白米にするほどステータスが伸びやすくなり、逆に玄米に近いほど料理した際の強化効果が強くなる。
      • レベルをすぐ上げたければ白米…といいたいところだが、玄米は後述する探索を楽にしてくれる。
        また、ストーリーを進めると米を使って都と品物の取引が可能になるが、白米は価値が高く少量で取引できる、玄米は価値が低いが必要な米の数で端数が発生した際の調整が利くなど、双方ともメリットを持っている。
        以上の点を加味した上で、どちらの米を重視するかはプレイヤーの采配次第である。
  • 探索
    • 戦闘はステージ選択式の横スクロールアクション。各ステージにミッションが課されており、達成することで探索度が上がり、次のステージが解禁されていく。
    • サクナヒメには満腹度の概念がある。
      満腹度に余裕があるうちは、夕餉で得た食事効果(ステータス強化、HPの自然回復など)が発揮されガンガン探索できるが、空腹状態になると食事効果が発揮されなくなり、途端に継戦能力が失われる。
      前日の夕餉をきちんと食べていないと日中の探索が出来なくなるようになっており、まさに「腹が減っては戦が出来ぬ」である。
    • 稲作によって得たステータスの上昇に応じて武技・羽衣技を習得できるほか、武器農具や防具の空きスロットに「 枝魂 (しこん)」を装着することで、追加スキル発動やパラメータ底上げなどのカスタマイズが可能。
      • 武技・羽衣技は強力だが技ゲージを消費する。ゲージは時間経過で自然回復していき、技ゲージの最大値も稲作によって上昇させられる。
    • 装備は片手武器・両手武器・衣・笠・面の5種類ある。
    • 農具には斬・打・突・術の4属性があり、敵の弱点に合わせることで優位に戦える。
    • 敵から攻撃が当たる直前に、前か後ろの入力で攻撃をはじくことができ、はじかれた敵は一定時間ひるむ。この弾き入力はサクナヒメ自身の状態を問わず、やられ状態を中断することも可能。
      • 夜になると周囲は闇に包まれ、照明がなければ視界が悪く探索がままならなくなる上に敵のレベルが跳ね上がり、昼間が適正レベルなステージでは探索がほぼ不可能になってしまう。
        だが夜の敵からのみ取得できるレアアイテムも存在するため、十分な強化を経た後には闇夜の狩りに赴くのも一考。
    • ストーリーを進めていくと、人間たちを採取地に派遣して食材・素材を集められるようになる。
      採取地への派遣には、かいまるが連れてくる「犬」が必要。拠点に居る犬の数だけ採取地への派遣が可能。
      1匹目はイベントで拠点にやって来るが、2匹目以降は特定の採取地にかいまるを派遣することで増えていく。
      • 採取地はストーリーの進行度合いにより解放され、サクナヒメでは訪れることができない。
  • 夕餉 (ゆうげ)
    • 夜に拠点に帰ることで、手持ちの食材を調理し食事をとることができる。
      満腹度(スタミナ)が回復するだけでなく、献立の内容によっては各種ステータスが強化されたり、HP自然回復等のボーナス(食事効果)も付く。
      本作の探索は食事によって食事効果を得ることを前提に調整されているため、食事を疎かにすると探索に甚大な悪影響が出る。
      難所や長丁場を攻略するのであれば腹持ちの良い、かつステータスの上がりやすい食事をとるべきである。
      • 特に玄米はレベルアップ時のステータス成長率は悪いが、食事による一時的なブースト効果が大きい。
    • 手に入れた食材を使って加工品を作ることもできる。
      肉や魚、山菜などの食材は放っておくとすぐ腐ってしまうが、白干(干し肉)や燻製、鮨や糠漬等に加工することで腐らなくなる。
      また、米などの日持ちする食材も、麹や味噌といった調味料、酒等に加工できる。
      • 調味料が作れるようになると、より食事効果の高い料理が作れるようになり、料理のバリエーションも豊富になる。
      • ちなみに、豊穣神ということもあってか、酒の種類は非常に豊富。
    • 夕餉は主食・汁・菜・菓子・飲物を組み合わせて強化する。
      組み合わせは自由なので、米5杯や酒5杯も可能。
    • 夕餉が終わると、夜の探索に行くか、翌朝に時間を進めるか選択できる。
      夜の探索を進めてもいいが、食事は1日1回しかとれないため夜に動きすぎると昼に空腹となるリスクもあり、満腹度の管理が重要となる。
  • 成長要素
    • 根本的な能力成長(格=レベルアップ)は「米の収穫」と同時に行われるため、レベルアップの機会は年1回・秋のみとなる。
      • 武器防具や食事による補正に比べてレベルアップによる能力向上の比率が大きく、収穫前後で同じボスと戦った場合、難易度に雲泥の差がある。このため、強敵と戦うのは収穫後の方が都合が良い。
    • シナリオが進むと探索で得た素材を使用して農具や着物を新調出来るようになる。
      各種特攻・特防がついたり耐毒性を得たりと探索に大きく貢献してくれるため、状況に応じて農具をアップデートしていくことで探索を楽にできる。
      • 都との取引ができるようになればヒノエ島では採れない材料を手に入れることができるため、さらに強力な装備・料理を作れるようになる。なお、取引の材料は当然「米」である。
  • 天返宮 (アマガエシノミヤ)
    • ボス部屋サイズのフロアが無数に連なるやりこみ用のダンジョンであり、フロア毎の敵を全滅させることで下層へ進むことができる。
      階層を下るごとに敵が飛躍的に強くなっていくため、ラスボス撃破の適正レベル程度ではとうてい踏破できない。探索のやりこみにして稲作のやりこみも求められる、本作の(アクション面における)エンドコンテンツ。
    • シナリオクリアが目的であれば訪れる必要はない…が、第百層ではイベントが発生する。最初は全百層までであったがアップデートにより全300階層まで増えた。
      • 実際には五層ごとに敵の配置されていない一層丸々の休憩・転送ポイントがあるため、実質的には240階層が攻略対象という計算になる。さらに100階層以降は浅層の敵のステータスを強化させ、難易度を上げたものである。
  • 花咲かサクナ
    • 特定条件で開放されるアクションやりこみ用のゲームモード。えーでるわいすの過去作『花咲か妖精*3』のプレイフローを逆輸入したもので、一画面分の固定ステージ内に次々と湧く害虫「アブラムシくん」を退治するタワーディフェンス系のミッションになっている。
    • 第百波まであり、段階に応じて報酬アイテムが贈呈される。
      • ここで入手できる報酬の中に、今作と『花咲か妖精フリージア』との繋がりを感じさせるものも存在する。
    • 2021年12月2日のアップデートにて、「花咲かサクナ対メタルアブラムシくん」にリニューアル。アップデート前とは別物と言っていいほどのリメイクが行われた。
      タイトルにある「メタルアブラムシくん」を含め、アブラムシくんの種類が追加された他、一定数アブラムシくんを倒し続けると全体攻撃が行えるようになった。
      また、報酬にいくつかの枝魂が追加されている。

