熱血高校ドッジボール部 強敵!闘球戦士の巻
【ねっけつこうこうどっじぼーるぶ きょうてき!どっじそるじゃーのまき】
| ジャンル | スポーツ(ドッジボール) |  | 
| 対応機種 | ゲームボーイ | 
| メディア | 1MbitROMカートリッジ | 
| 発売・開発元 | テクノスジャパン | 
| 発売日 | 1991年11月8日 | 
| 定価 | 3,600円(税3%込) | 
| プレイ人数 | 1~4人(【VC】1人) | 
| レーティング | 【VC】CERO:A(全年齢対象) | 
| 配信 | バーチャルコンソール 【3DS】2011年8月3日/400円(税5%込)
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| 判定 | なし | 
| ポイント | 個性豊かな新しい必殺シュート ダメージ・体力が見にくくキャラの確認もしにくいのがネック
 
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| くにおくんシリーズ | 
 
概要
1991年11月に発売されたテクノスジャパンの看板「くにおくんシリーズ」のドッジボールゲームで、ゲームボーイ初作品。「闘球戦士」と書いて「ドッジソルジャー」と呼称する。
1988年7月に発売された『熱血高校ドッジボール部』(以下「FC版」)がアレンジされている。
システム自体は根本的なシステムは上記作品から引き継がれているため、本項目ではその差異の部分を中心に扱うものとする。
またゲーム内のテキストは一部シリーズ作品と同じくひらがな表記だが、本項では選手名を除きカタカナや漢字も交える。
「熱血高校ドッジボール部シリーズ」だが「ダウンタウンシリーズ」にあたる『ダウンタウン熱血行進曲 それゆけ大運動会』の黒幕、藤堂護が今回も同じような立ち位置で登場する。またチームメンバーや対戦相手などが一新されている。
ストーリー
ある日ドッジボール部に手紙が届いた。そこには「ドッジドームで学園対抗ドッジボール大会を開催する」と書かれていた。
参加することに決めたくにおたちは猛練習をはじめ、迎えた当日ドッジドームに来てみると時間を過ぎているのに熱血高校のメンバーしか来ていない。
そしてどこからか声が「まんまとワナにかかったな!くにおくん」なんと、声の主はあの藤堂だった。
「このドームは君たちを倒すために特別に作ったドームだ!私が作った6チームを倒さないとドームから出ることはできないのだ。覚悟したまえくにおくん!」
罠にかかった熱血メンバーは謎の6チームを相手に勝つことができるのだろうか?
内容
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ゲーム性そのものはFC版と変わらず内野3人・外野3人で、ポジション番号のみが若干変わっている。
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FC版では1・1・1・2・3・4(1が内野)だったのが1~6になり内野が1~3。
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恐らく新キャラばかりなので、初期位置によってキャラの顔と名前を一致させようという意図かもしれない。
 
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熱血高校のメンバーは、くにお以外全員ファミコン版から総入れ替えされている。
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対戦相手はこれまでのシリーズのように学校や外国ではなく、完全オリジナルチームとなっている。
 
| パンクチーム | 最初のチームだけあってあまり強くなく、ここで操作などを覚えておきたい。 |  
| やくざチーム | メンバー全員の体力は低いがとても打たれ強く、FC版におけるインドチームに相当する相手。 一番打たれ強いキャラの場合、くにおのナッツシュートでもわずか3ダメージしか与えられない。
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| 山賊チーム | 総じてステータスは高くないチームだが、内野・外野問わず高確率でパスの連係プレイをするのが特徴。 このため試合時間が長引きやすく、問題の一因となっている。
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| モンスターチーム | 山賊チームとは対照的にパスは一切使わず、シュートのみの攻撃的なチーム。 
 
