本項目では『スーパーファイヤープロレスリング3 Final Bout』とそのアレンジ版『スーパーファイヤープロレスリング3 イージータイプ』(ともにスーパーファミコンソフト)について併記します。
スーパーファイヤープロレスリング3 Final Bout
【すーぱーふぁいやーぷろれすりんぐすりー ふぁいなるばうと】
| ジャンル | スポーツ(プロレス) |  | 
| 対応機種 | スーパーファミコン | 
| 発売・開発元 | ヒューマン | 
| 発売日 | 1993年12月29日 | 
| 定価 | 9,700円 | 
| プレイ人数 | 1~4人 | 
| 判定 | 良作 | 
| ポイント | エディットにバトルロイヤルなど新モードが追加 レスラーバリエーションが前作比で一気に倍以上に増加
 レスラーが持てる技数も増加
 エディットレスラーが公式リーグに参加できないのが残念
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| ファイプロシリーズリンク | 
 
概要
1993年12月にヒューマンから発売されたスーパーファミコンソフトのプロレスゲームで同社看板作品『ファイプロ』のシリーズ作品。
前作はほぼ前々作のマイナーチェンジで新要素に乏しかったが、本作はエディットモードの新搭載などシステム根本でも新機能が充実した発展形となっている。
基本的な操作方法などは前作や前々作から引き継いでいるため、本項では相違点に絞るものとする。
またスーパーファミコンのシリーズでは初めてバッテリーバックアップを搭載している。
内容
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収録レスラーが前作のレギュラー25人+隠し3人だったのが、レギュラー56人+隠し8人と一気に倍以上に増加。
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隠しレスラーは「公式リーグ戦」を勝ち抜いて「タイトルマッチ」を制することで使えるようになる。
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ステージクリアモードに該当する「公式リーグ戦」は前作では2周しなければならなかったが、その必要がなくなった。
 
 
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PCエンジンで発売した『ファイヤープロレスリング3 Legend Bout』(1992年12月29日発売)で好評だったエディットモードをスーパーファミコンシリーズで初搭載。
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これにより、新しい楽しみ方が増えより中身が濃いものとなった。
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併せてバッテリーバックアップを搭載し、公式リーグやオープンリーグは進行データを記録できるようになった。公式リーグ戦はこれまで通りパスワードコンティニューも可能。
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バックアップは公式リーグ戦ではシングル2枠、タッグ2枠、オープンリーグ用に1枠、エディットレスラーが12枠。
 
 
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オープンリーグ戦はCPU同士の試合ならばスキップが可能になった。
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レスラー個人の持ち技バリエーションも増した。
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組みからのハンマースルーがこれまで使われていなかったXボタンに充てられた(前作まではY+十字ボタン)。
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組んでAボタンの大技が、十字ボタンとの組み合わせで4通りになった。
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これによりYボタン=小技、Bボタン=中技・Aボタン=大技と明確に区分分けされた。
 
 
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レスラー選択の画面で、簡易的ながらステータスが表示されるようになった。
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レフェリーにもバリエーションが4通り用意された。
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前々作の裏技のようなグラだけでなく、それぞれ特徴がある。
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ノーマル……これまで通り。
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ミスター石橋……カウントが速い。
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ジョー弘……移動スピード、カウントが遅い。
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ミスター水中……移動スピードが速い。
 
 
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ゲームモードは前作のものはそのまま引き継いで、新しく下記が追加。
新しいゲームモード
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バトルロイヤル
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4人を選択し、全員が敵同士となり最後の1人になるまで戦う。
 
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トーナメント
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8チームで行うトーナメント戦(シングルorタッグで8チーム固定)。
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オープンリーグ同様にCPU同士の試合はスキップできる。
 
 
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エディットモード
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レスラーを作成するモードで、最大12人まで保存できる。作成したレスラーは各モードで「EDIT」で選択できる。
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グラフィックは、まずベースとするレスラーを決定し、肌、パンツ、タイツ、ブーツのカラーリングを決める。
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名前は半角で15文字まで(漢字は全角となるので7文字まで)。
 
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その後はステータスを決める。
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最後に技を装備させ、この時同時に必殺技も選択する。
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技の中には公式リーグをクリアーして隠しレスラーを解放することで同時に使えるようになるものもある。
 
 
評価点
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レスラーの大量増加。
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前作は前々作に比べて気持ち程度増えたぐらいだったが、一気に倍以上に急増した。
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しかも前作は隠しレスラーがモデルベースで考えると大して特別に思えないが、ちゃんと伝説のレスラーや故人など文句なく特別に思えるキャラばかり。
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前作、前々作に登場していたレスラーはほぼ全て網羅されている。
 
