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バツ&テリー 魔境の鉄人レース
【ばつあんどてりーまきょうのてつじんれーす】
ジャンル
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アクション
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対応機種
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ファミリーコンピュータ
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メディア
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1Mbit+64kRAMROMカートリッジ
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発売元
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ユース
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発売日
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1987年7月22日
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定価
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5,300円(税別)
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判定
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クソゲー
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ポイント
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原作改悪 ゲーム自体も低クオリティ メーカーの自画自賛 そもそもレース要素ほぼゼロ
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少年マガジンシリーズリンク
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概要
大島やすいちによる野球を題材とした少年漫画「バツ&テリー」のゲーム化作品。
喧嘩に強く女が好きな野球部所属のハチャメチャ高校生コンビがひょんなことから暴走族との抗争に巻き込まれていくという異色の作風だが、原作からの乖離ぶりによってクソゲ~となってしまった。
特徴
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Aボタンでジャンプ、Bボタンで攻撃、Bボタンを押しながら移動でダッシュという横スクロールアクションではいたって王道の操作。バツはボール、テリーはバットで攻撃する。
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バツは斜め上、または斜め下にボールを投げ分けることができる(なぜかまっすぐには投げられない)。ボールは地形に当たると反射する性質を持つ。
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テリーのバットは敵の放つ弾を打ち返すことができる。また、パワーアップ時の攻撃力の伸びはボールよりバットのほうが高い。
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射程の短いバットはボールと比べて使いづらく、テリーの出番はバツが倒された時の補欠になりがち。いちおうバットでしか倒せない敵もいるが、数えるくらいしか出てこない。
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但し、ボス敵であるドラゴンは吐いてくる弾をテリーのバットで打ち返して倒すという戦法が非常に有効であるため、そういった面でのテリーの出番はある。
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バツ&テリーの体力は画面左にボールorバットで表示される。敵を倒せば1つ増えるので容易に回復でき、5つまでストック可能。最初は体力1の状態から始まるので、ミス後の立て直しにやや手間がかかる。
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バツ&テリーのどちらかの体力がゼロになるともう片方に交代する。残った片方も倒されると1ミス。
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穴に落ちた場合は片方が生き残っていても1ミスになる。
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ジャンプ中にセレクトボタンを押すと、バツorテリーのもう片方と交代できる。
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なぜジャンプする必要があるのかは不明。少なくともゲーム性にはまったく貢献しておらず、謎仕様としか言えない。
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交代時はバツorテリーの姿がまばゆい光に包まれ、一瞬にしてもう片方と入れ替わる。ちなみに説明書ではこの操作を「変身」と記載している。変身していたのか!?
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ステージの制限時間を越えた時も1ミスする。本作のレースっぽい要素はこれくらいである。
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タイトルに「鉄人レース(トライアスロン)」とあるが、そもそもゲーム中でバツたちが泳いだり自転車に乗ったりする場面は無い。
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他に出走者はいないため、当然レースゲームやスポーツゲームのような駆け引きは皆無。
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6つのワールドにそれぞれ4つのステージ、計24面を攻略する。
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ステージは大きく分けて7種類。さびれた湾岸倉庫風の「TIME RACE」、原始人や類人猿が闊歩する竹林「BAMBOO GROOVE」、地下下水道のような「DIM BASE」、歩くガイコツがうろつく「DARKNESS CAVE」、縦スクロールのアスレチック面「ROCKY MOUNTAIN」、青い空と白い雲と練り歩く不良の違和感がすさまじい空中面「DEADRY CLOUD」、無数の怪魚が待ち受ける水没した遺跡「DEATH RUINS」と、それなりにバラエティに富んでいるが、同種のステージで同じような構造が使いまわされているため、先の面に進んでもあまり新鮮味が無い。
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地下面や空の上の面があったり、ステージによってはゴール近くにブロックが詰まれた階段があったりと、『スーパーマリオブラザーズ』を意識しているようにも思える。
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ステージ内のブロックには、攻撃や頭突きで壊せるものがある。時々「ハート」や「POW」などのアイテムがブロックから出てくることもある。
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ハートは100個集めると残機が1つ増えるのだが、全体的に数が少なく、クリアまでに1回でも1UPできれば御の字。
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POWを取るとボールやバットの色が変わり、それぞれ3段階にパワーアップさせることが可能。ボールは2段階目で連射力がアップし、3段階目で攻撃力倍増&相手の弾を反射可能になる。バットは2段階目で攻撃力が倍増し、3段階目でさらに倍増する。
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ただPOW自体も数が少なく、ボス以外の敵に苦戦することはあまり無いため、イマイチ効果を実感できない。
問題点
ゲーム内容
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概要で述べた通り、原作との関連性がほとんど無い。原作は野球漫画に恋愛、暴走族や不良との抗争なども交えた学園青春ものであり、この鉄人レースで挑むことになる死の廃墟だの闇の岩窟だのといったファンタジーな冒険要素は皆無である。
