無双OROCHI3 Ultimate

【むそうおろち すりー あるてぃめっと】

ジャンル タクティカルアクション

対応機種 Nintendo Switch
プレイステーション4
Xbox One(海外版のみ)
Microsoft Windows(Steam)
メディア 【Switch】ゲームカード
【PS4】Blu-ray Disc
発売元 コーエーテクモゲームス
開発元 コーエーテクモゲームス(オメガフォース)
発売日 【Switch/PS4】2019年12月19日
【Win】2020年2月14日
定価(税込) パッケージ版
通常版: 8,580円
デラックスエディション: 9,680円
アップデート版
通常版: 5,280円
デラックスエディション: 6,380円
プレイ人数 1人~2人
レーティング CERO:C(15才以上対象)
判定 シリーズファンから不評
ポイント 無印から変わらぬ圧倒的な爽快感
要素毎に問題点の改善の質に大きな差が
追加モードやストーリーも問題点だらけ
総じてアクション以外の要素が低評価
無双シリーズ


概要

無双シリーズでは恒例となった『無双OROCHI3』のアッパーバージョン。
今回は『無双OROCHI2』と『無双OROCHI2 Ultimate』のように独立したタイトルではなく、シリーズ初となる大型DLCとして配信されている。
そのため本作のパッケージ版を買った場合は既存の無印タイトルが本作にアップデートされ、無印版のまま起動できなくなる。
アップデート版は誤購入防止のためかダウンロード版しか用意されていない。

ダウンロード版フルパッケージの予約者のうち、無印を所持していなかったプレイヤーについては「本作へのアップデート権利を持った無印を購入」という形になり、本作の発売日までは無印をプレイ可能というサービスが存在した。

今回は無印のプロデューサーを担当した古澤正紀氏が『ゼルダ無双 厄災の黙示録』の制作に取り掛かっていた事もあり、『真・三國無双2』から『真・三國無双5』のプランナーとディレクターを担当した庄知彦氏へとプロデューサー役を交代している。
なお、プロデューサーだけではなく開発スタッフが全員変更され、人員が無印版の半分以下になったことも同様に明言された。

無印版記事の通り問題点の大半がシリーズファンほど重要度が高いこともあってか、発表された配信内で早々に「『無双OROCHI3』という作品の本質を変えることができないことをどうか理解して欲しい」という前置きと共に『無双OROCHI3』に対する改善を求める意見の多さを把握・理解していることと、全ての事柄を反映することへの限界について明言された。
また、その後の雑誌インタビューや公式Twitterでも、改善するべき点の膨大さ、既存武将性能の調整、『戦国無双 ~真田丸~』『真・三國無双8』の新武将を追加しないことを明言していた。
このように問題点と向き合い改善に奔走している旨と、開発上の工数の限界のため問題点を解消し切れないことへの理解を求める旨などを積極的に宣伝する異例の展開が様々見受けられた。

