沙羅曼蛇
【さらまんだ】
ジャンル
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縦横両スクロールシューティング
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対応機種
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PCエンジン(Huカード)
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発売元
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コナミ
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開発元
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コナミ開発2課
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発売日
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1991年12月6日
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プレイ人数
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1-2人(協力プレイ)
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配信
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バーチャルコンソール
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Wii
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2007年9月11日
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Wii U
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2014年10月22日
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ゲームアーカイブス
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PS3
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2007年7月21日
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判定
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なし
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ポイント
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グラフィックはAC版に忠実だがオリジナル要素が大幅強化 1Pプレイでは戻り復活
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グラディウスシリーズ
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概要
1986年にゲームセンターで稼働したシューティングゲーム「沙羅曼蛇」をPCエンジンに移植した作品。
少し前にリリースされたPCエンジン版『グラディウス』はコナミの初参入タイトルや原作やX68k版に近いグラフィックを謳っていたものの、
実際は画面の暗さやオリジナル要素の多さから、お世辞にも「アーケードに忠実」とは言い難い出来だった。
同作からたったの約3週間後に発売された本作も、同様に見た目こそはアーケードに忠実なのだが、
実際は原作からオリジナル要素が大幅に強化された大胆な作品になっている。
AC版との違い・システム面
自機の基本的な装備、ステージの内容はAC版とほとんど同じなので割愛。ここではPCE版での追加・変更点及びシステム面を述べる。
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タイトルメニュー
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タイトル画面では初めから遊ぶプレイヤーの数を1P/2Pから選択できる他、「BEGGINER」(標準的な難易度)と「EXPART」(少し難し目)の2つの難易度を選ぶ事が出来る。
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攻撃系統及び自機の装備
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基本的な操作方法は原作と同様に自機移動の十字キーとショット及びミサイルの2ボタンで行う。
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加えて、プレイ中にセレクトボタンを押すとショット連射のON/OFFを設定する事が出来る。
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ミサイルの基本性能自体はAC版に近いが、速度が非常に速く、縦スクロールステージにおける対地攻撃やプロミネンス面のハッチ破壊効果、ヒットすると障害物の判定が消滅するバグが削除されている。
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AC版におけるシールドは取得する度に自機の周囲に最大で4つまで装備されていく方式だったが、PCエンジン版ではシールドが前方の1つのみに装備される形式に変更され、装備中に前方から別のアイテムを取得しても耐久値が削られなくなった。
それに伴いPCエンジン版では名称もACの「マルチシールド」から「シールド」に変更されている。
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1Pにおける復活方式の変更
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AC版は一回ミスしたら画面が切り替わらずに即座に復活する形式だったのだが、1P時の場合に限るが一回ミスすると画面が切り替わりステージ内のチェックポイントに戻される形式の所謂「戻り復活」に変更された。
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一方、2P協力プレイではAC版同様にその場復活のままで変更されていない。
評価点
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大幅に強化されたオリジナル要素
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家庭用オリジナル要素が強化されており、ほぼ原作とは別のゲームと言わざるを得ない。
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1面は全体的なグラフィックや敵配置やギミックを含めてステージ構造自体は原作を忠実に再現されているのだが、アイテムの配置やボスの動きが原作とは異なっている(後述)点が、早くも「原作とは違う」という点を匂わせている。
