本作はネタバレが特に注意されるストーリー内容となっているが、 そのストーリーに触れずに紹介するのが極めて困難なため、本稿ではある程度リージョンで隠しつつ解説する。
何も知らずに楽しみたいという人は攻略中に過度な情報収集をしないことをお勧めする。
(攻略サイトに掲載されているキャラ一覧などに中盤以降のストーリーのネタバレがあるので要注意)


ゼルダ無双 厄災の黙示録

【ぜるだむそう やくさいのもくしろく】

ジャンル アクション
対応機種 Nintendo Switch
発売元 コーエーテクモゲームス
開発元 コーエーテクモゲームス
(オメガフォース/Team NINJA)
発売日 2020年11月20日
定価 7,200円(税抜)
レーティング CERO:B(12才以上対象)
判定 良作
ポイント 徹底的な作り込み
武将戦のゲームテンポの向上
予想外とされながらも、原作とは違う方向に大成したシナリオ
ゼルダの伝説シリーズ
無双シリーズ



知られざる100年前の戦場へ――



概要

近年提携の機会が増えてきた任天堂とコーエーテクモゲームスのコラボタイトルにして『ゼルダ』と『無双』のコラボ第2弾。
前作『ゼルダ無双』はコラボ無双らしく『ゼルダ』の様々なシリーズ作品を基にしたお祭りゲーだったが、本作は『ゼルダの伝説 ブレス オブ ザ ワイルド』単体に絞り込みスピンオフ的に作られた。
本作で描かれるのは『BotW』作中にて語られた「大厄災」と同じ時代、つまりこれまでのコラボ無双とは異なりコラボ元の世界像そのままに展開されるという非常に特異な立ち位置にある。


ストーリー

太古の昔より幾度もガノンという厄災に見舞われたハイラル——。
そのガノン復活が予言され、ハイラル全土では魔物が猛威を振るい、 未曾有の危機に直面している状況であった。

厄災ガノンを討伐するには、退魔の剣とハイラルの姫が宿すといわれる封印の力、 そして、各地で掘り出された四神獣の力が不可欠だった。

ハイラル王の命を受け、ゼルダ姫とハイラルの騎士リンクは、退魔の剣に選ばれし勇者と、 神獣の繰り手となる者たちを探し出すため、戦場へと向かう。
(公式サイトより)


特徴・システム

基本的にはウィークポイントスマッシュの存在など旧『ゼルダ無双』をベースとしているが、旧『ゼルダ無双』が『スカウォ』まで一連のアタリマエを踏襲した作品だったのに対し、
『BotW』がそれらの要素の殆どを整理したことに合わせ、本作でもそれを反映させて一部の要素は廃止または変更されている。

  • ゲームの流れとしては最初に『BotW』のハイラルの地図が提示され、戦闘準備を整えて各地のチャレンジに挑み、チャレンジのクリア後はまたマップ画面に戻り次のチャレンジへ…という形になっている。
    • チャレンジにはメインストーリーのステージである「シナリオバトル」、サイドステージに相当する「バトルチャレンジ」、素材アイテムと引き換えに各キャラの能力の強化や施設の開放ができる「ハイラルチャレンジ」の三種が存在する。
    • このため前作や『FE無双』と違い、ストーリーモードとマップ攻略モードのようなゲームモードの概念はなくなった。

操作方法

  • Yで弱攻撃、Xで強攻撃でこれらの組み合わせでアクションが派生していく…という『無双』お馴染みの操作方法はそのまま。
    • 前作では魔力ケージを用いた要素やあきビンやフックショット等の全キャラ共通して使うアイテムが存在したが、『BotW』ではそれらの大半が廃止されたことで、本作でも以下の要素に代替される形で登場しない。
    • それ以外に関してはある程度前作と共通する部分はあるので、本作の特に大きな変更点のみ記述する。
  • Rボタンを押しながらABXYのいずれかでシーカーアイテム、L+ABXYで3種のロッドもしくは回復アイテムを使うことができる。
    • シーカーアイテムは本編でもお馴染みのリモコンバクダン・ビタロック・マグネキャッチ・アイスメーカーの四種があり、状況に応じて使い分けることになる。
      • シーカーアイテムには次の使用までにリキャストタイムが発生する(本編と違い、4つすべてのアイテムが再使用の制限を受ける)。特定のチャレンジの攻略でクールタイムを短縮することも可能。
      • シーカーアイテムを使った攻撃技はキャラ毎に個別。キャラによっては追加入力が存在する場合も。
    • Lボタンはファイア・アイス・エレキの3属性のロッドと回復アイテムであるりんごを使うことができる。
      • ロッドは『BotW』とは違い使用時に特定の攻撃範囲を指定し、範囲内にいる敵を攻撃して大きくひるませ、ウィークポイントを出現させる。ファイアとアイスがそれぞれ弱点関係なのは『BotW』と同じで、本作では、弱点関係のロッドを使うほか、草地でファイアを、水辺でアイス、エレキを使用するとウィークポイントが最初からひび割れた状態で出現する。また、ロッドと同じ属性の敵には効果がない。 属性効果のある攻撃は当たった相手のスーパーアーマーを基本的に無効化することができる(自分が食らった場合も含めて)。
      • ロッド及びりんごは消耗品で、使うにはステージ各所に落ちている物を習得するか、属性を持つボス敵が落とす物を拾っておく必要がある。(ウィズローブ系の敵は複数ドロップする)
      • ロッド・りんごの残数はステージクリア後も引き継ぎとなる。また、りんごはハートが満タンの状態で取らないとストックされない。
  • Bボタンは通常時は緊急回避、壁際などで使用すると三角飛びからパラセールのモーションに移行し滑空することができる。
    • 敵の攻撃時にタイミングよく押すと本編同様ジャスト回避が発動しラッシュが発動できるが、ゲーム性の違いからか「特定方向の回避を使って攻撃範囲内から出る」ことが条件だった原作とは違い「攻撃範囲をいずれかの回避の無敵判定で取る」だけで発動する仕様。
    • パラセールは地上の敵からの攻撃はほとんど受けなくなるほか、そのまま空中攻撃を行い、一部のキャラの空中攻撃は頭部など専用の弱点をついて威力を微増させたり、ウィークポイントゲージを減らすなどができる。
      ただし空中では緊急回避が使えず、大型の敵の攻撃を避けられない可能性も大きいので、常に空中優位というわけではない。
  • ZLトリガーを押している間は防御姿勢となる。
    • ゲームバランス上の都合か盾に相当する防具を持ってないキャラクターであってもガードは可能。
    • また、原作同様盾を持っているリンクとウルボザ、中盤加入するある人物はZLとYボタン同時押しでジャストガードを行える。攻撃を受ける瞬間に使用すれば、相手の態勢を崩したり遠距離攻撃を跳ね返すことができる。
  • ZRトリガーは「各キャラの固有アクション」になっている。
    • 例えばリンクは遠距離から追撃+空中で強化される「弓」で、リーバルは飛び上がって飛行、ウルボザは専用の雷ケージを溜める…など全員が異なる効果を持ち、キャラクターによっては特定タイミングに入力するなど、特定条件で強力な効果を発揮するものもある。