米づくりの流れ

ただし、全ての作業が初年度から行える訳ではなく一部の要素はストーリー進行に従って解放されていく物となっている。

田植え期

  • 田起こし
    • 米づくりの基本は土づくりから。
      土を耕し、不要な石を取り除くことで、稲が育ちやすい環境を作る。
    • 土を耕す前に、田んぼに肥料(元肥)を撒くことも可能。元肥を入れると稲の育ちが良くなる。
      • ゲームを進めると牛に任せられるようになる*4。サクナ自身で行うよりも実時間がかかるものの、逆にゲーム内の時間経過が発生せず探索のチャンスが増えるというメリットがある。
  • 種籾選別
    • 中身が詰まっていない軽い籾を取り除く作業。泥水選・塩水選の2通りがある。
      最初は泥水選しか行えないが、塩を一定数入手することで塩水選が行えるようになる。
      • 低濃度で緩く行うと収量が増え、高濃度で厳しく行うと収量が減少し、品質が上がる。
      • 塩水選は選別の精度が上がる上、選別するほど病害に強くなるが、同時に塩害のリスクも高めてしまう。
  • 育苗
    • 種籾を育苗箱で苗になるまで育てる。
      種籾選別が完了すると、即座にこの作業に移行する。
    • 育苗は厚播き・薄播きから選択できる。
      • 厚播きは植えられる苗が増えて収量が増え、薄播きは苗の数が減って収量が減る代わりに品質が上がる。
  • 田植え
    • 田んぼに水を張って田植えを行う。
      • 田植えをこなしていくことで、一度に保持できる苗の量が増えたり、一度にたくさんの苗を植えられるようになる。
      • 苗を植えるときの間隔も収量や品質に影響する。乱れ植え!(稲作を極めた結果)

育成期

  • 水やり
    • 稲は水に敏感で、天候・季節により水温・水量を調節する必要がある。
      「…はて…出てくる前、わしは水路の樋(とい)を上げたっけ…?下げたっけ…?」
    • 夏には過剰な成長を抑制し、根に酸素を供給する中干しを行う必要もある。
  • 肥料(追肥)
    • 稲の収量・品質を上げるためにはこまめな栄養管理が重要。
      • 根肥・葉肥・穂肥の3種類を素材の量によって調節する。
        肥料の配合によって稲の品質が変化し、肥料作りの際に加える素材次第では農薬のような役割も持たせることができる。
  • 草むしり
    • 雑草は害虫を増やしたり、栄養を取られたりする原因となるため、こまめに抜かなければならない。

収穫期

  • 稲刈り
    • 鎌を使って稲を収穫する。
    • 稲刈りの前に田んぼの水を抜いておくことで、乾きが早くなる。
  • 稲架(はさ)掛け
    • 収穫した稲を乾燥させるために、木で組んだ稲架に稲をかけていく。
      • 晴れた日に行うべきなので、必ず秋の日が予め晴れになるよう祈祷しよう。「認めぬ!
  • 脱穀
    • 乾燥した稲を籾と藁に分ける工程。
    • 技術の進化に応じて使える道具が増えていく。
  • 籾摺り
    • 杵と臼を用いて籾殻を取り除く。
    • 精米の過程によって、玄米、一~九分搗き、白米と11段階に変化する。
      搗けば搗くほど栄養価が下がるが、力がつき成長の度合いが強くなる。
      要は搗き度合いに応じて、成長に向けるか食事効果に向けるかを調節できる。

……と米の作り方に関して徹底しており、もはやゲームの説明ではなく実際の米づくりの解説である。
ちなみに、このゲーム内では上記が必ず正解でもなく、米の上げたいステータスによって工程の内容を調節する必要がある。


評価点

  • あまりにも本格的な米づくり
    • 本作の醍醐味であり、最も難しい部分。チームNACSのリーダーにして、ごはんソムリエの資格を持つ俳優の森崎博之氏も「ゲームさんぽ*5」にて「自分の知識でもギリギリ」「新規就農者に良い」と発言し、Amazonでは本物の米農家が「今後うちではこれと『Farming Simulator』シリーズを必修にします」というレビューを行ったほど。
      • 戦闘は成長によってある程度カバーできるが、稲作は知識がないとなかなか格(レベル)を十分上げられないので、最も頭を使う上に勉強が必要。
    • 現実農業においても大損害を被るイモチ病やカメムシによる斑点米など、様々な病気や害虫が実装されている。
      • 益虫も存在し、クモ・タニシ・カエルを田に放つことができる。「ぬるぬるは嫌いじゃと言うておるに!」
    • 旧式の稲作ではあるものの、米づくりの重要な作業に焦点を当ててうまくゲームに落とし込んでいる。
      • 博物館でしか見たことのないような昔の道具を実際に使う様子を見ることもできる。
      • 合鴨農法も可能。田んぼに入る姿はかわいいが、収穫時期を迎えるとある選択を迫られることに。
  • 直感的でスタイリッシュなアクション
    • 稲作部分が話題になりやすいのだが、アクション面に関しても良質。大雑把なプレイでもコンボがつながりやすく、初心者でも快適にプレイできる。
      • もちろん、上級者であればハイレベルなコンボやいわゆるパリィである弾きを活用した爽快感のあるアクションを楽しめるようになっている。
    • 主人公であるサクナヒメは通常・強攻撃に加え、武技・羽衣技を駆使することで多様な攻め手が取れるようになっている。
      • 武技・羽衣技はどちらも育てた米の質向上に伴いどんどん増えていくため、稲作パートとアクションパートを上手く組み合わせることに成功している。
  • ゲームに不慣れなプレイヤーもクリアしやすいゲーム設計
    • 稲作はどんなに大失敗しても前年より米の格=サクナヒメの強さが落ちることはないため、畑を完全に放置していてもレベルが上がらないだけでペナルティが課されることはない。赤点な稲作であっても少しずつ確実にサクナヒメは強くなる。
    • 強敵と相対した際、アクションが苦手なプレイヤーでも1~2年を稲作に費やしレベルを上げることであっさりと撃破できる。
    • また、アクションステージでHPが0になった場合、自動的に直近のエリア切り替え時のオートセーブへと時間が巻き戻されるだけで事実上ゲームオーバーやデスペナルティもない。ボス相手には試行回数を増やすことで突破を目指すことも可能。
    • 絶えず年月が経過するシミュレーションゲームにありがちな、運転資金・物資枯渇やタイムリミットなどによる詰み・ゲームオーバー要素は本作には存在しない。
      • つまりは、時間をかければかけるほどゲームの難度が下がり続ける仕様となっており、ライト層などでも積み重ねていけばいずれは突破可能になる安心設計である。
  • 王道ながら笑いも交えたストーリー
    • オープニングから酔っ払って他人の気持ちを考えなかった駄女神のサクナヒメが、都からの追放を通して人間たちと成長していくストーリー。
    • シリアスな場面や熱い場面ありの王道展開で、ところどころに笑える場面も散りばめられている。
  • 生き生きと描かれたキャラクターの個性
    • キャラクターの表情や感情が豊かに表現されている。
    • 各キャラクターの個性が強く、ストーリー中で細かく描写されているため、生活感があり馴染みやすい。
      • 特に、当初非常識でワガママな性格だったサクナヒメの成長はとりわけ好評で、演者である大空直美氏の演技力も高い。
      • サクナヒメの友人であるココロワヒメとの絆が深まるシーンも名場面の1つ。そのココロワも後半における「ある特徴的すぎる一面」のインパクトが絶大で、プレイヤーの腹筋を盛大に破壊してくる。
    • 敵キャラの鬼は「古来より人が狩り食べてきた生き物」で構成されており、人に食われた恨みで鬼となって害をなす設定であるが、これらも強いて怖さやグロさを感じさせる見た目にはなっておらず、人によってはかわいさを感じるかもしれない程度にデフォルメしてある。
  • 和を重視したグラフィック
    • 拠点となる峠の我が家は茅葺で、和風な世界観で統一されている。
      田んぼの水の表現、稲穂の表現もきれいなグラフィックで描かれている。
    • 我が家に住み着いた犬や猫の動作も細かく、撫でたり抱っこできる。「ふわふわじゃ~」
  • 和の雰囲気に合わせた良質なBGM
    • 和楽器を多用した趣のあるBGMで、雰囲気を盛り上げてくれる。
      • また、前述のミニゲーム「花咲かサクナ」もしっかり元ネタの「花咲か妖精」の曲をそっくり和風アレンジしており、長年追っているコアな層へ向けたファンサービスになっている。
    • 物語序盤に唐突に登場し、その後祭りイベントとエンディングで流れる「ヤナト田植唄・巫 ―かみなぎ―」も評価が高い。
      • 歌い手には山形産「つや姫」宣伝大使でもあるシンガーソングライター・朝倉さや氏を起用している他、本曲の作詞担当を、地域ごとに歌い紡がれている事情を考慮してか「不明」と表記している点も評価されている。
  • 起動が早い
    • 起動時にはムービーは流れず、販売会社名「マーベラス」や開発エンジン名、はては開発サークル名である「えーでるわいす」のロゴすら出ない。いきなりタイトル画面が出て、すぐにゲームを始められる。
    • これは作者曰く「『キン肉マン マッスルタッグマッチ』くらいの早さで遊びたい」ため関係者にお願いをして達成したらしく、快適性に対するこだわりが光るポイントと言える。

