Steam版の情報は2025年6月11日以降にお願いします。


Rise of the Ronin

【らいずおぶろーにん】

ジャンル アクション
通常版

Z version
対応機種 プレイステーション5
発売元 ソニー・インタラクティブエンタテインメント
開発元 コーエーテクモゲームス(Team Ninja)
発売日 2024年3月22日
定価(税込) 通常版: 8,980円
デジタルデラックス版: 9,980円
プレイ人数 1人(オンライン時3人)
レーティング 通常版 CERO:D(17才以上対象)
Z version CERO:Z(18才以上のみ対象)
判定 良作
ポイント 幕末を舞台としたオープンワールド
アクションは『仁王』をベースにさらに洗練
作り込まれた三大都市や魅力的な偉人達が登場
演出面で有名映画監督も参加
ストーリーも高評価だが一部首を傾げる点あり
PlayStation Studios作品



名も無き浪人として
己の運命を切り開け



概要

SIEとコーエーテクモゲームスのタッグにより制作された大型新規IP。
ゲームシステムなどは『Wo Long: Fallen Dynasty』や『WILD HEARTS』と同様、『仁王』シリーズのものを準拠としている。
本作の企画は初代『仁王』の開発前から発足しており、『仁王2』の開発終了後に本作の開発も本格化。
実写版『るろうに剣心』などで知られる、映画監督の大友啓史氏が演出やシナリオを担当している。


ストーリー

1863年、日本。徳川幕府による治世が始まってから300年、突然現れた黒船によって日本は混乱の渦に呑まれた。
戦乱、疫病、政情不安による混乱の最中、名もなき浪人が己の道を切り開く。

(公式サイトより引用)


