バイオハザード4
【ばいおはざーど ふぉー】
ジャンル
サバイバルホラー
対応機種
ニンテンドーゲームキューブ プレイステーション2 Wii Windows 2000/XP プレイステーション3 Xbox 360 プレイステーション4 Xbox One Nintendo Switch Meta Quest
発売・開発元
カプコン
発売日
【GC】2005年1月27日 【PS2】2005年12月1日 【Wii】2007年5月31日 【Win】2007年6月7日 【PS3/360】2011年9月8日 【Steam】2014年2月27日 【PS4/One】2016年8月30日 【Switch】2019年5月23日 【Quest 2】2021年10月21日
定価(税込)
【GC】8,190円 【PS2】7,140円 【Wii】5,040円 【Win】6,090円 【PS3/360】4,490円 【Steam】1,990円 【PS4/One】2,800円 【Switch】3,300円 【Quest 2】3,990円
プレイ人数
1人
レーティング
CERO:18歳以上対象
判定
良作
ポイント
シリーズナンバリング4作目 初のフルモデルチェンジ 数多くのハードへの移植
バイオハザードシリーズ
概要
カプコンの看板シリーズの1つ『バイオハザード』シリーズのナンバリング第4作。
主人公は『バイオハザード2 』の主人公の1人であるレオン・S・ケネディ。
「フルモデルチェンジ 」を謳っており、ゲームシステムが一新されている。
その為、これまでのシリーズ作品とは一線を画す作品に仕上がっている。
ストーリー
合衆国のエージェント、レオン・S・ケネディは、奇怪な事態に遭遇していた。 誘拐された大統領の娘アシュリーを探すため、単身訪れたヨーロッパのさびれた村。 その村で突如、正気とは思えぬ…というより、人とは思えぬ群衆に襲われたのである。 案内役の地元警官と別れ、聞き込みに立ち寄った一軒の民家。 主らしい男にアシュリーの写真を見せるも、まともな反応は返ってこなかった。言葉が通じているのかどうかも疑わしい様子である。 仕方ない…肩をすくめたレオンが立ち去ろうとしたその時、襲撃は始まった。 (公式サイトより)
特徴・評価点
カメラシステムの変更
従来のカメラシステムは、カメラが主人公に追随せず沢山の固定カメラを主人公の移動に従い切り替えるという、いわゆる固定カメラ切替方式 だった。
これはカメラを追随させるには背景も3Dオブジェクトとして表現する必要があり、当時は背景の3D化と美しさを両立させるのが不可能だったことによる。
これに伴い移動方向の混乱を防ぐために、「↑キーは”画面上に進む”ではなく常に"主人公の前に進む"」というラジコン操作 が採用された。
これらは伝統的なゲームシステムであり、「先が見えない」「思い通りに動かせない」という独特の恐怖を生んでいたが、「主人公に見えるはずのものがプレイヤーに見えない」「初心者にはラジコン操作がとっつきにくい」という問題もはらんでいた。
この問題を解決すべく、本作ではカメラが常に主人公の背後に回るビハインドカメラ方式 が採用されている。このシステム上、一般的な表現のジャンルでいえばTPSに近い。
これにより、方向キーの↑はプレイヤーにとっても主人公にとっても前となり、初心者にも取っ付きやすい、直観的な操作が可能になった。
プレイヤーと主人公の死角が一致したことで、敵の視認に関する理不尽さがなくなった。また、先制攻撃の機会も増えた。
例外としてNORMAL以上の難易度における中盤のアシュリー操作パート中のみ、従来の固定カメラになる。
なお、カメラ方式は変わったものの、移動操作は過去作と同じく「向きを変えてから前進する」ラジコン操作が採用されている。
多くのTPSではありふれた動作である平行移動(いわゆるカニ歩き)は出来ず、照準操作との兼ね合いで、移動しながらの攻撃もできない(後述)。このあたりの制約は過去作から引き継いでいる。
主人公のアクションの大幅追加
主人公が可能なアクションが大きく拡充されており、アクション可能時には「開ける」「拾う」「飛び越える」などのボタン入力が指示される。
低い塀や段差を乗り越えられるようになった。他にも窓ガラスを体当たりで割って建物に入ったり、落とし穴を飛び越えたりと、従来作とは全く異なるプレイ感覚をもたらしている。
様々なオブジェクトを破壊できるようになった。
『バイオハザード3 』で採用された攻撃オブジェクトが続投。ドラム缶やオイルランプなどを上手く利用すれば、戦闘を有利に進められる。
木箱やタルからアイテムを入手できる他、松明と言った照明器具も破壊可能。
従来作と異なり、大きなエリア移動を除いて扉を開ける際の読み込みや演出は発生しない。その代わり同じマップ内なら自分で扉を開いて進むことになる。
扉を開ける際は手でゆっくりと開けたり、逆に蹴りで勢いよく開けて近くの敵にダメージを与えこともできる。一部の南京錠が付いている扉も蹴りや攻撃で強引に開けたり、木でできた扉なら銃撃や爆発で破壊することも可能。
敵も扉を開けたり窓を破壊して侵入してくるため、棚などの移動可能なオブジェクトで塞いだり、架けてある梯子を落としたりできる。
ヘッドショットなどで怯んだ敵に対し、蹴りや投げ技等の体術 を繰り出す事が可能となった。
特に蹴りは攻撃範囲が広く、敵に囲まれた状態から脱するのにも有用。
ちなみに前述の障害物を乗り越える時や体術を繰り出している時等のアクション中は、仕様上全身無敵状態になる。上級プレイヤーの中にはこれを利用して敵の攻撃を避ける人もいる。
坂道などの高低差や間合いによっては、一部の体術が当たらないことがある。
副次的効果として、これまでのシリーズでありがちだった「どれが拾えるアイテムか、動かせるオブジェクトか、移動できるのかできないのかよくわからない」ということが起こりにくくなった。
キーアイテムはやや大げさ目にキラキラ光ったりすることで、キーアイテムが背景に埋没しないよう工夫されている。
攻撃方法の変更
正面・上向き・下向きの3種撃ちしかできなかった従来作と違い、レーザーサイトによる緻密なエイミングを楽しめる。
頭を撃ってひるませる、足を撃って転ばせる、武器を狙い落とす、敵の投擲物を弾くなど。
敵によっては弱点部位を狙わないとダメージが通らないことがあり、敵の個性や戦術の幅が広がっている。
ナイフが常時装備されており、メニュー画面で武器を切り替えることなくボタン1つで構えることができる。これにより、銃とナイフのコンビネーションで敵に対抗できる。
「銃でひるませ、蹴って転倒させ、ナイフで追い討ち」というのが基本コンボである。弾の節約としても重要。
本来のナイフの意義だった「銃弾を使い果たした時」に「アイテムボックスに預けたせいで持ってない」という問題点もこれで解決している。
従来作に比べてナイフの威力が高く(初期装備の無改造ハンドガンの1.2倍)、様々な場面で用いることになる。ボス敵の中にはナイフを駆使した方が戦いやすい相手もいる。
木箱や樽もナイフで破壊することで弾薬が節約できる。
武器・アイテム周りのシステム変更
銃のメインカテゴリは6種類。
弾薬を入手しやすく体術の起点となるハンドガン、雑魚の集団をなぎ倒したりチェーンソー男をダウンさせやすいショットガン、スコープで遠方を狙撃できるライフル、体術狙いと弾幕による足止めを兼任できるマシンピストル、圧倒的なDPSを誇るマグナム、時限炸薬弾を敵や地形に刺せるマインスロアー。 このように明確な個性が与えられており、複数同時に持ち歩くメリットも大きい。もちろん、シリーズ恒例の隠し武器も用意されている。
カテゴリによってはいくつか種類がある。例えばショットガン系なら序盤で拾える「ショットガン」と、遠距離での威力減衰が少ない「ライオットガン」と、コンパクトで装弾数・拡散域に優れる「ショットガン(セミオート)」の全3種。
新たに投擲武器も登場。
爆発が広範囲に及ぶ手榴弾、直接ダメージはないもののある状態になった敵を即死させることができ体術の起点にもなる閃光手榴弾、一定時間燃焼するので足止めに使いやすく特定の敵に大ダメージを与える焼夷手榴弾、主に回復アイテムとして使う卵(白・茶・金)が存在する。
金によってアイテムの売買と武器を改造する方式 が導入された。これらは道中に出現する「武器商人」とのやりとりで行う。
敵を倒すと金やアイテムをドロップする。これによって、イベント以外の敵との戦闘は必要最低限に抑えるのが基本だった従来作とは違い、弾を使ってしまっても有用なアイテムをドロップしてくれる可能性があるので、積極的に戦闘することが可能となった。
事実、本作は「敵を倒しながら進むゲーム」であって、タイムアタックや弾薬の節約でない限り、基本は登場する敵全員と戦闘することになる。
弾薬のドロップは所持量によって自動調整が行われ、少ないとよく落とすようになる。高難易度でなければ、弾切れの心配はほとんどない。弾薬が減ってくると焦燥感に駆られるが、しかし実際はそのくらいの程よい緊張感を与えつつ適度に弾を補充させるという絶妙なバランスになっている。
狙撃が必要な場所は大抵ライフルの弾が固定配置されているため、弾がなくて詰むということもほぼなくなっている。
道中に落ちている武器は手榴弾系以外はほとんどなく、大半は武器商人から購入することになる。また、全回復アイテムとしてお馴染みの救急スプレーを購入したり、道中で見つけたお宝を換金することも可能。
なんと今作では、ほぼ一撃必殺武器のロケットランチャーも普通に買える 上に、ゲーム中盤で1個拾う機会がある。 1発限りの使い捨てだが、1周目でも複数買える程度の安さで在庫切れもなく、サイズの大きさから持ち運びにくいことを踏まえると、ボスなどの難所を強引に突破するための救済措置と考えるべきだろう。
各武器に「威力」「装弾数」などのパラメータが用意されており、好きな順に強化できる。 全パラメータを最大まで強化すると、ボーナスとしてさらに1段階改造(限定仕様)が可能になる。その効果は威力や装弾数の大幅アップ、距離減衰の緩和、追尾弾など武器毎に異なる。
アタッシュケースの中にアイテムを収納していく方式 になり、従来のように大きさに関わらず決まった数のアイテムしか持てないということがなくなった。
旧作でも「大型火器は2ブロック消費」というのがあったが、ブロック数が基本8ブロック(最小6・最大10)なのでただ単に煩わしいだけの仕様だった。 今作のアタッシュケースは最小でも6×10マスで、基本のハンドガンが2×3マス、大型火器の例として無印ショットガンが2×8マス、弾薬や回復は1×2(2×1)マスなので、アイテムボックスがないことを差し引いてもかなり余裕がある。
アイテムごとに大きさが決まっており、自分でパズルのようにうまく並び替えて効率的にスペースを使う必要がある。
武器商人からより大きいアタッシュケースを購入することで、より多くのアイテムを持ち運べるようになる。
キーアイテムや宝石などの換金専用アイテムは別の場所にストックされるため、ケースを圧迫することは無い。
これまでのように武器とキーアイテムのどちらを選ぶのか、という場面がないので頭を悩ます必要がなくなっている。
換金用のアイテムはマップのどこかに隠されていることが多く、天井に引っかかっているものや鳥の巣を銃で撃ち落として入手できるものもあるなど、探索・収集要素としての面白さもある。
特定の換金用アイテムを組み合わせることで、より価値の高い豪華なアイテムにすることもできる。そうして完成させた豪華な装飾品を売って大金に換えていくのは快感。
商人からお宝の在り処を記した地図を買えば、マップ上に★マークで表示されるようになる。稼ぎたいなら必須と言える。
敵の変更
シリーズの看板であったゾンビが一切登場しない。 本作の主な敵は寄生生物「プラーガ」に侵された人間「ガナード」である。
ゾンビと違いある程度の知能 が残っており、集団で襲いかかってきたり、武器を扱う者が居る。
包丁・斧・鎌といった簡単な武器から、チェーンソー、ロケットランチャー、ガトリングガンといった強力な武器まで、使用武器は幅広い。
途中から、頭を破壊した際に内部のプラーガが露出する事がある。
こうなると余計に弾薬が必要になる他、プラーガ自身の攻撃力も侮れず、中にはこの状態になると即死攻撃を行ってくる個体も存在するため、油断できない。
ひるませるためのヘッドショットが原因でプラーガが出てしまう場合も多く、また、ナイフによる追い打ちでも出現し得る。効率的な戦い方にはプラーガ出現のリスクも伴うというジレンマがプレイヤーを悩ませる。
ガナード以外の敵も寄生生物を宿したものがほとんどで、従来作とは一線を画している。プレイヤーは明確な"悪意"を持った敵に襲われることになる。
何より、襲い来る敵の数が多い。集団的悪意 と表されるように、ガナード達は大人数でレオンを潰すべく襲い掛かってくる上、連携を取ったり四方八方から息つく間も無く襲われる事も多いため、思わずプレイヤーもレオンと一緒に「なけるぜ…」と言いたくなる程の激しい戦いになる。
襲い来る敵を皆返り討ちにしていると、一周における敵の総撃破数は1000 体に迫る。
集団戦法を駆使する上に数の暴力で攻めてくるので、とにかく油断ならない。
包囲、待ち伏せ、挟み撃ちは当たり前。前方に注視しているとすぐに背後や側面から攻撃されるし、(無限湧きではないにしても)倒すほど複数ある出現ポイントから増援が来る。
遠距離攻撃を行う敵も多い。上述したロケットランチャーやガトリングガンを使う個体は少ないが、ボウガンやダイナマイトは当たり前のように使用され、これらが様々な方向から飛んでくるのは日常茶飯事。斧や鎌も平然と投擲してくるので、近距離タイプだからと言って距離を取っても油断はできない。
