全日本プロレス2 3・4武道館

【ぜんにほんぷろれすつー さんてんよんぶどうかん】

ジャンル スポーツ(プロレス)
対応機種 スーパーファミコン
発売元 メサイヤ
開発元 ナツメ
発売日 1995年4月7日
プレイ人数 1人~5人
定価 10,800円
判定 良作
ポイント 史上初のショーマン型プロレスができるゲーム
リアルなアクションは健在で更に豊富になった技
全日本プロレスシリーズ


概要

ジャイアント馬場氏によって創設された実在する団体「全日本プロレス」とコラボしたプロレスゲーム。
2と銘打たれているが実質的には3作目になる。『ジェット』や『ファイトだポン!』を含めれば5作目。
実在する19名のレスラーと2名のレフェリーが登場する。

「3・4武道館」とは同年3月4日に日本武道館で行った興行を意味する。
それまでのプロレスゲームは格闘アクションに近いものだったが本作ではいかに盛り上がる試合をするか否かの「プロレス興行シミュレーション」のモードがメインになっている。
もちろん、それまでのプロレスゲームのような真剣勝負のモードもある。

基本的なシステムは前作『世界最強タッグ』を引き継いでいるので、本項では試合システムに関しては変更点のみに触れるものとする。


内容

登場人物

レスラー

  • ジャイアント馬場
  • ジャンボ鶴田
  • 三沢光晴
  • 川田利明 ※三冠ヘビー級王者
  • 田上明
  • 小橋建太
  • 渕正信
  • 秋山準
  • 大森隆男
  • ジョー・ディートン
  • ダグ・ファーナス
  • ダニー・クロファット
  • ジ・イーグル
  • パトリオット
  • ジョニー・エース
  • ダニー・スパイビー
  • スティーブ・ウィリアムス
  • テリー・ゴディ
  • スタン・ハンセン

レフェリー

  • ジョー樋口
  • 和田京平

タッグの組み合わせ

+ 詳細

()内はコンビ名

  • ジャイアント馬場
    • ジャンボ鶴田(30文師弟コンビ)
    • 小橋建太(親子タッグ)
    • スタン・ハンセン(夢の合体94.3.5)
  • ジャンボ鶴田
    • ジャイアント馬場(30文師弟コンビ)
    • 田上明(鶴田軍)
    • 渕正信(鶴田軍)
  • 三沢光晴
    • 小橋建太(新・超世代軍) ※世界タッグ王者
    • 秋山準(新・超世代軍)
  • 川田利明
    • 田上明(聖鬼軍)
    • 渕正信(聖鬼軍)
    • 大森隆男(聖鬼軍)
  • 田上明
    • ジャンボ鶴田(鶴田軍)
    • 川田利明(聖鬼軍)
    • 渕正信(聖鬼軍)
    • 大森隆男(聖鬼軍)
  • 小橋建太
    • ジャイアント馬場(親子タッグ)
    • 三沢光晴(新・超世代軍) ※世界タッグ王者
    • 秋山準(新・超世代軍)
  • 渕正信
    • ジャンボ鶴田(鶴田軍)
    • 川田利明(聖鬼軍)
    • 田上明(聖鬼軍)
    • 大森隆男(聖鬼軍)
    • ジョー・ディートン(悪役商会)
  • 秋山準
    • 三沢光晴(新・超世代軍)
    • 小橋建太(新・超世代軍)
    • 大森隆男(あすなろ戦士)
  • 大森隆男
    • 川田利明(聖鬼軍)
    • 田上明(聖鬼軍)
    • 渕正信(聖鬼軍)
    • 秋山準(あすなろ戦士)
    • スタン・ハンセン(日米師弟コンビ)
  • ジョー・ディートン
    • 渕正信(悪役商会)
    • スタン・ハンセン(テキサス友情コンビ)
  • ダグ・ファーナス
    • ダニー・クロファット(カンナム・エキスプレス)
  • ダニー・クロファット
    • ダグ・ファーナス(カンナム・エキスプレス)
  • ジ・イーグル
    • パトリオット(愛国仮面コンビ)
  • パトリオット
    • ジ・イーグル(愛国仮面コンビ)
  • ジョニー・エース
    • ダニー・スパイビー(JDブロンドス)
  • ダニー・スパイビー
    • ジョニー・エース(JDブロンドス)
  • スティーブ・ウィリアムス
    • テリー・ゴディ(殺人魚雷コンビ)
    • スタン・ハンセン(夢の合体94.5.18)
  • テリー・ゴディ
    • スティーブ・ウィリアムス(殺人魚雷コンビ)
  • スタン・ハンセン
    • ジャイアント馬場(夢の合体94.3.5)
    • 大森隆男(日米師弟コンビ)
    • ジョー・ディートン(テキサス友情コンビ)
    • スティーブ・ウィリアムス(夢の合体94.5.18)

