傭兵/勇者(FE)

登録日:2012/02/20 Mon 00:25:29
更新日:2025/02/03 Mon 11:52:44
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傭兵、及び勇者とはファイアーエムブレムシリーズに登場する兵種(クラス)のひとつ。




■概要

剣士と双璧をなす剣使いユニットで、能力的にも主力となる事が多い。

基本的には正式な軍属ではなく、金で雇われた兵士。
『if』では「マーシナリー」名義で登場。

仲間になる場合はシリーズを通じて小規模な傭兵団を率いて、他のユニットと共に自軍に合流するケースが多い。
実際のキャラ設定では雇われ兵とは限らず、ならず者や逆に正規軍の一員の場合もある。
これは上級職の勇者も同じで、蛮族の頭目から騎士団長、将軍クラスの人物もいる。
『紋章の謎』までは全ての剣歩兵ユニットをひっくるめて「傭兵」としていた。
『聖戦の系譜』以降は、技と速さに重きを置いた軽装ユニットは「剣士」として区別する様になっている。
一部作品では傭兵が剣士にクラスチェンジしたり、両方の設定が混在していたりする。
勇者共々、男性専用のクラスとして扱われる事もある。

【関連兵種】

勇者

戦いの中で名声を得た傭兵が「英雄の証」などのアイテムを使ってクラスチェンジした姿。
技や速さを中心に高い水準で均整の取れた能力を持つ戦場の主役。
『トラキア776』では「マーシナリー」(元は上級職の名前だった)、『if』『エンゲージ』では「ブレイブヒーロー」名義で登場。
またトラキア以降は剣に加えても使用可能であり、貴重な技に優れた斧使いとして重宝する。

序盤~中盤にかけて強い一般兵として登場することも多い。味方が十分な強さでない中ハイバランスな勇者は苦戦しやすく、作品にもよるが追撃がとれなかったり、逆に追撃されてしまうことも。射程は1であることがほとんどなので、弓や魔法で削ってから複数人で仕掛けるなどで対抗しよう。
終盤でも同じく強い一般兵として登場することがある。こちらはジェネラルやドラゴンナイトと同じく敵国の精鋭という扱いであることが多く、ある程度の数で向かってくることがほとんど。重騎士や竜騎士と比べると目立った弱点がないため、こちらも正面からぶつかることになる。

ボスとしては傭兵隊や賊のリーダーなどとして登場することもある。あくまでも「勇ましい者」であって人格や経歴は問わないのだろう。
敵に回すと速さが高く追撃しづらい上、銀の武器や大剣等を装備していると高威力・高命中の攻撃をしてくるという非常に厄介な相手に。

近年のシリーズでは攻撃モーションがやたらとアクロバティック。

ボウナイト

分岐CCがある作品では弓騎兵にCCする事もできる。
高い機動力と速さを持ち強力な間接攻撃手段を持つ騎兵は勇者とはまた違った強さを見せる。
勇者でも手斧で間接攻撃できるので、どちらにクラスチェンジするかは慎重に考えたい。


■主な運用方法

【長所】

  • 切り込み役
速さに加え力にも優れているため、再攻撃も手伝って次々に敵を斬り伏せてくれる。
武器の三すくみが登場する作品では、敵に「戦士」や「山賊」などの斧を使うユニットが多い序盤は特に重宝する。

  • 囮役
避ける壁としても使えるし、HPもそこそこ高いためある程度は耐えてくれる。

  • 斧が使える
トラキア以降、かつ勇者にクラスチェンジした後の話だが、ソードマスターとの最大の差別点。
特効武器やランスバスターを使わない限りは槍持ちユニットの相手が不得手なあちらに比べ、攻撃の幅が広がるのは大きな強みと言える。
直間両用武器として手斧が使えるので敵フェイズで相手できる数が増えるし、斧は威力が総じて剣より上なのもポイント。
命中率が低い斧(特に手斧)を扱う上では技の高さも大きな利点であり、空振りの多いウォーリアやバーサーカーより優秀な斧使いと見る向きもある。
傭兵系には大抵一人は体格の良いキャラがおり、その場合は強力な斧を持たせても攻速落ちを回避しやすい。

