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ファイアーエムブレム 覚醒 - (2020/02/04 (火) 23:47:09) の編集履歴(バックアップ)


ファイアーエムブレム 覚醒

【ふぁいあーえむぶれむ かくせい】

ジャンル ロールプレイングシミュレーション

対応機種 ニンテンドー3DS
メディア 2Gbyte3DSカード
発売元 任天堂
開発元 インテリジェントシステムズ
発売日 パッケージ/本体同梱:2012年4月19日
ダウンロード:2013年1月30日
定価 パッケージ/ダウンロード:4,800円
本体同梱:19,800円(各税込)
レーティング CERO:B(12歳以上対象)
廉価版 ハッピープライスセレクション
2016年9月15日/2,700円
判定 なし
ポイント 新システム「ダブル」や能力値インフレによる大味な戦闘バランス
育成の自由度は高い
てごわい(恋愛)シミュレーション
UI、アニメーション、BGMは高評価
任天堂初の課金コンテンツが存在
ファイアーエムブレムシリーズ関連作品リンク


概要

暁の女神』から実に5年ぶりとなる、久々のファイアーエムブレムシリーズ完全新作。
謳い文句は「超集大成」。22年間培ってきた様々なシステムや要素が盛り込まれている。


特徴

  • 本作は多くのFEシリーズのシステムを融合、またはアレンジして搭載している。
    • 外伝』『聖魔』のフリーマップ、『聖戦』の結婚システム、スキル、支援会話、錬成など。
  • 「絆」をテーマとした新システム、ストーリー構成
    • キャラ同士を隣接させることで「デュアル」という特殊な支援効果が発生。従来のものに近いパラメーター増強に加えて、一定確率でデュアルアタック(反撃なし・射程不問の追撃)&デュアルガード(敵の攻撃のノーダメージ化)が発生するなどのサポートを受けられる。
    • また、キャラを隣接させると「ダブル」というコマンドを使用出来る。これは隣接したキャラの後衛に付くことで、ダブルを受けたキャラのステータスを上昇させ、かつ常に「デュアル」を受けている状態にさせることができる。言い方を変えれば「あるキャラを使えなくする代わりに別のキャラのステータスを強化する」というもの。
      • 従来でも「かつぐ」「救出」といったユニット同士の合流システムは存在したが、いずれも合流している間はステータスが下がるため戦闘面ではデメリットが大きかった。
  • 過去作と共有されている世界観。
    • 今作の舞台となるイーリス大陸、およびヴァルム大陸は、『暗黒竜』『紋章』のアカネイア大陸、『外伝』のバレンシア大陸と同じ形状をしており、同作の遥か未来を描いていると推測されている。
      • あくまで匂わせる程度であるうえ、今作のストーリー核心に深く関わるわけではないので、新規の感情移入を妨げるものではない。酷似した過去を持つパラレル設定と解釈しても特に問題はない。
      • 他にも、『紋章』の主役である「マルス」を名乗るキャラや、『蒼炎』の主役「アイク」の末裔を名乗るキャラなど、過去作を知るプレイヤーへのアピールが随所に盛り込まれている。

評価点

  • インターフェースの充実。
    • DS2作とは反対に上画面がメイン画面となり、下画面にユニットのステータスなど情報が表示される形式になった。
    • 下画面のデータをタッチするとその項目の説明(例えば武器ならその性能)が表示される様になり、どの画面からでも素早く説明を観ることができる。
      • ただしこれによりタッチ操作オンリーでプレイすることはできなくなった。
    • その他、全体的なUIは評価の高いDS作品を踏襲しており、非常に快適にプレイできる。
  • やりこみ要素の充実。
    • 今作はフリーマップで自由に経験値やお金を稼げるため、それを利用したチェンジプルフを使ったクラスチェンジや、スキル収集、支援会話収集など、やりこみ要素が豊富。
    • 特に支援会話の数は歴代最多。結婚システムも相まってコンプリートを目指すとなると相当な周回プレイが必要となる。
      • FEの醍醐味の一つであるカップリングの自由度が非常に高く、特に主人公の一人「マイユニット」は自分の子供以外の全ての異性と結婚が可能。結婚時には専用の一枚絵まで用意されており、別のジャンルのゲームかと見間違えるほど。
      • 結婚をすると髪色やスキルなどに夫婦の特徴を備えた子が生まれ、そして未来からやってきた子と出会い、共に戦う事ができる。
      • また、支援会話によって各キャラの背景が明かされる事もあり、それを目的に支援を組むプレイヤーも多い。
      • しかしそういった、言わば世界観に深みが増す類の会話は僅かで、殆どはキャラ同士のたわいもない会話であるため従来のFEのような雰囲気を期待すると肩透かしを食らうかもしれない。
    • 他にもすれちがい通信を行う事によって、他のプレイヤーと対戦したり物の売買を行う事も出来るなど、3DSならではの要素も。
  • アニメーション、サウンドは高レベルで纏まっている。
    • デザインは漫画家のコザキユースケ氏、サウンドは『大神』で知られるコンポーザーの近藤嶺氏、FEシリーズお馴染みの辻横由佳氏、初参加となる森下弘生氏の3人。
    • サウンドは世界観の魅力を損ねることなく、高い評価を得ている。特にラスボス戦の曲「I~為」はシリーズ屈指の名曲と専らの評判である。
      • また任天堂のゲームでは数少ないサウンドトラックも発売されており、多くのファンから好評を博している。*1
    • キャラクターデザインは概ね1~2作程度で頻繁に変わっているが、その延長として受け入れられるユーザーの割合は多かったと思われる。
      • しかし今作の鎧のデザインは特に今までよりも奇を衒ったものになっており、否定的な意見も多い。
    • シリーズ初となる、会話や戦闘アニメにおけるボイス(会話はパートボイス制)を採用。これも好みによるところだが、声優陣の質はしっかりしており、環境設定でオフにできる配慮もされているので、特に問題点は無いと言える。
    • ストーリー上で挿入されるムービーは、CGでありながら一枚絵に近いアニメ的な絵柄で描かれており、全体的なクオリティも高い。
    • 今作ではマップ上のユニットアイコンも、本編で参戦するキャラクターは描き分けられている。アイコンの顔部分が各キャラクターのものになっており、個性の表現のみならず見た目にも分かりやすく評価は高い。兵種変更してもある程度対応している。
  • いつの間に通信では過去作キャラが配信。120人ものキャラを無料で使うことができる。
    • 配信キャラは支援会話が発生せず、支援効果の恩恵も受けられないが、基本性能や個人スキルなどで十分に戦力となりえる。
      • 加えてロストしてもまた召喚すれば何度でも自軍に引き入れる事が出来るという利点があるため、救済措置の一つを担っている。
  • 育成の自由度の高さ。
    • 育成に重点の置かれた作りになっているだけあって、ユニット育成の自由度はかなり高い。
    • ゲームバランス面においてはステージ単位の短期的な戦略性が低い(詳しくは後述)のは否めないが、その一方で上述の支援・結婚システムやチェンジプルフによるクラスチェンジ、おそびそれらに伴うスキルの獲得・継承などの要素が絡み合い、ユニットをいかに効率よく、かつ強く育成するかという長期的な戦略性は高い。この点は長期的な育成が求められる『聖戦』に近いものがある。
      • ただし難易度ルナティック以上だと遭遇戦の敵を倒すのが厳しくなり、終盤だと本編の敵を越えて全ステータスカンスト近くまで強化されるため事実上利用不能になる上、すれちがい・配信チームの敵から得られる経験値が1になるため、従来のように稼げる経験値や支援ポイントが実質有限になる。
      • ただし、DLCによって購入できる異界マップは難易度の影響をあまり受けないため、利用すれば無限に稼ぐことができる。
  • 難易度が「カジュアル」の場合、戦術マップ上でセーブすることが可能になった。
    • これによってリセットの手間が大きく省けるようになった。前2作のように回数制限は無く、いつでもなんどでもセーブ可能。
    • ただし従来同様に乱数は保存されているので、攻撃が外れたからリセットしてあたるまでやり直すという手段は当然使えない。レベルアップによって得られるパラメータアップも同様*2