刻印

  • 本作における武器効果のカスタム要素。最初は一つしか付けられないが、鍛冶屋での強化で武器Lvが5、10、20になった際に枠が増えていく。前作ゼルダ無双では効果が固定だったマスターソードも、本作では自由に武器効果を弄れるようになっている。
  • また、Lv20からは「マックス強化」を施すことでレベル上限を引き上げることが出来、武器Lvが25、30に到達した際にはその武器の「隠し刻印」が自動的に追加される。

料理

  • 『BotW』に導入された料理要素は本作でも再現されている。
    • 本編では作ってみるまでどの料理ができるか分からなかったが、本作では先にメニューが提示され、食べたい品を選ぶと自動で素材を消費し調理を開始してくれる。
      • メニューを増やすためには対応したハイラルチャレンジを攻略しておく必要がある。
    • 料理は初期段階では一戦につき1メニューしか食べられないが、特定のチャレンジの攻略で最大3種類まで食べてから出撃できるようになる。
      • この時同じメニューは食べられないが、同じバフ効果を持つ料理自体は食べることが可能で強化効果は重複する。

神獣戦

  • 一部のマップでは神獣を操縦し、群がる敵を一網打尽にすることになる。
    • 仕様としては前作の魔獣ガノンプレイに近いが、メインストーリー及びサブミッション双方で複数回出撃マップが用意されている。
    • キャラクター同様、四神獣ごとに性能が異なるが、基本的に射撃、防御行動、近接攻撃、必殺技である長時間ビームという操作は概ね共通化されている。

その他

  • リンクのみ本編同様、頭・胴・脚部の衣装が自由に着せ替え可能になっている。
    • ただし、あくまで見た目が変わるだけで性能差やセット効果に関してはオミットされている。
      • 特定のチャレンジを攻略とすると染色機能が追加され、素材を消費してカラーリングを変更できるようになる。
    • ゼルダ及び四英傑もストーリーの進行に合わせ衣装が変更され、ストーリークリア後に自由に変更可能となる。

DLC

  • エキスパンション・パスも配信されており、新たなプレイアブルキャラや新武器、そして強化ボスや新しいボスが登場するバトルが2021年10月末までに2回に分け追加されている。
    • 本編では描かれなかった幕間の補完を兼ねている。

