信長の野望 戦国群雄伝

【のぶながのやぼう せんごくぐんゆうでん】

ジャンル SLG

対応機種 PC-8801SR、PC-9801、MSX2、X1turbo、X68000、FM77AV、FM TOWNS、
Windows 95/98/Me/XP、ファミリーコンピュータ、プレイステーション、セガサターン、ゲームボーイ*1
発売・開発元 光栄
発売日 1988年12月
定価 【通常版】9,800円
【withサウンドウェア】12,200円
【コーエー定番シリーズ】1,980円
判定 なし
信長の野望シリーズリンク

概要

信長の野望シリーズの第3作。
前作が初代のバージョンアップ的な内容であったのに対し、本作はようやく「新作」と呼べるほどの進化を遂げた。

新システム・変更点

  • 「配下武将」「行動力」の概念が登場
    • 三國志』シリーズでは初代から導入されていた配下武将システムが、信長の野望シリーズでも本作から導入され、以後標準システムとなる。
    • 約400人以上の実在武将が全国各地の大名の元に配置される。
    • 大名だけでなく配下武将にも、「政治力」や「戦闘力」といったパラメータが付加されている。
      • 政治力と戦闘力の合計が150を超える者は「軍師」という扱いになり、月初めやコマンド実行時にヒントをくれる。
    • 各武将には「行動力」というパラメータが設定されており、規定値に達してさえいれば何度もコマンドを実行できる。
      • 行動力の回復は毎月武将の政治力の30%ずつなので、武将の政治力の高さが重要。
  • 「跡継ぎ」システムの導入
    • 担当大名が死亡しても「最低1ヶ国領地が残っている」「1人以上の家臣がいる」「担当大名の死亡が2回以内」の3つの条件を満たしていれば後継者を指名できゲームオーバーにならない。
  • 合戦パートの大幅変更
    • 籠城戦が導入された。
      • 前作『全国版』までの合戦の場は野戦扱いとなり、敵陣が劣勢に追い込まれたり自ら籠城コマンドを使用した場合は城に立て篭もる籠城戦へと切り替わる。
    • 時間の概念も導入。
      • 野戦は朝・昼・夜の3ターンで1日経過するように改められた。籠城戦はこれまでと同じ1日1ターン。
      • 夜になると自軍の隣接マスしか見られなくなる。移動中に敵部隊に遭遇した場合は奇襲を仕掛ける事ができ、極めて有利な戦果を得られる。ただし訓練度によっては返り討ちにされることもある。
  • 機動力の概念も導入。
    • 機動力の高さに応じて、一度に移動できるマスが変化する。兵科に応じて初期機動力は異なるが、その場に待機する事で貯めることができる。
  • 兵種の個性付けがより深くなった
    • 足軽・騎馬・鉄砲の3種類であるのは同じだが、武将毎に兵科が固定されている。また各兵科毎に固有の能力が付加された。
      • 足軽は籠城戦時に城壁に登れ、その場に隠れて隣接してきた敵を足止めしつつ大打撃を与える「伏兵」コマンドが使用可能になった。
      • 騎馬は機動力が高いが、籠城戦などでは侵入できない地形が多く機動性を発揮できなくなった。
      • 鉄砲は機動力が低いものの、攻撃力が高い。足軽同様に城壁に登ることも可能。
  • ターン数の変更
    • 前作までは1年4ターン(季節ごと1ターン)だったが、本作では1年12ターン(1月1ターン)になっている。月ごとに武将に対する俸禄払いや米の収穫などのイベントが決まっているので重要。
  • 「シナリオ」の導入
    • 前作は17ヵ国・全国50ヵ国の2つから選択できたが、今作では全国のみとなった代わりにシナリオ毎に年代や勢力図そのものが変わるようになった。
      • 収録されているシナリオは、大名家を少しずつ大勢力に成長させていくシナリオ1「群雄割拠」と、本能寺直前の状況で大半の領地が織田領となっているシナリオ2「信長の野望」の2本。
  • 全機種で、合戦場のマスが 六角 (ヘクス)構成から 四角 (スクエア)構成になった
    • 四角を一列ごとに半マスずらして配置されているため、システムや操作性は同じである。
      • FC全国版にて採用されていたものだが、それが逆輸入された。
  • ゲーム開始時に担当する大名の姓のみ変更可能になった

