キン肉マン ザ☆ドリームマッチ
【きんにくまん ざ どりーむまっち】
| ジャンル | 格闘アクション |  | 
| 対応機種 | ゲームボーイ | 
| 発売元 | ユタカ | 
| 開発元 | ノバ | 
| 発売日 | 1992年9月12日 | 
| 定価 | 3,500円 | 
| プレイ人数 | 1~2人 | 
| 判定 | クソゲー | 
| シリーズファンから不評 | 
| ポイント | シリーズ1のもっさり感満載の格闘 技は6つだけの単調な戦い
 確かにテレビでは見られない(視聴率が取れない)
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| キン肉マンゲームリンク | 
 
概要
1992年9月にゲームボーイで発売された対戦格闘アクションゲーム。
1ヶ月前に発売された『キン肉マン DIRTY CHALLENGER』と同じく国民的超人格闘技マンガ「キン肉マン」のタイアップ作品。
上記作品共々当時放送されていた『キン肉マン キン肉星王位争奪戦編』に伴う商品展開で発売された。
しかし本作では上記アニメの内容に反して旧世代からのアイドル超人同士で戦うゲームになっている。
内容
ストーリー
舞台は王位争奪戦から数年後、キン肉マン、テリーマンら正義超人はそれぞれの故郷に帰り黙々とトレーニングを励んでいたが、ある日、その中の1人がドリームチャンピオンとなるため仲間たちに戦いを挑んできた。
皆「何故俺たちが戦わなければならないのか?」と疑問に駆られたが、そこにチャンピオンベルトがあるから、そして誰が一番強いのかを考えると超人レスラーとしての血が騒ぐのだ。
6人の超人レスラーたちは、そのチャンピオンベルトを目指して戦うことになった。
今まさにテレビでも原作でも見られないドリームマッチのゴングが鳴ろうとしている。
システム
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『DIRTY CHALLENGER』を簡略化したようなルール。
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技はパンチ(A)、キック(B)、エルボードロップ(ダウンしている相手のそばでA)、ニードロップ(ダウンしている相手のそばでB)、投げ技(組んで下とB)、必殺技(組んで下とスタート)の計6種類。
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必殺技は画面下の必殺技ゲージが満タン時のみ使用できる。必殺技を仕掛けると空っぽに戻る。
 
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後ろを押しながらAで防御ができる。必殺技をかけられた方は十字ボタンを連打して回避する。
 
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必殺技ゲージは時間経過でジワジワ増えていくが、敵の攻撃を喰らっても増える。
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体力も必殺技ゲージほどではないが時間経過で回復していく。
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体力をゼロにしただけでは勝ちにはならず、勝つには体力をゼロにしたうえで必殺技を決めること。
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KOされなくても必殺技を喰らうと、しばらくキックができなくなり動きも鈍くなる。
 
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1Pモードでは6人の中からプレイヤーキャラを1人選び、残りの5人を倒せばチャンピオンとなりエンディング。
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2Pでは、それぞれがキャラを選び1戦のみを行う。
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このモードでは「1本勝負」「3本勝負」「5本勝負」「7本勝負」から選ぶことができる。
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また、それぞれのキャラに関係なく背景を6つのステージから好きに選べる。
 
プレイヤーキャラ
キン肉マン(キン肉スグル)
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パンチ:フック
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キック:ドロップキック
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投げ:巴投げ
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必殺技:キン肉ドライバー
テリーマン
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パンチ:ジャブ
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キック:ローキック
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投げ:ボディスラム
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必殺技:カーフブランディング
ロビンマスク
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パンチ:ジャブ
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キック:ソバット
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投げ:ブレンバスター
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必殺技:ロビンスペシャル
ラーメンマン
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パンチ:ストレート
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キック:ハイキック
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投げ:バックドロップ
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必殺技:九龍城落地(ガウロンセンドロップ)
ブロッケンJr
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パンチ:水平チョップ
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キック:ドロップキック
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投げ:ブレンバスター
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必殺技:ベルリンの赤い雨
ウォーズマン
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パンチ:水平チョップ
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キック:ソバット
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投げ:バックドロップ
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必殺技:パロスペシャル
問題点
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キャラの動きが、とにかくもっさりしすぎていてアクション系ゲームとしては致命的。
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『DIRTY CHALLENGER』でも少々鈍く感じられる点は否めなかったが、本作はそれに更に輪をかけて鈍い。投げ技のモーションも1段階のみでアクションのスムーズさに関してはないに等しい。
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それに伴って、ボタンでのレスポンスもやや鈍く、まるでスローモーションのような試合になる。
 