試合のシステム(変更点)

  • 相手の技を受けた時Lボタンで「大袈裟にフラつくアクション(サイドロープ際の場合、それで場外転落することもあり)」Rボタンで「耐える(効いていないフリ)アクション」が追加された。
    • これらは「興業シミュレーション」での演出で有効活用することで盛り上げ効果を高めることができる。
  • ライフゲージがなくなった代わりに、体力が減ると立ちポーズが腹を押さえて苦しい表情の物に変わるようになった。
  • コーナーポストの反則カウントが復活。
    • 前作同様にコーナーポストに上がった相手を「デッドリードライブ」等で引きずりおろせるが、ある程度時間が経過するとカウントを取られはじめ5カウントで反則負けになる。
  • フロントフェースロックからハンマースルーが繰り出せるようになった。
    • 更に、そのまま画面下方から場外に投げられるようになった。
    • また、この技からスイッチする技が必中ではなくなった。
  • 「バックに回っての技(ジャーマンスープレックスや河津掛け)」が後ろから組み付いてかける形式に変更。
  • ハンマースルーが相手の体力次第で返されるようになった。
  • タッグマッチ時の協力可能時間がレフェリー依存になった。
    • タッチ時、タッチ前の主導権を持っていた選手がエプロンに戻るのは時間依存だったが、本作ではレフェリーに戻されるまでリング上で戦うことができるようになった。
    • レフェリーも5人目のプレイヤーが操作できる。
  • エプロン上の相手に攻撃できるようになった。
    • フォールを狙う前に相手のパートナーによるカットを阻止することができる。
  • 各選手の入場時や試合中にかかるBGMが変更され、より原曲に近いものになった。
  • レフェリーによって動きやカウントを取る速度に違いがあり、ジョー樋口が遅く和田京平が速い。

ゲームモード

ゲームモードは下記7種類。

興行シミュレーション(タイトル画面での「START」で開始なので実質メインのモード)

  • 5試合の興業をシミュレーションするモード。
    • 「シングル」「タッグ」「バトルロイヤル」から選択し、5試合を組む(レスラーの人数的都合で1試合はシングルマッチ必須)。
      • 「シングル」と「タッグ」ではエリミネーションするかどうかを選択でき、YESにするとシングルは「三冠ヘビー級選手権試合」となり、王者の川田利明が強制出場(挑戦者のみを選ぶ形)。
        「タッグ」では「世界タッグ選手権試合」となり、王者の三沢光晴と小橋健太コンビが強制出場(挑戦者のみを選ぶ形)。
      • 試合の形式や選手はオート選定も可。
  • 各試合、それぞれプレイヤーが操作するかコンピュータが操作するか決められる。
    • レフェリーも2人の内から選択可能(デフォルトはジョー樋口)。5Pはレフェリーを操作可能。
  • 盛り上がるほど、客席は賑やかになっていき、つまらない試合(例えばすぐ両者リングアウトで終わる)をするとみるみる帰ってしまい客席はガラガラになる。最高になると「満員御礼」と試合前に表示される。
    • 5試合を終えたところで馬場社長が総評を述べる。勿論、客が増えれば褒めてくれるが、細かい所は指摘される。
    • また馬場自身の扱いには注意(後述)。
    • 終始ガラガラで評価が低いと終了後スタッフロール(エンディング)にならない。
  • 試合を盛り上げるには、様々な技を出すのは勿論のこと、フォールをカウント2.9で返したり、時に場外戦を行ったりとかなり細かい。上記の通り時に大げさにフラついたりする演出も必要になる。
    • 従来作のようなスタミナゲージはなくなったので相手の体力の残り度合いを感覚で判断する必要がある。
      • これに気をつけないと、2.9でフォールを返させるつもりが、そのまま3カウントでピンフォールになったりして1回のフォールで呆気なく決着して盛り上がれず失敗なんてことはザラ。

