悔啖の剣
山岳を望む丘に凛とした風が通り抜けて、足元に咲く小さな花が揺れる。妹が笑顔でこちらを振り向く。私はそれだけで満たされる。この小さな世界を守ることが、私の使命だと思っていた。
燃え上がる炎、人々の叫び、地面を染める血だまり。それらの現実を目の前にして、私は途方もなく無力だった。欲、暴力、醜い兵士の薄笑いが、全てを黒く染めていった。
黒い意識の底。ぼんやりとした頭に響くのは、妹の笑い声。「そうか……私は悪夢を見ていたんだ」そんな希望を、私の身体の全てが否定した。嫌な夢を振り払うように、私はただ声の呼ぶ方へ走る。
本当のことを確かめてしまったら、もう後戻りはできない。しかし、私にはもう、戻る場所なんてなかった。いつでも私の希望だった小さな笑顔。その瞼を閉ざしたとき、復讐だけが希望になった。
| 武器種 | 小型剣 | レアリティ | ★★ |
| 属性 | 風 | シリーズ | |
| EN | Grief Eater | ||
| 解放: フレンリーゼ(傷の狩人) | |||
銷魂の剣
この部屋はいつも、どこか仄暗い。朝も、昼も、夜も。その暗闇は部屋の隅に潜んでいて、俺のことを見つめている。そんな話をすると、父さんは俺の背中を叩く、母さんは優しく撫でてくれる。何も怖いものなんてないよ、と教えてくれる。
戦争の足音が聞こえる、それは銃声と共にやってくる。不安の色はどんどん濃くなっていき、ついに俺の目の前に現れた。そいつが去ったあと、目の前に残されたのは、父さんと母さんの亡骸だった。俺は自らの弱さを呪った。
俺は自分の命を、怒りと復讐に委ねた。そうしたら、何も不安に思うことは無くなった。俺の一番大切だったもの、父さんと母さんの愛情。それを奪った奴を一生許さない。仇を討つ。それだけが、俺の生きる理由になった。
俺の生きる理由が、俺に与えた答え。それは、偽りの人生の帰結だった。何のために生きてきたのか、何のために戦ってきたのか、何もわからなくなってしまった。俺はゆっくりと目を閉じる。もうこれで、全てが終わりますように。そう願って。
| 武器種 | 小型剣 | レアリティ | ★★ |
| 属性 | 風 | シリーズ | |
| 追加日 | 2021年3月9日 | ||
| EN | Sword of Despair | ||
| 解放: ラルス(怨の兵士) | |||
翠鉄の小剣
ある老人が、人里離れた場所で一人寂しく暮らしていました。老人の唯一の宝物は、亡き妻が大切に手入れをしていた花畑。一面に広がる美しい花畑は、孤独な老人の良き話し相手でした。
ある夏、日照りが続き干ばつとなり、花畑がみるみる枯れてゆきました。まるで、妻との思い出が一つーつ消えていくような辛さを感じながら、老人にはなすすべがありませんでした。
次第に、干ばつのせいで老人は自分の飲み水にも困るようになっていきました。しかし彼は、最後の一杯だった水を半分飲み、残りの半分を花畑に撒きました。まるで、愛する妻に分け与えるように。
季節が変わり、ようやく雨が降り始めました。花畑の真ん中で、朽ちて骨となった老人を囲むように、再び花が咲き始めました。花は、墓のない老人のために、冬が来ても咲き誇り続けましたとさ。
| 武器種 | 小型剣 | レアリティ | ★★ |
| 属性 | 風 | シリーズ | 翠鉄 |
| EN | Emerald Shortsword | ||