賛否両論点

  • 稲作によって上昇するステータスの強化幅がかなり大きく、収穫の質・回数次第でアクションパートの難易度が激変する。
    • 田んぼと平行かそっちのけで探索に精を出すと、適正レベルを大きく下回る状態でボスと対峙し、すさまじい火力と耐久力の敵が立ちはだかり、早朝から夕方までかかっても仕留めきれないほどの長期戦を強いられるケースもありうる。
      そうして夜までに間に合わなかった途端にボスは大きく強化され、ほぼ勝利不可能に陥ってしまう。
    • 対して、探索には目もくれず稲作に真剣に取り組んだ場合は、サクナが強く育ち過ぎてしまいボスを圧倒し楽々撃破してしまう。
      このため、本作のアクション難易度の評価はプレイヤー毎の稲作/探索の比重によって大きく異なる物となっている。
      • 極論を言えば本作は「稲作して物理で殴ればいい」側面があり、アクション面のバランスはよろしくないと言われても仕方がない部分がある。
      • 逆に言えばアクションゲームが好き/得意なプレイヤーはどんどん先へ進んで、歯ごたえのあるアクションを楽しみ、そうでないプレイヤーはじっくり稲作をして難しすぎないアクションで遊ぶことができる。
    • こうなってしまったのは開発側としては稲作パートがユーザーにどれだけ受け入れられるか想像がつかず、大半のユーザーはさほど稲作を真面目にやらない(≒サクナヒメが強くならない)という前提で難易度調整をしていたという事情がある。
      • しかし、当てが外れて稲作に力を入れる人が続出した結果、体感難易度が開発側の想定を大きく下回る事態を招いたので、前代未聞の稲作ゲー故の調整の困難さがあったと言える。
      • 難易度選択に関してもハードモード相当の項目が存在しないため、アクションは程々に抑えつつあまり難しいゲームにしたくなかった意図もあるのかもしれない。結果的に稲作による救済措置があることは、アクションが苦手な人でも本作をプレイしやすくしている。
    • 辛口の難易度を求めるのならば、稲作や食事、またはその両方を縛れば歯ごたえある難易度となるため、物足りないプレイヤーは試してみてもいいかもしれない。
  • 稲作の手順は示唆程度にしか教えてくれない。
    • 稲作に関してある程度の道筋は教えてもらえるが、正解を教えてはくれないため、基本手探りで正攻法を見つけなければならない。
      • これに関しては農家も毎年移ろう環境に合わせた農業をしなければならないため、ある意味リアルである*6
    • もっとも作中において入手できる書籍に、出来上がる米の品質について大まかな解説はなされている。
      • 仮に病気になるなどして米作りに失敗したとしても、上述の通りサクナの格やステータスが前年より下がるということはなく、翌年以降の初期種もみ量が減ったり初めから病気になっているなど、現実の農業のように一度の失敗が尾を引くことはない。
  • 装備が見た目に反映される。
    • 装備を身につけるとキャラクターの見た目にも反映される。
      これは探索中や稲作中にも反映されるため着せ替えの楽しみもあるのだが、面をつけると表情が隠れてしまうため、好みでない見た目で攻略せざるをえないことがある。
      • ただ、設定変更によって戦闘中以外で装備を表示しないようにすることはできる。
  • 食料が腐りやすい。
    • このゲームは昨今のゲームにしては珍しく、食料が傷みやすい。長くても数日、早いものだと次の日にはだめになってしまう*7
    • 仲間が食料を調達できるようになり、また食材から保存食を加工できるようになると解決するが、自身のみで調達が必要な初期は食料のやりくりで苦労する。他ゲーにおける「冷蔵庫」の様な長期保管システムもない…と思ったら、ユーザーからとんでもないバグが発見されてしまった(後述:肥溜め保存バグ)。
    • 一応、腐った後のアイテム「腐った食材」も肥料づくりに有用なアイテムなため、無駄にはならない。むしろ、毎年大量の腐った食材をつぎ込むプレイヤーも居るほど。また、氷があれば溶けて無くなるまでの間は痛まない。
  • ラスボスがそこまで強くない
    • 攻撃の威力こそ高いものの、各攻撃それぞれに安全地帯があるため、それさえ見つけてしまえば後はただ慎重に殴るだけの作業と化す。
      それまでのボスは時間経過による空腹や夜になることで強化される、田んぼの世話のできない時間が増えるなど長期戦はプレイヤー側が不利になる要素が多いのだが、シナリオ上ラストダンジョン突入からは時間経過要素が消滅するため、より慎重に戦闘に時間をかけることができてしまう。
    • 加えて、終盤にもなると稲作をどの程度やり込んでいるかでステータスに大きな開きが出てくる事もあって、人によって「強かった」という意見と「弱かった」という意見で分かれる。
  • ラスボス撃破後に挑める隠しダンジョンの最終ボスも弱い。
    • ネタバレになるので詳しいことは書けないが、多彩な攻撃技こそあれどダメージそのものは控えめになっている。最終ボスの前に戦うボスの方が強いと感じるほどである。2021年6月23日に配信されたアップデートで後半ボスが強化されたことで強い敵となった。
      • ただし、これも稲作の方針に影響される部分が大きい。特に特定パラメータに偏った成長をさせていると「通常攻撃はさほど痛くないが、特定の技を喰らうと即死」という事態になることも。
  • ストーリーの後半にココロワがサクナの家を訪れるのだが、食事パートで彼女は座るのみで一緒に夕餉を食べることがない。
    • 食事シーンは作り込みがかなり細かいため*8、作る側の苦労を考えると致し方ないところはあると思われるが、やはり見ていて彼女だけ食事を食べるシーンが無いのは寂しいものがある。
  • 稲作の再現度は高いものの、部分的に省略している箇所がある。
    • 例えば代掻き。この作業は田起こしをして田んぼに水を張った後に行われる。土を深く砕く荒代、土を浅く砕きつつ地ならしする中代、柄振で地ならしする植代(本代)の3回の代掻きが行われるのだが、稲作の再現度が高いだけにないことへの違和感も大きい。
    • 開発者いわく「田起こしと差別化するアイデアが浮かばなかった」とのこと。
    • 代掻きだけでなく、種まき以降の育苗作業*9、畔塗り*10、夏場のあぜの草刈り、防除作業…などなど、ゲームで描写されていない作業はもっとあるのだが、しかし現実の稲作を再現しすぎてしまうと「忙しすぎて探索になど行ってる暇が無くなってしまう」ので、探索と稲作の両方を楽しむゲームであれば致し方ないところではある。

