バトルブレイズ
【ばとるぶれいず】
ジャンル
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対戦格闘アクション
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対応機種
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スーパーファミコン
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メディア
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8MbitROMカートリッジ
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発売元
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サミー
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開発元
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エイコム エレカ シー・ラボ
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発売日
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1992年5月1日
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定価
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8,700円(税別)
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プレイ人数
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1~2人
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判定
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なし
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ポイント
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中世ファンタジー世界観の武器格ゲー シンプルでボリュームが少ない SFC版ストIIの代替ゲームの一つ
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概要
サミーから発売された対戦格闘アクションゲーム。
中世ファンタジーの世界観かつ、登場キャラの大半が武器を持って戦うという対戦格闘ゲーム黎明期では珍しい作品。
SFC版『ストリートファイターII』の一か月前に発売された。
ストーリー
(説明書3ページより引用)
その昔、異世界において、その諸族を二分する大規模な勢力抗争があった。
一方の側を率いた魔界の諸王の一人であるグリフォルモスは、最後の決戦に敗れ"永遠の暗闇"に幽閉されることになった。
それを恐れたグリフォルモスは、魔空間の辺境に逃走し、人間界の狭間に亜空間を創り居城を築いた。
権力と支配欲に燃えるグリフォルモス、人間界を手中に収めるため、自らの影を5つに分け、ヴィルグ王国に送り込んだ。
5つの影は、王国各地に飛び、マスターたちの体内に入り込んだ。そして魔王の邪悪な目論見通り、マスターたちは、肉体も魂もグリフォルモスそのものとなってしまった。
ファウドの父レド・マナンは、優れた精神感応力で魔王の想念を読み、自らの胸に剣を突き立て生命を絶ち、グリフォルモスの野望を防いだのだった。
ゲーム内容
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THE HERO
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1プレイヤー専用のいわゆるストーリーモード。主人公ファウドを操作して、最初はグリフォルモスに憑依された4人のマスターと剣を交え打ち勝つことで救い出す。
その後、神殿でスペシャルパワーを授かり、グリフォルモスに最後の戦いを挑むという内容。
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スペシャルパワーは4人のマスターを倒した順番によって攻撃力アップ・防御力アップ・スピードアップ・倒されても一度だけ復活の4つの内の1つが得られる。
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コンティニューは3回まで可能。
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THE BATTLE
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1プレイヤー・2プレイヤー両用の対戦モード。ヴィルグ王ゼナウの御前試合でグランドスラム(5人抜き)を達成して王国一の剣士を目指す。
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使用可能キャラは主人公ファウドとコンパチキャラのラングル、4人のマスターの6名。
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1プレイヤー時は5連勝でクリア。エンディングはあるがTHE HEROモードと違いスタッフロールは無し。
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2プレイヤー時はどちらかのプレイヤーが5連勝するまでゲームが続く。勝っている方のプレイヤーは負けるまでキャラの変更はできない。
キャラクター
+
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6人+1人の登場キャラクターたち
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ファウド
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本作の主人公でTHE HEROモードの操作キャラクター。実直な熱血漢でグランデュー神殿で戦いの神から聖剣レクサリオを授けられたアラムの戦士。
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「コナン・ザ・グレート」を彷彿させる筋骨隆々の外見で、オーソドックスな性能だが他キャラと違い飛び道具を持たない。
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特殊攻撃はしゃがみ状態で突進して剣を下から振り上げる「スネーク・ファング」、空中で回転蹴りを放つ「トルネード・キック」。
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投げ技はすれ違いざまの剣の一閃「インフェルノ・スラッシュ」。
ラングル
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THE BATTLEモード限定キャラでファウドのコンパチ性能キャラ。ファウドの親友でライバルという設定。
ガストフ
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モーニングスターを操る人鬼族の長。グローモアのマスター。