今作の主題歌は後述する新キャラクターである「ガイア」を演じる早見沙織氏が担当している。


特徴及び変更点

  • 追加シナリオ、追加チャレンジ
    • 4章の終わりから分岐する追加ストーリーとして6-8章が追加された他、2章と5章に追加の外伝ステージが入っている。
    • チャレンジモードにも「破壊」「神速」が追加。前者は制限時間内にオブジェクトを壊すことで得られるポイントを、後者は1000人撃破までにかかる時間を競う。
      • 本作で追加された属性はこのモードから取得可能。なお「流星」「暴風」は別途DLCが必要なのは変わらず。
  • 新モード「インフィニットモード」
    • 前作の「アンリミテッドモード」に相当するモード。5章をクリアすると開放。仲間を集めつつ神々の塔を攻略し、ゼウスを倒すのが目的。
    • 「〇〇分以内に××しろ」というステージ選択時に表示されるミッションをこなすと出口が出現するので、そこに行き脱出する。
    • ミッション開始から残り時間が半分になると、ゼウスから残り時間の増加や体力回復などのうちから1つだけ支援を受けられる。またミッション開始から脱出までの時間が早かった場合「迅速な勝利」となり、次の1階層分をクリア扱いにしてスキップできる。
    • このモードで出てくる宝箱からは熟練度による攻撃力上昇が最大+99という驚異的な性能を誇る「真武器」の素材が手に入る。
  • 新システムの追加
    • 追加ストーリーである6章の序盤にて、キャラを交代しながら連続で無双乱舞/奥義を繋げていく「無双スイッチコンボ」が使用可能になる。
      • 初代『無双OROCHI』シリーズの「無双バースト」に近いシステムだが、明確に「無双攻撃の終了時~直後に、交代ボタン+無双ボタンを押す(押しっぱなし可能)」と、タイミングが取りやすくなった*1
      • 成立時には無敵状態のまま、無双攻撃が出る前に敵を吸引する短時間の間が存在し、その間に覚醒・無双極意を発動することで覚醒乱舞や無双奥義・皆伝への無双スイッチコンボも可能*2
      • 無双スイッチコンボ中に倒した敵からは経験値+50の巻物を入手できるため、狭い範囲の無双攻撃 → 広範囲の無双攻撃や覚醒乱舞など、武将の組み合わせ次第で強力なレベリング手段になり得る。
    • 前作『無双OROCHI2 Ultimate』の転生システムが追加。5章をクリアすると開放。転生を繰り返すことでボーナスを得られたり、成長玉でステータスを強化するという要素もそのまま続投している。
  • キャラバランスの調整、キャラ追加。
    • 事前に告知されていたゼウスに加え、伏犠や女媧、遠呂智などの旧OROCHIカテゴリの武将にアッパー調整が施された。攻撃範囲の拡大やヒットバックの調整により無印よりも格段に使いやすくなっている。
    • 属性攻撃の数で水をあけられていた三國武将にも見直しがされ、各種EX攻撃の他にも属性が付与されるチャージ攻撃の増加や、全三国武将共通でチャージ攻撃6の基礎ダメージが2倍になるなどの上方修正が一律で行われた。
    • 神器はタラリア*3や太極図*4など性能が見直されたものがあるうえ、キャラ毎に固定されていた神器も変更可能となった。
    • 新キャラとして「ガイア」「ハデス」「楊セン*5」「 ペルセウス(本物) 」が登場、コラボキャラの「アキレウス」「リュウ・ハヤブサ」「ジャンヌ・ダルク」も復活した。
    • ストーリークリア後の陣地強化により、属性レベルが一部を除き+20まで上がるようになった*6。またスロット数も8から10まで増加可能。
  • 陣地での操作性改善
    • リスト形式から『2 Ultimate』までのルーレット式キャラ選択への変更など(旧形式にも切り替え可能)。
    • 遠征に出しているキャラでもバトルメンバーとして選択可能となった。
  • BGMの追加
    • アップデートでアレンジ楽曲の原曲が追加された。これはオリジナルの曲でも遊びたいというユーザーの要望に応えたもの。
    • 神格化武将のテーマなどの「-TRINITY MIX-」と表記のあるものに加え、もともと原曲が引用されていた小牧長久手と姉川*7にも初代『戦国無双』の原曲を用意するという徹底ぶり。
    • ちなみに、「原曲の魅力を著しく損ねている」と批評された「TRINITY MIX」のアレンジ楽曲についてだが、今作では本多忠勝のテーマと復活参戦であるリュウ・ハヤブサのテーマ曲が新規収録されている。
    • しかし「TRINITY MIX」楽曲自体が、サイド含む追加シナリオ部分ではBGM変更機能により意図的に設定しない限り、リュウ参戦ステージ以外では一切流れない様になっている。
    • 有料DLCでは過去に収録された『無双OROCHI』のBGM10曲が配信されている。

