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スーパーロボット大戦UX - (2016/03/20 (日) 04:27:43) の編集履歴(バックアップ)


スーパーロボット大戦UX

【すーぱーろぼっとたいせんゆーえっくす】

ジャンル シミュレーションRPG
対応機種 ニンテンドー3DS
発売元 バンダイナムコゲームス
開発元 エーアイ
発売日 2013年3月14日
定価 通常版/DL版:7,140円
本体同梱版:26,040円(全て税込)
判定 良作
スーパーロボット大戦シリーズリンク


概要

ニンテンドー3DS初のスーパーロボット大戦。キャッチコピーは「全ての可能性が、ここに集う。」

+ 参戦作品一覧

★マークは新規参戦、☆マークは声つき作品初参戦。

  • 聖戦士ダンバイン
  • ★リーンの翼
  • ☆蒼穹のファフナー
  • ★蒼穹のファフナー HEAVEN AND EARTH
  • ★『電脳戦機バーチャロン』シリーズ フェイ・イェンHD
  • 機動戦士ガンダムSEED DESTINY
  • ★劇場版 機動戦士ガンダム00 -A wakening of the Trailblazer-
  • ★SDガンダム三国伝 BraveBattleWarriors
  • 忍者戦士飛影
  • ★HEROMAN
  • 獣装機攻ダンクーガ ノヴァ
  • ★機神咆吼デモンベイン
  • ☆鉄のラインバレル(原作漫画版)※
  • 劇場版マクロスF ~イツワリノウタヒメ~
  • 劇場版マクロスF ~サヨナラノツバサ~
  • ★マジンカイザーSKL
  • バンプレストオリジナル ※鉄のラインバレルは、原作漫画版としては新規参戦。
スパロボでは『聖戦士ダンバイン』との初共演となった『リーンの翼』、原作漫画版名義での参戦となった『鉄のラインバレル』、多くのファンから参戦が望まれつつも原作が18禁ゲームゆえに難しいとされてきた(そしてファンからは評判の悪いアニメ版名義での参戦となった)『機神咆吼デモンベイン』*1、音声合成ソフト「初音ミク」と「電脳戦機バーチャロンシリーズ」のコラボレーションから生まれたイラストで、見た目が初音ミクそのものな「フェイ・イェンHD」、リアルガンダム(しかもよりにもよって『00』)との共演となった『SDガンダム三国伝』、どちらかというとヒーローものな『HEROMAN』など、前代未聞の新規参戦作品群はそれぞれのファンから大いに期待されていた。一方で、これらを無理なく共演させることができるのかを不安視する声もあった。
だが、前作『L』よりさらに濃密になったクロスオーバーは良好で、システムも改善を見せている。結果的に、新たなハードの第1作としては十分な評価を得るに至った。

劇場版マクロスFは『第2次Z』に続いての参戦だが、『第2次Z』では機体のみの参戦であったため、シナリオの再現は今作が初。
また『聖戦士ダンバイン』は『スクランブルコマンダー2nd』以来6年振り、『忍者戦士飛影』に至っては『IMPACT』以来11年振りの参戦となった。

システム

  • パートナーバトルシステムは『L』からさらにブラッシュアップされ、戦略の幅がより広がっている。
    • 第2次OG』に続き連続行動*2が追加。本作ではシングルユニットのみ効果が得られるようになっており、パートナーユニットとの棲み分けがなされている。
  • 機体ボーナスが従来の5段階改造、10段階改造に加え、パイロットの撃墜数が100機以上、200機以上の合計4段階で強化されるようになっている*3
  • 戦術指揮
    • 『第2次Z』の同名のシステムと異なり、インターミッションでキャラを1人指定することで次のステージでは指定したキャラに応じた能力ボーナスが得られる*4。また、ステージ開始時に指揮担当キャラが台詞を言ってくれる。
    • 基本的には艦長(『マクロスF』のジェフリー、『00』のスメラギなど)や軍師(『三国伝』の孔明、『ファフナー』の総士など)、前線指揮官(『ラインバレル』の森次、『マクロスF』のオズマなど)が設定できるが、中盤でのとあるイベントの結果、『ダンバイン』のチャムや『リーンの翼』のエレボスはおろか、パイロットですらない『HEROMAN』のリナや『マクロスF』のランカやシェリルといった、本当に指揮が出来るのか疑わしいキャラまでもが設定できるようになってしまう。
      • 一応追加される彼女達の名目は応援であり、ご丁寧にもこのイベント以降は項目が「戦術指揮」から「戦術指揮/応援」に変化する。
    • 戦術指揮の効果はキャラそれぞれだが、孔明が抜きんでて優秀*5なため初見では孔明で固定しがち。しかし何人かの隠しキャラのフラグに「特定のステージで特定のキャラに戦術指揮をさせる」というものがあるため、強いからといって孔明で固定しているとフラグを立て損ねてしまう。まさに孔明の罠
  • 特殊行動
    • 一部の機体は移動や攻撃のほか、様々な効果を持つ行動を行える。使うのと使わないのでは難易度が大きく変わるものもある。簡単に言うと、攻撃を伴わないMAP兵器。
    • 一定範囲の味方を強化・敵を弱体化するディスィーブのナーブクラックや敵の命中率・回避率を下げるメサイア(ルカ機)の複合センサー、一定範囲の敵を移動できなくするデモンベインのアトラック=ナチャなど、効果も使える機体も様々。
      • 従来では状態異常に耐性を持つボスクラスであっても、それらを無効化する精神コマンド「直撃」をかけて撃ち込めば弱体化できたが、本作では仕様変更によりその手が使えなくなっている。
  • スキルパーツ
    • スキルパーツ自体は従来からあるシステムだが、本作ではパイロットの基本能力もスキルパーツで上げることになる。
    • パイロットの能力を上げるスキルパーツは「ドクター・ウェスト愛用ギター」「ジャックの牛乳」など原作で登場したアイテムの名前がつけられている。なお、今回のステータス上限は999。
    • 上位技能は通常プレイだと1データにつき1つしか入手できないが凶悪レベルのハイスペック。「連続ターゲット補正無効」や「ガード100%発動」(撃ち落としバージョンなどもあり)という効果を見ればその凶悪度も察しがつくと思われる。
    • 周回開始時にスキルパーツの使用状況をリセットし、パーツを未使用状態に還元することができる*6。リセットせず使用状況を引き継ぐことも可能。
  • ダウンロードコンテンツ
    • 初めてダウンロードコンテンツを採用。『J』以来となるツメスパロボ、おまけマップとなるキャンペーンマップが配信されている。
    • キャンペーンマップはツメスパ同様マップごとに設定されたユニットを使用し、中断セーブができない。それ以外は通常のシナリオマップと同じ。
    • クリアすることで資金とスキルパーツが入手できる。一度クリアしたものも何度でもプレイできるが、ボーナスは資金2000のみに変更される。なお周回時にクリア状況はリセットされる。
    • ダウンロード限定のキャラや機体は存在しないので、無理に買う必要は無い。
      • ただし上記の上位技能パーツが入手できるマップもあるため、周回プレイで複数個入手することが可能になる。
      • また、ダウンロードコンテンツでしか聞けない特殊戦闘台詞も存在する*7

