全日本プロレス ファイトだポン!

【ぜんにほんぷろれす ふぁいとだぽん】

ジャンル ボードゲーム
対応機種 スーパーファミコン
発売元 メサイヤ
開発元 ナツメ
発売日 1994年6月25日
プレイ人数 1~2人
定価 9,800円
判定 バカゲー
ポイント リアルから一転まさかの2頭身コミカルプロレス
プロレスは度外視でコミカルなドタバタ劇が楽しめる
対戦に関しては全然楽しめないクソゲー
全日本プロレスシリーズ


概要

それまでの「超リアルプロレスゲーム」とは一転して、見た目はまるで『桃太郎電鉄』のようなボードゲーム。
レスラーもそれまでのようなリアルファイトとは真逆で2頭身となり、コミカルなものになっている。
技も「ブレンバスター」「パワーボム」などの他にラッシャー木村の「マイク*1」や泉田純の「シャクトリ*2」など冗談めいたものまで混じっている。
メインであるストーリーモードは、そんな2頭身のキャラがまるでコントのようなドタバタ劇を交えた1人用スゴロクになっている。そのため見た目は桃鉄っぽいが中身は『すごろクエスト ダイスの戦士たち』に近い。


内容

登場レスラー

  • ジャイアント馬場
  • ジャンボ鶴田
  • スタン・ハンセン
  • 三沢光晴
  • 川田利明
  • 田上明
  • スティーブ・ウイリアムス
  • テリー・ゴディ
  • 小橋健太
  • 渕正信
  • パトリオット
  • 菊池毅
  • ラッシャー木村
  • 秋山準
  • 永源遥
  • 泉田純

ストーリーモードとバトルモード(対戦可能)があり、メインはストーリーモードでバトルモードはその中のバトルの部分だけを行うモード。
今までのようなスタイルのプロレスゲームではないので、練習的な意味合いも兼ねられている。

ストーリーモードはスゴロクのようなボードゲームになっている。
全部で6つのエピソードが用意されており、ラストの「馬場社長誘拐される」以外はどれからでも始められる。

  • 全日本プロレス全員集合(ジャイアント馬場)
  • ラッシャー木村がんばる(ラッシャー木村)
  • ストレッチプレムさくれつ!(川田利明)
  • 外人軍団裏切る(三沢光晴)
  • 敵か味方かしまうま仮面(ジャンボ鶴田)
  • 馬場社長誘拐される(前半・ジャイアント馬場以外任意)(後半・ジャイアント馬場)

()内はそのストーリーの主役キャラ。

ストーリーモードのシステム

  • サイコロのような役割をするゲージ式ルーレットを回して進む数決める(1~6)。
    • 道中には「青」「赤」「黄」「!」「GOAL」の5通りのマスがある。
      • 青マス
        技カードが1枚貰える。
        既に持っているのとダブった場合は「このカードは既に持っている」として放棄。
  • 赤マス
    技カードが1枚減る。
    既存の技カードリスト上でカーソルのルーレットを行い止まった部分の技カードが失われる。
    この場合も、元々持っていないカードの部分で止まれば事なきを得られる。
  • 黄マス
    ザコキャラとのバトルが行われる。
    勝てば「青」と同じく技カードの獲得、負ければ「赤」と同じく技カードの没収ルーレットに移行する。
  • !マス
    途中のチェックポイントのような位置付けで、スルーできず強制停止。バトルが発生することもある。
  • GOALマス
    文字通り最後のゴールで、ピッタリでなくてもゴールできる。ここでそれぞれのボスとのバトルが発生して勝てばクリア。
  • 救済としてボス戦(「!」や「GOAL」でのバトル)で負けた後は「青マス」と同様に技カードを1枚引いた後で再戦する。

試合(バトル)のシステム

  • ストーリーモード中にも時折発生するバトルの仕様は技カードを試合前に5枚まで装備して試合に入る(バトルモードでは、それぞれのレスラー毎に固定)。
    • 技の中には全員共通のものと、使えるレスラーが限られているものがある。
      • また、共通のものでも、それを得意とするレスラーが使うと「必殺技」になるものがある。(例・川田やゴディの「パワーボム」、鶴田の「バックドロップ」など)
      • また固有の技は「必殺技」になっているものが多いが、そうでないものもある。
  • 試合は5枚のカードと「FALL」の6枚(5枚のカードは全部埋める必要はないが、その分不利になるだけなので5枚装備しない手はない)のカードを使って行う。
    • 旧来のプロレスゲーム同様「バックドロップ」「パワーボム」などは大技に該当し、相手の体力がたっぷりあると返されやすい。
    • カードをめくることで、技をかけるスタイルで技が発動する権利を得られれば、裏返ったカードが点滅する。
    • 裏返ったカードはしばらく使えないが、時間経過で再び表になり再度使えるようになる。また、この時カードの色が黄色っぽくなっていればそれが「必殺技」となり、普通より威力が大幅アップする。ただ、滅多にそうはならず大抵は必殺技が出ることなく終わる。
    • また、自身が技をかけている時に、他のカードを使っても技は発動できないのでムダになるだけ。
    • フォールを返したり、絞め技をかけられている時に、それを外すのも、とにかくカードをめくること(フォールカードも含む)。
    • 普通のプロレスゲームと同じく体力がなくなるとフォールを返しにくくなり(多くカードをめくる必要がある)、体力がないときに絞め技をかけられるとギブアップする。
    • 裏返ったカードが戻る(また使えるようになる)までの時間は、小技ほど早く、大技は遅い。
    • 1枚も技カードをセットしないでフォールカードのみで始めると開始と同時にギブアップ負けとなる。
  • バトルモードはレスラーを選んで1戦のみ行うモード。
    • このモードの場合、レスラーの技は、それぞれ固定の5枚になっている。

