ドカポン?! ミレニアムクエスト
【どかぽん みれにあむくえすと】
ジャンル
|
ロールプレイングゲーム
|

|
対応機種
|
ゲームボーイカラー(全GB共通)
|
発売元
|
アスミック・エース エンタテインメント
|
開発元
|
タイクーン
|
発売日
|
2000年7月14日
|
定価
|
3,980円(税別)
|
判定
|
ゲームバランスが不安定
|
ポイント
|
ただの運ゲーで終わらない、ローグライクドカポン 強烈すぎる技の追加効果と「定石」戦法 CPUのインチキ疑惑 戦闘も探索も育成も冗長
|
ドカポンシリーズリンク
|
概要
ドカポンシリーズの5作品目にして、初の携帯機作品。
おなじみの「友情破壊」ボードゲーム…とはちょっと違う、ローグライク風味の異色作となっている。
あらすじ
「ゆうかんな人材大募集! 三食昼寝つき、パラダイスがキミを待っている」
そんなはり紙に導かれて“ナガレモノ”が ドカポン城にやってきた
はじまる はじまる 大冒険!“ナガレモノ”は世界最強の冒険屋を目指す…
(本作取扱説明書より引用)
特徴
ドカポンとローグライクを組み合わせた、一風変わったゲームシステム
-
ダンジョンを探索して武器や盾、アイテムを拾い集め、敵シンボルとの接触時に戦う事になるモンスターを倒しつつ探索を進めていく。ダンジョン探索中にSELECTボタンを押すと見られるマップを確認しながら攻略するといいだろう。
-
2番目のダンジョン以降では、5種類のワナがランダムで仕掛けられるようになる。「毒の状態異常になり、防御力激減」「暫くの間動けなくなってしまう」「HPを大幅に減らされる大型地雷」など。
-
Aボタンで目の前を調べて踏む前に見つける事はできるので、慎重に捜索するべし。
-
ダンジョン内に落ちているのは消費アイテム・武器・盾・魔法アイテム・ハテナマークの付いた宝箱の計5種類。このうち武器・盾・宝箱を入手する際は、ルーレットによって内容が決定される。ルーレット表示方法の都合上、目押しが利かないのは少々残念な所。
-
持ち歩けるアイテムの数は、装備中の武器と盾も含めて16個とかなり少なめ。入手アイテムの取捨選択が重要となる。
-
入手した魔法アイテムは戦闘中ではなく、且つ現在地がダンジョンボスのいる階層でなければ使用可能。魔法によって効果範囲は異なるが、当たった敵にダメージを与えたり状態異常にしたりできる。どうせボスモンスターには魔法アイテムを使えないので、持ち物欄に空きを作る為にも景気よく使っていこう。
-
敵シンボルの移動速度は、主人公の「SP(素早さ)」能力値の影響を受ける。主人公のSPが高ければ敵シンボルが1回動くまでに複数回移動できるようになり、逆に主人公のSPが低ければ敵シンボルが倍速以上の高速移動を行ってくる。
-
敵シンボルがアイテムと重なった場合、折角のアイテムを奪われてしまう事がある。こうなった場合、その敵シンボルと接触してモンスターを倒しても、本来入手可能だったアイテムは手に入らない。
-
中にはプレイヤーの事を放置し、最短経路でアイテムを奪取しようとする敵シンボルも存在している。
-
戦闘は本家シリーズ作品に準じた、ジャンケン風味のシステムになっている。
-
まず2枚のカードどちらかを選んで先攻・後攻を決定する。特定のアイテムを持っていれば、それを消費してどちらのカードが先攻か覗き見する事も可能。
-
攻撃側と防御側それぞれがグー技・チョキ技・パー技・通常技のどれかを選択し、攻撃側がジャンケンに勝利するか、通常技を選択すれば防御側にダメージを与えられる。防御側がジャンケンに勝利した場合は攻撃を無効化できる。あいこの場合はお互いにコマンドを選び直す。
-
ジャンケンに勝利した場合は、それぞれの技に対応した追加効果が発生する。攻撃技なら「連続攻撃」「相手の能力値を下げる」、防御技なら「自分のHPを回復」「相手の技を反射する」といった具合。