評価点

シナリオの完成度

  • 本作の物語は『IMPACT』以来の3部構成。1部→2部では時間の経過はあまりないが、2部→3部では数ヶ月が経過する。これに合わせて3部では『ファフナー』がTV版→劇場版に変化する仕様となっている*8
  • 『L』のシナリオライターの一人である岸本みゆき氏がチーフシナリオライターとして執筆した今作のシナリオは、シリーズトップクラスのシナリオ人気を誇る『W』に次ぐとの評価も見られるほど。特に、全ての作品が(原作終了後設定の作品も含め)積極的に絡んでいき、空気作品が一切ないと言う点は『W』以上とも言える*9。キャラクター同士のクロスオーバー会話は当然として、シナリオ面での絡みも非常に作り込まれており、さらには設定レベルのクロスオーバーも随所に見られる。
    • 特に、『DESTINY』は原作終了後の参戦という立場を生かし、シンが歴戦の戦士として『ファフナー』のキャラと積極的にクロスオーバーする。また「モビルスーツはフェストゥム(『ファフナー』の敵)対策として作られた」などという発言がプロローグからさらりと飛び出す*10
      • どちらの作品も平井久司氏がキャラデザインを担当している事もあって非常にマッチしており、その違和感の無さと相まってシンは「マーク・デスティニー*11のパイロット飛鳥真」とファンから呼ばれる事に。そしてインパルスガンダムからデスティニーガンダムへの乗り換えイベントは『ファフナー』とのクロスオーバーを全面に押し出した本作屈指の名場面となっている。
      • ルナマリアもようやくシンとの合体攻撃が実装されたほか、シナリオ上でも文字通り女房役としてシンをサポートし、『ファフナー』の女性パイロット陣の姉貴分として存在感を放っている。さらに時事ネタとして、坂本真綾氏がシン役の鈴村健一氏との結婚発表時に出したコメントが、知らなければわからないほど自然な形で台詞に組み込まれている。
      • 今までのスパロボでは今一つ目立っていなかったアスランも、中盤で「スパロボ一かっこいいアスラン」と評されるほどに活躍する。代わりにキラは若干出番が少なめ*12だが、脇役としてしっかり存在感を示している。
    • 『DESTINY』以外にも『ダンバイン』『ダンクーガノヴァ』は原作終了後参戦となっているが、それぞれが「原作終了後だからこそ」という設定・シナリオとなっている。
      • 特に『ダンバイン』は『リーンの翼』とのクロスオーバーはもちろん、終盤では『ラインバレル』との意外なクロスオーバーが用意されている。
    • 原作でシナリオの存在しない『フェイ・イェンHD』と、原作OVAが非常に短いためストーリーの薄い『マジンカイザーSKL』は、互いにクロスしつつオリジナル設定とも密接に関わり、設定が大きく補完されて盛り上がりを見せる。なお、『フェイ・イェンHD』はバーチャロン原作者の亙氏による全面監修。
    • 原作があえなく打ち切りとなった『飛影』は、謎だった部分をオリジナルの解釈で暗に語っている。さすがに原作未登場の機体までは出れなかったが。
      • 『IMPACT』で経験値泥棒と恐れられた飛影は出現条件が変更されたため、ある程度出現をコントロールできるようになった。とはいえ一度呼んでしまうと経験値を根こそぎ持って行かれることに変わりはないが。
      • 敵役であるハザードは、他作品のキャラの役割を幾つか担い、悪の主役とさえ言えるほどの強烈な憎まれ役として序盤から最期まで活躍する。
    • 再参戦となった『ファフナー』は『K』の悪夢を払拭するかのように力が入れられており、DVE*13とユニット数、中断メッセージ及び隠し要素の数は群を抜いている。前述のように『DESTINY』とのクロスオーバーはもちろん他の作品とも大なり小なりクロスオーバーがあり、シナリオの中核も担っているので必然的に出番が多い。他作品の人物とかかわり合い、導かれることで自分という存在を確立していく様は原作者である冲方丁氏が掲げているテーマが発揮されているといえる。エンディングの〆も担当し、紡がれてきた可能性の物語を鮮やかに纏めてくれる。
      • このため、ファンの間では「『ファフナー』は本作が初参戦」と言われることが多い(これに反論が入る場合は「『スパロボ学園』が初参戦」と言われることも)。
    • 『デモンベイン』のシナリオやグラフィックは基本アニメ版に準じているが、不評の主な要因であった尺足らずや設定のオミットをクロスオーバーや細かな会話などで大幅に補完。特に同じアメリカを舞台とした『HEROMAN』との絡みが多い。さらに、原作・外伝小説・続編ゲームの設定も小ネタとして登場し、原作ファンは歓喜した。
      • 特に原作ではヒロインの一人だったにも関わらず、アニメ版ではほとんどの設定を削ぎ落とされてサブキャラへと降格したライカについては最大限のフォローがなされ、中盤の灯籠流しで彼女が呟いたとある台詞には多くのファンが溜飲を下げた*14
