Indiana Jones and the Emperor's Tomb
【いんでぃあな じょーんず あんど じ えんぺらーず とぅーむ】
ジャンル
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3Dアクションアドベンチャー
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対応機種
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日本対応
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Windows(Steam/GOG.com)
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海外のみ
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Xbox Play Station 2 Mac OS X
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発売元
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Lucas arts
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Win
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Lucasfilm/Disney
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開発元
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The Collective Inc.
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価格(DL配信)
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Win(Steam)
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620円
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Win(GOG)
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$5.99
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発売日
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Win
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2003年3月26日
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Xb
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2003年3月25日
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PS2
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2003年6月26日
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Mac
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2003年12月3日
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判定
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良作
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ポイント
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インディ版トゥームレイダー第2作 操作性が大幅に改善 『魔宮の伝説』の前日譚
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インディ・ジョーンズシリーズ
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概要
『Indiana Jones and the Infernal Machine』に続いて発売された、3Dアクションのインディ・ジョーンズとしては二本目となる作品。
開発は『Men in Black:The Game』(PS移植版)などを製作し、後に『スター・ウォーズ エピソードIII シスの復讐』を手掛けたThe Collective Inc.が担当している。
時系列上は映画3部作の第2作『魔宮の伝説』と同年の1935年であり、同作に登場したウー・ハンなどのキャラクターが登場する前日譚的な内容となっている。
ストーリー
1935年5月 セイロン島 ワリヤポラ遺跡
ニューヨークで教授を務める考古学者であり、また世界各国へ足を運ぶ冒険家でもあるインディアナ・ジョーンズは、ワリヤポラ遺跡の奥地に眠るコウル・ワトゥの像を求め、インド南東部・セイロン島の奥地へと足を踏み入れていた。
財宝を奪おうとするナチス高官フォン・ベックと彼の雇った象牙密猟者たちの追撃を退けたインディは、遺跡の最深部でコウル・ワトゥの像を入手。フォン・ベックに拘束されかかるもとっさの機転で巨大な白鰐の池に投げ飛ばし、脱出に成功する。
ニューヨークへと帰国し、像の調査を始めたインディー。ある日、大学にある彼の部屋の下にカイ・ティ・チャンという男と、その秘書メイ・インが訪れる。
中国政府の代表を名乗るカイ・ティ・チャンは、インディの腕を見込んである調査を依頼する。その調査とは、世界中に散らばる3つの「夢の鏡」のかけらの収集。実はコウル・ワトゥの像も鏡のかけらを偽装する物でしかなく、フォン・ベックも像の中に隠された鏡のかけらを狙っていたのだった。
「夢の鏡」は中国初の皇帝、秦の始皇帝が眠る始皇帝陵へ入る鍵となる重要な遺物。チャンによれば、中には始皇帝の遺体とともに「龍の心臓」と呼ばれる巨大な黒真珠が埋葬されているのだという。
かつてその力で中国が統一されたとも言われる黒真珠がナチスの手に渡ってしまえば、世界は彼らによって支配されてしまう。依頼を承諾したインディは、二つ目のかけらを求めナチスの占拠するプラハの城へと潜入する。
しかし、フォン・ベックは右目を失いながらも白鰐の襲撃を生き延び、復讐を果たすべくインディを追跡していた。神秘の黒真珠を巡るナチス・中国政府・香港マフィアの渦巻く陰謀に巻き込まれつつも、インディは夢の鏡を求め各地の遺跡へ挑む。
ゲームシステム
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探検家インディアナ・ジョーンズとなり、遺跡や自然といった様々な場所を舞台に冒険を繰り広げる3Dアクションゲーム。
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前作同様にステージクリア型を採用しており、各地域ごとに合計10章で構成されている。
基本操作
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基本操作はラジコン型の前作から入力方向移動+視点移動の組み合わせに変化。WASDで入力方向に移動し、マウスで視点移動を行う。