山賊チームで時間を食った場合、多くのプレイヤーがほっとするだろう。
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| ヒーローチーム | ステータス・プレイスタイル共にバランスの取れたチーム。 |  
| 忍者チーム | メンバー全員のステータスが高い最強チーム。 しかもキャプテンが使う「吸引シュート」は避けることが出来ず、必ずキャッチしなければいけない。
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難易度が「ふつう」「むずかしい」で最後の「忍者チーム」相手に全員生存で勝つと、最後にそれぞれのチームのキャプテン6人を1人ずつ相手にする特別試合がある(ただし勝敗に関係なくエンディングの内容は同じ)。
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2人プレイのチーム対戦は、上記の6チーム+熱血高校からどれでも好きに選んで対戦できる。
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画面上部にあった体力表示がなくなり、画面下部に現在操作している選手の顔と、体力が棒並び形式で表示されている。
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FC版でのダメージ表示は、上記の画面下部のキャラと体力バーの近くに表示された。
 
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FC版でいう「クラブ活動」に該当するモード「めちゃぶつけ」はFCでは6人フル参戦だったが、本作では4人でのバトルロイヤルとなる。
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1人で遊ぶ場合、使用する選手はCPU(ゲーム中ではCOM表記)は6人の中からランダムで3人選ばれ、プレイヤーは残った3人の中から1人を選ぶ。
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このモードではパスの必要がないため、Aボタンでもシュートになる。
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別売りの4人用アダプタと、人数分のGB本体・ソフト・通信ケーブルがあれば最大4人で対戦できる。
 
評価点
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グラフィック・演出面
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過去のシリーズでは同じ顔グラフィックの選手も多かったが、本作は全てのキャラが違う顔になっていて使いまわしは一切ない。
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ダメージを受けた時のリアクションも、FC版のような汎用ではなく本作独自のものになっており、特に必殺シュートを喰らって勢いよく吹っ飛ばされた時の顔など、かなり個性がある。
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試合終了時のリアクションもFC版における勝ってバンザイ・負けて泣くだけではなく、熱血高校チームは勝てばよしひろが踊ってとうじろうが歌い、負ければてつやが頭を掻きむしって悔しがる。敵チームは勝てば高笑いしたり、隠れ身の術で姿を消したり(忍者チーム)し、負けると外野陣がグラウンドの土を袋に詰めて持ち帰ろうとしたり、 泡を吹きながら気絶したり、自爆する(ヒーローチーム)などこれまでのシリーズには無かった演出もある。
 
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様々な新必殺シュート
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敵の目の前で止まる「フェイントシュート」、ボールがどこから来るか完全にランダムの「消えるシュート」、ボールに引き寄せられる「吸引シュート」など、個性も光っている。
 
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BGMも比較的高評価
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特に名称や容姿とは裏腹に、哀愁を感じさせるメロディーのパンクチーム、アニメや特撮ヒーロー主題歌風の曲調(しかもループは長め)のヒーローチーム、明るく高揚感があり、途中和風のフレーズが流れる忍者チームのBGMがクオリティ高い。
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オープニングデモでは、『熱血硬派くにおくん』最終ボス戦のアレンジ曲が流れるファンサービスもある。
 
 
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軽めながらもストーリーデモがある
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特に藤堂の一枚絵が
主人公のくにおよりも
多く用意されており、オープニングとエンディングで悪のオーラを放っていたり、中間地点では困惑そうな表情を浮かべたり、忍者チームにノーミス撃破した時は、鼻水と大量の汗を流して呆然としているなど、悪役だがどこか憎めない感じに仕上がっており、悪くない出来栄えになっている。
 
問題点
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体力ゲージ・ダメージが画面下に表示
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各チームとも体力ゲージは内野の操作しているキャラのみで、3人全員の体力を同時に確認できない仕様となっている。もっともGBの小さな画面で3人のゲージを1度に表示すると、余計狭く見づらくなってゲームプレイに支障を及ぼしたかもしれないが…。
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一応ダメージ表示は、顔グラが横に出ているのでそれで誰が喰らったかを見せているが、ファミコン版のようにキャラ付近に出ない仕様になっているため、貫通シュートなど複数のキャラがまとめて喰らった場合、ダメージ量の把握がしにくい。
 