評価点

  • 美麗になったグラフィック
    • 対応ハードの世代が上がったこともあるだろうが、総じてグラフィックが美しくなっている。
    • いわゆる「朝礼」と呼ばれるメイン画面においては、「甲斐姫は黙ってりゃ美人」と言われてしまうほど。
    • さらに女性キャラの露出度が高まり、一部のキャラを除けば乳揺れも存在している。
      • 「不埒です!」の台詞で有名な稲姫は着物の右肩をはだけさせると言った着こなしで、その稲姫も惜しげもなく乳房を揺らしてくれる。不埒なのはあんただ。
      • 特別衣装で洋風の甲冑を着る女性キャラがいるが、その女性達の乳房もきちんと揺れる。ギャラリーで女性キャラを回転させれば、より乳揺れを堪能できる。
    • メインの3人とサポートの4人が当時に表示される合体神術においてもグラフィックの破綻は無く、Switch版でもフレームレートの低下のみで済んでいる。
  • 相変わらずの爽快感
    • 画面を埋め尽くすほどの敵を過剰なほどのエフェクトと圧倒的な殲滅力で征していくという、シンプルながらプレイヤーを魅了してきたPS3〜PS4世代以降の特徴を高レベルで実現している。
    • 後述する神器付け替えによってコンボ繋ぎの自由度も更に増したため、単純なキャラクター操作・敵の殲滅面においてのストレスの無さはシリーズトップレベルである。
  • 陣地での操作性改善によるストレス解消。
    • 前作で真っ先にストレッサーとして上げられていた部分だが、階層を下がるとL1(LB)/R1(RB)がロックされ、他の項目に切り替わらなくなった。
    • ただ、この部分は前作とキャラ切り替えボタンが変わった(戦闘時の操作に統一された)ことに関して苦情が多かった部分なのだが、そちらへの対処はなかった事に関しては不評気味。
    • 他にも決定が長押しだった部分や、ボタンを押しっぱなしにしている限り際限なくレベルが上がっていた仕様は確認ウィンドウを経由する決定方式に変更され、必要以上に上げてしまうなどのミスを防いでくれる。
  • 難易度「渾沌」の常設化
    • ストーリークリア後の陣地強化によって、難易度「渾沌」が通常の難易度と同様に選択可能にできるようになった。
    • 無印のように何処で発生するのかを待つのではなく、自分から飛び込めるようになったので、希少石稼ぎや金レアの武器属性稼ぎで困りにくくなった。
    • 難易度常駐を達成して以降は、渾沌(武将)の登場演出が表示されなくなる。
  • 新キャラ・復活キャラは概ね好評
    • 新キャラ3人はいずれも個性的で、追加ストーリーの中心となり大いに盛り上げてくれる。
    • 復活キャラも今作に合わせて攻撃範囲の拡大、派手なエフェクトの追加など『無双OROCHI2』の時よりも大幅な変化がある。
  • 神器持ち替え
    • キャラごとに固定だった神器の持ち替えがほぼ自由になったため、格差が減った。性能重視でハルパーなど強力な神器に持ち替えるのもよし、グリンブルスティなどでネタ性を高めるのもよし。
      • 中でも降魔杵という神器はそのモーションゆえにある用途に重宝されるようになった。
    • なお固有神技はキャラごとに固定となっており、どの神器を持たせても元の神器を使った技となる。
    • 神々の神器は当人にしか装備できないが、アップデートにより所有者のチャージ攻撃や神術の一部に似た性能を持つ「レプリカ神器」が登場、こちらは全キャラ装備可能。
  • 追加サブストーリー
    • 無印版では行動原理が不明瞭である・矛盾している・キャラクター性と合致していない武将が数多く存在していたが、全てとはいかないもののそれらの武将の行動を補完・修正するためのサイドストーリーが追加された。
    • 一部武将は無印版での内容と補完された内容で行動原理が大きく矛盾しているものの*8、この点は「矛盾していてもこちらの方が良い、納得できる」と大して問題視されておらず、概ね好評。
    • 1人の人物として周囲に認識されていたにもかかわらず正体が発覚した後は一切情報が無くなり、謎だらけだったキャラクターも、今作の追加ストーリーでは重要な役割を持ち、過去も描写されたことで前作ストーリーでの話の説明もなされた。

賛否両論点

  • 『無双OROCHI』シリーズトップクラスのインフレ
    • 各種属性の上限値が+20になったことや成長玉によるステータスアップなどにより、無双シリーズ屈指の超火力を持たせることが可能。前作と同様に属性一強の環境が続いている。
      • これに関しては制作側も認識しており、インフィニットモード後半では「斬」属性が弱体化するようになっている他、アップデートで「属性制限機能」が追加された*9
      • 一部攻撃につく属性の効果値・発動確率が減る「属性効果減」と、その属性自体を無効にする「属性無効」から選ぶことができる。
      • 属性制限機能を使用してステージをクリアするとリザルトで獲得できる貴石が増えるほか、クリアしたステージには☆マークが追加される。
    • 全武将の神器持ち替え可能化に伴い、バランスももれなく崩壊してしまっている。勝ち組と評された「ハルパー」もさることながら、特に本作で新たに登場した神器「Rグングニル」は、僅かな神術ゲージの消費量で発動する通常神術で時間停止効果が得られるため、容易に味方勢力を優位に立たせることが可能になってしまった。
    • これらの圧倒的な殲滅力は確かに大きな爽快感を生むが、無双の「草刈りゲー」の面を顕著に表してしまっていると言える。
    • 手軽な方法で全て済み「多様なアクションは魅せプレイでもないと使う意味が薄い」「耐久力強化要素に乏しく、プレイヤー側の敗因は一撃死に終始する」というアクション面の大味さがそのままな点も拍車を掛けている。

