Ultraman: Towards the Future

【うるとらまん とぅわーず ざ ふゅーちゃー】

ジャンル 格闘アクション
対応機種 SNES
発売元 Bandai
開発元 ノバ
発売日 1991年10月
プレイ人数 1人
備考 日本未発売
判定 なし
ウルトラマンシリーズ


概要

  • SFCで発売された『ウルトラマン』のシステムをベースに、オーストラリアで制作された『Ultraman: Towards the Future(日本名はウルトラマンG(グレート)』をゲーム化した作品。
    • 『ウルトラマングレート』という名は日本におけるタイトルであり、本編では原語・吹き替えともに「ウルトラマン」としか呼ばれていない。本稿では初代ウルトラマンとの区別のため『G(グレート)』と呼称することにする。
    • 海外版スーパーファミコン・通称『SNES』で発売された作品であり、日本では未発売となっている。
      • 『SFC』と『SNES』のソフトには互換性がないと公式では扱われているが、カートリッジの形状により物理的に入らないだけでそこを何とかすれば問題なく動作する。*1
        ただどうしても公式環境に拘る場合は本作を遊ぶ前にSNES本体か、SNES対応の互換機を買おう。

特徴

  • 基本的なシステムやゲームの流れは『ウルトラマン』と同一で、登場する怪獣と戦い、制限時間内に体力を削り切って「FINISH」の表示が出ている時にLv4の必殺技を使用してトドメを刺してステージクリアとなる。
    • グレートの必殺技はバリアによる防御の他、光線技は消費が少ない順にナックルシューター、アロービーム、マグナムシュート、バーニングプラズマが用意されている。
  • 『ウルトラマン』から操作性に若干の追加や変更があり、地上でのパンチやキック時に十字キーの上を押しながら行うとアッパー・回し蹴りと判定の強い攻撃を行う。
  • 全9ステージ。『ウルトラマン』同様、ステージ開始時に登場怪獣の名前や身長・体重などの字幕が表示される。
    • 怪獣の名前は海外での名称が表示される。また、身長はメートルではなくフィートに換算されているのでやや分かり難い。
      + 登場怪獣一覧
      STAGE 怪獣名 原作登場話数
      1 ゴーデス(Gudis) 第1話
      2 ブローズ(Bogun) 第1話
      3 デガンジャ(Degola) 第4話
      4 バランガス(Barrangas) 第5話
      5 ゴーデス第二形態(Gudis II) 第6話
      6 ガゼボ(Zebokon) 第7話
      7 マジャバ(Majaba) 第8話
      8 コダラー(Kodalar) 第12・13話
      9 シラリー(Killazee) 第13話

評価点

  • ウルトラマングレートではアクターが極真空手の有段者であったためか格闘アクションに迫力があり、その動きが再現されている。
    • 身構えながらのファイティングポーズやちゃんと形になった正拳突きのパンチ、ミドルキックなどアクションは全体的に滑らかで『ウルトラマン』よりも格好良い。
    • 『ウルトラマン』より若干だが技が増えたこともあって地上での戦い方にバリエーションがつけられるようになったため、単調な戦いにはならなくなった。
  • 『ウルトラマン』ではハイジャンプからの急降下キックが非常に強力で、地上戦との格差が激しかったが今作ではハイジャンプに調整が加えられた。
    • 空中での操作性が著しく低下し、敵に当て辛くなったために急降下キック一辺倒のゲームバランスにはならなくなったため、ちゃんと他の攻撃の存在意義が出るようになった。
  • 『ウルトラマン』ではステージの背景が色を変えて流用されているものが多かったのに対し、本作では各ステージ毎で完全に個別となっている。
    • 背景はかなり作り込まれており、本編でグレートが怪獣と戦った場所が細かい部分まで描写されているのは原作愛が感じられる。
      • 最初のゴーデス戦では破壊された宇宙船が崖の上で燃え上がり、バランガス戦ではゴーデス細胞の溜まった池があり、マジャバ戦ではマジャバの卵に加えて農薬工場までしっかり再現されている。
  • 怪獣撃破やスタッフロールの演出にバリエーションが増えた。
    • 爆発して消滅するのは一緒だが種類によって演出が変化するようになり、風の精霊であるデガンジャは光となって空に昇っていくなど怪獣の特徴を表したものになっている。
    • 難易度によってエンディング後のスタッフロールが変化するようになっているのも細かいポイントで、それぞれの演出を見て楽しめるようになった。
      • ノーマルモードではやたら筋肉がムキムキでリアルなグレートのビジュアルシーンが映し出されるため、クリアを目指すならこれがオススメ*2