-
ローグライクのお約束ではあるが、戦闘に負けてしまえば手持ちの装備品・アイテムは全て没収される。
-
オートセーブ機能も付いている為リセットしてのやり直しは不可能。本家よろしく、勝ち目が無い相手と遭遇したら身包みを剥がされる前に逃走すべきだろう。
-
任意の状態で手動セーブしたい場合は、STARTボタンを押すと開けるステータス画面の「システム」→「にっき」からどうぞ。
評価点
ジャンケンを運ゲーで終わらせない戦略性
-
特徴で述べた通り、技にはそれぞれ追加効果が存在しており、相手とのジャンケンに勝つ事で発動させられる。
-
この追加効果によって戦局がひっくり返る事もままある為、雑魚モンスターとのバトルでも緊張感を持って楽しめる。
-
相手がどの様な技を持っているかは、コマンド選択中にSELECTボタンを押す事で確認できる。
-
相手が「弱い追加効果しか発動させられない防御技」でしか無効化できない攻撃技で手堅くダメージを与える、相手から最も喰らいたくない攻撃を確実に防げる防御技を選択する…といった単なる確率1/3の運ゲーに留まらない戦略性は流石のドカポンシリーズといった所か。
豊富な装備品とカスタマイズ要素
-
武器は「グレートソード」「トライデント」「きくいちもんじ」といったオーソドックスなものから「ボクサーグローブ」「ライトセーバー」といった変り種、更にはどう見てもそういう用途の品にしか見えない「じょおうのムチ」など幅広いジャンルの武器が揃っている。全100種類。
-
ネタ枠としてはおなじみ「ピコピコハンマー」や、その名の通りただの虎猫を武器として装備する「ネコ」なんて物もある。しかしネタ枠と侮るなかれ、実は武器装備時攻撃力と同様に変化するSP値の上昇率はこの2種類がツートップだったりする。
-
盾は「ナベのフタ」からはじまり、「こうらのタテ」「ドラゴンシールド」といったRPGでよく見かける品や、シリーズおなじみのキャラをモチーフとした「ウイウイシールド」「どっかでみたタテ」等がある。全50種類。
-
戦闘中に使用可能な技は武器・盾の種類によって決まっている。技を使い続けて装備品の経験値(以下、作中表記に従い「EP」と表記)を溜めると装備品のレベルが上昇する事があり、装備品のレベルが一定まで達すれば別の技を覚えさせる事も可能。
-
覚える技の種類については、武器は幾つかのパターンが存在している。片手剣系の武器は別の技を覚えるチャンスが最も多く、また弓・銃系の武器は覚える技の候補がいずれも優秀…といった具合に差別化されている。
-
盾については全種類で覚える技の候補が共通。パターンの都合上レベルアップで覚える技だけで強力な効果を揃えるのは難しい為、入手時にどの様な技を持っているかが武器よりも重要になってくる。
-
レベルが上がった装備品は、素の能力値も上昇する。流石に最序盤で手に入る「やすもののけん」と終盤のダンジョンで拾える武器の差を埋める程ではないが、より強い敵との戦いに備えてEPを溜めておくに越した事はない。
-
要らない装備は鍛冶屋に持っていって合成に使う事も可能。武器や盾、或いはダンジョン内で拾った材料を2種類組み合わせて消費し、新たな武器を入手できる。
-
合成前には選んだ組み合わせで何ができるのかと具体的な能力値の説明、できあがる装備を以前入手した事があるかどうかまで教えてくれる親切仕様。但し一度合成を始めるとオートセーブされてしまいやり直し不可能なので、うっかり操作ミスしないよう注意はしておきたい。
-
大概の場合はハズレとして合成前より弱い装備か、そもそも装備できない材料になってしまうが、組み合わせによっては暫く装備品を新調せずとも何とかなる程に強力な逸品や、合成でしか手に入らない貴重な装備品が生まれる事もある。
-
上で例として挙げた「ネコ」も合成限定装備の一つである。物騒な武器2種類を鍛冶の要領で合成して、何の変哲も無い虎猫を生みだす様はシュールの極み。