シナリオについて

ストーリーにやや前後の流れが繋がらない場面やご都合的な部分がある。

  • 人間たちが橋を渡って神の世界の都に迷い込む…という流れで物語が始まるのだが、ここでいきなり疑問符のつく展開が見受けられる。
    • 流れつくように侵入してきた人間たちに忠告する声が聞こえてくるが、何故かその先にも別の侵入者がいる。同じ侵入者なのに、先にやってきた者にも何らかの対応をした形跡がないのは何故なのだろうか。
      • さらに、後から来た侵入者に対しても忠告に留めるのみで、警護の者を向かわせるようなことは一切していない。
    • とはいえ、この忠告はどこからともなく聞こえる声といった感じで両者に一緒に伝えている可能性はある。そもそも彼らを知らない忠告者のタマからすればこの侵入者同士が緊張関係にあるなど知る由もないのだから、別々に個別対応する理由もない。
      • また、この橋は最高神ですら全容を把握しておらずいつ何時現出するか予想できない橋である。故に警護の備えが難しく、侵入を感知したと言えど常時即座に実力行使できない可能性は高い。
  • その後橋を渡った後は人間達は都の中をうろついて食料がある倉庫へたどり着き、騒動の結果爆発が起こって倉庫が吹っ飛んでしまいサクナ共々島流しになる、という流れで本編が開始するのだが…。
    • 人間たちが練り歩いているにもかかわらずサクナ以外誰も気が付かないことを疑問視する声がある。挙句、護衛の機械人形も人間を素通りしてなぜかサクナに襲い掛かる始末で、食料が保管されている倉庫には見張りはおろか、鍵すらかかっていない。
      • とはいえ侵入してきた場所も部屋というより通路のような場所で、人間達も隠れる必要があると判断できず、都の賑わいや神の姿が多様であることから神も彼らを見分けることが難しかったかもしれない。
    • 倉庫には可燃性の物体も収納されているにも拘らず、近くに燭台が置かれてある。倉庫の爆発はこれが原因なのだが、これは管理側にも問題があるはずなのに一切咎められていない。
    • 挙句に後にサクナ追放後同様の全く反省が見られない管理がなされており、結果的に2度目の爆発を引き起こしてしまうことになる。
      • 一応、侵入者に最初に警告をしたのはタマ爺であり、サクナも警備に知らせるという行動をとらない点からお役目に蔵の警備もあったと解釈すれば不自然ではないが…。
      • また、この爆発した御饌殿ということは、カムヒツキへの捧げ物を準備しておくための場所。これから捧げるものであると考えるのであれば、管轄もサクナが行っており、杜撰な管理体制の責任を取らされるのがサクナ当人であるという理屈自体には一定の妥当性が認められる。
  • 島流し先でで稲作の手助けを請け負う田右衛門は、度を超した不器用のため稲作の基礎中の基礎すら実践出来ないのに知識だけは豊富という、かなりご都合的な設定を持つことが明かされる。
    • サクナ(プレイヤー)にやらせるためはいえ、例えば高齢だったり怪我や病弱でろくに動けないキャラにしたりして、もう少しやりようがあったのではという意見もある。
    • 前述の通りこのゲームでは育苗作業が省略されており田右衛門がやってくれると言及されるが、この作業も適切に行わないと苗焼け・生育不揃い・徒長苗などの失敗する可能性がありる。
    • 田植えできなければそもそもゲームにならないとはいえ、稲作経験があると何故かこれだけは完璧に行えるかといういささか引っかかる部分がある。
  • ある場面で、サクナが作った米に対し裏の手が回っているような描写があるが、結局その真犯人の存在は明かされないという未回収の伏線がある。
    • エンディングのとある含みのある後日談の文章から察するに、続編や関連作で回収する可能性がないとは限らないが、結局作中では明かされない。
    • こうしたストーリー上の疑問点の数々が最後まで解消されないのは消化不良感が残り、非ナラティブなシステム的に設計された物語や人物設定をどうしても感じてしまう。

