『ジョイメカファイト』とは、1993年5月21日に任天堂から発売されたファミコン用対戦格闘ゲーム。
2008年3月からWiiのバーチャルコンソールで配信されている。
概要
あるところに、ロボットをつくらせたらせかい1の、しろひげのリトル・イーモン くろひげのイワン・ワルナッチというふたりのハカセがおりました。
ふたりはとてもなかよしで、たすけあってたくさんのロボットをつくりだしました。
あるひ、イーモン・ハカセがケンキュウしつにいくと、どうしたことか7たいあったロボットが1たいもみあたりません。
そればかりか、ロボットをつくるためのセッケイズやキカイがこわされ、ワルナッチ・ハカセもそのひをさかいにいなくなってしまいました。
すうじつご、ワルナッチ・ハカセがテレビにでていました。
「しょくんにけいこくする わたしはさいきょうのロボぐんだんをひきいてせかいをせいふくする。ていこうすればようしゃはしない!」
すっかりワルになってしまったワルナッチ・ハカセをみて、イーモン・ハカセはたいへんかなしみました。
しばらくなやんだすえ、イーモン・ハカセはカンサイにしゅぎょうにでていたオワライ・ロボのスカポンをよびもどし、せんとうようロボにかいぞうしました。
そうしてスカポンにいいました。
「ワルロボにかいぞうされた、なかまのロボは、わたしがかいぞうしなおして、もとのヨイロボにできるじゃろう。
おまえは、つらいきもちをふりきって、なかまだったワルロボをたおすのじゃ!」
こうして、スカポンとワル・ロボぐんだんのしれつなたたかいが、はじまったのでした。
FC版OPナレーションより
イーモン博士の作った「イーロボ」とワルナッチ博士の「ワルロボ」が戦うロボット対戦格闘ゲーム。
任天堂からファミリーコンピュータ用カセットで発売された最後のオリジナルゲームソフトである。
既にハードはSFC全盛時であったにも関わらず、遜色ない滑らかな動きと完成度の高さから伝説となっている。
本作の最大の特徴は、ロースペックを逆手に取ったキャラクターの表示方法で、
キャラクターは全身を描くのではなく、頭部、胴体、手、足などを宙に浮いているように配置し
*1
各パーツを一つのキャラとして動かすという荒業によりファミコンとは思えない滑らかでスピード感のある動きを実現した。
また、データ量の節約にも繋がり、なんと
合計36体のキャラクターを登場させている。
クエストモードではイーロボを操って各ステージのワルロボを倒していく。
最初は
スカポンしか使えないが、ステージ1は7体のイーロボと戦うことになり
1体倒すごとに使用可能なイーロボが増えていく。それ以降はワルロボとの戦いになる。
各ステージで8体(ステージ1のみ7体)を倒すごとにボスとの対戦になる。
なお、対戦モードでは最初から8体のイーロボを選択できる。
実は任天堂他が主催した人材発掘セミナーの受講者が制作した格闘ゲームを改良し製品化したのが本作で、
ファンから長らく移植を熱望されていたものの、権利の所在が不明という理由で見送られてきた。
しかし近年になり、実は著作権譲渡契約そのものが曖昧なまま放置されていたことが判明し
権利関係をクリアした上で正式に任天堂からWiiコンソールで配信されたという数奇な運命のゲームである。
尚、昨今の調査により、実は
世紀末と呼ばれてもおかしくない神バランスであった事が発覚した。
キャラクター
総勢36体だが、最終ステージの8体はイーロボの強化アレンジ版である。それらを差し引いても28種のロボットが存在する。
ワルロボは、クエストモードをクリアすることで対戦モードでも使用可能になる。
ステージ1のイーロボのワルロボバージョン以外は全キャラMUGENに存在している。
また、本編にはまったく登場しないものの、データとして存在していた2体のロボが存在。
片方の道化師型のロボは
ピエールとしてyamabe氏が製作、公開している。
システム
キャラクターのHPは一律88POW。操作系は十字キー+2ボタン。シンプルながら対戦格闘に必要なシステムは揃っている。
ダッシュは無い
が、画面自体それほど広くないので苦にはならない。