それでいて耐久力も人間はおろかゾンビすら超えるほど強靭であり、ランクや改造にもよるがハンドガンだけで倒すとなると1体だけでもそれなりの弾薬を使ってしまう。至近距離からのショットガンでも一発ではなかなか死なない。
そのため、どこを狙うか、何の武器をどう使うかと言った戦法が重要になってくる。
一方で汎用雑魚であるガナードには弱点も多く、戦闘の面白さを引き立てている。
ゾンビと違って痛覚があるので、頭部を撃つ → 大きくよろける(ここから強力な体術にも繋げられる)、腕を撃つ → 武器を落とす、足を撃つ → 転ぶなど、様々な反応を示す。また体術で周りのガナードを巻き込めば、簡単によろけさせたり吹っ飛ばしてダウンさせることができる。
設定上は「ガナードの知能は人間のまま」なのだが、実際は理性をなくしているためか(適度なレベルで)おバカな行動をとることもある。
敵の飛び道具等は相応に予告動作が長かったり、攻撃前に特徴的な声を発するので対応しやすい。
梯子を登ってくる敵は無防備なので、上から銃撃したり梯子を蹴り倒して落とすことができ、簡単にハメられる。敵は悲鳴を挙げながら落下するので、敵の間抜けな様がコントのようで笑いを誘う。
チェーンソー男など強力な個体を除けば、昇降中の敵はナイフ一発で簡単に転落するため、梯子の上に陣取って登ってくる敵を切り落とすのは、時間は掛かるものの弾薬やハーブの節約の面では有効な戦法である。
敵に一瞬だけ接近して大振りの攻撃を誘い、敵が大きな隙を晒したところで頭を撃ち抜くというテクニックがあり、高難度の敵でも簡単に引っかかってくれるので接近戦でも対処しやすく、一定の爽快感を味わいやすい。
上記の通りガナードのAIは人間ほど賢くはないが、この性質は設定的にも無理のないものとなっている。
大半が嘗ては善良な人間だったという点はゾンビと同じ。スタッフロールの背景には、平穏な村が教団の齎す寄生体によって侵蝕されていき、ただ平和に暮らしていた人々が凶悪なガナードに変えられていく様が複数の絵で生々しく映し出される。
流出したウィルスで変異してしまったゾンビに対して、村人達は悪党によって騙されて変異させられたものであり、その成り立ちはゾンビ以上に遣る瀬無い。城以降に登場する邪教徒や戦闘員は自ら寄生体を受け入れているため、同情の余地など無いが。
良好なレベルデザイン
敵はある程度の知能を持ち、武器や集団戦法や地の利を駆使し、生命力も強靭。しかもこちらは庇護対象も守らなければならない。
このような圧倒的絶望の四面楚歌の中にありながらプレイヤー側の取れる戦法も豊富で、戦い方次第でこれらを豪快に突破していけるゲームデザインとなっている。
前述した通り、ゲームスタイルの一新によって従来は「頼りないけれど頼るしかない場面があるので活用せざるを得ない」という位置づけにあったナイフとハンドガンが雑魚敵から一部のボスにまでさ充分に対応可能な序盤から終盤まで使える万能武器となり、戦闘に新しい地平が開かれた。
基本的に武器はシナリオ後半に入手可能になるものほど取り回しが良くなっていくので進行に合わせて乗り換えていけばいいのだが、途中の武器にも見た目の良さや威力など独自の長所があり、改造によって真価が発揮できるので好みで選んでもなんとかなる程度のバランスであり、総合的に見れば武器選択の自由度は高め。
戦闘方法はプレイスタイルで千差万別であり、バトルが主体になったため気づきにくいが「絶対に倒さなければならない敵」は極僅かなので旧来のように大半の敵を無視して進むことも出来る。無論、方々からの攻撃を掻い潜る立ち回りは要求されるが。
『3』から続投した爆発オブジェクトの他にも地形やステージギミックを使って有利に立ち回れる場面が多く、知識や立ち回りが問われるようになっている。
煩雑なステージも存在するが、大体のステージは面白い構成になっている。
ゲームプレイはチャプター形式となり、各チャプターの終了毎にセーブするか質問される。
セーブに必要だった消費アイテム「インクリボン」は削除され、セーブは無限に実行可能となり、回数はクリア時のゲーム評価にも一切影響しない。
ポーズメニューに「コンティニュー」「リスタート」が追加され、死亡時でも直前にロードを挟むエリア移動からすぐやり直せる他、プレイに失敗した場合でもリスタートすれば同様にエリア移動ポイントから何度でもやり直しが利く。
主人公レオンのカッコよさ
『2』から6年が経ち27歳となったレオンは、やや皮肉屋で、なおかつ非常に優れた身体能力と戦闘技術を持つ一流のエージェントへと成長を遂げており、プレイヤーはそんなシリーズ屈指のイケメンであるレオンのカッコいい活躍を体感できる。
敵の頭を狙い撃ち、スタイリッシュに蹴り飛ばし、時には敵の攻撃を華麗に飛び退いて避けるといった、一連のアクションの流れがカッコいい。プレイヤーがゲームに慣れて上達するほど、このようなカッコいい戦い方が可能になり、気持ち良くゲームを進めていける。
プレイヤーのテクニック次第で、敵が投げてきた飛び道具を銃やナイフで弾いたり、敵のダイナマイトを撃って爆発させるといった、よりプロのエージェントらしさを味わう戦い方も可能。
その身体能力を活かして、敵の仕掛ける大岩やトゲ天井といったトラップの数々をインディ・ジョーンズばりに切り抜けていく場面も多い。
精神面でも逞しく、そしてふてぶてしく成長しており、どんな状況でも軽口を叩いたり敵に啖呵を切る姿は、正にアクション映画のヒーローの如し。
その一方で、仲間が殺された時は怒りを滾らせて仇討ちを誓うなど、熱い面も健在。
今作はオブジェクトを調べた際のメッセージが操作キャラの口調になっており、随所でレオンの心情が窺えて従来よりも感情移入しやすい。
時には「こんな所で飯を食うなよ 」「掃除ぐらいしろよ 」など、笑いを誘うツッコミもあったりする。
これは移植版で追加されたシナリオにおけるエイダも同様。「ダメな主婦ね… 」「肌がガサつきそう 」「何これ!?気持ち悪い… 」など、普段からは想像し難い意外な一面が覗けたりもする。
ヒロインのアシュリーを救出しつつ敵組織を壊滅させるべく戦うというヒロイックな展開や、同じ『2』からの続投組であるエイダとの微妙な関係なども、レオンの魅力を引き立てている。
『3』においてジルが、『CV』においてクリス、クレアのレッドフィールド兄妹が再び主人公として起用される中、レオンのみ『3』のエピローグで少し触れられた程度で音沙汰の無い期間が続いていた。『GAIDEN 』があったじゃんとか野暮なことは言わないでおいてあげよう。
そして本作『4』において、満を持して主人公としてより魅力的なキャラクターとなって再登場を果たしたことに、多くのシリーズファンを歓喜させることとなった。
おまけモード「THE MERCENARIES」
本編をクリアするとプレイ可能になる、戦闘重視のミニゲーム。通称マーセ。『3』にも同名のおまけモードが存在したが、今作ではほぼ別物のシステムに一新された。
一つのマップにて、制限時間内に多くの敵と戦い、スコアを稼ぐというルール。
マップ構造は基本的に広めで起伏に富んでおり、進行ルートの自由度が高め。あちこちに各種アイテムや制限時間を延ばすアイテムが配置されており、それらを上手く利用することが重要。
各ステージで好成績を収めると、このモード限定の新たなキャラが使用可能になったり、本編でおまけ武器が購入可能になる。
最終的に全5キャラ(レオン・エイダ・クラウザー・ハンク・ウェスカー)と、全4ステージから選択可能。
キャラによって装備や体術などの性能が大きく異なり、本編ではバランスブレイカーとなるような強力な技も使用出来、キャラの魅力を高めている。また、ハンクは今作の本編には登場しない、このモード限定のキャラとなっている。
ステージ4「ウォーターワールド」は本編に登場しない、このモード限定のマップ。専用のボス敵「巨大チェーンソー男」も存在する。
連続で敵を倒すことでコンボ数が加算され獲得スコアにボーナスが入る他、特定のアイテムを取得すると一定時間獲得スコアアップのボーナスタイムに突入できる。
本作の特徴の1つである戦闘を存分に楽しめるモードであり非常に好評。中毒性が高く、本編よりもこちらをメインで遊ぶ人も少なくない。
ただ生き残るだけでもそれなりに歯応えがあるので、初心者はクリアを目指すだけでも楽しめる。
腕前や戦略次第でスコアをどんどん伸ばせるので、上達が実感しやすく非常にやり込み甲斐があり、多くのプレイヤーを熱中させた。
このモードは後のシリーズのいくつかにも引き継がれ、またこのモードだけを独立させた『バイオハザード ザ・マーセナリーズ 3D 』も発売されている。
この他にも、エイダを操作してミッション達成を目指すミニゲーム「ADA THE SPY」が収録。PS2版以降にはエイダ視点で本編の裏側を描いたサイドストーリー「the another order」が追加されている。
前者は「THE MERCENARIES」同様に本編と関係無く、いかにもミニゲームと言った内容。限られた装備で任務達成を目指すという形で、寧ろ『3』の「THE MERCENARIES」を彷彿させる。
後者は全5チャプターのショートシナリオで、後付けながら本編の補完も担うものでボリュームもそれなりにある。本編では華麗に立ち回っていたエイダだが、裏ではかなり苦労していた模様。 また、チャプター間に流れる「エイダズレポート」には次回作への伏線も僅かながら盛り込まれている。
その他の特徴
ムービー中や戦闘中にボタン入力の指示が突然出される「QTE(クイックタイムイベント) 」システムがある。
ボタン入力に成功すると敵の攻撃を回避できたりする。
HPの表示が従来の心電図からゲージ制に変更され、常に画面上に表示されるようになった。
これによりHP残量をいつでも一目で把握できるようになった。
また、従来のグリーンハーブ、レッドハーブに加えてHP最大値を増加させるイエローハーブが登場。他に比べて希少だが、HPを増やせばそれだけ生存率が高まるため、なるべく回収したい。
緑・赤・黄の3色を調合したハーブは全回復+最大HP増加という高性能に加えて高額で売れる。HPが上限に達しても使い道はある。
今回は毒のステータス異常が無いため、ブルーハーブは登場しない。
武器の残弾数もHPとともに常に表示されるようになり、任意のタイミングでリロードすることが可能になった。
逆にステータス画面でのリロードは不可能になった。これにより常にリロードタイミングを意識した立ち回りが求められる。
リロード時間も武器改造により縮めることが可能となり、システムとの釣り合いを図る意味でも変更されることとなった。
庇護対象のキャラクター「アシュリー」が同行することがある。
アシュリーもHPゲージが存在し、当然敵の攻撃も当たる。彼女が死亡したり、敵の手でマップ外に連れ去られた場合もゲームオーバーになる。
あるマップではアシュリー自身を操作して進む。当然、武器も体術も使えないので敵からは逃げるしかないが、テーブルの下をくぐって追跡をかわしたり、随所にあるランプを投げつけて撃退するといった行動が可能。
プレイヤーの実力に応じてゲームの難易度を自動調整する機能(いわゆるゲームランク)が搭載されている。
ミスをしないで進むとゲームランクが上がり敵の耐久力、プレイヤーへのダメージ、敵の戦意、後述のQTEの難しさが上昇していく。
最高難易度「PROFESSIONAL」では、このゲームランクが最高に固定される。ノーマルモードをパーフェクトにプレイした場合のゲームランクは最高難易度と同じだが、アーマー(防弾服)が買えない、終盤でヘリの援護がほとんどないなどの違いもある。逆に最低難易度「AMATEUR」はゲームランクの初期値が最低で、上がり辛く下がりやすい。
この仕様のおかげで下手な人でもある程度楽に進められ、また最高難易度もノーマルの最高ランクとほぼ変わらないためTPS初心者でもノーマルから入りやすく突破しやすいという丁度いいバランスになっている。さらに上級者にとって、様々な縛りプレイの余地があるのも素晴らしい。
手動で銃の照準を合わせる仕様の追加に伴い命中率が計上されるようになり、各チャプターの終了時とゲーム制覇時に総計命中率が表示される他、倒した敵とゲームオーバー回数も同様に記録されるようになった。ちなみにいくら外そうがペナルティはない。
これを逆手に取って、逆の意味で困難な「命中率0%プレイ」をニューゲームで成し遂げたプレイヤーもいる。必然的に火器を直接命中させることは出来ないので100%程ではないがやりこみとしては難度が高い。
後続作では命中率、死亡数、撃破数が全てスコアや報酬に影響を与えるので自由度が低下し、こうしたプレイは推奨されなくなってしまった。
レオンの持っている通信機を通じてアメリカ政府側のバックアップキャラや敵の幹部と会話する要素が採用された。
『メタルギア 』シリーズの通信に近いが、シナリオ進行に応じて強制的に挿入されるのみであり、こちらからの自発的は通信はできない。
ここでのやり取りはレオンの不敵でアイロニカルな性格が遺憾なく発揮されており、名シーンがいくつも生まれている。
クリア後の追加要素
ゲームクリア後は、獲得した装備・資金を引き継いでの周回プレイができるようなる。シリーズとしては初の要素。
ショップに新たな装備が追加される他、品揃え・改造のラインナップも維持されるため、2周目も新鮮な気持ちで遊べる。
一度クリアすると先述の「THE MERCENARIES」の他、シリーズお馴染みのコスチュームチェンジも解禁される。
PS2版以降ではコスチューム2が追加されており、しかもアシュリーのそれがまさかの「フルプレートアーマー」 である。
ありとあらゆる一切のダメージを無効化し、さらに「アシュリーを担いだ敵が重みで倒れてしまう」という効果が付くため、わざと捕まるように仕向けて囮役として利用できるようになるなど、可憐な容姿が台無しという点を除けば至れり尽くせりである。
