仮面ライダー555
【かめんらいだー ふぁいず】
ジャンル
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対戦格闘
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対応機種
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プレイステーション2
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発売元
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バンダイ
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開発元
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デジフロイド
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発売日
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2003年12月18日
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定価
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5,800円
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プレイ人数
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1~2人
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レーティング
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CERO:全年齢対象
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判定
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クソゲー
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ポイント
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連打しか能の無いライダーゲー屈指の薄いゲーム キャラゲーなのにストーリーモードなし 登場キャラがあまりにも少なすぎ ネタ面も極薄 「やったぜ。」
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仮面ライダー対戦格闘シリーズリンク
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概要
同名の特撮番組を原作としたソフト。有限会社デジフロイドが開発を担当した仮面ライダーゲームの第2作。
ライダー格ゲーとしては初のPS2ソフトでもある。
登場キャラ
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ライダーサイド
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ファイズ(通常形態/アクセルフォーム)、カイザ、デルタ、ファイズブラスターフォーム、オートバジン
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オルフェノク怪人
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ホース、クレイン、スネーク、クロコダイル、センチピード、ロブスター、ドラゴン
特徴
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本作からライダー格ゲーの恒例となった仕様は、以下の通り。
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好きな組み合わせで対戦を行える「フリーバトル」モードが搭載された。
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一方、『アギト』以降の恒例で同キャラ対戦はできない。
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対戦の組み合わせによって、戦闘前後の台詞が変わるようになった。
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前作『龍騎』では、必殺技で敵を倒したかどうかでのみ台詞が変化していた。
問題点
キャラクター・演出関連
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キャラが少なすぎる。
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オルフェノクはレギュラー勢とラッキークローバーの初期メンバーだけで、ゲスト怪人は一切出てこない。
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開発時期などを考えると登場させたくても出来なかったという可能性はあるが、スマートブレインの社長にして黒幕的存在でもあった村上峡児の変身するローズオルフェノクや、真里や草加の恩師である重要人物・花形の変身するゴートオルフェノク、物語後半のキーパーソンだった澤田の変身するスパイダーオルフェノク、乾巧が変身するウルフオルフェノクさえも使えない。演者の都合で出せなかったのかもしれないが…
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ドラゴンオルフェノクには通常形態である魔人態のほかに、鎧のような外皮を脱ぎ捨てた龍人態という形態があるのだが、龍人態は登場しない。
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劇中でも登場回数は少ないが、ファンにとっては印象深い活躍をしたフォームなだけに、こちらもオミットする理由がわからない。
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また、原作では「同じ仮面ライダーに別の人物が変身する」という展開も見どころであったのだが、本作ではそうした変身者の違いは特に再現されていない。