評価点

  • 配下武将や跡継ぎシステムの導入
    • 前作にあった、「大名の老死による不条理なゲームオーバー」がなくなった。
      • 制圧の進んだゲーム後半になるほど起こりやすく、プレイヤー側がどうにもできない仕様が跡継ぎにより回避できるようになった。
    • FC版以外では架空武将を登用できる。運がよければ、史実武将よりよっぽど優秀な人材を登用できることもある。
      • 後のシリーズ作では『嵐世記』の諸勢力、『蒼天録』の架空城主、『天道』の架空息子といったシステムが登場。新武将登録で登録した架空武将や架空姫を武将として元服させた場合も該当。
    • 軍師の存在により、コマンドの実行計画が立てやすくなった。
  • 籠城戦の追加
    • 攻撃側からは城の内部に自軍の武将か敵軍の内応者がいないと、城内の状況がまったく見えないので緊張感がある。
    • 城マップの複雑さ(城の堅固さ)は土地によって全く違う。史実でも堅固な城はマップが広大、かつ幾重にも城門を備えていることが多く、本丸までたどり着くのは一苦労。
    • シリーズ定番のイベント「本能寺の変」も、今作ではこの籠城戦を使ったものになっている。
  • 前作よりも更にグラフィックの書き込みが細かく綺麗になった。発売から20年以上経った今でも十分通用する。
    • オープニングに描かれた合戦の一枚絵は圧巻の一言。
    • 配下武将の登場により、全武将のグラフィックが用意された。有名武将以外は複数のパーツを組み合わせた汎用グラフィックであるが。
  • 高いクオリティのものが多く、印象に残るBGMの増加。
    • 初めて専用BGMが用意された。タイトルにもなっている織田家でのプレイ時には、内政時・戦争時共に専用の格好良い曲に変わる。
    • 前作に引き続き菅野よう子が作曲を担当。『天空のエスカフローネ』『カウボーイビバップ』などアニメ作品も数多く手掛けている。
    • 新曲の中には、後のシリーズ作でアレンジされて使われている物も多い。
  • シナリオによるプレイの多彩さ
    • 予めシナリオを用意する事で、それぞれに様々な目標のあるゲームが楽しめる。1から統一を始めても良し、既にある大きな勢力へと立ち向かうもその逆も良し。
    • シナリオ2の織田家は、他シリーズ作の同時期シナリオと比べても状況が良く、本能寺イベントも起こりにくい。織田家を選択してとりあえず統一してみたい初心者や、あえて他大名を選択し圧倒的戦力を誇る織田家に立ち向かう上級者へ向けたシナリオとも取れる。
      • ただし、織田家に関しては大勢力の常として膨大な領地の管理に悩まされる事となる。勢力はシナリオ中最大だが各領地はさほど裕福ではないので、領地や武将ごとの用途を決めて適切な行動を取る必要がある。
    • シナリオ毎で武将の能力値が別々に設定されており、兵種が変わっている武将もいる。
      • 特に、織田家重臣はシナリオ1でも優秀な能力だが、シナリオ2ではさらに大幅に成長しており、ただでさえ大勢力の織田家を更に強大なものにしている。