各キャラクターの第一印象や一~二年目の言動がよろしくなく、序盤はプレイしていてフラストレーションが溜まりやすい。

  • 上記の通りサクナの落ち度が皆無ではないとはいえ、島流しになった最大の原因は人間達の不法侵入にある。12/11のアップデート以前はストーリー中これらについてサクナに一言たりとも謝罪する描写がなかったため、人間たちに対して手厳しい意見を放つユーザーもいた。
    • 人間たちは侵入中にサクナの追走を妨害するために高価な壺を突き落として割るなど、言い逃れのできない暴挙も働いている。だが、爆発後に主神カムヒツキの面前においても一切悪びれる気配を見せない。
      • フォローをすると、やむを得ずで無我夢中で逃げてきて、たまたま神の世界に迷い込み、自分たちがどこにいるかもわからぬまま見つけた食べ物で空腹を満たした結果の大惨事であり、当人たちにとっては戦乱と飢饉からの緊急避難かつ謝罪どころか状況すら掴めなかったという情状酌量の余地はある。
    • サクナの上司であるカムヒツキもカムヒツキで、人間達の不法行為が紛れもない事実であるにもかかわらず、サクナの言い分を一切聞き入れようとせず「神だから人のせいにするな」と理不尽な説教をする。
    • これに対するサクナも親の七光りの尊大な性格で、「楽をするための努力なら惜しまない」と堂々と言い放つ程のサボり魔であり、「まともな輩がほとんど存在しない」という第一印象を受けがち。
      • なお、現在ではアップデートにて、これらについて小規模なフォローが行われたため、現行版をプレイする人は発売直後に遊んだユーザーほどは悪い印象を受けない可能性はある。
      • ただ、その内容はオープニング追放時の船上にて田右衛門の方から「サクナヒメが呆れるほど謝罪した」と夕餉会話にて判明するもので、直接その場を見れる訳ではなくフォローとしては弱い方ではある。
  • その後サクナと人間たちは罰として島流しに遭い稲作と探索をすることになるのだが、島に着いた後も大人は失敗を繰り返し、子供は「神様なんだからお前が働いて人間を養うのが当たり前」といった態度をとり、人間同士でもたびたび口論したり、自分にとって都合がよくなるとあっさり態度が一変する者もいる。
    • このため「この人たちのために頑張ろう」という意欲を削がれがちで、人によってはゲームを続けるモチベーションが尽きることもありうる。
    • 一方で、サクナは序盤の性格にこそ難はあるがどちらかというと巻き込まれた身である。にもかかわらず、追放の原因を作った人間達のために何から何までサクナ1人でやらねばならない環境に追いやられており、ついにはあまりの辛さに耐えられなくなり1人で泣き出してしまうという展開になることから、いくらなんでもサクナが不憫過ぎるという意見もある。
+ ネタバレ注意
  • 中盤にて、人間達が傷ついた鬼をサクナたちの我が家に連れてくるという自殺行為と言われても仕方ない行動を行う。
    • 拠点には結界が張られており、存在を感知している者しか入れないため、外部から攻めて来れないようになっている。その中に鬼を連れてしまえば結界が効かなくなって襲撃されてしまう可能性があるというのに、一部の人間達はサクナ達の反対を押し切ってまでして鬼を助けてしまい、結果的に我が家が襲われるという最悪の結果を招いてしまう。
    • これに対し「過ぎたことを悔やんでも仕方がない」と諭す人物もいるが、そもそも鬼を助けることに賛成した側でもあるので「お前が言うな」と言わざるを得ない。
    • もっともこの時点では擁護のしようがないが、この後の助けた鬼の顛末や、それが巡り巡ってある敵キャラに少しの救いが訪れる一幕もあり、恩を仇で返されたという一面だけにフォーカスして批判するのはアンフェアである。
      • 助けたことによりサクナ一行が得た物より物理的に失った物が大きすぎると同時に、助けた鬼がそのまま仲間入りするようなゲーム的な機能面でプレイヤーの利益となる要素がないため、マイナス面が悪目立ちしてしまったと言える。
  • ただし、こうした描写の数々はストーリー後半や終盤へ向けての作劇上の前フリである。
    • サクナを始めとした各人物が如何様にしてそのような言行をするに至ったのかという背景事情や、島で暮らす中での人間的成長は作中できっちりと描かれており、ゲームを進めれば全員とも根っこから腐っているわけではないことがしっかりと理解できるようになっている。
    • 苦汁を味わい、お互いの印象も最悪な面々がようやく歩み寄るようになるのは2年目の田植え時期。ここまで進むと皆が段々と自分のやるべきことを探しお互いを支え合っていく流れとなり、食事中の会話も和やかになってゆく。
      • 物語の終盤は清濁併せ呑む度量を持った真の神となったサクナが、神と人の想いを繋ぎ最終決戦に挑む…という評価点で述べた通りの非常に盛り上がる王道的なストーリーとなっており、読破感は極めて良い。スタートラインはマイナスでもきっちりとプラスになって完結する話である。
    • ただ、万事が順風満帆に進行する作風が好みの人には合わない部分が存在するのは否定できず、そうした人は物語の山場を迎える前にプレイ続行が困難になるほどの不快さを感じる可能性自体はある。