GBC相応ながら、中々に手の込んだグラフィック
-
武器と盾はほぼ全種類が固有のグラフィックを持っており、色変えによる使い回しは極一部の例外を除き存在しない。
-
ダンジョンクリア後に特定のNPCから着替えアイテムを入手すれば、ナガレモノの見た目を変える事も可能。初期状態の「もとのカッコウ」を含めて全8種類。
-
道着やミニスカートのドレス、本格的な鎧装備、モンスターと瓜二つの姿になれる着替え等々。パラメータには一切影響しないので気分で変えてしまっても構わない。
-
敵モンスターのグラフィックも「ひとくいばな」「トーテム」といったユーモラス担当から、見るからに強敵とわかる「ベタドラゴン」「キメラ」まで様々なデザインが揃っている。
-
「アーサー」「クルセイド」等のカッコイイ系、「ウィッチ」「マーメイド」「くのいち」等の可愛い系もしっかり取り揃えている。
正直「へっぽこへい」や「コボルト」よりも、こいつらの格好になれる着替えを用意して欲しかった。
-
雑魚モンスターが装備品を落とした際、そのモンスターが所持している物と同一のグラフィックを持つ装備品が手に入るケースが多々見られる。この辺りも芸が細かい。
-
一度手に入れた装備品や倒した事のあるモンスターは、最初のダンジョンをクリアすると手に入る自宅に備え付けの「武器図鑑」「モンスター図鑑」でグラフィックを確認可能。詳細なパラメータや技も確認できる。
他プレイヤーとの通信プレイ
-
ドカポン城下の闘技場に足を運べば、通信プレイで手塩にかけて育てたキャラ同士の対人戦を行う事ができる。同じゲームをプレイする友人が身近にいればという前提は付くが、実質本作のエンドコンテンツと言えよう。
-
戦闘中にアイテムを使用しても決着後に戻ってくる「やさしいモード」と、使用したアイテムが戻ってこない上に負けたら装備品を奪われる「マジモード」の2種類のルールが存在する。
-
鍛えた武器を使っての対人戦、しかもお互いにアイテムを(装備する武器・盾を含めて)16個持ち込み可能とあって、読み合いの熱さはモンスターとの戦闘の比ではない。
-
相手がこちらの強い追加効果を持った技を警戒していると予想し、別の攻撃技を選択する…といった駆け引きや、「相手の所持アイテムを盗む」技を使い回復・自動復活アイテムを根こそぎ奪って優位に立った際の快感はCPU相手ではまず味わえない。友情破壊ゲームとしてのシリーズらしさはRPGになっても健在である。
-
闘技場では他プレイヤーとのアイテム交換も可能。
-
理論上は1本のソフトだけで全種類の装備品を揃えられるが、プレイヤー同士で協力し合えばゲームクリアや武器図鑑コンプリートまでの道程が多少は楽になる…かもしれない。
賛否両論点
一部の強烈すぎる技の存在
-
技が持つ追加効果の中には、本作がドカポンシリーズの派生作品である事を考慮しても尚、ちょっと待てと言いたくなる強烈なものが存在している。
-
チョキの攻撃技では、毒(防御力激減)・呪い(一定確率で自傷)・眠り(行動不能)・命中率激減といった状態異常を相手に与えるものが強い。上手くいけば文字通りのずっと俺のターン!も可能。
-
パーの攻撃技には特殊な追加効果を有するものが揃っている。中でも「相手のHPを割合で減らす」「相手のHPを1まで減らす」というものが便利且つ強烈。
-
防御技では、チョキ技の「相手のパー技を無効化した上で、HP全回復&状態異常回復」という効果を持つものが強い。一度決まれば、戦局を振り出しに戻してしまえる。
-
こうした強烈な追加効果を持つ技をプレイヤー側が使えるだけなら、まだ自重すればいいだけの話である。しかし残念ながら本作では、敵モンスターも当然のようにこれらの強烈な技を使ってくる。万が一ジャンケンで読み負けて技を喰らってしまった際の被害は相当なものがある。