評価点

  • 数えきれない『BotW』へのリスペクト要素
    • とにかくグラフィックが本編そのもの。大量の敵を同時に出現させる都合で近・遠景の処理など簡略化されている部分はあるが、それも含めて努力が窺える。
      • コーエーテクモのスタッフ曰く「草の作り方から任天堂のスタッフに教わった」と言うだけあって、一見同じに見えるがよく見ると新造されている箇所が多く、再現度は非常に高い。
      • また、本編では設定上の理由から廃墟が無数に存在したが、本作ではハイラル王国健在の時代ということもあって100年後の世界では朽ちていた建造物の原型がきちんと配置されていることが多く、スタッフのこだわりを感じさせる出来栄え。
      • 特に本編では風化が著しかった砦や城は豪華・荘厳な作りかつ本編では現存していなかった内部構造を備えていたりと、ハイラルの栄えていた時期という物をプレイしていて肌で感じられるようになっている。
    • チャレンジの多さも形こそ違えど本編の寄り道要素が再現されているといえる。
      • バトルチャレンジには100年後の世界を連想する物がいくつも存在している。
      • その他小ネタとしては本編ではテキストで済まされていた「ヴァーイミーツヴォーイ」や「ヒガッカレまんじゅう」に絵がついたり、本作のインパのデザインが『BotW』作中で語られた設定を踏まえて孫のパーヤそっくりだったり、本作のプルアのデザインには「マスターガイド」に掲載されている没案の要素が逆輸入されたりと非常に細かいところでのファンサービス要素もなかなか。
    • 一方でプレイの制約がかかるがんばりゲージや本編で賛否のあった天候・武装の耐久値といった要素は採用されておらず、無双にとって拾うべき部分とそうでない要素の取捨選択もバッチリ。 全体的に『無双』経験がない人、あるいはBotWの尖った死にゲー的なバランスについていけない人、どちらにも遊びやすいつくりに仕上がっており、原作よりもハードルを下げてきたのが特徴と言える。
    • コログ探しも完備している、流石にブロック合わせや石並べはないが、集めたら武器所持枠拡張などのご褒美が待っている。
+ ストーリー及びプレイアブルキャラについて ※重大なネタバレ要素を含みます
  • ストーリー
    • メインとなるのは100年前の「大厄災」で、かねてより『BotW』をプレイした一部のユーザーから前日談編も見てみたいという要望があったためそれが叶ったものとなっている。
      • そして『BotW』を遊んだ人ならその結末を知っているわけだが、本作はオリジナルキャラの介入が加わることで既知の歴史とは少しずつ違う形に進んでいくため、「果たしてどうなるのか」とストーリーの先を気にしつつ楽しめる構成になっている。
      • 4章までのストーリーは概ね史実をなぞりつつ、本編でも語られたゼルダの苦悩や英傑とリンクの交流、100年前から相変わらずなプルアとロベリー、逆に大きく変わったインパ等など「100年前何があったのか」という事が描かれ、より彼らの活躍を見たかったという人からは好評。
    • 驚きの展開と夢の競演
      • 続く5章では厄災が復活し、各英傑は神獣の中に囚われカースガノンと戦う…という流れになるのだが、ここに来て白いガーディアンの力により『100年後のBotW本編中でのリンクの協力者たちが未来から降臨し英傑たちの窮地を救う』という本編正史とは完全に異なるifストーリーが展開される。
      • こうした「原作での死亡キャラの生存」と言った大胆な改変は二次創作ゲームとしては珍しくはないものの、よもや『ゼルダ』でやるとはとの驚嘆する声が多い。
      • その後のシナリオも本編では見ることができなかった未来組との共演や、ついぞ叶わなかったイーガ団の合流・ゼルダとハイラル王の和解などifならではの展開が続く。
      • 厄災との決戦は本編だと最終的にリンク一人に託されるのに対し、本作はハイラルのあらゆる勢力が一丸となって挑むようになっており、本編を知っている人には実に感慨深い展開だろう。
    • 原作では最終盤まで再会できないゼルダも、かなり初期からリンクと同行。その活躍ぶりは決して原作にも劣らない。
  • プレイアブルキャラの多さと個性的な戦闘スタイル
    • 前作の後に開発された任天堂コラボ無双である『FE無双』に比べるとプレイアブルキャラ数自体は減っているが、その分あちらで賛否となっていたコンパチキャラが存在せず、一人ひとりしっかり固有仕様が作り込まれている。
      • さすがに全員が新規モーションというわけではなくいつもの『無双』同様過去作からモーションの若干の流用自体はあるが、違和感を生じさせないようにデザイン配置はなされている。
    • 必殺技で「ミファーの祈り」によって自分も味方も回復させるので長期戦に強いミファー、「ダルケルの護り」によって全方位ガード可能かつブレイクされないダルケルなど、本編の設定を活かした特性が導入されており、ファンとしては非常に嬉しい。
      • 他のキャラに関しても愛スナザラシのパトリシアちゃんと共に戦うルージュ、本編でリンクを強化するシーンをそのまま必殺技にしてきたため色んな意味でエグい大妖精、祠のギミックをも利用した攻撃を多く揃える導師ミィズキョシアなど、とにかく普通のアクションゲームではなかなか見ないようなインパクト抜群のキャラが目白押し。
      • 前作では過去の『ゼルダ』に準拠する形でプレイアブルキャラも掛け声程度しか発しなかったが、本作ではフルボイスになった『BotW』に合わせ、ムービーシーンやアクションでセリフをしゃべる。本編だと声がついてたシーンがごく一部だった100年後のキャラたちやフルボイスではなかった大妖精やコーガ様等がしゃべるのもかなり新鮮味がある。
    • 同じシーカーアイテムでもあっても全キャラクターごとに異なるアクションが用意されているため、新キャラを使う時には新鮮感がある。追加入力タイプはちょっと難しいヤツもいるが
    • どのキャラも強みがあり、前作『ゼルダ無双』同様に「極端に弱いキャラ」はいない。強いていうとボックリンが扱いづらい程度。
  • BGM
    • BGMも当然ながら『BotW』本編で使われた音楽のアレンジが中心となっている。
    • ただし近年の『無双』はエレキギター主体のロック/バンドサウンドとオーケストラ&民族楽器が融合した曲調が定番だったのだが、本作は『BotW』を尊重して完全オーケストラ調のアレンジに終始している。
      • 各英傑のテーマなど原作では回想シーンなどに合わせ穏やかだった曲も、戦闘シーンに適した盛り上がるものへと発展している。
    • もちろん本作のための描きおろし楽曲も複数存在し、そちらもアレンジ曲と合わせて違和感のない仕上がり。
  • 旧『ゼルダ無双』からの改善・改良点
    • 戦績評価要素のランク付けが廃止された。成績によるルピーの変動はあるものの、最大値を要求される要素が存在しないため自分のペースで気楽にクリアできるようになった。
      • フィールド上をうろつくコッコの要素も廃止された。前作で特に批判が大きい点だっただけに最大の改善点と言える。
    • 前作WiiU版初期版はフリーズや動作上の致命的なバグがかなりあったが、本作はこうした目立った不具合はなく非常に安定した動作となっている。
    • 前作はウィークポイントがなかなか出なくて削れないことがあったが、本作はウィークポイントを出す隙の大きい攻撃の頻度が『FE無双』と同程度まで上昇。
      リモコンバクダン・属性ロッドや強攻撃5~6・必殺技など、リスクがあるがウィークポイントを出させるアクションも大幅に増え、ゲームテンポが向上した。
      • またウィークポイントが出ている状態でビタロックを使うと(一部キャラは追撃アクションの回避キャンセルが必要、もしくは不可能)、ウィークポイントが出ている時間を伸ばすこともできる。
      • 魔力開放が廃止された代わりに、ウィークポイントダウンと同じく、必殺技を当てるとウィークポイントゲージが出現する。 ただし、その分必殺技ゲージがかなり溜まりにくくなっているため、使いどころを選ぶ必要がある。
      • 他にもリモコンバクダンはリキャストタイム、属性ロッドは回数や種類の制限、後半の強攻撃にはダウン判定までの遅さなど、ウィークポイントゲージ出現効果のあるアクションにそれぞれ適度なリスクが設定されている。