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上記の登場キャラの内、仮面ライダーの3人は正確には巧ファイズ・草加カイザ・三原デルタとなっている。もちろん変更などはできない。
本作で登場している範囲でも、木場ファイズや北崎デルタなどは十分再現できたはずなのだが…。
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劇場版『パラダイス・ロスト』のライダー・オルフェノクは一切登場しない。
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草加を倒し、木場たちオルフェノク3人組と単独で互角に渡り合った仮面ライダーサイガ、劇場版ラスボスの仮面ライダーオーガなど印象に残るライダーのため出ていないのは何とも惜しい。
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さらに、オルフェノクには激情態と呼ばれる別形態があり、ホースオルフェノクとクレインオルフェノクはこの形態になるが、本作では影も形もない。
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前作の龍騎ブランク体や、『剣』のたい焼き名人の様な、サプライズキャラやネタキャラも存在しない。
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強いて言えばオートバジンが隠しキャラとして使えるが、ゲーム中でもファイズの援護攻撃として登場し、劇中でも巧と共に戦っていた場面の多い準レギュラー的存在だったため、正直サプライズ感は薄い。
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ライダーキャラは、戦闘前に武器を複数の中から1つだけ選ぶことになる。戦闘中に他の武器に持ち替える事はできない。本編では状況に応じて自由に武器を選んでいたのだが…
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特にファイズはポインター・ショット・エッジとそのアクセル版とで、6種類ものバリエーションがある事になる。露骨なキャラの水増しである。
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オルフェノク勢は手持ち武器があるキャラクター以外には武器が存在しないのだが、それを埋め合わせるように通常時の性能が高いなどのバランス取りは一切されていない。武器を持たないスネークやクレインは涙目である。
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バックラーシールド、大剣、ファキールス・ホーンと3つの武器を持つはずのクロコダイルオルフェノクは、大剣しか使えない。使える武器を絞るにしても、劇中では大剣よりもシールドを使っていたはずなのだが…。
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チャクラムとナイフを合わせたような短剣が使えるはずのスネークオルフェノクも武器がオミットされている。
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ブラスターフォームは、モーションとセリフの両方を通常のファイズから使い回しているため、ファイズと比べて攻撃力が高いだけの武器違いキャラでしかない。
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必殺技はフォトンバスターとフォトンブレイカーのみで、既に劇場版で披露していたブラスタークリムゾンスマッシュが無い。
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さらに、フォトンブレイカーは劇中の
電車斬り水平斬り抜けではなく、ゲームオリジナルの縦斬りとなっている。この技は劇場版で披露しなかったので、演出の修正が間に合わなかったらしい。
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演出に関しても、各キャラの攻撃モーションや必殺技の再現など頑張っているところはあるのだが、ファンからすると疑問を感じる部分は少なくない。
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PS2ソフトであるため、グラフィックのレベルは高い…のだが、ライダーが体を動かすとフォトンストリーム(体のエネルギーライン)がしょっちゅうズレる。
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投げ技は、どのキャラもモーションがまったく同じ。前作ではキャラごとに原作に準拠したアクションを行っていただけに余計に目立つ。
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対戦相手ごとに台詞が変わるといっても、使い回しばかり。特にカイザ(草加)は相手がオルフェノクだと同じような事ばかり言う。
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主人公である乾巧の台詞は、ファンからすると大きな違和感を覚えるものばかり。
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特に勝利時に発する「やったぜ。」は、その字面も相まって今なおファンの間で本作を象徴するネタ台詞として語り草になっている。劇中の巧は無愛想でぶっきらぼうなキャラクターであり、間違ってもオルフェノクとの戦いに勝って喜ぶような性格ではない。特に嬉しそうでもなく、妙に淡々とした言い方になっているとはいえ…。
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「やったぜ。」ばかりが注目されがちだが、ブラスターフォームのフォトンバスター発射時の「行くぞぉ!」というセリフも原作からするとかなり違和感がある。『龍騎』の真司じゃあるまいし…。
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ライダー系格闘ゲーシリーズを通じての問題だが、効果音も原作再現ではなくオリジナルのものが多めで違和感がある。