問題点

  • 事前から告知はされていたが『無双OROCHI3』の根幹はそのままで、無印版から改善できていない点も大幅に多い。
    • 既存武将の性能調整が宣伝文句として再三強調されたため、無印版で攻撃範囲、属性付与回数、無双乱舞など様々な面で原作から大きく弱体化し、「常時天舞状態」とまで評価される程に強力な「戦国無双」武将に大きく水をあけられた「真・三國無双」武将の改善が期待された。
    • だが、言葉通りに「アクション全般の再調整」を受けたのは曹操・陳宮などの真っ先に名前が挙げられる程に悲惨だった極一部の武将のみで、大多数の三國武将は「C6の与ダメージ2倍」「C2に属性付与追加」という共通した修正以外は「EX攻撃に属性付与追加」という無印版でのアップデートから何も変わっておらず、発言と実態が伴わない。
      • もちろん上記の言葉通り、例えば戦国武将の上杉謙信も特殊技や前作などでの自己強化手段がなくなり、発動に難しい条件を強いられているままなど、改善されていないのは三國武将に限らない。
    • 過去作からのアッパー調整も少なく、それどころか弱体化調整が際立った旧OROCHI勢は遠呂智、真・遠呂智、女媧、素戔嗚といった、無印版で批判が多かった一部武将に対して大幅な上方修正が行われ、これに関しては概ねユーザーから高い評価を得ている。
      • とはいえ、こちらも太公望や源義経などのように、一応上方修正は加えられたものの*10、微々たる変化の為強化を実感することが困難な武将も存在する。
      • ただし、上述したように戦闘バランスという面においては大きくプレイヤー側インフレに偏っているため、改善されなかった武将でプレイしてもクリアが困難になるほどの状況は殆ど無い。
  • キャラクターの扱いの偏り
    • 登場キャラが多い本シリーズにおいて初代から続いており、かつ無印版の評判を失墜させた抜本的な問題ではあるが、本作の追加シナリオでもキャラ毎に登場頻度などの偏りが目立つ。
    • 新登場のガイアやハデスなどはストーリーの中心人物として最後まで登場する機会があり、また新キャラと繋がりのあるゼウスやオーディン、太公望なども出番に恵まれている。
    • その一方で復活勢は初出以外に目立った活躍がほとんど描かれない。アキレウスはオリュンポス十二神の子孫*11であるがゆえに多少は扱いがマシだが、リュウとジャンヌに至っては仲間になって早々に「その他大勢」に埋もれてしまう。
    • ちなみに「特定武将へのシリーズを超えた特殊称賛台詞」が消滅した今作だが、復活したコラボキャラに限っては「前作の特殊称賛台詞を内容そのままで新録」という手法が採用されており、これらに限り「シリーズを超えた特殊称賛台詞」が復活した形になった。
    • ちなみに、アレスとアテナは新キャラと繋がりがあるにもかかわらず出番がほとんど無い。どうやら家族より友情を優先された模様。
    • 既存武将である「太公望」とは悪態を付きながらも互いに「同格」と認め合っているという設定の楊戩だが、当然ながら新武将である楊戩の方が活躍の機会に恵まれており、その上今作で唯一追加された神格化枠武将*12のため、ストーリー・演出両面において太公望と楊戩が同格であると納得することは難しい。
    • 楊戩が武略や神格化を駆使して活躍する最中、太公望は悪態を付くばかりであり、さらに武将性能面でも太公望が大きく劣る状態であるのも拍車を掛けている。
    • 無印において出番や演出の優遇が不自然に過剰と問題点に挙がっていた井伊直虎と関銀屏は、本作の追加ストーリーでは両者共まさかの出番無しである*13
      • 「ユーザーへの歩み寄り」を宣伝文句として強調した以上何かしらの改善点を示す必要があったとはいえ、ユーザーが求めていたのは出番の消滅ではなく良質なストーリーやキャラクターの描写であって、あまりにも極端で的外れなやり方である。