以下は旧来通り真剣勝負型のモード(タイトル画面の「OPTION」で下記のメニューへ)

三冠ヘビー級選手権
世界タッグ選手権
世界最強タッグ決定リーグ戦
チャンピオン・カーニバル
ジャイアントシリーズ
新春バトルロイヤル

  • 「世界最強タッグ決定リーグ戦」でタッグを自由に決められるようになった以外は前作の「世界最強タッグ」と同じ。
  • 難易度が4段階になり「EASY」の下に「BEGINNER」が追加。

評価点

  • 前作「世界最強タッグ」同様選手入場に加えてテレビの「全日本プロレス中継*1」で使われているフォントで対戦カードが表示されるため、よりリアルなプロレス中継の気分が味わえる。
  • それまでのような対戦とは違った意味で、大勢で盛り上がれる「興業シミュレーション」
    • それまでとは違い、それぞれが協力していかに盛り上げるかというのはなかった趣向で、プロレスファンならリアルなレスラーの気分が味わえる。
    • BGMがないものの会場のザワつきとの連動がリアルで臨場感がある。
  • 合体技やフロントフェースロックからの技が必中ではなくなった。
    • 勝ちを目指すにはマイナスだが特にフロントフェースロックは元々その仕様自体がバランスブレイカーだったので改善と言える。
  • 更に増えた技の数々。
    • ウィリアムスの「ドクターボム」、小橋建太の「オレンジクラッシュ」「ジャックナイフパワーボム」など、「世界最強タッグ」の時よりもバリエーションが豊かになった。
  • 全コンビで合体技が可能に。
    • 上記の組み合わせのみならず、どの組み合わせでも独自でこそないものの合体技が出せるようになった。
    • そのため「タッグエディットが実質無意味」という欠点が解消された。勿論、定められているコンビの方が強いには違いないが…
  • 各選手のパフォーマンスが増え大多数の選手が2種類になった。
  • レフェリーを操作できる。
    • 5Pでレフェリーを操作することで、とんでもない超高速カウントを取ったりカウントを取らなかったりと試合を滅茶苦茶にコントロールできる。

賛否両論点

  • ジャイアント馬場は1985年3月、スタン・ハンセンに敗れPWFのタイトルを手放して無冠となった以降は、テレビではタレント色が濃くなり、プロレスでも前座に徹しており1996年からは年末の大イベント「世界最強タッグ決定リーグ戦」にも参加しなくなるなどタイトル路線からは完全に身を引いていた。そのためか本作でも「三冠ヘビー級選手権試合」や「世界タッグ選手権試合」で彼に勝たせると例え満員御礼でも辛口で否定的なコメントしかしてくれない。
    • 見た目だけでなく細部にまでこだわりが感じられる。
    • ただし、自身を勝たせたことを直接批判するようなコメントはせず、他の原因のコメントを流用するだけなのでわかりにくい。