操作パートについて

  • 地形のバランス
    • ジャンプや羽衣で届きにくい地形が多く、アクションに不慣れだと苦労する。
      • 武技「飛燕」を覚えると、比較的楽にはなる。
      • よりにもよってチュートリアルが若干難しい。
    • 最奥の敵を全滅させてクリアするステージと画面右側に走り抜けてクリアするステージの違いが分かりにくい。
    • 地形ダメージが大きい。
      • 地形ダメージが絶妙に配置されており、ジャンプで飛び越えにくい障害物のためわかっていても接触する。
      • 「迷路のような地形+ダメージを受ける毒の霧」のような場所は食事による対策スキルが必須レベル。持っていない場合は一度断念した方が良い。
      • 後半で頻繁に登場し、接触すると大ダメージを受けるため最も多い死因の1つ。
      • とあるステージでは、操作不能で死ぬまでお手玉状態になるハマりに陥る箇所もある。
  • 田植え時の操作性が悪い。
    • 公式の「田植えの辛さを再現するためにあえて操作性を悪くした」という言葉の通り、田植え時の操作は移動するとカメラが勝手に動く仕様に加え、Lスティックのちょっとした傾きにも敏感に反応してサクナの向きが変わるため、苗を植える位置が非常にズレやすく、慣れるまで非常に時間がかかる。
    • 田植え中に新しいスキルを習得すると、次の田植えでいきなりそのスキルが発動してしまうため、効果が分からないうちは変な植え方になるので、ある意味初見殺しと化している。
  • 稲作パートでのサクナの判断があてにならない。
    • サクナは操作中の進捗に応じたつぶやきでプレイヤーに作業終了を促してくるのだが、その判断がとにかく当てにならない。
      例として田起こし時のつぶやきを纏めると以下の通り。
      • 「そろそろ半分くらいか。もうよいのではないか」→ 進捗50%・進捗は合っているが、米作りを行うにあたっては全然よくない。
      • 「こんなもんじゃろ。あ~、疲れたわい」→ 進捗75%・まだ完璧には遠い。
      • 「完璧じゃ!これ以上ない働きっぷりよ」→ 進捗95%完璧と言い放ちつつ完璧じゃない。
    • サクナのキャラ性を踏まえたギャグの側面もあるが、ここまで当てにならないのはどうか。
      • とはいえいざ100%にしようとすると中々厳しいものがあるし、ステータス面では誤差の範疇なのでその点も加味してのコメントなのかもしれない。また、必ずしも100%が最適解ではないとする考察もある。
      • 例として、田起こしのパーセンテージが高ければ益虫である「田螺」が減るなど。自然に近い状態であればそういった益虫含めた生き物も増えるということだろうか。
      • 序盤に比べればサクナの労働力は軽くなったとはいえ、それでも狩りと稲作を両方こなさなければならない重労働であることに変わりはないので、可能な限り楽をしたいという気持ちは分からないでもない。
      • インディーゲームであることを考慮すると仕方ないのだが、そのボイス内容がストーリーを進めても全く変化しないという矛盾も生まれてしまっている。
  • 本格的すぎる稲作パート
    • 作者が「どのように調整したら良いのか分からなかったので現実のデータをそのまま反映した*11」と言うこともあって、稲作パートはリアリティを重視している。
    • どのぐらいリアルかというと、具体的には稲作未経験と就農者のプレイヤーが同じ1年目をプレイした結果、米の出来に倍以上の差が生まれるという事例があった。
      このため稲作未経験者はまず農林水産省のガイドラインを閲覧すべきとまで言われるようになった。
      • 稲作パート最初の「田植え」からして罠が仕掛けられており、水が張られていない状態でいきなり田植えが出来てしまううえに、水を張ることの説明が後でなされる。このため、未経験者は水を張る前にいきなり田植えをしてしまいがち。
      • マスクデータの例として、「前日の夕餉の内容に寄って翌日の肥だめの質がかわる」ことが判っている。水5杯の夕餉であれば栄養値が少なくなり、塩分が多かった場合は塩害の値があがるなど。有志の調査によって夕餉の内容は肥料に影響しないことが確認されている。無論、塩分過多の食事であっても塩害は発生しない。
      • 合鴨農法を行うと雑草や害虫と一緒に益虫のはずの蜘蛛も食べてしまうのだが、この説明がゲーム中で抜け落ちてしまっている。
      • こうしたことから、「中盤に差し掛かるまでが最大の難所」と評するユーザーも多い。
    • もっともチュートリアル自体はあり、初見・稲作未経験者でも「何をして良いのかも判らない」という状態にはならない。しかし1年目は米の備蓄もない上に自動採取も解放されておらず、米作りの解説も最小限のため、稲作・探索・食糧確保に全方位カツカツの手探り状態でのプレイとなる。
      • ただ、チュートリアルに関しても、田に水を張る方法は教えて貰えるが「どれだけの水量を入れれば良いのか」や、「夏場の水温調整が品質に影響すること」の様な細部に関しては教えてくれない。
      • 極めつけは、それなりに稲作に慣れてきたであろう中盤に差し掛かる辺りで、大まかだがその季節に必要な作業を教えてくれていた仲間が一時的に離脱してしまう。稲作初心者卒業試験のようなものでもあるが、それまでそのヒントを頼りに進めてきたプレイヤーにとっては死活問題である。
      • 幸い、稲作のヒント追加や自動採取の解放、ストーリー進行は年数をトリガーとするものが多いため、稲作初心者でも数年も経つ頃には余裕を持ってプレイできる様にはなる。
      • また、ゲームオーバーは探索中の死亡のみ、ペナルティもダンジョン突入時の状態に戻されるだけであり、最悪夕餉の食料が確保できなくても詰むことはないため、1年目から効率を突き詰めなければ気軽に楽しむことはできる。
  • 稲作にのめり込む程影が薄くなるアクションパート
    • 上述した内容から一転して、稲作について深く理解するほどむしろアクションパートの重要性やインセンティブが下がりがち。
      十分な食料・資材・装備・武技が確保できると
      • 田んぼの世話 → 日中の探索 → 田んぼの世話 → 夕餉 → 田んぼの世話 → 夜の探索 → 田んぼの世話 → 日中の探索 → 田んぼの世話 →…と、不眠不休で働き続けられるようになるため、アクションパートもほぼ採集作業のように感じられるようになってしまう人も。
      • また、プレイヤーによっては「田の世話」「縁側で時間経過」を交互に繰り返し、丸一日を田んぼの世話に費やし、田んぼを気にしなくていい農閑期にしかシナリオ進行を行わないというプレイスタイルに行き着くケースも少なくない。
    • …と、結果的にはプレイ時間の大部分が稲作パートに費やされたり、アクションと稲作パートが一年として常時連動しているわけではない部分もある。
    • こういったプレイ時間の比率から、アクションパートを楽しみたかったユーザーからは「稲作への労力に対するステータスの強化値が釣り合ってない」という声も上がった。

問題点

  • 後戻りできない操作に対するUI。
    • 本作では一度決定してしまうと取り消すことができない、後戻りできない選択肢がとても多い。
    • にもかかわらず、昨今の主流となっている「デフォルトで選択肢が選ばれていないダイアログ」や「長押しで実行」ではなく、決定ボタンかキャンセルボタンのワンボタンで実行してしまう。
    • 下手をすると、田んぼの中を調べていたら突然重要な選択肢が出てそのまま調べるボタンで決定してしまったために本来行うべきでないタイミングで次の工程に進んでしまい、結果、米の出来が悪化して1年の努力が台無しになる、といった誤爆が非常に起こりやすい。
    • また、本来なら特に継続して行う必要性がない作業も、1つ目の作業を開始するとそのまま次の作業まで中断できずノンストップで進んでしまうことにも不便を感じやすい。
    • ちょっとした操作ミスがその1年を台無しにするため、もう少し1年の努力が台無しになることへの配慮をして欲しかったところ。
  • 後半になると意味をなさなくなる食事と満腹度の概念。
    • 稲作を繰り返すことによってサクナヒメのステータスは飛躍的に成長していき、食事によるステータス強化の恩恵が相対的に弱まり、地形・罠耐性付与を除いて価値がなくなっていく。
    • さらに満腹度についても「敵を倒すとHPが回復する」スキルが存在し、これを強化すれば空腹時のHP自然回復消滅というペナルティも踏み倒してしまう。こうなってしまうと空腹時でも敵さえ倒し続ければ昼夜ぶっ続けで探索が可能となり、サクナヒメは食事も睡眠も不要な正真正銘の神と化す。
      • 空腹状態は稲作作業にはほとんど悪影響を与えないため、探索不要ならば食事は適当でも良いという環境が上記の完全無欠ぶりに拍車をかけており、これらの要素によって後述するような珍プレイが生み出されることとなる。
  • バグ
    • 鍬が表示されないなどの軽微なものから、イベント中にエラーを起こす・敵が壁や地面などのオブジェクトにめり込み出てこないといった重度のものまで存在する。
      • とはいえ、セーブデータ破損等深刻なバグは修正済み。
      • その後もアップデートにより、大半のバグや調整ミスは修正されている。
      • 頻繁に(エリアの切り替え毎に)クイックセーブされるため、仮にバグで進行不能になったとしても(状況にもよるが)復帰は容易。

総評

米づくりという日本人になじみあるようで、現代では知らない人も多いテーマを突き詰めた作品であり、新鮮な気持ちでプレイできる。
ゲーム自体も非常に丁寧に作られており、キャラクターが生き生きと描かれていることも評価を後押ししている。

農業ゲームは数あれど、本作は稲作1本に絞ったことで他に類を見ない独自性を醸し出している。
稲作知識ゼロの一般人からすれば、ゲーマーであろうと初心者であろうと関係なくスタートラインが全員一緒とも言えるある意味稀有なゲームである。
やろうと思えばアクションパートの技量の差も、稲作パートのレベル差で逆転することもできる。

逆に言えばアクションパートは良くも悪くも大味な出来となっているが、緩急やバリエーションは豊富でこちらも決して飽きさせるような作りではない。
稲作パートの本格さと序盤のキャラクター描写に人を選ぶ部分はあるものの、和風な世界観で日本人の心に訴えかける作品であり、雰囲気や稲作に興味があればプレイしてみてはいかがだろうか。


