テイルズ オブ ファンタジア -フルボイスエディション-
【ているず おぶ ふぁんたじあ ふるぼいすえでぃしょん】
ジャンル
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ロールプレイングゲーム (シリーズ内ジャンル名:伝説のRPG)
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対応機種
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プレイステーション・ポータブル
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メディア
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UMD 1枚
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発売元
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バンダイナムコゲームス
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開発元
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ナムコ・テイルズスタジオ Mine Loader Software
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発売日
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2006年9月7日
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定価
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4,800円(税別)
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プレイ人数
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1人
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セーブデータ
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320KB以上(1ファイルあたり)
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レーティング
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CERO:A(全年齢対象)
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廉価版
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PSP the Best:2007年8月9日/2,667円(税別)
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配信
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【PSP/PSV】2013年11月28日/1,714円(税別)
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判定
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劣化ゲー
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ポイント
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余計なことを中途半端にしたせいで劣化 謳い文句と実際の内容が異なる個所多し PS版からの流用だらけ 単体の作品としてはそれなり
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テイルズ オブ シリーズ関連作品リンク
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概要
テイルズ オブ シリーズの記念すべき第1作目、『テイルズ オブ ファンタジア』のPSPへの移植作品で移植・リメイクはPS版、GBA版に続き3回目となる。
SFC版ベースとしてPS版の要素や様々な追加要素があったGBA版と異なり、今回はPS版をベースとして様々な要素を追加した移植。
また、本作はタイトルの「フルボイスエディション」が示している通り、メインストーリーのフルボイス化、更にGBA版の追加要素も完全収録、戦闘時のキャラクターの3頭身化などを謳い文句にしていた。
フルボイス化はもちろんのこと、GBA版の要素の完全収録という点にも期待を寄せるファンも少なくなかった。
問題点
タイトルに偽りあり
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「フルボイスエディション」と言いながら、一部メインシナリオの台詞にボイスが無い点が散見される。
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一方で、サブイベントにもかかわらずボイスがあったりするなど、その基準もちぐはぐ。
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また条件を満たしてから特定の宿に泊まると再生されるはずのボイスが、イベントに関わらずその宿に泊まる度に再生されるなど、フラグ管理がいい加減な所もある。
謳い文句にも偽りあり
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3頭身化されたキャラクターグラフィックは他作品からの流用ではなく新規なのだが、パーティキャラクターと一部の敵だけという極めてお粗末な代物。ほとんどの敵はPS版の2頭身のグラフィックをそのまま引き延ばしただけという手抜きぶり。
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オープニングでダオスと対峙するエドワード・D・モリスン達、闘技場で乱入してくるリリス・エルロン、児雷也発動に失敗した時のすずなども2頭身のままになっている。3頭身のクレス達が2頭身のリリスのような人型の敵と戦う構図は違和感が非常に強烈。