賛否両論点

ゲームバランス面

  • 武器の耐久度
    • 今作は全武器の耐久力がインフレ気味で、その気になれば容易に資金も調達できるので強力な武器のリスクが薄く、安価な下位武器の利用価値が低くなっている。
    • さらに、スキル「武器節約」の存在が武器破壊のリスク減に拍車をかけている。
      • 『攻撃した時、(運×2)%という高確率で武器耐久を消費しない』と言う効果で、高レベルだと武器耐久をまったく気にする必要はなく、そして運を50にまで伸ばすことで発動確率100%にも出来てしまうため、強力な一品ものでも気兼ねなく使える。傭兵に転職すればすぐ習得できるのも大きい。
      • これによって従来のような「もったいなくて使えない」という悩みは解消されているが、「どこでどの武器を活用するか」といった駆け引きを楽しめなくなってしまった。もっとも、武器を無限に使える『外伝』があるため本作独自というわけでもないが。
      • とはいえ、初期クラスや資質に傭兵を持つキャラは親世代では数名しかおらず、既にそこそこ育てたキャラを傭兵レベル1から育てなおして元のクラスに戻す手間*3や時間を考えると、本編を完全に無視して遭遇戦やDLCマップを相当やりこまない限りは武器節約を装備したキャラで出撃メンバーを固めるのは困難。
      • また、親世代の傭兵を遺伝できるキャラの数の都合上、子世代組でも全員に武器節約を与えるのは不可能なため、上記の「武器をどう使うか」の駆け引きは完全に無くせるわけではない。
    • クロムは初期から耐久力無限の封剣ファルシオンを持っている。性能は「無限に使えて竜特効のある鉄の剣」程度だが、初めから耐久力の概念を無視して戦えるのはどうかという声も。*4
      • あるキャラの専用武器として登場する裏剣ファルシオンは「銀の剣をわずかに上回るほどの攻撃力/耐久無限/竜特効/アイテムとして使用すると調合薬の効果」と、中盤程度で手に入るものとしてはとんでもない性能。
  • 相変わらず斧・槍優遇、剣不遇気味のバランス
    • 本作に限らず近年の作品に見られる傾向であるが、特に本作における格差の要因は間接攻撃の可否(=剣は間接攻撃可能な武器が少数の貴重品しかない)に集約される。
      • というのも高難易度では終盤になると大半の敵が何らかの間接攻撃を持っているため、間接攻撃用の武器がほとんど無い剣使いは純粋に前線に出しにくい。
      • おまけに前作までのように剣士系クラスのパラメーターが高いわけでもないため、今作において一部のクラスは剣しか扱えないということが大きな弱点となってしまっている。
      • なお、一応「勇者の剣」や各種特効武器を用意できる剣ですら上述の通り間接攻撃の可否だけでかなり不遇なので、射程が1固定の上に威力も剣より弱く、勇者の剣のような特殊な効果も一切持たない獣石しか使えない「タグエル」はどれだけキャラ性能の高いキャラがなったとしても、救いようがないほどに不遇である。
  • 愛があってもどうにもならないスキル格差
    • 今作ではスキルは兵種(クラス)にくっついており、どうやっても習得できないスキルがキャラクターの方にくっついているのはごく一部のみ(配信マップのキャラ及び魔符の一部)となっている。
    • 結果、やり込めばやり込むほどに強力なスキルを覚えられるクラスを持っているキャラと持っていないキャラの格差が広がっていくようになっていき、資質が良いキャラは「武器節約、疾風迅雷、太陽」といった今作屈指の強スキルを手に入れられるのに対し、不遇なキャラは奥義スキル*5すら全く取れない。
    • 特に酷いのが「疾風迅雷(装備したキャラが敵を倒すともう一度行動可能になる。後衛も覚えていれば3回行動可能になる本ゲーム屈指の強スキル)」「武器節約」を習得できるかどうかで、育成が極まるとこれらが取れるかどうかだけで一軍と二軍がはっきりと決まるほど。困ったことにマイユニですら全てのスキルを習得できず、最重要スキルの疾風迅雷に至っては習得可能なクラスの都合上女キャラ限定。一応男であっても子供なら引き継げるのだが、親が覚えないせいで覚えられない子供がいる。
      • 一応、深刻な影響が出るのはルナティック+だけなのがせめてもの救いと言えるか。
      • ちなみにDLC含めてほぼ全てのマップで強制出撃キャラとなっているクロムは上記の武器節約も疾風迅雷も覚えられず、敵を倒しても再移動できない上に貴重品の神器や高額な錬成武器を気軽に使えない。そのため、やり込めばやり込むほど周囲の疾風迅雷+武器節約軍団に対してクロムが不遇キャラと化していき、嫌でもスキル格差を思い知らされるようになっている。
  • 高難易度のチェンジプルフ関連
    • 高難易度ではチェンジプルフを使用した際に蓄積する「内部レベル」の上限が異様に高く設定され、最終的にはどんな敵を倒してもまともに経験値が入らなくなる…はずなのだが、実際にはシステム上、敵撃破経験値の最低値は1ではなく8が保証されているため、制限として機能していない。
      • これは、結果的に高難易度でもDLCの敵を(種類問わず)13体倒せば必ずレベルを1上げられるため、ルナティックやルナティック+でやり込みデータを作りやすい(=強力な敵相手に戦う機会を自発的に作れる)というメリットにもなっている。
      • 一方で、敵の種類は一切問わない上に最終的にはどんな敵を倒しても経験値が8しか入らないという事なので、DLCマップ「マミーの楽園」は仕様上チェンジプルフを使いまくったキャラだとまともに経験値が入らず*6、弱いキャラを手早く上級職にする以外の使い道を全く見いだせない地雷マップと化してしまった。