性能だけではなく、受け止める度にレオンが腰を痛める 、アシュリー操作時のメニュー画面でいちいちポーズを決める 、など見た目通りのネタ的な面もある。
賛否両論点
ホラー性の縮小・減少
クリーチャー造形は良好で、少なくとも初見ではホラーゲーとしての醍醐味を味わえる。恐怖心を煽るような演出も少なくない。
特に即死攻撃を仕掛けてくるチェーンソー男、およびチェーンソー姉妹は序盤から登場するので、こちらの装備の不十分さもあいまって過去作品のクリーチャーとは別種の恐怖を与えてくる。
ただし、敵に柔軟に対抗できるアクションや武器が多いため、慣れるとアクション性ばかりが突出し、ホラー性が削がれてしまう。
例えば終盤に出現するクリーチャー「リヘナラドール」は、BGM・演出・デザインのいずれも充分にホラーゲーとしての水準を満たしているが、唯一かつ極めて有効な対処法が直後に見つかる ので、折角の恐怖演出が全く長続きしない。
初遭遇時は倒すのが非常に難しい状態で3体ほどの襲撃を切り抜けねばならずかなり怖いが、対処法さえ手に入れば遠距離から一方的に倒せる上、倒すと高額の資金を確定でドロップする。初見以降は完全にボーナス扱いである。
強いて言うならライフルの残弾が僅かな場合や、狙撃が苦手な人なら外せないというプレッシャーから苦手意識を感じる程度。知っていれば対策としてライフルの残弾を温存しておくはずなので本当に怖いのは初見のみである。
強化版の「アイアンメイデン」もより醜悪な外見や初遭遇時の演出、攻撃方法は恐怖演出としていい塩梅なのだが、弱点はリヘナラドールと同じでしかも登場時には上記の対処法が入手済みなので、接近さえしなければ怖い相手ではない。
敵が従来作に比べてかなり多く配置されており、必然的に戦闘の回数が大幅に増えている点も、アクション性が突出する要因の1つである。
過去作とはゲームの雰囲気とシステムが大幅に変化している事もホラー性を削ぐ一因である。 具体的には敵を倒すと金やアイテムが手に入ったり、素性不明の商人が武器を売ってくれたりといった面が当てはまる。
「朽ち果てたゾンビの群れをかき分け、崩壊した街から非力な生存者と道具をやりくりして脱出」という孤独な戦いだった『2』とは違い、「悪の組織である教団を懲らしめつつ攫われた身内の人間を助けるため自らアジトに乗り込む」というある種前向きな目的があるのも大きい。
実際は見込んでいた支援も早々に絶たれ、アシュリー以外の味方も次々死亡していく中での任務遂行という充分孤独な戦いなのだが…。
やはり武器商人の潤沢なバックアップと、旧知の仲であるエイダの存在。何よりレオン1人でも充分強い という点が孤独感の軽減に貢献しているからだと言える。
ゲームとして見れば納得も行くだろうが、「サバイバル」ホラーとしてのリアリティは過去作以上に薄まった印象が否めず、そもそもホラーゲーとして作っているのか?と思わせる演出・ギミックも多い。
刃状のペンデュラムの間を潜り抜ける、トロッコに乗って坑道を突っ切る、スタイリッシュにレーザーを避けると言った到底ホラーゲーとは呼べないシーンもちらほら。特に「歩き出した巨大サラザール像から逃げる 」シーンなどはホラーどころか完全にギャグである。
見ての通り、これらは従来シリーズにはほぼ無かった「趣向を凝らしたギミック」であり、恐ろしい殺人トラップと言うよりは、それを突破する様子を受け手が楽しむためのエンターテイメント的な余興の意味合いが強い。ホラーとして必要なのかとかなり意見が分かれそうなところではある。
発売当時は一部でジャンル名「アクションゲーム」と紹介されていたりなど、元よりホラーと見做されていない節すらあった。最初のGC版パッケージ裏の煽り文句も「大統領の娘を救い出せ!?」というホラーらしからぬものである。
シリーズ恒例のゾンビが登場しない
スタッフの「ゾンビは絶対に走らせない」という理念により、本作のガナードが考案されたとのこと。従来の「歩くゾンビ」が本作の戦闘システムに合わないことは間違いない。『3』の時点で走るゾンビがいたのには目を瞑ろう。
本作ではゾンビに代わって、「普通の人間に近い敵が殺意むき出しに襲ってくる」という新たな恐怖性を推しているのだが、敵の人間らしい動きが前面に押し出された。
これにより、これまでの「非人間的なクリーチャー相手に立ち回るホラーゲーム」としての要素はかなり薄れてしまっている。「もうバイオハザードじゃない」「名前を変えれば気持ちの整理がついたのに」という意見も出た。
また別の意見として、次回作 以降 は敵の高性能化が進み、最終的にはFPS/TPSのような銃撃の応酬がメインとなっていったため、そのターニングポイントとして本作を嫌う層も存在する。
身も蓋もないことを言ってしまえば、このガナードが新たな恐怖性に貢献しているか、と問われれば正直頷けないものがある。
恐怖性も感じられなくはないが、それも本当に最初だけ。出現頻度が非常に高い上に空耳が多い(どちらも後述)ためネタ扱いされることもしばしば。
もっとも、これはこれで本作を象徴する存在として愛されているので、一概に問題点と呼べるものではないが…。
キャンプメニュー関連
ナイフ以外の武器は従来のようにメニュー画面を開いて切り替える必要があり、やや面倒。
本作は多種多様なアイテムをまとめて所持できる上、手榴弾系のサブウェポンも強力なので、戦闘中にメニューを開いて武器を切り替えるべき場面は多い。特に「THE MERCENARIES」では顕著。
ただし、メニューを開いている間はゲームの時間が止まっているので余裕を持って落ち着いて武器を選んだり回復することができ、敵の眼前でも瞬時に武器を切り替えられたりなど、初見のプレイヤーには優しい仕様でもある。
今作の煩雑なアイテム管理のシステムはリアルタイム進行との相性が悪いことに加え当時のハードの性能的な事情もあり、リアルタイム性を犠牲にするのは致し方ない面もあるだろう。
VR版では片手武器・両手武器・回復アイテム・手榴弾の4カテゴリを同時に装備する方式に変更されている。
アシュリーについて
庇護対象であるアシュリーには設定上当然だが戦闘能力が絶無に等しく、何かと足枷になりやすい。
「敵から離れろ」といった臨機応変な号令は出せないので、敵に襲われにくい地形やコンテナの中で待たせるとよい。しかし、前者はレオンが戦っている最中でも「どこに行くの、レオン!?」と頻繁に叫ぶため、とあるソニックシリーズの作品でのサポートキャラ並みに 少々鬱陶しく感じることもある。
体力の初期値/最大値がレオンの半分となっており、敵の近接攻撃1回で瀕死になりやすい。
標準的なガナードはアシュリーを担いで連れ去ろうとするため、レオンへの攻撃の巻き添えにさえ注意すれば基本は攻撃されない。しかし、それ以外の敵は平然とアシュリーを殺傷しようとするものも多い。
また、レオンの攻撃は体力に関係なく一律即死。 ハンドガンやナイフを手足に当てただけでも死んでしまう。敵に担がれたアシュリーを助けようとしてうっかり当てようものなら即任務失敗である。
なお、『RE:4』では、彼女に銃弾の標準が強制的に合わない様に改善されているが、破片手榴弾などの他の武器で彼女を巻き込んでしまうと死亡させてしまうリスクの改善はされていない。
レオンの射線に入ったり、敵に近寄られるとしゃがんでしまう。このため、慣れないうちは敵に囲まれた状況を脱しにくい。
もっとも、この仕様は上述した「アシュリーがいきなり射線に飛び込んでくる → うっかり誤射 → ゲームオーバー」の防止に繋がっている。また、待機指示を出していない状態ならばレオンの前方にいない限りは自動で背後に移動するので誤射の心配はあまりない。
古城にある「水の広間」ではレオンが一階の敵を捌きつつ、2階でクランクを回すアシュリーを護衛しなければならない。的確な狙撃と状況判断を求められるので苦戦しがち。
梯子を上る事はできても基本的に降りられないので、いちいちレオンが下で受け止めなければならず面倒。しかし「なぜアシュリーは梯子を降りられないのか?」については一切理由付けがない。 AIの技術が発達してないからであろうか?
レオンは着地可能な場所ならどんな高さからでも飛び降りられるがアシュリーはそうも行かないので受け止める必要がある。それは分かるが、「レオンは降りる時に梯子なんか必要ないから使わない」→「レオンが梯子を使わないからアシュリーも使わない。でも高所から飛び降りられない」→「よって、梯子があってもレオンが受け止めなければならない」というのは些か疑問である。
なお、アシュリーパートで直接操作する際は昇降ともに可能なので、システム的に実装できなかった訳では当然無い。
なお、『RE:4』でのアシュリーはちゃんと自力で降りるので、その辺りでの矛盾は解消されている。
またアシュリー本人の問題ではないが、ルイスや主人公であるレオンからすらもセクハラ発言を受けていると取り得るシーンもある。
先述のように本作のレオンのキャラ人気は非常に高く、女性人気をも獲得している程なので、若い女性プレイヤーはもしかしたら気になる点かもしれない(本作の本来のターゲット層ではないが)。
もっとも、ハリウッド映画的ノリとしてはよくあるジョークだし、現在ほど性に過敏な時代ではなかった頃の作品としてはさほど珍しくもない程度。アシュリー自身も真に受けず軽く流している。しかし後のVR版では修正されており、『RE:4』でもこれらのセリフが削除されている。
本作の特徴でもある庇護対象なのだが、実際のところは同行するシーンはそれほどない。
チャプター2-1のラストで合流し、しばらく行動を共にするのだが、3-1のラストでまた捕まってしまう。3-4でのアシュリー操作パートを経て合流するが、次の4-1の途中で早くも捕まる。
そして、次に合流するのは5-1のラストとかなり後。ところが次の5-2のラストではまたしても捕まる。 あとはラスボス直前で救出するので、一緒に進むステージはほぼ皆無も同然。
見ての通り、最初以外は合流しても次のステージですぐに捕まっている。いくらなんでも簡単に奪い返され過ぎである。このワンパターンさは後述するシナリオの問題にも繋がっている。
いない方が自由に戦えるという点も確かにあるが、本作の特徴の1つとして前面に出した割にはややおざなりな印象も否めない。単純に後半のアシュリーの出番の無さ、影の薄さという問題も。
ただし、ホラー物にありがちな「味方を罵ったり、ヒステリーを起こして事態を悪化させる」といった不快な行動はほとんどない。
ストーリー中ではヒロイン役をきちんとこなしており、容姿も童顔且つ上述のようなセクハラ発言を受けるだけのプロポーションの持ち主であり、キャラ人気は高い。
ゲームとしては基本的にレオンの後を付いてくるだけなので、ありがちな「2人分の 操作が複雑 」や「AIが馬鹿で、勝手に動いて死んだりアイテムを使う 」的なイライラはない。
また、戦闘能力を持たないという設定は最後までしっかり守っており、同じ女子大生でも重火器の扱いに長けてクリーチャーを倒して回る某妹 のようなツッコミ所もない。敵の凶器攻撃には多少耐えるけど。
アシュリーはアメリカ合衆国大統領の娘であり、大学にも通っているので相応に賢い。それは分かるのだが、なんとゲーム終盤で自信満々にブルドーザーを操縦する シーンがある。
乗り込む際には「Leave to me Leon (私にまかせて!レオン)」と言い放つ上に、実際の操作も淀みなく、排土板で障害物を破壊してみせる。
しかも前述のセリフが、よりにもよって「見ててみぃレオン! 」という空耳に聞こえてしまうので、なおさらネタにされやすい。
この違和感を解消するためか、『RE:4』では工業系の大学に通っている設定が追加されている。
問題点
カメラに関する操作性
前述のように、本作は従来の「固定カメラ切替方式」から「ビハインドカメラ方式」…つまりTPSに変更されているのだが、これに若干の問題がある。
一般的なTPSは「左スティックで移動、右スティックでカメラ移動及びエイム」である。しかし、本作は「左スティックで移動及びエイム、右スティックでカメラ移動」となっており、基本的に変更不可。 つまり右スティックでのエイムができず、一般的なTPSに慣れたプレイヤーだと少々やり辛い。
TPS経験者には違和感のある仕様といえるが、本作からこの様なジャンルのゲームに初めて触れる様な人や過去作の経験者であれば「こういうものなのだろう」と受け入れることが出来るくらいの問題ともいえるが。
この操作方法のため、移動しながらの攻撃は不可能。いちいち立ち止まって攻撃するのは旧作の特徴に則っているのかもしれないが、アクション性が大きく向上している分、気になる点である。
なお、過去作と違って照準の自動補正はない。細かな弱点を突かないと厳しいゲームデザインもあり、むしろアクション面でのハードルはかなり高くなっている。
この辺りは他にTPSのプレイ経験があるかどうかで大きく見方が変わってしまい、TPSのように緻密さが要求される操作性にするとこれまでのプレイヤーがついて行けなくなる可能性も捨てきれない。
結果的にはFPSにとらわれず独自のプレイフィールをもたらし、落ち着いて射撃できるという利点も存在する。
「走る」が右スティック付近のボタンに固定されており、ダッシュ中はカメラ操作が困難になるのも不便。
本作は当初GC独占供給と発表されており、「ボタンの少ないGCコントローラに合わせた操作性」との見方もある。
VR版では現代のFPS/TPSや、他のVRゲームに準拠したスティック操作に変更されている。
人によっては3D酔いを起こす場合がある。「前作までは全部クリアしたが、今作は最初の村で断念した」という人も。
物陰にアイテムが隠されている場合も多い。アイテムの位置を知らない初心者ほど、上下左右に視点を動かして探すので酔いやすくなる。
中盤のアシュリー操作パートでは、視点が『CV』のような半固定カメラになり、これ自体はファンサービスとして機能している。
