グラディウスII
【ぐらでぃうすつー】
ジャンル
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シューティング
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対応機種
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ファミリーコンピュータ
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発売・開発元
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コナミ
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発売日
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1988年12月17日
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定価
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5,900円
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配信
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バーチャルコンソール 【Wii】2007年4月24日/500Wiiポイント
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判定
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良作
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グラディウスシリーズ
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概要
アーケード『グラディウスII -GOFERの野望-』のファミリーコンピュータ向け移植作品。
ではあるもののFCのスペックではACの忠実移植は不可能な為、オリジナル色の強い作品である。なお、FC版ではサブタイトルが外されている。
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ちなみにタイトルが限りなく似ているMSX版『グラディウス2』とは別物なので注意。
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『コナミGBコレクション VOL.3』では『ネメシスII』が「グラディウスII」に改題されているが、これも別物でさらにややこしい。
特徴・評価点
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FCの限界に迫るほどの美麗なグラフィックと音楽。ACでも登場したボスキャラの再現度も高い。
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Fortress(2面)・Heavy Blow(3面前半)・Dead End(3面後半)・Something Ghostly(最終面)など、追加曲はいずれも名曲揃い。
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またエンディングで流れる曲「FAREWELL」はAC版よりも少し長めで、ファンの間ではFC史の名曲の1つとして語られ、むしろAC版よりもFC版の方が良いというファンも多い。
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しかも信じがたいことに、これらの楽曲は音源チップ等の助けを一切借りずFCの内部音源だけで演奏されている。コナミ矩形波倶楽部の真骨頂ここにあり、である。本作のビッグコアのテーマなどを聞くと、『グラディウス』と同じ音源で演奏されているとは思えないほどである。
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これは本作に搭載されたVRC4チップに後のVRC6/7などのように独自音源チップが搭載されている、という誤解から生じたもので、VRC4には独自音源は搭載されていない。
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更にパワーアップ時の音声まで非常にクリアな声で再現している。さすがに容量的に基本の6種類だけではあるが。
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武器装備だけとはいえ、一言喋るだけでもゲームの空気は一気に引き締まるようになった。家庭版で気軽に「ミッソー!」の魅力を味わうことが出来る。
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ステージ数はACの全8面から7面へと減少しているが、ステージ3はAC版の4面と3面を連結し後半をアレンジしたステージであったり、
後半の要塞ステージの途中にAC版6面の高速スクロール地帯が挿入されるなど、AC版の全ステージのギミックはほぼカットされること無く移植されている。
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要塞面途中の高速地帯のみならず、1面の人工太陽面や最終面に『沙羅曼蛇』の3面や1面を踏襲した部分を後半に追加したり、一部面の破壊不可ギミックが破壊できるようになっていたりなどのアレンジも光る。
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ボスラッシュも、総数は減ったものの迫力は十分。
具体的にはガウとイントルーダーが登場せず、代わりにビッグアイ(『沙羅曼蛇』のゼロスフォース)が追加されている。
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そのうえでFC版限定のオリジナルステージ、AC版にいない追加ボスも存在する。
具体的に2面の真のボスとして『沙羅曼蛇』に登場したギーガが登場している。
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全体的な難易度はAC版よりも落とされており、回数無限のコンティニューも追加されたので非常に遊びやすくなった。
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かといってヌルすぎるわけでもなく、敵の捌き方などのシリーズのセオリーを熟知しなければ手こずる難易度には仕上がっている。
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どのステージでゲームオーバーになっても復活は可能な調整がされており、復活の醍醐味を味わう事が出来る。グラディウスシリーズの入門にももってこいの作品となっている。
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また、驚くことにボスを含めて敵キャラの大きさ、アニメーションもAC版をほぼ再現している。
動きが遅かったり、弾の数が少なくなっていたりと弱体化しているが、クリスタルコア、テトラン、カバードコア、クラブ等、ファミコンとは思えないほど忠実に再現されたボスキャラは必見。
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FC版『I』ではビッグコアがマザーぐらいのサイズに縮められており不評だったが、本作のビッグコアはACと遜色のないサイズと動きを実現している。
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ラスボスのゴーファーの弱点は血管ではなく目に変更。口から泡を吐き出すようになった。