-
完全回復は発動を許してしまっても挽回の余地が残ってはいるが、割合ダメージを喰らってしまった場合は一気に敗北が近づくし、状態異常を喰らおうものなら異常回復アイテムが無ければほぼ敗北確定である。常に丸裸にされる危険性と隣り合わせのスリリングな戦闘と言えば聴こえはいいが…。
-
更には、上でさらっと触れた「相手の所持アイテムを盗む」パー技を使ってくる敵モンスターまでもが存在している。アイテムを敵モンスターに盗まれてしまった場合、たとえそのモンスターを倒しても取り戻す事はできない。強敵との戦いに向けて数を揃えておきたい自動復活アイテムや、運よく手に入れた強力な装備品をあっさり奪われた時の脱力感は計り知れない。
比較的リスクの低い「定石」戦法
-
上述した強烈すぎる技を敵モンスターも使ってくる都合上、防御時はチョキ技が大安定。殆どのケースにおいて安定してリスクを回避可能。
-
相手がパー技を選んだ場合は無効化、チョキ技だった場合でもコマンドの選び直しに持ち込んで追加効果発動を確実に阻止できる。
-
グー技や通常技を選ばれた場合はダメージを喰らってしまうが、プレイヤーが使う時と比べると敵モンスターのグー技・通常技は(下記例外を除いて)然程強くないというのも追い風となっている。
-
但し「1ダメージか一撃必殺」という効果のグー技を敵モンスターが持っている場合は注意が必要。運が悪いと一瞬で身包みを剥がされかねないので、この場合は相手のグー技ともう一つ、チョキ・パーのうち喰らった際の被害が大きい方の技を防げるように防御技を選ぶのが安全か。
-
攻撃時は、通常技かパー技を選ぶのが最もリスクが少ない。
-
通常技での攻撃は、相手が通常技で防御してきた場合にダメージが1/6まで低下するものの、攻撃を無効化・反射される恐れが無いというメリットが非常に大きい。
-
パー技は防がれてしまうリスクこそあるが、チョキ防御技の追加効果は回復と無条件逃走のどちらかしか存在しない。相手のHPが満タンに近い状態なら、リスクを気にせずに振る事が可能。
-
グー技とチョキ技は、ジャンケンに負けた際に技の効果をそのまま跳ね返されてしまう可能性があるというリスクがあまりにも重い。対人戦以外では、一発逆転に賭けるしかない状況でもない限り封印安定。
有用かつノーリスクなエンカウント回避術
-
本作ではシンボルエンカウント方式となっているのだが、敵モンスターのシンボルがどこに沸くかは部屋に入った瞬間に抽選される。一旦前の部屋に引き返しすぐに再侵入する…即ち「画面の切り替え」を行った場合は敵シンボル出現位置の再抽選が行われるのだが、この仕様を逆手に取ったエンカウント回避術が存在している。
-
例えば、狭い道に敵シンボルが出現してしまいどうしても接触が避けられそうにない場合や、敵シンボルに最短経路で移動されると確実にアイテムを奪われてしまう場合などでも、画面を切り替えればノーリスクで敵シンボルの出現位置を変更しエンカウント回避、或いは敵シンボルとアイテムの隔離ができてしまうのだ。流石にノーエンカウントでスムーズに攻略できるとまではいかないが、知っているといないとではダンジョン攻略やアイテム蒐集の効率が大分変わってくる。
-
ちなみにこのエンカウント回避術、本作の公式攻略本に基本的な技術として掲載されている…つまりスタッフ的にはあくまで仕様の範疇という事らしい。
御座なりなシナリオ展開
-
大本がボードゲームというシナリオに重きを置かないジャンルであったという事情は無い訳ではないが、それを差し引いてもシナリオの展開が御座なり気味である。
-
最初に挑む事になる「ドカポン城のダンジョン」を攻略した後は、シナリオ進行に応じて解放される各地のダンジョンを巡っていくのだが、次のダンジョンへ挑む際の展開は基本的に「ダンジョンクリア後、王様から次のダンジョンと其処で発生している事件についての簡単な説明がある」これだけ。
