闘技王キングコロッサス

【とうぎおうきんぐころっさす】

ジャンル アクションRPG
対応機種 メガドライブ
メディア 8MbitROMカートリッジ
発売日 1992年6月26日
発売・開発元 セガ・エンタープライゼス
定価 5,800円(税別)
判定 良作


概要

『孔雀王』の荻野真がシナリオやキャラクターデザインを監修したアクションRPG。


特徴

  • 基本的なシステムは『ゼルダの伝説』や『聖剣伝説』のようなトップビューの2DアクションRPG。
  • 主人公のアクションは武器での攻撃とジャンプ、魔法の3つ。
  • 装備は武器、鎧、盾、装飾品4系統があり、適宜装備を変更する必要がある。
    • 武器は剣系、斧・槍系・弓系・鎖系・杖系の5系統に分かれており、またその中でも細かい性能に差異があるものが存在する。
      • 剣・斧はリーチは短いながらもジャンプ攻撃が可能で、またジャンプ中の攻撃は2倍の威力となる。
      • 槍は出が早くリーチもあり穂先の判定が強い代わりにジャンプ攻撃ができない。
      • 弓は威力が低く攻撃時に足が止まるものの遠距離から安全に狙撃可能。
      • 鎖系武器は振り回しで周囲の敵を薙ぎ払えるが威力は低めで硬直が長い。一部の武器は振り回し中にボタンを離したり壁に当たるとランダムに飛んでいく。
      • 杖は一定距離進むか着弾するとその場に火柱がしばらく残る短射程の火の玉を発射。杖により飛び方が若干異なる。
    • 盾はこちらが武器を振っていないときに正面からくる飛び道具を無効化する。盾によって防げる攻撃の種類は異なる。
    • 魔法は5種類の魔法が行使可能。最初からすべて習得しており、使用する際は対象の魔法を装備して魔法ボタンで発動する。

評価点

  • 様々な武器の使い分けの楽しさ
    • 武器の種類は大まかに分けて5系統に分かれているが、その中でもまた細かい性能の違いのある武器が多く、多彩な武器の使い分けが魅力となる。
      • ある武器では厳しい戦いであっても別の武器に変えることで劇的に楽に攻略できることも。
      • 飛び道具主軸で安全にちまちまと進めていったり、縛りプレイとしてあえて扱いの難しい武器で進めていったりとプレイスタイルもプレイヤーによって分かれてくるため、プレイバリューは非常に高い。
  • 衝撃的でダークなストーリー
    • 主人公の体に謎の紋章がついていてそれが物語のカギを握るというのは王道だが、それが実は闘技奴隷の紋章という衝撃的な展開は他に類を見ない斬新な設定。
      • その後も闘技奴隷として殺し合いを強制させられる、邪教に支配された閉塞感に満ちた世界の人々の苦しみを見せられるなどシナリオは全体的にダークで評価も高い。
    • 脇を固める登場人物もなかなかにキャラが立っており、シナリオの良いアクセントとなっている。
      • 特にシナリオ中盤から登場するリーナ姫は本作の元凶となっている人物の娘という立場であり当初は戯れで主人公を自分の専属闘技奴隷とするものの、徐々に主人公に心惹かれていく様子が非常に印象的。
  • とっつきやすい難易度
    • シナリオのダークさとは裏腹に、難易度はかなり抑えめに作られておりとっつきやすさは悪くない。
    • ゲーム開始時点から魔法が全部解放されていることもあり、アクションが苦手な場合でも魔法の併用によって戦いやすいのもポイント。
      • 脱出魔法も最初から使えるため、危機に陥ったときはすぐにダンジョンから脱出して体勢を立て直すのも容易。
    • 雑魚からの回復アイテムのドロップ率もこの手のアクションRPGとしてはかなり高いため、多少のダメージでも道中をごり押ししていける。
    • 後半は動く床をタイミングよくジャンプで越えていく場面も出てくるものの、後述のセーブの自由度のおかげでリトライもしやすい。
  • 良質のBGM
    • シナリオのダークさにふさわしく曲も重厚なものが多く、その評価も非常に高い。
  • セーブの自由度の高さ
    • 本作では死亡した場合容赦なくゲームオーバーではあるものの、本作ではセーブがほとんどの場所で行えるためやり直しの手間もかかりにくいのもありがたい。

