スパーク・ワールド

【すぱーく・わーるど】

ジャンル 固定画面アクション
対応機種 スーパーファミコン
メディア 4MbitROMカートリッジ
発売元 アイ・ティー・シー、デンズ
開発元 ボトムアップ
発売日 1995年5月26日
定価 8,500円(税別)
判定 なし
ポイント どこからどう見ても『ボンバーマン
一部本家を先取りしている要素も
あまりに弱すぎるラスボス

概要

  • 電池の放電を利用して敵を倒していく固定画面アクションゲーム。

ストーリー

ようこそ「CAR WORLD」へ。
ここでは乗り物たちすべてが、自分の意思をもっています。
特に車たちの文明が発達しており、それぞれの車たちは仕事をもち、まるで人間のように暮らしています。
一見平和に見えるこの世界にも、影で悪事を働く奴がいます。彼の名はドン・ゴーガン。
この国のカジノを一手に牛耳るオーナーなのです。しかし裏では、麻薬密売組織を動かす大ボスなのです。
しかし、この国の警察は彼に全く手が出せません。どうしてって?それは、警察署長とゴーガンは兄弟だからなのです。
そのためこの世界は治安が乱れ、秩序はなくなっていく一方でした。
いっこうに腰をあげない警察に我慢ができなくなった新米刑事ビート&バーツは、警察署長に辞表をたたきつけ、
世界各地に散らばった密売組織をたたきつぶすために立ち上がったのでした。
(取扱説明書より抜粋)


特徴

  • 十字キーでプレイヤーの移動、Aボタンで電池の設置。
    • 格子状のフィールド上で電池を設置し、暫くすると十字に放電する。この放電を利用してブロックを壊しながら敵を倒すのが目的。
      • 自分が置いた電池の電流に触れてもダメージとなる。また電流が電池に当たるとその電池もつられて放電する。
  • ブロックには電流で壊せるものと壊せないものがあり、壊せるブロックの中にはアイテムが入っている事もある。
+ アイテム一覧
  • マジックパンチ(グローブ)
    • 相手に正面以外からぶつかると突き飛ばせる。飛んだ相手は障害物にぶつかるまで止まれない。
  • マジックハンド(白い手袋)
    • 電池を置いた直後にその場でもう一度Aボタンを押すと電池を2マス先まで飛ばせる。
  • キック(タイヤ)
    • 電池にぶつかるとその電池はまっすぐ飛んでいく。飛んでいる電池はBボタンかXボタンで止める事も可能。
  • 電池UP(電池)
    • 一度に置ける電池の数が増える。ただしノーマルモードでは置ける数が5つで固定の為出現しない。
  • UP(稲妻)
    • 電池の電流が1マス分長くなる。最高8段階。
  • ライフ(ハート)
    • ライフが1増える。重ね取り可能。
  • クネクネ電池(顔の絵が描かれた電池)
    • 置いてしばらくするとクネクネ動き出す電池。隣り合った電池を2マス分弾きとばす。XボタンかBボタンを押すと一斉に動き出す。
  • Eボール(オレンジの玉の中央に稲妻の絵)
    • 電池を置き、その場でもう一度Aボタンを押すと3~4回バウンドしながら一番近い相手を誘導する電磁弾を発射する。
  • ダイナモ(中央に稲妻の絵がある猫の耳が生えたオレンジの人型アイテム)
    • 電池を置き、その場でもう一度Aボタンを押すと電流が円状に広がる発電機を設置する。範囲は中央から縦横斜めに3マス分。
  • マルチ(電池が3つ並んでいる絵)
    • 電池を置き、その場でもう一度Aボタンを押すと置けるだけの電池をいっぺんに一直線に設置する。
      • また、縦横に設置するだけでなく、斜め一直線に設置する事も可能。(電池を置き、その場で置きたい方向に十字キーで斜め方向を押した直後にもう一度Aボタンを押すと置ける。)
  • 電磁ピストル(銃)
    • 電池を置き、その場でもう一度Aボタンを押すと雷を発射。この雷が電池に当たると即座に放電する。雷自体に攻撃能力はない。
  • クエスチョン(?)
    • 取ると以下の3キャラクターがランダムでプレイヤーの上に表示される。
      • ミカルル君(天使)…30秒間プレイヤーがパワーアップする。
      • グレコ(悪魔)…30秒間プレイヤーにデメリットをもたらす。『ボンバーマン』のドクロに近い。
      • シニョール(死神)…30秒後、そのプレイヤーを問答無用で即死させる。
    • これらのキャラクターは相手に移す事も出来る。
  • ノーマルモードは対戦形式で敵を倒していくモード。2Pプレーも可能。スコア1万点毎に残機が1増える。
    • 難易度選択が可能。難易度によって出現するライフUPの数が変わる。
    • 最初の9ステージは好きなところから選べる。全9ステージ×4ラウンド後は最終ステージ5ラウンドが控えている。
      • また、4体いる中ボス「ブラックビートル」を倒す事で『ボンバーマンGB』のように一部の能力が得られる。これで得た能力は永続式となる。
    • パスワードによる再開も可能。パスワードはゲームオーバー時に表示される。
  • バトルモードは対人戦。最大4人で対戦可能。CPU操作も可能で強さを9段階から選べる。
    • ステージは12ステージから選択でき、うち4ステージは特殊アイテム(Eボール、電磁ピストル、マルチ、ダイナモ)が画面中央にあるオプション面となっている。
    • また、このモードに限りLRボタン同時押しで制限時間を50に短縮できる。
  • どちらのモードも共通して初期ライフは2で開始する。残りライフが1になると画面上部の顔アイコンが慌てたものに変化する。
    • また「ノーマルモードでボスの即死攻撃*1を喰らう」「バトルモードの岩場ステージにある岩に触れる、塔ステージの落とし穴に落ちる」とライフに関係なく即座にミスとなる。