  • 大剣や特効武器も使いやすい
剣全般が強めな初期の作品を除くと、鋼の剣や鉄の大剣などは重さと命中率の低さから使いこなせるキャラがあまりいない。
また、アーマーキラーやポールアクス&ハルベルト等の特効武器も重さや命中に難がある。
しかし技と体格に優れたタイプの傭兵(勇者)であれば、これらの武器も使いこなせる。

【短所】

  • 事故率が高い
剣歩兵ユニット共通の悩みにして最大の死因。欲張った末に乱数に嫌われてリセットを強要されるのは誰もが通る道。
俗に言う「やっつけ負け」もこれに当たる。

  • 魔法攻撃に弱い
そこそこの速さのおかげで回避があり追撃も受けにくいものの、魔防は低めなので要注意。
下手な段階で魔法の集中攻撃を受けると呆気なくやられる事も。

  • 成長と限界が合わない
力強いキャラが多いので勘違いしがちだが力の限界値は並程度しかないので、すぐカンスト宝の持ち腐れになる事も。
逆に技は限界値が高いが成長が…というケースが多かった。技が高いという扱いだが個々のキャラを見ると並~+α程度の成長率しか無いキャラも少なくなかったりする。成長率に関しては近年改善傾向にある。

  • 器用貧乏
素早さや爆発力ではソードマスター、タフさではジェネラル、機動力ではパラディンには敵わない。
汎用性の高さから状況を選ばず活躍できるものの、ここ一番で物足りなく感じることも多い。
オグマ枠の強キャラでもカンスト状態だと力・守備ともに並程度。速さも同様なので高難易度ではたまに追撃される等の欠点が見えてくる。
技の上限はかなり高く一部の作品ではトップタイだが、ソドマスやバーサーカーのような必殺補正がないので安定して攻撃を当てられても火力では劣る。
特に元から命中のいい剣を使う場合は技の高さが大した利点になっていない。
カンストが容易か転職の自由度がある作品だと戦場の主役から一転、地味な扱いになってしまうことも。

  • 一部のシリーズでは特効あり
特に、特効+三すくみ逆転効果を持つ斧・ソードキラーが登場する烈火聖魔は要注意。
紋章の謎も剣のソードキラーがあるので斬られると痛い。
耐久力は大抵平均止まりなので油断してるとドたまカチ割られます。

【総括】

『封印の剣』以降シリーズを追う事に弱体化していった剣士に比べ、どの作品でも安定した強さを誇る。
縛りプレイでも無い限り、エムブレマーなら誰しも一度はお世話になったことだろう。


■シリーズでの扱い

暗黒竜と光の剣/紋章の謎/新・暗黒竜の光の剣・新・紋章の謎

当時はまだ剣士系と一緒の扱いになっている。
FC版暗黒竜の光の剣の頃はユニット毎にステータス上限に差が無かったためパラディンのほぼ下位互換。とは言え序盤に仲間になるユニットは優秀な者が多く、それを差し置いても採用する価値は高い。
紋章の謎では騎乗ユニットは屋内だと歩兵になってしまう上に移動距離の減少や川を渡れない問題もあり、環境を選ばない傭兵・勇者は相対的に優位となった。まごうなき強職で、剣装備なら最強のユニットの一つと断言できるほどの強さ。
ハッキリ言って傭兵というだけで採用する価値があり、傭兵最弱のサムトーでさえ、傭兵と言うだけで騎乗系クラスのキャラを差し置いて使ってもいいレベル。
この頃の傭兵・勇者・剣のパワーはそれほどまでにすごい。
DSリメイク版はユニット毎の差別化や三すくみの導入、室内でも騎乗ユニットが使えるように戻ったので圧倒的な存在感は無くなったものの、そこは斧を使えるようになったことで補っていきたい。

当然、敵として対峙した時も体力、攻速守全てに秀でた難敵として立ちはだかる。村人が「下手すりゃ一発で首が飛ぶ」と恐れるほどで、迂闊に挑んでも返り討ちにされるだけなので入念に準備して挑もう。