余談

  • あまりの人気に店頭でパッケージ版が品切れを起こし、また話題にのって農林水産省やJAと言った現実世界の稲作界隈もこれに反応したことから令和の米騒動と呼ばれ、ニュース番組でも取り上げられた。動画はこちら。
  • 芸能界きっての食通として知られるダチョウ倶楽部の寺門ジモン氏はゲーム実況者とのコラボ企画で本作をプレイしていたことを明かした。
    • ちなみに、寺門氏は毎年米の生産農家を訪れ自身のオリジナルブランド米も開発するほど米との関わりが強い。
  • サクナヒメの名前の由来は語感から日本神話のコノハナサクヤヒメかと思いきや、原作者によれば今作のプロトタイプは花を育てて咲かせるゲームだったので咲く+苗でサクナにしたそうである。

ゲーム内容の補足

NG農法

  • 初心者が陥りやすい「NG農法」が3つ選び抜かれており、「サクナヒメ三ダメ農法」とも。
    + 完璧じゃ!これ以上ない働きっぷりよ
    1. トライフォース農法
      • 本作を遊んだユーザー達によって名称が定まることになったNG農法。与える肥料は「根肥」「葉肥」「穂肥」の3つがあり、これらのバランスを取って現在の時期やどんな米にしたいかという目的に合わせた肥料を作る必要があるのだが、初心者にはどう組み合わせればいいのかわかるはずもないので、とにかく3つとも限界まで上げてしまう。
        • この結果、溢れた養分が雑草を大量に生い茂らせ、害虫が集まり、病気や栄養不足を引き起こしてしまう。まさに「過ぎたるは猶及ばざるが如し」である。
        • 名前の由来は、肥料のステータスがレーダーチャートで表示されており、3つのパラメータを均等に上げると綺麗な三角形になることから。それトライフォースじゃなくトライアングルでは。
    2. カルタゴ農法
      • トライフォース農法で大量に増えてしまった雑草・害虫・病気対策として、とっておきのものがある。それが防草・防虫・防病と3拍子揃ったアイテム、である。つまり田んぼに大量の塩をまけば簡単に対策ができる…と思いきや、新たに毒性と塩害という問題が発生してしまう。
        • 毒性は塩とほぼ同時期に手に入るアイテムで緩和できるが、塩害は緩和手段が貴重な肥料を使用するか水のかけ流しの2つしかなく、後者ではすぐには治らないためどうしようもない。稲どころか土壌そのものがダメになってしまうため、制作者によって巧妙に仕掛けられたデスコンボと言われている。
        • なお、名前の由来となった大量の塩を耕地に撒く行為は、紀元前にローマがカルタゴを滅ぼした際に行われた侵略行為としての環境破壊であり、農法ではない。
    3. ルイセンコ農法
      • 稲作はとにかくレベルアップに必要である。冬の間に田んぼを放置しておくのはもったいない!と考え、冬に田植えを開始する農法。
      • しかし、この農法が成り立つのは冬でも日中の気温が16℃を超える温暖な気候の地域での話であり、そのラインに到達しないサクナ達の田んぼでは稲は生長せず、最悪の場合枯れてしまい、米の収量そのものが落ちてしまう。
        • ちなみに、春に蒔く種籾の選別をすると強制的に種蒔きまで直行してしまうので、そのつもりがないのにやらかしてしまうケースも多い。
        • 名前の由来は独自の農法を提唱した結果、国家に大打撃を与えてしまったソ連の科学者である。
        • 共産圏では長らく「正しい農法」として扱われていたため、中国や北朝鮮にも導入されて飢饉を引き起こした。ダメ農法の中では現実でも稲作に対して試みられたという点で一線を画す。

肥溜め保存バグ

  • 食べ物を腐らせたくないプレイヤー達によって発見されてしまったとんでもバグ。
  • 肥溜めに食材を投げ込んで、「肥料を捨てる」を選択すると食材が手元に戻るのだが、新規入手扱いとなって返ってくる。
    つまり、食材の鮮度が復活する。
    • 取り出して想像される見た目から使用が躊躇われるものの、食糧事情が悲惨な最序盤ではこれを使用するかしないかで結果に雲泥の差が生まれるということもあり、ゲーム史上最も使用に抵抗のある有用バグとして話題になった。
  • なお、このバグはスタッフ曰く「修正難度と危険度が高かった」ために修正が保留されていた。しかし、2021年6月23日に配信されたアップデートで遂に修正されてしまった。
    • ただし、アップデートにより修正されたのは鮮度の復活だけで、肥溜めに投入している間食材は腐らないという仕様は引き続き残っている。そのため、肥溜めを保管庫替わりにすることで、腐らせたくない食材を長期保存するというテクニックは最新版でも有効なままである。

その他

  • シナリオの途中で一部の人間が失踪する展開があるが、いつまでに助けなければならないという制限がないので、探索やコメ作りに専念して1年以上放置することも可能。よく餓死しなかったものである。
    • ちなみに、探索に行かせた人間がシナリオ上で失踪しても、探索からはちゃんと帰ってくる。そのため、帰ってきたのに帰ってこないというシュールな展開になる。ツッコミどころはあるが、せっかく探索した分が無駄にならない点はきちんと配慮されているといえよう。
  • 劇中で何百年・下手すれば千年以上経過しても成長せず死亡もしない人間サイドの登場人物を見ると、神世での時間経過は現世とは違う物なのであろうか。食材は腐るのに…1年以上水だけの食事であっても飢え死にしないのも納得である。
    • 実際に開発者インタビューにて、数十回稲作をしても登場人物が成長・老化しない違和感を緩和するために舞台を神世にしたことが明かされている。

製作関連

制作裏事情

  • 本作の開発エンジンは既存のものではなく、本作のために作られたえーでるわいす内製のエンジン*12を使用している他、開発に携わる人数は多いときでも10人程度という異例すぎる環境下で、5年という歳月をかけて制作された。
    • しかも、本作の発売元であるマーベラスは販売協力のみで開発費の資金援助は一切行っておらず、開発費は全てえーでるわいすの2人の貯金とこれまでに開発した作品で得た利益を崩して賄っていき*13、最後の最後で借金をしたほどである。
  • 似たような話としては、『Cuphead』がある。詳しくはそちらの余談を参照

通称「TOKIO体験ゲーム」

  • TOKIOはロックバンド兼アイドルグループであるが、かねてより「本業農家、副業アイドル」と言われるほど本業が行方不明になっていることでも知られている。
    • 「未開の島を開拓・調査していくストーリー」「土作りから行う本格的な米作り」「アクションゲームなのに次第に行方不明になるアクションの比率」という本作の内容が、同バンドの長寿看板番組『ザ!鉄腕!DASH!!』と被ることからいつしかこのワードが誕生した*14
  • 実は「そもそもDASH村をゲームでやりたいと言う所からスタートした」企画であったことが、後に開発者のTwitterにて明かされている。

販売事情

  • 本作は元々Win版のみの販売予定で開発されていたが、後に2013年から京都のみやこめっせで毎年開催されている日本最大のインディーゲームイベントのBitSummitにて、マーベラスのアメリカ支部からPS4での展開の話を持ち掛けられ、その後コミケで任天堂から熱いアプローチを受けるという奇跡のような遍歴を経て発売されている。