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レスラー個々の持ち技が増加。
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前作や前々作で使われていなかった「組んでX」が追加され、これにハンマースルーが充てられたことでより持ち技が増えた。
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初心者でも「Xが走る技」と直感的なイメージしやすい。
 
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花形とも言える大技もこれまでAボタン技は1つのみだったが、それも十字ボタンとの組み合わせでバリエーションが増した。
 
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リーグ戦やトーナメントはCPU同士の試合をスキップできるようになった。
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これまで強制フル観戦だっただけに、より便利になった。
 
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バッテリーバックアップにより、リーグ戦が非常にやりやすくなった。
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特にオープンリーグはCPUを混ぜるととんでもなく時間がかかったため、この機能との相性が良い。
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公式リーグ戦ならばパスワード制も併用でき文字数も4字とグッと少なくなったことで手間が激減。
 
 
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同じプロレスのモードでも、トーナメントやバトルロイヤルなども追加され、これまでとは違った楽しみ方も増えた。
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BGMも一新。
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前作は前々作からそのまま使い回しだったが、それも一新し曲数もさらに増加。
 
問題点
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新搭載のエディットもバッチリとは言い切れず。
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作成したレスラーが「公式リーグ」に参加できない。
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これが一番の問題点で、ある意味一番メインといえる公式リーグに参加できないのではモチベーションが上がらない。
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そうなると、自分で作ったレスラーなのに使い慣れず気が付けばどうでもよくなっていることもままある。
 
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トーナメントやオープンリーグでの表では「ED ○○」(○○はセーブした枠番)という淡泊な表記になってしまう。
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漢字が使えること自体は悪くないがバリエーションが少ない。
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ベースに選んだレスラーによって、使える技が大幅に制限されてしまう。
 
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レスラーの数が多いだけにレスラー選択が一列構成なのは不便。
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初期状態でも56人もいるため、27.28人目付近を選ぶにはグルリ回って長くかかるため、特にオープンリーグやトーナメントなど大人数を選ぶときはちょっと煩わしく感じてしまう。
 
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前作同様CPUレベルが最低でも反応がそれなりに速く、初心者ではロクすっぽ技がかけられずに終わることもしばしばあるレベル。
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これを懸念して後述のイージータイプを出したのかもしれないが、であれば収録レスラーに若本一徹(山本小鉄モデル)もいるので、練習モード「レスリング道場」を復活させてあげても良かっただろう。
 
総評
前作は前々作のマイナーチェンジに近いぐらいで続編と呼ぶには物足りないところが多かったが本作ではエディットやトーナメントなど新モード満載で文句なしの発展形。
見た目だけでなくシステムもリーグ戦のCPUスキップやバックアップ機能、更には登場レスラーもグッと増えレスラー個人単位の技も増えるなど全てに亘って劇的な進化を遂げている。
それだけにエディットで作ったオリジナルレスラーが1人プレイのメインモード「公式リーグ戦」に使えないというのは「初搭載だからシステムが未成熟」という点を考慮しても擁護できないところがある。
しかし全体的に見ればPCエンジンやメガドライブに縁遠かったシリーズファン層には、待ちに待った本当の意味での進化系な続編として期待に応えられている出来といえそう。
その後の展開
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本作発売から間もない1994年2月にマイナーチェンジの『スーパーファイヤープロレスリング3 イージータイプ』が発売。
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文字通り本作のゲーム性はそのままだが隠しレスラーがデフォルトになっていたりCPUロジックが弱くなっていたりと初心者向けになっている(詳細は後述)。
 
余談
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前作と前々作で登場していたレスラーは隠しレスラーも含めて網羅されているが「グレート司馬」(モデルはジャイアント馬場)のみ権利関係の問題で登場できていない。
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本作は『Final Bout』と冠しているだけでなくパッケージにはでかでかと「シリーズ最後!!」と表記されているのだが実際には後述の通り女子プロレスバージョンにとどまらず、これまで通りの流れを汲んだ続編も出している。
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「ファイナル」が名ばかりなのは既に超ビッグタイトルのRPGがあるため今更まったく気にならないだろうが、パッケージで堂々と「最後!」と言い切った例は少ない。
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上記の通り直後に「イージータイプ」とマイナーチェンジ発売したのは『Final』をあやふやにするためという説もある。
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とはいえ、数字でのナンバリングは本当に最後となったので『Final』はムリムリながらもあながち間違ってもいない。
 