ゲームシステム

操作方法などは前述通り『仁王』シリーズ準拠のため、ここでは本作独自のシステムを紹介。

  • キャラメイクと片割れ
    • ゲーム開始時に主人公となる「隠し刀」とその相棒となる「片割れ」の外見をエディットする。
    • この際、選択肢で選ばなかった方が片割れとなる。片割れはチュートリアル後に退場してしまう…が、その後思わぬ形で再会することに。
  • 武器と流派
    • 「刀」や「大太刀」など複数の武器種があるのは仁王シリーズと同様だが、本作ではそれらに「北辰一刀流」や「天然理心流」といった流派が存在する。流派ごとに「天」「地」「人」の属性*1が設定されており、三すくみの関係となっている。ボス戦では有利な属性の流派をセットしておくことも重要。
      • 舞台が幕末ということで従来の日本的な武器以外にもサーベルやツヴァイハンダー、銃剣といった洋式の武器も存在し、これらにも「英国式」「仏国式」といった流派が設定されている。
    • 流派は主に同じ流派を使う徒党キャラと因縁を深める事で強化が可能。強力な技も習得できる。
    • これら「主武器」だけでなく、銃器や手裏剣と言った飛び道具「副武器」も存在。長銃はヘッドショット可能なものも。
  • 石火
    • 本作独自のアクションでいわゆるパリィ。敵の攻撃が当たる瞬間に△ボタンを押して大きく怯ませる。
    • 猶予は短いため無理に狙う必要はない。まずはガードや回避で攻撃パターンを見極めた後にここぞという所で使うのがいいだろう。
  • 暗殺
    • 敵に後ろから忍び寄り△を押すと暗殺ができる。ただし、強敵は大ダメージを与えられるが殺すことは不可。
    • 単に敵を殺害するだけでなく、スキルを習得すれば獣を手懐け味方にすることも可能。
  • 治安改善とお尋ね者
    • マップの赤くなっている場所には多くの賊が出現。全員倒して治安を改善すれば土地因縁が深まる。
    • お尋ね者が現れる場合もあり、討ち取ると役人から報酬が受け取れる。
  • 無縁の強者
    • 洞窟に隠れ住んでいる、いわゆる隠しボス。マップに居場所が表示されないという特徴があり、文字通り自分の力で探し出す必要がある。
      • 隠しボスだけあって強敵ぞろいだが、そのぶん撃破時の報酬も強力なものが多い。
      • 中には仁王流を操る「碧眼の侍」という明らかに『仁王』のウィリアムが元ネタの敵も。
  • 勢力
    • ストーリー中のルート選択によって主人公が倒幕派・佐幕派につくかが決まる。
    • ストーリーの大筋は変わらないが、特定の勢力でないと発生しないミッションもある。
  • 因縁
    • 50人近くのキャラと因縁を深めることが可能。一部のキャラは最大まで因縁を深めて特別な条件を満たすと「比翼の契り」が発生する。
    • 土地や勢力にも因縁があり、深めると特別なアイテムが貰えたりする。
      • 土地との因縁を深めることでその地域のショップの価格が割引されるので、ゲーム攻略の上でも重要。
  • 徒党
    • 一度因縁を結んだ相手は、因縁ミッションやメインミッションで最大2人までNPCとして連れていける。
    • 連れて行ったキャラはミッション時に操作を切り替えられる。各キャラに必ず固有のアクションが存在する。操作キャラが戦闘不能になった場合は強制的に別のキャラに切り替わる。
      • 当然ながら、キャラの所属派閥と敵対する派閥のミッションには連れていけない。
  • 移動手段
    • ストーリー序盤で馬が手に入るほか、屋根では鉤縄を使った素早い移動も可能。
    • 飯塚伊賀七にはハンググライダーのような「アビキル」をもらえ、高いところからの滑空移動ができるように。
      • アビキルで滑空中に焙烙玉で爆撃できたり、周囲のオブジェクトや体勢を崩した敵を鉤縄で引っかけて他の敵にぶつけたりと移動だけでなくバトルでも使い道がある。
  • 道場
    • これまでに戦ったボスとの再戦ができる。死亡した人物とも「戦いの記憶」という形でバトルが可能。また、江戸と京都では鍛錬を行うことで道場主との因縁が深まる。
    • 勝てばクリアタイムなどに応じて様々な報酬がもらえる。各流派の奥義もほとんどがここで習得する。
      • 鍛錬なので負けても死亡扱いにはならないが、副武器が使用不可、使用できるアイテムが固定になっているほか、模擬戦形式の相手とは武器も固定される。
  • ミニゲーム
    • 流鏑馬や滑空訓練、丁半博打を楽しめる賭場などプレイスポットが豊富。
    • 丁半博打では過去の目からイカサマを見抜くパートがあり、プレイヤーを飽きさせない。
  • 猫集め
    • 本作の収集要素。遊女の薄雲太夫の依頼で彼女が飼っていた猫を探していく。猫は屋根の上などでくつろいでいることが多いが、三毛猫は警戒心が強く気づかれると逃げてしまう。
    • 見つけた猫は後述の長屋で飼えるほか、困っている人のもとに派遣できる。
  • 長屋
    • 三大都市に1つずつ存在する拠点。意匠変更での衣装替えやキャラメイクのし直しが可能。
    • 装備のパラメータはそのままに見た目だけを変えられる機能も存在。
    • 植物学者のロバート・フォーチュンとの因縁を深めると畑が追加され、薬の素材となる植物を栽培できるようになる。
  • 留魂録
    • ストーリーを進めると吉田松陰が残した留魂録でミッションをやり直せたり都市の移動が可能になる。
    • クリア後は難易度の高い「暗夜ミッション」が追加。かなり難しいが見返りも上質。
  • オンライン要素
    • 長屋などから他のプレイヤーのメインミッションや因縁ミッションに助太刀として参加してco-opプレイが可能。もちろん助太刀を募集して手伝ってもらうことも可能。ただし、この機能のみPSPlusなどのオンラインサービスへの加入が必要。
    • 占領された拠点には他のプレイヤーのアバターが捕らえられていることがあり、助けるとその拠点奪還まで味方として追従してくれるほか、奪還完了時にアバターが使っていた装備を貰えることがある。
      • 逆に、終盤に発生する浪人による治安悪化ではアバターが敵として登場するようになる。
    • 長屋から「こんぴら狗」にお金を持たせて派遣することで、一定時間経過後に様々な報酬を持ち帰ってくれる。
      • 派遣中は他のプレイヤーのワールドにも出現するようになる。逆に他のプレイヤーのこんぴら狗が出現することもあり、撫でると銀貨を貰える。