ファミコンのキーに配慮して必殺技コマンドにナナメ方向押しは必要ない。
短時間に連続攻撃等で大きなダメージを受けると一定時間操作不能になる気絶/スタンもある。
またこのゲームには
ステージの壁が存在しない
のでどこまでも前進・後退が可能なMUGEN回廊である。
A=パンチ、B=キック、→+A=強パンチ、↓+B=足払い、A+←or→=投げ、(空中で)A=空中パンチ、(空中で)B=空中キック
ジャンプ中は←or→でわずかに空中制御が可能。
少し前進して即ジャンプすることで飛距離が伸びる大ジャンプがある。
空中ガードが存在しない
ので、ジャンプによる駆け引きはよりハイリターンハイリスクとなっている。
ガードは完全に防御した場合はノーダメージだが一部の技にはケズリダメージも存在する(1ケズリ3POW前後)
また
上段と下段の区別が無い
ので
ガード硬直中にも投げられ判定が存在する
。
というか投げを含む
全技の攻撃判定発生が1フレーム
など一部独特なシステムも見られる。
必殺技
すべてのロボットに独自の必殺技がだいたい4つずつ用意されており、デモモードで確認・練習ができる。
コマンドは
極限すぎるほどまでに簡略化されており、
特殊技クラス(いずれかの方向キー+攻)のものと、
「
ボタン連打」「
同時押し」「
タメ」「
ヨガ・逆ヨガ」でほとんどの技が占められている。
(これ以外の技も最大で方向キーを2回まで押す技しかないので簡単。)
また、ヨガコマンドなどではナナメ要素を省いた「←↓→A+B」などになっているが、ナナメ自体は認識しており、
←と↓など両方を押したものとして扱われる。また、それを利用した隠し操作も存在しており、この関係かタメコマンドは「←タメ↓」など変わったものが多い。
+対戦方式
一般的な対戦格闘ゲームのラウンド制とはやや異なり、ライフ制とでもいうべきものになっている。
初期状態では体力ゲージ(88POW)とハート2つを持ち、体力ゲージが無くなると「ダウン」(本作でのKOの意)して対戦が止まり、
ハートを消費して体力ゲージが最大まで回復したのち再開となる。その際、倒した側は体力ゲージが少し回復(16POW)する。
そして残りのハートが無い状態で体力ゲージがゼロになると敗北というスタイルになっている
つまり最大HPはおおよそ合計88×3=264POWに約16×2POWが加わった296POW。
両者ハート無し状態で「アイウチ」(ダブルKO)した場合は対戦のやり直しになる。
ゲームモード
クエストモード
スカポンを操作してワルロボと戦い、ワルナッチ博士の野望を阻止するストーリー主体のモード。
難易度はノーマルとハードがあり、ハードをクリアするとスペシャルが解禁される。
最初はスカポンしか使用できないが、ステージ1に登場するイーロボを倒すごとにそのロボを使用できるようになる。
対戦モード
COM対戦、2P対戦、COM同士の観戦の3つがある。イーロボ8体は最初から選択でき、同キャラ対戦も可能。
クエストモードをハードでクリアすることでボス以外のワルロボが使用できるようになり、
スペシャルでクリアすればボスも使用可能になる。
マニュアル(プラクティスモード)
キャラクター選択時に「マニュアル」を選択すると練習モードになる。
対戦格闘ゲームの歴史で初めて実装された練習モードであるとされている。
対戦状態だが相手は攻撃してこない。各技のダメージ量が表示され、また、IIコントローラで敵を操作できる。
必殺技の出し方の解説と操作デモを確認することができる。
画面にコントローラーが表示され、自分の入力を確認しながら必殺技の練習ができる。
*1:キャラクターのボディはいずれも「頭、胴体、腕×2、脚×2、その他×2」で構成されている(スカポンなど、追加パーツがないキャラもいる)。
そのため、チートでモーションを変更すると意外なパーツが意外な動きをすることも。
MUGENでは…
MUGENでは主人公スカポンほか複数作られている。
代表的な製作者は
- とけい(時の国・けい)氏
- yamabe氏
- たまご寒天氏
など。