外伝Echoes

本作では3段階クラスチェンジ制。
「傭兵」→「剣士」→「魔戦士」となっている。
主人公はアルムセリカの2人だが、何故かセリカ軍にばかり傭兵系が集まる。
魔戦士の魔法防御は目を見張るものがある。時には「村人」を交えたCCループが繰り広げられることも。


聖戦の系譜

クラスチェンジ先が、布服のみのナバール型「ソードマスター」と甲冑をまとったオグマ型「フォーレスト」に分岐したのは本作から。
勇者に該当するクラスはフォーレストだがまだ斧は使えず、上限値の差やスキル『連続』がないことからほぼ劣化ソドマスとなっている。
当時は斧が不遇なので装備できても評価は上がらないかも
唯一魔力の上限値では勝り、それを利用できる魔法剣もあるが、該当ユニットの成長率的に活かすのは難しい。
OPから見るスカサハの扱いのほか、敵ユニットの能力を比べてもソドマスより格下扱いされている。
それでも上限値は全体的に高く、また剣自体が強いゲームバランスのため、歩兵系クラスの中でもかなり強力。
しかし本作はシリーズで最もマップが広く、歩兵は敵へのぶつけやすさで騎馬系に大きく劣るのが難点。
各章での使いどころを明確に見据えた上で運用すべきかもしれない。


トラキア776

ソードファイターのクラスチェンジ先として、斧装備可能な上級職「マーシナリー」が初登場。
おかげでますますウォーリアが不遇に。
傭兵(Mercenery)が上級職に入るという逆転現象になった。
剣歩兵同士で比較するとソードマスターには「連続」がつく代わりにこちらは斧が使えるという形になる。
本作の斧は過去作よりも遥かに強いため、しっかり強奪&使い手の体格を成長させておけば圧倒できる。

オーシンとハルヴァンについてはこちらを参照。


封印の剣

剣一本に絞るなら必殺補正+30%もあるソードマスターに見劣りする。
こちらは斧も使えるが、移動力で勝り槍も使えるパラディンライバルとなる。
成長率的にも剣士系やソシアルナイト系の方が強キャラが多いので厳しい。


烈火の剣

前作とは対照的に剣士系やソシアルナイト系よりも該当ユニットの性能が高い。
これらの兵種自体が大幅に弱体化されたからとか言わない。
ヘクトルに次いで強化された手斧を活用している兵種でもある。
ただし剣歩兵殺しの斧ソードキラーには注意。


聖魔の光石

一クラスごとのキャラは少なめだが非常に頼もしいので問題はない状態である。
『烈火』と同様、ソードキラーには注意。
この作品以降、分岐クラスチェンジが存在する作品では傭兵のクラスチェンジ先に弓を扱う騎乗ユニットが追加されるように。


蒼炎の軌跡暁の女神

主人公親子を象徴するクラスとして、ロードポジションを手に入れた珍しい作品。基本的に剣オンリーの期間が長い。
汎用職においてはソルジャー・ハルバーディアがバランス型の歩兵ポジションを担当している。


覚醒

今作の傭兵は『聖魔』と同じく、勇者以外に弓騎兵(名称はボウナイト)に昇格可能。
傭兵のスキルは相手から攻撃された時に命中・回避が上がる『後の先』と幸運×2の確率で武器の耐久消費を無効にする『武器節約』
勇者は奥義『太陽』と斧使い相手に命中・回避が大幅に上がる『斧殺し』
ボウナイトは周囲の味方の技を上げる『技の叫び』と『弓殺し』

『武器節約』が何よりもありがたく、一部の幸運の高いユニットなら完全節約が可能。
さらにDLCスキル『限界突破』があれば幸運カンストさえすれば誰でも完全節約できる。
『太陽』も優秀だがルナティックでは『月光』に食われ気味。