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明確な必殺技や援護キャラを持たないオルフェノク勢にはゲームオリジナルの援護技・必殺技が用意されているのだが…。
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全体的に手抜き臭が漂う。特に援護技に顕著で、相手に組み付いて投げ捨てるだけのクロコダイル、ラリアットで一撃するだけのドラゴン、ポーズを取って腕から光弾を放つだけのセンチピード、ロブスターはその最たるもの。
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それなりに動きのあるものにしても、「疾走態に変化して敵をすれ違いざまに斬る」という内容だが剣が当たった瞬間に敵が吹っ飛ぶため斬れたように見えないホースの必殺技や、「光の翼を広げて回転して体当りする」という原作とは全く異なる演出になっているクレインの必殺技など、迫力の物足りないものが散見される。
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説明書に次のような記述がある。
「アクセルフォームの必殺技は、連打で負けると、ダメージは与えられないけど技がヒットするグラフィックは見られるんだ。やっぱりアクセルは誰にも止められないって事だね!」
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…要するにアクセルフォームは技を『回避される』グラフィックが用意されていないというだけの話。ウリであるかのように書かれても困るが、原作でもほぼ回避不能だったのは事実。だからといって被回避グラフィックを用意しない免罪符となりえないのは確かである。
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さらにアクセルフォームを選択中はキャラ数の限界なのか、体力が半分を切ると使用できるオートバジンの援護攻撃が使えなくなる為、実質弱体化である。
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スローでファイズ、カイザ、デルタの必殺技の動きをよく見るとモーションとポリゴンの位置が若干ずれていることがある。
システム関連
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キャラゲーだというのにストーリーモードが存在しない。チャレンジモードによる連戦こそあるものの、特にストーリーを意識した掛け合いやシナリオ展開などは見られない。これは『1号』~『カブト』のゲームの中で唯一である。
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敵を攻撃するとゲージが溜まっていき、一定量になるとゲージを消費して武器や必殺技を使うことができる。
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…のだが、ライダーのポインター装備(及びデルタムーバーの2段階目)は各ライダーがポインターを装備(デルタの場合はミッションメモリ装着)するだけで、モーションの追加・差し替えは一切無い。
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一応ガード削り効果(ガードされても微量のダメージが通る)が付与されることが分かっているが、それは説明書はおろか攻略本にも載っていない。
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しかも削り効果はファイズ・カイザのショット系武器装備時でも付与される。いよいよもって存在意義がない。
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大半の武器は装備すると逆に使える技が少なくなる。特にカイザのフォンブラスターは装備すると連携技が完全に消滅し、露骨に弱体化する。
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また、カイザブレイガンを装備しても攻撃がほぼ単発技だけになってしまう。原作での華麗な剣戟は見る影もない。
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更にこのブレイガン、装備すると刀身がカイザ自身の体を突き抜ける事がある。
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CPUは必ず武器を装備するため、キャラクターの性能を直接変化させることで、難易度調整を行っているものとも考えられるが…。
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必殺技を使おうとすると両プレイヤーのボタン連打勝負となり、技使用側が勝つと命中、負けると不発となる。問題は不発となった場合ダメージは全く通らないという点で、しかも必殺技に使うゲージはきっちり消費してしまう。連打負けしたが最後、逆転のチャンスは大きく削がれてしまう。
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前作でも必殺技使用時には防御側が連打を行うことで必殺技のダメージを軽減することが出来たが、あくまで「軽減」でありダメージを与えることは出来た。この点は「子供だまし」「せっかく必殺技を出したのに連打で負けてノーダメージは…」と大きく批判されることが多い。
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更に言うなら、クレインとセンチピード以外の必殺技は、どのキャラでも武器でも威力が同じ。
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最後の隠しキャラの解禁条件は「全操作キャラでチャレンジモードの連戦をクリアする」ことだが、キャラ選択時の装備違いも1キャラとしてカウントする。このため、ファイズやカイザなどは装備を変えつつ複数回クリアしないと条件を満たせない。前述のように戦闘は連打勝負、ストーリー要素もないので解禁まで無駄に面倒くさい。
評価点
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Criterion Games社が開発した「Render Ware」というゲームエンジン使っている為かグラフィックはかなり綺麗に描かれている。