情勢など

  • 「農林水産省のHP担当者が唐突にアクセス数が伸びたことに驚き、理由を調べてみたら本作が原因だった*15*16
    「オーストラリア人が本作の英語版を輸入して取り寄せようとしたら、英語版の副題である "Rice" が原因で国の農業・水・環境省によって検査された*17
    「島の滞在年数がカンスト(999年)するまで遊ぶ人が出てきたため、アップデートで滞在年数の限界値を9999に増やした」
    など、この作品を取り巻く逸話やパワーワードは多種多様で、個々の言葉や情報のインパクトに惹かれて購入者が後を絶たず、口コミで売れたソフトの1つといえる。
  • しかし、中身は食育の一環としても有効に活用できるほど奥深い。そのため米のありがたみ、農家やTOKIOの努力・苦労を痛感する感想が非常に多く挙がっている。
  • だが話題性の一方で、攻略情報が出揃っていない頃には就農者や農業学校生に「知り合いから米の作り方についての質問電話が殺到する」という迷惑行為も報告されていた。
    • 評価点に記載したレビューの米農家の方も、同レビュー内にその被害に遭った旨を明記している。
  • 翻訳
    • 海外でも販売するため翻訳作業を行ったが、日本語でも説明しづらい専門用語の数々に頭を抱えたらしい。
    • ちなみに、開発者は実際に論文を読んだり、稲を育ててゲームに反映させていたが、そう言ったこともあり翻訳者も稲作について勉強せざるを得なくなったという。
      • なお、田植唄については海外プレイヤーからも「日本語版の方が風情があって良い」という意見が多く見られた。
  • 販売数
    • 11月25日に世界累計出荷本数50万本、1月29日に85万本と、国内インディーゲームとしては異例のヒットを記録した。
    • また、DL版が海外でも週間売上ランキング入りを果たすという現象も確認された。これを「日本でトウモロコシを作るゲームがTOP30に食い込むような状態」と例えるゲーマーも確認されており、言い得て妙である。
    • 以降も継続して売れ続けており、2021年6月4日には世界累計出荷本数100万本、24年6月には150万本(いずれもDL版・Win版の販売数含む)突破が報じられた。
  • 他作品出演
    • 大乱闘スマッシュブラザーズ SPECIAL』ではサクナヒメ、タマ爺、ココロワヒメが期間限定キャンペーンを通してスピリッツボードに登場した*18
    • すでに『UNDERTALE』や『Cuphead』などのインディーゲームが既に出演しているが無料配信スピリットでは初。
    • 牧場物語 オリーブタウンと希望の大地』でコラボ衣装「"天穂のサクナヒメ"なりきりスタイル」が配信された。
    • 『メタリックチャイルド』で、主人公の中の人繋がりで追加DLCコラボが配信された。
  • 後日談
    • 2021年10月4日に本作の後日談に当たる小説『天穂のサクナヒメ ココロワ稲作日誌』が発売された。デベロッパーのえーでるわいす完全監修のもと、タイトル通りココロワヒメがメインの話となる。著者は安藤敬而。
  • 11月26日より無料マンガサイト「コミプレ」で初のコミカライズ『天穂のサクナヒメ 戦だたらの神々』(原作・監修:えーでるわいす/漫画:ジジ&ピンチ/協力:マーベラス)が連載開始。謎の「双子の赤ちゃん」にまつわるオリジナルのストーリーが展開。
    • 単行本は上下巻構成で、2022年6月29日に上巻、2023年02月03日に下巻が発売された。
  • アニメ化
    • 2024年3月9日午後7時*19にテレビアニメ化が発表された(参照)。
    • アニメ制作をP.A.WORKS*20が担当し、2024年7月6日~同年9月28日にテレビ東京系列にて放映された。
      • ストーリーの大筋は本作に沿う形になっているが、賛否両論になっていた一部の人物描写がマイルドにされ、イベントの順番が変わったりゲーム外のメディアや文字設定のみだった要素を改めて組みこめ直したりと様々な変更点が存在する。本作が気に入ったのならば見ては損はないだろう。
  • 2024年11月14日には完全新規のスマートフォン向け関連作、アニメ版の続編、そして本作の続編となるCS機向け新作『サクナヒメ外伝 ココロワと想世の歯』が合わせて発表された。
最終更新:2025年01月06日 18:45

*1 豊穣神は唯一無二ではなく神界に複数いる模様。

*2 公式設定で、登場人物の中で唯一明言されている。

*3 サクナヒメのベースとなったアクションゲーム。フリーゲームとして配信されている初代『花咲か妖精』と、PLAYISM/Steamで購入可能な『花咲か妖精フリージア』に加え、かつてPLAYISMで販売されていた『花咲か妖精ウルトラアンコール』が存在する。

*4 ただし、牛の操作はプレイヤーが行う。

*5 ゲーム実況者がいろいろな専門家の方とゲームを「さんぽ」して世界の見え方の違いっぷりを学ぶという動画シリーズ。

*6 ただ、本物の米農家からは「腰が痛くならないし、獣害も天候被害、現代的なトラブル(人間関係やゴミ問題)も起きないから現実より楽」と言われている。

*7 次の日と言うより、システム的に「その季節の前期・中期・後期」と表記しているので、その辺を考えると辻褄は合っている。

*8 このモーションだけで実に140個もあるとか。

*9 種をまいたら苗への水やりや全ての苗が均等かつ田植えに適切な長さになるように育てる必要がある。

*10 田んぼの外周部は小動物が穴をあけたり自然と崩れるため田植え前に田んぼの泥を塗り補修して保水力を高める必要がある。

*11 本作のマスクデータの数は1000を超えており、本作のデータを解析しようとした海外ユーザーの心が折れたという話もある。

*12 正確には同人ゲームサークル「にゃっほい屋」が開発した「ラグナロクエンジン」も、内製のエンジンでは不足していた部分を補うために使用されている。

*13 えーでるわいす代表のなる氏もTwitter上で「開発費は自腹を切っている」旨を述べている。

*14 さらに、本作発売直後の番組内容が稲刈りであったこともあり、尚更話題となった。また、本作発売後に劇中にもある「種籾の塩水選」が番組で取り上げられた際には、サクナヒメの話題で盛り上がったこともある。

*15 韓国でも本作発売後に農林畜産食品部のサイトへのアクセスが急増し、サーバーが落ちた。

*16 なお、その後開発スタッフは日本の農林水産省から本作についてインタビューを受けている。

*17 オーストラリアでは「ヒメアカカツオブシムシに対する緊急措置」として、米など複数の品目を輸入禁止にしているため。ただし、本作の場合は国によっては特典として本物の米が付属している場合もあったため、この対応を一概にやり過ぎとは言えない。

*18 他の限定スピリッツ同様、後のアップデートで恒常登場に追加されている。

*19 この日時は「397=サクナ」の語呂合わせである。

*20 ちなみに、この会社は社長が兼業農家だったりする。