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今作の本領が発揮されるのは2面から。
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2面以降のステージではステージ内のグラフィックやギミック自体はほぼ原作を踏襲しているものの、ステージの尺が延長されているのはもちろんのこと、雑魚敵のアルゴリズムやステージ内の敵配置が変更されたりバグ技が削除されていたりと、原作に近いグラフィックとはいえ別物と錯覚しやすく変化していると言える。
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更に3面の中盤辺りには今作オリジナルギミックとして『パロディウスだ!』のギャル面を彷彿とさせる火炎弾のラッシュが登場する。
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同様にアイテムの出現テーブルも原作から変更され、原作以上に多くのアイテムがステージ内に配置されるようになった。
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特にシールドが顕著で、特定ステージの序盤にしか出現しなかったのがほとんどのステージの冒頭の空中戦で出現する様になり、シールドで攻撃を防ぎつつ攻略する戦術が行いやすくなった。
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今作に登場するボスは原作と全く同じ顔触れだが道中同様に本作独自の味付けがなされているキャラが多い。
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前半面のボスについては見た目や攻撃方法こそ原作と同様だが移植版独自の味付けがなされている。
1面の「ゴーレム」は行動パターン原作から異なっていたり、2面の「テトラン」はコアの耐久力が上昇している関係で長期戦になりがち、3面の「イントルーダー」は登場時からダメージ判定が存在しているため瞬殺ボスに……と原作と比較して変化が少ないものの、今作独自の要素が含まれているキャラが多い。
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その一方で後半面ボスについては攻撃パターンの変化が顕著になっていて、結果的に原作からほぼ別物に豹変しているボスが多い。
4面の「要塞ヴァリス」は原作では弾数が多いのと画面下の反射判定の存在から自爆推奨ボスではあったのだが、画面下の反射判定が削除されている代わりにコアを1つ破壊する度に攻撃が激しくなっていくタイプに、原作では攻撃頻度の少なかった5面の「デス」は前方5方向の広範囲にクリスタルボールを放ってくる超攻撃型に、ヴァー様こと6面の「ゼロスフォース」はFC版グラディウスIIを彷彿とさせる雷攻撃で自機のオプションを破壊してくることから、グラディウスにしては異例の「攻撃してくるラスボス」へと変化している。
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システム面に関しては、任意に発動可能なオート連射が実装されている他、マルチプルも『グラディウスII』に近い素直な挙動でより扱いやすくなっている。
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収録BGMはアーケード版の全曲に加えて、新曲としてタイトル画面とデモ画面の装備紹介という2曲が追加。また、どちらも場面の雰囲気に合っている事から好評を得ている。
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AC版に忠実な要素について
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本作は当時における最新ハードのPCエンジンで発売されだけあってか、FC版以上にAC版に近い内容も見受けられている。
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これまでの沙羅曼蛇の移植作品の大半ではパワーアップ方式は『グラディウス』を踏襲したカプセル制が採用されていたが、今作は原作同様にアイテム制が採用された。
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加えて、装備のデザインも一部を除いてほぼAC版と同様と言っても良いくらいアーケードに近い。
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特にシールドのデザインはこれまでの沙羅曼蛇の移植版ではハード性能の都合からACに忠実ではなかったことから、今作でACに忠実なデザインのシールドが登場した件は貴重だった。
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ステージは雑魚やギミック、ボスキャラを含めてアーケード版のほぼ全てを網羅。
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特筆すべきは2、5面のアステロイド面。同ステージは元々は突貫工事で作られた故に移植の際にカットされたり内容が大幅に変更される事が多かったのだが、本作では両ステージをアーケードに近い内容で再現。
中でも5面名物の「ザブII」による周囲からの不意打ち地帯がx68k以外のハードで見られるようになったのは嬉しい。
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ステージや各キャラのグラフィックも極力AC版の物をサイズもそのままに再現。
しかもファミコンソフトで見られたボス戦での黒背景も見られず、基本的にACそのままのシチュエーションが家庭用ハードで楽しめるのは良い。
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BGMもAC版における全曲を収録。かつ各曲の曲調もAC版の物を極力再現。
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スクロールの速度もAC版同様に速度の速いスクロールを採用。
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FC版やMSX版におけるスクロール速度は遅かったりカクカクしていたことから「コレジャナイ」と指摘されていたのだが、今作でようやく「沙羅曼蛇らしいスクロール」が実現された。
賛否両論点
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オリジナル色の強い内容
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今作は見た目こそはAC版を忠実に移植したように見えるのだが、実際にプレイしてみるとアレンジされた要素が多く見られている事から、原作で確立させたパターンが通用しないシーンも多い。
結果的に、今作は原作経験のあるプレイヤーほど面食らいやすい作品になってしまった。
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加えて、今作は前作から一転してオリジナル要素が強化された事によって「やっぱりグラディウスを家庭用ハードに完全移植するのは無理な話」という、否定的なイメージをプレイヤーに植え付けてしまったのも否めないだろう。
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追加ステージは存在しない。
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これまで家庭用ハードで発売されていたグラディウスシリーズの大半はアーケードからの忠実移植が無理ということからか、移植に伴って家庭用オリジナルステージを追加してアーケードとの差別化を図っていた。