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ゲーム中のキャラグラフィックにしても、やや高頭身だがモノクロハードの性能上そこまでリアルさはなく後述の欠点のほうが大きい。
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ゲームボーイのため、ハード性能で劣るのは仕方がないにせよ、どのみちこのような中途半端な再現しかできないのであれば、いっそ『マッスルタッグマッチ』(1985年11月・バンダイ)のようにリアル路線は思い切って捨ててしまっても良かったかもしれない。
 
 
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技のバリエーションが非常に貧弱。
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1人あたり6つしかない技構成では多彩なオリジナル技が持ち味のキン肉マンの魅力は引き出せない。
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一応、キャラ毎に技は宛がわれているが、必殺技以外はオリジナルの技がゼロ。
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『DIRTY CHALLENGER』も必殺技以外プロレス技の流用ばかりだったが技の多彩さでは充分に豊富だった。ボタン数の多いスーパーファミコンと比べることはナンセンスかも知れないが、同じボタン仕様で組んでからコマンド入力スタイルのファミコンソフト『激闘プロレス!! 闘魂伝説』(1989年9月・テクモ)でも、十字ボタンとの組み合わせで多彩な技ができていた。
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『マッスルタッグマッチ』も技数は貧弱だったが、もっさり感は全くなく操作のスムーズさでは文句なしだった。
 
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使用可能キャラ6人というのもキャラゲーとしてはかなり寂しいところ。
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キャラの中身も『マッスルタッグマッチ』からバッファローマンとアシュラマンがいないという劣化コピー。
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ゲームボーイの容量を考えれば仕方ないところはあるし、選定そのものは原作のキャラ人気を考えれば概ね順当なところだろうが、悪役がおらず正義超人同士の内輪揉めのような構成になっているのも疑問を拭えない。
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上記のようなストーリーがあるとはいえ、いかにもゲーム都合に合わせて取って付けただけにしか思えず不自然さしか感じない。
 
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ただの連打ゲーに大幅劣化。
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『DIRTY CHALLENGER』は腰を落とす前に、コマンドを入れるとしばらく無効(CPU相手ならまず、そのスキに技をかけてくる)ものになったが、本作は本当に連打だけ。
 
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「あとは必殺技でとどめを刺すだけ」の状態になると、ヘタに攻撃をかけても相手の必殺技ゲージを増やしてしまうだけなので、お互いに攻撃を加えず(必殺技をかける直前に微回復した分を削る一撃を入れる)ダラダラとゲージが回復するのを待つだけの展開になりがちになる。
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一応、必殺技でとどめを刺すという展開は『DIRTY CHALLENGER』を思えば原作らしいが、ゲームとしてはそれを待つだけになっていては完全に時間のムダでしかない。
 
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エンディングまで手抜き同然。
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「CONGLATURATIONS」「CHAMPION ○○○○(キャラ名)」以外メッセージがない。6人中誰でクリアしても同じポージングでベルトを掲げているだけ。
 
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何故かスグルの技がマッスルスパークではなくキン肉ドライバー。
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王位争奪戦を制した後のエピソードなら普通にマッスルスパークを体得しているはず。
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ストーリー観点でも、まるで手を抜いた舐めプのように見えてしまう。
 
 
評価点
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グラフィックはゲームボーイにしてはそれなりに良いところもある。
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必殺技のデモは一枚絵が垂直、または並行に動いているにすぎないが、ゲーム中のキャラグラと違ってそれ自体は非常に細かい所まで描けている。
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ラーメンマンステージの万里の長城など、背景グラフィックはムダに凝っている。
 
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相対的にはなるが『DIRTY CHALLENGER』が、ピンフォールまたは絞め技によるギブアップというキン肉マンのゲームにしては疑問の多いプロレス方式だったのに対して、ちゃんと必殺技でKOするスタイルになった。
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ブロッケンJrが本来の必殺技ベルリンの赤い雨を使う。
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キャラ自身が原作屈指の人気を誇っていただけに、そのファンとしては嬉しい部分。
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『マッスルタッグマッチ』では強さは文句なしながら必殺技は原作で一度も使っていないナチスガス(原作で使ったのは親父のブロッケンマン)だったので、キャラ的再現観点で不満も少なくはなかった。
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ただそのグラフィックは首元に食い込むような描写で本来の鋭く切り裂くイメージがわかないのはいささか残念ではあるが。
 