問題点

  • 前作から国数が大幅に減った。
    • 西端は周防長門国、東北端は上野国であり、九州・東北地方全域、下野・常陸・蝦夷国はゲームでは一切扱われない。
    • 容量の都合でやむを得なかったとされている。
  • 有名大名とマイナー大名の格差が大きくなった。
    • 軍師は能力値の条件のために大半が有名大名に所属しており*2、マイナー大名にはいない。
    • 『甲陽軍鑑』にて徳川家康、長宗我部元親と共に名高き武士と評された荻野(赤井)直正など、著名でない大名に仕える武将たちの能力値は総じて低く評価されており、攻略する上で辛い戦いを強いられる。
    • マイナー大名は武将以外の面でも低く評価されている。例えば上杉謙信が攻めるもなかなか城が落ちず疫病や家臣の寝返りにより漸く落城した七尾城が本作では極めて攻略しやすい城になっている。
  • よくも悪くも当時の歴史評で武将の能力値を査定しているため、今川氏真など後の作品と比べるとあからさまに能力値が低い武将がいる。
    • 大名と有名武将以外の能力値は、今現在の視点からすればかなり投げやりに設定されており、主力(大抵政治、戦闘共に60~90代キープ、織田家に仕えた主要家臣や有名な大名や武将がこれにあたる)、雑魚(政治、戦闘共に20~50程度、今作では大半の武将がこの範囲)の2極となりやすい。CPUは大抵、雑魚含む各武将に均等に兵力を配備するので、こちらは強力な武将に兵力を集中して攻め込めば比較的簡単に領地を奪い取れる。
      • 武将の能力選考基準が現在と違うおかげで、難易度が上がっている大名家があるので、一概に批判されるだけの問題でもなかったりする。史実では主家の再興に失敗したが全能力が60~90代と高能力の山中鹿之助(幸盛)や、後世に織田家を存続させた功績はあるのだが、戦国時代当時は独断で伊賀を攻撃して大敗し、父・信長に勘当するとまで言われ、安土城失火、小牧長久手での独断降伏など失策の多かった織田信雄、先代に及ばぬ人物として見られがちだが優秀な文武両道の徳川秀忠や毛利輝元、次作『武将風雲録』以降は武力だけがとりえの猪武将扱い*3だった武田勝頼、などが今作では主力として使える武将になっている。
  • COM勢力がカオスになりやすい。
    • 後作と違って有名大名への補正がないため、織田家や武田家はやたらと攻めた挙句に兵力疲弊を突かれて滅びやすい。
      • 特に武田家はシナリオ1だと軍師が最も多い大名であるため、「(武田家は)あれだけの軍師がいてなぜ滅ぶのか」と皮肉られることも。
    • 北条家の当主が長宗我部信親だったり、上杉家の当主が織田信雄だなんて事はザラ。仕方ないこととはいえ、興を削がれてしまうこともある。
      • 光栄作品にありがちな話だが、策略などはプレイヤーが行うと成功しにくいのにCOM大名だとやたらと成功しやすいのも一因。
    • COM大名は大名死亡時の跡継ぎ回数に制限がない。
      • 世代交代を抑えて長生きした家勝ちというシステムになっても困るので妥当とも言えるが、理不尽かつ不自然であり、ここはプレイヤーの交代回数制限をつけない方が良かったと考えられたため、以降の作品では跡継ぎ回数の制限は廃止された。
      • ちなみに、このゲームのリミットは西暦2000年1月までと長いが、普通のプレイでは仕様上そこまで辿りつけない。デモプレイでもたまに確認できる程度である。
  • 政治力の低い武将が非常に使いにくい。
    • 行動力の回復が政治力を基準としている為に、政治力が極めて重要なパラメータになっている。政治力の低い武将は大抵マイナー武将や猛将。
    • 大名や城主の行動力が一定量残っていないと、攻め込まれた際に無条件で敗北となってしまう。最悪どれだけ兵力が高かろうと行動力がなかったためにゲームオーバーになることもあり、最後まで行動力に留意したプレイが求められる。
  • 兵科が武将毎に固定されており、前作や後のシリーズ作のように兵科編成を行う事が出来ない。
    • 大名は一部を除いて騎馬隊の武将が多く、鉄砲で有名な信長でさえ鉄砲隊を率いられない。
    • 鉄砲隊は強力である反面、戦闘値の低い武将が多い傾向がありバランスがとられている。鈴木重秀(シナリオ1・84、シナリオ2・88)を除いては全て70代以下の武将である。
    • シナリオ毎に兵科が異なる武将の場合、使い勝手が一変する。シナリオ1では足軽隊だが、シナリオ2で騎馬隊になった武将は攻城戦で小回りが利かなくなるデメリットを押し付けられる。
      • 羽柴秀吉を例に挙げると、シナリオ1では高能力で軍師資格を有する信長の重臣(但し騎馬隊が殆ど)としては足軽隊に属する貴重な存在だったが、シナリオ2で失われた。
  • 城主以外の武将が謀反をおこすと、たとえ最前線であっても少数の兵士しか率いていなくても物資を半分持っていってしまう。

総評

前作まではシンプルな設計であった反面、どちらかと言えば「ボードゲームの延長」という立ち位置であった。
これに対して配下武将や合戦システムへの新要素を取り入れる事で、ようやく「ビデオゲーム」としての個性を打ち出す事ができた。
同時に後のシリーズの基本となる要素も数多くあり、更にシリーズとしての完成度を高められたと言えよう。

その他

  • 前述のように九州、東北などが登場しないため、基本的に島津家、伊達家などの武将は登場しない。
    • FC版に限り、史実での出奔事件を反映してか、1590年代に伊達家臣である伊達成実が浪人として登場。*4
  • 雅号である「幽斎」もしくは彼が謀反を起こす某小説から連想したのか、細川藤孝の顔グラフィックがかなり怖い。