評価点

オープンワールド面

  • 主人公は横浜・江戸・京都の3都市を巡るのだが、どのマップも丹念に作り込まれており『真・三國無双8』の失敗で懸念されたスカスカのフィールドでは全くない。
    • 3都市合わせて27平方kmの広さがあり、これは『Ghost of Tsushima』や『イモータルズ フィニクス ライジング』と同程度。それぞれの広さはそこそこだが、その分密度はぎっしりと詰まっている。
    • 最初の横浜だけでも貴賓館で踊る外国人や港崎遊郭で楽しむ侍、売り声を上げる商人…と活気のいい人々の姿が。
    • 横浜や江戸では富士山もしっかり見渡せ、京都では五条大橋で義経ごっこを楽しめたりも。芝の浜や下鴨神社といった名所を巡り落語や時代劇の聖地巡礼をするのも乙だろう。
  • 移動関連がとにかくストレスフリーなのも嬉しいところ。
    • 前述通り馬や鉤縄、アビキルなど移動手段が豊富。さらにバトル以外でのダッシュはスタミナを一切消費しない上、ボタンを2回押せば自動ダッシュも可能。
    • マップからは馬のオートランが可能。スティックを倒し続ける必要がない。
  • 豊富なプレイスポット
    • 一度戦った相手と再戦できる道場をはじめ、マップ中に遊びきれないほどのミニゲームが詰め込まれている。すべて制覇するには果てしない時間がかかるだろう。

ストーリー面

  • 道中を彩る魅力的なキャラクター
    • 佐幕・倒幕ともに顔が利く坂本龍馬や初対面時は敵対するも実は懐が深いマシュー・ペリーといった誰もが知る偉人から、あの流派を使う「最後の忍者」沢村保祐に発明家・飯塚伊賀七*2などかなりのマイナー所まで各登場人物に個性的なキャラ付けがなされている。
      • 福沢諭吉や渋沢栄一といった文官のイメージが強い偉人も多数登場し、時に敵対し時に共闘をしてくれる。ここまでアグレッシブ&武闘派な福沢諭吉などそうそうお目にかかれないだろう。
    • 女性陣も女スパイ・村山たかや女剣士・中沢琴、女医・楠本イネなど綺麗所が揃いコーエーテクモの本領発揮。本作でお龍の本名(楢崎龍)を知ったプレイヤーも多いだろう。坂本龍馬など一部の男性キャラも史実よりイケメンに描かれている。
    • 盗賊・権蔵は架空のキャラだが選択肢によって展開が変わるチュートリアル的な役目を果たしている。さらに特定の勢力に属しておらずほとんどのミッションに連れていけるため、愛着が湧いたという人も多数。
    • 因縁を深めると長屋にも訪ねてくるようになる。ペリーや将軍徳川慶喜公が縁側で寛いでいる様はかなりシュールで話題を呼んだ。
    • さらに個別シナリオを進めると史実では夭折した沖田総司、高杉晋作などの生存する幕末ファンに嬉しいIFルートも存在する。
  • 声優陣も超豪華
    • 主人公及び片割れ役の花輪英司氏・加瀬康之氏・石川由依氏・ファイルーズあい氏をはじめ、坂本龍馬に武内駿輔氏、井伊直弼に菅生隆之氏、ジュール・ブリュネに大塚芳忠氏、桂小五郎に子安武人氏、久坂玄瑞に福山潤氏といずれ劣らぬベテラン・実力派が集結。
      • 主人公の師である「研師」役に榊原良子氏といったレジェンド声優も参加し、時に軽妙に、時に重厚な演技で物語を盛り上げてくれる。
  • 骨太なストーリー
    • 主人公と片割れを中心に、数々の偉人の思惑が交差していくさまはさながら1本の大作映画のよう。
    • メインミッションはペリー来航に始まり安政の大獄、桜田門外の変、禁門の変、池田屋事件、油小路の変、近江屋事件、鳥羽伏見の戦いと概ね史実の大きな事件をモデルにしており、激動の幕末を追体験できる。今までの幕末ゲーと言えば京都を舞台としたものが多かったが、本作は文字通り幕末の始まりから終焉の歴史を丸ごと楽しめる。自分の手で体験できる大河ドラマとして仕上がっている。
      • 直接は関わらないが生麦事件なども拾われており、より深く幕末を学ぶことができる。
    • 井伊直弼や勝海舟を暗殺する、新選組に潜入するなど幕末好きなら燃えるシチュエーションも多い。
+ ネタバレ注意
  • 片割れは敵として主人公の前に幾度も立ちはだかる。発売前の宣伝がほとんどされていなかったため、手塩にかけてキャラメイクしたキャラが敵になるという展開は多くのプレイヤーを驚かせた。