評価点

  • プロレスを知らなくてもドタバタ劇が面白い
    • それぞれ元ネタのレスラーのキャラクターを踏襲した2頭身キャラが展開するコントのようなでネタ的な面白さは充分。
    • 元ネタを知っていればもちろんのこと、知っていなくても見ているだけで面白い。
  • レスラーのキャラクター性
    • 三沢の口癖(〜だよね)や、ハンセンのセリフの語尾に必ず「ウィー」が付くなど、それぞれのキャラクターが十分に表れている。
    • パトリオットは「パトリオットミサイル」というショルダータックルが得意技なのだが、登場するたびに人面ミサイルの様な姿で暴れ回る。
    • デフォルメされたレスラーの顔も一目で分かるほどに特徴を捉えており、表情の移り変わりもバリエーションがあり楽しめる。
  • カードを選ぶだけなので、格闘ゲームやプロレスゲームに馴染みがなくても楽しめる。
    • もちろん、返し技を喰らったりするとこもあるが、組んでタイミングよくコマンドを入力したり、格闘ゲームのような複雑なコマンドは不要。
    • そういう意味ではプロレスは好きだけど、複雑な操作は苦手という低年齢層には向いている。
  • 適度に楽しむ上にはちょうどいいボリューム。
    • 多少の慣れさえあれればすぐゲームに馴染めて全6ステージ通しクリアも1時間強程度でできる。
  • コンテニューが手軽。
    • パスワード制だがアルファベットのみで16文字と短い。当然バックアップバッテリーが切れる心配もない。

問題点

  • バトルは先手を取ったらハメて勝ちの一本調子になりがち。
    • とにかく先手さえ取れれば、技が決まって相手が倒れている間に次のカードをめくって技を出す。少し慣れればこれだけでハメて勝ててしまう。
    • もちろん逆になると、ハメられてストレートのように負けてしまいがち。
      • 特にスタミナがなくなると技を返しにくくなるので連続でめくって逆転するチャンスもなくなってくる。
  • 対戦は、そんな単調なバトルの単戦のみしかない。
    • おまけにレスラー毎にカード(技)まで固定なので余計に単調になる。
  • 進行用のルーレットがクセさえつかめば任意の出目が出せる。特に1.2あたりは簡単に出せる。
    • その気になればノーリスクな青ばかり狙ってボス以外のバトルをオールパスして進行することも可能。
    • ボードゲームのステージでは対戦がないとはいえ、これではかなりヌルい。
  • メッセージスピードが遅く、ストーリーパートはスキップできない。
    • キャラのアクションとの兼合いもあるので仕方ないのかもしれないが。
  • ボス戦負け時の救済。
    • 上記の通り、ボス戦で負ければ救済としてその場で技カード獲得の抽選が受けられ、即再戦できるシステム。
      • ハマリ防止や低年齢層向けのゲームらしく優しいシステムとはいえ、負けたことに対するリスクが全くなく、際限なくその場で何度もやり直せてしまうのはストーリーとしていかがなものか。
        実際このゲームのラスボスも「ワシの部下は一度負けたら終わりなのに、お前たちは何度でもやり直せるなんてゲームシステムに問題があるぞ!」とメタ発言でクレームをつけている。
        それに対して馬場は「全日本プロレスのレスラーはプロレスを楽しんでいるから負けても何度でも立ち上がれるんだ」と説いてはいるが、確かにラスボスの言う通り「ノーリスクどころかパワーアップして即再戦できる」は問題があるには違いない。

総評

バトルのゲーム性としては単調すぎる点が否めないが、本元のシリーズのように「相手の体力が尽きているところに絞め技かけてるのにギブアップしない」という複雑なシステムでもなく難しい操作も不要なので低年齢層からすれば向いていると言えなくもない。
演出はストーリーパートにせよバトルにせよ低年齢層にしても、全日本プロレスのファンからしても笑えるものが多い。
桃鉄のようにボードゲームのモードで複数人の対戦ができたなら一風変わったボードゲームとして盛り上がれるものになった可能性もあったが、結局のところコントっぽいストーリーを見て楽しむようなゲームにとどまった。


その後の展開

  • このようなスピンオフは以後発売されず再びリアル路線に戻っている。
    • 1994年7月16日発売『全日本プロレス ジェット』(ゲームボーイソフト)。
      • ただこれはリアルを求めたものの、元々のハード性能の低さが災いしてリアルとは程遠いものになった上にゲームとしてのボリュームまで貧相なものになってしまった。
      • どのみちハード性能でリアルが無理ならばこれこそコミカルプロレス路線を選べば多少は変わったかもしれない。
  • 1995年4月7日発売『全日本プロレス2 3・4武道館』(スーパーファミコンソフト)。
    • こちらは順当なリアルプロレスの進化形で特にメインであり新モードでもある「興業シミュレーション」はプロレスファン必見。

余談

  • 永源遥と泉田純は他の作品に出ていないので本作が唯一の出演である。
  • 本作はリアル路線ではないので、今までの実写のような顔グラフィックすらないが、取扱説明書にはジャイアント馬場とラッシャー木村が実写で載っている。
最終更新:2024年01月27日 18:32

*1 現実でも有名なマイクパフォーマンス。

*2 ダメージを受けた際に尺取虫のような動きでコーナーに帰ることから。