-
ボタンを連打していると誇張抜きに「よく分からないが、いつの間にか次のダンジョンに行けるようになっていた」という認識になってしまう可能性が高く、導線としてはかなり弱いと言わざるを得ない。王様との会話後に別のNPCが登場し、次ダンジョンに関するイベントが発生する…といった具合に、もう少し具体的な動機付けがあってもよかったのではないだろうか。
-
ファミコン時代のRPGならこの程度の導線でも問題無かったが、本作発売の直前に『ポケモン金銀』や『メダロット2』など、自由度を担保しつつある程度の誘導と関連付けがなされているGB作品が出ていた事を考えると、どうしても配慮不足と評さざるを得ない。
-
プレイヤーの扮するキャラは所詮ナガレモノ、王様の使い走りになるもよし、無視して気ままに装備品を集めるもよしという事なのかもしれないが…。
-
ダンジョン最奥のボスを倒すと謎の石が出現するのだが、ナガレモノはプレイヤーの意向を無視して躊躇いなくこの石を回収し、自分のものにしてしまう。
-
この際ナレーションに「リスクがあるかもしれない以上、もう少し考えろ」等とツッコまれるが、回収するかどうかの選択すら許されない状態でそのようなツッコミをされても、プレイヤー置いてけぼりで正直寒いだけである。
-
シナリオのとある段階で、謎の石の正体がシナリオ進行上重要なキーアイテムだと判明するので結果的に問題とはならないが…ドカポンシリーズの作風との兼ね合いもあるが「石の処分について王様に相談してみよう → 王様から許可を貰い、石を自分のものにする」という展開ではダメだったのだろうか?
シリーズおなじみ、最凶最悪の敵の存在
-
本家シリーズ作品では一発逆転の手段としておなじみとなった「デビラーマン」だが、本作ではとあるダンジョンにおいて最強の敵モンスターとして登場する。
-
HPは999、勿論全モンスター中でも断トツのトップである。第2位の「デーモン」ですらHP370程度と説明すれば、どれ程の規格外なのかお分かりいただけるだろうか。
-
他の能力値もデーモンの2倍以上を誇り、更に使ってくる技の内容も本作において最高峰の性能を持つ技揃いとなっている。攻撃力500超の通常攻撃1発だけでも鍛えに鍛えたナガレモノが即身包み剥がされコース直行となりかねないのに、更に4連続攻撃までされた日には最早どうしようもない。
-
これだけ法外なスペックを持つにも拘らず、得られる経験値は最大でもたったの10。またドロップアイテムの「ごうりゅうけん」は多少面倒ではあるが合成でも入手可能となっている。
-
モンスター図鑑をコンプリートしたいのであれば戦闘は避けられないが、図鑑コンプリートの報酬は何も無い。強い装備品を集める程度であれば、態々デビラーマンと戦闘する意義は皆無と言って差し支えない。
問題点
CPUのインチキ疑惑と、それによる戦闘の冗長化
-
確率論の問題では説明しきれない程に、敵モンスターがこちらの出す手を読んでいるかのような行動をしてくるケースが多い。
-
パー攻撃技を連続で選択している際は敵モンスターがチョキ防御技ばかり出してくるのに、通常技での攻撃に変えた途端に通常防御技を選択してくる…といった具合。ボス戦ならともかく、序盤の雑魚モンスターとの戦闘ですらこのような事態が頻発するのである。攻略する側からすればたまった物ではない。
-
この為敵モンスター戦で相手の裏をかこうとすると手痛いしっぺ返しを喰らう可能性が極めて高く、結局リスクの低い通常技・パー技での攻撃、チョキ技での防御という定石戦法を使わざるを得ず、戦闘がやたら単調になってしまいがち。
-
属性技は防がれると無効化され、通常技は防がれるとダメージが1/6に減少する。勿論あいことなった場合はコマンドの選び直し。この時点で察した方もいるだろうが、CPUが此方の手に対して有効な行動を取ってくる事が多い為に、1戦1戦がやたら長引いてしまうケースが頻発するのである。