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当然ながらドラゴン軍団なんてものは原作に出てこないうえ、こいつらがどんな組織だったのかはゲームをクリアしてもさっぱりわからない。各ワールドの最終面に出てくるボスは本物の龍である。
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最終ボスは主人公たちの2倍の背丈を誇る学ラン姿の巨漢だが、こいつがドラゴン軍団の親玉がどうかは不明。レース完走後にのこのこと登場するうえ、たいして強くない。
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ゲーム化の際にオリジナルの舞台や敵を用意するのはよくあることだが、いくらなんでも嚙み合わせが悪すぎる。
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当時の水準を考慮してもチープなグラフィック。
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背景と足場・障害物の区別がつきにくい。マップによっては転落死する穴すら見分けにくい。
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敵もバツ&テリーの腰より車高が低い超シャコタン改造車、微動だにしない硬直姿勢で迫ってくるウィリーバイクなど違和感のあるものが大半。
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原作キャラクターの雷恩寺、ブラッキー、アヤ、東堂、関口、菱川、日向が道中のザコ敵として登場するのだが、このグラフィックではどれが誰やらまるで見分けがつかない。
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そもそも主人公がバツ&テリーに見えない。よく見ればテリーはトレードマークの眼鏡をちゃんとかけているのだが、まったく似ていない。バツの投球モーションも、テリーが(片手で)バットを振るう姿も、野球のそれとはかけ離れ過ぎている。
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2人とも学ランを着ているのだが、なぜか二の腕はむき出しである。バツもテリーもそこまでワイルドな服装はしていなかったと思うが…。
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ちなみに体力が尽きて倒されると、バツもテリーも爆発四散する。
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体力の回復が容易なこともあり、難易度はそこまで高くはないのだが、序盤から足場が狭く穴も多いため、ジャンプ制御に慣れるまでは転落死しやすい。慣れれば慣れたで、同じような構成のステージばかりで退屈になる。
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一応裏技として「タイトル画面でAボタンとスタートでコンティニュー」があるが、ググっても引っかからないほど知られていない。
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ステージの上下の端がつながっているらしく、穴が空いている場所の真上で画面外にジャンプすると、穴からプレイヤーキャラクターが飛び出すバグがある。当然、そのまま穴に落ちると落下死する。
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スコアのたぐいは無く、ハイスコアを狙うような楽しみかたもできない。
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BGMは、旋律は悪くはないのだが音源の使い方がチープなせいで耳障りに聴こえる。クソゲーにありがちな「BGMだけは良い」という評価もしづらい。
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再現性の低い「バツ&テリー」のロゴと共に謎の海岸と船が映り、呑気なBGMが流れるタイトルの脱力感はひとしお。
愛の戦士 バツ&テリー
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最終ボスを倒すと、ここでようやくバツとテリーと白木アン(ヒロイン)の顔画像が出てくる。
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一応ネタバレ回避
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メッセージがカタカナで読みにくいが「ドラゴン軍団の挑戦に勝利して海峰高校を救ったバツ&テリー。しかしドラゴン軍団の新たな挑戦やまた別の敵が海峰の平和を脅かすかもしれない」という主旨の、妙に堅苦しい文章のあと「タタカエ! アイノセンシ バツ&テリー」と出てくる。何だ愛の戦士って。
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確かに、原作には「愛の戦士抜刀軍ただいま参上!」と言うセリフはあるのだが……
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余談だがコナミ『愛戦士ニコル』の発売は1987年4月24日。開発者はこのゲームも意識していたのかどうかは知らない。
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評価点
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「バットとボールを使って敵を倒す」という所は確かに野球である。
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『CITY ADVENTURE タッチ』だとボールしか使わなかったのに……
総評
しょぼいグラフィック、退屈なゲーム性とシンプルに出来が悪い。世界観もあまりに原作とかけ離れすぎていて、バカゲーに片足を突っ込んでいるほど意味不明な代物。原作付き版権ゲームの中でも最低クラスの残念な1本と言える。
余談
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KONAMI『サンデー×マガジン 熱闘! ドリームナイン』(DS)で、この2人は本職のバッテリーで出演している。
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「ユースノゲームハオモシロイ」というCMは結構な回数流れたため記憶している人も多いと思われる。
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ただ『明治維新』『百鬼夜行』の例もあり、グラフィックの質は他社に比べて著しく低く、ゲーム画面を見る機会があれば絶対に手を出すことのないメーカーだとは思うが。
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その一方で、『海戦ゲーム NAVY BLUE』シリーズや、移植とはいえPS版『ストライダー飛竜』を手がけるなど、一概にはクソゲーばかりではないメーカーではある。ちなみに、これを手がけたのは、TADコーポレーションから移籍してきた西澤孝と佐久間明である。
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なお、ユースはXUSE(ザウス)と名前を変えて、アダルトゲームの製作へと活動の場を移したが、2021年に廃業となった。
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パッケージ裏にはストーリーが書かれているが、最後に「実はそれはとんでもないレースともしらずに…」とも書かれている。
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パッケージには仰々しく「これが噂のユース・ファミコン第2弾!」などと広告と同じ文面が記述されているが、実はこれには理由があってこのパッケージ絵に書かれているヒロイン(白木アン)はなぜかオッパイが丸出しなのである。原画に手を加えるわけにもいかないと判断しこのような文面をかぶせているのである。
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ちなみにこの絵はこのファミコンのための書き下ろしである。大島先生は何を考えてこのような絵を描かれたのだろうか…。
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アンはエンディングにしか出てこないが、パッケージで目立つわりにゲーム内で影も形も見当たらない桐島(白バイの警官)に比べれば扱いはマシである。
最終更新:2023年10月10日 08:07