    • 『リーンの翼』は漫画版のテイストを織り交ぜつつ、『ダンバイン』そして『ラインバレル』とクロスすることで風呂敷を拡げていく。特に『ラインバレル』は『リーンの翼』に出てくる人物と関わりがあり、そこにはプレイヤーの世界とわずかながらリンクするであろう悲愴な過去がある。そして『リーンの翼』における原作再現では『現実にあった戦争』が描写されることとなった。これはスーパーロボット大戦シリーズにおいて、史上初の試みであった。ゲームとはいえ、心に来たプレイヤーもいるはずである。OVA媒体だからこそ出来た描写をゲームで出来るのかどうか不安視されていたが、これもプレイヤーの想像を上回る再現ぶりを魅せてくれた。
    • 映画版としては初の参戦となる『00』は「相互理解の困難により敵対する金属生命体」という共通点から、敵生命である「ELS」と『ファフナー』の敵生命である「フェストゥム」が緻密なクロスオーバーを見せてくれる。ファンの間では、刹那・F・セイエイを将陵僚*15の再来だとする声も大きい*16
      • TVシリーズでは一貫して敵対する立場にあった人気キャラ「グラハム・エーカー」も今作では味方として中盤に参入し、フラグを立てれば最後まで生存させることも可能となっている。オリジナル主人公の上官という設定になっているため、序盤から目立つ。
      • ただし、同じく注目を浴びていた「デカルト・シャーマン」は、原作同様ELSに侵食されて死亡してしまう。戦闘アニメが無いため声優の問題*17という説が有力だが、理由は不明。
    • 異色作と思われた『三国伝』が各作品をつなぐ接着剤として機能し、それでいて違和感が全くない*18。もちろん彼らを中心としたシナリオも存在する他、終盤のシナリオでは軍師キャラが大きく活躍する事に。
      • 『三国伝』は今回が初参戦にもかかわらず、原作(アニメ版)終了後という異例の参戦形式となっている*19。これは『三国伝』を知っていなくても『三国志』を知っていれば各キャラの立ち位置におおよその見当がつくからと思われ、それによりオリキャラ並の自由度を持って版権キャラ間の橋渡し役を務めている。また、彼らは彼らでちゃんと主役を張るシナリオがいくつも存在する。
      • なお、呂布を含めた主人公格4人は各々の代名詞とも言える「正義」「勇気」「理想」「魂」を精神コマンドとして習得している。呂布に至っては、追い込むと「魂ィィィィィィ!!」と叫び、本当に「魂」がかかる。敵として割と序盤から出てくるので、初見はまず唖然とすること請け合い。
      • なお「正義」と「理想」は本作で新規に登場した精神コマンドで、「正義」は一ターン中武器の消費弾数・EN・MPが無くなり、「理想」は自分と周囲4ユニットに「闘志」(一ターンの間攻撃が必ずクリティカルになる)がかかる。
    • 『ラインバレル』は発売当時は原作漫画が完結していない*20ため発売前にはどこまで再現するか話題となっていたが、既刊ギリギリまで再現した上にゲームオリジナルの結末を描く、という驚きの方法で物語を完結させる形となった。*21
      • このオリジナルシナリオでは、原作のとあるキャラが先行登場している。原作者がカットインイラスト等で全面協力しているため、設定面でも協力を受けたとユーザーの間では推測されている。
  • 主人公のアニエス・ベルジュ(通称アーニー)は「心優しく正義感の強い新兵」という王道でありつつ、真面目すぎる故か天然ボケ気質の異色なキャラで、好感度もネタ度も高い。
    • ただし第3部での振る舞いに関しては賛否両論(詳しくは後述)。
  • オリジナル主人公機・オルフェスは、その名の由来に反して何故か時代劇「必殺」シリーズのパロディ機体となっている*22。特にサポート機であるライラスとの合体技ヘル・ストリンガーはその極致であり、プロローグでいきなりお披露目し、「必殺」シリーズを知る初見プレイヤーの度肝を抜いた。
    • おまけに最強武器使用時の曲「唸る必殺の一撃」も明らかに「例のあの曲」という拘りよう。ただ、雰囲気はそのものだが聴き比べてみるとだいぶ違うという絶妙なバランスの曲である。
    • またオルフェスの前任パイロットであるリチャード・クルーガーに至っては戦闘台詞が必殺シリーズのパロディだらけである。
  • 本作のオリジナルキャラのデザインは、『L』・『第2次Z』に引き続きchiyoko氏が担当している。
  • クロスオーバーを抜きにしても、シナリオの質と評価は高い。
    • 一貫して質は高いが、中でも第1部最終話のイベントは本作でもトップクラスに熱いイベントと好評。
    • 今までのスパロボでは、世界観の説明を最初にナレーション文章で行なっていたが、これを廃止。実際のシナリオ内で世界観を見せている。より世界観を実感でき、スムーズにゲームを始められると好評。加えて、そこで設定レベルのクロスオーバーが始まるものだからより引き込まれる。
    • また、ホワイトバックに黒字でテキストが表示されるという演出も使用された。回数こそ少ないものの重要な場面で使われるため、印象に残りやすい。
      • 特にこの演出が使われる中盤のイベントは本作屈指の涙腺崩壊イベントとなっている。
    • 全体としても、「命」と「可能性」をテーマとしたシナリオは綿密に練られており、序盤から張られていた伏線が後半に結実する。挙句、周回要素などのメタさえも世界観の根底に据えているほど。
      • 表立って語られないが、その裏には更に緻密な設定が大量に仕組まれている。これらは要点だけが語られるだけとなっており、それを推測・考察する楽しみもある。

