Indiana Jones and the Infernal Machine
【いんでぃあな じょーんず あんど じ いんふぁーなる ましん】
ジャンル
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3Dアクションアドベンチャー
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対応機種
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PKG
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Windows Nintendo 64(海外のみ) ゲームボーイカラー(海外のみ)
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DL
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Windows(Steam/GOG)
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発売元
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共通
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Lucas arts
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GBC
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THQ
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Win
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Lucasfilm/Disney
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開発元
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共通
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Lucas arts
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N64
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Factor 5
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価格(DL)
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Win(Steam)
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620円
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Win(GOG)
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$5.99
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発売日
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Win(PKG)
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1999年11月23日
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N64
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2000年11月15日
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GBC
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2001年3月30日
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判定
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なし
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ポイント
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インディ・ジョーンズ版『トゥームレイダー』 豊富な遺跡ロケーション 被弾上等の棒立ち銃撃戦
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インディ・ジョーンズシリーズ
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概要
1997年に発売された、数多くのトラップを潜り抜けて遺跡を探検する3Dアクションゲーム『トゥームレイダー』の成功を受け、2年後の1999年に発売されたルーカスフィルム公式作品。
言わずと知れた名作映画『インディ・ジョーンズ』シリーズのゲーム化作品であり、映画原作ではなく完全オリジナルのストーリーが展開される。
開発は『Star Wars: Dark Forces』シリーズや『Outlaws』でおなじみルーカスアーツが担当し、『Jedi knight』に使用されたSith engineの改良版である「jones engine」を使用している。
時系列上は『最後の聖戦(1938年頃)』と『クリスタル・スカルの王国(1957年頃)』の間の出来事であり、ダークホース社のコミック『インディ・ジョーンズ/アイアンフェニックス(1947年頃)』の続編に位置付けられている。
ストーリー
1947年 アメリカ合衆国 キャニオンランズ
第二次世界大戦の終結後、帰国した考古学者インディアナ・ジョーンズは平凡な発掘作業の日々を送っていた。
そんなある日、キャニオンランズの探索を終えたインディの下に、かつて戦時中に協力した中央情報局(CIA)のエージェントであるソフィア・ハープグッドが訪れる。
彼女によれば、CIAはあるソヴィエト連邦の調査団が古代メソポタミアの首都、バビロンの発掘を進めていることを突き止めたという。遺跡から持ち出されたという滑車は、その時代には存在しないはずの精巧な機械だった。
奪還作戦を指揮するCIAのボス、サイモン・ターナーの協力を得てバビロン遺跡へ潜入したインディは、発掘作業を主導するソヴィエト連邦の考古学者ゲンナディー・ヴォロドニコフと遭遇。更なる調査により、バベルの塔の崩壊に強力なパワーを秘めた4つの「悪魔の機械(Infernal Machine)」が関わっていたことを突き止める。
核をも凌ぐ超技術を持つ「悪魔の機械」がどちらかの手に渡ってしまえば、冷戦の均衡は瞬く間に崩壊してしまう。ソヴィエトに先駆けて「悪魔の機械」を集めるべく、インディは世界各地に眠る遺跡へ冒険に挑む。
ゲームシステム
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探検家インディアナ・ジョーンズとなり、遺跡や自然といった様々な場所を舞台に冒険を繰り広げる3Dアクションゲーム。
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ステージクリア型を採用しており、合計17ステージ+ボーナスレベルで構成されている。
基本操作
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基本的な操作は『トゥームレイダー』をベースとしたラジコン型。視点も同じく背後となっており、前後移動・左右旋回・ダッシュ・ジャンプ(崖掴まり・梯子使用)・カニ歩き・しゃがみといった各種動作を駆使して先に進んでいく。
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武器はオートエイムで、有効範囲は武器によって異なる。リボルバーやハンドガン、ライフルやマシンピストルなどさまざまな武器が登場し、主にソ連兵や動物との戦闘で使用する。デフォルトのリボルバーのみ弾数が無限。
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要所要所にはインディ・ジョーンズおなじみの鞭が利用できる箇所が存在し、有効範囲に立った状態で鞭を選択して利用することでスイングして対岸に渡る、垂直に登って上階へ上がるなどのアクションが可能。武器扱いだがオートエイムが作動しないため攻撃には利用できない。
乗り物
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ゴムボート、ジープ、トロッコの三種類が登場。いずれも該当ステージ限定のギミックとして登場しており、自由に使うことはできない。
宝
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マップの各所にはさまざまなお宝が隠されており、収集することでステージクリア時に換金される。
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貯めた金は救急ボックスなどの各種アイテムの購入に利用でき、集めることで次のステージをより快適に進めていくことが可能。