  • 追加シナリオの人選
    • 「数が膨大であるために全キャラに平等に出番を用意するのは現実的ではない」との前置きはあるものの、「各キャラのファンに出来るだけ喜んでもらえるよう意識している」と無印版からの改善を宣伝していた。
    • だが、実際は「武田信玄と平清盛」「太公望と司馬昭」「呂布と黄蓋」「黒田官兵衛と直江兼続」など、担当声優が被っている武将で大半が構成されている。
    • シナリオ上でも「その武将だからこそ出来たこと」が皆無であり、またその他多くの武将には新規録音のセリフすら存在していない。
      • 総じて「ファンに喜んでもらえる人選」ではなく、「開発側の都合が如実に表れた人選」という表現の方が正しい状態である。
  • インフィニットモード
    • 「『2 Ultimate』で好評だったアンリミテッドモードを参考にして、アンリミテッドモードの様に楽しんでもらえる様に開発した」と紹介・宣伝された本モードだが、本当に参考にしたのかと疑いたくなる程に、アンリミテッドモードの評価点と乖離した問題点が数多く目立つ。
+ 詳細
  • ステージのクリア方法は、脱出地点となっている光っている円形の地点に「一定時間操作せず立ち続ける」必要がある。一度でも横槍を受けたり、攻撃をしたりすればやり直しとなり、あまりにストレスをかけさせる出来になっている*14
    • 敵の強さがストーリーモードから調整はされているが、ストーリーモードで上げきったレベルで挑むことを前提に調整されているのか、敵が異様なほど硬い。
    • 終盤になるとアンリミテッドモードにもあった瘴気レベルが登場し、時間経過とともに敵が強力になるのは同じなのだが、本モードではさらに割合ダメージが減少する効果が追加されているため、よけいに敵が硬く感じられるのも一因。
      • 基礎スペックを重視したため、「C6の与ダメージ2倍」という調整を施した三國武将が有利になるようなバランスにしたとも解釈することは可能だが、属性付与回数の暴力を叩き込める戦国武将は属性が弱体化した状態でも依然として火力優位に立っており、「新規参戦の神々か戦国武将を使えば良い」という無印版の歪なバランスは未だに覆っていない*15
      • 瘴気レベルシステムも、アンリミテッドモードでは「高ければ高いほどドロップするアイテム全般の質が良くなる、開眼の書のドロップ率が高くなる」など、難易度が上がることに対してのプレイヤーへのリターンが用意されていたが、インフィニットモードではそういったプレイヤーへのリターンは存在しない。
      • また、アンリミテッドモードには陣形による能力補正、装備アイテム「形代*16」など敵の強化に対応する新要素もやろうと思えば早期に確保できたが、本作はそういったサポートがなく基本的にストーリーモードベースの制限下で攻略することとなる。
      • まず、ストーリーモードだけで難易度「修羅」「渾沌」の敵無双武将に一撃死させられなくなるまでのレベル上げを要求されているようなもので、最大の経験値稼ぎ手段である無双スイッチコンボも追加ストーリーに入らないと開放されず…と、敷居が非常に高い。
  • 敵がほぼ無制限に出現し、一部の例外を除き操作武将にそれらが進軍してきたアンリミテッドモードと異なり、本モードの敵は1マップを短時間で終わらせねばならない場合が多い関係で、初期配置されている小隊規模で点在し操作武将が接近しないと行動を起こさない敵+数回の増援のみで敵の出現が打ち止めとなる。
    • 敵の数もお世辞にも多いとも言えず、全て撃破して回っても1000~1500倒せるかどうかという程度の数である。初期配置されている敵も、少し離れると操作武将を追うことよりも初期配置地点に戻ることを優先してしまう。
    • 無制限の敵と戦う緊張感と爽快感を得られたアンリミテッドモードとは異なり、配置された小規模の敵群を倒すために戦場を回る作業感が強くなっており爽快感を得にくい。
