大奥記

【おおおくき】

ジャンル アドベンチャー
対応機種 プレイステーション2
発売元 グローバル・A・エンタテインメント
開発元 ダフト
発売日 2008年6月5日
定価 6,090円(税込)
判定 クソゲー
ポイント 2008年クソゲーオブザイヤー据え置き機部門次点
ファミ通クロスレビュー13点
度重なる発売延期でブームに乗り遅れた誰得ゲーム
しょぼいグラフィック、ぎこちない動き
「デマ」「アリバイ」…現代ですかここは?
これkら」等の誤字
頻繁で長いロード、無駄に多い空き部屋
開発元がリアル申し開き
ストレスゲーだがシナリオの大筋は面白い
KOTY関連作品一覧


概要

  • 大奥を題材としたゲーム。情報収集や証拠集めを行う探索パートと悪役を追い詰める申し開きパートを繰り返し、身に降りかかる事件・陰謀を解決して出世することが目的。
  • プロデューサーは悪代官シリーズのAndy山本。変な(褒め言葉)ゲームの数々を手掛けてきた氏の作品には珍しく、正当派のリアル路線となっているが…

ストーリー

  • 幕府の不興を蒙り切腹となった小椋修康の一子「時子」。美しく成長した主人公「時子」は女の幸せを捨て、復讐を果たすべく大奥へ出仕。
  • 密告・裏切りが横行する大奥。時には己の身にも降りかかる。己の潔白を証明し、地位を確立していくのが目的。
  • 大奥の女中と会話、覗き見・聞き耳し証拠を集める。時子は復讐を果たす事が出来るのか?

問題点

  • 証拠を集めるためには、無数の無人部屋を回る必要がある
    • 出入りの度にロードが出る上に、フリーズしたかと疑うほど長い
    • 証拠獲得条件も厳しい。偶数・奇数日で配置の違う女中達の証言を規定期間内に得る必要がある。登場人物はしょっちゅう移動する為、目的の人物を見つけるのが困難
    • ヒントもあってないようなもので総当たりになりがち。ロードの長さも相まって苦痛。
    • エリア切り替えの度に見張りに話しかける必要があるが、立ち位置の判定がおかしい。一歩引いた位置でないと反応せず、微調整が面倒である。
  • 移動モーションが余りにもお粗末。
    • 一応すり足のつもりなのだろうが、足先以外ろくに動かないせいでホバリングにしか見えない。また、良く見ると頭が左右に揺れており不気味。おまけにダッシュしても姿勢が変わらず、付いたあだ名は「おドム」「MS-09 TOKIKO」。
    • 足音もすり足にしては大きく、ダッシュすると『ドスドスドス』とリズム良く鳴る。
  • グラフィックにも難あり。
    • 部屋を出入りする際に障子が自動ドアの如く開閉する*1、床に映った障子が常に閉まっている(実物の動きと連動していない)、一部の部屋において畳が妙に大きかったり障子の格納スペースが無い(開く際に柱を貫通する)など、一目で分かるような粗が多い。
    • また、主人公を部屋「長局七」の机へ移動させると貫通する。当たり判定を付け忘れたようだ。
    • 登場人物がやけに多く、主人公を含め35人もの女中がいるのだが、主人公以外は人面魚のようなのっぺり顔ばかり。瞬き・口パク・表情変化なども一切なく、誰が誰だか分かりにくい上に不気味。
  • これkら」という、明らかにタイピングミスだと思われる誤字がある。これ以外にも漢字の間違い等、とにかく誤字が目立つ。
  • ゲーム開始直後にチュートリアル的な会話があるのだが、和調のBGMが流れる和室で女中が「【左スティック】を動かす」「近づいて○ボタン」などと言うため、出だしから興を削がれる。
  • 時代考証が不十分すぎる。
    • 物語当初、御台所と側室は出身地の京に帰っている。本来、お手付きとなった女性は城から出られない。
    • 主人公や周囲の女性たちの言葉遣いが「してみちゃう」「やばい」「アッタマきた」などと現代的で、「デマ」「アリバイ」といった単語まで飛び出す。前述の誤字もそうだが、雰囲気台無しである。
    • 他にも「*ピクッ*(原文ママ)」「バカバカバカバカッ!」「待てい、小娘ッ!!」「ブッ飛ばしていくわよぉー!!」など、もはやギャグにしか見えないものすらある。
  • シナリオの大筋はなかなか面白いのだが、「主人公が毎月のように濡れ衣を着せられつつスピード出世」「悪事を暴かれた者の大半が謹慎などの軽い刑で済む*2」といった無理やりな部分も目立つ。
    • 1年という短いシナリオの弊害なのか、誰も彼もが主人公を裏切っていく。終盤ともなれば、主人公に対して潔白なキャラは数名しか残らない。
  • シナリオ分岐は「5ヶ月目に存在する、失敗するとバッドエンド直行の分岐」と「最終月に存在する、3つのEDのどれになるか選択される分岐」の2つだけ。
  • 効果音が全体的に派手で、台詞送りやメニュー選択のひとつひとつに「キキン」「ジャキン」などと拍子木のような鋭い音が入る。盛り上げるべき申し開きパートはともかく、落ち着いたBGMの会話場面でも同様なので少々うっとうしい。
  • 登場人物に話しかけるとたまにボイスが流れるが、台詞通りではなく「時子様、ご機嫌麗しゅうございます」「何か?」といった短いもの。それらを無理やり使い回した結果、語気すら一致しないケースが多々ある。
    • また、女中「お瑠璃」と「おみさ」のボイスが使い回し。