賛否両論点

+ ストーリー及びオリジナルキャラクターについて ※重大なネタバレ要素を含みます
  • 本編の前日談ではない。
    • 発売前の告知動画ではシリーズ総合プロデューサーの青沼氏が「大厄災を体験できる」「原作では表現できなかった知られざる戦い」とコメントしていたため、本編の前日談と解釈した人もいたが、結論から言ってしまうと、本作の世界は 本編の時系列から枝分かれした別世界の話 である。
      • ただし青沼氏を始めとしたスタッフたちは「『BotW』に繋がる正史」だとは一度も発言しておらず上述の発言自体は嘘ではない。また、パラレルワールドと言う設定はゼルダシリーズで、ifストーリーは無双シリーズで既に前例が多々あるうえ、上述の通りそれ自体がストーリー上のギミックとなっているので明かすことができなかったという事情も理解はできる。
    • そしてそのことは体験版でプレイ可能な最序盤の時点でも「白いガーディアン(テラコ)」の存在でわかるようになっているため、正史でないなら別にやりたくはないという人は体験版を遊べば回避することはできたとも言える。
      • とはいえ体験版の配信が発売1か月前と社会情勢上致し方ない部分もあったもののかなりギリギリのタイミングだったので、この件に関しては周知が足りていなかった部分はある。
    • ただ、エンディング前のある人物の会話など本編の展開を踏まえてこその物もある。
    • 付け加えると前日談を忠実に再現した場合ならば、シーカーアイテムが存在せず、プレイアブルキャラはさらに減り、終盤はひたすら敗戦を続ける…というゲーム的に遊んで楽しい物になりえたとは言い切れない要素もある。
      • 各英傑対カースガノンや本編で言及されたアッカレ砦やハテノ砦の戦いと言った正史での悲劇も結果的に本作では救済されるわけだが、本作での大きな改変要素がなければそのまま滅亡していたことが察せられるようになっており、総じてパラレルだからとはいえ本編をないがしろにしているというわけでもない。
  • オリジナルキャラ関連
    • 良くも悪くも白いガーディアン(テラコ)が目立つシナリオ。
      • テラコの活躍についてまとめると「未来からやってきたテラコのおかげで技術革新が進み、百年後のリンクの協力者たちが現れ、最終的には自己犠牲によりガノンを弱体化させなんとか勝利に繋げた」というおいしいところを一人で持っていく形になっている。
      • もっとも本編世界での100年前の状況は厄災ガノンのついての情報不足、古代技術に関して未知数の部分が本作より大きいこと、切り札たりうる神獣が乗っ取られる…とかなり絶望的かつ数人の人間が奮闘してどうにかできる範疇を越えていたので、ある程度は力技的な要素がないとifハッピーエンドにするのは難しいとは言えるのだが。
      • また、最終的に運命を変えたのはゼルダと英傑たち及び協力者たちの力であってテラコ自体はあくまできっかけに過ぎないとも言える。
      • テラコは明らかに単なるガーディアン以上の性能を持っているが、どうしてそのような能力を得るのに至ったのかという背景についても元の世界のトライフォースの力による奇跡や古代シーカー族のなんらかの技術などユーザー側で理由付けられなくもないが、作中では特に触れられない。だが、これについては原作の続編『ティアーズ オブ ザ キングダム』である程度関連する話が出ているため、納得したというプレイヤーも多い。
      • キャラクターとしては他のキャラを意図的に貶めたりせず健気なキャラなので不評というわけではないが、このキャラにはセリフが一切存在しないなど、やや描写不足な側面があると言える。
    • 本作のオリジナル敵勢力キャラのアストルだが、前作のシアと比べるといまいちキャラクター性に欠けており、最終的にガノンに吸収されかなりあっさり退場する。
      • アストルの来歴に関しては本編ストーリーで一切語られずギャラリーモードの人物紹介欄に書かれているだけなので、そちらを確認していないユーザーからは「アストルは何者だったのか」という疑問が呈されることとなった。
      • また、プレイヤー側が勝手な期待をしすぎていた一面はあるが、アストルの職業が占い師であったことから『BotW』本編にて存在が示唆されていた「厄災復活の兆しを告げた王宮の占い師」との関連性が議論されていたのだが、これに関してはアストルとの関係はノータッチのまま話が進むため望んでいた答えを出して欲しかったという意見もある。
      • もっともガノンが人間の「ガノンドロフ」ではなく意思疎通のできない「厄災ガノン」になってしまったため、構造的に敵サイドの物語が作りにくいというやむを得ない事情もあるにはあるのだが…。
  • 神獣戦の大味さ
    • 同じことの繰り返しにならないようにゲームにメリハリをつける要素としては成立してる。原作や本作でもプレイヤーを散々苦しめるガーディアンやライネルの大軍が吹っ飛ぶなど絵的なインパクトはある。
    • が、普段と違うことをやらされるので人によっては苦手意識を持つ人も。
    • 上記の通り各キャラクターはそれぞれ強みがあり極端な弱・強キャラを決めつけられないが、神獣に関しては性能差や出撃する戦場の地形の都合で難易度に差が開いている。