キャラクター面

  • キャラクターの描写について
    • 本作のキャラはこれまでのシリーズにも増して、ヤンデレ、厨二病、二重人格と言った良くも悪くも強烈な属性付けのキャラが多く、テンプレ的、ノリが軽すぎるという批判意見も聞かれる。
      • 一方で上の「ヤンデレ」に該当するサーリャや「厨二病」に該当するウードなどは公式人気投票でも上位を獲得する人気キャラとして受け入れられているという面もある。
    • また今作では結婚(支援S)イベントの際に一枚絵が表示されるが、キャラが頬を染めたり背景がキラキラ輝いていたりとギャルゲー・乙女ゲー的な雰囲気のイラストのため、プレイヤーによっては好みが分かれる。
  • 子世代キャラについて
    • ルキナを除く子世代のキャラは、DLC『絶望の未来』でしかストーリー上の活躍が見られない。
      • 内容自体の評判は悪くないだけに、「(DLCでなく)本編でやれ」と言われることもしばしば。
    • 子世代のユニットは両親から「両親のクラスすべて(固有のぞく)」「能力の個人上限値」と純粋に長所を受け継いでおり、早い話が親世代の完全上位互換になっているため、仲間にした時点で親世代は子世代のほぼ劣化となってしまう。
      • これに関しては、結婚を自由に行えるという売りの部分の弊害と言える。元になった『聖戦』の場合は子世代>親世代なのはそのままだが、彼我のステータスが上がる後半戦専用なので上のような問題は目立たなかった。
      • 難易度をルナティックにすると、子世代キャラによってはマップに配置された敵が場違いに強すぎて加入は実質終盤になる、そもそも結婚(支援レベルS)を積極的に狙うのが困難*7であったりと、共闘がやりこみ・おまけ的な要素になっている感がある。
      • なお、今作の子供キャラの出現条件は『聖戦の系譜』のどんな子供が生まれるか後半になるまでわからないという欠点を受けての任天堂側の発案である(ニンテンドードリーム2012年7月号のインタビューより)。
  • マイユニットが主人公クロムの役回りを食ってしまっている。
    • プレイヤーの分身としての主人公という事になってはいるが、今作ではそのマイユニットのキャラそのものに物語の核心にクリティカルに関わっている設定があるせいで、クロムの立場もプレイヤーとの同化性も前作以上に危うくなっている。
      • また終盤ではプレイヤーの与り知らぬところでシナリオに関わる重要アイテムを偽物にすり替えており、それによって難を逃れるシーンがある。所持している人間も承知の上だが、それらに対する説明はあるが、その説明に対応した伏線は本編・外伝含め全く存在しない……
        等々、本当の意味でのプレイヤーの分身なのに(核心部分はまだしも)物語上で種明かしされるまでプレイヤーすら把握できない情報が多々ある。
    • また「軍師」という立場をとっており、戦闘マップ上・イベント双方で軍師として指揮しているのだが、大局的な場面でとる策は奇策ばかりなうえ、どれもこれもシナリオの説明が少なすぎるせいで、シナリオをしっかり見て状況を考えておかないと無謀に見えてしまいがち。
    • プレイヤーの選択による献策など、分身であることをシナリオ面で生かしたアプローチは特に無く、プレイヤーの分身という設定はほぼ活かされていない。台詞すらない烈火の剣の軍師ほどではないが。
  • 「プレイヤーの分身」と考えず「自分でキャラ設定出来る1人の登場人物」と捉え、『外伝』『聖魔』のようなクロムとのダブル主人公と考えるのが実情に合っているだろう。
    • 前作のマイユニットはリメイク作品である都合上もあるが本編中に活躍を捻じ込むような事は無く、新規かつ別個に作られた外伝またはイベント内に活躍を集約させた、歴史に名を残さない近衛騎士と控えめなものであった為、賛否はあれど分身キャラとしてはそこそこ自然に機能していた。