評価点

  • 申し開きパートは、月を追うごとに盛り上がりつつ難易度も上昇していくので、それなりにやりごたえがある。特に10月・11月の申し開きパートはかなり完成度が高い。
    • 証拠不十分な状況で推理を連鎖させて立ち向かう回や、逆に 最初から半ば戦意喪失している相手を充実した証拠で公開処刑する 回など一風変わった戦いもあり、申し開きパートに限って言えばなかなかプレイヤーを飽きさせない構成になっている。
    • ただ最初の4月分が(チュートリアルにしても)流石に単調な構成で、それが悪評として広まってしまった部分がある。
  • 移動中のの動きだけは「2年も時間をかけたのはこの為か」と言われる程にリアルである。
  • 主人公「時子」の声優は瑞沢渓氏。本作でボイスが流れるシーンは少ないが、どことなく艶やかな演技が素晴らしい。水風呂に驚く声は特にエロい。
  • 種類は少ないものの、和調のBGMは神曲との呼び声高い(特に申し開きBGM)。
  • シナリオの大筋は(突っ込みどころも多いが)秀逸との評判。
    • お約束のいじめや陥れから幕府の闇まで取り揃え、徐々に謎が明らかになるシナリオは実に壮大である。
  • たまに思い出したかのようにボイスや一枚絵が入る…が、この一枚絵、怖いシーンばっかりである。特に女中「茜」のものは必見。

総評

大奥版「逆転裁判」とでも言うような申し開きパートに関しては、意外にも完成度はなかなか高い。 さらに時代劇ファンにはたまらないシナリオ、BGMの評価の高さなど、光る点は決して少なくない。

だが、証拠集めパートの単調さと、その面倒さを助長するロードの長さ、さらには全体的に漂うチープさは如何ともしがたく、そうした評価点も台無しになってしまっている。 全く褒められる点が無いわけではないが、残念ながら 「ドラマに便乗したクソゲー」 と切り捨てられても仕方のない作品と言えるだろう。


余談

  • 度重なる発売延期。当初は2006年9月14日 → 2008年6月5日。計1年9ヶ月
    • 開発会社であるダフトの公式サイトでは、「プログラム以外には一切関わっていない」との声明が出され、この様は「リアル申し開き」などと言われた。もっとも、そのプログラムにも問題はあるのだが
      • 声明後しばらくしたのちダフトのホームページにアクセス出来なくなった。現在消息不明となっている。会社に何かあったのだろうか?
  • とあるやる夫作品にて本作のプロデューサーに取材が行われ、さらにスレに本人が降臨、開発の裏事情などが明かされたのだが…
    • 正直かなりやばい、そして貴重な内容である。詳しくはココ。本人降臨の様子はココで。
      • ゲーム業界の裏事情、クソゲーが生まれてしまう経緯などが生々しく書かれているので、『大奥記』に興味がない人も、ゲーム業界を志す人は特に必見。
        とはいえ、コメント欄でも指摘されているように、実情と照らし合わせると明らかに誤った、おかしな部分も多い。嘘…というよりは「この開発者の視点からはそう見えた」という程度の話、鵜呑みにせず軽く参考にするぐらいが良いだろう。
      • ネタとしてだとは思うが若干ゲハ臭い部分もあるため苦手な人は注意。
  • 本作は、当時放送していたドラマ『大奥』ブームに便乗した企画であったと思われる。
    • ドラマブームに乗ろう→間に合わなかったから映画『大奥』の公開に合わせよう→駄目だった…→「PS2も末期だし発売しちゃえ*3」、こんなノリだと思われる。
    • 要するにブームに乗りかかるつもりだったのが、延期しすぎて時期を逃してしまったわけである。版権ゲームにありがちな顛末である。
  • タイトルロゴが大「」記に見えると言われる事もある。
  • 通称「OOK」「大奥」。2008年KOTY七英雄の一つ。ファミ通クロスレビューで1996年8月の『デスクリムゾン』(SS/エコール)に並ぶ3/3/4/3の計13点の低得点を叩きだしたことで話題になった。
    • ファミ通クロスレビューで同じ総合13点を記録した事で『デスクリムゾン』がしばしば引き合いに出されるが、『デスクリムゾン』と本作の間には他にも13点を記録したソフトが存在する。例を挙げると『THE MASTERS FIGHTER』(PS/1997年11月/シネマサプライ)、『バトルマスター』(PS/1998年1月/たき工房)、『サッカーやろう! ~チャレンジ・ザ・ワールド~』(WS/1999年8月/ココナッツジャパンエンターテイメント)、『SIMPLE 1500 シリーズ Vol.33 THE 卓球』(PS/2000年8月/ディースリー・パブリッシャー)がそれに該当する。
      ちなみに2018年10月現在、クロスレビューで13点を記録した据置機ソフトは、『サッカーやろう!』を除くこれらに『港のトレイジア』(MD/1992年2月/RIOT・日本テレネット)を加えた6本のみである。
  • 発売直後はKOTY大賞もう決まりと言われていたが、結局大賞にはならなかった。この後に強敵が続々と登場するとは誰が想像しただろうか…
    • 前年にも似たような話があったが。
      • KOTYで挙げられていた問題点も「自動ドア」「当たり判定」など他のゲームにも当てはまる要素が多かったのが落選理由だろうか。マイナーなゲームなので粗探しをされてしまった感はあった。
  • 「グラフィック面の悪さからKOTYに持ち込まれた」「シナリオ部分は好評」「ネタ要素が多い」といった点ではこれとかこれに近いものがある。
    • しかし本作がクソゲーとしての誹りを逃れられなかったのは、やはり根本的なゲームとしての単調さ、作りの雑さが原因だろう。 クソゲーとバカゲーは紙一重 と言われることがあるが、本作はその好例と言えるかもしれない。

参考動画

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