悪魔の機械
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道中各遺跡でインディは悪魔の機械を入手でき、ギミックの作動や特定の敵の撃破に使用できる。
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名前通りHPが吸収されるなどのデメリットを備えたものもあり、使いどころは難しい。
評価点
映画さながらのストーリー
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全体的にストーリーに関する評価は非常に高い。当時はあまり描かれなかった第二次世界大戦後・東西冷戦期のインディの冒険を題材に、古代文明や創世神話、伝説を巧みに織り交ぜた展開は秀逸。
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各キャラクターたちも映画ほどではないもののきちんと描かれており、映画原作ならではのスリリングな展開を楽しめる。
さまざまなロケーション
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悪魔の機械が眠る各所の遺跡はどれも個性豊か。その土地ならではのギミックも仕込まれており、ロケーションにさほどマンネリ感は感じにくい。
美しいグラフィック
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テクスチャは細かく、当時としては美しい部類。特にイベントシーンでの人間の表情は当時としてはかなり作りこまれている。
上質なサウンドトラック
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作中楽曲はルーカスアーツの複数の作品で活躍したクリント・バジャキアンが担当。
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随所で映画同様のオーケストラ音楽を聴くことができ、雰囲気を盛り上げる。
賛否両論点
インディが別人
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ハリソン・フォードのギャラを考えれば仕方がないが、インディを演じているのは別人。
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ただし顔や演技自体は映画三部作の頃のインディをよく再現しており、違和感はさほど強くはない。
発掘品が換金アイテム扱い
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トラップを掻い潜り遺跡に隠されたお宝を集めても、収集可能なコレクションとしては記録されずステージクリア時に換金されてしまう。
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ステージ間のアイテム購入システム自体は難易度軽減につながるため有意義ではあるのだが、よりによって資金源が盗掘品なあたりは考古学者のはずのインディには似つかわしくない部分。映画『最後の聖戦』冒頭のセリフ「That Belongs in a Museum!(それは博物館のものだ!)」にも表れているように、インディは考古学的価値のあるものを売るような人間ではない。
難易度が高い
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『トゥームレイダー』同様に難しいアスレチックや初見殺しトラップのオンパレードであり、PC性能の向上に伴って探索できるマップのサイズも拡大。任意セーブ・ロードこそ可能だが、慣れないうちは何度も死ぬはめになる。
問題点
回避不可の棒立ち銃撃戦
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本作のインディ・ジョーンズはララ・クロフトとは異なりジャンプの制約が多く、ドッジロールで銃弾を回避しながらのオートエイム連射、といったヒロイックな動作は不可能。
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かといってこの時代に遮蔽物に隠れることができるわけもなく、戦闘は基本的に相手の方向を向きながら突っ立って銃を撃つだけとなる。
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動物相手であればまだ大丈夫だが、本作のメイン敵であるソ連兵はほぼすべての個体が銃を携行しているため銃撃戦は頻繁に勃発。ソ連軍の警戒区域では、戦闘が終わったころには床一面インディが射殺したソ連兵の死体だらけになる。
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ステルス要素はないため、人殺しを回避するために別ルートを辿るといったプレイも不可能。劇中でのインディも銃撃戦自体は行ってはいるため間違いではないのだが...
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続く『emperor's tomb』ではこれらの戦闘が見直され、格闘を織り交ぜたよりインディらしいアクションに変化した。
跳ね返る物理演算
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ジャンプ中や落下中の壁への接触時にバウンドするような挙動を取ることがあり、跳ね返った場合の着地位置は予測不可能。地形はブロック状だった『トゥームレイダー』と比較しても全体的に細分化されており、調整を見誤ると予期せぬ場所に着地・落下死することも少なくない。
狭い入力範囲
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梯子にジャンプしながら掴まることができず、地上の掴まり判定もやたら狭いため梯子を掴もうとしてジャンプしてしまうことが多い。同様に鞭の使用可能ポイントも非常に狭く、少しでもズレるとアクションが実行不可能などストレスの溜まる仕様。
やたら狭いオートエイム範囲
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銃の照準を利用して撃つことができないため実質的にオートエイムの作動する範囲が最大射程となるのだが、どの武器も有効範囲が大して広くないため視界内に敵がいるのに銃を当てられない状況が頻発する。
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ほかのゲームであれば拳銃でも当たりそうな距離であっても、作動範囲外であれば向いている方向への水平発射しかできない。戦闘回数も少なくないためストレスの溜まる部分。
もっさりした動作
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しゃがみや梯子掴まり、ブロックの押し出しといった各種動作が非常にもっさりとしていて、動作開始から再び入力を受け付けるまでが無駄に長い。
総評
ファン待望の公式インディ・ジョーンズ版『トゥームレイダー』として登場した作品。
映画の持つ雰囲気を忠実に保ちつつ3Dアクションゲームへと落とし込んでおり、映画同様の大冒険を楽しめる。
しかしその反面、初代『トゥームレイダー』の愚直な模倣であるが故にそちらのシリーズの問題点も幾つか受け継いでしまっており、またインディ・ジョーンズならではと言えるような独自色もさほど多くはない。
本作に存在した複数の問題点は、続く2003年発売の3Dアクションゲーム『Indiana Jones and the Emperor's Tomb』でさらなる改善が図られていくこととなった。
余談
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当初、敵をソ連に設定した後にインディが追う遺物をUFOにする予定があったが、当時進行していた続編計画と被るためジョージ・ルーカスによって却下された。
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その後、2008年には敵がソ連、遺物がUFOの『インディ・ジョーンズ/クリスタル・スカルの王国』が公開されている。
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当初はPS1への移植も検討されていたが実現せず、WindowsとNintendo 64のみで発売された。
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GBCにもアレンジ移植されているが、トップダウン視点のアクションゲームへと内容が変化している。発売元もTHQからの発売となった。
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インディ・ジョーンズを題材にしたオリジナルストーリーのゲームシリーズとしては本作が最初ではなく、1992年の『Fate of Atlantis』が最初となっている。上述の『Iron Phenix』はその続編的位置付けだったがゲーム企画が頓挫しコミック版として刊行され、その後は本作、『Emperor's Tomb』、『Staff of Kings』と複数のオリジナルゲーム作品が発売された。
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各ルーカスアーツ作品には部分的ながら世界観の繋がりがあり、本作のヒロインであるソフィア・ハープグッドも『Fate of Atlantis』が初出となっている。
最終更新:2022年01月26日 12:28