      • 具体的に言うとナボリスとルッタは攻防双方が優秀かつステージが概ね戦いやすい地形だが、メドーとルーダニアは機体の性能面や地形の関係上一筋縄ではいかない場面がある。
    • 最悪難易度イージーでやればどうにかはなる範疇である。本作は難易度に応じて見返り・アイテム報酬は全く変動しない
  • やや説明不足なキャラクターアクション
    • プレイアブルキャラごとに異なる固有能力だが、一部のキャラクターは単に説明文を読んだだけではどのような能力なのか分かりにくい物や、コマンドヒントに示唆されない隠れた仕様が存在する物もある。
    • 一応トレーニングモードに相当する施設は存在しており、各キャラの個別のバトルチャレンジなど、それぞれの固有能力を試すのにちょうどいい構成となっている物が多い。
    • また、前作も「キャラの最適な活用法を自分で考える」という形でゼルダお馴染みの謎解き要素を無双に落とし込んでいる節があったため、これを踏襲しているとは言える。
  • 前作『ゼルダ無双』に引き続き、戦場での会話テキストの際のボイスは掛け声のみ。
    • 特に武将戦の操作が忙しいゲームであるため、フルボイスにしてほしかったという声は多い。
      • しかしフルボイスだとセリフの渋滞などが発生するため、テンポのためにはやむなしか。
  • 敵の種類の少なさ
    • 本編『BotW』と共通する問題だが、基本的に各種族のモブ兵士や魔物(+本作オリジナルの上位種版)を除けば、ユニーク敵はスッパ、アストル、各英傑の幻影、ラスボス関連の敵ぐらい。
    • とはいえシナリオクリアまでは段階的に敵が増えていくのであまり問題ではない。
      • 問題なのがクリア後に出現するバトルチャレンジで、これらは単一プレイキャラに対しガーディアン・カースガノン・ライネルらを並べて難易度を上げているステージがとにかく多く、この点はもう少し凝って欲しかったところ。
    • 本作のコンセプト上正史世界にいない種族の敵をあまり出したくはないというのも理解できるのだが、せっかく本家任天堂から監修してもらえるのならば「過去のゼルダのボスの『BotW』版」も期待する声もあった。
    • 未操作のプレイアブルキャラがボスとして登場することもあるが、約3名を除き訓練名目でのバトルチャレンジでの戦闘となる。
      • その手のバトルチャレンジも、せいぜい全体の1割あるかないか程度であり、敵の種類の少なさをフォローするには至っていない。
      • 当然といえば当然だが上述の幻影は各英傑と同じ攻撃なので、なおさら新鮮味が削がれる。
      • 加えて上記の3名の内、2名はストーリー中で戦うのは1回のみ(これはストーリー上の都合もあるため、仕方ないが)。 残りの1人は幾度となく出て来るため、こちらも少々残念にはなっている。
  • 一部演出の省略
    • 他の無双シリーズでしばしば見られた敵武将の登場ムービーやクリア後の勝利ムービー、『ゼルダ無双』には存在しゼルダシリーズのアタリマエであった宝箱の開封演出は、いずれも本作では用意されていない。宝箱を開けたりボスキャラと対峙しても専用ムービーなどはなく、各チャレンジはクリアすればそのまま評価画面に移行する。
      • 『ゼルダ無双』ではいずれの場合でも、キャラ・装備毎に異なる作りの個性的なムービーが流れていたため、それらがまとめて省略されてしまった点は惜しまれる。
      • ただし、シリーズのアタリマエを見直してきた『BotW』寄りの本作の位置付けや作風を考えると、各種ムービーがないことによる違和感はさほど強くはなく、ゲームテンポの向上に繋がっているため一概に難点と言い切れない部分ではある。
    • 前作で数多く存在した別衣装や別色がほとんど存在しない。
      • リンクは原作の衣装や染色で多彩なコーディネートが楽しめるが、他のキャラクターに関して大きな衣装変更はほとんど用意されていない。
      • ゼルダはそれなりに用意されているが英傑組ですら初期衣装と英傑衣装の2つのみ。それ以外のキャラに関しては存在しない。
      • 前作では別衣装が存在するキャラも多く存在し、別色だけでも大半のキャラに最低4色用意されていた。
      • ゼルダシリーズ全体からモチーフを引用できた前作と比較するのは酷だが、別衣装や別色が見たかったと言う声が多い。
  • 難易度による変化の乏しさ
    • 本作ではイージーからベリーハード(DLCにてアポカリプス追加)の4種の難易度から選ぶ事が出来るが、それぞれでの違いが微細で難易度によるメリットがこれといって存在しない。
    • 雑魚敵の攻撃頻度が上がる位の差はあるものの、無双ゲーで雑魚の攻撃頻度が変わった所であってないようなもの。
    • ボスクラスの敵も受けるダメージが増え、与えるダメージが減るだけで、やはり攻撃方法等には一切変化が無い。
    • その割には難易度による与ダメージへ掛かるマイナス補正は非常に大きく、ゲームテンポや爽快感がガタ落ちする為、イマイチ面白みに欠けている。
    • 「難易度を変える事でよりよい武器が手に入る」などのご褒美要素も一切なく、イージーだろうとベリーハードだろうと得られる報酬に差は一切無い。
    • その為、報酬のために難しい事をせずに済むから良いという意見もあれば、難易度を変える意味やメリットが無く、やり甲斐が無いという意見もある。