アクション面

  • 流派による自由度の高いアクション
    • 武器に設定された各流派に個性的な動きがあり、武器を振るうだけでもかなりの楽しさ。刀だけでなく、大剣、二刀、槍などの多くの武器、それぞれに流派も含まれると 20種類以上のバトルスタイル で戦えるという、戦闘スタイル面ではかなりの自由度を誇るゲームである。
      • 流派の数は武器によって異なり、刀は最多の流派を持つが、流派にあまり選択肢のない武器種もあり、武器の個性として反映されている。
    • 「Z Version」では斬った相手の首や腕がすっ飛ぶので爽快感抜群。
  • 石火で攻撃を捌く快感
    • 今作の敵の攻撃は遠近問わず全て石火成功で防ぐ事が出来る。
    • 派手に火花を散らしながら敵の攻撃を捌き、体勢を崩して反撃を行う。シンプルながら極めて高い爽快感を得られる。
  • 簡単すぎず難しすぎない絶妙な難易度設定
    • 高難易度で有名な「仁王」シリーズのスタッフ作の為誤解しやすいが、公式で「死にゲーではない」と明言している通り、難易度設定を一番簡単な「薄明」にすれば一般的な3Dアクションの「普通」ぐらいの難しさとなる。「薄明」では「薬の体力回復量増加」と「攻撃を受けた時の気力減少緩和」のON/OFFの設定も可能。
    • その分高難易度の「宵闇」「暗夜」は死にゲースレスレの難しさ。敵もガード不能の武技を積極的に使ってくるようになり、スリル満点のバトルが楽しめる。
  • 程よくはっちゃけたシチュエーション
    • 斬撃を飛ばす井伊直弼や牙突っぽい技を使う斎藤一、ジェットシューズで空を飛び回るアーネスト・サトウなど無双シリーズを思わせるぶっ飛んだ動きのキャラも多く楽しませてくれる。
    • 勝海舟戦は隅田川花火大会を楽しむ勝を襲撃するというド派手なシチュでプレイヤーからの人気もとりわけ高い。
  • 幕末らしいバトル
    • 暗殺、辻斬り、強襲、戦争などの幕末が舞台ならではのシチュエーションのバトルとなっており、幕末ファンを大いに楽しませてくれる。

その他

  • キャラメイク
    • 『仁王2』に端を発する高品質なキャラメイクは本作でも健在。加えて本作では衣装の組み合わせの幅が増えたため、かなり自由度の高いキャラメイクを楽しめるようになった。
  • 情報
    • 人物紹介や歴史紹介などストーリーの詳しい内容が書かれており、説明も豊富なので気になることはすぐに調べられる。
  • システム
    • 細かいシステムが自由に調節できるように作られており、設定次第でストレスフリーのゲームプレイにすることも可能である。