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だが、今作は原作から大胆なアレンジが施された作品という事もあってか、残念ながらPCE版オリジナルステージの追加や原作ステージの削除は行われなかった。
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『沙羅曼蛇』はステージごとに横スクロールと縦スクロールが入れ替わる形で構成されているため、全体の途中に新ステージを挟むなら縦横の2ステージが必要になる。1ステージの追加だけにするなら「1面の前に縦スクロール面を入れる」「6面の後に横スクロール面を入れる」と、かなり不自然なことになってしまう。これではステージの追加は難しかったのだろう。
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それならアステロイド面をカットして新ステージに差し替えという手もあり、実際にそうなった移植もあるが、PCエンジンでは原作の忠実な移植が優先された。
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装備内容について
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今作はマルチシールドが事実上の廃止になったのだが、そもそも沙羅曼蛇のシールドは複数装備する事を前提としたデザインになっていたので、シールドの装備数が1つになってしまっては、AC版・ライフフォースから見た目が地味に見える様になってしまっている。
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今作はオート連射スイッチが存在しているのだが、連射をONにしている状態ではリップルレーザーが大幅に強化される。
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一方で、レーザーは判定が見た目通りになった事で攻撃範囲が狭くなり、連射をONにするとレーザーの長さも短くなってしまう事から、残念ながらアーケード版から弱体化してしまった。
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ミサイルは発射速度こそ早くなっているものの、3面の地形に隠れた火の鳥や火弾のハッチや4面及び6面の地上物が破壊出来なくなったり、2面のアステロイドや3面ボスのイントルーダーの当たり判定が消滅するバグも削除された事により、原作特有の安置やバグに頼った戦術が不可能に。
これにより該当ステージの難易度が上昇してしまった。
問題点
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音声合成の削除
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今作はグラフィックやキャラクターなどアーケードに忠実な部分が見られる移植ではあるのだが、これまでの移植と同様に音声合成による演出がカットされてしまった。
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音声合成が削除されてしまった事により、盛り上がりに欠けるようになった。
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1Pプレイ時の戻り復活
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今作の1PプレイはAC版のその場復活からグラディウスのように戻り復活に変更されているのだが、この事については批判されやすい。
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原作ではミス後はその場から直ちに復活する関係で、コインが尽きない限りプレイの経験が浅くてもごり押しで最終ステージへ辿り着く事が出来たのだが、PCエンジンへの移植の際に戻り復活に変更された事によって、それなりの実力が無ければ先に進むことが出来ず、初心者プレイヤーにとってはエンディングまでの道のりが非常に遠くなってしまった。
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チェックポイント付近にアイテムを落とす雑魚が出現する様になっている事に加えて、道中のアイテムも増加傾向のため、ミス後の復活自体は比較的簡単なのが幸いか。
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一方で、2Pプレイの場合はAC版と同様にその場復活方式であることから、クレジットが尽きるまでの間ではあるが、ある程度ごり押しでのプレイが可能になっている。
後の彩京シューの後半面に近い問題と言える。
総評
比較的アーケードに忠実だった前作から一転してオリジナル要素の非常に強い作品として登場した作品。
前作の中途半端な移植内容に対してガッカリしたプレイヤーからは受け入れられたものの、アーケード版からの完全移植を期待して購入すると肩透かしを喰らってしまうだろう。
その後の展開
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本作から後に『パロディウスだ! ~神話からお笑いへ~』が発売された。
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同作は残念ながら移植元からステージ数が減少してしまったものの、前作及び今作以上にアーケードに近い内容として評価されるに至った。
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更にその後はスーパーCDROM2専用ソフトとして『グラディウスII -GOFERの野望-』が移植。
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同作はほぼアーケード原作の内容をPCエンジンというハードで忠実に再現した内容になっていて、結果的にPCE版グラディウスシリーズの集大成的な作品になった。
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沙羅曼蛇の移植としてはその後、次世代ハードであるプレイステーションとセガサターン発売の『沙羅曼蛇 DELUXE PACK PLUS』が存在。
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同作以降は基本的にアーケード版の忠実移植が中心になっている。
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2020年3月26日に発売されたPCエンジンミニの海外版であるTurboGrafx-16 Mini及びコアグラフィックスミニでは今作が収録されているのだが、シークレットタイトルとして「near Arcade」版が新規収録された。
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「near Arcade」版は1P時の復活形式を戻り復活からその場復活に変更したり、音声合成の追加やBGMをAC寄りに変更した内容なのだが、今作の場合は移植の際にステージ内容に大きなアレンジを加えていたことから、前作のグラディウスが「near Arcade」の際に限りなくACに近い内容へとアップグレードされたのに対して、今作の「near Arcade」版はあくまで「アーケード風スキン」の域を出ない内容である。
最終更新:2024年11月09日 11:40