DLCについて

  • 任天堂作品としては初になる有料DLC。
    • 今作では過去作のキャラクターと戦ったり協力したりするマップ、資金を大量に得られるマップ、レアアイテムや有料DLC限定アイテム・クラス・スキルを入手できるマップなどを購入することができる。任天堂2012年3月期の予想売り上げ高が初の経営赤字をあげていたこともあってか、メディアからも非常に注目された。
    • DLCは11月22日に完結(購入は可能)。第一弾は異界の魔符シリーズ(7月26日に完結)、第二弾は神軍師への道シリーズ。
    • 異界の魔符シリーズは遊びの幅に大きな差をもたらすものがある為、賛否を呼んでいる。また主題となっているマップ集にも問題あり。
    • 値段も1つ300~400円と安いとはいえず、中には過去配信したマップを買わなければ購入すらできないマップもある。いくら購入は自由のDLCとはいえ、批判はかなり大きかった。
+ 異界の魔符シリーズ
  • 限定アイテムを入手できるマップは槍玉に挙げられやすい。「追加料金を払ったのだから有利になるのは当たり前」という意見と「追加料金を払わないと手に入らないレアアイテムがあるのはおかしい」という意見はどちらも頷けるものであり、有料DLCの永遠の課題だろう。
    とはいっても今作の場合、シルバーカードや特効無効化アイテム*8、従来のスキル書など過去作品では普通に入手でき、今作の本編や無料配信の外伝にも組み込む事ができ得るアイテムが有料DLC限定となっている事に対する疑問符が大きい。
    • 「本編に影響するDLCは出さない」という発言もこの賛否に拍車をかけている。確かにストーリーには影響しないが、攻略には思いっきり影響してしまっているおかげで、この「攻略」を「本編に影響する」と見なすかどうかでも意見が割れる要因となっている。
  • 経験値が多く入るという触れ込みの「マミーの楽園」は効率が悪い*9ため地雷マップ扱いされている。前述のチェンジプルフ関係も痛い。経験値稼ぎをしたければ最終的には金策用マップ「金と銀」の方が向いている。
  • 『異界の魔符』シリーズ最大の特徴は、特定のマップをクリアすることで、『フルメタル・パニック!』の四季童子氏や、『覇者の剣』を手掛けた山田孝太郎氏など、様々なイラストレーターによって描かれた過去作のキャラクターが使えるようになること。
    • しかし「異界の~」という称号ゆえか、外見はおろか、性格もお人よしで騙されやすいエイリーク・やけに猛々しいアルムなど、原作の特徴を強調・デフォルメしたものが多く差異が見られる。キャラクターのイメージというのも人により異なるので扱いの難しいところではあるが、不満を示すファンもいる。
      --また、戦闘グラフィックは本編から流用の利くマルス以外は全員汎用モデルで、今一つ合っていないものも見られる。いつの間に通信の配信チームと違って有料なのだからせめて作り起こしてほしかった。
    • 過去作のユニットが仲間になるDLCのマップは『暗黒竜』1章、『烈火』終章などをそれぞれ3回使いまわしている。ストーリーも単調かつ使いまわしで「徒党を組んだ勢力が争いあっている(もしくは協力している)のでどちらかに肩入れする(もしくはその両方と戦う)」だけなので、飽きが来るのも早い。出撃ユニットも、エトルリア三軍将や暁の団の面々から一人だけ参戦できていなかったり(ちなみに中年キャラばかり)、「何故このユニットが?」と思わせるのも。
    • 主人公もシグルド、エリウッド、ヘクトルの魔符が手に入るマップが存在しない。複数主人公故に割を食った形となった。
  • この不評を受けてか、第二弾は内容・価格共にある程度見直され、第一弾の欠点を補えたかはともかくとしても本作のファンのニーズにはちゃんと応えた内容となった。
+ 神軍師への道シリーズ

3編に分かれている。大雑把に大別するとキャラクターの掘り下げや極限まで育てたユニット前提のマップ。

  • 「異界のリゾート編」は本編キャラがお祭りやビーチ、温泉に行くなど、世界観の枠にとらわれない内容となっている。本編のライトさを鑑みてもなおイメージ崩壊甚だしい代物だが、本編で不足していた同性同士の会話の増量はファンには概ね好評。戦闘BGMは(ある意味)必聴。
    • 中でも「絆の夏」と「絆の秘湯」では、ファイアーエムブレムワールドで行われた人気投票の親世代・子世代の男女それぞれ上位2人ずつ、計8人に特別な一枚絵が用意された。
  • 「絶望の未来」編は『トラキア776』を髣髴とさせる子世代キャラ独自の展開が好評。本編とは別となる、断章の展開の延長線上といった絶望的な状況より始まり、専用のエンディングを迎える。これを本編に組み込んでほしかったという声も大きい。
  • 最後のDLC「最も強き者の名」は最後を飾るに相応しい凶悪な難易度を誇る。
    • 5連戦となっており、敵全員ステータスが限界値を遥かに越えているうえ、受けるダメージを半分にし滅殺とカウンターを無効化するラスボス固有スキル『邪竜の鱗』やルナティック+敵限定スキルである「絶対命中」といった強力なスキルをもっている等敵がありえない程強い。育成をやりつくした人用のマップと言える。
  • ちなみに北米・欧州版*10はDLCのパック販売による割引が行われている。発売順の問題があるとはいえ、海外版優遇は今作でも健在。
    • 本作の海外版以降、任天堂はDLCの価格を抑えめにし多数の要素を詰め込んだパック販売を基本とするようになった。初のDLC採用ゆえの宿命ではあるが、現在本作のDLCの割高感は後発の任天堂作品に比べかなり際立っている。

