アークザラッド
【あーくざらっど】
| ジャンル | シミュレーションRPG |  
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| 対応機種 | プレイステーション | 
| 発売元 | ソニー・コンピュータエンタテインメント | 
| 開発元 | ジークラフト | 
| 発売日 | 1995年6月30日 | 
| 定価 | 6,090円 | 
| 廉価版 | PlayStation the Best:1996年7月12日/2,940円 PS one Books:2001年10月12日/1,890円
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| 配信 | ゲームアーカイブス:2006年11月22日/600円 | 
| レーティング | CERO:A(全年齢対象) ※ゲームアーカイブスで付与されたレーティング
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| 判定 | なし | 
| ポイント | 事実上、
IIのプロローグ これ単品では決して良作扱いになれない
 新規にプレイするなら『II』とセット必須
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| アークザラッドシリーズ | 
| PlayStation Studios作品 | 
 
概要
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本体発売から数ヵ月後というPS黎明期の作品。架空の世界を舞台にした王道ファンタジー。
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『アークザラッドII』のプロローグ的なゲームである。
特徴・評価点
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戦闘システム
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フィールドがマス・各キャラクターが駒となり、一人一人行動を決めながら進めていくオーソドックスなSRPG。行動順は素早さで決まる。「フリーバトルエリア」を利用した稼ぎができるために全体的に易しい。
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側面・背面から攻撃すると攻撃をヒットさせやすく、反撃も受けにくい。逆に正面だと回避されやすく、反撃も受けやすくなる。これによりキャラの背面・距離・地形を意識した戦闘が必要になる。
 
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【光と音のRPG】
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本作のキャッチコピーは『光(演出・エフェクト)と音(SE・BGM)のRPG』なのだが、その名に恥じない秀逸な演出やサウンドを誇っている。
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OPやED、ストーリー中に流れるムービーは、PS最初期とは思えないほどクオリティが高く、(ぶつ切りだが)良質なストーリー・演出と相まって物語を盛り上げてくれる。
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これは戦闘にも言える事で、各キャラのドットグラフィックも丁寧に作られている。特殊能力(技や魔法)のエフェクトも迫力がある。
 
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BGMは、後に名作『グランツーリスモ』を手掛ける安藤まさひろ氏が担当しており、捨てる曲がないほどの名曲揃い。その評価は非常に高く、ほぼ全ての曲が次回作にそのまま使われたほどである。
 
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魅力あるキャラクター達
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各キャラクターは戦闘面・ストーリー面の両方で個性あるものに仕上がっており、実力派声優を起用した音声と相まって盛り上げてくれる。
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小さなキャラながらも細かな動きが多く、戦闘以外でもコミカルな動きを披露してくれる。
 
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ストーリーは好評。
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細かな隠し要素が豊富である。
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同時に倒した敵がまとめて消える。
賛否両論点
やりこみ要素
闘技場も遺跡ダンジョンもボリュームはあるが単調な作業になりやすい。
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勝ち数次第で商品をもらえる闘技場はテンポが悪い。
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一回終わるたびにファンファーレと戦果報告画面、その後主人公たちが闘技場に入場して受付前で立ち止まる流れの繰り返しがある為、1戦1戦に時間がかかる。
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こんな形式なのに、最終目標は1000勝である。やりこみ要素でしかないとはいえ、ここまで用意するくらいならもう少しテンポは良くしてほしかった。
 
 
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隠しキャラも仲間になる遺跡ダンジョンは地下50階まである上、イベント後にまた昇りなおす必要がある。
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ショートカットはない為地道に行くしかなく、道が狭い為に一々敵を倒さなければ先に進めないフロアが多いので、適当にあしらいながら先を急ぐことも難しい。
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さらに戦闘中のセーブや中断が出来ないため、遺跡ダンジョンは一気にクリアする必要があるが、PlayStationクラシックでは中断可能になっているので安心して出来る。
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ゲームアーカイブス版なら本体のスリープ機能を用いることで疑似的な中断が可能なので、PSPかPSV環境なら多少遊びやすくはなった。
 