隠し要素

  • まず、とにかく数が多い。見つける楽しみはもちろんとして、意外なキャラの参戦でもファンを喜ばせてくれる。なお、隠しキャラ参戦時、初回のみそれぞれ既定の上位技能がゲットできる。
    • フラグを立てて参戦したキャラは大幅にシナリオに絡む。フラグを立てるのと立てないので2種類(あるいはそれ以上)のシナリオが楽しめると言っても過言ではないほど。また、加入によって使えるようになる合体攻撃なども本作オリジナルボイス多数。
    • 特に、あるキャラの生存IF分岐の改変はファンの度肝を抜き、その上シナリオの質も良いとあってネット上で大きな話題となった。ニコニコ大百科に個別記事が作られるほどであり、「この展開を想像できた方がどうかしている」と言われる驚愕のイベントである。それでいて超展開ということもなく、きっちり伏線を張って回収した上での展開なので説得力も十分にある点がさらに凄まじい。
      • 原作序盤に離脱してしまうはずが中盤で復帰するため、ストーリーへの絡みっぷりも隠しキャラの中でぶっちぎり。完全な「IF」を体験できる。戦力としても十分前線に出す価値アリと至れり尽せり。
  • スパロボでは定番の説得イベントも存在するが、対象キャラの作品だけでなく、各作品の主人公や一部隠しキャラですら説得が可能という前代未聞の内容となっている。
    • 前作『L』での『鉄のラインバレル』のキャラである中島宗美の説得に、『ガンダムW』のキャラである張五飛が関わっていたことが当時ネット上で話題になったことを踏まえていると思われる。
  • 隠しフラグの仕様も独特なものとなっている。生存フラグは周回を超えて引き継がれ*23、一度生存したら以降の周回では無条件に生存する
    • これにより、スパロボでありがちな「二者択一でどちらかを選ばなければならないフラグ」も、周回を重ねる事で全て満たす事ができる*24。また、生存フラグ系の全ての隠し要素を入手すれば、それ以降は隠しフラグを気にせずプレイできる。
    • なお、この「周回による隠し要素及び達成条件の引継ぎ」という仕様自体が実は本作のシナリオに関わってくる。シナリオのためにこういうシステムにしたのか、システムの改善を上手く取り込んでシナリオを作ったのかは分からないが、非常に面白い要素と言えるだろう。
    • 評価点である一方で問題点も発生してしまっているのだが、それについては後述。

ボイス

  • ハードが3DSとなったことで、任天堂携帯機の版権スパロボとしては初のフルボイスとなった。
    • 『ラインバレル』は漫画版のキャラにアニメ版の声優陣が声を当てる(しかもそれがスパロボ初収録)という珍しい事態となった。もちろん、ちゃんと漫画のセリフを喋る。
      • なお『ラインバレル』のボスはアニメ未登場のためオリジナルキャストとなっている。また、ジャック・スミスのみ声優が変更されている(理由は不明)。
    • 『バーチャロン』のフェイは今回の設定に合わせて過去にフェイを演じていた樋口智恵子氏ではなく、初音ミクの声を担当した藤田咲氏が起用されている。
  • 『ダンバイン』のショウや『DESTINY』のシンなど既存キャラの新録も多く、声が付くことで減少が懸念されていた「豊富な特殊セリフ」は今作でも健在。
    • ちなみにシンはファンの間でも評価の高い、高山瑞穂氏の執筆した漫画版の台詞が特殊台詞として採用されており、「シンは高山版終了後の参戦か!?」という声も。
    • 版権作品の本作オリジナル合体攻撃がいくつも登場するが、それらも当然新録ボイス。ファンとしては感慨深いやりとりも見られる。
  • イベント戦闘でも専用のボイスが使われることも多いほか、特定のキャラに特定の武器を使うことで専用のセリフに変化することもある。援護でも本来ないセリフをしゃべる場合もあり、戦闘セリフがそっくり新録にさし変わっているキャラもいる。
  • さらにフェイスグラフィックがないにも関わらずボイスがあるという声だけ参戦となったキャラまでいる。フェイスグラフィックがあって声がないキャラは多いが、その逆はかなり珍しい。
    • なお、声だけ登場というのは原作再現である。エンドロールにもちゃんと名前が載っている。
  • 近年のスパロボでは減少傾向であったDVE*25も非常に多い。九郎のデモンベイン召喚、総士の「5秒待て」*26、サコミズの「そうでもあるがぁぁぁ!!」など、原作の名台詞はほぼ網羅されている。
    • DVE以外のシナリオ演出も強化されている。
  • 中断メッセージも実装。真面目なものからギャグまで幅は広く、その数も70個以上とシリーズ最多(当時)の膨大さを誇る*27
    • 初回プレイ時のみではあるがゲームの進行に応じて聞けるようになる内容、聞けなくなる内容があるほか、周回プレイを行うことで内容が変化するパターンもある。
    • 隠しフラグの条件を示唆しているものや、ストーリーの伏線になっているものなども存在して奥も深い。
    • 中には中断メッセージでのみ参加している声優すらいるほど。
      • スパロボとは縁の深い人なので別作品の収録のついで録りだった可能性も高い。
    • ある隠しキャラクターに至っては、生存させると見れる期間は短いものの、プレイヤーに感謝の言葉を述べてくれる。原作、本作共に悲劇的な最期を迎えるそのキャラからのメッセージはファンにとっては感涙物である。