問題点

ゲームバランス面

  • 単調なマップ
    • 本作のストーリー上のマップは「ただ広大なフィールドに援軍出現用の砦が点在している」「勝利条件は敵の殲滅(敵将撃破か敵の全滅)」「敵の行動パターンはこちらに向かって突撃してくるだけ」というものが多く、「マップの地形やギミックを利用して攻略していく」「敵の殲滅が勝利条件ではない」という変わったマップは僅かなため、強いユニットを突っ込ませるだけという単調で戦略性の薄い展開になりがち。
      • また、村訪問・宝箱の回収・特殊なイベント等も少なく、状態異常の杖・ロングアーチ・索敵マップはそもそも存在さえしない。
    • そうした傾向はゲームを進めるごとに強くなっていき、中盤からは地形が左右対称のものもたびたび登場。終盤は大量の増援で無理やりプレイヤーに進軍を急がせるというものが多い。特に広いマップで砦が点在している19章や、こちらからは攻撃できない壁の向こうから遠距離魔法で狙撃してくる21章などが顕著。
      • 終章はまさかの無限増援であり、更に敵が非常に強いため、じっくり策を練って進軍している余裕は一切ない。とはいえ、ここ以外はいずれ増援が尽きるようにできているので、ひたすら増援と戦い続ければそのうち敵軍は尽きる。
    • 一方でストーリー攻略に必須ではない外伝マップには本編マップにはないトリッキーなギミックがいくらか見られることから、本編の単純化は意図的なものとも取れる。
  • 「地雷戦術」を推奨する非戦略的なゲームバランス
    • 前述の通りマップの構造にかなり問題があるため、出現したターンに突撃してくる増援と、それに連動して他のユニットも突撃してくるというAIも相まって、「いつの間にか大量の敵に囲まれている」という状況になることが多く、こうなると全方位からの物量で潰されて防御力の弱いユニットのロストは避けられない。
      • 「狭い通路に防御力の高いユニットを配置して足止めし、後方から少しずつ削る」「地形を利用したヒットアンドアウェイ」といったじっくりと進軍する戦術はデメリットが多く取りづらくなっている。
    • そのため今作では「育てた強力なユニットをダブルで強化し敵陣に特攻させ、攻撃してくる大量の敵を反撃で一掃する」という、通称「地雷戦術」が最も効率的な戦法とされる。
      • この方法では反撃で敵を殲滅するため、遠近両距離から反撃可能な魔法や手槍・手斧が有効であり、これらの武器が使えないキャラは一気に不遇と化す。
      • 特に与えたダメージの半分HPが回復する「リザイア」は敵ターン中にも回復可能(戦闘しているだけで勝手に回復していく)ためこの戦術に相性抜群。リザイアが使えるダークマージは、マイユニットを後衛に置くとスキルまで噛み合い恐ろしく強い。
      • 他には発生すると同じく与ダメージの半分回復するスキル「太陽」もよく使われる。
    • なお、育成を極めた場合であっても「疾風迅雷で一方的に敵(特に危険なカウンターや奥義持ち)を倒しつつ敵陣の奥まで切り込み、カウンターを受けない場所で地雷する」というやはり同じく地雷戦術となる。
    • また、敵ユニットとして出てくる盗賊も地雷戦術となる要因の1つである。
      • 盗賊は宝箱を空けてマップから逃げるタイプと、最初からアイテムを持っている盗賊3~4体がマップから逃げるタイプがある。移動範囲も5マスあり、数ターンで逃げられてしまう。
      • 当然ながら前述のじっくりと進軍する戦術を使っていては逃げられてしまうため、アイテムを逃さず回収するには「地雷戦術で敵を蹴散らしながら盗賊を追いかける」スタイルが推奨されてしまう。
    • 結果として、経験値を少数のエースに集中させて敵陣に突っ込ませるだけというなんとも大味で戦略性の薄いバランスになってしまっている。
      • ユニットが育ってくる中盤以降は、オールマイティに強く育つマイユニット1人で敵を全滅できてしまうこともしばしば。
      • ただし序盤は限られた戦力でどう戦うかという戦略が問われる場面が比較的多く、外伝17*11のようにバランスよく育てたユニットが多数いなければ攻略が難しいマップも一部存在する。
  • ダブル・デュアルとステータスのインフレによる大味な戦闘バランス
    • 本作の目玉システムであるダブルだが、ゲームが進むにつれダブルによるステータス強化幅やデュアルの発生率がバランスを崩すほど高くなる。低難易度ならこれを利用するだけで簡単に攻略できるほど強力。逆に高難易度ではこれを利用しなければまず勝てない。
      • ダブルによるステータス強化値(大体2~4種の能力にかかる)は序盤では高くても4程度だが、終盤には補正のかかる能力値も増え特化した能力は8~9程まで補正できる。
    • デュアルアタック・ガードは本作のテーマである「絆」の表現となっているが、その実態は全味方ユニットが支援効果として敵に一方的な追加攻撃を行い、確率であらゆる攻撃を完全に無効化するできる非常に強力なもの。
      • これにより、特に序盤はデュアルが発動するかどうかという運要素によって戦闘が大きく左右されてしまう。
      • またデュアルの発生率は終盤にはアタックが80%・ガードが30%程度にまでインフレする。
    • 対してダブルのデメリットはユニットの頭数が減ることぐらい。それも、前述の通り育ったユニットの数が少ないことで困る場面はほとんど無い。
    • 従来のシリーズではパラメーター最大パラメーターもHPは60、その他は20~30が普通だったのだが、今作ではHPは最大80、他もスキル補強や親の組み合わせによっては50超すら可能なほどに数値がインフレしている。
      • よって全体的に、マップ上の戦術よりもいかに育成を重ねてステータスを高められるかの方が重要なゲームデザインになっていると言える。チェンジプルフにより無限育成が可能となった事も踏まえると、難易度が高くなるにつれ「少人数に経験値を掻き集め、それらのユニットのみをダブルで運用しつつ無限育成」という「絆」や「戦略」とはなんぞやというスタイルが効率的ということになってしまっている。
    • 確率で発動するスキルが多いことも運要素を高める大きな要因になっている。
  • 最高難易度「ルナティック+(プラス)」の雑な調整
    • ルナティック準拠の敵陣営に加え、「カウンター」「絶対命中(強制的に命中率が100%になる)」「すり抜け(自軍キャラを通過して移動できる)」「月光+(原則必ず発動する相手の守備・魔防を半分にする攻撃)」などのバランス崩壊レベルの強力なスキルが、全ての敵ユニットにランダムに2個装着される。
      • この「ランダム」というのが曲者で、2章のハンマー持ち戦士に「絶対命中と月光+」などを筆頭に手出しできなくなるほど凶悪な組み合わせになる場合もある一方で「大盾(技%発動で剣、槍、斧、獣石の受けるダメージを半減)」と「大盾+(100%発動する大盾)」を同時に装着するなどの全く無意味な組み合わせになることまである。そのため敵のスキルがあまり強くないようになるまでリセットという、「敵吟味」が攻略上有効な方法になってしまっている。
      • 従来の評価の高いハード・ルナティックのような緻密な調整は皆無であり、高難易度を求めるプレイヤーからも評価は低い。
      • 無論、遭遇戦も同じであり、本編以上の強さの敵がランダムにスキルを搭載しているため、例えフルカン育成をしていたとしても、疾風迅雷持ち以外は場合によっては戦う事すら許されない*12
  • 配信チームやDLC・タイムリリース外伝のユニットは支援が組めずダブルやデュアルを活かしづらい*13ため、本編のキャラ、特にしっかり作成した子世代と比べると最終的には見劣りしてしまう。
    • 本編収録キャラでも、上記の「マイユニットとしか支援が組めないキャラ」は近いことが言える。