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特に、エドワード達の戦闘シーンはスキップ不可のオープニングで最初に見せられるので、オープニングの時点で「キャラクターの3頭身化」がいきなり崩壊してしまっている。プレイした人の中には自分の目やソフトのバグを疑った人もいるのではないだろうか。
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更にモンスター図鑑で参照出来る敵グラフィックも、PS版のデータをそのまま流用したために3頭身化した敵も含め全グラフィックが2頭身のままである。
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3頭身化されたパーティキャラクターのグラフィックについても、一部からは「『なりダン2』や『なりダン3』の方が完成度が高い」と言われることもある。
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頭と手足が大きく描かれているためか、3頭身というより2.5頭身に見える。また、ドット絵の使用枚数がPS版と大差ないため、一部の動きがカクカクに見えてしまうことも。
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ただし、上記2作品と異なり本作では武器の持替えや盾装備によりグラフィックが変化するため、それを踏まえてのドット製作となると、単純比較は難しい面もある。ちなみにドット製作スタッフは同じである。
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キャラクター以外のグラフィック面でもPSPの解像度に合わせて最適化と謳っていたものの、全体的にただの引き延ばしか、元々の画面の一部分を切り抜いて無理矢理合わせているため、最適化とは言えないという意見が多い。
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「GBA版の要素を完全収録した」と言いつつ、実際に収録されているのは一部の称号関連のイベントと、イベント「ブラムバルドとアーシア」のみ。
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モーリア坑道奥のドワーフ遺跡やミゲールの町での剣術修行、クリア後要素の「Let's Go Arche」など、好評だった大半の要素が収録されていない。
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ミゲールの町の剣術修行が省かれたのは、PS版に存在しない敵を扱う為、PS版のモンスター図鑑を使い回すのに都合が悪かったからではないか、と推測されている。やや穿ちすぎに思えるが、他の要素にもPS版からの使いまわしが多い事がこの見方を強めている。
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収録されたイベントにしても、元々GBA版では「行くぞッ!」などのように語尾が「○○ッ!」となるテキストがやたらと使われる傾向があり、本作でもそのまま流用しているため他のシーンと比べるとテキストが浮いている。
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「ブラムバルドとアーシア」に至っては、シナリオ抜きでも不自然に見える演出が放置・追加されており、露骨な突貫工事ぶりがうかがえる。
グレードシステムの調整が雑
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このシステムはゲーム中の戦闘内容をポイント化して評価・蓄積し、その貯めたポイントを利用して2周目以降、様々なデータの引継ぎや特典を得られるというもので、『デスティニー2』から採用されている。
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引継ぎや特典の内容は多岐に渡っており、購入できる特典を全て購入した場合7,600ポイントが必要になる…のだが、1回の戦闘で平均して100ポイント前後、慣れてくると300ポイント超も稼げるなど、設定ミスを疑うレベルの供給過多になっている。
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そのせいで、普通に1周クリアするだけでも十万単位でポイントが貯まり、全ての引継ぎや特典を購入してもポイントがやたらと余ってしまう。他作品では本編中でも獲得したGRADEを様々なアイテムなどと引替えられる要素もあるが、本作にはそれもない。
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GRADE購入項目に『取得GRADEを上げる』というものがあるが、本作に於いては完全に死に項目と化している。
一部PS版からの変更点
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アルヴァニスタの都に向かう船内のイベントが一部変更され、それを受けてアーチェが取得出来る称号が「うわばみ」から「夢見る乙女」に変更されている。
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「17歳のアーチェが飲酒する描写がCERO規定における「飲酒・喫煙」に抵触し、レーティングが上がる恐れがあるから」という見方が一般的。
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GBA版の段階でも「意外とデリケート」という称号に差し替えられ、獲得方法も若干変更されていた。
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だが本作ではこの変更に引きずられてクレスがアーチェの飲酒を窘める内容のフェイスチャットも消滅してしまった。
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差し替えられた称号は何故かGBA版の物とも違う上に「夢見る乙女」に対して説明文が「夜更かししたいお年頃…らしい」といまいち噛み合わない内容になっている。そのため変更に取って付けた感が強い。
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チェスターの武器「エルヴンボウ」の入手・強化条件が、PS版とGBA版の悪いとこ取りになっている。
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PS版では容易に入手できる反面、強化のためのダンジョン攻略が困難であった。一方、GBA版では入手困難な代わりに、ダンジョン攻略なしで容易に強化できた。