 
総評
『DIRTY CHALLENGER』の時点で、各キャラの必殺技以外はすべてプロレス技に加えてピンフォールや3本勝負などプロレスルールというキン肉マンの持ち味を生かし切れない構成だったのが、必殺技のKO式になったとはいえキャラゲー観点で褒められるのはそれだけ。
疑問視された技構成の特徴は持ち越され、その種類もたった6つと劣化している。ハードの性能上、上記作品ほどのバリエーションができないのは仕方ないとはいえ、7年も前の『マッスルタッグマッチ』と同等クラスではさすがに弁護のしようがない。
当時は完全にバトルストーリー漫画として定着したこともあってキャラを高頭身にしたにしても、その代償に動きそのものが非常にもっさりしたものになり、対戦ゲームとしての盛り上がりはマッスルタッグマッチの足元にも及ばず格闘アクションゲームの観点では完全に落第点。
登場キャラも上記作品と被っている上にキャラバリエーションでも2人少ない。このような体たらくではキン肉マンが好きでも対戦ゲームとして本作を選ぶ理由はないだろう。
その後の展開
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同月末にアニメの放送終了もあって、本作を最後に『キン肉マン』関連の商品展開は一旦終了となる。
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1996年、角川書店(当時)の『格闘エース』にてスグル達が題材の『マッスルリターンズ』が掲載された。『王位争奪戦編』の5年後という設定で、後に開始する『完璧超人始祖編』より更に作中後年が舞台。しかしこれを皮切りに展開が再開されたわけではなく、後に設定すり合わせのための改変が為されたり、やや微妙な扱いを受けている。
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本格的な次世代展開に着手した1997年から集英社の青年誌『週刊プレイボーイ』で『キン肉マンII世』の連載が始まり(この時点では隔週、1998年4月から毎週に)、2002年1月からアニメが放送開始に伴い、同年3月にワンダースワンカラーソフト『キン肉マンII世 ドリームタッグマッチ』(バンダイ)が発売。
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「II世」のない『キン肉マン』としてはプレイステーション2ソフト『キン肉マン ジェネレーションズ』が2004年4月に発売された。
 
余談
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プレイヤーキャラがすべて旧作時代の面々ばかりのためか、説明書の挿絵は旧シリーズのアニメから流用されている。
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しかしゲーム画面でのグラフィックは『王位争奪戦』ベースで描かれている。
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パッケージはスグルがウォーズマンにかけているのがキン肉ドライバーではなく普通のパイルドライバーという中途半端な描写になっている。
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まあスグルがウォーズマンと戦った第21回超人オリンピックではキン肉ドライバーを体得していなかったし、ゲーム内でのスグルの技キン肉ドライバーはアニメ(新旧とも)の中でゲーム中のプレイヤーキャラ相手にかけた描写がないため、彼ら相手に技をかけた描写がある中でとりあえず一番キン肉ドライバーに近い形の技が選ばれたと思われる。
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ちなみにマッスルスパークなら練習とはいえテリーマンにかけたことがある。
 
 
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プロフィールは当時放送されていたアニメに準じたものになっている。
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ロビンマスクの超人強度は本来は96万パワーのはずだったが、当時放送中だったアニメのCM移行へのアイキャッチとして流されていた超人図鑑では95万パワーと表記されていたこともあってか、それに準じて本作のプロフィールでも95万パワーになっている。
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片やアニメのアイキャッチでラーメンマンの超人強度は「?」と表記されていたが、ゲームでは97万パワーと表記されている。上記のロビンとは違いこれは関連書籍でもすべてで合致している。
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他に同アニメに並行して展開された連打式ゲーム『火事場連打 フィニッシュホールドリング』(1991年12月発売:バンダイ)でも上記の通りラーメンマンが97万、ロビンマスクが95万になっている。
 
 
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本作の設定が逆輸入されたか否かはさだかではないが、後の2010年から始まったキン肉マンの新シリーズ(37巻)でそっくりな展開がある。
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王位争奪戦が終わってからのエピソードで、スグルとテリーが数分間だけの非公式な戦いを行いその後、スグルがビビンバとの結婚式の前に地球にやってきて、アイドル超人の仲間たちと戦いたいと現れ、仲間たちは餞別代りにと手荒なスパーリングでスグルの門出を祝った(スグルはボロボロの姿で結婚式に出た)。
 
最終更新:2024年07月27日 23:10