  • アンリミテッドモードでは操作武将の交代を行った時、マップの当該地点にいる武将に操作権が移る=擬似的なワープという形で操作武将が変更されたため、方針を「探索」にすることで戦場中にチーム武将を派遣し迅速な探索をすることができた。
    • しかしインフィニットモードでは、操作武将と交代先の武将の位置を入れ替えるという仕様であり、通常モードの武将交代と大して仕様が変わっていない。
    • このため、「探索」の方針がマップの開示以外ろくに機能しておらず*17、結局ミッション達成のためには自分で当該地点へ武将を操作して向かわなければならず、かなりのストレスとなる。
    • 五丈原などの非常に広大な戦場の場合、アンリミテッドモードの武将交代システムではないことを悔やみながら必死に探索することになる。
      • ちなみに、方針の切り替え操作が「L1ボタンを押しながら□または○ボタン*18」であり、L1ボタンを押しっぱなしにしている間は方針切り替えが優先されて通常攻撃と無双を出せなくなってしまう。
      • ガード状態からの攻撃を出せなくなってしまうが、本作の攻め重視のシステムではよほどでないかぎりガードを使う機会が無いのが救いか。
  • そもそもこのモード、最初から最後まで作業感が極めて強い。
    • 十二星座をモチーフにした塔が各5階層で60ステージ、さらに全ての塔クリア後に出てくる天空神の塔に至っては100階層、天空神の塔クリア後にも蛇使い座10階層の塔が出てくる。さらにランダムで選択されるステージも被りが非常に多い。
    • 天空神の塔を完全クリアするためにはゼウス以外の武将176名を全て集めてゼウスを倒す必要があり、そのために目的のキャラが出るステージで仲間になるまで繰り返しプレイしなければならない*19
    • 天空神の塔クリア後、今度は真武器の素材集めという作業が立ちはだかる。特に武将の固有素材は最後の蛇遣座の塔以外ではほとんど出ないので、素材の出やすい蛇遣座の塔をひたすら周回させられる。
    • 結果として、天空神の塔を一度踏破するまでは目標をこなしてさっさと進み、次に仲間を増やすために同じステージに繰り返し挑み、最後は蛇遣座の塔で素材集めのためにひたすら周回するといった形で、最初から最後まで単純な作業が付きまとう。全体としては、無印版の難易度・混沌以上の「水増しした薄いやり込み要素」になってしまっている。
      • また新たなレア属性や属性素材の大量入手を新モードの目玉報酬として用意していた前作とは真逆に、インフィニットモードでは「天舞・天攻」「風斬」などの金属性がドロップしない。
      • ストーリーモードの難易度・混沌で金属性を集めるという作業は結局避けられないため、「プレイ時間水増しのやり込み要素」を助長してしまっている。
      • 前作では依頼や各種トラップ・特殊な敵などローグライク要素を取り込むことによって単純作業を少しでも緩和しようとする姿勢が見られた、本作ではそのほとんどが削除されてしまっているのも単調に感じる一因となっている。
    • インフィニットモードの美点といえば、ストーリーモードで敵として出てこない無双武将があるゆえ、こちらで狙って戦えるから某バスターが捗ることぐらい。
  • アップデート対応
    • 発売前に、ユーザーの意見を汲み問題点の改善に努めてると再三に渡って宣伝していたため、上述した問題点も「ユーザーの意見を汲んできっと改善してくれるだろう」と、多くのユーザーがアップデートによる改善を待ち望んでいたが、発売2ヶ月目というあまりに早過ぎるタイミングで庄P自ら「アップデートの打ち切り」を発表。
    • 改善された点も「インフィニットモードの制限時間緩和」程度しか無く、ユーザーの声と向き合い改善に努めているという開発姿勢とは裏腹に、新たな問題点は今後一切改善されないという現実をユーザーに突き付けた。