賛否両論点

  • ストーリー
    • 映画監督が演出しているだけあって評価の高いストーリーだが一部首を傾げる点も。
+ ネタバレ注意
  • どの選択肢を選んでもストーリーの大筋は変わらない。
    • 上記の通りストーリー中盤から「倒幕」ルートと「佐幕」ルートが選べるが、特定ミッションの内容が変化する程度で、結末が大きく変化したりする事はない。
      • 例として、井伊直弼を助命する選択肢を取っても直後に片割れが井伊を殺害してしまう。お前はタイムパトロールか。
      • ただしある人物との因縁を深められるミッションが追加されるので全く無意味という事はない。
  • 主人公が龍馬の言いなりになっている感が強い。
    • 同じ幕末ゲームの『風雲 幕末伝』のようにそれぞれの思想側に常に肩入れするということはなく、龍馬が佐幕・倒幕どちらにも顔が利く都合上主人公の行動も両方の行動をとるコウモリプレイを取り、安定しない。新選組と仲良くなった直後に桂の提案で新選組に潜入するなんてことも。あくまでも自由な浪人ということだろうか……。
      • 主人公がプレイヤーの分身=あまり我を出させるわけにはいかない、という都合も考えられる。その分龍馬が今後を考え行動し、主人公はその後ろをついて回る感が出てしまっている。
    • なぜか敵対勢力と親身になってもほとんどのキャラは怒ることなく通常通り接してくれる。ゲームの都合上仕方ないとはいえ、倒幕派と佐幕派でバチバチにやり合っている中主人公だけ特別扱い感が凄まじい。
  • 片割れが主人公と敵対する理由が不明瞭。
    • 片割れとは相対する場面が何度もあるのだが、「お前にもわかる。いずれな」と濁すばかりでほとんど話にならない。
    • 最終決戦で自分の考えを吐露するが、人によっては聞いてなお共感できない・稚拙と感じるかもしれない。
    • また、プロローグでは共に行動し度々「隠し刀は二人一組でこそ力を発揮する」ということが強調されるため愛情を注いでキャラクリした片割れの離脱、敵対を残念がる声も。
  • 比翼の契り
    • すでに「比翼の契り」を結んでいる状態で他のキャラと再度結ぶと、先に結んでいたキャラによっては浮気とみなされ怒られてしまう。
    • 一人だけの純愛を求めるプレイヤーには良い一方で、リアルっちゃあリアルだがイベントが発生しなくなってしまうので地味に傷つく。というか勢力を乗り換えまくっても怒らないのに浮気ぐらいで怒んなよ。
    • 怒られたくない場合はこちらから別れを切り出せば防げるが、しばらく悲しそうな声になるのでやっぱり傷つく。
    • 他にも三人までなら同時に「比翼の契り」を結べる。だが三人まではOKでハーレムルートがないのは少々がっかり。
  • 主人公と片割れの幼少期の顔が大っぴらに登場するシーンがあり、キャラメイクで奇抜なキャラにしているとギャップで面食らう可能性がある。
  • 一部登場人物の年齢
    • 「明治」「幕末」の著名人を出したためか、一部著名人の年齢をゲーム内で当てはめると違和感があるキャラも。
    • 例えば柔道の生みの親・嘉納治五郎は1860年生まれなので、本作での初登場となる1863年の時点では 3歳 である。
    • 色々な有名な人物が出演しているという利点でもあるが……。