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原作での技はしっかり再現されており、1度見る価値はある。
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ファイズのグランインパクトやファイズエッジ抜刀時の演出、カイザのカイザスラッシュ、ゴルドスマッシュは原作の一場面を再現しており、原作ファンには嬉しい所。
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なお、アクセルフォームのアクセルクリムゾンスマッシュは「超加速状態で相手を上空に打ち上げ、空中に浮いた敵へ多方向からポインターを撃ち込み、必殺の多段キックを浴びせる」というゲームオリジナルの演出となっている。原作でも似た演出は見られたがここまで派手な構図ではなく、ここはゲームならではのアレンジで格好良く仕上げている。
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オルフェノク勢の必殺技では、クロコダイルは原作を再現した逆袈裟斬りを見せてくれる。他にもレイピアで連続突きを繰り出すロブスター、「相手に腕を突っ込み持ち上げて爆破する」という『龍騎』のタイガの必殺技を思わせるドラゴンの演出などはゲームオリジナルながら格好良くできており、前述の手抜きっぷりが嘘のような出来栄えのものもある。
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キャラクターの造形や武器装備時、必殺技の回避モーション等はなかなか作りこまれている。
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ファミ通のクロスレビューでも「実写と見間違うほどのグラフィック」とまで評された。ゲーム部分の評価は散々だったが…。
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ゲームならではの貴重な演出も、いくつか見られる。
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ドラゴンオルフェノクが、両肩のパーツを腕に装備して攻撃する。
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設定上は可能で、着ぐるみにも仕込まれていたギミックなのだが、『ディケイド』版を含めて番組では一切使用されなかった。
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三原デルタが、反撃技でTV本編で乗れなかったジェットスライガーに乗る。
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バトルモードをクリアすると、村上社長(ローズオルフェノク)がプレイを「上の上ですね」などとボイス入りで評価してくれる。それだけにバトルキャラとしては一切登場しないのが非常に残念であるが…。
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真理と啓太郎がボイス入りでチュートリアルを行ってくれるモードがあるが、隠し要素としてスマートレディが同じ内容を解説するおまけバージョンも存在する。
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OPのCGムービーのクオリティは高く、中にはファイズと戦っていたカイザが、ホースオルフェノクの姿に変わるというシーンもあり、狙ったのかは不明だが原作終盤の展開をなぞった演出が見られる。
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しかし悲しきかな、前述のように本作には木場カイザは出てこないのでOP詐欺とされかねないが…。
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ブラスターフォームとオートバジン以外のキャラは、選択画面では人間態の顔写真が表示され、決定すると変身後の顔に切り替わる。この演出は『響鬼』まで受け継がれた。
総評
ライダーゲー屈指の「薄い」ソフトである。
ゲーム性が大味なのはキャラゲーでは珍しくは無いが、本作はキャラ数もネタ面もペッラペラでストーリー性も皆無である。
前作『龍騎』はとりあえずライダーの頭数だけは揃えており、続く『剣』『響鬼』もネタ面だけは評価されていた。
本作は演出面こそ評価されてはいるものの、上で並べたマイナス要素が大きく足を引っ張っており、単体のゲームとしてもライダーゲーとしても「下の下」の出来と言わざるを得ないだろう。
余談
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本作のアクセルクリムゾンスマッシュの演出は、『クラヒ』をはじめ他のライダーゲーにも引き継がれた。
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本作のデルタが武器や技を使うシーンでは、なぜか音声入力を行わずに無言でデルタムーバーを構える。「ファイア!」や「チェック!」とも叫ばない。
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これに関しては、本ソフトの開発中は番組内でも入力ワードなどの設定が定まっていなかった可能性がある。同時期に発売されたデルタムーバーのなりきり玩具でも「モード名を直接入力しろ」などと説明されており、設定の不統一が見られる。
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変身者の三原のセリフも同様で、戦闘前は原作通りに弱気だが、勝ち台詞は妙に前向きである。これもまだ原作でのキャラが定まっていなかったためだろう。
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今作の内容の薄さには攻略本の出版社側も書くネタに困ったのか、「全ての隠し要素を短時間で揃えるタイムアタック」なるやり込みコーナーを載せていた。
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因みにこの攻略本のオルフェノクの紹介記事は、「クリムゾンスマッシュも防ぐ盾」「口からの高周波」「龍人態に変化」と、ゲーム中に出てこない能力ばかり書かれていた。
確かにこれだけ削られていたらやむなしだろう…
最終更新:2024年06月30日 21:09