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スペースキーでジャンプ、Eキーでギミックの起動やアイテムの取得を行い、Cキーで主観視点に切り替え、矢印キー左右で武器・アイテムを選択。上キーで選択中のアイテムを装備し、下キーで装備中のアイテムを解除する。
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Shiftキーで防御姿勢となり、戦闘中は素手攻撃のガードが可能。また防御姿勢状態で崖に向かって移動することで、落下せず崖につかまることができる。
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前作同様、キーボード+マウス以外にアナログスティックコントローラーにも対応している。
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コントローラーを使用した場合は左スティックで移動し、右スティックで視点操作を行う。
壁張り付き
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壁に向かって前進しつつEキーを押すと壁張り付きモードに移行する。細いスキマでも通ることができ、アスレチックステージでは頻繁に利用する。
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解除する際は解除したい場所でもう一度Eキーを入力することで壁から離れる。
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銃を持った状態で壁に張り付き、角でZ/Xを押すと一時的に壁から乗り出しつつ銃を構えられる。
ローリング
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しゃがみが廃止された代わりに重要となった動作。Qキーで発動し、向いている方向へ素早く前転する。
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前作とは異なり、動作中は当たり判定が極めて低くなる。これを利用することで穴を潜ったり、『最後の聖戦』のように壁から出てくる刃を避けたり、敵との戦闘中に攻撃を避けつつ素早く距離を空けたりすることが可能。
水筒
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HP回復に利用できるアイテムで、専用の水メーターが用意されている。
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飲むことで水メーターを消費しつつ回復することができ、減った水は各所にある水源を使用して回復可能。水源利用時は水と同時に体力も回復してくれる。
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一部ステージにはアイテムとして水筒が落ちていることがあり、取得すると水の最大値が上昇する。
ロープ
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複数のステージで重要となるギミック。ジャンプしつつ体当たりすることで捕まり状態に移行でき、WASDで旋回・スイング、アローキー上下で高さの調整ができる。スイング中にジャンプで手を放して飛ぶ。
水中
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水上浮遊時はスペースキーで潜ることができ、水中移動時はWASDまたはマウスで方向を変え、スペースキーで前進する。水中では普通の銃器は機能せずハープーンガンのみ使用することができるが、オートエイムは作動しないため主観視点で狙う必要がある。
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水中及び毒ガス充満時のみ酸素バーが表示され、酸素が無くなるとHPが急速に減少する。一部ステージでは酸素ボンベが置かれていることがあり、取得すると酸素の最大値が上昇する。
武器・戦闘
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武器は素手の他、銃やマチェットといった所持できるものと、シャベル、イスや鉄パイプといったその場で持つだけのものの二種類が存在。
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右クリックで通常攻撃、左クリックで近接攻撃を繰り出す。銃を使用している場合、Rキーでリロード、Cキーでマウスエイムに切り替え。
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イスなどの木製オブジェクトは使用時に破壊されるほか、戦闘中に転倒し接触する、爆発に巻き込まれるなどの要因でも破壊されてしまう。
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前作とは異なり基本的には素手格闘主体の戦闘となっており、弾薬供給は少ない。またこの関係で、格闘で処理不可能な小動物・昆虫系の敵は軒並み抹消された。
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爆発や投げ飛ばしといった強力な攻撃を食らうと、インディーは所持しているものを地面に落としてしまう。この際たまに帽子も落とすことがあり、拾えないと死ぬかステージクリアまでそのまま過ごすことになる。
鞭
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前作とは異なり重要となったアイテム。ダメージは微小ながら攻撃キー連打で間髪入れずに連続してしばくことができ、また縄を使って敵を引き寄せ、殴り倒すといった専用技も使えるようになった。
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攻撃範囲も広く、武器を持った敵がいた場合敵の武器をはたき落とすことができる。銃やナイフ持ちの敵に対してもすぐに接近戦に持ち込めるなど、立ち回り次第でかなり使いやすいアイテムとなっている。
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また、ターザン用アイテムとしても大幅に強化。有効となる範囲が大幅に広がったことで使いたいと思った時に即座にスイングが繰り出せるようになり、また空中でも使えるようになったためジャンプ(または落下)しながらのスイングやスパイダーマンめいた連続したスイングも可能となっている。
宝
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マップの各所にはさまざまなお宝が隠されており、収集することで記録され、データロード時に確認できる。
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前作では換金されるアイテムだったが、本作ではきちんと収集アイテムとして記録されるように変更、やりこみ要素として遊べるようになった。
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各地方合わせて合計10個の宝が登場。全ての秘宝を集めると、報酬としてアートギャラリーが解放される、
アーティファクト
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中盤までの目標となる、持っていると見えないものが見えるようになる鍵「夢の鏡」に加え、竜の爪で作られた悪霊特攻の魔術ブーメラン「パ・チェン」の二つが登場。
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パ・チェンは通常武器として利用でき、使うと自動で敵を追尾して攻撃し、その後手元に戻る。また右クリックで近接攻撃を繰り出すことができ、墓で出没する動く像などの銃の効かない敵に対して有効。