やたらワナが多い
-
最初に挑む「ドカポン城のダンジョン」には一切ワナが仕掛けられておらず、次に挑む「パセレの森」ではワナが仕掛けられるようになるとはいえ、その数はまだ少なめ。しかし3番目のダンジョン「グランタ砂漠」からは、フロア内のモンスターよりもワナの方が多いというケースが見られるようになる程ワナの数が多くなる。
-
最悪「次フロアに進む為の階段がワナで囲まれており、どれかを踏まないと先に進めない」「キャラ一人分が通れるだけの広さしかない階段までの一本道に、よりにもよって状態異常ワナが仕掛けられていた」なんて事態まで発生しうる。
-
Aボタンで前方を確認すれば、ワナが仕掛けられていた場合それを可視化できる。但し可視化できるだけでワナの解除はできないし、一々調べながら進むのは手間も時間もかかる。またSPの高い敵がフロア内にいる場合、ワナが無いか確認しながら進んでいると一気に距離を詰められかねない。戦闘になっても返り討ちにできるのであれば問題にはならないが…。
-
アイテム「ワナかわし」があれば、ワナに引っかかってしまった場合でもアイテムを自動消費して被害を抑える事が可能。また「とうめいぐすり」があれば、ワナを発動させずに素通りする事もできる。但しローグライクのお約束として、これらアイテムもダンジョンで調達しなければならず、調達にはある程度の運が絡んでくる。
-
幸いにして、本作ではワナそのもののダメージでHPが尽きて身包み剥がされコース送りとなる事は無い。また稀にではあるがワナかわしが無い状態でワナを踏んでしまっても被害に遭わない事があるので、どうしても避けられない場合は一か八か、最も被害の少なそうなワナを踏んでみるのも一つの手かもしれない。
リスクが割に合わない宝箱
-
落ちているアイテムの内容をルーレットで決定する事があるのは上述した通りだが、ハテナマークの付いた宝箱の場合はルーレットの内容に大ダメージや状態異常といったハズレ的な内容が追加される。これだけならばまだゲームとして許容可能な範囲ではあるが、ルーレットに占めるハズレの割合があまりにも多すぎるのは流石に問題であろう。
-
ハズレを引いてダメージや状態異常を受ければ身包み剥がされコースの可能性が一気に大きくなる。一方数少ないアタリを引けば、そのダンジョンで普通に拾える品よりも性能の良い装備が手に入る事もあるが、序盤のダンジョンでも手に入る「だっしゅつそうち」と装備合成を活用すれば同程度の能力を持つ装備をより低リスクで入手できてしまう。
-
しかも次のダンジョンに向かえばその性能の良い装備を普通に拾えるというケースが多く、コレクション的な意味においても装備・アイテム全没収のリスクを覚悟してまでルーレットに挑戦する意義は薄い。
-
本作の公式攻略本においても、基本的にハテナマーク宝箱は無視すべきと書かれてしまう有様である。
とにかく手間のかかる育成
-
本作で敵から得られる経験値は、ナガレモノがダンジョン内のモンスターと比べて強い程に補正がかかって少なくなる。この経験値補正がかなり厳しく、それでいてナガレモノのレベルアップまでに必要となる経験値量は回数を重ねる毎にどんどん増えていくので1回のレベルアップにかかる手間が尋常ではない。
-
具体的にはナガレモノのレベルがモンスターのレベルより5以上高くなると、どれだけ強いモンスター相手であっても獲得経験値が1になってしまう。
-
モンスターとの戦闘がきつくなったからといって攻略済みのダンジョンに戻って経験値を稼ごうにも、大抵の場合は初挑戦時よりも少量、最悪1戦につき1しか経験値が手に入らないので、敵モンスターとの戦闘を幾度と無く繰り返す必要がある。
-
かといって攻略中のダンジョンで無理して強敵相手に経験値を得ようとするのであれば、経験値稼ぎ中に事故を起こしてしまうリスクが高い。特に後半のダンジョンでは上述した強烈な技を揃えた敵が多くなるのでなおさら事故発生の可能性が高くなる。
