SDガンダムGX

【えすでぃーがんだむじーえっくす】

ジャンル シミュレーション
対応機種 スーパーファミコン
メディア 8MbitROMカートリッジ
発売元 バンダイ
開発元 ベック
発売日 1994年5月27日
定価 9,800円(税別)
プレイ人数 1~2人
セーブデータ 2個
判定 良作
SDガンダムシリーズ


概要

スーパーガチャポンワールド SDガンダムX』の続編。
基本的なゲームシステムは前作と同じだが、いくつか新要素が追加された。

特徴

  • 参戦作品は前作にプラスしてVと0083。また未参戦だったアレックスもやっと登場。ザンスカールはクロスボーンとの連合軍扱いになっている。また、敵味方で同じ軍勢を選択することが可能になった。
  • マップ数は、隠し要素を含めて宇宙13、惑星16、衛星12に増加している。
  • 大将機
    • それぞれの陣営にXガンダム(後のガンダムXとは無関係)、XザクというオリジナルMSが追加。これらは大将機であり、撃墜された場合即敗北となる。
  • 作戦
    • 戦闘開始前に自機以外のCOM操作の機体にある程度の方針を与えることが可能になった。
  • 補給の概念
    • 各ユニットにエネルギーのパラメータが追加された。移動するたびに消費し、0になると1歩ずつしか移動できなくなる。ミサイル等も残弾数が戦闘後も保存されるようになった。回復するには戦艦に収容する必要がある。
    • 戦艦自体も補給が必要。ドック入りするか、新規ユニットの補給艦で行う。
    • また、最大4機のユニットを搭載しての大気圏突入・突破が可能なHLVが追加された。
      • 戦艦よりも生産ターンが短く安価で便利。ただし、補給機能は無く地上では移動ができず使い捨て。惑星or衛星マップから移動した後は一切移動できなくなり、乗せていたMSをすべて降ろしたら自爆する。
  • 移動適正の調整
    • 戦艦は惑星や衛星での移動力が強化され、地形が悪い場合、MSだけで延々と行軍するより戦艦に乗せて輸送した方が効率的に占領できるようになった。
    • また、一部以外の戦艦は宇宙艦になり、惑星に降下できなくなった。これに伴い地上専用艦が追加。
      • しかし、バランスの都合上本来は万能艦だが宇宙艦に設定されてしまい、苦汁を舐めることになった戦艦も…
  • 対艦戦
    • 前作は完全オートだったが、今作ではMS→戦艦に限って3Dシューティング的なバトルになる。敵工場占領時にも同様のものが発生する。
  • ユニット変化
    • 一部のユニットはレベルAce状態で帰還させると上位機種に変化する。例としては「V→V2」など。
    • 他のMSも、Ace化で遠距離攻撃スキルを獲得するようになった。MAやガンキャノンなど一部のユニットはレベル1からスキルを所持している場合もある。
    • 大型MAの機動力と火力の向上、バリアの装備により、生産コストに見合ったものになった。
  • マップ兵器
    • 百式のメガバズーカランチャーやGP-02の核など、一部ユニットがマップ兵器を所持。範囲内のユニットを一撃で破壊できるが、浪費が激しく補給完了ターンも他より長いというデメリットもある。
  • コロニー落とし
    • 廃棄コロニーは占領すると以後移動させることができ、惑星や衛星に落下させると落下地点の周囲が焼け野原となる。その地域にいたユニットは全滅、拠点は全て中立状態に変化する。
  • いらないユニットを処分できるコマンドが追加された。これにより惑星マップを一通り制圧した後宇宙に持っていけない水陸両用MSやガウ、ミデアなどを処分できるようになった。
  • ベースを制圧すると、たまにトルネードガンダムというなかなか強力な機体が最初から入っている事がある。同機体は後に『SDガンダム Gジェネレーション F』に出演し、以降のGジェネシリーズにも登場している。
  • その他
    • 大型MAにIフィールドが装備された。原作通りビームを無効化するがミサイルやマシンガン、バルカンは普通に貫通する。
    • HPの一定以上の上限はブロックで表示されるようになった。
    • ハイメガ粒子砲やヴェスバーなど一部の強力兵器については従来の溜め撃ち型から自身のHPを消費して大火力を撃つものに変わっている。これにより強力兵器は頻繁に使うことはできなくなった。
    • 消耗したMSの修理にまつわる仕様変更によって自軍が保持している機体数が増えても各機体を大事にできるようになった。
  • ユニット数の制限数が戦艦40、MSとMAの合計が128となった(前作は全ユニット数の合計が128)
    • ユニットのレベルアップの条件が変化。前作は戦艦を撃墜すると即ACEになったが、今作ではレベルが1上がるだけとなった。またレベルアップに必要な通常の戦闘が前作では1回だったものが2回になった。

評価点

  • 補給の概念が導入され、前作のようにMSだけでえんえん進軍するような手段は困難に。これにより高価で数の少ない戦艦の効率的運用が求められるため、シミュレーションゲームとしての戦略性がアップ。
  • 対艦3Dバトルにより、オートだった前作と違ってプレイヤーが結果に介入できるようになった。
  • コロニー落としを利用することで、完全に敵の勢力圏下にある惑星・衛星にも侵攻しやすくなった。
  • ファンネルの仕様変更やバルカン砲の性能向上、高額MA等の能力強化により、前作であまり使えなかったそれらの価値が向上した。
  • 変形ボタンがLRになり、可変MSでも4種の武器を使えるように。
  • CPUの浪費癖が修正され、ある程度バランスよく生産の割り振りをするようになった。
  • BGM、グラフィックも前作同様良質。
  • 前作だとCPUが惑星もしくは衛星から戦艦を打ち上げても中のユニットを外に出さない(出せない状態で打ち上げる)ため、そのまま戦艦ごと撃ち落とされていたが、今作からは状況に応じてユニットを外に出すようになった。