BGM

  • 曲数自体は『L』とさほど大きな差はないが、エーアイ製スパロボらしく、相変わらず通好みな選曲が光る。
    • アニメ劇中曲を使用した『ラインバレル』*28や、原作BGMをアニメでも流用している事を逆手に取ってPS2版主題歌の原曲でもあるBGM「機神咆吼 -交錯する刃金と刃金*29」を持ってきた『デモンベイン』、あまり戦闘向きではないと思われた『リーンの翼』の主題歌「MY FATE」、壮大だがサビまでが非常に長い『ファフナー』の「マークザイン」をフル尺で採用、EDではあるが激しい曲調であり、今作の雰囲気との親和性も高い『SEED DESTINY』の「Life goes on」など、面白い楽曲が数多く存在しており好評。
      • なお、イベント用BGMとして「マークザイン」(サビのみループするショートver)や「Linebarrel」(イントロ付き)も存在しておりこちらも非常に好評。だが、あくまでイベント用で戦闘BGMに設定できないため、それが残念がる声もある。
  • ちなみに今作はイベントにて「Life goes on」や「蒼穹」など、BGMに採用された曲の歌詞を元にしたネタが豊富。
  • フェイのBGMはちゃんとミクによるボーカル付き。曲はバーチャロンシリーズのBGMに歌詞をつけたものとなっている。作詞はもちろんバーチャロン原作者の亙氏。ちなみに版権作品のBGMにボーカルが付くのはDC版『α』以来となる。
    • 完全覚醒時に解禁される曲はバーチャロンを代表する名曲「In the Blue Sky ver.HD」。さらに解禁されるステージが第39話、ステージタイトルが「蒼穹 -そら-*30」という完璧なコラボを実現している。
  • 『ラインバレル』では、アニメ版のラスト付近のファイナルイベントの際の挿入歌である「PROUD」が原作漫画版であるにも関わらず採用されている。しかもラインバレル関連で直接使われるのではなく、他作品のキャラが原作漫画版ラインバレルのストーリーの根幹の一部に介入すると言うクロスオーバーの際に使われると言うびっくり箱。
  • 『マクロスF』関連は相変わらず収録曲数に恵まれており、期待されていた「サヨナラノツバサ」は『L』の「ライオン」と同じくパート分けのアレンジが好評。また、「キラッ☆」でお馴染みの「星間飛行」は誰もがアッと驚く演出が用意されている。
    • なお曲数的に優遇されているとは言っても、他作品ともそれほど露骨な差はない。

戦闘アニメ

  • ハードが3DSとなったことでグラフィックも進化。当然裸眼立体視にも対応している。
    • 動きも3Dによる演出を最大限に利用しており、3Dで見た際の迫力はかなりのもの。
    • これまで分身という同じ演出で統一されてきた特殊能力による回避演出が機体ごとに種類が細かく分類されており(ダブルオークアンタの量子ジャンプ、ラインバレルのオーバーライドなど)、種類によってアニメーションの演出も大きく変化するようになった。
  • 『ラインバレル』のカットイン原画の一部は原作者が直々に担当している*31
  • 任天堂機*32では切り払いの発生はエフェクトのみであったが、本作では切り払うモーションが発生するようになった。
  • 『L』の「イベント戦闘で撃破する敵は撃破してもトドメ演出が発生しない」という問題点も、オプションでトドメ演出のオン・オフを任意で変更できるようにした事で解決している。
  • また、ガンダム系機体にも『Z』シリーズ同様リアルサイズカットインが採用された。*33

賛否両論点

シナリオ面

  • 版権に関しては非常に評価が高いが、オリジナルキャラ・機体についてはやや賛否両論。
    • 事前情報で主人公機として紹介されていたライオットBは序盤でしか使えず、リチャード機として紹介されていたオルフェスが前述の通り実質的な主人公機である。ライオットは機体名変更が行えない*34事からも、明らかに「真の主人公機(オルフェス)の前座」という扱いとなっている。
      • オルフェスを効果的に魅せるための意図的な物と思われるが、正統派なデザインや気合の入った戦闘アニメの評価は高く、序盤しか使えない事を残念がるプレイヤーも多かった。
    • 主人公であるアーニーのキャラは前述のとおり評価が高いのだが、第3部に入ると戦闘セリフがリチャードに似た「仕事人」風のものに大幅変化する*35。明らかな変化であるにも関わらずその理由がはっきりと語られず、誰もそれを突っ込まない点には不自然であるとの声も。*36
      • 台詞が仕事人になった事よりも、それに伴ってヒロインであるサヤ・クルーガーに対して2部までは「さん」付けだったのが3部から急に呼び捨てになっている事に関する説明がない(インターミッションでも呼び捨てになっている)事を疑問視する声もある。
      • ただし、戦闘セリフの変化こそ第3部からであるが、序盤のライオットに乗っている頃から戦闘前会話で「ド外道」と言い放っており、非戦闘時とは顔つきや口調が大きく異なるなどある程度の二面性が伺える節はある。
      • 尚、2部から3部の間のことはこの件に限らずほとんど説明されない。これ自体は、そもそもこの時間経過が事実上『ファフナー』のためだけのものであり、話題を掘り下げるのが難しいので仕方ない面もある。
  • クロスオーバーに関しても、版権間が著しく濃密な反動もあるのかオリジナルキャラは全体的に一歩引いている(従来なら一人くらいはいる頻繁に絡む相手もおらず、徹底して薄く広い)。と言っても影が薄いというわけではなく、主役としての存在感は保っている。
  • シナリオは非常に練られた設定である一方、それを意図的に語らず、プレイヤーに想像・考察させる形をとっている部分が多い。「奥が深い」ととるか「説明不足」と取るかで評価が分かれる所だろう。また、前者でも後者でも、大抵のプレイヤーは『UX』以前に何が起こったのか別の形でプレイしたいと思ったことだろう。原作が終了した参戦作品の数や規模だけで物語一つ作れるレベルである。
    • 説明不足と言っても隠されている部分は人智を超えた領域の話であることが多いので、それを知ることができてしまうのは不自然である、とも言える(例外あり)。