-
魔法アイテムを使って敵シンボルのHPを0にした場合、戦闘に入る事無くシンボルが消滅する。ただしこの場合、本来戦闘で入手できるであろう経験値やアイテムは一切手に入らない。経験値稼ぎを目的としてダンジョンに挑む場合、状況にもよるが入手してしまった魔法アイテムは使わずに捨ててしまう方がいいだろう。
-
装備品のレベルを上げる為には、何らかの技を使ってEPを溜めなければならない。例えば先攻をとって一撃で敵を倒した場合、手に入るのはナガレモノの経験値と武器のEPだけであり、盾のEPは一切溜まらない。
-
盾のEPを溜めるには防御技を使う、即ち敵の攻撃をわざと受ける必要がある。防御時に読み負ければ上述した強烈な技を喰らってしまうリスクがあるため、盾のEP稼ぎも中々に骨が折れる。
-
最初のダンジョンで弱い敵相手に、相手にダメージを与えない類の攻撃技(状態異常を与えるチョキ技など)と任意の防御技を繰り返し使い続けてEPを溜めるという方法もあるが、これもこれで作業感が著しい。
その他、細かい問題点
-
本編中に、総合的に見れば最も優秀な武器である「ドカポンソード」よりも強い武器の存在が仄めかされるシーンが存在している。実際本作においてドカポンソードよりも攻撃力の高い武器は上述のごうりゅうけんを含めて5種類存在しているが、いずれの武器にも強烈すぎる呪い(=永続の状態異常)が付いてくる。
-
「強さを求めるならデメリットを恐れずに使ってみよう」とも促されるが、敗北=手塩にかけて鍛えた装備品&必死になって集めた所持アイテム没収の本作において、此処まで重いデメリットを背負おうとする物好きなプレイヤーが果たしてどれだけいるやら。
-
同様に、総合的にみれば最も優秀な盾「ドカポンシールド」より防御力の高い盾も2種類あるが、此方も両方呪い付きの装備である。しかも呪いの種類は常時毒状態(防御力激減)…ここまでくると見かけの数値に騙されたプレイヤーを奈落の底に突き落とす為の罠としか思えない。
-
ローグライクのお約束、レベルリセットダンジョンやアイテム持ち込み不可ダンジョンは本作には存在しない。
-
まぁあったらあったで、碌に準備の整っていない段階のジャンケン勝負で読み負けてモンスターの強烈な攻撃を貰ってしまい、あえなく強制送還されるプレイヤー達の悲鳴が響き渡っていたのが容易に想像可能ではあるが…。
総評
運ゲーによる転落や一発逆転がプレイを盛り上げる要素として認められるボードゲームであればこそ許されていた戦闘システム。
敗北によるデメリットと、それによってプレイヤーが感じるであろうストレスが全ゲームジャンル中でもダントツで大きいローグライクという作風。
この二者の噛み合わせは案の定悪かった…そうとしか評しようがない。
単純な運ゲーに終わらせない工夫は見受けられるが、1人プレイでは此方の手を読んで行動しているとしか思えないCPUが折角の工夫を台無しにしてしまっている。
CPUに対抗する為の「定石」戦法による戦闘の冗長化に、大量のワナによって強いられる探索時の手間や、経験値が中々溜まらない事に因る育成の手間といった要素が重なり、プレイそのものの冗長化を引き起こしてしまっている点も残念極まる。
とはいえ、一応ゲーム作品として致命的に破綻しているという訳ではない。
上述の欠点を踏まえた上で一風変わったローグライクをやってみたいというのであれば、本作を手に取ってみてもいいかもしれない。
但し装備やアイテムを理不尽に没収されたとしても、
友情破壊
する相手がいないからといって投げ捨て・叩きつけ等のゲーム機破壊は行ったりしないように。
余談
-
本作と同じ一人用RPGとして、GBAで『ドカポンQ モンスターハンター!』が発売されている。
最終更新:2025年04月11日 03:37