ソリッドランナー
【そりっどらんなー】
ジャンル
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RPG
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対応機種
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スーパーファミコン
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メディア
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24MbitROMカートリッジ
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発売元
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アスキー
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開発元
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スティング
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発売日
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1997年3月28日
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定価
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8,000円
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判定
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なし
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セーブファイル
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3つ
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ポイント
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素材は秀逸 世界観は遠い未来 ゲーム性はレトロ
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概要
アスキーによるSFC最終作(のうちの1つ)。前年に発売された『トレジャーハンターG』をスクウェアと共同で手掛けたスティングが本作の開発を担当している。
22世紀のアメリカの近未来都市ソリッドシティを舞台にランナーと言われる人型ロボに搭乗し、凶悪なクリーチャーやロボット相手に戦う「RPG」でありアクション要素は殆ど要求されない。
内容
世界観
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舞台は21XX年、南アメリカ大陸のオルビセルスのソリッドシティ
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あらゆる人種が存在しトラブルと犯罪が多発しており、暴走ロボット、バイオモンスターが暴れるハードSFな世界観となっている。
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ランナー
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人型登場ロボ。パッケージでは奥に立っている人型ロボットで色々な武装で戦うのが本作の柱である。
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マフィア
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暗龍
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名前が物騒なイメージだが経済団体みたいなもので人々からの評判は良く、主人公もそこに所属している。
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バイビジブル
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ババリア
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ヨーロッパのドイツで生まれた組織でアメリカにも進出してきた。ドラッグの密売、軍用ランナーの横流し、バイオ研究など…黒い噂が絶えない。
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ピラーニャ・プレタ病
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原因不明の奇病。体中の筋肉が萎え、腐り落ち死に至る。黒ピラニア病とも言われており人々を死に至らしめている。
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作中のグロリア局長の子供は病死、依頼人の少女もかかっている。
シナリオ
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主人公のシュウは自宅を拠点に依頼を受けて現場に向かう。解決したらResults画面が出てクリアという流れ。
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Request
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仕事の依頼がリストアップされており、解決するのが本作の柱。
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受注は1度ずつまで。クリアすれば次の依頼が現れるようになっている。
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News
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Information
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Data library
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あらゆるデータが貯蔵されている。
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人物
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登場人物の顔グラと解説が表示。ストーリーに応じてこまめに更新されていく。
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敵
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今まで倒した敵のデータを解説文とともに表示。これをもとにして戦えば有利に戦えるようになっている。
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フィールド
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全体マップ画面では、カーソルを目的地に合わせて移動する。ロマサガの地図のような仕様である。
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行先に応じて徒歩で行くのかランナーロボで行くのかは変わって来るので、それらに応じて自宅で出直して来よう。
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マップ
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あらゆる場所で人々から話を聞いたり危険なダンジョンを進んでいく事になる。
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セーブは端末で行う
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最大3箇所まで用意されている。プレイタイムも表示。
戦闘仕様
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エンカウント方式
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本作の戦闘は全て、ランナーに搭乗してバイオモンスターや凶悪ロボットと戦うことになる。
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1vs1方式
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序盤から最後までこの仕様、まるでドラクエIと同じようなものと考えて差し支えない。
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戦闘システム
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攻撃は両肩、両腕、あわせて4箇所に装備してある武器を選択して撃ち合うというもの。Rで防御、Lでオーバーブーストも行えるが武器を破損する事があるので使い物にならない。
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左右で移動しながら撃こともできる。移動と言っても画面左か右かという大雑把なものである。
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先に相手のHPを0にすれば勝利。
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敵のHPも全て表示されている。敗北した際は即ゲームオーバー。
評価点
グラフィック・演出が良い
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マップは緻密に作られている。
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マップの書き込みは精緻に作り込まれている。襲撃された際の描き込みまで抜かりはない。
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一枚絵も豊富
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タイトル画面では色々と用意されており、自宅からの景色は多重スクロールで表現されるなど色々と用意されている。