評価点
機敏かつ快適になった操作
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古臭くもっさりしていた前作からうって変わって、本作の操作は非常に軽快かつ快適に改良されている。
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ダッシュキーを入力しなければ走れなかった前作からトゥームレイダー同様の常時ダッシュ方式となっており、新たに自分の身長より低い段差はわざわざジャンプキーを押さずとも自動でスイスイと乗り越えてくれるようになった。
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鞭も空中で繰り出すことができ、ターザンやスパイダーマンのように道なき道を飛び回ることが可能。アイテムを拾うモーションなども全体的に素早く行われるようになっており、キビキビとしたストレスのない動作を実現している。
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MP40や水中銃などの両手大型武器を構えたままであっても通常通りにジャンプや崖掴まりが可能となっており、移動の制約はない。
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いちいちアイテム欄を開いて取り出さなければならなかった鞭・鉈は、使用できる場所の近くでEキーを押すだけで即座に持ち変えることが可能に。使用できる箇所に近づくとアイコンで知らせてくれるようになっており、ヒントとしても機能している。
映画さながらのストーリー
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前作同様、ストーリー面はしっかりとしており映画同様の冒険を楽しめる。
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さまざまな登場人物の協力や対立、行く手を阻む数々の障壁、神秘的で脅威ともなる秘宝、因縁の対決など、実にインディ・ジョーンズらしい内容となっている。
さまざまなロケーション
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前作よりも市街地や軍事要塞といった近代人工建築の割合は増えたが、どれもロケーション豊富で飽きさせることがない。
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古びた西洋の城や草木の生い茂るジャングル、乾いた中東の城塞都市、水に沈む神殿、数々の障壁が待ち構える神秘的な墓など、章ごとにさまざまな場所を探索することができる。
インディらしい近接格闘主体の戦闘バランス
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ラジコン操作でキャラが動かしにくかった前作では無限に撃てるリボルバーを持ったインディを操作し、やたら敵対してくる小動物や大量のソ連兵を射殺しまくるゲームと化していたが、入力方向移動を導入したおかげで『ダイナマイト刑事』のような3D近接格闘戦へと変化。銃弾も希少となり、拳や鞭、剣などを使い、襲い来る敵を倒していく内容へと変化した。
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あまり銃を使うシーンのない映画三部作と同様の乱闘を繰り広げることができるようになり、前作にあった違和感はなくなった。
上質なサウンドトラック
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有名な『レイダース・マーチ』だけでなく、映画三部作の劇中で使われたさまざまな楽曲がアレンジされ使用されている。映画ファンであれば聞き覚えのある曲もちらほら。
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前作同様、BGMはクリント・バジャキアンが担当。状況に合わせて自動的に曲が切り替わるなど、内容とのシンクロも意識されている。
映画本編とのリンク要素
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ネタバレ注意
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本作は『魔宮の伝説』との繋がりが深く、設定年代も1935年と共通している。同映画の序盤に登場したインディの味方ウー・ハンとの協力シーンも盛り込まれており、映画ファンにも嬉しい内容。
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また、エンディングシーンはヌルハチを巡ってラオ・チェーとの交渉に赴くインディの姿が描かれるなど『魔宮の伝説』をリスペクトしている。
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登場するロケーションもライバルと先を争ってのジャングル遺跡探検、夜間の城への潜入、香港の商店街でのカーチェイス、中東の発掘現場など、映画三部作を彷彿とさせる風景が意図的に盛りこまれている。
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使いやすいアーティファクト
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いまいち使い勝手の良くなかった前作の「悪魔の機械」とは異なり、本作に登場するアーティファクトはかなり使い勝手が良い。
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特にブーメランのパ・チェンは無限に使える遠距離武器となっており、対人戦闘中は一方的に敵を攻撃できるなど非常に便利。
クリアしたステージがいつでも選択可能
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ゲームの進行度に関わらず、既にクリアしたステージにはもう一度挑むことができるようになった。秘宝の収集に便利なほか、チュートリアルも兼ねた最初のステージも何度も遊べるようになり初心者にもやさしい。
賛否両論点
インディが別人
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前作同様、インディを演じているのはハリソン・フォードではなく別人。
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ただし担当しているデヴィッド・エッシュは過去に『Indiana Jones the Read-Along Adventures』でもインディを担当した人物であり、ただ聞いただけでは別人とわからないほどには似ているためさして違和感はない。
原始的な主観視点モード
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銃がオートエイムだった前作から進化し、新たにCキーで主観視点狙撃が可能となった。また、これに伴い警戒状態でない敵を高威力武器でヘッドショットすると一撃で倒せるなど部位ダメージの概念も取り入れられている。
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しかし、Cキーというボタン配置は微妙に押しづらい位置。右クリックは近接攻撃に割り当てられており、また主観視点中は移動もできないなどTPSとしては未成熟な仕様となっている。
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TPSに構えの切り替えが明確に取り入れられ始めるのは2005年の『biohazard 4』以降なため仕方ない部分ではあるのだが...