 
その他
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各キャラがレベルに応じて特殊能力(攻撃・回復・強化などの技)を習得・強化していくが、特技がランクアップすると低ランクは自動的に消滅する。
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射程や中心地点からの効果範囲が広がるので使い勝手はよくなるのだが、それに伴って消費MPも増大しているため一長一短。
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『II』ではランクアップしても低ランクは消滅せず、高ランクと切り替えで使えるようになった。
 
 
問題点
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ボリュームの薄さ
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ストーリーが盛り上がりかけたところで唐突に終わってしまう。
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おまけ要素の隠しダンジョンもあるとはいえ、それ抜きにストーリー上でのクリアだけを目指すなら非常にボリュームが少ない。
 
 
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自由度が少ない
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戦闘フィールドと同様の移動マップを自由に動ける街なども一部にはあるが、ほとんどは地図マップとイベントと戦闘フィールドで構成される。その為世界や人々と触れ合える機会が少ない。
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ストーリー内では世界のうち計6つの国を移動することになるが、1つの国につき数か所しか行けるところがない。
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お金の概念や入手アイテムの交換等が無い点も閉塞感(≒作業感)を増している。
 
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戦闘バランスは良いとは言えない
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部分的にきつい部分もあるものの戦闘バランスは基本的にヌルゲーである
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特にラスボスは全RPG中でもトップクラスの弱さで、大抵育っているであろう主人公の攻撃特殊能力一撃二撃で瞬殺してしまうほどである。
 
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他にも召喚獣・フウジンとライジンの二体が敵をはさむと使用可能になる合体技「風雷波」のダメージはほとんどの敵が即死する強さ。
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一方、普段のストーリーは次の段階に進んだ時に敵達が一気に強化されたりするので、レベル上げが必要になる場面もある。
 
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不便なUIの数々
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仲間にいるキャラは全員出撃という仕様なので毎回全員を動かさないといけない。
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特に前述の遺跡ダンジョンはただでさえ面倒なのに、わざわざ全員操作しなければならない。
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少数だけを移動させることにしても他の仲間は×で行動終了させなければならない。手間がかかる。
 
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一度戦闘になると逃げることができない。
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飛行艇に乗る時のやり取りが避けられない。
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強制時も自由移動時もあわせて結構な回数発生するので面倒。
 
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敵味方が使う魔法や技のムービーがカットできない。
 
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バグ・不具合
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モンスター図鑑が埋まらない。
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No.62にあたるモンスターは没データで出現しない。
 
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アイテム増殖可能なバグがある。
 
総評
本作はあくまで続編である『II』とセットで語られる事が多く、このゲーム単品で見れば完成しているとは言い難い。
とはいえ、『光と音のRPG』として売り出しただけの事はあり、発売当初のPSソフトの中では秀逸な出来。
完結編と言える評価の高い『II』が発売された事によって、合わせて本作の評価も上がったと言える。
後にケータイ各キャリアにて本作の移植版が配信されている。
次回作への引継ぎについて
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本作のキャラクターデータや入手アイテム、隠しキャラの加入等は次回作である『II』へ引継ぎが出来る。
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この点もある為、本作は『II』とセットで評価される事が多い。
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如何に最適な引継ぎデータを作るかという点にやりこみ要素を見出したプレイヤーも多く、アイテムの取捨選択やレベルアップ状態等の吟味が行われた。
 
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本作単体では良作たり得ないが、システムが洗練されディスク一杯のボリュームを誇る続編にデータを引き継ぐことができる。いわばこのゲームのストーリーは序章であり、本作のプレイは『II』という本編でのキャラの能力とアイテム(+ちょこのイベント)を左右する為に行われる下準備ともいえる。
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ゲームシステムはそれなりに完成されているが、本篇があまりにも短いこのゲームが一作品扱いで世に送り出されたことは当初は評価されず、『II』を前提とすることで見直される。
 
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後年、トークイベントにてプロデューサーの赤川良二氏から本作がこのような構成になった理由について語られている。
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元々『1』と『2』は一本のソフトとして開発されていたが、開発の遅れと、なんとしてもPS発売から半年以内に出したいという流れから、完成している部分までを切り取って急遽『1』として発売した、という経緯があったとの事である。
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当時インターネットが普及していないにもかかわらず「短い」「ダメだ」と相当言われたらしく、その悔しさから『2』を破格のボリュームにしたと言う。
 
最終更新:2024年11月18日 06:02