問題点

  • fpsが低く安定しない
    • 前作ゼルダ無双Switch版は最大60fps・平均で40fps程度だが、本作はBotW基本設定の30fpsすら安定せず、状況によってはスロー再生でもしているのか?というレベルまで落ち込む。
      • 表示数以外の処理かレンダリングか、敵の出現数は前作から減少しているにもかかわらず、無双シリーズの中ではとんでもなくカクつきが目立つ。
    • 余りにもカクつく事で見ていて気持ち悪くなった、目が痛くなった等の声も多く、後述する様にこれが原因となっているバグも数多くある。
    • ココまで来るとプレイに支障をきたすレベルであるため、もっと最適化して欲しいという声は発売前から発売後に至るまで多くあった。
    • その後、ゲームに対する要望の声という形で、アンケートが行われたが、事前に用意されていたであろう当たり障りのない結果だけが公表され、一切対応される事も無くゲームとしての評価を大きく下げる一因となってしまった。
  • 目に見えているのに、内部では正常に処理が行われていないハリボテ状態の敵。
    • 上記fpsに関連した問題で、敵はそこにいるのに攻撃を振っても一切当たらず、必殺技なども含め、攻撃の一切が当たらなくなってしまう。
      • 密着するレベルまで近づけば一応攻撃が当たるようにはなるが確実性はなく、ほんの少し離れると途端にハリボテ状態に戻ってしまう。
    • 酷い時はこちらの攻撃は当たらないのに相手は攻撃してくる、という滅茶苦茶な状態になることも多く、手の施しようがない。
      • 特に本作は基本的に何でも時間制限つきなので、攻撃が当たらない=倒せない=新しく敵が湧かない=時間切れ、という事が起きてしまう様なチャレンジも多々ある。
      • 他にも、一撃死状態で挑む「紙一重の試練」で起こると目も当てられない。
    • マップにあるオブジェクトでも同様の問題が多く確認されており、マップに設置してある爆弾樽に攻撃を当てても爆発しない、拠点にリモコンバクダンを当てても倒壊しない等の問題も多い。
    • 挙げ句の果てには一部のキャラクターのアクションでもFPSによる問題が影響している。
      • 片手剣装備時のリンクのダッシュ強攻撃(盾サーフィン)を行った際に、FPSの低下により正常にマップが読み込まれず一見正常に見えるマップでも内部処理に問題が起きて見えない壁に激突して停止してしまう等。
    • これらは同じチャレンジを行うと必ず発生し再現性もある事から、テストプレイをしていればまず間違いなく気付く問題であるため、テストプレイをしていないorした上で放置したとどちらに転んでも良い結果ではない。
      • こちらもアップデートで修正される事も無く放置されたままであり、FPSの低下とあわせ、最適化不足として指摘されている。
  • シナリオバトル及び一部のチャレンジの長さ
    • 他の『無双』シリーズでは一つのステージクリアにかかる所要時間はおよそ15分程度だが、本作のシナリオバトルはムービーシーンや戦況の変遷などのギミックが盛り込まれた結果、初見で20分以上かかるメインステージが複数存在し、中には30分を超えるような長丁場になるステージもある。
    • 一応Switchはスリープ機能があるので中断はできるが、続けて遊ぼうとするとリアルに疲労しやすい。
  • バトルチャレンジの問題点
    • 「制限時間以内にボスを倒す」「制限時間以内に○体以上倒す」の類が殆どを占めており、作業感が酷い。
      • 「制限時間以内に目的地に到着する」も、道中の拠点を落とさないと先に進めない状況が大半なので、結局は上記のどちらかに分類される。
    • 大半のチャレンジにおいて、使用キャラが1~2人に設定されており、中には出撃キャラ固定があるのも人によっては気になるところ。
  • 劣悪なカメラワークとロックオンシステム
    • 全体的にカメラワークがかなり悲惨で敵や地形にかなり振り回される。
      • 地形に埋まってしまう、自キャラが見えなくなる、寄りすぎor引きすぎであったりと問題点は様々。
    • 敵のWPゲージを割ると強制的にそちらにカメラが引っ張られてしまう、スマッシュや特定の技を出すとカメラが固定されてしまうなど乱戦でして欲しく無い事が詰め込まれている。
      • 大型の敵を相手にした場合、そちらを基準に妙にカメラが引き気味になり見辛くなるなど、配慮かもしれないが、1vs多の乱戦が多く常に周囲を見回したいゲームのバランスとあっていない。
    • リーバルは飛んでいる状態でロックオンすると敵に合わせて高度が自動で調整されるが、そのせいで下の方が見づらくなってしまう。
      • 高度を合わせるという事自体も、ゲーム的に大きな意味は持たず、逆に一部技はそのせいで使い辛くなるなど良い事が無い。
      • ヒノックスやイワロックはジャンプして飛び上がるとロックオンが勝手に切れてしまうなど自動調整もかなり雑。
    • また、本作では敵をロックオンすると該当する敵へ操作キャラが自動的に方向合わせを行うが、自動で方向を合わせるという動きとアクション毎の兼ね合いを疎かにしているせいでガードにも弊害が出てしまっている。
    • 通常、ガードした際にはその方向へガードし続けるのだが、ロックオンをしてガードを行うとその敵の動きに合わせて自キャラも回転してしまい、ガード方向がズレる→被弾するという欠陥がある。
      • 特にライネルやモリブリンの様な攻撃と突進を兼ねた技を持つ敵だと、ちゃんとガードしているにもかかわらず、向きの自動補正でガード方向がズレて被弾するという場面が多く、ガードが意味をなさなくなる。
      • 同様に、とっさに別方向へガードをしようとしても、無理やりロックオンしている敵へ軸合わせされてしまうため、それが出来ない。
    • 後述する数の暴力のゲームバランスも相まって、ロックオンの欠陥とカメラワークの悪さは致命的。
  • 数の暴力とそれによる弊害
    • 序盤、それも最初のハイラル平原の戦いから既にボス複数が一箇所に固まって同時戦闘になりやすい場面が存在している。
      • 以降も2章3章と常に大量の雑魚に囲まれながら、あるいは複数のボスと同時にといった状態が基本で、中盤以降のチャレンジではそれが更に悪化して常に制圧してくる場面ばかりになり、苦戦を強いられる。
      • 当然の様に3体4体が同時に襲ってくる様な場面もあるが、これらはWPゲージやスマッシュ、シーカーアイテムやロッド等、1vs1前提の要素が多すぎるゲームの仕様と上記した劣悪なカメラワークも相まって非常に理不尽。
      • 全方位から数十~100近い様な雑魚が遠距離攻撃や状態異常攻撃を一斉に仕掛けてくる中で戦わさせられる事も珍しくない。
    • 豊富なアクションも強い技以外全て腐っており、結果として上記した制限時間も相まってどんなキャラでもやる事は変わらず「強い技を連打して火力で叩きのめす」だけ。
      • 数の暴力や制限時間という要素はゲームの難しさの演出としては工夫無しでお手軽にそれっぽく出来る方法であるため乱用したのだろうが、元々ゲーム性が単調でやる事自体がWPGを割ってスマッシュを撃つという動作に行き着くしかない本作にとって、それらのやり方は単調なゲーム性というマイナス面ばかりが強調されてしまうため、相性は絶望的に悪い。
      • これらは後述する刻印の半固定化などにも繋がっておりゲームにとって様々な悪影響を及ぼしている。
  • 武器の刻印について
    • ストーリー攻略中はそこまで気にする必要は無いが、武器刻印を突き詰めるとバランスが良いとは断言できない。
      一部の例外もあるが、基本的に''攻撃速度特化が一強となっており、そのうえで攻撃力ボーナスを考慮すると「4枠全て攻撃速度」もしくは「隠し刻印が四角とそれ以外なら、隠し刻印と同じ形の刻印1つと残り3枠に攻撃速度」という組み合わせが半ばテンプレ化している。
    • これについて一部刻印が抽選されるのに特定の条件を達成する必要があることが攻略本に記載されている。このことはゲーム中では全く言及されていなかった。
      • そのため上記のバランスにもかかわらず、「攻撃速度アップ」刻印を意図して集めるのが極めて困難。 推定された条件を達成しても未達成でも刻印の出現に変化が確認されていないため、刻印収集の分析に関しては暗礁に乗り上げた状態となっている。