問題点

  • グラフィック
    • 発売前から不安視されたが、グラフィックはお世辞にも質が高いとは言い切れない。
    • 建物や木々の作り込みが甘く安っぽい。人物もメインキャラはともかくモブキャラの肌は汚い。全体的に1世代古いPS4初期のグラフィックレベルと言う声も。
  • オープンワールドとしての新鮮さは薄め。
    • 特定場所に発生する敵の一掃や鉤縄・滑空での移動などすでに他ゲームで確立された要素が多く、どうにも『SEKIRO』や『Ghost of Tsushima』の二番煎じ感が拭い切れない。
    • 裏を返せば堅実に作ってあるとも言えるが。
  • 幕末をある程度理解していないとストーリーを楽しみにくい。
    • 偉人達は戦闘パターンなどははっちゃけているものの行動などは史実にかなり忠実。ゲーム内の事典もストーリー内での行動だけで史実での詳しい動向はほとんど書いておらず外部サイトや書籍などに頼らざるを得ない。
    • 特になんの脈絡もなく伊藤博文が現れるサブミッション「危険な肝の使い道」などは、史実を知らなければなぜ伊藤が現れたのか首を傾げるだろう*3
    • メタスコアが76点と伸びなかったのも、他国の史実を知らない人たちにとっては理解不能にしかならないシナリオも原因の一つと考えられる。
  • 佐幕派がややスロースタート
    • 主人公が最初に出会うのが坂本龍馬で、彼が主人公と引き合わせるのも吉田松陰門下の倒幕派ということで、しばらくはどうしても主人公も倒幕派として行動することとなる。
    • 現実でも人気のある新選組が初登場するのは全3章のうち2章の後半、しかも新選組結成からいきなり「池田屋事件」のミッションとなり史実を見るとやや駆け足気味。
    • 有名な「芹沢一派討伐」はサブミッション扱い、選択不能のメインミッションでも新選組が敵として出るパターンが多い等ストーリーでも倒幕派が優遇気味で、新選組や佐幕派目当てでプレイすると多少肩透かしを食うかもしれない。決して物足りないということはないのだが…。
  • サブミッションは「問題発生 →(お使い →)賊を倒す」というものばかりで少々ワンパターン。
    • 龍が如く』シリーズのように、ミニゲームを絡ませたり賊が登場しないミッションもいくつか欲しかったところ。
  • 主人公が使えない武器を持った徒党がいる。
    • 西郷隆盛の鉄棍、本作のオリキャラであるアレクサンドリア・モローの鞭剣、ジュール・ブリュネの西洋剣(サーベル+盾)、沖田総司の長刀が該当する。土方歳三の二刀も柄が鎖でつながった特殊なもので、モーションも専用になっている。
    • また、本編で戦闘描写があるのにもかかわらず、徒党にすら選択できない因縁キャラも存在する。
+ 該当する人物
  • 千葉周作、中岡慎太郎、男谷信友、大石種次、新門辰五郎、福沢諭吉、清河八郎の7人。彼らはミッション本編や道場で戦うこと自体はできるものの、徒党として浪人ミッションに連れていくことは不可能。
  • 不殺主義を貫いている福沢*4やあくまで剣術指南役を務めているだけの千葉と男谷は仕方ないにしても、それ以外の人物は徒党に選べてもよかったのでは?という声も少なからずある。
  • 土地移動がやや分かりづらい。
    • 主人公は章ごとに横浜→江戸→京都…と舞台を移動するが、例えば2章(江戸)まで進めていざ横浜でやり残したミッションや収集要素を進めたいとなった時は、留魂録で1章(横浜)の時代に戻るという手段を取る必要があるのだが、これが初見では中々分かりづらい。
      • 現在の状態でその土地に戻る為、装備や成長・クリア状況はきちんと引き継がれるのでご安心を。
  • 素手の流派が1つだけ。
    • 他の武器は最低でも3つの流派があるのに対し、素手は初期流派の無明流1つしかなく、戦闘での相性を流派の切り替えでカバーできない。
      • 本作には前述のように後の柔道の祖となる嘉納治五郎や史実でも拳骨和尚と呼ばれた武田物外など素手で武器を持った相手と渡り合う猛者が登場するにもかかわらず、彼らから教えを受けることもできない。
  • 留魂録ではミッション前後の会話を見返せない。
    • 選択肢でキャラの反応が変わるのも魅力のため残念な点。「強くてニューゲーム」の追加を望む声も多い。
  • 機能のほとんどがアイテム扱い
    • こういったゲームでは基本機能となっている時間帯変更、敵やアイテムの探知、馬呼び、写真といったものが全てアイテム扱いとなっており、そのままではワンボタンで使うことができず*5、事前にアイテムパレットにセットしておく必要がある。
      • 裏返すとアイテムパレットにセットするということは限られたアイテムの枠を潰すことでもあり、他のパレットと間違えて消費アイテムが暴発するリスクもある。

総評

オープンワールドで幕末維新の動乱や当時の人々の暮らしを隅々まで再現しており、幕末ゲー最高傑作という声も根強い。
『仁王』シリーズ譲りの爽快感溢れるアクションも魅力の1つ。
反面史実が絡まないオリジナル要素は粗も多く見受けられる。


余談

  • 当初は公式の宣伝不足やメタスコアの低得点等の事情も相まって出来を不安視する声が多かった。
    • だが、蓋を開けてみれば完成度の高さから高評価が広まりジワ売れ。上半期にはSIEのソフトでは『Marvel’s Spider-Man 2』に次ぐ売上を記録した。
  • 2025年3月11日にSteam版が発売された。

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幕末 Team NINJA
最終更新:2025年03月15日 19:21

*1 無属性の流派も僅かながら存在する。

*2 史実の伊賀七はすでに死去しているが、本作ではその孫弟子という設定。

*3 伊藤博文は尊王攘夷の志士の一人として1860年代初頭に暗殺などを行っている。また、豊臣秀吉が出したと言われている河豚食禁止令を明治時代に解禁したことにも伊藤博文が関わっている。ただし実際にフグを食べたのは明治維新(1868年)の20年後である1888年)。

*4 彼との因縁ミッションでは主人公と同行して敵の陣地に潜入するものが多いが、敵に発見されてもガードと回避に専念するのみで攻撃は一切行わない。また、ミッション開始前には(プレイヤーの任意ではあるものの)無闇に殺生はしないよう念を押される。

*5 さすがに鉤縄とアビキルは最初からワンボタンで使える。