グラフィックの劣化
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Xbox版とPS2版はハード性能の差からグラフィック部分の大幅な劣化が生じてしまっている。
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PC版はグラフィック面が改良されており、解像度も上がっているため当時としては奇麗な部類。modを用いた高画質化も可能なため、今からプレイする分にはさほど問題ではない。
一部ボスが異様に難しい
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巨大ワニやナチスのミュータント実験体、神殿の守護生物など要所でボスが登場するのだが、どれも格闘や銃撃などの正攻法で倒すことはできず機転を利かせて倒す必要がある。このうち、クラーケン戦とドリルタンク戦の難易度が非常に高い。
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クラーケン戦は水中戦となり、特定オブジェクトを破壊する時限爆弾と該当ステージで初めて入手するハープーンガンを使って巨大タコを追い払う。弱点箇所と対処法自体はわかりやすいのだが、接近すれば即座に即死攻撃が発生し、食われて死ぬため水中移動の方法を覚えなければ難関。
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一方ドリルタンク戦は倒すことはできず、長い通路をひたすらクラッシュ・バンディクーめいた視点で逃げることになる。途中には奈落が存在するほか、後半に突入すると突如崩壊する床も出現するためパターン構築が必須。
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ジャンプ連続鞭が必須テクニックとして使われるほか、ジャンプして着地後にその場に留まらないと落下死する超シビアな1マス足場なども連続するため非常に難しい。長い割に中間セーブもない仕様のため、難易度上昇に拍車がかかってしまっている。
問題点
暴走するカメラ
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通常時は特に問題ないが、壁とインディの距離が狭くカメラが壁に押しつぶされた状態の時のみカメラ移動のスピードが一時的に上昇する。
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主観視点モードなどでは問題ないが、狭い場所で視点を動かす時などはかなり厄介。
見えない壁が多い
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主に身長以下の手すりに多い部分。細い手すりには乗ったり乗り越えたりすることができず、透明な壁に阻まれる。
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柵のある人口建築物が増え、また自動で超えられる段差が増えた分、前作より違和感の多くなる部分。
任意セーブ不可
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本作ではどのマップも死亡すると最初からやり直しの仕様となっており、こまめな任意セーブでごり押しする前作PC版の戦法は通用しない。
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その分、ただ邪魔なだけの敵対的小動物や理不尽な初見殺しトラップといった前作の問題点は軒並み廃止されてはいるのだが、操作のおぼつかないプレイヤーにとってはつらいところ。
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特に最終ステージでは落下すると即死の奈落に足場が浮かんでいるだけのステージが多いため、突破はなかなか難しい。ただ、1区画自体はさほど大きくはない。
総評
映画三部作の魅力はそのままに、前作『Infernal Machine』から操作性が大幅に改善された作品。
部分的には惜しいところもあるが、『アンチャーテッド』などのパルクールを先取りしたかのような機敏で快適な操作性は2003年当時としては非常に優秀なものとなっている。
前作では控えめだった「インディ・ジョーンズらしさ」も、映画三部作の年代に近づける、鞭の使い勝手を向上させる、強力なアーティファクトを登場させるといった手法で補強されており、映画ファンも納得の出来栄え。
グラフィックは今ではやや古く日本語にも対応していないためやや敷居は高いが、シリーズファンであればプレイして損はない良質な作品となっている。
余談
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本作でインディ・ジョーンズを演じたデヴィッド・エッシュは、本作より前の2001年に同じハリソン・フォード繋がりで『Star Wars:Galactic Battlegrounds』のハン・ソロ役も担当している。
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字幕表示機能がありある程度の読解力があれば遊べるのだが、ラストシーンでは「ヌルハチ」を「ヌルハッチ」と書いてしまう誤植が存在する。
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本作に登場するナチスは主力火器としてMP40サブマシンガンを使用するが、MP40が開発されたのは1940年。形がほぼ同じ原型であるMP38も、1938年に初めて完成している。
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始皇帝陵が実際に発見されたのは1975年頃。また、実際には黒真珠の伝説は存在しない。
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Xbox版はチートコマンドを入力、PC版はdefault.cfgファイルを開いて「cheats:1」という文字列を追加することでチートモードが解禁される。
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チートモード中は弾薬と体力が無限になるが、エリア外への落下などは死亡扱いとなる。
最終更新:2022年01月26日 12:26