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操作キャラが常に点滅状態
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アーケード版・ファミコン版では、ディフェンス側の操作キャラが点滅する仕様だったが、本作では攻撃側の操作しているキャラも点滅する。つまり両方のチームがずっと点滅するので、他機種版と比べ目が疲れやすい。
 
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必殺シュートが出しにくい
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ダッシュ必殺シュートは歩数をつかんで慣れれば出しやすくなるが、ジャンプ必殺シュートはファミコン版はおろか、アーケード版よりも感覚がシビアになっている。
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ジャンプ必殺シュートは、ジャンプ後の頂点から若干下がった時に投げれば発動しやすいが、それが分かっても狙って出すのは難しい。
 
 
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山賊チームのアルゴリズム
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山賊チーム自体はあまり強くないのだが頻繁にパスプレイをするため、長い時には1分近く攻撃してこないなんて事もあり、運が悪いとプレイヤーをイライラさせがち。心理面の戦法としてはある意味成功していると言えるが…。
 
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厄介なバグ
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本作では体力がゼロになってダウンしても、天使になって召される前にパスすると、
そのキャラが復活してしまうバグがある。
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特に高確率でキャプテンにボールを回すやくざチームが顕著で、先に他のメンバーを倒しておかないと、キャプテンがまた復活を繰り返すという悪循環に陥りやすい。
 
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主人公である「くにお」の使い勝手が良くない
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ステータス自体は総じてトップクラスであり、必殺シュートはファミコン版から引き続き「貫通シュート」と「ナッツシュート」で、どちらもファミコン版では非常に強かったが、本作ではどちらも簡単にCPUにキャッチされてしまう。
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CPU相手であればほぼ確実にフェイントに引っ掛かる「かっくんシュート」が使える「とうじろう」や、そもそもキャッチしようとしない「ほえほえシュート」を使える「あきひと」の方が強力。
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そのため手っ取り早くクリアーしたい場合、くにおは必然的に外野行きにするプレイヤーが多いだろう。
 
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「めちゃぶつけ」の仕様について
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最初にキャラ選択する画面ではCPUが優先される(プレイヤーはCPUが選ばなかった中から選ぶ)という、プレイ面での不自由が強いられている。
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くにおがCPUに選ばれることはないのはプレイヤーを尊重しているように思えるが、上記の通りくにおは「ナッツ」「貫通」の恒例なシュートしかしないので新シュートを使う他の選手のほうが魅力があるだけに、くにおを使用できてもあまり嬉しくない。
 
賛否両論点
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お馴染みの熱血高校ドッジボール部メンバーが1人もいない
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ダウンタウンシリーズの藤堂が出ているせいかも知れないが、ドッジボール部なのにくにお以外が馴染みのないキャラばかり。
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とはいえ、御馴染みのメンバーでは新しい必殺シュートを使えなかったかもしれないと考えると悪くはない措置ではある。
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反面、その関係でくにおのみファミコン時代から引き継いだお馴染みのシュートを使うため、繰り返しになるが相対的に弱く感じられてしまう。
 
 
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CPUのアルゴリズムが強めに設定されている
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難易度を「やさしい」にしても、CPUはプレイヤー側のシュートをキャッチする確率が高いうえ、パスはほぼジャンプして使用するためボールを奪いにくくなったうえ、プレイヤーがセンターラインを越えてボールを落としたり、外野にボールが行くと猛ダッシュで拾いに行くなど、これ以前のシリーズ作品と比べなかなか手強くなっている。
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「もずおとしシュート」など、発動すればCPUならほぼ確実にダメージを与えられる必殺シュートもあるため、コツさえつかめば突破口は開ける。
 
