鉄道にっぽん! 路線たび きかんしゃトーマス編 大井川鐵道を走ろう!
【てつどうにっぽん ろせんたび きかんしゃとーますへん おおいがわてつどうをはしろう】
| ジャンル | 鉄道運転シミュレーション |  
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| 対応機種 | ニンテンドー3DS | 
| 発売・開発元 | ソニックパワード | 
| 発売日 | パッケージ:2016年7月28日 ダウンロード:2017年3月22日
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| 定価 | 5,800円(税別) | 
| プレイ人数 | 1人 | 
| レーティング | CERO:A(全年齢対象) | 
| 判定 | シリーズファンから不評 | 
| ポイント | 何故か挿入されたトーマス要素 鉄たびのボリュームが大幅ダウン
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| 鉄道にっぽん! 路線たびシリーズ | 
| きかんしゃトーマスシリーズ | 
 
概要
鉄道運転シミュレーターの「鉄たび」シリーズ第7作。今回はSLで大変有名な静岡県の大井川鐵道大井川本線が舞台。
同社が2014年から運行している「きかんしゃトーマス号」にあやかる形で本作も「きかんしゃトーマス編」と銘打ち、幼児向けのトーマス要素が大きい作品として仕立てられることになった。
システム
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本作は、起動すると「トーマスであそぶ」「SLで走る」の2つが表示され、どちらを選ぶかでゲーム内容はそこから全く別となる。選択後に戻ることは可能。
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映像は金谷→千頭の下り1本が収録されている。
トーマスであそぶ
簡単な操作でトーマス号・ジェームス号を運転したり、パズルゲームを楽しんだりできる。本来の「鉄たび」たる「SLで走る」よりも上に配置されている。
使用車両はトーマス号(C11 227)とジェームス号(C56 44)。
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しゅっぱつしんこう
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ヒロの指示に従って各駅停車で大井川本線を運転する。車両はトーマス号のみ。
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運転台にはマスコン・ブレーキ・音符ボタン・汽笛ボタンが設置されている。音符マークはドレイン、汽笛マークは警笛に相当し、これらを指示通りに操作していく。
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終了後はトップハム・ハット卿の音頭で「トーマスキャラクタークイズ」が行われる。上画面に表示されるキャラクターの画像を見て3択からキャラクターの名前を選ぶ。マイナーキャラも容赦なく選ばれるので難度は高い。
 
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じゆうにはしろう
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制約なく自由に運転する。イージーモードを兼ねているのか、このモードだけ駅名が漢字表記になる。このモードではトーマス号のほかにジェームス号も使用できる。
 
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ならべかえパズル
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解答時間が記録されるスライドパズル。絵柄はスチル画像。
 
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カードガチャ
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しゅっぱつしんこうなどで手に入れたガチャチケットを使ってカードを引くことができる。
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カードはキャラクターのほか、「いしきりば」などソドー島のスポットのものもある。
 
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カードアルバム
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ガチャで引いたカードを簡単な説明付きで見ることができる。全100種。
 
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おたのしみ
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公式サイトに公開されているパスワードを入力することで、特別なガチャチケットやカードを入手できる。
 
SLで走る
前作までと同様、「持ち時間」を切らさないようにうまく列車を運転していく。詳細は別作品記事参照。使用車両はC11 190。
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本作では蒸気機関車の運転であるため、火室に石炭を投入する「投炭」を行う必要がある。投炭は火室をタッチすることで行える。
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蒸気機関車なのでとても加減速性能が悪い。
問題点
トーマスであそぶ
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幼児向けということを考慮しても、簡素化されすぎていて面白みが無い。
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平均5分程度かかる各区間で2~4回操作を行う場面があるのみで、他の区間は何もしないままでなければならない。
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操作を求められる場面も「押せ!」と言われてから5秒以内に該当する部分をタッチすればいいだけ。さすがにかったるいものがある。
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音声・映像関係も子供騙しとばかりに適当で、踏切のないところで踏切警報音が鳴ったり、40km/hくらいの速度から一瞬で停止したりする。
 