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また、「バクテリアン語で喋っているので何と言っているのかはわからない」と攻略本で解説された言葉を喋る演出もしっかり移植。本作ではパワーアップ時の音声をスロー再生したものであり、限られた容量を最大限に活用したギミックでもある。
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過去のFC版では出来なかったオプション4つ装備が本作でようやく実現。
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FCの性能では難しかった同時多数の表示問題を、スプライト調整によって解決している。
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又、4つ装備した状態でもう一度装備すると数十秒間オプションが自機の周囲を回転する「ローリングオプション」が発動する。張り付かないと上を攻撃できない2番装備にとっては有効な攻撃手段となりうる。
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オプションハンターも登場しないため、オプションを4つ気兼ねなく使えるようになった。
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シールド(前方のみのバリア)が削除。前作『沙羅曼陀』(FC)同様のフォースフィールド(全方向バリア)に統一され、耐久力が5発分までに強化された。
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FC版『I』では移植できなかった上下にスクロールするステージも登場、特にモアイステージでは、怒りモードに入ったモアイや振り向くアニメーションも再現されており、前作のモアイステージと比較しても非常に完成度が高くなっている。
問題点
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高水準のグラフィックやオプション4つの反動からか、やはりちらつきが多い(それすら瑣末な問題だが)。
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徹底した破壊ゲー・高耐久力ゲーゆえ、レーザー・スプレッドボムと攻撃力の高い装備の揃った2番装備が事実上1強状態となっている。
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モアイがやたら硬いのもこのゲームの特徴で、2番装備をもってしても破壊は容易でない。さすがに不評だったため、以後のシリーズのモアイはいずれも耐久力が低めになっている。
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またFC版沙羅曼蛇にあった「リップルレーザーが地形等に接触すると消えてしまう」という症状が解消されていない為、3・4番装備はAC版よりも弱体化。高火力至上主義ゲームということもあり、リップルを選ぶメリットが微妙。
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敵弾の当たり判定が大きめ
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内部解析により、自機の弾の判定と混同しているバグと判明している。
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FC版の新曲が好評であった一方で、AC版で評価の高かった曲(Synthetic Life、Crystal World、Maximum Speed等)の不採用を惜しむファンも少なくない。
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ボスBGMの割り当てがAC版と異なっている。演出としては意表をつくものではあるが、AC版通りにして欲しかったという声も。
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コナミコマンドは本作にも実装されているが、フルパワーアップではなく、残機が30機になるというもの。
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戻り復活であることに加えてゲームオーバー時のコンティニューが無限(中間地点ではなくステージの最初に戻される)なので、残機が大量にあってもありがたくないという声が多かった。
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中間地点からの復活よりも、空中戦からやり直せるコンティニューのほうがカプセルが大量に手に入るので装備を整えやすく、残機が多いことはかえって足かせになっている。
総評
FCという制約の多いハードへの下位移植でも「ACに負けない様な良い作品にしよう」という意地が感じられる、コナミ黄金時代の神髄といえる名アレンジ移植。
余談
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2面のBGMがGB版『ネメシス』のステージ2にアレンジ収録された。
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AC版には登場したもののFC版ではカットされてしまったビッグコアMkIIがFC版『がんばれゴエモン2』にボスとしてゲスト出演している。
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今作にお呼びがかからなかったところを、からくり城の殿様にスカウトされたという設定(がんばれゴエモン2の攻略本より)。
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タイトル画面で1コントローラーのABボタンを押しながらスタートボタンを押すとサウンドテストモードに入る。
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というだけなら、ただの裏ワザだが、大技林などの今作の欄では上記のコナミコマンドは紹介されてても、こちらは紹介されないことが多い。
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というのも、本作についてくる説明書にこのコマンドが記載されていたためで、中古ショップで説明書の無い裸ソフトを購入した人間の中には、後年になるまでこのモードがあることに気づかなかった者も少なからずいた。
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本作の開発はAC版のマスターアップよりも先に開始されており、一時期はコナミ社内で並行して開発作業が進められていた。このため、デバッグ等で双方のスタッフが交流することも多かったが、本作を試遊したAC版のスタッフは「これは間違いなくグラIIだ」と太鼓判を押したという。
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『ファミリーコンピュータMagazine(通称「ファミマガ」)』の1989年4号(2月17日号)ではタイトル画面で「下下上上右左右左ABAB」とまるでコナミコマンドの逆のようなコマンドを入力するとオプションが2つまでしか付けられなくなるウソテクが掲載された。
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上記の通りやり方(試し方)も簡単なのに正解率は歴代ワースト2位の12%と低く、またウソテクは後にも先も見た目がハデだったりネタ的面白さは抜群なのが多い中、普通に「オプションを2つ付けた状態でオプション欄が空欄になっているだけ」という地味なものになっておりネタ的な面白さもないという地味臭いもので、いろんな意味で変わり種なウソテクであった。
最終更新:2023年10月08日 23:25