しかし操作感が通常のTPS視点と変わらないため、従来のラジコン操作と比べて旋回性能が低く、もっさりしていてかなり操作しづらい。カメラワーク的にも敵の位置が捕捉しにくいため、画面に映っていない敵にいきなり掴まれてしまうことも。
なお、海外版ではこのアシュリー操作パートでもTPS視点にされている。無論こちらの方が操作はしやすい。
QTEに対する不満
ムービー中に多く見られる強制発生のQTEは、基本的に「成功=生存/失敗=死亡 」となっている上、入力候補の全押しが通用しない ために落ち着いてムービーを見ることができず、入力のシビアさも相まって初見殺し と化している。
1つのムービーで何度も発生したり、連打の後に他のボタンの同時押しを要求されるなど、悪い意味で隙が無い。 特に、難易度プロの落石やクラウザーとの初遭遇ムービーは極めてシビア。タイミングが合わない人は何十回も死に続ける。
落石は連打 → 他のボタン同時押しの例で、しかもかなりの連打を要する。これが序盤から登場するため、冗談抜きにここで詰まるユーザーもいた。
クラウザーとの初遭遇ムービーはかなり長いうえにスキップできないので、途中で失敗=死ぬとまた見直す羽目になる。
本来のゲーム性と関係ない部分で行き詰まっては何度もリトライさせられるなど、ストレスを感じる方が多いのでかなり批判された。QTEに関する議論や掲示板でも、「悪いQTEの代表例」として『4』『5』『6』の3作が挙げられる場合が多い。
カプコンも流石にまずいと感じたのか、Wii版(リモコン有)のQTEは難易度が低くなっており、PS4/One/Win版は入力候補の全押しが通用する。VR版では全てコントローラーを振るか、特定の方向に動かすとなっている。
「ムービー中のQTEは失敗=即死 」で「全押しが通用しない 」ので極めて評価が低いが、「戦闘中のQTEは成功=回避 (失敗や無視でも即死ではない)」で「全押しや連打が可能 」なので、むしろ大幅に有利になる場合もあり、高い評価を与える人もいる。
この2種類のQTEの違いが混乱を招く場合もある、「あれ? 全押し通用するのか!」からの「全押し通用しない死」は多くの人が陥っただろう。
回避アクション中は無敵だが、終了後の位置関係や攻撃判定の持続時間によっては被弾する事がある(ヴェルデューゴのシッポ攻撃など)。
これ以外に戦闘中のQTEは「入力表示中に攻撃できない」という現象を高確率で引き起こす(特にクラウザー戦で起きやすい)。
今作のボスはマグナムなどの高火力武器で怯むこともあるので、「敵の攻撃を潰せる状況で、なぜか発砲できずに被弾」という現象は理不尽。
「ムービー中のQTE」とも「戦闘中のQTE」とも異なるものに、「戦闘中の体術 」がある。体術は発動条件があり(頭を撃って近づけば回し蹴り、膝をつかせて近づけばベリィなど)、プレイヤーの意志で発動できて爽快感があるので、とても評価は高い。
ステージの問題
本作は1周あたりのボリュームがあり、バリエーションに富んだ敵やステージが用意されているので、数周は飽きずに楽しめる。
しかし、それでも一本道感が強い ために退屈だったり面倒臭く感じる場面も少なくない。
特に中盤の古城のステージはその長さに加えて、テンポが悪くやれることが少ないアシュリー操作パートの存在もあって中だるみしやすい。 大量のガナードに襲われるパニックホラー的なインパクトもあり、「序盤の村が一番楽しかった」と語るユーザーも多い。
例を挙げると古城の終盤から孤島全体にかけて、「仕掛けを作動させる → 敵が出現し、仕掛けを解除される → 敵を倒し、仕掛けを再度作動させる → さらに敵が出現する」といったパターンが多く見受けられる。
さらに、仕掛けの半分近くが連打系統で面倒。パートナーに任せても結局は敵との長い戦闘と同じことの繰り返し。なぜこのような手順を踏む必要があるのだろうか。
他にも孤島は仕掛けがカードキー一辺倒で捻りがなく、かなり不評である。
敵クリーチャーの配置が極端にガナードに偏っている。
旧作でもゾンビが圧倒的に多く登場していたが、中盤以降はハンター・リッカー・ドレインディモス・エリミネーターと言った「高HPと素早さを両立した中堅クラスの雑魚」の配置が増えていた。
しかし、今作は終始ガナード尽くしであり、時々「集団中ボスのような扱いで他クリーチャーがまとめて出現」というパターンの繰り返し。
また、劇中のファイルにある「プラーガを植え付けられたもの同士は意志疎通できる」という設定が敵配置に活かされていない。エルヒガンテに至ってはムービー中で味方のガナードも御構い無しに叩き潰す 始末で、プラーガの支配がほとんど意味をなしていない。
ただし、エルヒガンテや設定上のガラドールに限らず、プラーガが寄生しているからといって完璧に連携が取れる訳ではない。意思疎通できると言ってもそれで知能の低下や狂暴化を補えるほどではないようである。
ガナード以外ではコルミロス・アルマデューラ・ガラドールなどが存在するが、どちらも出番は3回程度で、カラスやヘビにすら劣っている。
リヘナラドール系とノビスタドールは出現数が多いが、後者に関しては出現数が多いだけで、登場機会自体はやはり3回程度しかない。
だんだんとホラーではなく戦争モノになる流れ。
最初は顔色悪い村人 → プラーガ露出と薄気味悪い要素からクリーチャーモノヘ上手く変化するが、古城 → 孤島となるにつれて敵のビジュアルが傭兵のような武装兵になり固定砲台のガトリングや大砲、ロケットランチャーなどで武装し始める。ついには携行式のガトリング砲で武装した敵なども出現し、機銃や爆撃の音が鳴り響く戦場と化してしまう。
こうなると『バイオハザード』よりランボーや他の戦争映画の様に見えてくる。思い出した様に中ボス戦やプラーガ露出を入れてくるが、近代兵器を振り回してくる敵にもはやクリーチャーを相手にしている感じはない。
要するに「敵が武器を持つガナードに偏っている → 終盤だから強い敵を出す → 戦闘向けの兵士タイプがぞろぞろ出てくる」というのがこの原因であり、孤島エリアでも「旧作B.O.W.っぽいリヘナラドールやアイアンメイデン登場」などといった場面は普通にホラーとして評判は悪くない。
設定上、ここでプラーガの研究が行われていた手術室や実験室があるので、ここで製造されていたはずのガナード以外のクリーチャーがメインで出てくるようにすれば幾分印象も変わっていたかもしれない。
孤島以降に出現する戦闘員は、宗教団体の私設部隊なので重火器が扱えないという設定。しかし邪教徒を含め、何故かロケランとガトリング砲台を扱う個体がいる。
また、ゲーム開始が昼間で明るく、途中から夜になるが前半に集中し、中半は「照明明るい城内」後半は「敵要塞」と暗がりが少なく、そしてまた明るい外に出る。
次回作ほど真昼間ではないが、前3作の様な「薄暗い不気味な場面」や「夜の不気味さ」が少ない。特に城内は赤い絨毯やシャンデリアなど、どちらかというと「華やか」な場面が多い。
前作のリメイク版『バイオハザード 』や『バイオハザード コード:ベロニカ 』が「暗すぎてアイテムが見えない」とよく指摘されたが、確かに明るくなりそういった問題点は解消されたものの「人が生活する明るさ」のレベルである。
ゾンビではないガナードの「普通に暮らしている寄生された人達」の演出もあるだろうが次回作を含め、明るい方へ偏っている。
シナリオの完成度
アクション映画的な演出や息つく間もない連戦の数々でプレイしている最中はあまり気にならないかもしれないが、見回してみると本作のシナリオはシリーズ中でもかなり薄くツッコミ所も多い。
+
ネタバレにつき折り畳み
レオン達をどうしたいのか謎の敵陣営。
序盤でレオンを気絶させて監禁し、プラーガの卵を植え付けるのだが、その直後にガナードが大斧でレオンを殺しに来る 。レオンを洗脳して味方にしたいのか、それとも始末したいのかはっきりしない。
「レオンと共に監禁されているルイスを処刑しに来た」という見方もあるが、この時点ではルイスから重要な情報を引き出せていないため、やはり不自然さが残る。
その後の調べで、監禁はサドラーの命令を受けた村長によるものと判明し、さらに進んだところでレオンは村長に拘束される。しかし、村長は「同族になったようだが目障りになるようなら容赦しない」という旨の発言をした後、レオンを解放してその場を去る。 捕獲するつもりはないのかと思いきや、そのすぐ後に「脱走したレオンとルイスを捕獲せよ」という村長からの指令文が見つかる。
アシュリーは教団の企みにとって欠かせない存在であり、死なせると利用価値を失ってしまうので「殺さずに奪い返せ」という命令が下っているはずなのだが、村長もサラザールもその他のいろんな敵も、アシュリーを殺す気でいるとしか思えない行動をとっている。
村長はアシュリーを連れて逃げるレオンに対して、知性が低くまともに制御できないエルヒガンテを放ってくる。進行ルートによっては遭遇しないものの、エルヒガンテはアシュリーに対しても見境なく攻撃するだけであり、明らかな人選ミスと言わざるを得ない。 サラザールはアシュリーを殺そうとしたり、捕らえて儀式を行おうとしたりと行動が支離滅裂。 2人ともサドラーの命令に従っているのだろうか?
標準的なガナードは、レオンを見かけると攻撃し、アシュリーを見かけると捕まえようとする。これ自体は問題ないのだが、レオンへの攻撃にアシュリーが巻き込まれる可能性があり、体力次第では死亡してしまう。
そしてガナードは様々な武器を使う。たとえば手斧・鎌・フレイル・スタンロッド・チェーンソー・ボウガン・ダイナマイト、投石器など。どれもたいへん危ない。 とくにダイナマイトや投石器は大雑把な範囲攻撃であり、アシュリーを巻き込む可能性を考えると迂闊に使用すべきでない。にもかかわらずアシュリーがそばにいても平気で使ってくる。
サドラーと初めて対峙したとき、邪教徒ガナードがアシュリーを連れたレオンに対してボウガンを放ってくる。間一髪で避けられるのだが、紙一重でアシュリーに当たりかねなかった。レオンよりもアシュリーに当たりそうだったほどに。
ガナードが車やトラックに乗ってレオンとアシュリーめがけて突っ込んでくるという場面がいくつかある。うまく対応できなかった場合、レオンだけでなくアシュリーも死んでしまう。
物語後半ではブルドーザーで移動する場面があるのだが、運転席にいるのがアシュリーだけであるにもかかわらず、なぜか正面からトラックが突っ込んでくる。 また、この場面のガナードはアシュリーを捕獲しようとせず、手持ちの武器で迷うことなく攻撃してくる。
これらの行動でアシュリーが死んでしまえば当然のことながら計画は失敗。合衆国からの恨みだけが残る。 人質という抑止力を失ってしまえば、名前も活動地点も割れている教団に未来はない。まさに百害あって一利なし。いったい何を考えているのか本当に理解不能。
余談だが、約2年前にもカプコンは生け捕りにしなければならない主人公を敵が明確に殺そうとするゲーム を出している。もはや割り切っていたのだろうか?
サラザールが差し向けるボス「ヴェルデューゴ」の1体は戦闘前にレオンの退路を断つ。もう1体とは直接戦わないものの、レオンがサラザールに刺したナイフを引き抜き投げ返す等、知性の高さが窺える。
しかし前者はレオンがエレベータで逃げた場合、主の命を受けているにもかかわらず追ってこない。
ヴェルデューゴは高い身体能力と、床下や天井裏の僅かな隙間に潜める柔軟性を併せ持っており、エレベータシャフト程度は苦もなく通れるはずなのだが…。なお、レオンが戻れば再戦可能。
サドラーはサドラーで、頻繁に連絡を入れてきては「不敵な笑みを浮かべて余裕ぶった態度で挑発を繰り返す」という姿勢を崩さない。
これは序盤から最後まで終始一貫しているのだが、そうこうしているうちに村長とサラザールを倒され、教団はほぼ壊滅状態となり、やがてアシュリーを奪還され、体内のプラーガも除去され、最終的に自分も死ぬ という間抜けな末路を迎える。
その末路は、殺す事もできたエイダを見せしめとして生け捕りにした結果、エイダからレオンに渡ったロケットランチャー(特殊弾)で爆殺される というもの。 いくらなんでもあんまりである。彼は今回敵対することになる教団のトップであり、自称「この教団のカリスマ」とのことなのだが…。
目前にレオンがいるのに殺さず立ち去り、部下を殺されても悔しそうな様子は一切見せないなど常に余裕ある態度を取るため何か強力な切り札でもあるのかと思わせられたのだが、特にそんなものはなかった。
最終決戦でも、レオンを体内のプラーガを通じて操ろうとするも、既にすぐ手前の部屋にあった放射線機器でプラーガを除去されていたために失敗する。 そんな所にあったら使われるに決まっているのに、まだ寄生されていると思って得意げに手をかざし「無駄だ」と返される様は実に間抜けである。
最初の敵である村長、中盤の敵であるサラザール、最後の敵のサドラーと三度に渡って「いかにも仕込みがありそうな敵なのに、普通に戦いが始まって倒したらそれで終わり」という展開になるのでとにかく単調である。
村長もサドラーも、対決前のイベントではレオンを圧倒したりエイダの銃撃を物ともしなかったりなどで「こんな奴に勝てるのか」と思わせるような強大さをアピールする割に、いざ対決となれば普通にクリーチャー化して普通に倒せてしまう。
人間の姿の時の方が強いのでは、と言いたくなる。実際PS2版以降で追加されたエイダのシナリオで人間状態のサドラーと戦闘する場面が存在するのだが、クリーチャー化した後より強敵と言われることが多い。どうやらこの教団にカリスマはいなかった様だ。
サラザールに関してはひたすら小物感を出しながら、最後に「プラーガ母体と融合して巨大なクリーチャーと化す」という形で意表を突いてくる。他に比べれば仕込みがあり、インパクトも残せている。
ただ、この母体も重要な存在の割にサラザール共々終盤に差し掛かる前に倒してしまう訳だが。