FEの花形クラスの一つではあるが、意外にも魔符としての参戦キャラは少ない。
初代勇者のオグマのほか、主人公格はアルムロイアイクの3名が参戦。原作で実際に勇者のクラスに就いているアルムとアイクはともかく、ロイはバランス型の歩兵という意味で割り振られたと思われる。
上記のほかには、新紋章枠でマリスが登場するが、彼女は初登場作品「アカネイア戦記」に合わせて傭兵となっている。
加えて印象的な敵将枠としてライナスが参戦している。


if

暗夜王国の兵種であり、マーシナリー→ブレイブヒーロー(従来の勇者)/ボウナイトへとCC分岐する。
白夜王国の系とは対の関係にある。

マーシナリーは『後の先』が反撃時に与ダメージが上がる『後手不敗』、
武器耐久が廃止されたことで『武器節約』が自軍フェイズ開始時に幸運の確率で若干回復する『しぶとい心』に変更。

新武器追加と3すくみ修正の関係でボウナイトの『弓殺し』は『暗器殺し』になった。

本作ではユニット全体のHPの個人成長率が低く、傭兵/勇者の防御力への補正が下がってしまった。
また手斧・投擲剣の追撃・必殺が無くなったため、特定ユニット専用の神器を除くと間接攻撃での『太陽』が発動できなくなった。
かつてのような高い耐久・回避に任せた地雷運用はほとんどのユニットには厳しいだろう

しかし暗夜王子マークスは本人の能力が勇者向きなことと、間接攻撃で「太陽」が発動出来る神器ジークフリートを持つため、育成次第で暗夜王国ルナティック26章あたりまではエース級の活躍が期待出来る

傭兵のもう一つのCC先ボウナイトはifでは強力な間接攻撃手段である弓を扱える事と、猛威を振るう上忍対策の暗器殺しを覚える事から需要は高い。
暗夜ルートでは上忍が大量に出てくる事を考えると育てておいて損はない。


風花雪月

傭兵は剣を使う中級職、勇者は剣と斧を使う上級職として登場。
傭兵は兵種マスターすることでスキル『待ち伏せ』を習得できる。
勇者は兵種スキルとして『剣の達人』『待ち伏せ』を持ち、兵種マスターで『力の覚醒』を習得。
いずれもHP、力、速さと前衛として要求される部分の成長率にバランスよく補正がかかり、魔防は少し伸びにくくなる。
今作では誰でもほとんどの武器を装備でき、技能レベルを上げれば好きな職になれるのだが勇者はなぜか男性専用。
そして同じく剣を使う盗賊アサシンソードマスターと比べて成長率やスキルに魅力がなく、そもそも剣士向きユニット自体少ないことからあまり使われない。
勇者が敵として登場する際には、自軍であまり使わないことも相まってスキル『待ち伏せ』を見落とすと痛い目に遭う。

このように味方側としては微妙な立ち位置だったためか、「無双 風花雪月」ではなんとリストラ
ほかにリストラされたのはDLCの追加職のみのため、無印のデフォルト職の中で唯一のリストラ職となってしまった。


エンゲージ

下級剣歩兵職「ソードファイター」からのCC先上級職として「ブレイブヒーロー」名義で登場する。使用武器は剣+槍or斧の2種。
本作では特定キャラ専用武器とエンゲージ武器以外は射程2の物理剣は存在していないため、手斧や手槍が装備できるブレイブヒーローは剣歩兵で欠点だった射程面を補うことが可能。更にクラススキルの「助太刀」はHP満タン時にチェインアタックを2回行うというもので、システム的にはかなり強職。
剣レベルはAまで上がるものの、槍や斧のレベルは素質がないとCが上限となる。素質のないキャラでは銀の武器やスレンドスピア、トマホークといった強力な武器を使えない点には注意。
欠点は前衛職だが守備のクラス成長率が0%で個人成長率頼りになること(ただしこれは同じ剣上級職のソードマスターも同様)。
あと汎用ブレイブヒーローの衣装がダサいと評判なこと。


■余談

聖魔ではバグかつフィールド限定だが女傭兵のグラを拝む事ができる。
しかし規格外に大きかったりウネウネしていたりと、かなり気持ち悪い。


追記・修正は必殺の一撃が得意になってからお願いします。


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最終更新:2025年02月03日 11:52

*1 ハルヴァンの追撃必殺係数は4で、オーシンやマチュアは3