賛否両論点

  • 「どんなに強力なユニットでも1ターンで生産できてしまう」という裏技がある。
    • 使用するかしないかはプレイヤーの判断に拠るので、対人戦におけるハンデとしては役に立つだろう。
  • 変形したVガンダムが異常に強く、ビーム砲が一回2発発射され、しかも一発のダメージが拡散メガ粒子砲並みの威力がある。1ターンで生産できて価格もZZの3分の1程度で機動力も13もある。TECが4になった段階でこれを大量生産すれば楽勝。ただしCPUは変形をあまりしないので、自身で操作した場合に限る。

問題点

  • ユニット編成の都合か、アレックスやアルビオンがティターンズに所属。アルビオンについては、クルーの一部が後にティターンズに編入されたからだろうが、主役機のGP-01とは別の軍勢になってしまっている。
    • 後GP-02Aもティターンズに所属。これは原作でもGP-01とは違う陣営だったがティターンズに入っているのは若干違和感が。かといってジオンに入れるのも…
      • これに関しては、陣営の数を増やすと一陣営ごとの層が薄くなってしまい、かといって参戦させないのも……という苦渋の決断であったろう。 実際、アレックスやGP01などの主役機については出番を熱望する声が多かった。
  • 大将機の存在が微妙、というかゲームを面白くする要素になっているとは言いがたい。
    • クロスボーン軍をも楽々蹴散らせる脅威の強さで、完全なバランスブレイカー。特に序盤はこれ一機のみで容易に戦況を左右できるため、ゲーム性を大味なものに。
    • CPUは大将機を温存するため強さのメリットが無い。かといってもし前線に出てきたら集中攻撃で落とせる。つまりCPU的には弱体化要素でしかない。
      • 大抵は宇宙で最初のベースを占領した後は殆んど動かないのでマップ兵器の餌食にするのも余裕という有様。
    • オリジナル機体のため思い入れが無く、使ってもあまり面白くないということもある。
    • あえてフォローするなら、「敵の全滅」「ターン経過」以外の勝敗条件のルールを作った。
      • 選択制にすれば一定の評価は得られたかもしれないが…なお、今作の「敵の全滅」は大将機以外を殲滅してから大将機を落とさなければ見ることが出来ない。
  • 対艦戦の3Dバトルが簡単すぎる。ちょっと慣れれば易々と敵戦艦を落とせるし、敵工場に至ってはノーダメ楽勝のため単なる作業。
    • まぁ、前作では敵工場は無条件で占領できたので、工場に関しては多少のリスクが追加されたと考えればあまり問題では無いが。
  • CPUは未占領地域には積極的に侵攻するが、それ以外は守りを固めてばかりで相手側勢力圏にはなかなか攻め込んでこない。
    • クロスボーン軍の強さも変化無し。今回もCPU用のハンデと相成った。
  • ハイメガ粒子砲などは前作ではコストなしで発射できたが、今作ではエナジー(0になると死亡する値)を消費するようになり、使用コストが上がった。その割に威力が低く、使い所があまりなくなった。にもかかわらずCPUは乱発してくるため、特に大将機の場合だと自分で勝手に消耗し、自滅するという結果になる。 エナジーではなく、GAS(移動に必要なポイント)を消費する仕様にすべきだったと思う。アニメでもZZがハイメガ粒子砲を発射したあとエネルギー切れで動けなくなる描写があったので、その方が原作にも合っているはず。
  • マップ兵器がバランスブレイカー気味。
    • 範囲が狭いと言うだけで中身はコロニーレーザー砲同様なので効率だけならこれ多用ありきの戦略になりがちになり、持ち味であるリアルタイムバトルの価値が相対的に下がっている。

総評

前作からの変更点に微妙な部分もあるが、トータルではファンの期待に応えてくれた続編だといえるだろう。
残念ながら、シリーズはこれ以降劣化の一途を辿ることとなり、GXを越える作品は出ることなく終焉を迎えた。
唯一、前述のトルネードガンダムだけはGジェネシリーズに引き継がれ、現在に至るまで活躍を続けている。


余談

  • 近年のGジェネシリーズにて初期配置機体として定着している「トルネードガンダム」は、上記のように本作が初出である。デザインも、当時行われていたコミックボンボンの読者公募が元となっている。
    • 各ユニット図鑑でも「Gジェネオリジナル」ではなく「SDガンダムGX」と出典が明記されているほか、「廃棄工場の格納庫から発見され、稼働状態が良好だったのでそのまま実戦で運用されている」という、本作での入手経緯を意識した設定が付加されている。
    • なお、初登場時の本機の武装はビームサーベル、ガトリングガン、ビームライフル、拡散メガ粒子砲である。Gジェネシリーズにおける拡散ビーム砲は持っておらず、ガトリングガンは腕部ではなく頭部から放つ仕様であった。
      本作の拡散ビーム砲はビームライフルの上位版に相当する装備であったが、Gジェネに登場させるにあたりバランスを考えて拡散ビーム砲に変更したのかもしれない。ガトリングガンも、頭部バルカンとの差別化から腕部に変更した可能性がある。
  • 特殊チップのうち、解析が非常に困難だったDSP-3を搭載しているため、ほとんどのエミュレーターではまともに動かない。
    • 完全動作するものがリリースされたのは2010年12月になっての事だった。

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最終更新:2023年03月08日 20:13
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