レオン側の行動にもツッコミどころがある。
レオンが落とし穴に落ちた際に鉤付きワイヤーを使って落下を防いだり、アシュリーが攫われそうになったときに咄嗟に発信機をくっつけるなど「そんな便利な道具があるなら最初から使え 」と言いたくなるシーンがある。
レオンはアシュリーと合流した後に合衆国に救援を求めるのだが、寄こされる救援はヘリ2機のみ。大統領が絡んでいるにしてはあまりにも援護が頼りなく、案の定どちらもカプコン製ヘリのお約束で撃ち落とされてしまう。
一応、裏切り者の存在から合衆国は戦力を小出しにせざるを得ないという説明が作中ではなされているが…。
作中では何度か危険な感じがするからとアシュリーを待たせてレオンだけで進むシーンがある。しかしボス戦前は分かるのだが、あるマップは説得力に乏しい上にかなりの時間放置することになる。
そこでアシュリーを待たせる理由は、1人乗りっぽい動く足場があったからというだけ。結果的にその奥のマップでキーアイテムを回収して戻ってくることになるのだが、そんなことはこの時点では分かりようもなく、普通に考えてこういう所で庇護対象を放置するものではない。
しかも、ボス戦前のように「隠れてろ」とは言わず、ただ「ここで待ってろ」と告げるのみ。ゲーム的には大丈夫とは言え、もしその間に敵に捕まったらどうするのだろうか。しかもここは、奪い返されていたアシュリーを再度救出した直後 である。
メタ的な話をするなら、その奥は炎のトラップやギミックが施された危険なマップであるため、アシュリーがいたら攻略上不都合だと言うことかもしれないが、ならばアシュリー同行時に行くようにしなければ済んだ話ではないだろうか。
全体的に、ゲーム的な都合なのはわかるとはいえ状況にそぐわない行動が多々指摘されており、バカゲー的な雰囲気が出てしまっている点は否めない。
敵味方のどちらにしても「ゲーム中でのキャラクターの行動」と「シナリオを考慮したときの行動」がまるで一致していない。矛盾すらしているため非常に強い違和感が生まれている。
こういう問題がシナリオに起因しているのは事実だが、一部の演出を少し変えることで回避できた場面もあったはず。
上でも記されているが、サラザールが吊り天井の罠でレオンをアシュリーもろとも殺そうとしたり、アシュリーが運転するブルドーザーにトラックが突っ込むような描写は完全な蛇足であろう。
カットしてもシナリオの大筋に影響はないし、むしろ付け加えているがために余計な違和感が生じている。まさに蛇に足を描き足す行為である。
これはシナリオライターだけの問題ではなく、制作スタッフ全体がおざなりに作っているように思える。一応シナリオに関しての理由はあるようだが、それは後述。
根本的な問題として、本作のストーリーはかなり盛り上がりに欠けている印象が否めない。
基本的に本作は「敵を倒しつつ先に進む → アシュリーが合流/離脱 → 幹部から連絡が来る」という流れであり、それが終始続く。
『1』の仲間の裏切り、『2』終盤のドラマチックな展開、『3』の主人公のTウイルス感染、『CV』のスティーブの悲劇といった、過去シリーズにはあった危機的盛り上がりが少ない。
ルイスについてはレオンとの共闘やその最期などから本作では比較的盛り上がり所を担ってはいるのだが、ストーリーの約半分が終わった頃というかなり早い段階で退場してしまう。
エイダとの関係も、再会しただけでストーリー上の大きな進展はなし。背後に見えるウェスカーの影も結局影だけで終わる。最終ボスとの決着も『2』のオマージュであり、全体的に淡白。
レオンが上述したように肉体的・精神的にタフになったのに加え、エイダの方も女スパイのイメージをより強調した峰不二子 のようなキャラになっているので、この2人のやり取りはハリウッドのアクション映画的ノリが強い。
ライバル格であるクラウザーに関しては戦闘シーンこそ大掛かりなイベントで描かれるものの、レオンとの因縁などの過去に関してはほとんど語られない。
そもそもレオンと遭遇したそのチャプターで倒されてしまうという退場の早さなので、掘り下げるのが難しかったか。彼の掘り下げは後の『ダークサイド・クロニクルズ 』まで待つことになってしまった。
サポートキャラのハニガンも城に入って間も無く通信不能、次の登場はエンディング後という影の薄さ。通信機も、ゲームの3分の2は敵との会話専用機になってしまう。
危機的盛り上がりとなり得る「序盤からレオンとアシュリーを蝕み続けていた寄生体」についても、上述した通りラストバトル前に都合良く設置された放射線機器であっさり除去されてしまう。
作中では徐々に侵食が進む様子が描かれたり、孵化したら普通の方法では除去できないなどと語られ、「一体どうなってしまうのか」と緊迫感を与えるのだが、最後の最後で急に出て来た機械で一発解決である。
しかも薬で抑制を続けてきたレオンはともかく、彼よりも先に卵を植え付けられて抑制もしていなかったアシュリーすら簡単に除去に成功するのはいささか拍子抜けであり、御都合主義と言わざるを得ない。
アシュリーは作中でも「儀式」なる何かを施されたり、「たぶん彼女が先にやられる」と忠告されたり、終盤にはサドラーに操られるシーンすらもある。
これらの描写から体内のプラーガは相当成長が進んでいるように思えるが、除去の処置は少し苦痛に喘いだだけで驚くほどあっさり済んでしまう。
直前にも怪しい機械に掛けられており、レオンに助けられた時は意識が朦朧としていたのだがマップを切り替えた瞬間に正気に戻っており、普通に歩けている。
エンディングではアシュリーがレオンに「あの女の人誰なの?」とエイダのことを尋ねるが、そもそもアシュリーはエイダとまともに会っていない。
一応、ラスボス前に救出するシーンではエイダが敵に銃撃する隙にアシュリーを助けるが、前述の通りこの時のアシュリーは意識が朦朧としており、エイダの存在を認識できているかも怪しい。
流石におかしいと思われたか、やや強引だが「the another order」にてラストバトルの最中にエイダとアシュリーが目を合わせている場面が描写された。
最終的に爆破された孤島はともかく、村や古城で生き残ったであろうガナード達がその後どうなったのかが全く語られていない。
プラーガに命令する教団の幹部が全員死亡し、村の入口も崩壊したので犠牲者が増えることは無いだろうが、危険な寄生生物であるプラーガとその宿主が多数健在なことに変わりはなく、一抹の不安が残る終わり方となってしまっている。
これと同様の結末は『デビルサマナー 葛葉ライドウ対アバドン王 』などでもあるので、この手の微小生物系の「生物災害」のシナリオでつきまとうものとも言える。
強いて言えば前々作と前作で「ミサイルで街ごと破壊して滅菌」という力尽くで解決した例がある。また、後のシリーズでは対B.O.W.特殊部隊などが事件後にクリーチャー殲滅を行なう描写もある。
ただ、この手のシナリオにおける主人公の目的の大半は「生きて脱出すること」であり、それを保留にしてまで自力での脅威の殲滅に拘る作品はそうそう無い。本作のレオンも「アシュリーの捜索・奪還と保護」が目的であり、ましてやアシュリーを連れ回してまでプラーガ殲滅などする理由も無い。
後の作品ではやはり爆発で解決したり、また特殊部隊が乗り込んで解決するという例もあるので、中途半端な描写は制作側も意識していたのだろう。
PS2版の追加シナリオ「the another order」の一部が本編と矛盾している。
序盤の村でエイダが敵に捕まって長時間意識を失っていた事が判明するが、本編の時系列的ではレオン宛ての手紙を書いていた時であり、矛盾が生じる。
本編のレオンは「村長に襲われるもエイダに助けられる」→「湖へ向かい、ボスを倒した後に意識を失う」→「目覚めた後、エイダからの置き手紙を発見する」→「アシュリーを救出し、ルイスと共闘」の流れを踏んでいるのだが、こちらのエイダの足取りは「村長からレオンを助ける」→「直後、村長に麻酔銃を撃ちこまれる」→「殺されかける寸前で目覚めて窮地を脱する」→「レオンと共闘した後のルイスと接触」である。見ての通り、手紙を書いていたはずの時期は丸々眠っていたのである。
この追加シナリオはいわゆる「後付け」だが、後付け故に辻褄合わせはやりやすかったはず。
ついでに言うと「村長からレオンを助ける」のイベントにはちょっとした発生条件があるため、プレイヤーによってはこのイベントを見ていないというケースもある。そういう意味でもさらにおかしい。
それまでの諸悪の根源であった巨大製薬企業「アンブレラ」が、今作ではストーリー開始前に崩壊している。
しかもその理由が「アメリカ合衆国による業務停止命令」とあっさりしたもの。「アメリカ自体がアンブレラの有力な顧客である為、表立ってアンブレラの悪事を糾弾できない」という公式設定があったのだが…。
これに関しては、後の『アンブレラ・クロニクルズ 』等において「ラクーンシティ消滅という最悪の事態が発生しアメリカ政府がこれ以上の隠蔽が不可能と判断して業務停止に踏み切った」という回答でフォローされている。
だがいずれにせよ『3』のエピローグでは事態を隠蔽し続ける社会的な巨悪との孤独な少数派の戦いといった趣を呈していたこともあり、また『2』も『CV』も「さあ!反撃開始だ!」と言わんばかりのエンディングだったため、アンブレラへの本格的な反撃が始まるものとばかり思っていたプレイヤーにとっては肩透かしとなってしまった。
『2』のラストで「アンブレラをぶっ潰す」と息巻いていたレオンが合衆国エージェントになっている件については、『3』のエピローグで示唆はされていた。しかし『3』で決意を新たにしたジル、『CV』でやる気満々だったクリスがどこで何をしていたのかが明かされるのは『UC』まで待つことになってしまった。
開発初期のトレーラーやプレイ動画を見る限り、おそらく初期の段階ではレオンによってアンブレラとの決着が着けられるという内容になるはずだったのではないかと思われる。
このように本作のシナリオは問題点が山積みだが、何しろこれはわずか3週間 で作られたストーリーなのである。制作側もストーリーの問題点は把握していた模様(後述)。
これを踏まえてか、次回作の『5』以降はストーリー性が大幅に向上している。
武器・アイテム周りのシステムについて
入手アイテムのケース内への自動配置が機械的で、散らかりやすい。
どんなアイテムでもケースの左上から収納していくため、アイテムを拾えば拾うほど弾薬・回復薬・手榴弾が雑多に配置されてしまう。
デフォルトの向きで置けない場合は右に90度回転させてスペースを探すもののそれ以外の機能、例えば種類別の自動整頓はない。
消費アイテムの多くは2x1マスのサイズだが、回復薬と手榴弾は縦向きに、弾薬は横向きに置かれてしまうことがより拍車を掛けている。
弾薬を無限にする手段が本作には(一部の武器を除いて)存在しないので、特定の武器のみでプレイしたい場合は弾薬の確保に悩まされる。
ハンドガン、ショットガン、マシンピストル、マインスロアーの弾薬は、一定数所持しているとランダムドロップの候補から外れてしまう。その他の武器はドロップ制限が無い代わりに確率自体が低い。
例外としてハンドガン系のみを所持している場合は、ハンドガンの弾薬のドロップ制限がほぼ無くなる(999発になる)。
そのためハンドガン縛りは比較的容易であり、開発側も想定しているものと思われる。それなら他の武器も同様の仕様にしてくれても良さそうなものだが…。
このためハンドガン以外の武器で縛りプレイを行うには、予め周回して弾をストックしておくしかない。
ショットガン、マシンピストルは弾薬が特定箇所に固定配置されているので、周回していれば、相応の時間は掛かってしまうが必ず集まる。 マインスロアーは弾薬の固定配置が無く、弾を集めるためには工夫が必要。
弾数無限の隠し武器を購入できる(=ゲームバランスが崩壊してもいい)2周目以降で弾薬購入を解禁してくれれば、特定武器による縛りプレイもやりやすかっただろう。
その一方で、ハンドキャノン本体が弾数無限でも弾薬はドロップし続けてケースを圧迫する等、少々困った仕様もある。
その他細かな点
本作では銃器でギミックを動かす箇所が複数存在するほか、ナイフで倒せない一部の敵が撃破必須となっているため、シリーズ伝統の縛りプレイ「ナイフクリア」でも銃を持ち歩かないと詰むシーンがある。
もっとも「ナイフクリア」は初代の時点で完全な達成はバッドエンドでしか不可能な縛りだったりするので、元々「絶対無理なところは仕方ない」プレイなのだが…。
体術アクションが可能な敵と、ドロップアイテムが重なると体術が出にくい。
というのも、敵が近くにいる際にアイテムを取得すると、体術が可能な状態の敵であってもコマンドが消えてしまう。
ハンドキャノンの微妙な性能と入手方法。
入手条件は「THE MERCENARIES」において、5キャラx4ステージの全てで6万点以上を取るというもの。
時間延長アイテムの確保や独自のスコアシステムを把握しないと厳しく、特に巨大チェーンソー男の処理が難しいレオンはステージ4が鬼門。
そもそもこのハンドキャノン、こうまで苦労して入手するほどの武器かと言われれば、正直かなり微妙なところである。
一応2x4マスという省スペースで、限定仕様にすれば威力99.9+弾数無限になり、弾薬も高額で売れるという高性能な武器ではある。
しかし、シカゴタイプライターの方が圧倒的に強力で使いやすい上、入手も遥かに簡単なのでハンドキャノンの立つ瀬がない。
Wii版以降ならP.R.L.412も恐ろしく強力なので、ますますハンドキャノンの価値がない。せめて入手条件が逆なら良かったのだが…。
国内GC版には「ガナードを頭部攻撃で倒すと頭が吹っ飛ぶ」というゴア表現があるが、PS2版以降ではカットされている。
その割に、プラーガが出てくる場合はどこを狙っても頭が吹っ飛ぶ。レオンが原因じゃないからいいということか?