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鈍足パワータイプ。ジャンプ攻撃の判定が強い。
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特殊攻撃はモーニングスターの鎖を伸ばす飛び道具「アイアン・イーグル」、モーニングスターを下から振り上げる対空技「ボルケニック・ショット」。
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投げ技は相手を後方に投げ飛ばす「ビッグ・バン」。
フィリア
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女人帝国のリーダーでラトファンダのマスター。太陽を意味する「マスラ」と月を意味する「トゥラ」のツイン・ダガーを操る。
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スピードタイプで投げ間合いが広い。足払いはスライディング。
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衣装の露出度は当時の格ゲーで見ても高く、『餓狼伝説2』の不知火舞とタメを張れるほど。
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特殊攻撃はツイン・ダガーから衝撃波を放つ飛び道具「クレセント・スパーク」、前方にソバットを放つ「フェアリー・ダンス」。
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投げ技は相手に飛びついてダガーを3回突き刺すという妙に生々しい「デス・キス」。
シャザー
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山岳地帯に生息する獣人族の王。ルゴシアンのマスター。
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スピードタイプでプレイアブルキャラの中では唯一武器を使わず、攻撃のリーチが短いがモーションが早い。
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特殊攻撃は電撃を飛ばす飛び道具「サンダー・ショット」、獣の姿に変身後、電撃を纏ってのガード不能の体当たり「サンダー・ビースト」。
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投げ技は電撃を纏った爪で相手を切り裂く「ライトニング・クラッシュ」。空中投げも可能。
ワーレック
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氷の貴公子と呼ばれる厳寒の地ナスタ平原を統治する若き君主。ナステスのマスター。
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長剣ヘル・ブレードの使い手で攻撃のリーチが非常に長い。その代わり鈍足。
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特殊攻撃は剣から衝撃波を飛ばす飛び道具「アイス・インパルス」、攻撃ボタン2度押しで通常攻撃が2段攻撃になる「ノースウィンド・クロス」。
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投げ技は縦回転しつつすれ違いざまに相手を斬り捨てる「ヘル・ブリザード」。空中投げも可能。
以下はCOM専用のキャラクター
グリフォルモス
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THE HEROモードのラスボス。自らを魔闘王と称する魔族の一人。
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ラスボスだけあって攻撃力・防御力・スピードすべてが高く、腕が伸びたりジャンプ攻撃が空中飛び道具と基本技の性能も高い。
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特殊攻撃はX字状の衝撃波を放つ飛び道具「デスクロスファイアー」、尻尾による2連続攻撃「テイルラッシュ」。
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投げ技はアッパーで相手を上空に打ち上げた後、『ドラゴンボール』ばりの瞬間移動で打ち上げた相手を地面に打ち下ろす「デーモンバスター」。
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なお、パッケージ絵ではファウドに首を撥ねられているうえ、説明書のキャラ紹介では「グリフォリモス」と盛大に誤植されてしまっている。
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システム・特徴
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1試合2本先取で試合勝利。試合時間は無制限。体力ゲージは緑→黄→赤の順に変化する。
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シンプルな操作体系
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Yボタンで攻撃、Bボタンでジャンプ。A・X・L・Rボタンは使用しない。
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ガードは『ストII』と同様に相手の逆方向に十字ボタン入力。下段ガードは相手の逆方向に十字ボタン斜め下入力。
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下段攻撃は下+Yの通常と下+Bのダウンを取れる足払いの2種類、ジャンプ攻撃はYボタンと下+Yの2種類ある。
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オプションの内容は難易度の変更とサウンドテストのみ。
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プレイ評価システム
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ゲーム終了後、ネームエントリー画面で戦い方の内容によって100点満点で採点評価され、点数に応じた称号が表示される。
評価点
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対戦格闘ゲームとしての基本は押さえている。
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『ストII』で確立された「立ちガードと下段ガード」「打撃・ガード・投げの3すくみ」「コマンド技」などを導入しており、とっつきやすい。
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良好な操作性。
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ゲームスピードは標準的でもっさり感は皆無。たまに処理落ちが発生するが、プレイに支障が出るほどのものではない。
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十字ボタンの1方向+攻撃ボタンや一般的なタメコマンドなど、コマンド技の入力はおおむね簡単。「昇竜拳が出せない」といったプレイヤーにはありがたいところ。
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世界観にマッチしたキャラクター・良好なグラフィック。