総評

無印からのスタッフの入れ替え、不評な点への言及など異色な対応が目立ち、発売前からの紆余曲折が注目されていた作品。
発売前から明言しなければならなかったほどの問題点の膨大さと深刻さ、開発期間の異様な短さによる工数の限界*20もあり、要素ごとにその改善点には大きな差が見られる。
『無双OROCHI』シリーズという観方において作品に求められる形への改善には至っていない。
しかし、グラフィックなどの元々の評価点に加え、シリーズトップクラスの爽快感・ストレスフリーなアクションは無印からさらに向上したことも事実であり、
依然として新規ユーザー視点と、前作や、出典シリーズをプレイ済みの既存ユーザー視点とで評価が大きく異なる作品である。


余談

  • 次回作でどこまで挽回できるかが『無双OROCHI』シリーズ存続の鍵となる。
    • だが、『真・三國無双8』ではフルモデルチェンジによりアクションとシステムの一新が行われ、『戦国無双5』に至ってはリブートによりキャラクターと世界観の一新が行われてしまっている。
      • それら新作の評判をさておいても、『無双OROCHI』シリーズの再走もまた絶望的な状況にあるというべきだろう。
  • 成長玉システムの裏技
    • 武将転生の際に任意に割り振ってステータスを上げる成長玉システムが『2 Ultimate』に引き続いて実装したが、その際に特定の手順を踏むと表示上の上限を超えてステータスを上げることができる。
      • 成長玉を最大効率で割り振る方法は、「転生回数9回目の「レベル1」の時点で伸ばしたい能力に成長玉を限界まで割り振る」というもの*21
    • 成長玉というシステムが「武将の現在レベルのステータス」に対して割り振るという仕組みになっているため、レベルアップのステータス上昇が後から上乗せされることで上限を超えると思われる。
    • これを知っているか否かで、伸ばしたい能力に10%前後という大きな差が生まれる。ただそれでも全体のインフレから見れば微々たる数値であり、属性縛りでようやく視覚的に判別できる程度である。
    • また、当然ながら成長玉の数には限りがあり、特定のステータスを上げれば他を下げる必要があるので、あくまで「特化」であって「最強」育成にはならない。
最終更新:2024年07月02日 22:44

*1 無双バーストの時は1 → 2人目は無双終了 → スイッチ発動が可能だったが、3人目に繋ぐときは無双技の途中を交代でキャンセルしないとと繋がらなかった。

*2 覚醒乱舞/皆伝の存在しない『無双OROCHI』シリーズの武将では不可。

*3 通常神術ヒット時の敵の吹き飛びが真上から前方になり、連続ヒットするように改善されている。

*4 攻撃判定が拡大された上、敵の吹き飛びがゆっくりになって追撃が容易になった。

*5 センは常用漢字外、漢字表記だと「普戈」に近い物。

*6 「神速」「巨星」「斬」は+10が上限のまま。

*7 前者が『戦国無双2』のアレンジ版、後者が『戦国無双3』のアレンジ版である。

*8 無印版では司馬昭へ一方的に恩を売るために自発的に敵軍に所属していた鍾会が、追加サイドでは司馬昭の命で敵軍に所属していることになっているなど。

*9 「本作の属性の性能が極めて強力なため、一部の属性の発動確率などを抑えた状態で楽しめるようにしたもの」と紹介されている。

*10 通常攻撃を当てた敵を前方にかき集めるようになり、チャージ攻撃が有効になりやすくなったなど。

*11 本作では、『無双OROCHI3』のギリシャ神話勢は『TROY無双』世界と同一世界の存在という設定がある。

*12 腕輪の力を借りている無双武将と違い、武神としての力の完全開放という純然たる本人由来の力による神格化である。

*13 新録が無い織田信長でさえボイスの流用で登場ステージやムービーでの出番があるにもかかわらず、神格化武将が勢揃いするムービーにすら出番が無い。味方武将として出撃するステージは存在するが、台詞もなくモブ武将と同格の扱い。

*14 無双覚醒または無双極意によって怯みを無効化できれば被ダメージ時にカウントがリセットされない特殊仕様が存在するが、ゲーム内での説明は無い。

*15 与ダメージが2倍になったところで、属性が弱体化した状態で趙雲のC6で3回属性付与攻撃をするよりも、真田幸村のC4の一連の攻撃で7回属性付与攻撃をする方が総合ダメージは当然ながら圧倒的に多い。

*16 被ダメージをチーム武将全体に分割する。ストーリーモードでも使用可能。

*17 一応「接触した宝箱を自動で開封する」という仕様が存在するのだが、これが極めて精度が悪くほとんどの場合において開封せず、挙句宝箱のある部分で足を止めてしまう。しかも仲間が開封した宝箱のアイテムは表示に反して入手できなくなるバグすらあり、これは最終的に修正されなかった。

*18 それぞれ左右の控えキャラに対応している。

*19 一応、天空神の塔を一度踏破すると仲間になる確率が50%(アップデート前は20%)に上昇する救済処置は取られている。

*20 無印発売日暫くしてから開発を開始したと明言されている。

*21 陣地スキル、武将スキルの有無は関係無い。