シナリオ面

  • シナリオ面のボリュームはやや少なめ、ストーリーも駆け足気味で唐突な展開が目立つ、とあまり評価は高くない。
    • 従来作品のように1つの大きな戦いを描いているというよりは、序盤・中盤・後半の3つの戦いがぶつ切りに展開されるといった感じで、スケールの割に壮大さは感じられない。
    • 特に中盤の「ヴァルム帝国編」に対しては、その必要性を疑問視する声も。
      • ヴァルム大陸出身者が味方にいるにもかかわらずストーリーにほとんど関わってこない、大陸全土を巻き込んだ戦いなのにトントン拍子で戦局が進む、何よりヴァルム帝国そのものがラスボスを含む本筋とあまり関係ない、など。
    • 「覚醒の儀」や9章のとある出来事、前述したマイユニットの策略など、イベント描写への突っ込みどころも多い。
    • 前述の件も含め、シナリオ全体の説明不足が目立つ。本編攻略中、クリア後等に言及されてはいるのだがその説明が極端に少なく、注意して読まないと見逃しがちになってしまう。シナリオを見返す機能も無いため、見逃してしまったら訳が分からないまま進むことになってしまう事も。
    • 外伝の挿入されるタイミングがおかしい。
      • 外伝章のあらすじは本編章に対応するサイドストーリーではないため、話とまったく関係ない外伝がぽっと出てくる。そもそも従来のように「第○章外伝」ではなく「外伝○」と完全に本編と独立している。
      • また、いかなるシナリオであっても『聖魔』のようにフリーマップの使用が制限される事が全くない。そのため「異国で敵の追手から逃げている最中に自分の城まで戻って買い物ができる」という妙なシチュエーションが成立してしまう。
    • とは言えシナリオそのものに重大な欠陥があるわけではなく、良くも悪くも「普通」の範疇である。従来作のような重厚な物語を期待すると肩透かしを食らうかもしれないが、一概に問題点とは言い切れない部分でもある。
  • 世界観・設定が薄い
    • 各国の文化や風土、王族や各勢力の細かな事情、本編で見られる因縁となった出来事、などの説明が本編のみでは不十分。
    • 過去作ではマップ攻略前にナレーションが入り、そこで様々な事情を説明することも多かった。今作は章前ナレーションが廃止されフリーマップ上で5行程度のあらすじを語るのみとなっている。
    • また、攻略の中で世界観に深みを与える要素である村や民家、特殊イベント、章ごとの拠点会話などの消滅・激減も世界観の薄さに拍車をかけている。
    • 「百万の軍勢」などテキストでしか分からない説明不足な部分も多く、「南の街」や「北の街道」などと固有地名等による装飾も薄い。
  • 旧作とのつながりがあまり活かされていない
    • 概要で述べた世界観を共有した要素の多くは、ストーリー上はほとんど存在する必要性が無い。新規ユーザーへの配慮としては頷けるものだが、発売前のいわゆる客寄せパンダ的な扱いに不満を述べる声も少なくなかった。
    • また、前述の通り後に『蒼炎』の主人公・アイクの末裔を名乗るキャラが追加されたが、これに関しては『暗黒竜』の世界観とすら関係ないうえにそもそも何故登場させたのかという感が強く、評価は芳しくない。
      • 挙句「(クロム親子や配信されているアイクの技として)実装されているのに天空を覚えない」「モーションの使い回しのせいで、ラグネルの間接攻撃が衝撃波ではなく投げつけ」といった要素がネタにされる。
    • 同じく『蒼炎』からの類似要素であるタグエルやシリーズ恒例のマムクートに関しても、ストーリーに関わってくるどころか作中においてほとんど掘り下げられない。
      • 特に本作新規の設定であるタグエルに関しては補完のしようもなく、「とりあえず出した」程度の存在となってしまっている。
    • また『聖戦』に登場した聖戦士の武器と同名の武器が本編で敵ユニットの所持品として登場するが、そのことに関する説明は全くない。ラグネルや『烈火の剣』の神器ともども、魔符と同じく名前が同じだけのバッタモンと割りきってしまえばそれまでであるが。
    • 以上のようなストーリーに対する不満はスタッフも把握しているようで、「社長が訊く『ファイアーエムブレムif』」でも言及されている。
  • 「いつの間に通信」で配信される無料DLCである追加外伝マップの中に、劇中で死亡したはずのキャラや敵キャラを仲間に加えることができるマップがある。
    • 問題は完全な後付設定なのか強引な展開が多いこともあり、ファンサービスを喜ぶよりも「蛇足」「ストーリーが安っぽくなった」「死にシビアなFEらしくない」という批判が強い。
    • 特にある重要キャラの再登場は、前半の山場でありムービーまで使っている熱いシーンが台無しになってしまったという不満も多い*14
    • また、この追加外伝キャラは本編の一部キャラ同様マイユニットとしか支援が組めず、血縁者や因縁のある人物との描写は外伝マップでの会話(発生は任意)と、みんなの部屋の会話だけで済ませている。
    • (加入は本編の範疇内ではあるが)『封印』のトライアルマップや『聖魔』の敵対ユニット加入などと同様に、完全なおまけ要素と割り切るべきかもしれない。