問題点

  • BGMは各怪獣の雰囲気こそ出ているがやや地味になり、1ループでおよそ20~30秒の短く単調なものをリピートするようになったのであまり迫力がない。
  • 相変わらず地上戦が難しく、急降下キックの弱体化や怪獣のAIもかなり強くなっているのもあってか難易度が高めになっている。
    • 敵の攻撃をバリアで跳ね返せなくなり、格闘と光線技でしかダメージを与えられなくなったために戦略性が低下しているのは残念なところ*3
  • 『ウルトラマン』では怪獣の体力をゼロにして「FINISH」の表示が出ている間、怪獣はほとんど動かなくなるという特徴があり問題なくトドメを刺せたが、今作では体力に関係なく自由に動き回れるままなのでトドメを刺しにくくなってしまった。
    • 光線を出そうとしても邪魔されたり、ジャンプで避けるので失敗するとゲージが無駄になって時間もロスしてしまう。
  • ボリュームと原作要素の低下
    • ステージ数が少なくなったのに加え、『ウルトラマン』にはあった特殊なイベントやミニゲームなどもなくなったためにゲームとしてはやや単調気味。
      • 登場怪獣は前期ゴーデス編が5体と多く、後期エピソードの怪獣は4体しかいない。空中戦のUF-0はともかく、バイオスとリュグローはどちらも特徴的な相手だったのでどちらかでも登場していれば多少はゲームのボリュームが上げられただけに残念である。
    • 登場する怪獣はあまり原作を再現できているとは言えず、性能的にもダブっていたり単調なものが多い。
      • 『ウルトラマン』ではテレポートやバリアなどの特殊能力、投げ技を使う怪獣や宇宙人がおり、キャラごとに個性が差別化されていた。しかし、本作にはそのようなタイプの敵はおらずほぼ全てがパワー型の敵ばかりで代わり映えがない。
      • 第二形態で2回戦うことになるゴーデスもせいぜい、飛び道具の射程や移動速度の変化に留まっている。
      • マジャバやシラリーなど、空を飛べる怪獣は機動力が高く大ジャンプをするのでその点では原作を再現できていると言える。
      • 例外は本作屈指の強敵でもあるコダラーで、光線技を当てるとそのまま跳ね返してくために辛うじて原作要素を再現できている。
      • バランガスはガス化して姿を消す能力があるため、テレポート能力を持っていてもおかしくなかったが再現はされていない。テレポート持ちのリュグローが登場していれば個性のある怪獣としてキャラのバリエーションが増えただけに惜しまれるところである。
    • 一部の怪獣は原作ではまったく使用しない攻撃方法を行うものがおり、原作設定を無視している部分がある。
      • ゴーデスの第一形態が使うビームは第二形態でも使うのでまだ納得はできる。しかし、デガンジャは転がって回転しながらの体当たりを使い、飛び道具を持たないはずのガゼボは火炎*4を吐き、マジャバは毒ガスを吐かず目から光線を発射するのでとても違和感が強い。
    • グレートでは特殊な倒し方で対処する怪獣が多かったり敗北する怪獣がいたがゲームの仕様上、それらの敵も問答無用で倒してしまうのも原作を再現できているとは言えない。
      • ゴーデス第二形態は体内から破壊して倒し、ガゼボは倒さずに地底に埋めて眠らせ、コダラーには光線の反射合戦で敗北するという特殊なシチュエーションだがさすがに格闘バトルのシーンでの再現は難しかったことが覗える。

総評

初代ウルトラマンがグレートに置き換わったマイナーチェンジのような作品だが、原点のゲームで問題だった点を少なからずとも改善しようと試みている姿勢は評価できる。 格闘ゲームとしては相変わらず粗削りな点は否めず、原作愛要素もやや薄まってしまったのは残念な点と言えよう。 戦闘アクションだけでは描写しきれない原作愛の再現やミニゲームは次作の『ウルトラセブン』にてさらに充実化されることになる。

最終更新:2024年03月12日 05:41

*1 ソフトウェアが欧州他向けのPAL描写方式で作られている場合はゲームスピードが合わないため正常な状態ではプレイ出来ない。幸いこのタイトルは北米地域でしか発売されていないが

*2 他のモードではグレートが地球から飛び去るシーンになり、アングルが異なる

*3 絵面的には跳ね返している攻撃もあるのだが、怪獣ではなく背景の脇に逸らすようになっているのでダメージを与えられない

*4 ウルトラマンのジャミラのように炎が追尾する