      • 前作や「FE無双」では最大6~8枠で同一刻印を重ねる事ができず、強力か相性の良いスキルを多く入れてもその組み合わせにはある程度の自由枠が存在した。スキルについてもとくに抽選条件はなく、素材消費により任意で偏らせることもできたため、数回ステージを回れば理想的なスキルが揃う事も十分にありえた。
    • 刻印効果自体にも説明不足が見受けられる。例えば弱、強、空中、ダッシュ攻撃強化など威力アップだけ見ても様々な種類の刻印があるが、このうち空中攻撃の適用範囲がわかりづらく、そればかりかキャラによっては文言とは関係ないように見える技も対応しているものがある*1ため、どの刻印に対応するのか判断に迷う攻撃が多い。
      コンボリストで強化された技が強調表示されるなどわかりやすい説明が欲しいところ。
    • 「質のいい武器が出やすくなる」刻印は文章だけ見ると攻撃力の高い武器が出やすくなると思ってしまうが、有志の検証によると攻撃力ではなく++マークのついた刻印の発生率が高くなっており、そして++刻印を持つ武器は基礎攻撃力が若干低くなる仕様だった。 これはアップデートで修正され、同刻印の効果は「出現する武器の攻撃力がアップし、まれに既存の最大攻撃力を上回るようになる」ものとなった。
  • 異常に不便なリンゴとロッド
    • リンゴは回復に、ロッドはWPGの出現に活用する為のアイテム郡だが、使い捨てで一度使うと同一のチャレンジ内では補充しない限り再使用する事が出来ない。
      • 一度のチャレンジ内で回数制限がある事そのものはゲームバランスの観点から見ても特別おかしくはないが、使い捨てシステムに問題がある。
    • それぞれを使用した回数は引き継がれるため、チャレンジが終了しても自動で補充される事などは一切無い。
      • これが非常に面倒で、使用する度に何処かしらで補充し直す必要がありゲームテンポを壊滅的に悪くしている。
    • 特にロッドはウィズローブから回収しなければ基本的にマップに点在する壊せる箱の更に決まったごく一部から1回分か、属性を持つモリブリンを倒して1回分しか回収する方法がない。
      • ならロッドの使用回数分だけ回収して途中で辞めれば…と思ってもそれは出来ず、強制的に出発前の状態に引き戻されてしまう。
      • 加えて、ウィズローブ自体がロッドの回数回復以外にメリットが微塵もないため、本当にただロッドを使うためだけにクリアまで強制的なプレイをさせられる事が確定する。
      • 一応、ウィズローブの宴というウィズローブが大量に出現するバトルチャレンジもあるが、出せるのがゲーム中盤以降とかなり遅い上、このチャレンジ自体も当然ながら制限時間付き&数の暴力。
    • ロッドよりはマシとはいえ、リンゴの回収方法自体に違いは無いため、結局は回収し直す問題がある事には変わりない。
    • これら2つの要素は攻略における重要度が高く、特にロッドは使用しなければゲームテンポが非常に悪くなるので、使ったら回収し直し、使わなければWPG出現手段が減り、どう転んでも面倒な事になる。
      • そもそも、何度でも使える訳ではなく1回のチャレンジ内では回収出来る数も含めて使用回数に上限があるにもかかわらず、わざわざ使った回数を引き継ぐ理由も意味も無く、プレイの阻害要素にしかならない。
      • 結果的に、リンゴもロッドも別のチャレンジで使うために、それぞれを使用せず回収し直すという頓珍漢な作業を強要される状態になっており、もはや強制的な縛りプレイと化している。
    • 後にDLCにてリンゴは出発前にも準備できるようになったが、何故か購入制でしかも非常に割高。更にロッドの方は完全に放置で、回収問題は一切改善されないまま。
      • 本作は武器合成や素材購入などの関係で金欠になりやすく、金策も事前に準備しないと中々効率良く出来ないため、結局リンゴもロッドも使いたい人ほど使い辛い状況の改善にはなっていない。
    • Botwの使い捨てという概念を意識したのかも知れないが、あくまで「Botwだから」成り立っていた要素であり、全く別のゲーム性を持つ本作でそれを再現しても噛み合わない事は考えるまでもなく分かりそうなものだが…。
  • リンクの武器の種類が多すぎる
    • 他のキャラは武器種類毎に3段階のモデルで単純な強さの序列が設定されているのに対し、リンクの武器は『BotW』で装備できたものから属性系を除いたほぼ全ての武器種を選出している。
      とはいえこれらも3段階のランクに大分される以上、最終強化時の最大攻撃力や隠し刻印の効果まで含めて考えると最終的に使い物になる物はほんの一握り。隠し刻印を含めても実用性に欠ける物も複数存在する。
  • 仕様と合わない原作のマップ
    • 原作であるBotwはちょっとした段差程度などであれば、難なく登って突き進む事が出来るがゆえにマップ上でも地形には起伏が多かったが、それが本作の仕様との相性が非常に悪い。
    • ちょっとした段差や起伏でも通れないオブジェクトとして設定されているため、原作であれば簡単に進める場所でも迂回を余儀なくされる所が多くなり移動の際に通れない・引っかかる等のストレス要因になってしまっている。
    • 加えて、それぞれの判定が妙に大きく、ゲーム画面上では前方にも足元にも何もないのに通れない、というような場所も多く、かなりストレス。
      • 各種族の地域は特に起伏の激しいマップやオブジェクトの配置が多く、中でも道が狭い上に起伏や曲がりくねった道、そこに引っかかるオブジェクトまであるデスマウンテンでは特に顕著。
      • 平坦なハイラル平原の様なマップでもデカデカと置かれている岩は勿論、狭い道に配置されている看板や柵などの各種オブジェクトに引っかかる事も多い。
    • Bボタン二回で発動する三角飛びも、オープンワールドの本編と違ってちょっとした段差やオブジェクトが壁の判定を持っていることがあるので意図しないタイミングで発動してしまうことがある。
      • 滑空中は無防備になるため、大型のボスタイプの敵と戦う際に不意に発動してしまうとダメージを食らいやすくなってしまう、取れるアクションが殆ど無い事から、邪魔な要素になりがち。
        --上述した劣悪なカメラワークも相まって、狭い中に所狭しと置かれたオブジェクトのある室内は酷い有様。そういった場所に宝箱や特に武器の管理において重要なコログを配置している場所もあるので避けようにも避けられない。
    • 元より何処にでも行けるという自由度の高さが特徴であるBotwというゲームと決まった範囲内でしか移動できない無双では正反対のゲーム性であるため合わない部分があるのは仕方ないが、マップ上をあちこち移動する必要があるゲームでこういった点が考慮されていないのはネック。
  • 狙わずとも起きるアクション面におけるバグ&デバッグ不足の数々。
    • 全キャラで起こりうる、スマッシュの大きな位置ズレ。
    • 特定の行動連打で異常な攻撃力を発揮するバグキャラ。
    • 当たり方が安定しない、カメラも安定しない等、嫌でも目につく程に起きる頻度が多い。
  • その他気になる点
    • 特定のキャラはシナリオの進行で服装が変更された後、戦場での会話時のキャラ絵が後半衣装で固定され現在の衣装が反映されなくなる。
    • ストーリーの後半になって現在のキャラ数に匹敵する数が一気に加入するタイミングがある。また、最終決戦直前のストーリーの流れで加入するキャラが2人もいる。
      • 前者は。低難易度ではあまり問題ではないが、武器を鍛えてやるのに少々手間が掛かる。特に思い入れが無ければ武器の鍛錬は他キャラを優先させた方がいいだろう。
      • 後者は、単純に加入後に自軍で活躍させる機会が少ない。加入前に別の見せ場があるので、気になる人は気になるというレベルだが、2人ともかなりサプライズな加入なので、やはりもう少し活躍を見たかったところ。
    • ゾーラの里・ゲルドの街周辺など、ストーリー上で戦場になる場所は原作を意識したマップ配置になっている場所が多いのだが、リト村周辺など原作と比べて違和感がある場所もある。
      • こちらも気になる人は気になるというレベルだが、ゲルドの街周辺など再現度が高い場所と比べると、どうしても悪目立ちしてしまう。
    • これまでの任天堂無双と違い、キーコンフィグが殆どない。特にガードがLではなくZLに固定されていることや、通常カメラと照準カメラの操作設定が分かれていない事に混乱した無双/BotWプレイヤーは少なくない*2