その他

  • 支援関係
    • 主人公であるクロムの結婚相手の候補がやけに少なく、それぞれの組み合わせによる描写の格差も大きい。
      • スミア(と、しばしば『絆』を強調される女性マイユニット)以外はメインシナリオ中に恋愛フラグとなり得るような描写がなく、この二人以外は結婚相手としての印象が薄くなりがち。
      • そのうちの一人であるオリヴィエにいたっては、オリヴィエの加入章終了時にクロムがもっとも支援ポイントの高い相手と結婚するため、クロムとオリヴィエを結婚させるなら「彼女以外の候補をすべて結婚させる」、もしくは「クロムとの支援ポイントを0にするため隣接・ダブル・回復の杖の使用などを使わない」といった戦略的に大きな制限のかかるプレイをすることとなる*15
    • そのスミアもなぜか支援相手が異様に少なく(マイユニ男含めて5人だけ)、結婚できる相手が非常に限られている。
      • そのため、彼女が結婚できる相手を全員他の女性キャラとくっつけてしまった場合、彼女の独身が確定してしまい、彼女の子供が仲間に出来なくなってしまう。この件に関して、何故か救済措置は一切存在せず*16、自由な結婚やカップリングを推しているシステムと相反してしまっている。
      • スミアは元々PVのようにクロムと固定だったのを、急遽自由に結婚できるシステム変更したため作業が間に合わなかったのではという推測もされている。
    • 一部の中盤以降に仲間になるキャラはマイユニットしか支援相手がいない。
    • 父親と子供の支援会話などは内容を使い回しているため、不自然になることが多い(10人以上いる父親候補全てに固有の会話を作れ、というのも作業量的に無理はあるが)。
      • DLC「絶望の未来」シリーズでは父親ごとに会話の内容が変わるようになった。しかし、DLCより本編でも頑張ってほしかったという声も多い。
    • 支援会話を起こす順番によっては不自然な展開になることが多い。
      • ティアモはクロムに恋しているという設定だが、結婚前も結婚後も支援会話は同一内容になってしまっているせいで、別の人物と結婚した後でも……
        なのに、そのクロムとは支援すら出来ない。つまり必ず悲恋に終わる運命にある。彼女はクロムと結ばれないのが分かっているように身をわきまえているのだが、ゲーム中ではその理由が判明せず、ニンテンドードリームにて「スミアのために身を引いている」と解説されることとなった。同じく主人公に恋をし、そして報われない初代のペガサスナイトであるカチュアを踏襲しているからとの見方もあるが、やはり初代と違って恋愛がかなり自由である今作においては批判は多い。
      • 支援会話のシステム上仕方のないところはあるが、同じ話題の繰り返しで不自然になる、というのは決して無視できない。
        シャンブレーは戦いを怖がる気弱な性格で、支援レベルを上げる度に気弱さを克服して男を見せるという流れだが、当然別のキャラの支援レベルではその流れは反映されないので……と言った具合。
  • グラフィック面
    • 戦闘アニメなどで使われる3Dモデルはどのキャラも中途半端にデフォルメがかかっている。
      • 具体的に言うと腕が妙に大きく、足を曲げなくても手先が膝の近くまで届くほど。さらにつま先が異様に短く、足首が地面に刺さっているような不自然な状態になっている。加えて走り方も不自然。
    • ユニットの戦闘グラフィックの使い回しから一部のクラスは誰がなっても和風というミスマッチな格好となってしまったり*17、勇者やジェネラルは単純に奇妙なデザインだったりする。
      • これも自由なクラスチェンジの弊害ではあるが、もう少し汎用的に通るグラフィックにすべきであったとも言えるだろう。
      • モブ兵で無いユニットは兜を外す仕様のため、DLCマップに登場する漆黒の騎士が原作の盛大なネタバレをやらかしてしまったりしている。
        おまけに3Dモデル自体は汎用なので黒くない、持ち武器であった剣がジェネラルだと使えない(これはシステム上已むを得ないが)などとにかく悲惨。いっそのこと漆黒の騎士としてではなく中の人の名義で出しておけば良かったのではないだろうか。
  • プレイヤー同士の手動対戦が出来ない。
    • 対戦要素はデュアルタッグとすれちがい通信があるが、両方ともプレイヤーが自軍を操作することができない自動的な対戦であり、DS2作にあったような自軍を操作する対戦モードはなくなってしまった。
  • システム面
    • 輸送隊で味方間での持ち物交換ができなくなった。
    • 輸送隊に同じ武器を預けると耐久度が自動で統合(例えば、1/50と12/50の鉄の剣を預けると、強制的に13/50の鉄の剣となる)されるようになってしまった。
      • 戦略上2本武器が必要なのに勝手に統合されてしまうと困るという状況もある。
    • すれちがい通信で相手に送信できるメッセージの漢字入力が若干面倒。
      • ひらがなから漢字に変換することができない。GBA時代の作品では出来た要素であるため、不親切さが目立っている。
      • 漢字は一覧から探す必要があるのだが、訓読みに対応していないため探すのに少々手間取る。技術的都合で出来なかったのかもしれないが……
  • また、すれちがい通信で対戦が可能なのは前述のとおりだが、本編中に組み込まれているため クラシックモードで敗北した場合、容赦なくロストする

総評

長らく完全新作が出ていなかったこと、そして「超集大成」と銘打ったことで非常に大きな期待を寄せられた一作。
発売当初は概ね高評価で迎えられたものの、次第にこれまでのFEとコンセプト自体が極端に異なった内容が賛否を分けることになった。

新旧問わず多彩な要素を盛り込んだ結果として、本作はキャラクター性を重視した複雑な作りに仕上がっているが、その代償なのかシリーズの核であった「シンプルで奥深い戦術性」・攻略の面白さにかけては劣化したと言わざるを得ない形になった。この点に関して、シリーズ屈指のデキだった前作の『新・紋章』からの落差を残念がる声が相当に大きい。
また、「紋章の謎」や「外伝」との繋がりを含めた世界観の描写も不十分となり、そちらに期待していたシリーズファンの失望を誘発してしまった。一方で育成の面白さやキャラクター同士の掛け合いなど、新規のユーザーに受けた部分も多い。
ゲームテンポ・ビジュアル・ボリュームなどの基礎的な部分は全体的に高レベルに収まっている分、良い部分と悪い部分が明確に分かれた形になっており、総じて、旧来のシリーズファンと新規プレイヤーの間で評価が大きく分かれることになった。現在は『覚醒』以降の路線もおおむね受け入れられているが、依然として難色を示す古参プレイヤーも少なくない。