だが本作では、GBA版の入手条件を兼ねた新イベント「ブラムバルドとアーシア」と、PS版の強化イベントが統合されている。
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GBA版の項目にある通り、「ブラムバルドとアーシア」のシナリオに強い拒絶反応を示すファンは少なくない。加えて、PS版の強化イベントは難度が高い。
それでも、後方支援として優秀なチェスターを強くするためには両方こなさなくてはならず、「何の嫌がらせか」と不満が相次いだ。
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エンディングの楽曲が変更されている。
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PS版では「星を空に…」(歌:吉田由香里)がエンディングテーマとして使用されていたのだが、本作ではなぜかこれが変更され、SFC版のBGMとも違った、ぽっと出の当たり障りのないBGMになってしまった。
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PS版のエンディングムービー自体が「星を空に…」が流れてこそ映える部分があり、そして曲単体で見ても非常に評価が高かったこともあって、この変更に関して不満の声が多い。
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本作のBGMは『クロスエディション』のエンディングでも使われているため、権利関係が変更理由にあるのではと言われる事もあるが、詳細は不明。
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なお、同じくPSPに移植された『エターニア』のエンディングでも、PS版では「eighteen」(歌:New Cinema 蜥蜴)が使用されていたが、PSP版ではオープニングテーマである「flying」(歌:GARNET CROW)のインストゥルメンタルバージョンに差し替えとなっており、同様に不満の声が聞かれる。
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戦闘中の敵の思考ルーチンの変更。
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PS版に比べると敵が攻撃的になった。恐らくPS版に対して「温すぎる」という意見がかなり多かった為の調整と思われる。
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代表例がノーム戦。PS版では彼らはプレイヤーが近づくと一定時間無敵状態で攻撃を行う習性があるが、逆にある程度の距離を保ったまま近づかなければ無害のため、術攻撃で完封するのが定石であった。しかし本作ではSFC版と同様、間合いとは無関係に攻撃を行うようになったため、PS版に慣れたプレイヤーは戦術の構築をし直す必要が出てきた。
ボイス周りの不備の数々
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グラフィック同様、基本的に使い回せる所は使い回す方針のようで、フェイスチャットは勿論のこと、戦闘中のボイスもごく一部を除いて使い回し、新録と言えるのは実質的にはメインストーリー上の台詞のみと言って差し支えない。
それ故かボイスの新緑と使い回しの混在に絡んで下記のような問題点を指摘する声も見られる。
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音量差
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新録のボイスは音量が大きく、逆に既存のボイスは音量が小さくなってしまっているため、同じ音量だとフェイスチャット(使い回し)は聞き取りづらく、メインシナリオ(新録)は喧しく聞こえてしまう。
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声優陣の声質変化
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使い回しの元になるPS版は本作より約10年前の作品なため、使い回しの音声に比べると新緑の音声が声優陣の加齢等の影響により全体的にややかすれて聞こえるようになっている。
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上級魔術「インディグネイション」の発音
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オープニングでエドワード・D・モリスンが放つなど、本作で強い印象を残すこの魔術は本来、表記こそ「インデグニション(以下:前者)」だが正しくは「インディグネイション(以下:後者)」である。
これは『ファンタジア』には術技名表記に8文字制限があるためで、勿論ボイスでは後者の発音をしていた。だが本作では、何故かアーチェのみ新録で前者の発音に差し替えられている。
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「そんな些細な事まで槍玉に挙げなくても…」と思うかもしれないが、本作のメインシナリオに深く関わる魔術だからこそ、余計な手を加えて欲しくなかったと考えるプレイヤーは多い。
しかも同様にボイス有りで放つエドワードや隠しボス・オーディーンは変わらず後者の発音なので、なおのことこの変更への不満が高まる結果に。
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新録である為上記の音量差や声質の問題があり、他の魔術関連のボイスから明らかに浮いている。
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当然ながら、PS版まではアーチェも後者の発音で、本作において彼女のみこの発音にする理由付けなどは存在しない。
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強いて可能性を挙げるなら、『ファンタジア』『デスティニー』の本編ドラマCDでは前者の発音だった為、これに合わせたという見方も出来なくはない。…だとしてもこの魔法の、アーチェの発音だけこの媒体に合わせる必要性は無いが。
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これらが全てが合わさるとその違和感は非常に強烈で、人によっては感情移入を阻害する要因にすらなりかねない。いっそ全部新録にした方が良かったのではないだろうか。