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運転中のBGMがローテンポすぎて運転風景に明らかに合っておらず、音量も大きすぎる。しかも「SLで走る」と異なり、BGMをオフにすることすらできない。
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キャラクターはトーマス以外全て静止画で、スチル画像かその切り抜きのみ。CVも一切無し。
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ヒロは切り抜きが上手く出来ていない箇所がある始末。
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この点は仮にもキャラゲーを謳うならば致命的である。
 
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トーマス号とジェームス号の違いは汽笛と進捗ゲージの色のみとなっており、何も変わっていない。
SLで走る
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上記トーマス要素の容量が祟ったか、久々に収録映像も使用車両も運転方向も1つだけ。電車は一切収録されていない。
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路線長が長いため映像が1本だけなのは仕方ないにせよ、大井川鐵道は16000系や21000系といった電車も魅力的なのだから収録してほしかった、という声が続発した。
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路線長による映像容量の問題を車両形式の選択化でカバーした『近江鉄道編』のような対処はできたはずである。
 
 
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投炭も自分でやらなくてはいけない。
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投炭は基本的に機関助手の仕事であり、他社作の『汽車でGO!』ではそのように再現されていた。
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だが公式HPでは「もちろん、蒸気の圧力を保つ「投炭」も必要で…(後略)」と、さも当たり前であるかのように書いている。
 
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これによってボタン操作以外にもスクリーンのタッチが運転上必須となり、煩雑化してしまった。
 
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ドレン弁がただの飾り。
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実車では圧力に関わる大変重要な器具であり、本作でも操作できるのだが、ドレインのようなものが発生するだけで特に意味はない。開け放しても運転に何の影響もないし減点もされない。
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この点は操作説明では一切説明されず、説明書にも名前しか書かれていない。
 『汽車でGO!』のように蒸気圧に関わる加減点要素を入れようとした痕跡だとする推察もあるが、謎である。
 
 
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最初から急行を運転できず、現実では行われていない各駅停車で走破しなければならない。
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「往路は普通、復路は急行」のような形ならまだしも、1方向しかないのにこの形をとるのは水増しもいいところである。
 
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映像が粗い。
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何故か以前の作品と比べて極端に解像度が低く、せっかくの大井川の景色が台無しになっている。
 
賛否両論点
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トーマス要素を入れたことそのもの。
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ゲームそのものの出来を考えると無い方が良かったという声も多いが、子供向けに本作を買ったとするレビューもあるため、結果的にターゲット層の需要はある程度満たせたといえるか。
 
評価点
トーマスであそぶ
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クイズが楽しい。
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また、パズルも楽しい。
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スピード勝負でいかに速く決めていくか、自分自身との熾烈な戦いが熱い。
 
SLで走る
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投炭が必要なこと以外は従来通りの操作でプレイでき、複雑なSLの運転も手軽かつ直感的に行える。
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フリー走行では金谷駅~新金谷駅間も運転できる。
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当該区間は2013年にSLの運行が終了したため、懐かしさを感じる演出である。
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それだけに一層、電車の運転が実現しなかったことが悔やまれる。
 
総評
子供向け、それも「鉄たび」と全く関係のないトーマス要素が唐突に入れられたことに対してはシリーズファンから失笑を買ってしまうことに。しかもこのせいでいつもの「鉄たび」の要素は最小限レベルにまで縮小されてしまっており、シリーズ屈指の迷作として語り継がれる作品となってしまった。
直感的なSL操作など光る面もあることから、「何故トーマス要素を入れてしまった?」と多くのプレイヤーが感じたことだろう。
キャラゲー要素を入れないか、逆にもっとキャラゲー要素に気合を入れるか、どちらかに絞っていれば評価も変わっていたかもしれない。
余談
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権利が切れてしまったのか、公式サイトからはトーマスに関する情報の一切がなかったことにされている。
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アーカイブを確認すると少なくとも2020年初頭まではトーマスのページが残っていた模様。
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ダウンロード版についても早い段階で配信停止されており、2023年のeショップサービス終了に伴う「鉄たび」シリーズの一挙セールでも本作だけはラインナップされなかった。
 
最終更新:2023年08月20日 10:35