ただ、頭部攻撃で頭が吹っ飛ぶと、倒したのかプラーガが出現したのか瞬時には判断できないというデメリットもあるのでこれに関しては一概に悪いとも言えない。
レオンが特定条件で使用できる体術「ベリィ・トゥ・ベリィ」は、海外版ではそれで倒した場合は頭部が破壊される演出が入る。
しかし、PS2版以降はガナードの頭部が破壊されない為、倒したかどうかを振り返って、あるいは音で確認する必要がある。
なお、海外版は全ハードで規制はなく、他にも「特定の即死攻撃でレオンの首が取れる」など国内版では見られないゴア表現が用意されている。
ちなみに、ゴア表現のデータ自体は日本版にも収録されているものの、正規のプレイでは規制を解除できない仕様となっている。
総評
ゲームシステムのフルモデルチェンジに成功し、完成度の高い傑作アクションホラーゲームに生まれ変わった。
今作によって本シリーズはハードパワー的な制限による過渡的な仕様を脱し、3D空間の中に没入して戦闘を繰り広げる、よりリアルなゲームとなった。
「『バイオハザード』ならではの要素」が多少減じているのも事実だが、ある意味で今作にて始めて本当の3Dゲームになったともいえる。
操作性の改善や娯楽性の高さから多くのユーザーに受け入れられ、国内外でゲームアワードを受賞している。
移植
+
PS2版
本作は当初GC独占供給と発表されていたが、GC版発売前にPS2版の発売が発表され、約1年遅れで発売された。
テクスチャが粗かったりシェーダの再現が出来ていなかったりと、GC版よりグラフィックが劣る。
具体的にはイベントシーンがプリレンダリングムービーなのでコスチュームチェンジが反映されない、GC版で破壊できたランプや松明などの照明オブジェクトが破壊できなくなっているなど。元々GC用に作っており、PS2の処理能力ではどうしても無理な部分があるためだろう。
そもそもGCに特化し限界まで性能を使って製作されているため、それより性能の劣るPS2への移植は困難を極めた。移植と言うよりもリメイクに近かったらしく、公式HPの移植開発話 のスペシャルからそのあたりの苦労を見ることができる。
ちなみに全ハード共通のバグを利用することで、冒頭の村で本来は残り人数が少なくなったときにレオンのいる位置に応じて数名ずつ出現する増援を一度に出せるのだが、PS2版のみ処理能力を超えるらしく全増援出現と同時にフリーズして終わる(GC版などは処理落ちはしてもプレイ続行可能)。
他にもガナードの同時最大出現数が少なくなりその分HPが増加、一部効果音や音声が削られているなどハードスペックの制限による影響を少なからず受けている。
ただしGC版よりも媒体が大容量であるため、ディスクチェンジの必要はなくなっている。
追加要素は新コスチューム、エイダを主人公とした追加シナリオ「the another order」と、イベントシーンの再生が可能な「ムービーブラウザ」に加え、新武器「P.R.L.412」に、EASYよりも簡単な激ヌル難易度「AMATEUR」など。ただでさえ苦労する移植において、より良いものを創ろうとする意欲が感じられた。
アシュリーに無敵コスチュームが追加されたこともあり、GC版と比較して全体の難易度はやや下がっている。
以上のように列挙すると元のGC版からの劣化点が目立つように見えるが、移植に苦労したとある通りPS2版単体で見れば当時の水準は充分に満たしており、劣化点も他ハード版と見比べて初めてわかるという程度のものである。
根本のゲーム性は決して失われておらず充実した追加モードもある良移植であり、PS2がメインハードだった当時『4』普及に大いに貢献した。
+
Windows 2000 / XP版
海外版は2007年2月23日、日本語版は6月7日発売。「旧PC版」とも。後述のSteam版とは別物なので、購入時などは混同しないよう注意。
現在は入手困難。現行OSに対応したSteam版(HDリマスター仕様)があるため、純粋に『4』をPCでプレイしたいがためにこれを選ぶ必要性はほぼ無い。
PS2版の移植だが、PS2よりも解像度が向上しており、ロードも早い。
元がPS2版なのでムービーはプリレンダ仕様。コスチュームを変えても反映されない。MODを入れた場合も同様。
ゲームパッド対応で操作性も申し分ない。逆にキーボード+マウスの操作では、大抵のPCゲームにあるマウス操作関連設定が無いので、有志のパッチを当てないとプレイに著しく支障が出るほどだった。
MODによる拡張が可能なのが他とは異なる点。全盛期は様々なMODが登場し、かなりの盛り上がりを見せた。キャラモデルばかりではなく、HD版並みに高画質化するMODも存在する。
主人公はもちろん、敵やアイテムも他のモデルやMODに差し替える。アシュリーで本編をプレイする 、などとPCならではの改造プレイも盛んだった。
後述のSteam版はファイル構造が違うため、旧Win版用MODは使用できない。特にキャラモデルはSteam版では2万ポリゴン以内という制限が設けられており、こちらのMODを移植するのも容易ではない。
そのため、MODプレイヤーは敢えてこちらを愛用し続ける人も少なくなく、未だ旧Win版用MODが海外フォーラムに投稿されているほどである。
問題は非常にフリーズ&エラー落ちしやすいこと。特にランタイムエラーはいつ出るか分からないのでタイプライターを見掛ける度にセーブするのが得策である。
DRMは悪名高いSecuRomを使用しているせいでPC環境によってはインストールできても正常に起動しないということも。
また、GC/PS2版で対応していたサラウンド環境には非対応になってしまった。
対応OSはWindows2000、XPだがDirectX9を入れればWindows 10や11でも起動可能。
+
Wii版『バイオハザード4 Wiiエディション』
2007年5月31日発売。
2017年7月5日より、WiiU向けにダウンロード版が配信されている。
Wiiリモコンによる操作とゲーム性がマッチしており、リモコンを振るだけでナイフ攻撃とリロードができる、サーチナイフ機能(近くの対象物を自動的に探索しナイフ攻撃を行う)と言った改良点が高く評価され、Wii初期の傑作と評されている。
いわずもがな、銃撃はリモコンのポインタによる直感的なエイムが可能であり、「狙って撃つ」という本作のゲーム性が実に調和している。
前述の通り、QTEを全てWiiリモコン1本でこなせるようになったのも大きい。連打がリモコンを振る動作へと変更され、ボタンも常に指がかかる位置にあるため比較的容易になった。
説明書には記載されていないが、ヌンチャクを抜けばGCコントローラやクラシックコントローラでも遊べる。その場合の操作は他機種と同じになる。たまには気分を変えて別コントローラで遊んでみるのもいかがだろうか。QTEのコマンド表示も現在使用中のコントローラに応じたものになる。
グラフィックなどはGC版をベースにしつつも、PS2版の追加要素を完備。PS2版で追加されたスペシャルコスチューム2以外のコスチュームはムービーに反映される。
「THE MERCENARIES」でレオンとエイダのコスチュームチェンジができるようになっていたり、PS2版で追加されたクリア特典武器「P.R.L.412」のチャージ攻撃が強化していたりと、細かな追加要素がある。
「P.R.L.412」はチャージ時間が1秒未満まで短縮。さらに前方の空間を球状にサーチし、複数の当たり判定を即死レーザーで同時に撃ち抜くという超強化が施された。
一応の欠点として、最高難易度の周回プレイでしか使用出来ない、アタッシュケースを圧迫する、構えるのが遅い、超遠距離と背後はカバー出来ない、有用な存在のニワトリまで倒してしまう等が挙げられる。
AIの改良、GC版よりも多いガナードの出現数など全体的な難易度は上がっている一方、AMATEURはさらに簡単になっており、未経験者・経験者共に楽しめる作りになっている。
ナイフの威力が若干上昇している。ただし手動で構えて振ったときのみであり、リモコンを振るサーチナイフは従来の威力。
初期版には2体のみだが鉄仮面から寄生体が出る。ベストプライス版では修正されている。
このゲームエンジンは『DEAD RISING 』のWii移植版『DEAD RISING ゾンビのいけにえ』にも流用されている。
しかし、あちらは同じゾンビゲーでも過去作は元より本作以降の『バイオハザード』ともゲーム性が異なるため、本作の操作体系やシステムを取り込んだことでオリジナルとはほぼ別作品となっている。
+
iOS / Android版
2009年7月12日配信開始。450円(税込)。通常の『バイオハザード4』の他、同内容の別アプリで『バイオハザード4 LITE』『バイオハザード iPad edition』がある。
無印の方は普通の有料アプリ。
『LITE』の方はダウンロード無料で、iOS版のみ。0章~2章が無料で、それ以降は章ごとに追加購入。
LITEの方で全部買うと無印より高くなるので、全部買う気なら無印を買えと公式でも解説されていた。LITEのほうは動作確認版のような存在だったと思われる。
『iPad edition』は12章まで配信。
ゲーム内容は大幅に改変されている。原作における「村」「教会」など1マップを1ステージとし、その中で「一定時間生き延びる」「鍵のかかった扉を開ける」などのクリア条件を満たして次のステージへ進んでいく。
クリアしたステージは何度でも遊べる。繰り返しプレイして金と弾を貯めることができるため、簡単なステージでじっくり稼いで難しいステージを力技でクリアすることも可能である。
ステージは通常プレイだと12章のサドラー戦まで。それ以降は22章までDLCで「THE MERCENARIES」同様のステージがある。
各ステージには宝石などの換金アイテムが隠されている。移植元より多く配置されており、これらを探す楽しみもある。
ステージの最初と最後にストーリー解説が入る。省略されている箇所が多いが、一応ストーリー全体の流れは再現されている。
移植元では敵が出なかったステージでも続々と敵が出現する。例えばアシュリーを救出する教会では、救出後の屋内でいきなりチェーンソー男と信者集団が出現する。もちろんアシュリーがやられれば敗北である。
「THE MERCENARIES」仕様でストーリーを遊んでいるような感じである。
操作は上下左右入力のバーチャルパッド、銃アイコン(銃を構える/撃つ)、ナイフアイコン(ナイフを構える/切る)の3つを基本とし、構え中に表示される移動アイコン(構え解除)、適時表示されるアクションアイコン。
バーチャルパッドは通常は「移動」し、構え中は「狙う」になる。構えている間は移動できず、移動のためにいったん構え解除をはさむため、素早く立ち回るのは難しい。
バーチャルパッドでは「サイドステップ」が可能である。バーチャルパッドで素早く左左・右右を入力すると向きを変えずに2歩分程度移動することができる。
構え中にも可能なので、慣れると武器投げをとっさにかわして反撃、建物の角から撃ってすぐ隠れる、などの動作を行える。上記の構え動作に伴う機動力低下を補うための追加要素なのだろう。
武器は移植元と同様。ステージを進めていくとシカゴタイプライターも購入可能になる。
追加武器として他移植にも無い「無限手榴弾」が存在する。文字通り無限に投げられる手榴弾で誰であろうと爆殺していける。
ただし、普通の手榴弾と同じく爆発までのタイムラグを考えなければならないし、自分も爆風に巻き込まれるため、考えなしに投げまくればいい武器ではない。けっこうテクニカルな遊び方ができる武器である。
即死QTEは廃止。ヴェルデューゴの攻撃回避など一部の回避アクションが残されている。ボス戦のQTEは連打がなく、成立するとナイフ攻撃等の静止画が表示されダメージが入るしくみ。
グラフィックは荒めでPS1程度。これは当時のスマートフォン性能では仕方ないところ。いちおう当時のスマホゲーとしては良い方である。
上記のように、「THE MERCENARIES」感覚で敵を倒しまくるゲームであり、ホラーゲー要素や探索要素はほぼ無くなっている。
現在は配信停止されており正規に遊ぶ手段はない。
iOS版は32bitアプリであり、64bit版へのアップデートは行われなかった。このため購入済みの人でも2015年頃のiOSアップデートで起動不能となった。
+
PS3 / 360版『バイオハザード リバイバルセレクション』
2011年9月8日発売のHDリマスター版。『バイオハザード コード:ベロニカ 完全版』が同時収録されている。なお、360版は本作と『コード:ベロニカ 完全版』とで別々のディスクになっている。
Wii版を基にしており、PS2版の問題点であったテクスチャの粗さや敵の同時表示数等が解消。解像度720pでの快適な操作を実現している。
特にアシュリーのパンチラがくっきり見えるようになったのは嬉しい。
あちらで実装された「THE MERCENARIES」のコスチュームチェンジ、P.R.L.412の性能強化も反映されている。 PS3版のコスチュームチェンジは△、R2、△+R2の3通り。
残念ながらPS Move(≒Wii版のリモコン操作)には非対応。
トロフィー/実績、タイムアタックのランキングに対応。盛り上がると思われた「THE MERCENARIES」のスコアランキングは無し。
PS3/360版ともにフルインストールなのでロード時間がほぼ皆無。アタッシュケースを開くまでの時間は約0.3秒(PS3版)。セーブする際に少し長めのディスクアクセスがあるが気にならないレベル。
一方で劣化した点もいくつか存在する。
サウンドは旧PC版と同じくPCM 2chのみとなっている(GC/PS2版はドルビープロロジックIIの仮想サラウンド音声に対応)。
ライフルやマインスロアーのリロード、U-3の撃破ムービー、ラスボスの撃破ムービー(ロケラン特殊弾)で音ズレが発生する。
ごく稀ではあるが、エリアの移動時にフリーズする場合がある。
PS2版の追加要素である「the another order」全般、他の一部デモシーンはSD画質のプリレンダムービーを引き伸ばしただけ。HD化されてより一層汚くなったという声も。
ただし、これは技術的に仕方のないところではある。何しろこのシナリオは全ムービーがプリレンダムービーだったPS2版で追加されたものであり、ここのムービーも当時のプリレンダのものしか存在しない。
これをリアルタイムレンダムービーに差し替えるとなると、真っ新な状態から全て作り直さなければならないのである。
本編を一度クリアするとタイトル画面が村の風景に変化するのだが、PS2版と違って右スティックが反応しない。
+
Win(Steam)版『バイオハザード4 Ultimate HD Edition』
2014年2月27日に発売されたHDリマスター版。Steamなどでのダウンロード専売となり、比較的入手しやすくなった。
基本的には『リバイバルセレクション』を元にした移植で、Steam実績やトレーディングカードに対応している。
グラフィックはWin版ならではの1080p・60fpsに対応。テクスチャもHD化され美麗になった。
旧Win版では出来なかったマウス・キーボード操作にも対応するなど、内容的には決定版と言えそうだが…。
従来版にはなかったバグがある。パッチである程度改善されたものの、おそらくもう更新されないであろう最終Ver.でもいくつか残っている。
ある場所で敵が段差を降りられない、敵が出てこないなど。
強制発生のQTEに入力候補の全押しが通用する。もっとも、これ自体はQTEの難易度低下措置ともとれるが。
売りである60fps・HDテクスチャに完全対応したとはいえない仕様。
60fpsに設定すると一部銃の連射やオブジェクトの動きが2倍の速度になる。
60fpsでもライフル(セミオート)のリロードやボウガンの使用時は30fpsになる。
30fpsではギリギリすり抜けられた隙間が60fpsにするとすり抜けられなくなる。
HDテクスチャは取得可能アイテムと序盤の一部背景のみであり、ほとんどのテクスチャは従来のSDクオリティ。
このような出来であったからか、真の意味でのHD化を実現するMODが開発されている。
MOD導入自体はもちろん可能だが、前述した通り旧Win版とはファイル構造が違うため、そちらのMODは使用できない。導入にも一手間が必要になっており、ハードルが上がっている。
一方、ムービーはリアルタイムレンダになっているので、MODでキャラを差し替えた場合でもちゃんと反映される。
キーボードとマウスによる操作はゲームの仕様と相性が悪く、あまり高い評価は得られていない。キーボード部分についてはQTEが特に厄介で、全ハード中トップクラスの難度となっている。
移動キーから瞬時にQTEの指定キーへ押し替える必要がある。3本の指をW・A・Dキーに置いている状態から、咄嗟にXやCを押すのは難しい。
キー連打を左手で行うことになるため右利きのユーザーには辛い。ゲームコントローラに比べてキーボードのキーストロークが長いことも手伝って、連打不足で失敗しやすい。連打から別のキー入力やマウスクリックを要求されることもある。
日本から購入した場合は家庭用と同等のゴア表現規制が施される。
発売直後は規制がなかったので、アップデート前にセーブデータを作ったプレイヤーは規制なしになっている。後から購入してもセーブデータをいじれば規制なしにできるが、あくまでも自己責任である。
+
PS4 / One版
2016年8月30日にダウンロード専用ソフトとして配信開始。
PS4版に限り、後に『オリジンズコレクション』のパッケージと『4』から『6』のダウンロードコードをセットにした『バリューパック』や、『7』宣伝も兼ねてか2016年12月1日に単体でのパッケージも発売されている。
以下、基本的な仕様について。
Steam版のフルHD、60fps、HDテクスチャ設定で移植したもの。全編に渡って滑らかな動作を体感できる。
相変わらず、「the another order」全般や他の一部デモシーンはSD画質のプリレンダムービーを引き伸ばしただけ。
映像オプションにモーションブラーが追加。
アタッシュケースを開くまでの時間は約1秒(PS4版)と若干長いが、閉じる時間はほぼ一瞬。セーブや各種ロードも非常に速いのでストレスを感じない。