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その他、メインキャラクター以外のボイスにも問題点がある。
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老人のグラフィックに対し若者のボイスが使われたり、女剣士のグラフィックに対し男性のボイスが使われたりと、一部グラフィックと声が噛み合わない。モブキャラクターとはいえ適当すぎると批判された。
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また島田敏氏、稲田徹氏、結城比呂氏によるサブ・モブの兼任数がやけに多く、特徴的な声質と相まって非常に目立つ。
システム周り
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メニュー画面を開ける状態であればいつでもロードが出来る「どこでもロード」機能が追加されたが、中断セーブの類は一切出来ない。
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それどころか本作はプレイ中にソフトリセットが出来るため「どこでもロード」は完全な死に機能と化している。携帯機であることを考えれば、どこでも電源が切れる中断セーブこそ実装すべきだったのではないだろうか。
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中断セーブについては機能こそ無くとも(電池を少量消費するが)PSPのスリープ機能で疑似的に中断は可能なのでそれで問題ないのではという見方もある。
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その他、大元となったPS版に比べてボタン数が減少しているため、ターゲット切り替えなど一部操作がやりにくくなってしまった。
悪化はしていないが改善もされていない点
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現在のテイルズ オブ シリーズでは、秘奥義を除く術の発動中であってもキャラクターの操作が可能なシステムが主流となっている。だが『ファンタジア』では本作に至るまで、中級以上の術の発動中は操作が不能なシステムとなっている。
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システムがまだ確立していなかったSFC版・PS版や、スペックが足りないであろうGBA版は仕方ないとしても、本作はそれらの問題もないはずなのに操作不能なため、最近のシリーズ作品を踏まえるとどうしても古臭さや窮屈さが拭えない。その為「いつになったら術の発動の度に止まらなくなるんだ?」という批判意見を呼んだ。
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事実、同じくPSPに移植されたPS2やPSのテイルズ作品は多いが、場合によって多少の処理落ちこそ伴うものの、どの作品でも上級魔法が発動しても操作が止まる事は無い。
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逆に、術を使われた時点で行動が出来なくなる仕様により、「いかに相手に術を使わせないように立ち回るか」という最近のシリーズ作品では薄れている立ち回りを楽しめるという好意的な見方もあるにはある。
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この点に関しては『クロスエディション』で中途半端に解消される事となった。
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PS版からの変更点は前述の通りだが、逆に言えば「それ以外はほぼ同じ」という事である。
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戦闘以外のドット絵、3Dマップ、メッセージウィンドウやメニュー画面のデザイン、テキスト、BGM、SEに至るまでPS版からの流用となっている。
評価点
携帯ハードにおいて原典(PS版)に近く、かつ快適にプレイ出来る『ファンタジア』であること
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GBA版は戦闘周りやUIに難を抱えており、後の『クロスエディション』は戦闘バランスに大きな歪みが生じ、中途半端なオリジナルキャラクターを捻じ込んだ為にシナリオ面でも余計な中弛みや間接的にとはいえ矛盾が生じてしまっているため、その辺の問題を抱えていない点は評価出来る。
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一部の追加・変更要素以外は完成度の高いPS版をベースとしている為、新規プレイヤーであれば十分楽しめる。引き継ぎ要素の拡張(詳細は後述)により、2周目以降の遊び方が広がったのも大きい。
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更にPSVitaでプレイする際はロード時間が更に短縮されており、今現在『ファンアジア』をプレイするならば、このフルボイスエディションが最も手軽に、かつ快適にプレイ出来る作品である。
豪華声優陣によるフルボイス化
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メインキャラクターのうち、パーティメンバー6名およびモリスン一族はPS版からの続投となった。
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サブキャラクターについても、テイルズシリーズの例に漏れず豪華な面々となっている。
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ゲーム最序盤の現代編だけでも増谷康紀氏、西原久美子氏、速見圭氏、仲木隆司氏、根谷美智子氏、田中理恵氏、玄田哲章氏といったベテランで固められている。
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ミゲール、マリア、アミィ、ミラルド、リリスの5名はボイス付きのシーンが少ないが、きちんと『ファンダム』からの続投となっている。
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これらの豪華声優陣によりメインシナリオのテキストに彩りが添えられた事は、上記のボイス絡みの問題点を払拭してなお余りある本作最大の目玉要素であることは間違いない。