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特別試合の仕様
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前述の通り難易度「ふつう」か「むすかしい」で熱血チーム全員生存で忍者チームを撃破すると、各チームのキャプテン全員と戦う内容なのだが…。
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キャプテンは毎回1人ずつしか登場しないうえ、戦術も本編と同じ仕様な為、ただ再試合をやらされてるようなものなので、だれやすい。
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この試合のBGMは暗く単調なメロディーなのも、モチベーションが上がりにくい一因と言える。最初から最後まで完璧にクリアーしたいこだわりがなければ、忍者チームでメンバーをわざと失なってエンディングを見たいプレイヤーもいるだろう。
 
 
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ボリューム面
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全6ステージに関しては少ないという意見もあれば、軽く遊びたい時に丁度いいという声もあり、人によって好みが分かれるところ。
 
総評
アーケード→ファミコンと進化したように、本作自身も新しい必殺技もいろいろと加わり、いずれも個性豊かなことは良い。
しかしダメージや体力表示の見にくさや、キャラの点滅の激しさなどゲームボーイのスペックに合わせたことにより避けられないプレイ環境の不便さは隠しきれない。
総合的にはゲームボーイ比較的初期であることを考慮しても、シリーズの中ではやや完成度が劣るのは否めないところだろう。
GBならではのお手軽でサクッとプレイするには、丁度いいソフトとも言える。
その後の展開
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この次のシリーズ作品は『いけいけ! 熱血ホッケー部 すべってころんで大乱闘』が1992年2月7日にファミコンで発売。
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操作が少々複雑でスピードにも慣れなければならなかったり、これまでのような手軽さはなくなってしまったが、慣れさえすれば対戦ゲームとして充分白熱できる。
 
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ゲームボーイ作品のシリーズ作品は1992年7月24日に『ダウンタウン熱血行進曲 どこでも大運動会』が発売。
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これは前年発売された『ダウンタウン熱血行進曲 それゆけ大運動会』の移植。
 
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ドッジボール作品では『くにおくんのドッジボールだよ全員集合!』が1993年8月6日にスーパーファミコンソフトとして発売。
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この作品は、スーパーファミコンの性能をフルに活用した全体的にグレードアップしたものになっている。キャラも非常に豊富。
 
余談
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本作の登場キャラについて
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熱血高校のメンバーに「あきら」という選手がいるが、ファミコン版で花園高校にいた選手とは別人。
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「よしひろ」は『初代熱血硬派くにおくん』に登場する生徒と同じ名前だが、それぞれの設定や背景を考えると同一人物ではあり得ずデザインも異なるので別人とされる。
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やくざチームには『熱血硬派シリーズ』の宿敵と同名の「さぶ」という選手がいるが、こちらも同一人物ではなく別人とされている。
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山賊チームのメンバーは全員名前に動物が入っていたり、モンスターチームは某怪物漫画の登場人物の言葉使いからとったと思われるなど、元ネタが存在するものもある。
 
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「熱血高校ドッジボール部」なのに、熱血高校のメンバーは一度も登場したことのないメンバーが並んでおり、ひろし・こうじ・いちろう・しんいち・みつひろの旧メンバー5人の姿がない。
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藤堂が出ているため作中の時系列設定では少なくとも運動会の後と思われることから、必然的にサッカーの後ということになる。
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そうなると、サッカー部マネージャーのみさこに約束の○○○○をすっぽかされて、くにおだけがしてもらえたことが気に入らず、或いはくにお一人だけ○○○○に気を良くしてサッカー部に付き合い、海外遠征にも参加したことでドッジボール部を放り出してしまったのならば、尚の事愛想尽かしされてもおかしくない(詳細は『熱血高校ドッジボール部 サッカー編』を参照のこと)。
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ただ、後の『ホッケー部』では普通にドッジボール部の活動をしており練習試合でもサッカー部に協力した4人全員が再度参加しているので、事なきを得た模様。
 
 
最終更新:2024年04月16日 09:25