音源が5.1chサラウンドに対応。2chしかないPS3/360版との差は歴然で、反響音や虫の鳴き声に驚くこと間違いなし。
もちろん、普通のステレオヘッドホンでも臨場感のあるプレイが楽しめる。
相変わらずPS Move(≒Wii版のリモコン操作)には非対応。
トロフィー/実績、タイムアタックのランキングに対応。どちらの内容もPS3/360版と同一だが別作品扱い。相変わらず「THE MERCENARIES」のスコアランキングは無し。
タイムアタックのリーダーボードは上位1000人ずつに縮小。自己ベストがランキング外の場合、該当するモード/難易度のエンディングをオンライン状態で見なければ確認できない。
操作方法に追加・変更点がある。
従来通りのタイプIIIに加え、L2+R2(LT+RT)で発砲するタイプI・IIが追加。このタイプI・IIに限り、R2(RT)と□(X)のどちらでも攻撃可能。なお、「走る」はタイプを問わず☓(A)ボタンで固定。
タイプIは「移動」が左スティック、「狙う」が右スティック。昨今のTPSに近いスタイルだが、普通の持ち方では走っている状態から即座に狙いをつけられない。
タイプIIは「移動」「狙う」のどちらも左スティック。走りながらカメラを動かすプレイヤーにとって従来の操作方法に近く、右手の中指を号令専用にできる。
上記の新しい操作タイプに合わせるためか、PS4版のQTEコマンド「L1+R1」が「L2+R2」に変更。こちらは元に戻せないので、PS2/PS3版に慣れ親しんだプレイヤーが違和感なく遊ぶ方法はない。
正確にはL1⇔L2、R1⇔R2がゲーム内部で逆に処理されている模様ため、ジェットスキーのトリックジャンプや「THE MERCENARIES」のコスチュームチェンジにも影響が出ている。
本編を一度クリアした後でも、セーブデータを消さずに初期タイトル画面を見る事が可能。
Steam版のベタ移植なので、あちらのバグがほぼそのまま残っている。アップデートによるフォローもなく、次世代機への移植としては残念な印象。
+
確認されているバグ
タイトル画面で放置してもOPムービーが再生されない(仕様?)。
強制発生のQTEに入力候補の全押しが通用する(救済措置の可能性あり)。
特定の回避アクションの硬直を左スティックでキャンセルできてしまい、その瞬間に無敵が終了する。
例:こちらが壁を背負った状態でクラウザーが左腕ジャンプ斬りを使用 → QTEで最速バック転を行う → ダッシュ入力で硬直キャンセル → 直撃。
ライフルの排莢・リロード、ライフル(セミオート)のリロード、ボウガンの構え始め・発射~矢番えなどが60fpsになっていない。
装填速度Lv3のライフル、装填速度Lv2のハンドキャノンなど一部の武器でリロードの際に音ズレが発生する。
アタッシュケース内のアイテムを移動する際、予備スペースの背景が消える場合がある。
タイトル画面で「ロード中です。しばらくお待ち下さい。」の表示が消えた際、画面の暗転中にLOADを選ぶと発生する模様。
ゲームを起動してLOADを選んだ後、タイプライターのカーソルが最新のセーブ枠に移動しない。
セーブ/ロード画面のBGMに直前のBGMが小音量で混ざる。
オプションまたはゲームオーバーからタイトル画面に戻る際、直前の画面が一瞬チラつく場合がある。
直前の字幕がチラついたり、無線での会話中に長い台詞の字幕が早く消える場合がある。
ムービーのスキップ時やU-3(第3形態)との戦闘中にアプリケーションエラーが起こる場合がある。
前者は発生確率が非常に低い。後者はハサミ攻撃(地上)の連発が処理落ちを引き起こす模様。
エリア移動のモーション中、アシュリーや乗り物が黒塗りになる。
一部のエリア(庭園等)にグラフィックのチラつく箇所がある。
地下水路のノビスタドールが、振り子刃方面に続く梯子付きの段差を飛び降りる事ができない(壁走りなら移動可能)。
アシュリーパートのみ、ガナードの首しめで受けるダメージが非常に大きい。
連打しなければ初期体力(600)を一瞬で奪われるほど。
騎士の間で鎧がQTE付きの攻撃を行った後、崩れるモーションが倍速になる。
ヴェルデューゴの目が赤く光る際、細い線が地面に向かって伸びる事がある。
地下遺跡で天井から砂が降ってくる音が鳴らない。
クラウザーとの初遭遇ムービーでQTEが成功する度、次のムービーが始まる直前に映像・BGMが止まる。
環境音は止まらない。また、BGMが復帰時に若干巻き戻ったり、レオンとクラウザーの姿が消える事もある。
「ムービーブラウザ」で再生する場合、これらの現象は発生しない。
レーザートラップにすり抜けテクニックが通用しない。
U-3を倒した先でゴンドラの移動ムービーをスキップすると、エリアを移動するまで駆動音が鳴り続ける。これはPS3版でも発生する。
遺跡でクラウザーからの質問に応答した際、字幕が一瞬で消える事がある。
クラウザー(変身後)戦で開幕QTEに成功すると、爆弾起動までのモーションが倍速になる。
本編を一度クリアするとタイトル画面が村の風景に変化するのだが、PS2版と違って右スティックが反応しない(PS3版でも確認済)。
エイダ編の造船所に複数のバグがある。
エリア内に移動して数秒経つと水音などが消える。
砲台の破壊ムービー(1回目)で敵のガトリング砲台が超高速連射になっている。
砲台の破壊ムービー(1回目)をスキップすると、エリアを移動するまでガトリング砲の回転音が鳴り続ける。
エイダ編のクラウザーが自動フックショットの着地前に行動を開始する。
こちらが行動可能となった時点で密着しており、即座に距離を離しつつQTEに備えなければならない。
+
Switch版
新ハード毎に移植されている感のある本作だが、やはりというべきかSwitchでも2019年5月23日にダウンロード版が配信開始した。
通算で9回目 となる新プラットフォーム対応である。ほぼ1年半ごとに何かしらの移植がなされている計算になる。
基本的な仕様は『バイオハザード4 Ultimate HD Edition』に準じており、従来の追加要素なども全て収録されている。
注目すべきはなんと言ってもついに携帯機で『4』が出来るようになったことに加え、多少PS4版などよりもグラフィックが落ちてはいるものの依然品質的には充分なままほぼ60fpsでプレイできることだろう。
古いゲームだと思ってプレイすると素性の良さに驚くことうけあい。
リリース初期版は、ガナードのボウガンが2発同時に発射されるバグが存在していた。現在は修正されている。
しかしながら、他プラットフォームではより低価格で『5』等も売られているのに、何の追加要素もない移植の本作が3300円とは割高感がある。
後にSwitchへ移植された『5』と『6』ではジャイロ操作が追加され、『5』には不評な即死系QTEがオート化される新要素などもあるのに当移植版には何の追加要素もない。
特にWii版で本作のリモコン操作は非常に出来が良かっただけにパッド操作のみなのは残念である。
ただ、どうやらWii版のようにナイフのダメージが高く設定されている ようで、もしかしたらJoy -Con 2本持ちでのリモコン風操作を実装しようとしたが、何らかの理由で断念した名残…なのかもしれない。
『0』ではHDリマスター化に際してウェスカーモードや新コスチュームに日本語音声の追加という大盤振る舞いで、本シリーズの兄弟作品である『デビルメイクライ3 』でもリアルタイムスタイルチェンジが公式に搭載される等の力を入れているのに本当に『4』はそのままである。コスチュームすらPS2版以来一切追加されていない。
Switch Liteの場合コントローラー=本体であり、本作のプロ難易度のQTEはハード的にも優しくなく、不評でもあったことから即死QTEの自動化くらいは搭載されても良かったのではないだろうか。
当然、オリジナル版にあったバグやHD版で新たに生じたバグ等もそのままだが、本作のバグのいくつかはタイムアタックの必須テクとしても利用されており、下手に消したらそれはそれで不満点にもなったであろうが。
後に『5』及び『6』のSwitch版とのセットになった『バイオハザード トリプルパック』が登場。
セット販売の度に本作との出来を比較されてしまう他の作品にとっては晒しもののようなものである。
商品仕様はゲームカード版の『4』と、『5』及び『6』のダウンロードコードがパッケージされたものであり、本作以外は通常のDL版と変わりがないので注意。
また、たとえ『5』などが要らなくても本作のゲームカードはこのトリプルパックでしか入手不可能 である。
『トリプルパック』に付属しているダウンロードコードは日本市場版だと有効期限が存在する が、北米版であれば実質無期限 である。
北米版の『5』『6』は日本語に対応しておりリージョンフリーなので日本版の本体でも問題なくプレイとダウンロードが可能。
ただし『4』だけは多言語対応などもされていない上に昔のWin版と違いHD版と同じくカットシーンやプレイ中のアシュリーのセリフなどに英語版の字幕すら表示されないので注意(メニュー上に選択肢が残ってはいるが無効化されている)。
+
Quest版
2021年10月21日にダウンロード専用ソフトとして配信開始。Meta Quest専用のVR版。開発はArmature Studio。
最大の特徴としてこれまでの移植版と大きく異なり、プレイヤーのカメラが全編一人称視点 に変更されている。
戸棚や謎解きパズル等のギミックも直接ステージ上で触れられる仕様に変更され、そうしてアイテムを探すようになり、探索のやり甲斐が上がっているている。
その他、『Half-Life: Alyx 』や『COMPOUND 』などのような他のVRゲームで見られるような手動リロードシステムが追加され、エイム中の移動や『BONEWORKS 』のような二丁拳銃、武器ホルスターによる武器管理、などVRならではの自由な操作が可能となっていて、全体的に爽快感が増している。
一方で、階段の昇降など体に負担がかかるアクションは従来通りワンボタンで行える。
回し蹴りと言った激しいアクションはさすがに三人称カメラに切り替わる。ベリィ・トゥ・ベリィをVR視点でやられた日には確実に酔う。
とはいえ、その代わりカットシーンが『Vertigo 2』同様、VRでの一人称視点からスムーズに切り替わらない、二次元スクリーンでの表示となるので、没入感はその分下がる。
ゲームエンジンにはVR対応のため、アンリアルエンジン4が採用されている。
とはいえ、オリジナル版からのグラフィックス向上はナイフなどの武器モデルに反射が付く、テクスチャ画質の向上程度であり、原作の雰囲気は保たれている。
オリジナル版のソースコードも活用されているためか、システムの移植度はかなり高い。
とはいえオリジナル版と違いが全くないわけではない。
手榴弾の爆破範囲の縮小、投擲ガナードが視界外から投げてくる、デルラゴの体力増強、あたりが分かりやすい例か。
また、現在の社会情勢に合わせて女性キャラクターに対する性的なセリフが全て削除されている。
それ以外にもレオンとサドラーのセリフの字幕が入れ替わったり、明らかにおかしい誤訳などミスしたとしか思えない字幕表記がみられる。
2021年10月21日にマーセナリーズが遊べる無料アップデートが配布された。
オリジナル版ステージを楽しめる「クラシック」のほか、全20ステージ様々なシチュエーションに挑戦できる「チャレンジ」が新規追加された。
「クラシック」の特典はオリジナル版と変わらないが、星5基準が125000点に引き上げられた。
チャレンジモードの特典はデカ頭モードや黄金銃スキンといったあの作品 を彷彿とさせるものが多い。
「the another order」や「ADA THE SPY」の特典はこのチャレンジ特典に統合された。
余談
本作より遡ること3年ほど前の2001年頃にシリーズ生みの親の三上真司氏によって「今後『バイオハザード』シリーズはGCに独占供給する」と発表され、元々PS2用ソフトを予定されていた『4』は開発中止となった。そして旧作のGC版への移植やリメイク、新作である『0』と本作の発表と、その宣言通りの流れとなっていった。
三上氏は「他の機種で『バイオハザード』の新作が発売されたら腹切りますよ」と宣言するほどの決意を見せていたが、『ガンサバイバー4』『アウトブレイク』はPS2での発売となり、早くもその事業計画には翳りが見え始め、それでも氏は「正統シリーズはGC独占」と念を押していた。
しかし、カプコンの業績悪化に伴い「GCでは独占するが、次世代機では分からない」と弱気な発言に変わって行き、やがて本作のPS2版の発表によってGC独占供給は終わりを告げ、結局は様々なハードで発売されていくこととなる。
独占供給しようとした理由は「任天堂の姿勢に感銘を受けた」「開発スタッフの多くがPS2をDVDプレーヤーとして使っていた」とされているが、後に岡本吉起氏は独占供給もそれを翻したのも全て「カプコンが生き延びるための術」だったとこの動画 で語っている。
任天堂・ソニー・マイクロソフトと大手メーカーが立て続けにハードを出したことで、カプコンはどのハードが勝つか予想を立て、そのシェア予想に応じた数のヒットタイトルをそれぞれのハードに割り当てた。
その中で任天堂(GC)に割り当てられたのがたまたま本シリーズだったらしい。しかし、それにより岡本氏はソニーに呼び出しを喰らい、PSの生みの親として知られる久夛良木健氏に叱られた という。
PS2版発表当時も、その経緯に(特に本作のためにGCを購入したプレイヤーから)非難が集まり、これがきっかけかは定かではないが三上氏は後日カプコンを退社している。後年、Wii版発売の際に三上氏はGC版、PS版双方のユーザーに謝罪を述べている。
上述の様に過去の独占供給宣言とはなんだったのかと言える程本作は様々な機種に移植されている。現代においてもプレイしやすい環境になっているのは喜ばしいことではあるが、三上氏がカプコンに残っていたのなら「腹を切る」くらいでは済まされないだろう。
問題点で上述した通り、本作のシナリオを僅か3週間で書いた ことを後に三上氏が明かしている。
氏はこのことに心残りがあるようで、リメイク版で細かいストーリーが補完されることを期待していると語っている。
作中に登場する寄生生物プラーガのデザインや挙動は、漫画『寄生獣』内の描写と酷似している部分がある。
その娯楽性と積極的な移植作のリリースに助けられ、動画サイトでは本作のスーパープレイ、制限プレイ、解説プレイ、MODを使ったネタプレイなどが数多くアップされている。
トレーラームービーではガナードの群れを前にしてアシュリーが「レオン 激やばっ」と発言するシーンがあるのだが、実際のゲーム中にはそのような台詞(字幕)は存在しない。
しかし説明書の登場人物欄にその台詞が書かれていたり、プロフェッショナルモードが「激ヤバ難易度」と表記されていたりと、何故か本編以外の箇所に残されている。
従来作のゾンビにあたる敵である「ガナード」はスペイン語を話す。日本人には聞き慣れない言語の為か様々な空耳が生まれ、動画サイトやゲーム雑誌でネタにされた。
ちなみに「ガナード」はスペイン語で「家畜」という意味であり、敵やボスもほとんどがスペイン語由来の名前を付けられている。
主に「ウンコダステロ!! (余所者だ!! )」「オッパイノペラペラソース!! (八つ裂きにしてやる!! )」「ヘボイヤマダー (今から殺しに行ってやる )」「ゲイボーイヤマダー (同上)」「ハラヘッタネスカフェ! (奴を逃がすな! )」「テコキ! (もらった! )」「モエレーモエレーモエレー (死ね死ね死ね )」「マタウロ! (殺せ! )」など。空耳にすると笑えるが、翻訳すると実際は極めて攻撃的な意味の言葉である。
とはいえ上記の様な空耳が聞けるのは中盤までであり、後半で戦うことになっていく戦闘兵のガナードは滑舌が悪いというか、唸り声や奇声をあげる様にセリフを発する者が多くなっており、スペイン語としてみても何を言っているのか分からなくなってくる。スペイン語を常用している人達でも理解出来るのだろうか?と思えるくらいに…。
もちろん、英語の空耳もある。序盤からして「あー、よっこらしょ (可笑しなアメリカンだよアンタは )」「ソーリー、徳さん (待たせて悪いね )」など空耳の宝庫で、終盤のクラウザーも短いながら「大・根・村! (死ね! )」「愛、かもねぇ! (同上)」と言った秀逸な空耳を残す。
ちなみに、リメイク版『RE:4』のプロモーションでは、この空耳を公式がネタにしていた。 ガナードを含めたセリフの詳細はこち ら。
上の空耳程ではないが、レオンの死亡時の断末魔が(良くも悪くも)印象的というプレイヤーもいる。
痛々しい悲鳴のような断末魔だった過去作に対し、此方は「お、おおおううぅぅぅぅっ…!」という呻き声と共に死亡するシーンが多用されているのだが…。
この呻き声が何処と無く気の抜けた様にも聞こえることから、ネットでは「あうううん 」というシリアス感のかけらもない表現がよく使われる。
よく遭遇しがちな「ガナードの攻撃で力尽きて倒れるシーン」ならまだしも、たまに声と死に様が微妙に合ってないような時でも全く同じ呻き声を上げるのも一因。その為、「今作のゲームオーバー=あうううん 」ですっかり定着してしまった節がある。
今作は死んでリトライする敷居が低い為、アクションが苦手なプレイヤーには死に様が緩いのはある意味有難い仕様とも言える。それがホラーゲームとして、そしてレオン本人にとって必ずしも良いことかどうかはさておき。
ただ、死に様自体は豊富で痛々しいものも多い。しかも海外版では首が飛んだり体が千切れると言ったゴア表現が満載なので、その有難みもかき消されてしまう。
武器商人の声はレオンと同じポール・メルスィエ氏が担当している。イケメンでユーモラス溢れる言動のレオンと怪しげな雰囲気を漂わせる武器商人とを演じ分ける氏の演技力の高さが窺えるだろう。
イッヒッヒッヒ、センキュゥ…。
ちなみに武器商人の正体はガナードであり、仲間を裏切ってレオン相手に金儲けをしている模様。他のガナードと違い自らの意思で行動をしている人物となっている。特殊なプラーガが寄生しているのだろうか?