ユニット性能面

  • 『蒼穹のファフナー』は、TV版から劇場版に変わるに伴いユニットの性能が変わる。機体性能は上昇するものの武器の性質が大きく変わるユニットも多く、それに伴い使い勝手も大きく変わってしまう。
    • 格闘戦機だったにも関わらず最強武器が遠距離射撃になるマークザイン、接近格闘機から射撃武器オンリーの戦闘爆撃機になるマークドライ*37、狙撃機体から最強武器が近接射撃になるマークジーベン。最強武装の必要気力が下がった代わりにその他の強武器が弱武器になったマークアハト。スキルパーツが消費型であることも加わって、「格闘主体の機体のパイロットだから格闘を中心に上げてきたのに射撃主体の機体になってしまった」といった事態が頻繁に起こる。
      • 仕様変更はあるもののマークアハト以外は全体的に攻撃力は向上しているため、マークアハト以外は総合的に言えば強化されていると言える。
      • なお、とある隠し機体は特に武装が変化しないが合体攻撃だけは演出が劇場版仕様となる(本作オリジナル)。
    • また、道生はメガセリオンからマークアインに乗り換えるのだが、『K』でも機体性能がほぼ下がるという問題を抱えていたが、本作では『K』と比べて武器の追加・変更でメガセリオンがさらに強化されてマークアインが弱体化してしまったため余計酷くなった。
    • また、劇場版からの参戦となるキャラは、残り話数の関係でやや活躍しづらい*38。とは言え、ある時期を境にファフナー系は特殊能力により多く出撃させるほどパイロットの能力が底上げされるようになるため弱いわけではなく、ファフナーを主力としているなら出すだけでも価値はある。
  • 敵であるフェストゥムの特殊能力「同化」「読心」が強力で、敵勢力の中では頭1つ以上抜けている。
    • 「同化」はフェストゥムの攻撃すべてに気力低下効果を付与するもの。その際、気力が一定値を下回ると撃破扱いになる。雑魚クラスは無視できなくもないが、後半の敵やボスになるとかなりの低下量となるため非常に強力。さらにほとんどの武器に「バリア貫通」の効果があるため耐久型のユニットでも無効化できない。
      • 『ファフナー』以外の参戦作品では唯一ヒーローマンが「同化」「読心」を無効化できるが*39、回避特化のユニットなため攻撃を食らえば一撃撃破される危険性があるため「同化」無効に関してはあまり役に立ってはいない。
      • SEED系ガンダムのVPS装甲はバリア扱いではないため、ダメージにもよるが「同化」を無効化できる。こちらも回避重視の機体なので過信は禁物だが。
    • 「読心」は命中率・回避率に補正をかける能力なのだが、最終命中率に加算される方式に加え、雑魚でも30%の増加量を誇るなどこちらも非常に強力。*40
    • この2つの能力単体の性能もさることながら、それを両方保持している上に「同化」と似たような能力を持つELSと比べて長射程の個体が多く、高いシナジー効果を発揮してしまっている。
    • 逆に言えば「読心」を無効化できるファフナー(とヒーローマン)はフェストゥム戦で非常に有効であり、原作再現となっている。
      • 特にファフナーの後期主役機「マークザイン」は、 攻撃が当たればフェストゥムが問答無用で即死する上に自身のHP・ENを回復する *41という対フェストゥム戦において無類の強さを発揮する特殊能力を備えている。それまで厄介な敵であったフェストゥムをいとも簡単に撃破・ 吸収 していくマークザインの姿はプレイヤーの度肝を抜き、「フェストゥム殺すマン」の異名を頂戴することになった。
  • 敵味方双方のMAP兵器の範囲が控え目になった。
    • 特に味方のMAP兵器は使いやすいポイント指定型が無くなり、強力な全周囲型は範囲や威力が低いものとなっている。
    • 本作では連続行動スキルがあり位置取りがしやすいため、それに合わせたバランス調整と思われる。

アニメーション

  • 3Dによる演出に力を入れたためか、立体視をオフにした場合は前作『L』どころか前々作『K』よりも動かなくなったという批判もある。
    • かといって常時立体視だと目も疲れる*42
    • 3D演出の弊害として、手前に迫ってくる動きが2Dで見ると単なる拡大となってしまい、ドットがさらに粗く見えてしまうという意見も*43
    • とは言え、多かれ少なかれ過去作からの使い回しが出来た『W』、『K』、『L』とは異なり、全てのユニットのドットを新規に作る必要があったため、作業量的に限界があったことは想像に難くない。
    • また、3D抜きにしてもオーラバトラー系など評価されているものも有り、今までのアニメーションはクドすぎるという意見を持つ者からはこのくらいが丁度いいという意見もある。
  • ちなみにスタッフロールでは、戦闘アニメ担当は 4名 となっている。 逆に4名だけであそこまで作れたのか…
    • これは同時期開発だった『第3次Z』に人員を割かれたのもあると思われる。
    • 次回作の『BX』ではスタッフも増員され、更に一部のロボットグラフィックも流用出来たので作業量に余裕ができたのか、上記の問題点はほぼ全て解消された。逆に一部アニメはくどくなってしまったという問題点もあるが…。

問題点

シナリオ面

  • 主人公アーニーのライバルとして序盤から登場するジンのキャラはやや迷走気味で、中盤からの性格や行動はあまり評価されていない。
  • 中盤に味方側のパワーアップ→ステージ終了時に別作品(オリジナル含む)の欝展開というステージが、3ステージも連続で起きる。描写自体は必要なものとはいえ、よりにもよってパワーアップステージで連続させすぎである。
  • 全体的な難易度はそれほど高くはないが、初見殺しのマップもある。
    • 特にとあるマップにおいて、撃墜するとゲームオーバーになる敵ユニットを容赦なく撃墜するNPC機については、大きく話題になった。
    • 敵の思考ルーチンは『L』と同じで、HPが高いユニットを優先的に狙う。撃墜寸前のユニットを無視して無傷のユニットを狙う事もあり、やや不自然に見える。
  • シナリオのイベントで全体にダメージや気力増減が行われる事があるが、一括に行われるのではなくペア毎に順番に行われるためテンポが悪い。
    • 一応加速はできるが全体ダメージが5回以上も行われるステージもあるためやはりわずらわしい。