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本作は後に『killer7』や『ノーモア★ヒーローズ』で名を馳せるSUDA51こと須田剛一氏の初ディレクター作品であり、デビュー作である。
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氏は上述の『スペシャル』ではシナリオを手掛け、同作はそのシナリオの一点によってシリーズ屈指の名作にして問題作と名を刻む結果となった。その後も『ムーンライトシンドローム』や独立後の『シルバー事件』などを経て独特過ぎる作風を確立していく事となる。
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ちなみに『ノーモア★ヒーローズ3』は当初は「Final Bout」というサブタイトルも考案されていたという。
 
スーパーファイヤープロレスリング3 イージータイプ
【すーぱーふぁいやーぷろれすりんぐすりー いーじーたいぷ】
| ジャンル | スポーツ(プロレス) |  | 
| 対応機種 | スーパーファミコン | 
| 発売・開発元 | ヒューマン | 
| 発売日 | 1994年2月4日 | 
| 定価 | 7,900円 | 
| プレイ人数 | 1~4人 | 
| 判定 | 劣化ゲー | 
| ポイント | イージータイプ兼シンプルタイプ 大人数でのリーグ戦がやりにくくなった
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| ファイプロシリーズリンク | 
 
概要(イージータイプ)
上記『スーパーファイヤープロレスリング3 Final Bout』のマイナーチェンジ作品で1994年2月に発売された。
根本的なゲーム性は上記作品のままだがバックアップがカットされ、ゲームモードはエディットをオミットするなどシンプルにマイナーチェンジしている。
本項目では上記オリジナル版との相違点のみに絞って記述する。
変更点(イージータイプ)
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ゲームモード関連。
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エディットモードがなくなっている。
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それに伴いバッテリーバックアップ機能もなくなり、コンティニューはパスワード方式のみに変更。
 
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その他。
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隠しレスラーが最初から解放されており、全64名が無条件で使える。
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「イージータイプ」の名が現している通りCPUロジックレベルの難易度が下げられている。
 
評価点(イージータイプ)
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パスワード制ながら公式リーグでは非常に扱いやすい。
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オリジナル版同様、字数は少ないので紙を使うまでもなく頭で覚えられるし、ややこしい似た文字が使われているわけでもない。
 
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CPUの強さが落とされていることに加えて、強い隠しレスラーが最初から使えるので、初心者にとっては馴染みやすい。
問題点(イージータイプ)
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「イージータイプ」という名ですぐマイナーチェンジ発売は1991年の『ファイナルファンタジーIV』以来だが、オリジナル版にない要素もいろいろ追加されるなど工夫のあった左記作品と異なり劣化版でしかない。
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初心者向きという位置付けなら前々作にあった練習モード「レスリング道場」などの特有のものがあった方が、特に既存作未プレイ層にとっては一層とっつきやすくなったことだろう。
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その分安くなったといえなくもないが、それでも割に合うかと言われたら微妙。
 
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オープンリーグは一日の内に一気に全試合を消化しなければならなくなった。
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大勢でやっていると、やっぱり時間がかかるので使い勝手が悪くなった。
 
総評(イージータイプ)
CPUロジックのレベルが落とされたり、強い隠しレスラーが無条件で使えるのため初心者でも扱いやすいスタイルと言えなくもないが、それにしては初心者向きに特化したような内容ではなく単純に一部を削っただけの劣化というイメージが強い。
程度にもよるがオリジナル版でも最低レベルならば初心者でも多少の我慢で馴染めるぐらいなので落とされた難易度も、それほど意義が感じられない。
元々のゲーム性は良質で価格が2,000円近く安くなっているのは悪くないのかもしれないが、オリジナル版を購入した方がより充実した内容を堪能できるのでその程度の差ならオリジナル版の方が推奨される。
その後の展開(イージータイプ)
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同年7月にシリーズ初の女子プロレスバージョン『ファイプロ女子ALL STAR DREAMSLAM』を発売。
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これまでのシリーズから一転、初めて団体公式の実名を採用しているが、その対象は全日本女子のみなので他はこれまで同様、変名したレスラーとなっている。
 
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同じく12月22日には続編『スーパーファイヤープロレスリング スペシャル』を発売。
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これによりオリジナル版の「Final」は名ばかりとなったが(もはや恒例だが)、それが恒例の「ファイナル詐欺」と揶揄されないほどさらに発展させ、より充実した内容になっている。
 
余談(イージータイプ)
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「イージータイプ」と冠したのは上記『ファイナルファンタジーIV』以来であり、実はスーパーファミコンでは本作と2つだけとかなりレアだったりする。
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タイトルから「Final Bout」がなくなっていると同時によく見ると「シリーズ最後!」の文言もなくなっている。
最終更新:2024年08月16日 22:30