ただ、レオン相手に商売していることは他のガナードに知られたくないらしく、レオンが敵に狙われている時に話し掛けても相手をしてくれない。
序盤において、彼の店に行くことができるのだが、そこには大量の武器や弾薬が飾られている。それらを調べると、レオンからは「どこで集めたんだ?」やら「戦争が出来るな…」と言った、呆れにも近い褒め言葉が心の中で呟かれる。
『バイオハザード』シリーズでは恒例だが、本作の日本語字幕と英語音声の台本ではそもそも内容レベルで表現が大きく異なっている。「ハンサムなプー」や「なけるぜ」などの印象的なセリフは実際にはかなり異なった英語が使われている。
このうち「なけるぜ」はレオンの口癖でゲーム中でこの言葉を発する場面が何度かあるが、それら全てが英訳では違う言葉である。
映画のローカライズでも違う台詞で同じ言葉に訳されるのは多々あることだが、それぞれ並べてみるとここまで違う台詞はなかなかお目にかかれない。
前述の通り、海外版には激しいゴア表現が存在する。チェーンソーはもちろん、ノビスタドールやヴェルデューゴの爪、プラーガBの即死攻撃などで死ぬと無規制版では当たり前のように首が落ちる。
他にもU-3の攻撃で死ぬと体が真っ二つに千切れる、ノビスタドールの溶解液で死ぬと顔が溶けると言った凄惨な死に様も。また、露骨なゴア表現ではないが、ガラドールの突き攻撃で倒されると顔と胴体を爪で刺し貫かれてしまう。
また、規制版であっても「村長の触手に貫かれる」「アイアンメイデンに名前の如く棘で串刺しにされる」などは描写されている。元々主人公の死に様の豊富なシリーズだが、今作はより痛々しいものが増えている。
なお、このような死に方をするのはレオンら操作キャラのみ。そして操作キャラでもこう言った殺し方をする敵に遭遇するのは大半がレオンなので、ある意味彼ばかり損な目に遭っているとも言える。
国内外問わずアシュリーにはこう言ったパターンは無く、チェーンソーを喰らったりプラーガに頭を丸かじりされても普通にHPが尽きた時と同じように倒れる。リヘナラドールとアイアンメイデンの掴み攻撃をすり抜けたりなど、『2』のシェリーのように一部の残酷な殺害方法はされなくなっている。エルヒガンデに握り殺された末に地面に叩きつけられるのは普通にあるが…。
また、ガラドールはエイダ編や「THE MERCENARIES」にも登場するが、前述の貫く殺害方法は何故かレオンにしかされず他のキャラでは規制版と同じ死に方になる。やはり損な役回りである…。
フリーアナウンサーの鈴木史朗氏は初期の作品からやりこんでいる本シリーズのファンであり、70代を迎えた現在でもゲームが趣味という芸能界きってのシルバーゲーマーであるが、本作は氏が腕前を初めて公に披露したゲームである。
プレイ中に「死ね! 」「ぶっ○しましょう! 」「カプコンの野郎! (カプコン公認)」など、氏に似つかわしくない言葉を連発し、話題となった。
『鈴木史朗レポート ~advanced of it “degeneration”~』ではGC用のメモリーカードを持参。アタッシュケースに無限ロケットランチャーや無限ハンドキャノン、大量の3色ハーブが入っており、氏のやり込み具合がうかがえる。
氏曰く「ナイフの出が0.5秒ほど速いWii版がおすすめ 」とのこと。これはサーチナイフ機能を指した事実であり、氏が複数のハードで相当やり込んでいるのがうかがえる。
こういった情報を提供してくれたということもあってか、ゲームセンターCXの DVD特典において初代『バイオハザード』に有野課長が挑戦した際に、「鈴木史朗さんはナイフでいくんやろ?」とナイフで立ち向かい、ゾンビの餌食になるという場面が繰り広げられてしまった。
「THE MERCENARIES」では20万点超えを6回達成し、ハイスコアは驚異の20万5370点 である。ちなみに、隠し武器の解禁条件は6万点である。
本作は『2』と同様に一度作り直されたゲームでもある。
没となったバージョンはファンからは「バイオハザード3.5 」と呼ばれている。ディレクターを務めていたのは『3』の柴田洋氏。
開発中バージョンでは「始祖ウィルス発祥の地」など、従来作同様のゾンビの出現が仄めかされていた。スタッフの発言や発売前のトレーラーやスクリーンショットから推測するに、作り直しまたは大規模な方針転換が何度か行われたと思われる。
また、『5』に登場するウロボロスのような敵も登場していた。結果として「始祖ウィルス発祥の地」も含め、そちらは次回作へ持ち越しとなった。
さらに、当初はレオンがウイルスに感染することで幻覚症状が現れ、亡霊や動き出す人形と言った「存在しないはずの敵」と戦闘する場面があったようで、そちらは後の『7』『VILLAGE』に流用されている。
実際トレーラーではオカルト要素を強くアピールする等、かなり大胆な刷新であった。
『デビルメイクライ 』はもともと本作PS2版として没になったバージョンの一つを作り直したものである。
アクション性を強くするというコンセプトは同じだが、いささかその方向性が突出し過ぎてしまったことから新規作として分離した経緯がある。
本作におけるレオンのキャラクター性も『デビルメイクライ』のダンテと通ずる部分があり、日本語吹き替えも同じ声優が担当している。
映画『バイオハザードV』にてプラーガ寄生体を使う場面がある。似ても似つかないレオンが「プラーガ寄生体か!」というシーンは必見(悪い意味で)。
Tウィルスがメインのシリーズだが、同じ作品中にウィルスとプラーガ寄生体が同居というゲームでもなかなかお目にかかれない展開になっている。
その映画でのプラーガ寄生体は注射してすぐ力が解放されゾンビ達を上回る攻撃力・生命力を発揮した。前に上映された中の「ネメシス」など強敵よりもかなり厄介な敵として描かれたが、最後は氷上の穴に落ちてゾンビの大群に海底に引き摺り込まれるという末路。
ゲームの様に「続編の新たな脅威」となっていたら映画主人公のアリスや、ゲストキャラクターのレオンやウェスカーはどうなっていたことか…。
攻略本のポスターギャラリーには扱われたポスターや雑誌の表紙のイラストが載っているが、この中にレオンがチェーンソーで切られている場面のイラストがある。
このイラストは大変ショッキングなもので、この時のカプコンの『バイオハザード』絡みでの発言が何か麻痺していたのも頷ける。
なお、Wii版の紹介動画 も、始まって早々にレオンがチェーンソーを喰らう場面が映る。
常識で考えれば当たり前のことではあるが、上述の様にイラストや紹介動画でチェーンソーを喰らう場面が割と頻繁に流れたりしていたため、「喰らっても大ダメージくらいで済むだろう」と思ってチェーンソー持ちの敵に軽い気持ちで立ち向かい、実際に喰らってみたら即死してしまってゲームオーバーになり、唖然としたプレイヤーは何人かいるのではないだろうかと思われる。
本作では詳しく語られなかったアンブレラの崩壊やクラウザーとの共闘は、外伝作品である『クロニクルズ』シリーズで補完されている。
世界的な評価も極めて高い。
プレイヤーだけでなく制作者や評論家にも評価が高く、数々の賞を受賞した。
(米)metacritic では100点満点中96点、(米)GameSpot では10点満点中9.6点、(米)GameSpy では5点満点中5.0点、(米)IGN では10点満点中9.8点、(米)Amazon.com では5点満点中4.8点、
(日)ファミ通では40点満点中38点
等々、各レビューの評価も満点に近い。
ただし高評価はPS2/GC/Wii版の時代までで、古さが感じられるPS3/360版以降ではやや評価が落ちる。
世界600万本を売り上げた『Gears of War』は、当初FPSで企画されていたものをTPSに作り直したおり、本作に大きな影響を受けたと言われてる。
EAの『Dead Space 』も本作の影響を受けている部分が多く、システムにもその片鱗が見受けられる。
海外版(US/EU)に難易度「Amateur」はなく、アシュリーパートの視点は全難易度ともレオンと同じ背後視点になっている。
武器商人が開いているシューティングゲームの難易度も大きく引き上げられており、日本語版の感覚ではクリア不可能。
EU版のみ5言語対応となっている。
最初にリリースされたのは北米GC版で、仕様がそれ以降のものと少し異なる。
弾のドロップが多い、アシュリーもベリィが出来てしまう など。
本作は英語圏以外でアメリカ含むスペイン語圏でも人気であるが、極めて大雑把に「欧米」と一括りに扱っている日本文化圏だとわかりにくい要素も入っている。
同じ資本主義国家でもヨーロッパとアメリカではアイデンティティも文化も異なっており、「ヨーロッパ = 歴史・時間性・伝統・文化・大人 」に対し「アメリカ = 無垢な土地・若い国・子供 」という対置が存在し、哲学者であるウィリアム・ジェイムズの弟で作家のヘンリー・ジェイムズの文学作品等にこの視点が現れている。
加えて、アングロサクソンが主流派であるアメリカに対して、ラテン系であるスペインは全くの「別物」である。
こうした文化背景はサドラーのアメリカ人への不信や反感、村長の排他性やサラザールのレオンに対する軽蔑的な態度として織り込まれている。
本作の敵であるイルミナドス教団側の村長やサラザールは、レオンを終始「余所者」で「アメリカ人」として扱い、ゲーム内の文書などでもその様子が見て取れ、舞台設定をディテールアップしている。
「若いアメリカ人が欧州の領主の城に乗り込んで伝統的な世襲財産や宗教的宝物を盗掘するなどして荒らし回る」という本作の展開は、「歴史性のないアメリカがヨーロッパの文化的厚みを蹂躙する 」という心理劇的図式となっている。
2021年5月にデザイナーのジュディ・A・ユラチェク氏が、本作のロゴにあるヒビのデザインが自身の著書にある写真を無断使用したものであるとして、カプコンに対し最大1,200万ドルの損害賠償に加え、使用した写真1枚につき2,500ドルから25,000ドルの支払いを求める訴えを起こした(参照 )。
その後、2022年2月に訴訟取り下げの申請が受理されたことで和解が成立。詳しい話し合いの内容は明かされていない。
2022年に凶悪なスキップバグ が17年越しに発見された。初期のWin版でのみ確認されている。
このバグは、あるタイミングでとあるボタンを同時押しするとシーンをスキップできるというもの。例を上げると「最初の村の戦闘開始すると鐘がなり即終了 」という凶悪なもの。
なお、ボス戦でもいくつかスキップ可能であることが発見されていてYouTubeなどでも上がっている。
その後の展開
待望のリメイク版『バイオハザード RE:4』が2023年3月24日にPS5/XSX/PS4/Winで、同年12月20日にMac/iOS/iPadOSで発売された。
ちなみに、当初は次世代機のみでの発売と発表されていたが、後にPS4版のリリースも決定した(One版は無し)。
2022年当時はPS5本体が入手困難であったのが原因と思われるが、奇しくもオリジナル版同様に供給媒体における一悶着が生じた末の決定となった。
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オリジナル版とリメイク版(次世代機)の比較動画
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最終更新:2024年06月18日 23:22