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筋骨隆々の剣士や獣人・亜人、露出度の高い女戦士など「いかにも」なキャラクター揃い。
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各キャラクターサイズがそれなりに大きく、アニメーションも自然に動いてくれる。また、この当時としては珍しく対戦開始前の入場アニメーションもある。
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髪を結うフィリアや剣の鞘を投げ捨てるワーレックなど、キャラに合ったアピールをしてくれる。
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写実的な背景グラフィックも良好。特にフィリアステージの水の表現は見ごたえあり。
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サウンド周りも良好。
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作曲は『ビューポイント』に参加していた松浦めぐみ氏と加瀬正紀氏が担当。世界観にマッチした楽曲が揃っている。効果音も派手では無いものの、違和感のないものが使われている。
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サウンドプラグラムはシー・ラボの小山正義氏と『くにおくんシリーズ』で知られる澤和雄氏、サウンドディレクションは『ビューポイント』のメイン作曲家である岡村静良氏が担当。
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かけ声、やられ声などのボイスもある。タイトル画面でも使われるファウドの「ハッ!」やラスボスの残響付きの「ハハハハハハ…」は印象に残りやすい。
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一部のキャラのボイスは既存のボイスの音程を変更するなどして流用している。ファウドのボイスの音程を下げただけのラングルが顕著。
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収録ボイスは劇団「演劇実験室◎万有引力」に当時所属していた俳優によるもの。(ソース)
問題点
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ゲーム中テキストがすべて英語。フォントも独特で、「H」や「M」といったアルファベットが判別し辛い。
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オープニングデモのストーリー解説は約2分半もあり、メッセージが流れるのも早く読むことが難しい。
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シンプルさ故のボリューム不足。
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コンパチキャラ・CPU専用キャラも含め7人と『ストII』のプレイアブル8人よりも少ない。
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コマンド技も投げ技を含めて1キャラ3つ、通常技も『ストII』のような弱中強の区分けなし・距離による変化なしと物足りなさを感じる。
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『ストII』同様に投げが強い。
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『ストII』同様に発生までの隙が全くないので、投げハメが猛威を振るう。特にスピードタイプで投げ間合いが広いフィリアは本作では非常に強いキャラになっている。
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CPU戦の相手が基本的に超反応。ただし不用意にジャンプしたりダウンを取った後に無防備になったりとアルゴリズムが雑な部分もあるため、プレイヤーの戦法がパターンハメになりがち。
総評
ボリューム不足でシンプルすぎる点もあるが、キャラ・グラフィック・操作性は良好で対戦格闘ゲーム黎明期の作品としては悪くはない内容。
後述の余談の通り発売時期に恵まれたこともあり、出来はともかくプレイヤーの記憶の残るゲームではあったと言えるだろう。
余談
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プレイ評価システムは単純に相手を倒した時間と残り体力で採点していると思われるため、CPU戦で高得点を取ることが難しい。
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100点満点で最高の称号を見るにはTHE BATTLEの2Pプレイで無操作の相手を最速で一方的に攻撃するしかないと思われる。
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EXTRA PLAY MODE
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オプション画面でコマンド入力をすることでプレイできるようになる裏モード。当時のゲーム雑誌に掲載されたので認知度は高いと思われる。
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ラスボスのグリフォルモスが使用できる他、同キャラ対決やステージ・ステージBGMの変更も可能。同キャラ対決時に2Pのカラーが変化する事は無い。
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なお、グリフォルモスの「デスクロスファイアー」のコマンドは十字ボタン前方入力タメというかなり特殊なもので、格ゲー初の前入力タメ技とされている。
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体力ゲージ中央のアイコンは本編とは変わって、2頭身の骸骨が踊るという妙なものになっている。
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海外版
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一部のキャラ・地名が変更されている。また、表現規制の都合でフィリアの衣装の肌の露出が少なくなっている。
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SFC版『ストII』の代替ゲーム
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概要の通り、本作はSFC版『ストII』の一か月前に発売しており、発売まで待ちきれない人や発売後も品薄で入手できなかった人が本作を手に取った、という思い出語りがネット上のSNSなどで散見されている。
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先に発売された『らんま1/2 町内激闘篇』と同様に代替品としての需要が生まれた点で本作は発売時期に恵まれていたと言えるだろう。
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ビック東海が発売したSFCのRPG『神聖紀オデッセリア』において、エンディング後に裏技で表示される一枚絵CGの中に、本作のフィリアに類似した人物の絵が存在している。
最終更新:2022年08月14日 00:26