ただし、セールス面では国内で2012年末までで約45万本という近作を大きく上回る売上を記録(紋章の75万、聖戦の49万に次ぐシリーズ三番目の売り上げ)。海外で売れた分も累計すると実に125万本にまで達している。
謳い文句の「集大成」というフレーズには疑問を呈さざるを得ない内容ではあるが、路線を変えたことによる新規開拓には十分に成功したと言えるだろう。


余談

  • 本作仕様の3DSを同梱した「スペシャルパック」が発売されている。
    • 4月14日、任天堂オンラインショップでスペシャルパックの予約を受け付けていたが、販売開始時間が告知されず、九時頃には既にサーバーエラー。カートに入れる事が出来ても商品が消失したり、次のステップに進めないトラブルが発生し、十六時頃には前触れもなく販売が終了する大問題となった。
      • スペシャルパックだけあり、多数の転売屋が転売のために購入し、当日にはオークションサイトにこれが出品されているという事態も起きた。
    • 次の予約日は本作の発売日、4月19日だったのもある。
    • このような事態が起きたのは、一度販売方法を変えると商品表示法に触れるためである。
  • 操作説明書のキャラに敵キャラのインバースを起用したのは任天堂が発案である(ニンテンドードリーム2012年8月号)。
  • 今作にも公式によるバックグラウンドのサイトが作られた。
    • しかし、マップ攻略ページのキャラに何故か『蒼炎』の序盤ボスが起用されていたり、会話のノリなど本編同様の悪ノリが表出しているため好みが分かれる。
    • それだけならまだしも、内容部分がゲーム内ですでに語られている内容が多かったり、ペレジアとの因縁の原因となる戦争や屍兵の正体など作中でさえ詳細不明の要素がそのままスルーされているものもある。それどころか一部キャラの描写が本編の設定と矛盾している箇所も見受けられる。*18
  • 北米では2013年2月4日に発売。北米の情報サイト『IGN』の発売前レビューでスコア9.6を、『Gamespot』では8.5を獲得しているなど、発売前の評価は上々だった。
  • 発売してからしばらく経ったのち、海外サイトに山上氏との対談インタビューが公開された。
    • その内容は要約するとFEの売り上げは年々低下していたため、任天堂のセールスマネージャーから「全世界でFE覚醒が25万本以上売れなければシリーズを終了させる」という宣告を受けたという衝撃的なもの。
    • シリーズの集大成として銘打たれたのも、こういった事情があったからなのだろう。なお、最終的に本作は全世界で125万本以上を売り上げるヒットを記録したため、シリーズ終了の難は逃れた。
    • 詳しい内容はこちら(日本語訳サイト)
  • 開発者へのインタビューによると、本作はそれなりに難産だったらしく、企画段階でいろいろと没になったアイデアがあった模様。
    • 没ネタの1つである『和風ファイアーエムブレム』に関しては次作である『ファイアーエムブレムif』に、『ファイアーエムブレム2011』なる現代戦がテーマとのアイデアは『幻影異聞録♯FE』に活かされたと考えられている。
    • 没ネタにはもう一つ『ファイアーエムブレム火星』なる、SF風のSRPGにするというものもある。これは『風花雪月』にシャンバラと呼ばれるSFチックな施設が登場しており、そこに活かされたと見られている*19
  • 本作の輸送隊には同一のアイテムの保管数上限が設定されていないらしく、表示上は99個でカンストするが、その気になれば金塊(小)や武器を数百、数千個単位で保管することが出来る。
    • 内部で切り捨てられてしまうというようなことは無く、ちゃんとカウントされているため実際に預けた数だけ引き出せる。
  • 「おまかせ」という、設定しておけば全キャラをAI操作で戦わせることが出来る機能が搭載されたのも今作からである。恐らく蒼炎、暁に存在していた「命令」が発展したシステムであろう。
    • 今作の場合、育成が極まった状態で使用した場合はなかなか有用で、武器節約によって耐久無限と化したラグネルやスワンチカを引っさげた疾風迅雷軍団がDLC「金と銀」の敵を踏みつぶしていってくれるため、手動でやるより圧倒的に早くたくさんのお金を回収することが出来る。

他作品への出演

  • 後に大乱闘スマッシュブラザーズシリーズの一作『大乱闘スマッシュブラザーズ for Nintendo 3DS / Wii U』にて本作よりルフレ*20とルキナが参戦している。
    • これについてはルフレは剣と魔法を両方使えるオールラウンダーキャラということで参戦、ルキナは開発中でこそマルスのカラバリ扱いだったが「マルスが持つ剣先の強判定が消え、威力が平均化された」ことにより別個のコンパチキャラとして隠し登場。一方でクロムは既存キャラのマルス・アイクに対する特色が少なく性能区別もしづらいため参戦見送りという理由が語られている。
    • そのクロムはルフレの「最後の切りふだ」や勝利ポーズ等でスポット登場している。参戦発表動画での『「俺の出番はないのか……」→※なくはないです。』というやり取りはネタになり、クロム役の声優である杉田智和氏もあるイベントでこれにちなんだ発言をしている。
    • 2015年7月31日には剣術Miiファイターの追加コスチュームとしてクロムセットが配信された。
    • その後2015年11月12日に発売された『PROJECT X ZONE 2:BRAVE NEW WORLD』では任天堂からのゲストキャラとしてクロムとルキナが出演、さらに2015年12月26日に発売された『幻影異聞録♯FE』ではクロムが主人公の相棒を務めるなど、クロムの境遇については大分改善されてきている。
    • 2018年12月7日発売の『大乱闘スマッシュブラザーズ SPECIAL』ではとうとうファイターとしてクロムが参戦した。