賛否両論点

  • パッケージとドット絵の乖離
    • 一般的なトップビューの2DアクションRPGのスタイルをとっているせいか、主人公を含めた人間キャラがデフォルメされた姿で登場するため、パッケージ・マニュアルのイラストとの乖離が激しい。
      • 本作ではイベント達成時の登場人物の一枚絵などのビジュアルもないため余計にこの点が目立つ。
    • セガハードにおいては過去に荻野真の作品である孔雀王のゲーム化作品を2作出しているものの*1、そちらはキャラの頭身がリアルよりであったこともありその点でもギャップは激しい。
      • もっとも、当時の同ジャンルにおいては一般的な表現であるのと敵との接触判定が大きくならないように配慮する必要もあるので、これはこれで仕方のない面もある。
      • また、デフォルメながらキャラチップはイラストの特徴をちゃんととらえており、完全に別人にしか見えないということは一切ないのでそのあたりは安心。
  • 闘技場イベントの少なさ
    • タイトルのもとになっている闘技場が全体で二か所しかないため、若干肩透かし的な印象がある。
      • 後に行く闘技場の敵の強さが前の闘技場に比べ難易度的にそれほど厳しくないのも拍車をかけている。
      • とはいえ、仮に闘技場イベントを延々と続けていった場合シナリオが冗長になる危険性が高いのでやむを得ない側面もあるが。

問題点

  • 序盤の展開の単調さ
    • 最初のダンジョンで手に入れることのできる武装は斧系武器のみであるがゆえに武器の多彩さが表に出てこないため、この段階では単調なアクションしか取れないのは痛い。
    • 一応魔法は前述の通り最初からすべて解放されており、次のダンジョンでは新しい系統の武器が入手できるため、それまでの我慢という見方もできるが...
  • タイムストップの魔法の反則的性能
    • この魔法は一定時間すべての敵の動きを止める魔法なのだが、この魔法はボスでも有効というトンデモ性能。
      • 戦闘中のMP回復手段は敵のドロップアイテムのみ、消費MPがかなり高いという欠点を差し引いても恩恵が大きいため、多用するとヌルゲー化してしまう。
      • この魔法が強力すぎるのもあって、他の魔法の利用価値は軒並み低くなっているのもつらいところ。
  • マップ移動の自由度は低め。
    • 中盤以降はシナリオの都合上移動できる場所の自由度が制限されるため、取りこぼしのアイテムのコンプリートに支障をきたしやすい。

総評

他のゲームとは一線を画すダークなシナリオでありながらも遊びやすい適度な難易度でとっつきやすく作られた良質のアクションRPG。
パッケージが地味でやや売りに欠けるソフトのため敬遠されがちではあるものの、かなり潤沢に作られたこともあり入手難易度も低いため、メガドライブで良質のアクションRPGをお手軽に楽しみたい人にはお勧め。


余談

  • 本作は『ファンタシースター ~千年紀の終りに~』のスタッフや『CRYING ~亜生命戦争~』のスタッフが制作にかかわっている。
  • 本作のサントラも出ており、この時期のセガの作品としては珍しくオーケストラアレンジがされているサントラである。もちろん完成度は高い。
    • しかし生産数が少なかったせいか現在では入手は困難な模様。

移植

  • これまで移植には恵まれていなかったものの、2022年10月27日発売のメガドライブミニ2に収録されている。
最終更新:2025年01月31日 22:47

*1 MKIII/SMSにて『孔雀王』、MDにて『孔雀王2 幻影城』を出している。