総評

二度目のコラボということもあって前作で好評だったネタの拾いっぷりや個性的なアクションは健在で、不評だった点にも改善が加えられている。
また、ある種のマンネリを抱えていた『無双』側としても同年発売された『P5S』と合わせ、『無双』のノウハウを使いつつ他社タイトルの世界像上で展開する派生作品という、新たな方向性を開けたことは評価に値すると同時に、今後のシリーズ展開の上で重要な遺産となるだろう。

他方で、本作の最大のポイントと言える部分に関してユーザーによっては期待していた物とは違ったと感じる可能性がゼロではないものの、
前作に引き続きスタッフのゼルダ愛を感じられる箇所はしっかりとあり、『BotW』の要素を使ったいわば「キャラゲー」としても良作と言えるだろう。

ただどうしても本作の評価点は『BotW』をクリア済みであることに由来するものが多い。
高難易度・死にゲー寄りの原作に苦手意識が強い、というプレイヤーでもない限りは、先に『BotW』をプレイしてハイラルの隅々を旅した上で、本作の世界に触れるのがよいかもしれない。

また、『BotW』の要素という点に関しては評価出来る内容も多いが、ゲームシステム面などプレイヤーが遊ぶ際に触れる部分を見た場合はFPS問題を始め全体的に完成度が低く、粗や手抜きが非常に目立つ。
本作への評価はあくまでも「Botwというゲームに起因・関係している部分への評価」であり、本作そのものの評価はBotwとは完全に切り離して考えるべきであるという点にも留意しておきたい。


余談

  • 世界的に大ヒットとなった作品の関連作ということもあってか、初週の時点で 全世界の売上が300万本を記録。
    海外のレビューサイト・メタクリティックでも 無双シリーズ史上最高得点を記録した。
  • 本作には『無双☆スターズ』や『無双OROCHI3』等で悪名高い古澤Pが関わっている事から発売前は出来を不安視する声もあったが発売後の評判を見る限り杞憂に終わった模様である。
    • しかしながら、公式配信に参加した際には発言回数及び画面に映る回数がほぼ皆無と言って良いほど少なく、雑誌インタビューの参加も限定されるなど*3、コエテク側も古澤Pがユーザーにどの様な印象を与えてしまうかを理解し、配慮を加えていた点は都度見受けられた。
      • 「『無双OROCHI3Ult』開発の際、古澤Pは既に別の新作制作に参加していた為開発陣を一新した」と過去に明言されていたが、時期を考慮するとこの作品のことを言っていたと思われる。
  • 開発経緯について
    • 本作はコーエーテクモ側からではなく任天堂側、それも『BotW』の中核スタッフからの発案から開発が始まった
    • 具体的には『BotW』のディレクターである藤林氏を初めとするスタッフが『BotW』の好評を受け同世界像の作品を作ろうと思い総合プロデューサーの青沼氏に相談したところ、青沼氏が藤林氏へ過去の実績からコーエーテクモを紹介しそのまま両社間で合意に至り…という形で開発を進める形になった。
    • なお、話を持ち掛けられたコーエーテクモ側のスタッフは「より原作に近い物」を作ろうとしていたところ、任天堂側から「同じでは意味がない」という旨の指摘を受け、ゲーム性やバランス面など無双シリーズの流れを汲む方向に軌道修正された。
  • 近年の任天堂関連のタイトルはサプライズ的な形式での発表が多かったが、本作も発売2か月前になり突如存在が明かされた。
    • 恐らく例年通りであればE3の目玉タイトルとして発表するつもりだったと思われるが、E3 2020が中止となったためこのような形に変更された物と思われる。
    • 結果的にギリギリで発表という形になっただけに、本作のプロデューサーであるTEAM NINJA/ω-Forceの早矢仕氏はリークが起きなかったことに安堵する発言をしている。
  • とは言え本作の発売前の情報統制に関してはかなり危うい一幕もあった。
    • というのも、情報解禁前だった20年7月にスペイン語版のリーバル役のMarc Navarro氏とゼルダ役のNerea Alfonso氏が同時に出演していたネット配信番組にてうっかりゼルダ関連の仕事を受けたという旨の発言をしてしまったのである。
    • だが、大半のユーザーはすでに発表されていた『BotW』本編の続編に出演するという意味合いでの発言と解釈したため、危なげながらも本作に関しては無事に公式での発表まで隠し通すこと自体は成功した。早矢仕氏の発言も(明言はしていないが)この一件を踏まえての物と言えるだろう。
    • その一方で、この一件から飛躍して「『BotW続編』の収録が終了した」という飛ばし記事を掲載するメディアが続出し海外ゲーマーの中にもこの不正確な情報を拡散してしまう者も現れ、NoEの広報は誤報であるとの声明を出す羽目になった。
      • 時勢柄ゲーム以外の分野にも言えることかもしれないが、情報の発信者も受取手も真偽をよく確認した上で発言すべきだと言えるだろう。
  • 尚、本作のDLCを除いた部分を全てクリアすると、報酬として前作『ゼルダ無双』版のリンクの衣装「無双の勇者シリーズ」が入手できる。
    • 『BotW』も無双シリーズ全般でも導入されており、DLCは今更珍しくない販売形態だが、今作においては本編のみで完結予定で作成しており発売時点で既に開発チームが解散していた。発売後の人気と要望の声を受けて発売1ヶ月後に開発チームを再編成してDLC開発を始めたという経緯がある。
  • 本作のプレイアブルキャラは通常であればそこまで性能差を感じる事はないが、一人だけ特定条件下で最強となるキャラがいる。
    + そのキャラというのが……  ※キャラそのものがネタバレを含むため格納
  • そのキャラというのが テバ
    彼の強攻撃は「Xボタンを連打した回数だけ(各攻撃の上限回数まで)連射できる」という仕様になっており、通常のコントローラーで遊ぼうとするとコントローラーとプレイヤーの指にかなりの負荷がかかることになるため、ジョイコンの脆さもあって少々使いづらい。
    しかし、連射機能*4付きのコントローラーを使えば、WPゲージが出るのを見据えて強1連打→攻撃回避やロッド使用でWPゲージが出たらビタロック→強3連打で ほぼ全ての敵のWPゲージを一回で削りきることが可能になる という破格の性能に変化する*5*6
+ タグ編集
  • タグ:
  • ゼルダの伝説
  • 無双シリーズ
  • 2020年
  • ACT
  • Nintendo Switch
  • コーエーテクモゲームス
  • オメガフォース
  • Team NINJA

このサイトはreCAPTCHAによって保護されており、Googleの プライバシーポリシー利用規約 が適用されます。

最終更新:2024年02月02日 12:00

*1 ミファーのキャラクターアクションに「空中攻撃のダメージアップ」が乗るなど。また、あるキャラは多くの強攻撃に「ダッシュ攻撃のダメージアップ」が乗ることがわかっている。

*2 2021年6月18日のアップデートで照準カメラ設定が追加され、後者は改善された。

*3 2021年6月のDLC1配信時インタビューには「開発P」役として出演している。

*4 ボタン長押しでそのボタンを連打扱いに出来る機能。

*5 更に、彼のビタロックは他のキャラの攻撃判定範囲式とは異なり、「時間内に照準を合わせた敵全員」に対して発動するため、全キャラ中トップクラスの性能を誇る。

*6 また、HORIから発売されている携帯モード専用グリップコントローラーを用意すれば(処理落ちしやすいが)携帯モードでも真価を発揮できるようになる。