評価点

  • ノーマルモードの雑魚敵が個性的。
    • ブルドーザー型で最初からマジックパンチを所持している「ブルータス」、死神をつけている霊柩車「厄 付太郎(やく つきたろう)」という不謹慎な敵もいる。敵の種類も豊富で中には1度しか出て来ないレアな敵もいる。
  • 手頃な難易度。
    • ノーマルモード自体の難易度はそれほど高くなく、本家に慣れたプレイヤーなら十分クリアできると思われる。
    • バトルモードのCPUの強さは個別に設定が出来るので個性を出しやすい。この機能は本家では2000年発売の『ボンバーマンランド』まで待つ事になる。
      • 双方のモード共に最低でもライフ2以上の状態で始まるので、本家のように開幕操作ミスで即退場という事態にはならない。ノーマルモードでは基本、敵のライフが1しかないので初心者にとっては追い風である。
  • BGMの種類が豊富かつ良質。作曲は当時ピュアサウンド所属の足立美奈子氏が担当している。
    • バトルモードはステージ毎に曲が違うという力の入れよう。特にネオン菅(上下左右ループ面)ステージと岩場ステージの曲はなかなか恰好いい。

賛否両論点

  • 良くも悪くも「『ボンバーマン』の模倣作品」である点。
    • 電池を蹴り飛ばす「キック(ボムキック)」、電池を持っているぶんいっぺんに置ける「マルチ(ラインボム)」等はほぼそのまんまである。プレイヤーが車である点を生かしたギミックがほぼないのも人によっては気になるところ。
    • 『4』のデンジャラスボムに似ている「ダイナモ」、『PS版ボンバーマン』のハニーの起爆ピストル等本家を先取りしている要素はあれど、所謂「パクリ」の範疇を出ない。
      • ただ、デフォルトのライフが2である点やノーマルモードのステージが選択制である点等本家との差別化を図ろうとした形跡は見られる。

問題点

  • ノーマルモードの敵に一部厄介なものがいる。
    • 特に挙げられるのが置いた電池を潰して(消去して)しまう「ハリー」、遠距離からEボールを撃ってくる「V2」「バルボーン」だろう。
      • 前者は電池で囲っても能力ですぐ脱出してしまう。マジックパンチやキックを使用した搦め手で攻める、厄 付太郎から死神を貰って移す等しないとなかなか倒せない。
      • 後者はブロックが多く狭い序盤のうちから容赦なく能力を使って来るので、逃げ道を確保出来ないとダメージを喰らいやすい。
  • ラスボス「ドン・ゴーガン」が弱い。
    • 画面上からほとんど動かず、正面に飛び道具を撃ってくるだけなので横から攻撃すれば楽に倒せる。
    • 対して直前のボス「マクマホン警察署長」はリーチの長い手錠型ブーメランをぽんぽん撃ってくる強敵。彼に苦労してからラスボスで肩透かしを食らったプレイヤーも多いだろう。
  • クネクネ電池が使いにくい。
    • 置いて作動までに二手間が必要なので、序盤に取ってしまうとアイテム回収が他のプレイヤーより遅れてしまう。
    • 電池を弾き飛ばす効果もどう飛ぶかわからないので実用性に乏しい。
  • マルチ(ラインボム)の斜め置きの脅威
    • 他のプレイヤーがマップの角っこにいる状況であれば歩行してL字型等で電池を囲って置くよりもマルチ(ラインボム)斜め置きした方が簡単に素早く囲める為、囲まれた相手はキック(ボムキック)を持って無い限り脱出不可能という状況になりやすい。
    • 電池を最大個数置ける状態で斜め一直線に置くとマップ全体がほぼ電流と化してしまう。
      • マルチ(ラインボム)はプレイヤー一人しか取れない為、電池を5個程置けるプレイヤーがマルチ(ラインボム)斜め置きを多様すると対戦バランスが一気に悪くなりやすい。

総評

『ボンバーマン』を車と電池に置き換え、清々しい程にパクリまくったある意味では問題作である。
とは言え、難易度もそこそこで目立つバグもないので『ボンバーマン』のパクリである点に目を瞑れば充分に楽しめる佳作と言えるだろう。


余談

  • 開発時のタイトルは『デンズ トラフィックパニック』であった。
    • ドラム缶を設置して爆破するという内容になっており、アイテムも四角の枠内にイラストが描かれているというより本家に近い形式となっている。

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ACT
最終更新:2024年05月12日 19:34

*1 ICE ZONEのボス「Mr.アイスマン」が投げる雪玉やJUNGLE ZONEのボス「ノートン軍曹」の体当たりなど。