問題点

  • 真剣勝負のモードでもCPUプレイヤーは上記の演出用のアクションをする。
    • これが実際のスタミナとリンクしているならばまだしも全然関係ない。
  • 馬場のプロレス道場の廃止。
    • 試合中のシステム自体の変更点もそれなりにあるので、やはり実戦で練習できるモードは欲しい。
  • 旧来のコンビの名残もなくなっているものもある。
    • スパイビーと秋山準のような、実際なかったコンビはまだしも、初作ではコンビ扱いだったハンセン&エースや三沢光晴&川田利明*2等が、本作ではそれもなかったことのようになっているのは寂しいものがある。
  • 前作まではタッグチームでも選手2人にそれぞれ違ったアレンジのBGMが用意されていたのだが、今作では特定のコンビの2人が同じ曲になってしまっているケースがいくつかある*3

総評

無印時代からウリであったリアルなアクション、そして「世界最強タッグ」から引き継がれたコンビネーションシステムはより強化され、更に進化した。
特にメインである「興業シミュレーション」は、現実のプロレス同様に「いかに盛り上がる展開を作れるか」と言う真新しいものになっており、特にプロレスごっこが大好きな友達同士でならまさに本物のレスラーの気分になれるようなモードであり、かなりその中身も細かいのでやりごたえは充分。
同時に今までのモードは全て継承され旧来通りの真剣勝負もでき、それまでの欠点だったボリューム不足は克服されている。
演出面でも順当に進化し、更により中継風になった演出などファン納得の出来と言えるだろう。結果的にこのシリーズ最終作となったが、それに恥じないものである。


その後の展開

  • メサイヤ及びスーパーファミコンにおける展開は本作が最後となるが、以後セガからセガサターンやドリームキャストのソフトとして発売された。
    • 全日本プロレス FEATURING VIRTUA(セガサターン 1997年10月23日発売)
    • GIANT GRAM 全日本プロレス2 in 日本武道館(ドリームキャスト 1999年6月24日)
    • GIANT GRAM 2000 全日本プロレス3 栄光の勇者達(ドリームキャスト 2000年8月10日)
      • 発売前の2000年6月にジャイアント馬場の後を継いで社長となった三沢光晴を含めた26人もの史上稀に見る離反*4を起こし、8月5日には新団体「プロレスリングノア」を旗揚げしていたが、本作では彼らも全日本プロレスのレスラーとして登場している。また、前述の問題はありながらも発売中止には至らなかった。
  • なお、ジャイアント馬場は1999年1月31日に61歳で死去しているが、やはり象徴的な存在であったためか3作ともすべて登場している。

余談

  • スタン・ハンセンとスティーブ・ウィリアムスのコンビ「夢の合体94.5.18」は文字通り前年5月18日「'94スーパーパワーシリーズ」の横浜文化体育館大会でのことだが、実際にはこの時もう1人ジョニー・エースがおり3対3の6人タッグでのものだった。
  • ダグ・ファーナスとダニー・クロファットのコンビ「カンナム・エキスプレス」は当時「アジアタッグ王者」のタイトルを持っておりタイトルデモやレスラー選択でも紹介されるが、それのタイトルマッチはできない。
  • 興業モードでレフェリー決定時やカード発表時には中継テロップ用の字体で名前が表示されるのだが、三沢光晴が三沢光明と表示されるミスがある。
    • 同様の誤字は全日本プロレスの中継でも見られたことがある。
最終更新:2025年01月02日 09:37

*1 当時は日本テレビ深夜枠で放送されていた。

*2 この2人は元々学生時代の先輩後輩の仲で、三沢を頭とする超世代軍で川田はNo.2だった。

*3 殺人魚雷コンビ(ゴディ&ウィリアムス)、カンナムエキスプレス(ファーナス&クロファット)、愛国仮面コンビ(パトリオット&イーグル)が該当

*4 全日本プロレスに残ったのは川田利明と渕正信のみ。