隠し要素関連

  • 隠し要素については前述の通り問題点が存在する。
    • 先に述べたように、本作では一度フラグを立てれば次周以降は無条件で生存する。これは逆に言えば「一度生存させてしまうと、そのデータでは二度と死亡時のシナリオが見られなくなる」という事でもある。もう1度見たい場合は周回特典を諦めて完全に最初から始めないといけない。
    • 前述の通り、生存時は大幅にシナリオが変化するため、余計に問題となってしまっている。さらに、一部の隠しキャラは死亡時限定のDVEも存在し、生存フラグを満たしたらそのセーブデータでは二度と聞けなくなってしまう。
    • 「フラグ無し」「Aのみの生存フラグを立てた場合」「Bのみの生存フラグを立てた場合」「A/B双方の生存フラグを立てた場合」でそれぞれ台詞が大きく変わるシナリオも存在しており、全ての展開を見たい場合はとにかく手間。
    • セーブデータは40個作れるので、「1周目用」の記録枠を残しておくことが推奨されている。
    • また、この仕様のために生存時の状況がプレイヤーによって異なることが多く*44、正確な生存条件の割り出しには相当な時間を要した。
  • 上記の後戻りが出来ない仕様上、意図せずフラグを満たしてしまう事を避けるためか、各種生存フラグは非常に厳しく設定されている。
    • 分からないなりに隠し入手の定番プレイをする*45、よほど愛を持って特定の作品に肩入れをする、等といったプレイをしていない場合、攻略情報無しの初見1周目ではほぼ間違いなく1人も生存しない。
    • 特にほとんどのキャラで条件となっている「特定キャラの撃墜数」が膨大であり、「意識して多用する」レベルでは到底届かず「単独で無双する」レベルでなければならない。全滅プレイでも加算されるものの、後述する撃墜数仕様の存在もあり、周回プレイではフラグ条件となっているキャラ以外のキャラを活躍させにくい。
    • 隠しキャラが多いということは、逆に言えば何も意識せずにプレイするとそれだけ多くのキャラが(原作通りとはいえ)離脱するということでもある。
      • 原作死亡キャラ生存などのif展開はスパロボの魅力の1つであり、それを楽しみにしていた(ライト層の)プレイヤーには厳しい仕様と言える。
  • フラグに撃墜数が含まれるキャラは「その周回の実際の撃墜数が規定数値を満たしたか」で判定されるようになった。これは初期値や未選択分岐、レア特殊スキル等での増加分を省いた数で、全滅した場合は加算されたままとなる。
    • しかし、ステータス画面に表示される撃墜数は初期値・周回引き継ぎ・未選択分岐等を加算し、全滅プレイ時は加算されないと言うもので、隠しフラグの仕様と無関係になってしまっている。そのため、表示撃墜数と周回内実撃墜数の差異をいちいち意識しておかなくてはならない。
    • さらに、本作は各キャラの初期撃墜数を決定する計算式の関係で、撃墜数が非常にカンストしやすい。そうなってしまうと、自分で何機撃墜したかをカウントしなければならない。
      • 前作『L』のミシェルバグ*46の反省からこのような仕様になったと思われるが、それならせめて周回内撃墜数の表示もして欲しかったところである。
  • そのほぼ全てが生存フラグだけのため、隠し要素解禁で初めて姿を現す完全隠し機体やパイロットが一切ない。ただ膨大なドット戦闘シーン作成や、音声データの面を考えると仕方がないという意見も多い。それに近年のスパロボでも隠し機体やパイロットは一作品で数えるほどしか出ていない場合がほとんどである。
  • 唯一フラグが次周に引き継がない隠しキャラに関しては「中盤の分岐で特定のルートに行く」という簡単な条件だが、性能としても有用な精神コマンドを持つため、他の隠しキャラのフラグを満たしている場合、加入しないルートに行く旨みがないという問題も抱えている。

UI関連

  • 本作では十字キーにカーソルの移動、マップの拡大・縮小がアナログパッドに割り振られている。タッチパネルは完全非対応。操作しづらいと感じた人も少なくない。
    • 『L』同様クイックコマンドがあるが、『L』と違いXボタンによる操作ができずYボタンのみになっている。
  • 3DSの仕様でセレクト・スタートボタンの機能が統一されているため、『第2次OG』のように特殊能力の解説などが能力場面でボタン一つというわけにはいかないのも難点。
  • 精神コマンドの仕様変更
    • 従来は他者に精神コマンドをかける際はアイコンを直接指定していたが、本作では専用のリストからかけるユニットを選択する形になった。
    • マップ上から直接かけるユニットを選べた今までの方式に比べ、逐一全ユニットのリストからコマンドをかけるユニットを探さなければならず、慣れているプレイヤーからすれば面倒なことこの上ない。
    • 「精神コマンドをかけたい方のユニットから、特定の精神コマンドを持つパイロットをリストアップする」こともできるので、こちらを習慣化すれば概ね解消できるが、仕様そのものには問題があると言わざるを得ないところである。
  • キャラ辞典・ロボ図鑑が未実装
    • 元々エーアイスパロボには図鑑は実装されていなかったが、声つきにできるなら図鑑も実装して欲しかったという声も多い。
    • 特に、前述の通り本作のシナリオはクロスオーバーが非常に巧みかつ豊富なため、「原作での設定を知りたい」と言う欲求は大きくなりがち。