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新録ボイスはデフォルトのキャラクター名を想定しているため、パーティメンバーが互いの名前をボイス付きで呼ぶシーンが激増したことも魅力のひとつ。
引継ぎ要素の拡張
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グレードショップの実装により、図鑑2種だけでなくガルド、消費アイテム、術・技、称号、料理熟練度なども引き継げるようになった。また、最大HP・取得経験値・獲得ガルドを増減させることも可能。
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レベルや装備品を引き継ぐことはできないが、ミスティシンボルなどの高額な装飾品を最速で買い揃えたり、高速レベルアップやドーピングでごり押したりと、『強くてニューゲーム』感覚の周回プレイが実現した。逆に経験値半分や最大HP減少といった特典を購入しての更なる高難易度&低レベルプレイといった事も出来る。
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GRADEの過剰供給も、裏を返せば『他作品のようにGRADEを稼ぐ為だけに延々と寄り道的な稼ぎをせずとも全引き継ぎ・有利な特典を選んだ上で2周目を楽しめる』という手軽さともとれる。
重要アイテムや称号を獲得した時のジングルを飛ばして文章送りが出来るようになった
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重要アイテムを手に入れた時や称号を獲得するとその旨が表示されると同時にそれぞれ対応したジングルが流れるが、GBA版まではこれを飛ばすことが出来ず、ジングルが流れ終わるまで待たなければならなかったが、本作以降はジングルが流れていてもボタンを押すことで文章送りが出来るようになったことで、待たされるストレスは軽減された。
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ただし、曲の切替えの読み込みがあるため短時間ながら無音になってしまう事と、元々のジングルが余程急いていなければ気にならないレベルのものであることは付記しておく。
総評
問題点は多いものの、それらのほとんどは致命的なものではなく、あくまでこれまでの『ファンタジア』と比較したからこそ目につく点である。
そのため単体では十分に遊べる内容となっており、新規プレイヤーからは一部ビジュアル面除けばまずまずの評価を得ている。
しかし、その見方を支える要因の大半は流用元であるPS版のものであり、肝心の本作オリジナル要素の大半が中途半端だったり蛇足だったりと大いに足を引っ張り、旧来ファンの心証を大きく損ねてしまった。
作品全体を通してPS版の使い回しと本作新規の部分が至る所で無節操に混在しており、それらとの兼ね合いをさほど意識せず強引な突貫工事の如く制作されているというのは大きな問題であろう。
また、GBA版で好評だった要素を悉く差し置いておきながら、否定意見が多かったはずの「ブラムバルドとアーシア」だけはしっかりと収録した姿勢に対しても批判が多く、「中途半端な追加や改変をした事で質が落ちてしまった移植」と見ることも出来る。
更に本作発売から数ヶ月後に(当時)発売予定となっていたPS2版『デスティニー』が根幹からフルリメイクされることも明らかにされていたために、余計に本作に対する『ファンタジア』ファンからの反発を強める一因になってしまっている。
仮に『デスティニー』のようなフルリメイクでなくとも、これらの追加要素を手抜きや偽り無く全て収録する、ボイスを全て新録にする、本作新規のところは流用に頼らずちゃんと独自に作りきる…等丁寧に製作していれば、マンネリ感こそあれど「携帯機で手堅く進化したPS版ファンタジアが出来る」として、旧来ファンからも一定の評価がされていただろう。
とはいえ、冒頭にも書いたように流用におけるバグや不具合といったものが殆ど無く、単体の作品としては悪くはない。携帯機でどこでもフルボイス化し2周目以降も存分に楽しめるPS版の『ファンタジア』が出来るというアドバンテージは無視出来ないだろう。
値段もかなり下がっているので、『ファンタジア』未プレイの人は、一度手に取ってみる価値は充分にある。
余談
予約特典について
本作の
予約特典
である「ドラマチックDVD -アップルグミ篇-」内のドラマにおいて、『アビス』の登場キャラクターであるジェイド・カーティスにクレスおよび『ファンタジア』の戦闘システムそのものを一方的に馬鹿にされている内容が含まれており、一部『ファンタジア』ファンからは「何が悲しくて予約までして買った作品を馬鹿にされなきゃいけないのか」「いくらスタッフが『アビス』(もしくはジェイド)が好きだからって、別作品の予約特典を踏み台に使うな」といった強い不満の声が出ている。
それ以外にもこの段階からキャラクター崩壊のきらいもあり、後々のシリーズクロスオーバーや予約特典における一部作品を除いたシリーズキャラクターのキャラクター崩壊に関しての大惨事の予兆も既に見受けられた。
これ以降の上記媒体に見られる、やりすぎなキャラクター崩壊もなるべくしてなったとも言えるだろう。
ダオスの声について
GBA版まではダオスは故・塩沢兼人氏が演じていたが、本作でのフルボイス化に伴い、OVAでダオスを演じた森川智之氏に変更された。
塩沢氏とは声質の違う声優への変更になったため、印象も大きく変わっている。
過去の流用とはいえ長年ゲームでは変えられていなかった声が変更された事もあって、旧来のファンからは残念に思う声も多かった。
念の為に書いておくが、森川氏が演じるダオスにも新たなファンが付く等、その演技自体は評価されている。
移植
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iOS版(2013年9月24日から2014年5月29日まで配信)
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基本プレイ無料でアイテム課金という方式を取っており、課金せずともそれなりのスキルがあれば一応はエンディングまで到達する事も出来る。
しかし、実際には操作性に難があったり、ダンジョンのボス戦直前のセーブポイントに限って削除されていたり、敵の能力値が全体的に大きく強化されていたりと事実上課金前提のバランス調整がなされた事もあって評価は低い。
現在は配信終了しており、また、プレイする際もサーバーとの通信が必要となる仕様となっているため、現在ではプレイ自体が不可能となっている。
最終更新:2024年03月24日 12:52