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ミッションのクリアの後は大きな一枚絵とともにRESULTでビシッと終る、ガンハザに倣ったか。
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表情豊かな顔グラ
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顔グラ48×48のサイズ。多くの人物に用意されしかもあらゆる表情を見せる。同時に2人分出てくるので、より会話しているという実感がある。
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登場人物たちも魅力的でありプレーヤーの印象に残る。
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各地ではいろいろなドラマも見どころでありプレーヤーを楽しませた。
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ステージで歌を歌うシーンまで用意。音声までは無理というものであるが。
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最終盤では強大な敵に人々が総出で立ち向かうようになっており、遊んでいるキャラがいないようになっている。
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フォント
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文章も漢字が多用されており高品質。しかも顔グラが併用されている。
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メニュー項目やアイテムも漢字で表示されており、解説文も漢字で用意されている。
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レベルアップの際は差分が表示、アイテムは解説付きなど細かいところも作り込まれている。
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セーブ仕様
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セーブする際はプレイタイム、LV、EXP、現在地も表示されて分かり易い。しかもセーブ直後に勝手に閉じる事がなく分かり易い。
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MODE7の活用
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電脳空間にダイブする際は3D演出で奥行きと立体感を表現している。ただしゲーム性は残念…
賛否両論点
どこかで見たような世界観
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科学文明
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ホログラムシートや、ビデオファンで映像と音声を光通信でやりとりするTV電話、電気自動車が普及してガソリン車は贅沢品になっている、VRゲーセンという娯楽施設、CGの多用化で俳優が失業寸前に追い込まれた時もある事など、色々と表現されている。
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序盤ではS-MDの記録媒体が登場しておりその容量は128GBと言っている。当時としては突拍子もない数であるが、22世紀でこれなのか。
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当時放映されていた某ロボットアニメのパクリと言っても過言ではないほど似ている。
ストーリーは結構重い
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作中では大事な人が殺されたり、裏切りで殺されかけたり悲惨な事が多い。
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作中には麻薬工場まであり気が違った廃人まで出てくる。
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主人公の問題行動
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1ケ月の間酒浸りになったり、行動原理は復讐とはいえど乱暴な挙動に走っており、麻薬工場では廃人を笑いながら見殺しにしている。最後には敵が作ったものとは言えパソコンを銃で壊したり奇病を治す装置も破壊していたりする。
ゲームジャンル
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RPG仕様
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世界観に優れている一方でRPGとしては特筆するところはなく、アクションゲームとして作った方が良かったという意見はある。
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相手のHPが見える
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ザコ敵は勿論、ラスボスのHPすら伏せることなく数値で表示されているのでこのあたりをどう取るかはプレーヤー次第。
問題点
ゲーム性
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RPGパートも戦闘パートともにファミコンレベルと大差ない。
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仕掛けは簡素
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殆どのギミックが扉を開けるためにスイッチを押したり、キーを手に入れてくるのみで面白味に欠ける。
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他のギミックも特筆すべきものはなく、やり込み要素は見当たらない。
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戦闘もありふれたコマンド方式
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1vs1のコマンド方式は、ランナーを操縦しているという実感はない。
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終盤では2人がかりで主人公を陥れようとしている状況があるが、その際は2人がかりではなく1vs1で順番に戦ってくれるので流れがおかしいと言える。
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ちなみに、屋外でも多くの仲間たちが強大な敵達と大がかりなドンパチが行われているのだが、本作の戦闘仕様からむしろシュールな光景を考えてしまうところ。
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電脳ダイブ
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空間で色々回収する箇所でも、MODE7で見栄えは良いと言ったがゲーム性はファミコン時代の3D迷路と同等。
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広さもA0~F5の36マス程度であり中央の16マスにアイテムが4箇所隣接しただけの簡素なものである。
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フィールドマップの操作性
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一度フィールドマップを出すと元の場所に戻るのが僅かに面倒。キャンセルボタンがなく手動で元の位置を選ばなければならない。
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大したことがないようだが何度も往来するにあたってどうしても不便さを感じてしまう。
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エレベータの選択
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本来なら階層毎にボタンを並べて見栄えが良くすべきだが、本作では文章の選択肢で取り回す仕様なので安っぽく不便。
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せめて、リストアップならまだ良かったところである。
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次にすべき事が分かり辛い
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次の目的地は言ってもらえるのだが一度きりだったりする事も多く、聞き逃したり忘れてしまうと大変である。その後は誰も何も言わないし、目的地に分かり易い目印があるわけでもないのでセーブする際はそういう事にも気を付けないといけない。
終盤の構成
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中盤で格闘競技に参加できるようになる。これがなかなか楽しいのだが、一度ラストステージへ向かうと戻ってくることが出来ない。
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ストーリー的にも中盤かと思えるが、実際はすぐ終盤戦に突入してしまうので楽しい期間は非常に短い。
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こうなると、あとはもうラスボスを倒しに行くしか選択肢がなくなる。
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最後の〆は下水道でのバトル。
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スタッフロールの後に下水道の雑魚戦をわざわざ一枚絵まで用意して〆るのも評判が良いとは言えない。何もこんなもので〆なくたって…
総評
近未来のハードボイルドな舞台、そしてそこで展開されるドラマは非常に練り込まれており、しかも豊富な素材で演出されている。
しかしながら、それらを引き立てるはずのゲーム性が戦闘・RPGともにレトロゲームの方に逆行している。SFC末期ゲーなのにあんまりである。
某ロボットアニメのような世界観が好きな人ならば受け入れられるかも…というところ。
余談
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アスキーは同日に『RPGツクール95』『ダークロウ~Meaning of Death~』を発売している。
最終更新:2023年09月07日 18:20