ボイス

  • 戦闘時、特定の味方キャラクター同士だと発生する掛け合いボイスがシングルユニットによる「援護攻撃」時のみ再生され、パートナーユニットによる連続攻撃では再生されない。
    • 今回のシステムでは、「連続行動」を活かして無双するなどの明確な目的がなければパートナーユニットとして運用するのが基本であり、汎用セリフしか再生されない事態が発生しやすい。

BGM

  • オルフェスの後続機の最強武器「エンド・オブ・リバース」のBGMが機体専用BGMの「目覚めるは人の意志」ではなく「唸る必殺の一撃」固定になっている。
    • 元ネタを鑑みれば確かに正しいのだが、「エンド・オブ・リバース」解禁イベントで「目覚めるは人の意志」が使われているため、「唸る必殺の一撃」固定に違和感を覚えた人は少なくない。
    • 最終決戦では「目覚めるは人の意志」が非常に印象的な使い方をされているため全機体のBGMを固定したという意見が少なからずあり、その結果(BGMを変えられてしまうので)「エンド・オブ・リバース」が使えないという珍現象も起きている。ちなみにオルフェスとは異なり、ヘル・ストリンガーであればBGMに変更はない。
  • デモンベインは「レムリア・インパクト」「シャイニング・トラペゾヘドロン(ファイナルも含む)」のBGMがイベントでは「破神昇華-渇かず飢えず無に還れ」が流れるが、通常戦闘では機体専用BGMの「機神咆吼-交錯する刃金と刃金」が流れてしまう。原作再現を考えると「破神昇華」が流れるのが正しいので、こちらは逆に固定されていないのを残念がる声もある。
    • 設定で機体BGMを変更すればいいだけの話ではあるが面倒臭い。

ダウンロードコンテンツ関連

  • キャンペーンマップ中に中断セーブなどが出来ない。(中断手段は3DS本体のスリープモードのみ)
    • DLCでありツメスパに近い要素の為、「セーブ及びクイックロード不可」が仕様の可能性もあるが、せめて中断機能は欲しかった。
      • ツメスパと違って通常プレイ同様に確率によるミスが発生するので、外れる事も考慮してプレイしていると結構時間がかかる。中にはマップ兵器で3体同時撃破を求められるのもあるためなおさら。
      • 後述の戦闘アニメのフリーズバグの存在もあるので、長丁場になる場合は戦闘アニメをOFFにしてプレイした方が良い。

バグ

  • 本作では戦闘アニメのフリーズバグがいくつか報告されている。
    • 『デモンベイン』のものはその発生条件から「ある意味原作再現」とネタにされている。
  • また、特定の操作をすることで本来払い戻されるべき資金が払い戻されなかったり、加入するべき隠しキャラが加入しなかったりといったものもある。

総評

そのあまりにカオスな参戦作品群から発売前は賛否両論、出来を不安視する声も多かったが、いざ発売されてみるとプレイヤーの想像を遙かに上回る良質なクロスオーバーとIF展開、豊富な隠し要素によって前評判を見事覆した。
UIやオリジナルキャラについては批判点も散見されるのでこれらは次回作以降の改善に期待したいところであるが、新ハードのスパロボとしては十分以上の出来。
参戦作品で敬遠している人には是非ともプレイをお勧めしたい傑作である。

余談

  • チーフライターである岸本みゆき氏はかつて『三国伝』のシナリオに関わっていた経歴を持つ。原作スタッフがスパロボに監修として関わったケースは多いが、スパロボスタッフとして直接関わるケースは珍しい。
    • ちなみに、オリジナル機体のデザインとして参加している寺島慎也氏も『三国伝』のメインスタッフである。
      • 補足すると、寺島氏は以前からスパロボオリジナルメカのデザインを行っており、今回が初参加というわけではない。他の代表作としてはヴァルシオーネR、ネオ・グランゾン、バラン・シュナイルなど旧シリーズから登場する機体がほとんどであり、むしろ久しぶりの参加と言える。
  • 『デモンベイン』の原作ゲーム版を製作したニトロプラスは、2013年のエイプリルフールネタとして『渾沌大殲』を発表した(クトゥルフ神話を扱った作品のオールスターゲームという触れ込み。現在は閲覧不可)。キャッチコピー、サイトの構成を含めて本作のパロディとなっており、さらに許可を取ったうえで他社の作品まで出演させる、描きおろしイラストを多数用意する、と異常なまでに気合が入っている。そんなに『デモンベイン』のスパロボ参戦が嬉しかったのだろうか。
  • 『デモンベイン』の原作ゲーム版でエンネアを演じた成瀬未亜氏は引退していたため声優が柚原有里氏*47に変更されているのだが、当の成瀬氏は本作発売後に声優活動を再開した。
  • スパロボ恒例の乳揺れカットインは今回は存在しない*48。その代わり、デモンベインのレムリア・インパクト使用時には前代未聞のパンモロカットインが拝める。これには乳揺れに慣れたプレイヤー達も唖然とした。
    • れっきとしたアニメ版演出の再現ではある*49のだが、作画演出が原作アニメより改善されているという謎の徹底ぶりである。
  • 石丸博也氏、飛田展男氏、矢尾一樹氏の3人は声がつくようになった『第4次S』から声有りの全ての作品(OGシリーズ除く)に出演していたが、本作で石丸氏と飛田氏の皆勤記録が途切れ、シリーズ皆勤は矢尾氏のみとなった。矢尾氏も後の『BX』で不参加だったため皆勤が途切れている。
  • 2015年5月31日のニンテンドーダイレクトで、次回作『スーパーロボット大戦BX』の発売を記念して、6月30日までの期間限定でDL版がおよそ半額の3800円で購入できるセールが開催された。
    • なお、評価の高さゆえか発売から2年以上経過した現在でも中古市場にあまり出回っておらず、4,000円前後の高値をキープしている。